愛国心について僕が思うこと
2006.12.20
06年12月15日、いわゆる“愛国心条項”を盛り込んだ改正教育基本法と防衛省昇格案が同じ日に可決された。僕は採決の前に「もっと慎重に審議すべし」とする意思を明確に表明するべきだった。より深く中身を問うべきだった。では、なぜハッキリ書かなかったのか。それは、僕自身に賛否両方の気持があったからだ。 ●日本文化の魅力を伝えることに大賛成 改正教育基本法に反対する平和団体等のサイト等を見ると、「条文の“我が国と郷土を愛する態度を養う”という部分が愛国心の強制になる」と強調している。しかし、改正第2条5項の全文は『伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと』というものだ。僕はこの『他国を尊重し』という一文に感銘を受けたし(これがあるとないとで全然違う!)、歌舞伎、お能、浮世絵、和歌、俳句、邦楽など、日本文化を熱愛する自分としては、これらを後世に伝える為にも『伝統と文化を尊重し』に大賛成だ。『国際社会の平和と発展に寄与する態度を養う』、これも大いに結構! “愛国者”を自認する若い子と話したりブログを見ても、日本固有の芸術や古典文学に関する話が殆ど出てこないことが最近気になっていた。話題は他国の悪口ばかりで、万葉集の好きな歌や、お気に入りの浮世絵、日本画、歌舞伎俳優や能楽師の話で盛り上がらない(っていうか通じない)。寺や仏像の話も同じ。 しかし、これは役人や政治家も同様だ。“20世紀最大の発見”と言われる高松塚古墳の国宝壁画が、大量発生したカビでボロボロになったことについて、文化庁は温暖化が原因としていたが、実は防護服未着用(あり得ない!)の工事によってカビが侵入したり、電気スタンドを倒して壁画が傷つくなど、信じ難い初歩的ミスによる「人災」であったことが今年発覚。文化庁の役人に愛国心があるなら、国民の文化財を命懸けで保護して欲しい…! 政治家は汚職と決別して役人の天下りを廃止するなど税金の無駄遣いをやめ、日本美術の展覧会や国宝の公開は無料にするなど、もっともっと文化振興に金を回せと言いたい!古典芸能の入場料金を誰もが気安く鑑賞できるように、映画並みの値段にすべく目的を絞った補助金を増やすとか、常に上演されている歌舞伎小屋を地方に建てるとか(今、常に公演しているのは東京の歌舞伎座だけ)、本気で日本文化を愛している所を見せて欲しい!(黒澤映画は全部レンタルをタダにすべし)。 子どもたちに対して『伝統と文化を尊重し』と言う以上、政府がいかほどに「日本文化LOVE」を示してくれるのか、僕は大いに期待している。元々大陸と切り離された島国であり、徳川300年の鎖国もあってガラパゴスのように独自文化が発展した日本には、オリジナル性に富んだ素晴らしいアートが山ほどある。 ※友人いわく「君はある意味“極右”やな。日本美術や古典芸能の魅力をいつも吠え、古代の天皇の古墳によく墓参しとるから」だって。なるほど(笑)。 ●愛国心を“評価”したり、国家が強制することには反対 じゃあ、ここまで言ってどうして改正案に素直に賛成できないのか。ズバリ、愛国心の数値化と拡大解釈への不安だ。既に今年上半期の時点で、「国を愛する心情」を通知表に盛り込んでいる公立小学校が全国に出てきている(A〜Cの3ランクに分けている学校が多い)。改正前でもそうなのに、改正後はこの流れが加速するのは目に見えている。安倍首相は愛国心について「子どもたちの態度を“評価”するのは当然だ」と国会で答えた。しかし一体どうやって愛国心をランクづけするのだろう?国家を大声で歌ったとか、国旗に最敬礼をしたとか、与党を批判しないとか、毎日「I LOVE 日本」のTシャツを着てるとか、そんなチェック項目を作っているのか?大声で国家を歌わなくても愛国心の強い者もいるし、上辺だけの“態度”の評価に何の意味があるのだろう。 心情の数値化なんて、どう考えても愛国心を履き違えてる。“愛国心”と、政府を愛する“愛政府心”は違う。愛国心があるからこそ、祖国をより良い方向にしたくて政府を批判するわけで、国が嫌いな訳じゃあない。 ●拡大解釈への懸念 国旗・国歌法は「日の丸」「君が代」を単に国の歌、国の旗と認めるだけで義務・罰則規定は含まれていない。