史上最強の超名作洋画
ベスト1000

  300〜400位
  

1〜100位  101〜200位  201〜300位  301〜400位 401〜500位
 501〜600位  601〜700位 701〜800位 801〜900位 901〜1000位
 次点1001位〜


301.若者のすべて('60)118分 伊・仏
ヴィスコンティの初期作品。骨太青春映画。アラン・ドロンがすごく良い!
※ヴェネチア国際映画祭(1960)審査員特別賞、国際映画評論家連盟賞

  涙を映したアラン・ドロンが印象的
302.フェリー二のアマルコルド('74)124分 伊・仏
フェリーニ作品の中では、一番明るく楽しい。イタリアの小市民の日常生活が非常にイキイキと伝わってきた。音楽もいい!
※アカデミー賞(1975)外国語映画賞/NY批評家協会賞(1974)作品賞、監督賞

  未DVD化。オスカー受賞作なのにWHY !?
303.フィールド・オブ・ドリームス('89)107分 米
野球を通して父子の絆を描いたファンタジー。ケビン・コスナーはこの役柄のおかげで、全世界の人々から好感度あがりまくり!最近は泣かず飛ばずだけど…。

 
304.ピースメーカー('97)124分 米
いや〜、敵のオジサマが良い!タイマーONの核爆弾をリュックに入れてNYを歩く姿が実にもの哀しく、旧ユーゴの民謡が気持ちをさらに切なくした。“ピースメーカー”とは「世界の警察」を気取る米国への皮肉。犯人の疑問に答えられないジョージ・クルーニーがリアル。

 
305.レイダース/失われたアーク('81)115分 米
ユーモアとドキハラのアクションがたっぷり。映画の原点ともいえる痛快娯楽活劇の醍醐味に拍手喝采。公開時、スピルバーグとルーカスが組んだことでめちゃくちゃ話題に。宿敵が桂文珍と似ている。
※アカデミー賞(1982)美術監督・装置、視覚効果賞、音響賞、編集賞、特別業績賞

  このジャケットも冒険心を刺激した
306.ホワイト・バッジ('92)123分 韓国
ベトナム戦争を扱った韓国映画。世の大半の人は韓国軍もベトナムに侵攻していたことを知らないんじゃないかな(僕も当時この映画で初めて知った)。米政府の要請で派遣された韓国軍は約30万人にものぼる。後半、ソウル市内の学生デモに巻き込まれた帰還兵が、機動隊の催涙弾の雨の中を茫然とさまようクライマックスに鳥肌が立った。戦場も地獄、帰還後も地獄。
※東京国際映画祭グランプリ(1992)

 
307.狼たちの午後('75)125分 米
銀行強盗と人質たちの交流を描く。この映画で若きアル・パチーノの神演技にベタ惚れし、名画座でリバイバルされる度に観に行った!途中のスター気取りのピザ屋が可笑しい。
※アカデミー賞(1976)脚本賞

 
308.去年マリエンバードで('60)94分 仏・伊
ストーリーの訳が分からなすぎて快感に(爆)。
※ヴェネチア国際映画祭(1961)サン・マルコ金獅子賞

 
309.ワイルド・バンチ('69)137分 米
普段は自己中心的な西部のならず者たちが、クライマックスで仲間を救出するために軍へ殴り込みをかける。殺されると分かってる場所へ入っていく時の「レッツ・ゴー」というセリフが、泣けてくるほどカッコ良かった。


310.緑の光線('85)98分 仏
多くの女性の共感を呼んだ名作。なんて静かな終わり方をする映画なんだろう。あの緑の光線は劇場のスクリーンだと本当に見えたそうだ。ビデオだと分からなかったのが残念。僕が女性なら無人島へ持っていく映画は本作と「テルマ&ルイーズ」かな。
※ヴェネチア国際映画祭(1986)金獅子賞、国際評論家賞


311.いちご白書('70)103分 米
学園紛争モノ。ベトナム戦争に反対する学生たちが、機動隊の突入で逮捕されまくり、催涙ガスの中からジョン・レノンの“平和を我らに”の合唱が聞こえてくるのがすごかった。
※カンヌ国際映画祭(1970)審査員賞


312.オペラ・ハット('36)115分 米
ハート・ウォーミングなストーリーで物質主義の現代社会を風刺。アメリカの良心、キャプラ監督&J・スチュアートの傑作!
※アカデミー賞(1937)監督賞/NY批評家協会賞(1936)作品賞


313.さらば青春の光('79)115分 英
ロックバンド“ザ・フー”の歴史的名盤「四重人格」を映画化。これほど主人公がミジメな映画はそうそうない。「ジミー!」とエールを送りたくなる。また、脇役で出演していた若きスティングがカリスマ的カッコ良さを発揮。役名の“エース”がぴったり。ライトとミラーが大量に追加された改造ベスパ、乗ってみたい!
※20代前半の頃、この映画の影響でブライトンの街に行き、海岸線で「ウィー・アー・モッズ」と一人で行進した(汗)。


314.死刑台のメロディ('71)125分 伊・仏
米国で実際にあった歴史的な冤罪事件(無実なのに死刑)、“サッコとバンゼッティ事件”を丹念に描いた史実的社会派ドラマの力作。イタリア系移民の悲劇。
※カンヌ国際映画祭(1971)男優賞


315.ストレンジャー・ザン・パラダイス('84)90分 米・西独
世にジム・ジャームッシュの名を知らしめた傑作ロードムービー。白黒のザラついた画面が、登場人物の虚無感を客席まで漂わせていた。
※カンヌ国際映画祭(1984)カメラ・ドール


316.ロミオとジュリエット('68)138分 英・伊

ニーノ・ロータの美しい音楽に彩られた名作。この頃のオリビア・ハッセーにノックアウトされない男子などいるのだろうか。まさにジュリエット。布施明…なぜ…。
※アカデミー賞(1969)撮影賞、衣裳デザイン賞


317.仕立て屋の恋('89)80分 仏

1時間20分の恋の地獄。ブラームスのレコードが効果抜群に使われていた。


318.巴里の空の下セーヌは流れる('51)120分 仏
市井に生きる人々を描いた人間模様を描いたヒューマンドラマの傑作。


319.ミッドナイト・エクスプレス('78)121分 米
映画の公開が国家間に条約を結ばせたという点で画期的。主人公の怒髪が天を突き、密告野郎リフキの舌が抜かれるシーンにカタルシス。
※アカデミー賞(1979)脚色賞、作曲賞


