『障害者自立支援法』の問題点

〜他人事ではない大切なこと〜

2007.3.15

昨年施行された『障害者自立支援法』。これが今、自立を支援するどころか生活を破壊していると大問題になっている。“保護から自立を”というスローガンは聞こえが良いけど、要するに“自分で何とかしろ”ということ。新法では障害の度合いに関係なく、受ける福祉サービスが原則1割負担になった。1割負担というと少なく聞こえるけど、生活の全てにお金がかかるので大変なこと。
例えば、洗顔や歯磨きなど朝の支度は介助料が183円、ファミレスで380円のチーズケーキをヘルパーに食べさせてもらうと669円になり、友達と公園に行くのは車椅子を押してもらうのに289円かかるという具合(データはNHK教育の福祉番組から)。もちろんトイレに行くのもお金がかかる。“1割だから楽だろう”というのは想像力の欠如。
法律を作った政治家は「財政難の昨今、障害者であっても社会の一員であり、福祉制度の持続の為に1割負担やむなし」という。正論に聞こえるけれど、この考え方は根本的におかしい。障害が重い人ほど収入の道が閉ざされている場合が多く、しかもより多くの介助を必要としている訳で、負担を軽くしなければいけないのは分かりきっていること。“自立”を実現する為には仕事が必要であり、所得を保証する環境が整っていないのに、金銭の負担を求める話が先にくるのは違うだろう。

障害者の方と話をしても“保護されて当然”などと言う方はおらず、「仕事があれば払うし、払いたい」という方が大半(仕事を通して社会参加の意識も持てる)。ところが施設の現場は過酷な状況だ。従来は殆どの通所施設(障害者の作業所)が利用料ゼロだったので、平均1万円という「工賃」(給料)は多いとは言えなくてもそれを励みに“働きがい”を感じて頑張る人が多かった。しかし、自立支援法によって月約3万円の利用料と食費が請求されることになり、仕事をする為に施設に通うと逆に差引き2万円の赤字になる事態になった。
障害年金が月額約66,000円(2級)なのに、2万の自己負担はあまりに大きい。労働の意欲を奪い、“自立支援”と真逆のことを行政はしている。グループホームの利用者は、食費と居住費(光熱水費など)が全額自己負担になった。うつ病などの精神通院医療も全て原則1割負担になり、これがまた鬱の要因になる矛盾。

障害を持つ子供たちも受難にあっている。従来は児童福祉の観点から、障害児入所施設では、入所費用、学校教材費、医療費がほぼ無料だった。これも“支援法”の施行で入所が有料となり、医療費等も原則負担となった。20歳まで障害年金が支給されない為、保護者の経済的な理由で育児放棄にあった子供は窮地に陥っている。
非課税世帯への配慮はあるものの、政府の政策は、まるで障害が「自己責任」と言わんばかりだ。障害は本人にはどうしようもないこと。自己責任じゃないことからお金をとろうとする姿勢に納得できない。

行政は二言目に「財政難」という。「制度を持続可能なものにする為の自己負担」とも。よく聞く言葉だが、約700億円の負担増を障害者に求める一方で、天下りの対象となり問題となっている特殊法人に毎年5兆円以上も血税が補助されている事実。役所や政治家が節税し、ムダな公共事業費をちょっと見直すだけで、すぐに障害者福祉は充実できる。06年度予算案の障害福祉予算は8131億円で国家予算の約1%。国際的に見ても日本の国内総生産(GDP)にしめる障害関連予算の割合は、ドイツの5分の1、スウェーデンの8分の1しかなく、非常に低い水準にとどまっている。

欧州で可能なことなら、世界第2位の経済大国の日本でも実現できるハズ。“障害”といえば他人事のように捉えている人が少なくないけど、事故や病気でいつハンディを持つか分からないし、誰でも数年先には老いて体が不自由になり、24時間の介護も必要になってくる。かつて障害者団体の運動で実現した駅ホームのエレベーターは、ベビーカーを押す母親や年配の人など、障害者だけでなく皆が助かっている。福祉は同情から「やってあげるもの」ではなく、我が身のことと考えたい。
健康な人、ハンディを背負っている人、社会はいろんな人で成り立っている。障害者が人間としてあたりまえの生活をする為に必要な支援は、国の景気とは切り離して無料にすべきだ。僕らの社会はそれが可能だし、助け合いの精神こそが共同体の素晴らしさじゃないか。社会全体が協力して支えなきゃ!(*^v^*)



★障害者自立支援法違憲訴訟 国、全面的に争う姿勢 〔2009年1月22日 アサヒ・コム〕

 福祉サービスを利用する障害者に原則1割の自己負担を課す障害者自立支援法は憲法が定める「法の下の平等」に反するなどとして、滋賀県在住の障害者4人が国や各自治体に自己負担をなくすよう求めた集団訴訟の第1回口頭弁論が22日、大津地裁(石原稚也(ちがや)裁判長)であった。原告2人の親族が意見陳述し、同法施行後の苦しい生活の実情などを訴えた。国や自治体側は「(障害者自立支援法は)平等権を侵害するものではない」などとする答弁書を提出し、全面的に争う姿勢を示した。この集団訴訟は昨年10月末、全国の障害者ら30人が東京や大阪など8地裁に一斉に起こしており、口頭弁論は大津地裁が初めて。
 滋賀の原告は、知的障害がある29〜46歳の男女4人。意見陳述に立った原告の橋田直子さん(45)の母静子さん(69)は「支援が必要な人たちが人間らしく生きていけるような制度にしてほしい。このような悪法を残したまま、娘を残して死んでいくことはできない」と訴えた。



《時事コラム・コーナー》

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★愛国リベラル近代史年表/日本と韓国・朝鮮編
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