1999年に成立した際も、「内心にまで立ち入って強制はしない」と政府は繰り返し答弁した。しかし04年の卒業式・入学式で東京都教育委員会は全教職員に対し、「壇上の国旗に向かって起立し国歌を斉唱せよ」という通知を出した。そして違反者を摘発するため全式場に教育委員会の職員を配置し、各教師を番号付きの座席に座らせたうえで監視した。その結果、「君が代」斉唱に従わなかった約300名が大量に処分された(戒告処分なら実に200万も減収=30代)。 そして今年、都教委は各校長に生徒への「適正な指導(起立斉唱)」を徹底するよう“通達”を出した。以前の「通知」(=指導して下さい)が「通達」(=指導せよ)という職務命令となった。 子ども達は優しい心を持っているから、“僕が起立しないと先生が処分されてしまう”と考えて起立する。結局、学校式典での国歌斉唱・起立が事実上強制されてしまった。今回の改正でさらに圧力が強まる可能性が大きい。 僕は国旗や国歌を否定している訳ではない。ただ、過去の戦争を通してこれらに抵抗を感じている人が“歌わない”と選んだ時に、(他人の斉唱を妨害していないのに)処分してまで強制するのは間違っていると思うんだ。憲法では、思想・良心・信仰の自由を保障している。だから、教師は斉唱を指導出来ても強要は不可能。つまり、斉唱を徹底出来なかったことを理由に教師を処分することは憲法違反だ。 斉唱するしないは生徒の「心の問題」。「心の問題」は小泉前首相が他者は介入できないと常々語っていたもの。もしも心の自由が不要なら、そんな人は言論の自由がない近隣の独裁国に住めばいい。海を渡れば売国メディアはゼロ、謝罪外交もなく、全国民が為政者を賛美する究極の愛国主義国家が待っている。 ※04年秋の園遊会で東京都教育委員の米長邦雄棋士が「日本中の学校に国旗を揚げ、国歌を斉唱させることが私の仕事でございます」と述べた所、天皇陛下は「(学校現場で)くれぐれも強制にならぬようにお願いします」と異例の発言をされたことを付け加えておく。 ●タウンミーティングのやらせ〜政府の工作が発覚 改正案への不信感を倍増させたのは各地で開催されたタウンミーティング(TM)の“やらせ質問”事件だ。TMは教育基本法について幅広く国民の意見を聞く場なのに、反対派の人間を故意に抽選で落として参加させなかったり(出席者の思想を事前に調査!)、あらかじめ質問者や質問内容を決め、座席まで指定して議論の流れを改正賛成に誘導させ、やらせ質問者には報酬を払っていた(もちろん税金から)というトンデモ事件。この問題は同法の国会での集中審議が終わってから調査報告が発表された。僕は国会の会期末にこんな大事件が発覚した以上、TMはやり直さねばならないし、今国会での採決は消えたと思っていた。ところが与党は「一定期間の審議時間が経過した」と可決してしまった。 ●愛国心は悪ではない、しかし政治家が“愛政府心”に利用するのは悪 なぜそんなに法律化を急ぐのか。歴史上の為政者は国民に不満が溜まってくると、愛国心や外国への敵対心を煽って不満をそらしてきた。今の日本政府がそんな古典的な手法を選ぶとは思えないけど、現実問題として04年の統計では「全世帯の約3分の1が年収300万円以下の生活」を送っており、4分の1の世帯は貯蓄ゼロ、自殺者は年間3万人強、失業者313万人、フリーター417万人とあり、格差社会は深刻化している。ところが、政府はこれを解決する具体案を出せないばかりか、大企業の利益優先、福祉の切捨てを続けている。こうなってくると、今後増えるであろう国や政治への不満を、愛国心で抑え込みたいのかと思ってしまう。 僕は日本が大好きだ。学校では愛国教育を受けなかったけど、めちゃくちゃ愛している。それは胸を張って世界に誇ることが出来る日本文化を知っているからだ。ゴッホもルノワールも浮世絵を愛してやまなかった。しかも、優れているのは古典芸能だけじゃない。スピルバーグは「クロサワは映像のシェイクスピアだ」と絶賛し、この国はマンガの神様・手塚治虫を生んだ。そして、宮本茂は現代ビデオゲームの父として新しい娯楽を世界に創造した。経済でも日本製品の優秀さ勤勉な国民性として受け止められている。 愛国心とは自然に湧いて来るもの。他人に強要される時点で、資本主義国家であろうと社会主義国家であろうと、それがイビツな事になぜ気づかないのか。