320.ナイロビの蜂('05)128分 英
映画は娯楽という一面だけではなく、陽の当たらない社会の問題や矛盾を人々に伝えるという大切な役割も間違いなく持っている。この映画がまさにそれ。アフリカで悪事を働く外国企業に立ち向かった夫婦の物語。純度120%のド硬派ムービー。政府高官もグルになった巨悪を暴こうとすると、欧米でも脅迫や圧力がかかったりするけど、アフリカの場合は速攻で殺されてしまう。その危険を知りながら真相を追い続けた主人公夫婦は真の英雄。女優のレイチェル・ワイズは妻のテッサ役を演じ、その素晴らしい演技でアカデミー助演女優賞に輝いた。テッサ最高。映画でアフリカの絶望を知ったからといって、すぐに何かを変える事ができる訳じゃない。でも、現在進行形の悲劇を知っておくのは大切だと思う。知識がなければ永遠に無関心のままだもの。
※アカデミー賞(2006)助演女優賞


321.旅立ちの時('88)116分 米
23才の若さで夭折したリバー・フェニックスが、若干18才にしてアカデミー助演男優賞にノミネートされた伝説の映画。若者が家族と別れて自分の道を歩み出す過程を描いたもの。リバーは落涙シーンで顔が紅潮しアゴがワナワナ震えているので、彼と共に感情のメーターが振り切れた。どのシーンをとっても、演技にわざとらしさが微塵も無い。彼は内面に溢れる感情を、セリフを使わずに表情や仕草だけで伝えることができる稀有な役者だった。リバーの代わりはハリウッドにいない。この悲しい事実に、映画ファンとして深い喪失感を味わっている。もし彼が生きてたら、ブラピやディカプリオには荷の重い役柄を見事に演じきって作品の質を上げていただろう。リバーをドラッグで失ったのは、人類全体にとって大打撃だった。
※劇中のリバーと女友達の海岸での会話が良い。「(貝殻を探すリバーに)何してるの?」「母の誕生日の贈り物探しさ」「ほんと?浜辺にダイヤの指輪でも落ちてると?」「買った贈り物じゃいけないんだ」。“買ったプレゼントは却下”というのは素晴らしい教育方針だと思う!本作品は両親を演じた役者も演技がメチャうま。父親の別れのメッセージ「他人に左右されるな!」に電気が走った。


322.天国の日々('78)94分 米
映像の魔術師、テレンス・マリック監督の伝説的作品。ただもう、ひたすら風景が美しかった。ミレーの絵画を見ているような、夕暮れ時の360度の小麦畑の中で展開される農夫たちのドラマだ。音楽も非常に美しい。R・ギアのバカ面もほとんど気にならんかった。
※アカデミー賞(1979)撮影賞/カンヌ国際映画祭(1979)監督賞/NY批評家協会賞(1978)監督賞


323.さらば友よ('68)115分 仏
男の友情が炸裂。チャールズ・ブロンソンとアラン・ドロンがすれ違う、例のシーンが超クール!


324.いまを生きる('89)128分 米
「我々はなぜ詩を読み書くのか。それは我々が人間であるからだ。情熱にあふれた存在だからだ。医学、法律、経済、工学、それらは生活を支える尊い仕事だ。だが、詩や美しさ、愛は我々の生きる糧だ!」。食べたり寝たりは他の動物もやってる。“人間だからこそ詩や芸術を生み出す”ってのは、当たり前だけど、こうやって言葉にして見つめなおすと、なんだかジーンときちゃうな…。
※アカデミー賞(1990)脚本賞


325.グレイストーク('83)130分 英
もしもターザンが都会に連れてこられたらどうなるのか。優れた人間ドラマ。


326.オーメン('76)111分 米
荘厳に響くメイン・タイトルが、最初からただのドッキリ箱ホラー映画とは違う雰囲気。「ローマの休日」の名優グレゴリー・ペックが主演というのも、文芸色を高めていた。ラストシーンが強烈。
※アカデミー賞(1977)作曲賞


327.ブリキの太鼓('79)142分 西独・仏
ピアノ線がピーンと張ったような緊張感のある映画。魚をナマで喰らうシーンは夢見が悪そう。
※アカデミー賞(1980)外国語映画賞/カンヌ国際映画祭(1979)パルム・ドール


328.怒りの葡萄('40)129分 米
アメリカの貧農を描いた傑作。内面描写が巧みなジョン・フォード監督の真髄。西部劇だけがフォード映画ではない。
※アカデミー賞(1941)助演女優賞、監督賞/NY批評家協会賞(1940)作品賞、監督賞


329.ドラゴンへの道('72)100分 香港
ブルース・リーが初めて監督・脚本・武術指導・主演の四役を担当。香港映画なのに戦いの舞台がローマというのが新鮮。クライマックスのコロッセオでのチャック・ノリスとのバトルはもはや伝説。他の作品と比べてコミカルなシーンも多く、まだブルース・リー作品を未見の人にお薦め!

 
330.ノーバディーズ・フール('94)110分 米
出てくる連中がみんな気持ち良い。ポール・ニューマンがいつにもまして自然体で、脇役のブルース・ウィリスも好演。“誰も愚かじゃない”っていうタイトルも好き。
※ベルリン国際映画祭(1995)男優賞


331.グアンタナモ・僕達が見た真実('06)96分 英
実話。3人のパキスタン系英国人青年がイスラム過激派と見なされて米軍の収容所(カリブ海のグアンタナモ米軍基地)に送られ、拷問を受け続けて2年後に無実が判明、釈放される。家畜のように野ざらしの檻に入れられ、会話を禁じられ、憔悴していく青年たち。人権を無視した米軍の拷問が詳細に描かれ、見てるだけで息苦しくなった。“もし自分が国際テロ犯として誤認逮捕され収容所で拷問されたら?”。映画を見る前にその気持ちを想像しようとしたけど、あまりに実生活とかけ離れすぎて考えることが出来なかった。裁判抜きで拘束され、いつ釈放されるか希望のない状況で、精神を正常に保ち続けることは可能なのか。この映画を観なければ気付かなかったことも多いので、未見の方はぜひレンタルをお薦めします。
※ベルリン国際映画祭(2005)銀熊賞(監督賞)

332.不滅の恋ベートーヴェン('94)120分 米
ゲーリー・オールドマンがベートーヴェン役。酔っ払って道端で小便を流しながら寝たり、悪ガキどもにからかわれる哀れな楽聖の姿に驚愕。だが、偉人として崇めたてるより、このように一人の人間として描く方が断然良い!大音量でベートーヴェンを聴けたのも嬉しい!