そんな教育は自国中心主義を招くだけ。そもそも、法律で強制しなければ芽生えない愛国心に価値はあるのか。 政府は国民がおのずと愛国心を持てる様な良い政治をすれば良い。国が国民の為にしっかりと仕事をすれば自然と愛国心が育つ。その努力もせず一方的に愛国心の強要をするから反感を生む。こんな条文にすれば“日本は政府が強制しないと国民から愛されない国です”と世界に触れ回るようなものじゃないか。 数年前まで学校で愛国心が評価されるなんて考えられなかった。財政赤字が700兆円なのに役人や政治家の官製談合、贈賄、裏金作りのニュースは後を絶たない。今回のスピード採決は、政治では愛される国づくりができないから、教育を使って手っ取り早くイージーに愛国心を叩き込もうとしているようにも見える。「政治家と役人には服従しろ!」と、権力者が人々を支配する道具に愛国心を使うのではと心配している。 これらの懸念が全部「な〜んだ、心配し過ぎだったなぁ」となればいいけど、愛国心=愛政府心とする政策に抵抗する人間が処罰される時世になった時、「これは06年12月15日に、大人たちの無関心&無批判が招いた結果だ」と後世の人々から糾弾されないよう、僕らは政府の動向を注視し続けなければいけない。 ※一般的に保守論客は「強い日本」を唱える一方で社会的弱者に冷たい。「福祉の充実や人権を主張する奴はサヨク」と、障がい者にさえ自業自得と言わんばかりだ。基本的に富裕層は保守派が多い。保守が目指すものは従来の社会制度の維持であり、つまり自分の権益=既得権を守り続けられる社会を求めている。現在の弱者が優遇される世の中は、それだけ富裕層は自分が食べるパイが減るわけだから、そのような社会を望むわけもなく、ゆえに保守は弱者に冷たい。 一般国民は漠然と「愛国心を持つことは良い事」と思っているけど、保守支配層が“愛国心教育”で引き合いに出す“国”とは、「彼らにとって都合のいい国」だし、“国体を守る”の意味は、彼らに都合のいい支配体制を守り維持することだ。貧困層も含めた“すべての日本国民”の幸せを願ってるわけではなく、そのような愛国精神に騙されてはダメだ。僕は心底から日本を愛しているけど、僕の愛国心は保守富裕層の既得権を守るための愛国心ではない。 ●追記〜提言 (家庭教育について) 政府は改正第10条で家庭教育の充実を呼びかけている。大賛成。でも、実際問題として親が多忙過ぎて愛情を注ぐ時間が足りない。 日本 年間勤務時間 1800時間(残業なし)、2300時間(2時間のサビ残含む、真実の数字) アメリカ 年間勤務時間 1800時間 イギリス 年間勤務時間 1650時間 フランス 年間勤務時間 1550時間 ドイツ 年間勤務時間 1450時間! オランダ 年間勤務時間 1390時間!!※オランダは残業させること自体が違法。 多くの日本人にとって2時間の残業なんてザラ。その場合は2300時間になり、ドイツ、オランダ人の約1.6倍、1000時間以上も働きまくっている日本人。1000時間といえば、1日8時間労働で125日分=4ヶ月に相当する。同じ人間の人生なのに、彼らは年間に4ヶ月も多く余暇を持っている!そしてちゃんと生活も出来ている。フランスの食糧自給率は驚異の130%だ(日本は40%)。我が国はGNPが世界第2位で大企業は史上空前の黒字なのに、庶民の貧困層は増える一方。こんなに働きづめでどうやって親子で旅行したりゆっくり会話できるというのか。 子どもは大人社会を見て育つ。労働環境の異常さをこれ以上放置してはいけない。政府・経団連が推し進めているホワイトカラー・エグゼンプション(労働時間規制の撤廃)などもってのほか。大人が毎年3万人も自殺する弱肉強食の社会を、もっと優しさのある社会に変えていかねば。イジメ問題の解決策は「相手の立場になって考える想像力を育む」ことしかないのに、“勝ち組”になることが目標の殺伐とした社会では、他人の心の痛みを考える気持の余裕はなく、教育基本法の文言を幾らいじっても非情な社会に子どもの心は押し潰されてしまう。
●検証〜「大東亜戦争はアジア独立に役立った。日本は戦争を行なったが領土的野心はなかった」というのは誤った分析 アジア諸国は日本が負けたから独立できた。あのまま戦争を継続していたら、以下の「大東亜政略指導大綱」のように帝国領土に編入されていた。 〔1943.5.31天皇列席の御前会議で決定された「大東亜政略指導大綱」から〕 大綱6(イ)…「マライ」「スマトラ」「ジャワ」「ボルネオ」「セレベス」は帝国領土と決定し、重要資源の供給地として極力これ開発並びに民心把握に努む。 ※「マライ」は現マレーシア、シンガポール。 ※「スマトラ」「ジャワ」「ボルネオ」「セレベス」は現インドネシア。 このように、日本政府はフィリピンとビルマの独立を容認する一方で、マレーシア、シンガポール、インドネシアという重要な資源地帯を日本領に組込むこと(領土併合)を、御前会議まで開いて決定している。 ではなぜフィリピンとビルマに限って独立を許したのか?フィリピンは先に占領していたアメリカが既に独立を約束していたので、“解放戦争”という大義名分のためにも、アメリカが約束した期日よりも早く独立させるしかなかった。 ビルマの独立を認めたのはインドに対する戦略的な工作だ。インドの隣国ビルマを独立させることで、インドが英国相手に行なっていた独立運動が激化するという打算があったからだ。しかし、この日本の下心はガンジーに見透かされていた。
日本政府は台湾や朝鮮など古くからの植民地を“解放”しようと一度も考えなかったことから、アジア独立の意思があったとは到底思えない。対米開戦に踏み切る前に政府が考えていたアジア政策は、占領地の住民を労働力として動員し、占領地で生産された食糧を日本軍が徴発するというもの。大本営は南方軍政が占領地の住民に“重圧”を及ぼすことを予想していたので、“重圧”は「これを忍ばしめ」(=耐えさせる)と打ち捨てている。そして「アジア解放」というバラ色の宣伝をやりすぎると現実とのギャップが大きくなるので、あまり宣伝しないようにあらかじめ決めていた。 〔開戦前の方針〕 南方占領地行政実施要領(1941.11.20 大本営政府連絡会議決定) 第1 方針 占領地に対しては差し当たり軍政を実施し治安の回復(独立運動の弾圧)、重要国防資源の急速獲得及び作戦軍の自活確保に資す。 第2 要領 7.国防資源取得と占領軍の現地自活の為、民政に及ばささるを得ざる重圧はこれを忍ばしめ、宣撫(せんぶ、民族解放の宣伝)上の要求は右目的(重圧)に反せざる限度に止むるものとす。 8.原住民に対しては皇軍に対する信頼感を助長せしむる如く指導し、その独立運動は過早(かそう)に誘発せしむることを避けるものとす。※当面独立運動は抑えておけということ。 「国際ルールを守らない」と非難され逆ギレして国連脱退→ルールを守らない国とは貿易しない、として石油止められる→逆ギレして太平洋戦争 ●アジア各国は「日本のおかげで独立が早まった」と感謝している? 以下は大型掲示板でよく見かけるコピペ。 ★インドネシア モハメッド・ナチール元首相 「アジアの希望は植民地体制の粉砕でした。大東亜戦争は私たちアジア人の戦争を日本が代表して敢行したものです。」 「大東亜戦争というものは本来なら私達インドネシア人が、独立のために戦うべき戦争だったと思います。もしあの時、私たちに軍事力があったなら、私たちが植民地主義者と戦ったでしょう。大東亜戦争はそういう戦いだったんです。」 ★インドネシア アラムシャ 元第3副首相 「我々インドネシア人はオランダの鉄鎖を断ち切って独立すべく、350年間に亘り幾度か屍山血河の闘争を試みたがオランダの狡知なスパイ網と強靱な武力と苛酷な法律によって圧倒され壊滅されてしまった。それを日本軍が到来するや、たちまちにしてオランダの鉄鎖を断ち切ってくれた。インドネシア人が歓喜雀躍し感謝感激したのは当然である。」 ★インドネシア ブン・トモ 元情報相 「我々アジア・アフリカの有色民族はヨーロッパ人に対して何度となく独立戦争を試みたが全部失敗した。インドネシアの場合は、350年間も失敗が続いた。それなのに、日本軍が米・英・蘭・仏を我々の面前で徹底的に打ちのめしてくれた。我々は白人の弱体と醜態ぶりをみてアジア人全部が自信をもち、独立は近いと知った。一度持った自信は決して崩壊しない。そもそも大東亜戦争は我々の戦争であり、我々がやらねばならなかった。そして実は我々の力でやりたかった。」 こうした言葉を根拠に「あれは良い戦争だった」と右派はいう。