333.トゥルー・ロマンス('93)121分 米
あんな三つ巴の銃撃戦、これまで見たことないッス!撃ちあいが始まるまでの数秒間、緊張のあまり思わず身をかがめて画面を見てしまった。羽毛が舞う中での絶命シーンはシブすぎて足が震えた。


334.世界中がアイ・ラブ・ユー('96)102分 米
毎度のように彼女を他の男に奪われてきた自分としては、この作品に描かれた、W・アレン、元妻、彼女の現夫の三者の友情関係は、夢にまで見た理想そのものなのだーっ(オロロ〜ン)。

335.レット・イット・ビー('70)80分 英
普通なら非公開にするであろうメンバー同士の対立(1対3!)を、このように記録して公開したことで、ただのアイドル映画ではない緊張感のあるドキュメンタリーになった。これを見れば、ビートルズ・ファンも解散に納得せざるを得なかったと思う。後にポールが言った「ビートルズがビートルズを去ったんだ」が、まさにここに描かれている。
※アカデミー賞(1971)音楽(編曲・歌曲)賞


336.カーズ('06)116分 米
レースに勝つこと、1位になることばかり考えていた自己中心的な主人公が、だんだん順位よりも価値のあるものに気付いていく…これが“超”競争社会のアメリカで作られたことに驚く。観る前は擬人化した車に感情移入なんか出来るわけがない(あまり可愛くないし)と思っていたけど、映画が始まるとドンドン作品世界に引き込まれていった。冒頭とクライマックスのレース・シーンはド迫力で、実写では撮れない構図やスピード感に汗を握った。ギャグも盛り沢山で、“いかにヒマか”を描写した田舎の車たちの日常シーンがめっさツボにハマッた(笑)。クライマックスのレース展開のシナリオを書いた脚本家に心から拍手を送りたい。
※ゴールデン・グローブ(2007)アニメーション映画賞


337.キャスト・アウェイ('00)144分 米
遭難前は他人に情愛をもって接しなかった主人公が、只のバレーボールのために号泣する…この脚本には泣く!ハンクスの減量25kgもアッパレ。島に着いてからBGMが一切ないのが良かった。この作品にヒネリやオチは不要。そういう映画ではないと思う。(夜の鯨のシーンには思わず喚声をあげた)
※NY批評家協会賞(2000)男優賞


338.舞踏会の手帖('37)130分 仏

平家物語ではないけれど、諸行無常の響きあり、そんな感傷に浸った作品だった。
※ヴェネチア国際映画祭(1937)最優秀外国映画賞


339.クレイマー、クレイマー('79)105分 米
妻が去った直後は、父子でフレンチトーストを作ってグチャグチャになったのに、後半は完璧な連携で黙ったままフレンチトーストを作っている…ウルウル。メリルの気持ちは最後の方はかなり穏やかになっていたので、あの後、なんとか修復できないかな…。
※アカデミー賞(1980)作品賞、主演男優賞、助演女優賞、監督賞、脚色賞/NY批評家協会賞(1979)作品賞、男優賞、助演女優賞


340.大いなる幻影('37)117分 仏
戦争映画で味方と敵の間に友情が芽生えるという内容は、実に素晴らしい。この映画には格調の高さを感じた。
※NY批評家協会賞(1938)外国映画賞/ヴェネチア国際映画祭(1937)芸術映画賞


341.キング・コング('05)188分 NZ・米
ド迫力の映像にブッ飛んだ。ストーリーは最初から分かってるし、ロード・オブ・ザ・リング以来、どんな映像を観てもあまり驚かなくなったけど、それでも何度も座席から“腰が浮く”ほど映像にたまげた。前半の島を舞台にした恐竜メガ・バトル、後半のNYでの大暴れ、「ここまでするか!」という大噴火ぶり。しかもアクション・シーンだけじゃなく、コングが夕陽を見つめるシーンや氷上デートなど、詩的なシーンも入ってて大満足。特にクライマックスは高所恐怖症の人が見たら劇場から逃げ出すんじゃないかというくらい、モーレツに高さが伝わってきて目眩がした!特筆したいのがコングの感情豊かな顔!捕まったコングがNYでションボリしている表情に涙がにじんだ。ただし、虫が苦手な人はトラウマになるシーンの連続なので御覚悟。僕は虫が好きだけどあれはキツイ。
※アカデミー賞(2006)視覚効果賞、音響効果賞、音響賞

342.スナッチ('00)102分 米
登場人物の多いこと多いこと。しかも大量の伏線を張りながら物語を最後まで破綻させず、見事にまとめあげたガイ・リッチーの才能はさすが。前作「ロック、ストック…」のファンは辛口の評価をしているが、タランティーノがスランプの今、複雑なシナリオを軽いテイストで表現できるのは彼くらいでは?ブラピおいし過ぎ。

343.ロジャー&ミー('89)90分 米
若きマイケル・ムーアが荒廃した自動車産業界に突撃取材。GMの非情っぷりが浮き彫りに。このムーア監督が、後にオスカーやカンヌで絶賛され、ブッシュ&ネオコンに挑戦状を叩き付けるんだよなぁ。
※NY批評家協会賞(1989)ドキュメンタリー賞


344.アニー('82)127分 米
「トゥモロー」は名歌だね。この映画のヒットにより、日本でも舞台版が大人気に。


345.男たちの挽歌U('87)104分 香港
この映画の銃撃戦が、アクション映画の最高峰だといわれている。確かに4対200の戦いは凄絶だった。ただ、正義の主人公4人組は死んで欲しくないんだけど、あれだけハチの巣にされてもまだ生きてるっていうか、サワヤカに笑ってさえいるのは、あまりにもちょっとなぁ。


346.トラフィック('00)148分 米
派手な見せ場がない淡々とした犯罪ドラマ。それでいてこの高順位(283位はベスト1000だと高順位ッス)。麻薬問題を巡って3つの物語が同時進行し、それぞれが全く別作品のように撮影されており驚いた。麻薬汚染がテーマになっているが説教臭さはなく、それでいて良心の奥底に響くものがある素晴らしい脚本だった(ラストシーンの静かな余韻は一週間続いた!)。とにかく登場する全俳優の演技がうまい。中でもオスカーを獲ったベニシオ・デル・トロは立ってるだけで存在感がある10年に1人の逸材だ。
※アカデミー賞(2001)助演男優賞、監督賞、脚色賞、編集賞/ベルリン国際映画祭(2001)銀熊賞(男優賞)/NY批評家協会賞(2000)作品賞、助演男優賞、監督賞