だが、彼らはサンフランシスコ対日講話条約締結(1951年)における、アジア各国首脳の発言を直視しようとしない。 ■パキスタン チャンドリイ・モハメッド・ザフルラ・カーン外相 「四年になんなんとする間に、日本の侵略の潮はアジア各国に放火と殺戮(さつりく)とを齎(もたら)したのであります。その潮がやっと堰(せ)き止められ遂(つい)に押し返されました。その跡に残りましたのは、荒廃した土地、打ちひしがれて、困苦、貧窮、屈辱に喘ぐ人々でありました。最も耐え難ったのは屈辱、人間の尊厳に対する暴行侮辱でありました。遂にその終末が参りました。そしてその幕切れはまったく突然でありました。日本の占領すなわち死の苦しみに対する熾烈(しれつ)な記憶は依然として消えずしばしば悪夢となって蘇ってくるのであります。それが生き残った者の状態であります。彼らは甘んじて許しも致しましょう。又努めて忘れようとさえ致しましょう。しかしあの無残な、苦難の下に生命を失った人々は何となりましょうか。この人々を忘れ、この人々に代って許すということは一層難しいと思われるのであります。」 ■インドネシア アーマド・スバルジョ外相 「日本人による占領期間中にインドネシアが被った損害は二重であります。第一に、約四百万名の人命の損害があり第二には数十億ドルの物質的損害があります。私はここでその数字を述べることは差し控えましょう。何故ならそうすることはこの会議の主旨にそわないでありましょうから、しかし私の政府は、具体的事実と数字をつかんでおり、それらを適当な時期に適当な場所で提出するでありましょう。」 ■フィリピン カルロス・P・ロムロ外相 「私は、ここで、日本の最も近い隣国の一つであり、不釣合いに重大な破壊を受け、日本のために損害を受けた国を代表して述べているのであります。千八百万の人口のうち、われわれは百万以上の生命を失いました。生命の損失の他に我が国民は未だに癒されない程深い精神的傷手を蒙(こうむ)りました。四年間に亘る野蛮な占領と侵略者に対する不断の抵抗の後、我が国民経済は完全に破滅し去ったのであります。フィリピンがその地域と人口に比して、アジアで最も大いなる惨禍(さんか)を受けた国であるということは意義を挟む余地のないところであります。」 ■ベトナム トラン・バン・ヒュー首相 「ヴェトナムは、アジア全民族中物資的のみならず、その人民の生命においても最大の戦禍を蒙ったものであることは誰しも否めないところであるからであります。そして占領の悲劇的環境が悲惨な結果に陥し入らしめた幾多ヴェトナム人に対し私が今日敬虔(けいけん)な思いを致さなかったならば、私は我々の死者に対する追悼の義務に欠くることなるでありましょう。我が国の蒙った物質的損失もこれに劣らず甚大であり、且つ我が経済は、今もなお困苦の裡(うち)にあります。道路、橋梁(きょうりょう)は、断たれ、村々は、破壊され、病院、学校は、損失を蒙り、港湾、鉄道は、爆破された。すべては再建させなければならず、しかも不幸にも我々が現在可能以上の資源を必要としております。」 ■ラオス サヴァン首相 「長い長期の戦争であり、そのぜい弱な資源を挙げて侵略者に抗戦したラオスは、その土壌、遺跡及びその建物に関して被害を蒙(こうむ)ったのみならず、その経済的及び道義的組織も、侵略者の課しうるすべてのものによって被害を受けたのであります。しかしながら、解放以来、ラオスはその痛手から回復し、その民主的制度はラオスをして最も進歩した国の中に列せしめたのであります。すなわち、戦争の犠牲者として、ラオスは今日自由にして且つ、民主的国家群の中にその地位を占めたのであります。」 ■カンボジア フレング外相 「極東における穀物、魚類、木材、家畜、ゴムの主要生産地の1つであるがゆえのその極めて重要な経済的潜勢力とともに、その地理的戦略的地位のために、我が国もまた、真っ先に日本によって占領されたのであります。この事のために、我が国は、今次大戦によって最も大きな被害を受けたという悲しむべき栄誉を持つ国にその名をつらねているのであります。公的私的財産の受けた大きな被害、長期にわたる占領、日本派遣部隊に対する我が国経済の犠牲による扶持(ふち)、国土の三分の一の数年にわたる毀損、これらは、要するに我が国の上にふりかかった禍(わざわい)であります。」 親日派が多いとされるインドネシアの教科書には以下の記述がある。 「日本は戦時下にインドネシアを占領した。経済諸資源は、戦争が必要とするものを支援するために動員された。そして、その行政管理の担い手は軍人たちだった。それゆえ、日本による占領期間は短かったとはいえ長期にわたったオランダ時代に受けたよりも遥かに重い苦しみをインドネシア国民は体験することとなった」 http://www.geocities.jp/indo_ka/buku_pelajaran/bahasa_jepang2.html 本当に日本がアジア諸国の独立を支援したのなら、独立の恩人=日本に感謝する為の祝日を、どこか1国でも制定してよさそうなもの。だが、そんな話は聞いたことがない。
●なぜ明治天皇による『軍人勅諭』があるのに、「生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪過の汚名を残すこと勿れ」で知られる戦陣訓を作る必要があったのか? 戦陣訓の作成に関わった白根孝之(陸軍の精神教育班)はこう語る。 --昭和12年(1937)に支那事変が始まってから、日清日露の戦争では見られなかった戦場での軍規、風紀の乱れが目立ち、「非違犯行」がかつてないほど増大していった。「非違犯行」というのは、上官暴行、戦場離脱、強姦、放火、略奪など不道徳、不真面目なもので、軍上層部の方でも何とか手を打たなくてはならないと真剣になっていて、担当の教育総監部、陸軍省軍務課が、部内における軍規、風紀粛清の仕事にとりかかったのである。(文芸春秋臨時増刊「太平洋戦争日本陸軍戦記」1971年4/10発行) ●検証〜「ユダヤ人を助けた杉原千畝リトアニア副領事のように、日本は人種差別に反対していた。アジアで平等を実現しようとしていた」とする意見について 「八紘一宇」は“天皇の下ですべての民族は平等”という理念だが、『宣戦ノ詔書』には「八紘一宇」の言葉は出て来ない。台湾や朝鮮の住民はほとんど無権利状態で、地方行政に参加する選挙権もなければ、代表が帝国議会に議席を占めることはなく、一方で義務として徴兵まで課せられた。同じ皇民というが、実際には朝鮮人を半島人、中国人をチャンコロと呼び、決して同等の者として扱わなかった。 右派は白人帝国主義による人種差別主義を批判しているれども、1936年に防共協定を結び、1940年に軍事同盟を結んだドイツこそ、人種差別主義の最たる例。人種差別に反対するならドイツと手を切らねばならぬはず。 ※杉原千畝は後に訓令違反で外務省から処分され退職に追い込まれている。つまり日本政府の方針ではなかった。 ●日本軍が隠したかった毒ガス戦 日本軍は日中戦争において北支那方面軍の「晋南粛正戦」から毒ガス兵器(あか筒・あか弾)を使い始めた。「武漢攻略戦」(1938)では少なくとも375回の毒ガスを使用している。1939年以降は、修水渡河作戦、新墻河渡河作戦、奉新附近の戦闘、大洲鎮附近の戦闘、華南の翁英作戦、宣昌攻防戦などで毒ガスを使っている。翁英や宣昌ではきい剤(イペリット)が使われた。もしも連合国にこれらの毒ガス攻撃がバレると、今度は日本軍が毒ガス兵器の的になる恐れがあったので、当初この事実はひた隠しにされた。ちなみに、毒ガス攻撃は天皇の裁可を得て発せられている。(詳細リンク)
●中国へのODA(政府開発援助) これはもう必要ないと思う。中国は日本が実現していない有人宇宙ロケットの打ち上げに成功しており、膨大な額のアメリカ国債を買い入れている。経済規模から言っても、対中国ODAは役目を終えたといっていい。 ※ネットでは「村山政権や細川政権は安易に中韓の謝罪を受け入れ多額の賠償金(ODA)を支払った」という意見を見るけど、それは完全にデマ。この表を見れば一目瞭然。細川内閣〜村山内閣の93-95年の対中国円借款の額は、他の突出した年よりも少ないくらい。88年の竹下内閣、96年の橋本内閣は1500億円オーバー、97年の橋本内閣、98年の小渕内閣、00年の森内閣に至っては2000億円超えの過去最高レベルで推移している。※細川内閣は1387億円、村山内閣では1400億円ちょい。 ●60年安保闘争について かつて、団塊の世代はなぜ大規模な安保反対運動をしたのか?岸首相(安倍首相の祖父)の実像と共に、その理由を簡単にまとめた。 (1)岸首相が強行可決のために警官500人を国会に投入して野党議員を排除した非民主的な政治手法への抗議 (2)まだ終戦から15年しか経っておらず「米軍基地の固定化に繋がる」「安保は日本をアメリカの戦争に巻き込む」と反対 (3)あの無謀な戦争に突入した東條内閣の大臣であり、A級戦犯容疑者である岸首相に対する反感(国土を廃墟にした責任を少しでも感じているのなら表舞台に出てくるなという怒り) (4)東久邇・片山・石橋という三人の元首相が、岸首相へ退陣勧告をしたことを無視したことへの不満 (5)岸首相がデモ鎮圧に暴力団(松葉会、錦政会、住吉会)などの反社会的団体や、右翼連合組織(新日本協議会、全日本愛国者団体会議、日本郷友会他)、右翼“宗教団体”会員を導入したことが、市民の怒りにさらに火を付けた。※しかも、ヤクザを雇う金は米国政府、CIAが約8億円(今の43億円相当)も出していたとのこと(wikiより)。 僕は岸首相を全否定するのではなく、功績として安保改正時に、在日米軍基地使用に事前協議を必要とさせたこと、米国による日本防衛義務を明記させたこと、条約の期限を“10年ごとの見直し”とさせたことを高く評価している(不平等条約の改正)。しかし、新安保調印で岸首相が渡米した際に交わした密約には、「朝鮮半島有事の際は、米軍は日本政府に無断で日本の基地を使用可能」「核兵器を日本に持ち込む時に事前協議は必要なし」という驚愕の内容も含まれており、さらに米国による対日工作の公文書が公開されたことで、裏取引の出来レースだった可能性が発覚し、その「功績」もちょっと微妙に…。開戦時の商工大臣だった岸首相が3年の刑期で釈放されたのは、GHQの情報機関(G2)が岸氏の早期釈放を勧告した結果だ(この釈放からたった9年で首相となったのも、あまりにトントン拍子すぎ)。NYタイムズ(94.10/9)は岸政権時代の自民党に数百万ドルの資金(選挙資金?)がCIAから渡ったというスクープを報道しており、両者の蜜月ぶりが垣間見える。
●戦前の児童教育・個人崇拝
・学校では毎日全体朝会がもたれ、君が代斉唱のもとに「宮城(天皇がいる所)遥拝」が行われた。
・天皇・皇后の写真「御真影」は、校舎外に作られた「奉安殿」に安置されていた。「奉安殿」は登下校の児童や一般人の礼拝対象だった。
・祭日や君が代斉唱に国旗掲場や教育勅語の朗読が加わった。これらの儀式には町村長や地域の名士が参加。号令で黙祷が始まると、燕尾服に身を包み白手袋をつけた校長が「奉安殿」の扉を開け、教育勅語を取り出して朗読。
・1933年頃、沖縄本島南部の第一大里小学校長が、御真影の件で責任をとり、割腹自殺をはかった。それくらい校長にとっては責任の重いものだった。
・学校は「国体の本義」と「臣民の道」を子どもに徹底させることが目標。国体の本義とは、「万世一系」「忠君愛国」「義勇奉公」の3つ。教育勅語の精神をいかに徹底させ得たかが、教師の評価となった。
・天皇制教育は食事の面にまで及び、「薯とらば天地御代(あめつちみよ)の御恵み君と親との御恩味わえ」(これからいただくものは天皇陛下のお恵であるから、天皇陛下と親に感謝していただきます)の歌を歌った。
「昭和の戦争を振り返ると、日本人には“起こって欲しくないことは起こらない”と勝手に思い込むところがある。集団催眠のような状態だ」(半藤一利)作家 (注)僕はいかなる政党、政治思想団体、市民団体、宗教団体にも属していません。単純に「何があったか」、事実を知りたいだけです。 〔各種参照資料〕 15年戦争資料@wiki…史料の原文リンクなどが充実。 戦争犠牲者数…様々な元資料をまとめている。力作。 日本兵の6割が餓死…補給のことを全く考えていないずさんな作戦計画。“あの戦争は仕方なかった”論は、こんないい加減な戦略を立てた軍首脳の責任をうやむやにしてしまう。 台湾人を抑圧…結果的にチャンネル桜が日本人による台湾人差別(2等国民)を炙り出す。「チャンコロといっていじめられた」「配給は日本人が白砂糖で台湾人は黒砂糖だった」「日本人の教授から“台湾人はくさい”といっていじめられた」「(医大生時代に)日本人の助教授は台湾人の患者を見向きもしなかった」「日本人は差別とか侮辱とかやっていた」「日本やアメリカでがーがーいってる台湾人(金美鈴?)