347.世界最速のインディアン('05)127分 NZ・米
素晴らしき「オヤジのロマン炸裂ムービー」だった!主人公は63歳のスピード狂の爺さん、バート・マンロー(1899-1978)。彼は手作りの改造バイク(ベースは“骨董品”1920年型インディアン・スカウト)で世界最速記録を叩き出した伝説のライダーだ。元々は最高記録が時速87キロのバイクを“324キロ”が出るまで40年以上かけて改造した猛者!自作パーツはブランデーのコルクなど生活用品を再利用。車体を極限まで軽くし、彼が1967年に1000cc以下のクラスで樹立した大記録は、なんと40年経った今も破られていない。/ニュージーランド在住のマンローは、狭心症で倒れたことを機に余命の短さを感じ、死ぬまでに自作のバイクがどれだけ世界に通用するのか知りたいと思う。しかし、レース開催地のアメリカ(ユタ州ボンヌヴィル)は地球の裏側。年金暮らしなので渡米費用が無く、家を抵当に入れ借金し、友人たちからカンパをしてもらい、米国行き貨物船にコックとして乗り込み、様々なトラブルに遭いながらも執念で会場に向かう。審査員からは「時代遅れのポンコツ」と陰で馬鹿にされたが、彼は周囲の嘲笑などどこ吹く風で“インディアン号”をフルスロットルに…!

映画全体は前半がレース会場に到着するまでの様々な人間との出会いを描いたロードムービー、後半がライダーの聖地で記録挑戦という構成。この作品が観客から絶賛されているのは、スピードの限界に挑む迫力あるシーンだけでなく、どんな絶望的な状況でも明るくひょうひょうと乗り越えていくマンローの人間性にある。マンローは相手が誰であろうと心の壁を作らずありのまま受け入れ、困難の中にあってもユーモアを忘れず大らかに笑う。彼と出会った者は、他人には不可能としか思えない夢を追っている姿に感動し、みんな彼を好きになり応援したくなる。何か助けたくなる。人々の“夢を持つ人間がどこまでやれるか見たい”という気持は名作『ガタカ』に通じるものがあった。※一つの目標に向かって突き進む老人の姿は、観てるだけでこっちも発奮する。“負けてられない!”って元気が湧いてくる!

マンロー役を好演したのはアンソニー・ホプキンス。彼は「私自身は陽気な男なのに、依頼される役は『羊たちの沈黙』のレクターのようにサイコな役ばかりで閉口していた。マンローこそが本来の私の姿だ」。脚本は実際に生前のマンローを知るドナルドソン監督が執筆。実話なので派手な物語じゃあない。「もっと売れる脚本にしろ」という映画会社の要求を拒み、25年前に書いた脚本を執念で映画化させた。つまり監督もマンローなみの根性の男。様々なオヤジたちの熱い思いがこもった映画だ!「このマシンでスピードに挑む時は、5分が一生に勝る。一生よりも充実した5分間だ」(B・マンロー)。


348.ロード・オブ・ザ・リング('01)178分 NZ・米

3部作なのでストーリーそのものは完結せず中途半端なんだけど、それがマイナス要因にならないほど映像美が素晴らしい!あれは絶対に大きなスクリーンで観るべき。よくぞ作ったり、と拍手を送りたい。炎の悪鬼バルログにはマジで縮み上がった。優れた映像アトラクション。
※アカデミー賞(2002)撮影賞、作曲賞、メイクアップ賞、視覚効果賞


349.12モンキーズ('95)130分 米
僕はあえて犯人の哀しい動機に高順位を。身動きがとれぬほどグチャグチャに伏線が張られていて、久々に劇場に2度足を運んだ。(ブラピのオシリ、あれは一体なんだったんだろう、笑)


350.ひまわり('70)107分 伊
ソフィア・ローレンとマストロヤンニが好演。見渡す限りに咲き乱れるヒマワリが、あんなに悲しく見えるなんて。この映画を観るまでヒマワリは明るい気分で見てたのに…。叙情的な音楽が素晴らしい。


351.セブン('95)126分 米
スタッフロールが普通の映画とは逆に“上から下に”降りていくのは、人類の“地獄墜ち”を示唆しているという。デヴィッド・フィンチャー監督はこの映画の出来に満足しており、「あの作品の続編を作るぐらいなら、自分の眼球でタバコをもみ消されるほうがまし」まで言っている。異常事件というのに、画面上でほとんど血糊を使ってない点に好感がもてた。NY市立図書館&“G線上のアリア”のシーンもグッド。モーガン・フリーマン最高。
※NY批評家協会賞(1995)助演男優賞


352.三十四丁目の奇蹟('47)96分 米
サンタの存在をどう証明するのかと思ってたら、予想もしない角度から存在を立証!


353.ザ・シークレット・サービス('93)128分 米
犯人がいいヤツだったので、共感できる部分もあったり。ジョン・マルコヴィッチは上手いねぇ。“究極の選択”になった宙吊りシーンは映画史に残るだろう。


354.X-MEN ファイナルディシジョン('06)105分 米
3部作の完結編。原作コミックはアメコミ史上第1位のベストセラー。突然変異で超能力を持って生まれた人間(ミュータント)と、彼らを恐れるあまりに排除しようとする人類の衝突を描く。続編モノは1作目を超えられないとよく言われるけど、『ターミネーター2』『エイリアン2』『スーパーマン2』など健闘している作品も中にはある。でもこれらもまたパート3が駄作の烙印を捺される結果になった。それだけに『X-MEN』の第3弾は評価が高い前2作をさらに上回る良いデキで大満足!ミュータントには“人類を支配すべき”派と“平和共存”派がいて、このミュータント同士のバトルシーンがめっさエキサイティング。対決するまで相手の能力が分からないので、互いに「テメーの能力を見せな!」となる。彼らの能力は、天候を自由に操ったり、手先から炎を放ったり、周囲の大気を凍らせたり、磁力で鉄を動かしたり、触れるものを老化させたり…そう、まさに『ジョジョ』!敵が圧倒的に巨大なパワーを持っていても、頭を使って逆転したり、チームプレーで打ち倒すのも『ジョジョ』!しかも、この3作目の原題は『THE LAST STAND』。うおーッ、スタンドッ!!実写版のジョジョはずっと映像化不可能と思っていたけど、この映画のスタッフなら可能かも!
※ローグ役のアンナ・パキン、彼女は14年前に『ピアノレッスン』の子役でアカデミー助演女優賞(当時11歳)を獲った時は華奢な少女だったのに、今はガッシリ体型で面影が消えていた…。
※パート1と2を観ていることを前提に作られているので、まずはそちらを観てから3作目をレンタルしてね。
(以下ネタバレ文字反転)
クライマックス、闇の中で光に照らされて6人のX−MENが一列に並ぶカットは、あまりのカッコ良さに悶絶!また、サンフランシスコ決戦でゴールデン・ゲート・ブリッジを持ち上げてアルカトラズ島に投げつけるシーンのド迫力に唸った。エンディング後のシーンが意味不明の方の為に解説すると、前半でチャールズが学校の授業で“意識の無い患者に強い意識が外から入るのは倫理的な問題がある”と語っていたのが伏線。他者に意識を移して復活!

355.愛を読むひと('08)124分 米・独
ケイト・ウィンスレットが体当たり演技で熱演(彼女はどの映画も全力投球してるのが伝わってくる)。文字を読めない主人公が、小説を読んでもらって泣いているシーンが好き。
※アカデミー賞(2009)主演女優賞/ゴールデン・グローブ(2009)助演女優賞


356.マトリックス('99)136分 米
斬新でスタイリッシュな映像に拍手喝采!でも、あまりに簡単に人間を殺し過ぎ(仮想空間とはいえね)。悪役が殺されるのはまだ良いとして、職務に忠実であっただけの警官たちを虫ケラの様に殺しまくるのはいただけない。ビル1Fで全滅した警官隊なんかホント、マジで善良そうだったじゃん!
※アカデミー賞(2000)視覚効果賞、音響効果賞、音響賞、編集賞


357.愛と哀しみのボレロ('81)185分 米
「人生には二つか三つの物語しかない。しかし、それは何度も繰り返されるのだ。その度ごとに初めてのような残酷さで」(ウィラ・ギャザー)。この言葉から物語の幕が開く。いろんな人間の人生が交錯しながら、最後にジョルジュ・ドンのボレロに繋がっていく脚本に感服。


358.フェイク('97)126分 米
マフィアとはいえ、ミジメでせこいA・パチーノが思い出し涙を誘う。最期の小物入れの場面について、誰かと語り合いたいよー。観たあとジワーッときた。


359.第三の男('49)105分 英
暗がりからチラッと見えたオーソン・ウェルズのイタズラ坊主のような目が印象的。観覧車内の会話「スイスの平和は時計を生んだだけ」に考えさせらた。でも、戦争で発展するより平和で停滞してる方が断然良い。
※アカデミー賞(1951)撮影賞/カンヌ国際映画祭(1949)グランプリ


360.スモーク('95)113分 米・日本
作曲家のJ・S・バッハはタバコの煙や灰に人生をなぞらえこんな詩を書いた。『煙』--パイプをくゆらし時を過ごせば/悲しい灰色の絵に思いが及ぶ/自分がパイプと同じだと気づかされる/かぐわしい煙の後は灰が残るのみ/この私も土にかえるのだ/灰色の絵は崩れ落ちて2つに割れ/私は己の運命の軽さを思う--。バッハは時間と共に消えゆく煙、崩れる灰に一生の儚さを見たのだろう。

映画『スモーク』の舞台はニューヨーク・ブルックリンのタバコ屋。大都会の片隅で交錯する人々の人生を“かぐわしい煙”として愛を込めて描いた傑作で、全編が優しさに満ちている。これほどゆったりと時間を過ごせる作品はあまりない。イブシ銀の名優ハーヴェイ・カイテルの他に、ウィリアム・ハート、フォレスト・ウィテカーという2人のオスカー男優も登場する豪華キャスト。俳優はどこまでも自然体で、会話には絶妙な“間”があり、台本のセリフを聞いている気がしない。

主人公はタバコ屋の親父オーギー(ハーヴェイ・カイテル)。人情味のある人柄で常連客は彼を慕ってやってくる。映画は全5章で構成されており、第1章からいきなり名エピソード。オーギーには風変わりなライフワークがあった。毎朝店の前にカメラの三脚を立て、8時ちょうどに街角を1枚撮影するというものだ。14年前から雨の日も雪の日も欠かさず続けており、写真の数は既に4千枚。この撮影があるので、店は年中無休だしバカンスにも行かない。ある日、馴染みの作家ポールがレジの横にあるカメラを見つけたことから、オーギーは撮りためた写真を初めて人に見せる。半ば呆れるようにポールがアルバムをめくっていると、「ゆっくり見なきゃダメだ。でないと何も見えない」とオーギー。「なぜ?全部同じ場所だよ?」「同じようで全部違う。四季の日差し、平日、週末。通行人の新しい顔が常連になり、古い顔が消えていく」。静かにタバコをくゆらすオーギー。しばらくしてポールが息を呑んで手をとめた「エレンだ…」。ポールは数年前に妊娠中の妻を強盗の流れ弾で失っていた。「そう、奥さんだ。エレンの写真はまだ何枚かある」「僕が愛したエレン…」。顔を覆ってむせび泣くポールの肩に、オーギーは黙って手を置いた。

その後の章でも、ポールが出会った黒人少年の父親探し、オーギーの元恋人と薬物中毒の娘を助ける話、一人一人の物語が胸に染み込む。映画はやがてクリスマスを舞台にした素晴らしいラスト・エピソードに。

【ネタバレ文字反転】
エンディング曲のトム・ウェイツの歌声が流れる中、スタッフ・ロールの背後でオーギーの思い出話が描かれる。14年前、万引き犯の若者が逃走中に落とした財布を、オーギーは免許証の住所まで届けてやった。家にいたのは盲目の老婆だけで、しかもドア越しの声を孫と勘違いしていた。「クリスマスだからお前が必ず来ると信じていた」と言われ、人違いと言えないオーギー。抱き合って頬を寄せた時に、老婆は別人ということに気づくが、“たとえ嘘でも幸せな時間を”と2人は最後まで祖母と孫を演じきり、ささやかなクリスマス・ディナーを食べた。数ヶ月後に再訪すると、老婆はもう住んでおらず他界したようだった。これを聞いた半信半疑のポールにオーギーは言う「秘密を分かち合えないで友達と言えるか?」「そうだな、それが生きていることの価値だ」。2人はタバコをくゆらし最高の笑顔で見つめあう。

※オーギーが18年ぶりに再会した昔の彼女ルビーは片眼を失っていた「いいのよ、あんな眼…どうせ酷いものしか見て来なかったんだから」。このセリフからもどんな辛い体験をしてきたかは想像に難くない。麻薬中毒の娘を助けるため、実娘じゃなかったとしても大金をカンパしたオーギーがカッコ良い。ルビーは心底から喜んでたよね。ルビーは“間違いなく本当の娘”と嘘をついて娘を救い、トーマス(ラシード)は2つの偽名で父親(サイラス)に接近し、オーギーも孫と嘘を言ってお婆さんの最後のクリスマスを幸福なものにした。僕らは“嘘=悪”と教えられてきたしそれは正論であるけれど、人間は誰もが強いわけではないし、ちょっとした嘘で今日を何とかやり過ごしたり、結果的にそれが真の幸せに繋がったりする。老婆が“孫じゃない”と気づいた時に一瞬見せた不安な表情が、嘘をついた相手を恐れるのではなく、静かな笑顔に変わったシーンは鳥肌モノだった!