、名前は言いませんが、なんで台湾帰ってこないんだ、台湾帰ってきて民族運動やれといいたい。向こうに籍があるんだから台湾人じゃなくて日本人なんだよ」。台湾が親日なのは、日本が50年統治(1895〜1945)した後に入って来た蒋介石と国府軍の統治が酷すぎたから。台湾には「犬(日本)が去って豚(国民党)が来た」という言葉がある。台湾人が「日本のおかげで発展した」というのは良い。でも日本が「我々の台湾を“発展させてあげた”」といえば傲慢になる。 「ネットで真実を知った!反日教師やマスコミに騙されていた!」と叫びつつ、別のものに騙されることがないように。 ・デマの検証サイト一覧…民主党、蓮舫、辻元清美、アグネス・チャン関連のデマがやたら多い。 ・「マッカーサーですら大東亜戦争は自衛のための戦争と認めた」は保守派の嘘…原文では失業対策など経済問題が戦争行為の理由と言っている。 ・パチンコ『おぼっちゃまくん』…小林よしのりの矛盾。 ・ネット右翼の書き込み活動…この人、AM5時〜6時以外、常に書き込み(コピペ)続けているのか…。この集中力と持続力を汚職官僚や悪徳企業の批判、脱原発、パレスチナ難民など海外で不当に抑圧されている人の救済活動に向けてくれたらなぁ。 ・ネトウヨだったころの黒歴史を語れ…「ブサヨは休日や夜になるとわらわら沸いてくる。平日の昼間はサヨがいなくなるからそれまで寝てるのがオススメ」。何の疑問もなく書き込めるところに温度差が。
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《ひたすら皇室を貶める“明治天皇の玄孫”竹田恒泰について》 “明治天皇の玄孫”という肩書きを前面に出してヘイトスピーチを繰り返す竹田恒泰氏(39)の言動は目にあまる。僕は基本的に政治家=社会的強者しか批判しないけど、デマを流したり人種差別を煽動する人物は別。 竹田恒泰氏の二次加害発言は枚挙にいとまがないけど、その中でも最も酷いと感じたのがリンク先のツイート「韓国が慰安婦の像を作るなら、日本は、嘘をつく老婆の像でも作ったらどうだ?口をとがらせてまくしたて、片手には札束を握りしめて、ゆすりたかりをしている感じで」。 慰安婦の悲しい運命を知っていれば、人間としてこんな発言が出来ないはず。知っていて書いているのなら正気とは思えない。竹田氏は今春、慶応大の非常勤講師をクビになった。憲法学の重鎮で保守派改憲論者の小林節・慶大名誉教授でさえ匙(さじ)を投げたのだ。 小林氏いわく「彼の天皇に関する様々な論考を見て、憲法学について勉強させるために講師にしましたが、その肩書が営業の看板に使われた。注意をしても『はい、分かりました』と言って無視をする。反省を望みましたが、あまりにもみだらな話がたくさん出てきて、そういうときに慶應の講師なんて肩書が使われて、ぞっとします。だから私が定年退職する際に、“おちゃらけタレント”みたいになった竹田君も一緒に慶應から消えてもらったんです。このような状況の原因を作ったことを恥じています」(「週刊文春」5月8日/15日号 )。 かつて竹田氏は「(女性宮家問題について)私は旧皇族の男子30名以上の方に会って意見交換をしています」と『新潮45』(2012年3月号)で語ったが、旧皇族男子=1947年10月14日の皇籍離脱まで皇族だった人物は、2012年時点で65歳を超えており、伏見宮博明王(伏見家)、邦昭王(久邇家)、北白川宮(北白川家)、文憲王(賀陽家)、宗憲王(賀陽家)、健憲王(賀陽家)、邦英王(東伏見家)、誠彦王(朝香家)、恒正王(竹田家)、恒治王(竹田家)、信彦王(東久邇家)、俊彦王(東久邇家)の12名しかいない。12名でどうやって「旧皇族の男子30名以上の方に会って意見交換」ができるのか。僕のような素人でも少し調べれば簡単に分かるウソを、臆面もなく世間に向けて語っていることに目まいすら覚える。 ※竹田家は存命の恒正王、恒治王が旧皇族だけど、竹田恒泰氏の父親で2020年の東京五輪組織委員会理事の竹田恆和(つねかず)氏は、竹田家が皇室を離れた翌月に生まれているため1秒たりとも皇族ではない。つまり、子どもである恒泰氏は旧皇族でさえなくただの民間人。「殿下」「殿下」と取り巻きが持ち上げている様子に“殿下じゃないよ、みんなと同じだよ…”と脱力。 |