僕らは“嘘=悪”と教えられてきたしそれは正論であるけれど、人間は誰もが強いわけではないし、ちょっとした嘘で今日を何とかやり過ごしたり、結果的にそれが自分も他人も笑顔になる真の幸せに繋がったりする。小さな優しさが人を救い、孤独な魂はスモークのように大気の中で混じり合っていく。綺麗事ばかりではなく人間の自分勝手さやマイナス面も描いているのに、見終わると温かな感情が全身を満たす。大人の為のおとぎ話のようでもあり、いつまでも作品世界に身を浸したくなる映画だ。ベルリン国際映画祭・特別銀熊賞を受賞。

※作品は第1章ポール、第2章ラシード、第3章ルビー、第4章サイラス、最終章オーギーという5つのパートに分かれている。
※大切なのは話が事実かどうかではなく、一人でも信じる者がいる限り物語には意味があるということ。
※「今日は誕生日だ。今日まで生き延びたことを祝おう」、このセリフを17歳で言うのがユーモアだね。
※最後にかかった渋い曲はトム・ウェイツの『Innocent When You Dream』
※DVDの日本語吹替えが非常に良い!字幕で情報カットされている会話が山ほどあり、ストーリーがいっそう深く味わえる。字幕「今日はクリスマスだから」→吹替え「あんたがクリスマスにエセル婆ちゃんを忘れる訳がない」、これくらい情報量が違う!字幕では最後まで名前は出て来なかったもんなぁ。あと、葉巻事件の後でトーマスが謝罪した時、吹替えではポールが憮然とするオーギーに対し「こいつ(トーマス)に何か良いこと言ってやれ」と諭している。オーギーとしては文句が言いたいのに、“何か良いこと”を言わなきゃならない。その前の「俺はクレイジーだぜ」「知ってるよ。顔にネオンサインみたいに書いてある」のジョークと合わせて、オーギーの怒りはスッと消える。親友ならではの最高のセリフだね!

 
361.アパートの鍵貸します('60)125分 米
ジャック・レモンが底なしのお人好しを演じ、随所で思わず同情。ハッピーエンドで良かった。
※アカデミー賞(1961)作品賞、監督賞、脚本賞、美術監督・装置賞、編集賞/ヴェネチア国際映画祭(1960)女優賞/NY批評家協会賞(1960)作品賞、監督賞、脚本賞


362.天井桟敷の人々('45)195分 仏
ラストの群衆…人の波にあんなに絶望を感じたことはなかった。ナチ支配下で撮影されたというのが凄い。
※ヴェネチア国際映画祭(1946)特別賞


363.マジェスティック('01)153分 米
ジム・キャリーが挑んだのは、第2次大戦後のハリウッドに吹き荒れた“赤狩り”(思想狩り)の被疑者という、実にシリアスな役柄。まさに一世一代の熱演だった。「戦死者が命懸けで守ろうとしたアメリカは、こんなアメリカじゃない。言論の自由を守らねば、彼ら(戦死者)は犬死にだ!」に胸が詰まった。


364.真実の瞬間('91)104分 米
上記の「マジェスティック」同様、戦後ハリウッドの“赤狩り”を描いた社会派ドラマ。公聴会のシーンで、デ・ニーロの熱演に引き込まれた。


365.ヒア アフター('10)129分 米
監督イーストウッド、製作スピルバーグという豪華な顔合わせ。10万人を超える犠牲者を出した2004年のスマトラ沖地震や翌年のロンドン地下鉄爆破テロなど、実際の出来事を絡めながら“来世”を語った作品。リアリズム指向のイーストウッド監督が、主人公が霊媒師のオカルト・ファンタジーを撮るとは想像もしなかった。とはいえ、宗教色は極力排され、あくまでも霊界との通信は“いかに生きるべきか”を描くための一つの切り口として登場する。作品全体から感じるものは監督の優しさ。
【以下ネタバレ文字反転】
形見の品(帽子)を肌身離さず持っている弟に、あの世の兄が「いい加減にその帽子を脱いで自分の人生を歩め」と諭すシーンはグッと来た。また、他人の過去ばかり見てきた主人公が、最後に自分の未来を考えることが出来る相手と巡り会えたのも良い。泣ける。イーストウッド監督はもう80歳なので、現実問題としてもう何本も撮る時間が残っていない。慎重に脚本を選んでいるはず。「死後の世界があるかどうか、真実は誰にも分からない。ただ、人は与えられた人生を精一杯生きるべきだと、僕は常に信じている」(イーストウッド)。
※ちょうど東日本大震災と上映時期が重なり、劇中の津波シーンがあまりにリアル過ぎたことから本作は公開打ち切りになった。地上波でオンエアされることはないだろう。もし、津波にのまれるということが全く想像できないために、被災地のことが遠くの他人事になっているのであれば、この映画の該当映像(2分51秒)を見る意味はあると思う。


366.八日目('96)118分 ベルギー・仏
激務でボロボロのサラリーマン・アリーと、施設を抜け出したダウン症の青年ジョルジュの友情物語。当初はジョルジュをお荷物だと感じていたアリーだが、物語が進行するにつれジョルジュの存在が精神的な柱になっていく。2人が森の中で寝転び、1分間黙ったまま鳥の声や風の音を聴くシーン、あれは映画史上に残る名場面だ。
※カンヌ国際映画祭(1996)男優賞


367.インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア('94)126分 米
ちょっと点が高いかもしれないけど、でもいい。美には勝てぬ。男の僕がレスタトに見とれてしまったのだ。個人的には事件だった。


368.ストーカー('79)160分 ソ連
ここでいう“ストーカー”は“案内人”という意味。謎の立ち入り禁止区域「ゾーン」をめぐるミステリー。


369.マディソン郡の橋('95)135分 米
減点するところが1ヶ所もなく満点に。M・ストリープは神がかり的な演技 だったし、脇役の成長した子どもたちがこれまた良かった。雨に打たれたイーストウッドのワカメ髪に哀愁を感じた。


370.ローマの休日('53)118分 米
オードリーは大好きだし、この映画は物語の展開がうまく、とても楽しい作品だというのも分かる。だけど、人間は生まれた土地、家、民族に関係なく誰しも平等な存在ではないのか?多くの映画本で読者アンケートの人気No.1の作品となっているので、あえてこの順位にしてみた。“天は人の上に人を作らず”だ。
※アカデミー賞(1954)主演女優賞、原案賞、衣装デザイン賞/NY批評家協会賞(1953)女優賞

371.ベンジャミン・バトン 数奇な人生('08)167分 米
主人公は80歳の老人として生まれ、だんだん若返っていくという荒唐無稽なストーリー。設定だけ聞くと「アホな」「馬鹿馬鹿しい」ってなるけど、最新の映像技術とブラッド・ピットの名演で、観る者をグイグイ引き込む。この超設定で、男女の恋愛を描くんだから、製作者の想像力には頭が下がる。ベンジャミンが惚れた女性は老いていき、彼は赤ん坊になっていく。2人の生涯が真に交差するのは、精神と肉体が一致し、人生の中間地点となる40代。しかし、不思議な生涯を歩むのは主人公だけじゃない。脚本が『フォレスト・ガンプ』のエリック・ロスだけあって、周囲の人物描写が光っている。人間は皆1人1人が“数奇な人生”を送っていることが伝わってきた。3時間かけて淡々と話が進むのに飽きさせない。
ストーリーの本筋とは関係ないところでハラリと泣けたりするんだけど、40代になって確実に涙もろくなっているのは、出会ってきたいろんな人が銀幕の人間と重なるのと、体力の衰えや死のことを考える機会が増えたからか。とにかく、この手の「大河人生もの」はヤバイ。でも、この涙は流して嫌な涙じゃない。
【以下ネタバレ文字反転】
ラストにベンジャミンが出会ってきた人々が次々と映し出されるシーンにやられた!人生を教えてくれた船長、ロシアで会った水泳選手、ピアノのお婆ちゃん、育ての母…。みんな少しでも自分の心に正直に生きようと頑張っていた。セリフがなくても目を見るだけでウルウルっと…。
※アカデミー賞(2009)美術賞、視覚効果賞、メイクアップ賞


372.トレインスポッティンング('96)93分 英
なんか、観ているこっちまでドラッグ漬けになりそうだった。


373.幸福('64)80分 仏
恋愛ホラー。この『幸福』という恐ろしい恋愛映画を撮ったのは女性だという。実際、男性の監督には、こんなに寒い結末の映画は作れないだろう。(その勇気がない)
※ベルリン国際映画祭(1965)銀熊賞

374.カッコーの巣の上で('75)129分 米
ジャック・ニコルソンなればこその名演技。婦長さんが怖すぎる。
※アカデミー賞(1976)作品賞、主演男優賞、主演女優賞、監督賞、脚色賞/NY批評家協会賞(1975)男優賞

375.ビッグ・フィッシュ('03)125分 米
大人のための素晴らしいファンタジー。この映画は、平凡に思える日常生活でも、少し見方を変えるだけで愛と冒険に満ち溢れた人生に変わることを教えてくれた(“人生をいかに楽しめるか”というのも才能だと思った!)。荒唐無稽なホラ話が美しい映像と俳優の名演で綴られ、場面が変わる度に僕は絵本をめくっている気分になった。とても丁寧に作られているのが魂レベルで観客席に伝わってきた。心のこもった映画を見るのは実に気持ちの良いものだ!

376.ミッション('86)126分 英
南米のインディオが侵略者の白人たちに滅ぼされていく辛い映画。インディオ側に立った白人宣教師たちが、白人の軍に戦いを挑むクライマックスにジーンときた。
※アカデミー賞(1987)撮影賞/カンヌ国際映画祭(1986)パルム・ドール

377.マクベス('71)146分 英
「人生は動く影、所詮は三文役者。色んな悲喜劇に出演し、出番が終われば消えるだけ」。壮大なゴシック建築のような重厚さ。最後の獅子奮迅はBGMを排し臨場感たっぷり。


378.ハート・ブルー('91)121分 米
逃がしたくなる気持ち、分かるなぁ。僕も叫びながらカラ撃ちしてたと思う。


379.ユリシーズの瞳('95)177分 仏・伊・ギリシャ
霧の中の銃声がトラウマになりそう。あのハーヴェイ・カイテルの号泣…男の号泣を見たことがない女性は、すごいものを見てしまったっていう感じじゃないかな…。
※カンヌ国際映画祭(1995)審査員特別グランプリ、国際映画批評家連盟賞


380.赤ちゃんに乾杯!('85)107分 仏
主演の3人が良いキャラしてる。赤ちゃんもカワイイ。


381.遠い夜明け('87)158分 英
反アパルトヘイト映画。ビコの墓参りがしたい!


382.カプリコン1('77)129分 米
この映画を観ると“マジで月に行ったの?”って心の片隅で思っちゃうよね(汗)。


383.荒野の七人('60)128分 米
「俺は自分に借りがあるんだ」というセリフが好き。一度戦いから逃げてしまった男が、自分に借りがあるからもう逃げないという言葉だ。借りの相手が他人ではなく自分ってのがカッコイイ。


384.ヒトラーの贋札('07)96分 独・オーストリア
ナチスが英国経済の混乱を狙った史上最大の贋札事件「ベルンハルト作戦」を描いた実 話。ユダヤ人強制収容所(ザクセンハウゼン)に極秘裏に設置された贋札工房に、ベテランのユダヤ人印刷工や彫金師が集められ、ポンドやドルの贋札造りを命 じられる。完璧な贋札の偽造に失敗すれば処刑、成功すれば敵に協力することになる…この矛盾を抱え、極限状態で苦悩するユダヤ人たち。本作がユニークなの は聖人君子を主人公にするのではなく、戦前から贋札造りを生業にしていた犯罪者にしたこと。悪党なりに美学と良心を持ち、頭の回転も速く不敵。この小悪党 を演じたカール・マルコヴィックスの渋い演技に引き込まれた。素晴らしい役者。
※実際に1億3200万ポンドが 印刷され、これは英国の外貨準備高の4倍に相当した。
※アカデミー賞(2008)外国語映画賞


385.白夜('57)107分 伊
ドストエフスキーの名作中編を映画化。失恋経験のある男性はハマるはず。主役はもっと華奢(きゃしゃ)な方がイメージにあってた。
※ヴェネチア国際映画祭(1957)サン・マルコ銀獅子賞


386.トワイライトゾーン('83)101分 米
4編のSFオムニバス映画。差別主義者を演じたビッグ・モローがナチ支配下のユダヤ人やKKKにリンチされる黒人の立場になった話、そして高所恐怖症の男が飛行機でモンスターを目撃する話が印象的。第2話はスピルバーグが担当。


387.ドゥ・ザ・ライト・シング('89)120分 米
監督は若きスパイク・リー。舞台はニューヨークの下町。人種差別に対する怒りが、イタリア系、アフリカ系、韓国系などの間で爆発する社会派ドラマ。映画が発するエネルギー量が膨大。オスカーの壇上で、別の映画に出ていたキム・ベイシンガーが「ドゥ・ザ・ライト・シングが無冠であることが信じられない」的なことを言っていたのが印象的だった。


388.ブロークバック・マウンテン('05)134分 米
20年以上にわたる男同士のラブ・ストーリー。といっても、2人とも根っからのゲイではなく、結婚予定の恋人もいる。ただ純粋に、友情が進展して愛し合ってしまう。こんなふうに文章で書くと、“いくら親友になったからって恋には進まんだろう”って思うだろう。でも、この映画はそれを違和感なく見せてくれる。孤独な魂を抱えた2人が雄大な自然の中で心を解放した結果“そうなってしまった”ことを、僕は当たり前のように受け入れることが出来た。異性を愛するのは、時に物凄くエネルギーを使うことで、それがしんどくなった時に同性にいくってのは分かる(同性は楽だもんね)。社会の偏見を恐れ、何年も他人に恋を隠し続けるその苦しさは、アカデミー賞でも共感を呼んだ。
※アカデミー賞(2006)監督賞、脚色賞、作曲賞/ヴェネチア国際映画祭(2005)金獅子賞/NY批評家協会賞(2005)作品賞、男優賞、監督賞


389.ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔('02)179分 NZ・米
ド迫力のオープニングの戦いでイッキに引き込まれたが、その後やや中だるみが続き、ぶっちゃけ“この第2部は第3部を盛り上げる為の息抜きか?”と心配したが、それは杞憂だった。後半の巨大クライマックスは、これまでに観たどの映画よりもスケールが大きかった!もう圧倒されて言葉も出ない。人間がここまですごい映像を作れるのかと仰天の連続ッ!考えてみれば途中の中だるみだって、クライマックスにリアリティを持たせるために、物語世界へじっくりと観客を浸していく必要なプロセスだという気がする。「子供の頃に読んで心に残った物語は、以前はなぜ胸に響くのか分からなかった。今なら分かる。彼らはどんなに壁にぶつかっても、決して引き返さなかったからなんだ!」このセリフに泣いた。
※全く違うジャンルの映画だけど『ガタカ』を思い出した。
※アカデミー賞(2003)特殊効果賞、音響効果賞

390.マンハッタン('79)96分 米
ラストシーンがとても良い。人を信じなくちゃね。
※NY批評家協会賞(1979)監督賞

391.鏡の中にある如く('61)91分 スウェーデン
映画で描かれた神との対話シーンをリアルに感じたのはこの作品が初めて。
※アカデミー賞(1962)外国語映画賞

392.大人は判ってくれない('59)97分 仏
僕は海を初めて見た時の記憶がないので、この映画の主人公のように、もの心がついてから見に行きたかったな。きっと、水平線に圧倒されていたと思う。
※カンヌ国際映画祭(1959)監督賞/NY批評家協会賞(1959)外国映画賞


393.ダウンタウン物語('76)93分 英
キャストが全員子どもという異色のギャング映画。大人の女性顔負けの演技をしていた少女ジョディ・フォスターが、後半のパイ投げ合戦でバカ笑いしていて、“子どもはこうでなくては”となんか安心した(笑)。


394.ブレイブハート('95)177分 米

戦闘シーンは超必見!あれほどリアルな戦闘シーンを俺は他に観たことがない。なんたって剣と斧の時代だから、その緊張感たるや…。本作でメル・ギブソンはアカデミー監督賞を受賞しており、イーストウッドやケビン・コスナーのように俳優出身でありながら監督としての名声を手にした。
※キルトがスコットランドの民族衣装扱いされるのはもっと後の時代らしい。
※アカデミー賞(1996)作品賞、監督賞、撮影賞、音響効果賞、メイクアップ賞


395.ひとりぼっちの青春('69)120分 米
見終わった後の疲労感がハンパなく、そこがまた良かった。時代が生んだ傑作青春映画。
※アカデミー賞(1970)助演男優賞


396.フライング・ハイ('80)88分 米
超シュールなコメディ。パイロットが食中毒で倒れるコント場面に抱腹絶倒。海草まみれになる“地上より永遠に”とか、次々と登場する映画のパロディが可笑しい!映画ファンなら100倍楽しめマス。


397.未来世紀ブラジル('85)143分 英・米
カーニバルのサンバ音楽と秘密警察の拷問シーンが頭の中で混じりあって、三半規管がおかしくなった。もし3回連続で見せられたら間違いなく発狂する。


398.恋人たちの予感('89)96分 米
「一日の最後に喋りたくなるのは君だ」は名セリフ。それにしても、お店であんな声を出しちゃ、そりゃ周囲は凍りつくよ(笑)。


399.ジュラシック・パーク('93)127分 米
ただ単に恐竜が動いているということだけで、自然に涙があふれてきて止まらなかった。いつかこんな映画を観られる日がくるとずっと信じていた。ラストシーンは不完全燃焼だったけど、それでもやはり野郎として高得点を与えずにはいられない。巨大スクリーンで観るべき映画。
※アカデミー賞(1994)特殊視覚効果賞、音響効果編集賞、録音賞


400.地獄に堕ちた勇者ども('69)155分 伊・西独・スイス
ヘームルト・バーガーの白痴美を堪能。ナチの粛清シーンは臨場感あって怖かった。




★次へ(401位〜) ★タイトル編

1〜100位  101〜200位  201〜300位  301〜400位 401〜500位
 501〜600位  601〜700位 701〜800位 801〜900位 901〜1000位
 次点1001位〜


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