最新文芸情報


2002.11〜12

 12月31日〜今年の映画おさめ!『たそがれ清兵衛』『マイノリティ・レポート』を観に大晦日の劇場へ。どちらも1年のラストにふさわしい実に“映画らしい映画”だった。『清兵衛』は出世欲のない一人の侍の人生を、“幸不幸を決めるのは本人だ”という視点で描いていおり、胸に沁み入るセリフが多かった(前の座席の老夫婦はえらい泣いていた)。『マイノリティ…』は未来社会の映像がともかく圧巻!最初から最後まで、完全に作品の中でひとつの世界を作っていた。後半は少しダレかけたが、それでもたたみかける様なストーリー展開は、さすが御大スピルバーグ。1分1分の映像に莫大なお金が注ぎ込まれているのが分かる、なんとも贅沢な2時間20分だった。両作品とも“必見”とまでは言わないが、映画代のモトは間違いなくとれるオススメ映画。//今年一年、HPに遊びに来ていただき有難うございました!来年も当サイトをよろしくお願いしますッ!良いお年を!
 12月30日〜洋画の傑作『明日に向かって撃て!』『スティング』『ガープの世界』『スローターハウス5』のジョージ・ロイ・ヒル監督逝く。西部劇、スポ根もの、SF、ラブ・ストーリー、どのジャンルでも良質な作品を残した稀有な監督だ。素晴らしい作品群をありがとう!
 12月29日〜日米のディズニー・ストアで大異変。くまのプーさんの人気がミッキーマウスを上回った。キャラクターグッズの売り上げで、半世紀以上トップに君臨していたミッキーからその座を奪ったのだ。多くの人が癒し系のプーさんを求めているのだろう//このまま行くと元旦にちょうど10万件をヒットしそう!こんな偶然ってあるんだねぇ。
 12月28日〜今年公開された邦画『KT』をレンタル。久々に硬派で骨太な日本映画を味わえて嬉しい。軍事独裁政権だった’73年当時の韓国で、権力に真っ向から反旗を翻していた金大中氏が、東京滞在中に拉致され暗殺の危機に直面した実話の政治サスペンスだ。猿ぐつわを咬まされ、ボコボコに殴られている人物が、事件の25年後に大統領に登りつめ、さらにノーベル平和賞まで受賞するなんて、歴史というのは本当に分からないものだ。(劇中で氏が足を引きずっているのは韓国政府の拷問の後遺症)//昨夜の『芸術に恋して!』の第九特集。まったく作曲の動機が説明されなかった。スカスカの1時間に唖然。
 12月27日〜緊急告知!本日深夜24時15分NHKの『ピースフル・トゥモローズ』は必見!9.11で肉親を失いながらも報復攻撃に反対し続ける遺族たちのドキュメンタリー!先日BSで放送されたものを見たけど、ホント良かった!遺族がアフガンに飛び、米軍による誤爆の被害者と会う場面は胸が詰まり、たまらなかった。
 12月26日〜現在刊行中の週刊『日本の美をめぐる』について読書ガイドをアップ//本日届いたコンピューター・ウイルスは11通!メルマガを発行してネットにアドレスが流れてるから?最新ワクチンで対抗してるけど、こう多くてはかなわーん!
 12月25日〜クリスマスを記念してジョン・レノンの名曲『ハッピー・クリスマス』の歌詞を激紹介!今からちょうど30年前、1972年の作品。3分30秒の世紀の大傑作!→『ハッピー・クリスマス』♪ハッピー・クリスマス、キョーコ!(ヨーコの声。キョーコは前夫との娘)ハッピー・クリスマス、ジュリアン!(ジョンの声。ジュリアンは前妻との息子)/さあ、今宵はクリスマス 一年が過ぎ去ってまた新しい年が始まるね 君にとって今年はどんな一年だった?/今宵はクリスマス みんな楽しんでるかな 親しい人たち 愛しい人たち 老いた人たち 若い人たち/ベリー・メリー・クリスマス そしてハッピー・ニュー・イヤー 来年が何の不安もない良い年になるよう祈ろうじゃないか/今宵はクリスマス 弱い人たち 強い人たち 金持ちの人たち 貧しい人たち 世界はこれでいいとは思わないがともかくハッピー・クリスマス/肌の黒い人たち 白い人たち 黄色い人たち 赤い人たち さあこの辺で争いをやめようじゃないか/ ベリー・メリー・クリスマス そしてハッピー・ニュー・イヤー 来年が何の不安もない良い年になるよう祈ろうじゃないか/今宵はクリスマス 一年が過ぎ去りまた新しい年が始まるんだ 僕らにとって今年はどんな一年だったろう? ともかくハッピー・クリスマス みんなが楽しい時を過ごせたらいいな/親しい人たち 愛しい人たち 老いた人たち 若い人たち/ベリー・メリー・クリスマス そしてハッピー・ニュー・イヤー 来年が何の不安もない素晴らしい年になるよう祈ろうじゃないか/もし君がそう望めば戦争は終わるんだ 今すぐに戦争は終わるんだ! ウォー・イズ・オーバー、イフ・ユー・ウォント・イット ウォー・イズ・オーバー、ナウ!
 12月24日〜先日のNHK・ベートーヴェン特集は丁寧に生涯を調べあげた素晴らしいものだった!見逃した方の為に、以下に内容を要約します→ベートーヴェンが生きていた頃のウィーンでは、皇帝がフランス革命の影響を恐れ、王政や身分制度に反対する者を次々と秘密警察に逮捕させ、大弾圧を行なっていた。平民出身のベートーヴェンもまた平等な社会を求め、危険思想の持ち主ということから当局にマークされる。彼は手紙に、“自分の思想を大声で話せない。そんなことをすれば、たちまち警察に拘留されてしまう”と書き、筆談帳にはレストランでの友人との次の会話が残っている。“ご注意下さい、変装した警官が様子をうかがっています”そして彼は言論の自由のない社会への抵抗と、自由・平等・博愛の精神を込め、反体制詩人シラーの詩にメロディーを付けた。それが第九である。「♪引き裂かれた世界を汝(市民)の力が再び結び合わせ、その優しい翼を休めるところ全ての人々は兄弟となる」当局の検閲を怖れた彼は、第九の歌詞を秘密にして初演に挑む。権力側から危険人物とされた作曲家のコンサートにもかかわらず、初演には大勢のウィーン市民が足を運び、演奏後は何度もアンコールの喝采が続いた。5回目の喝采の時、劇場に潜んでいた当局が民衆を制止する。当時、皇帝への喝采は3回と決められており、それ以上は不敬罪となるからだった。ベートーヴェンが亡くなった時、彼の葬式には、集会の自由が制限される中2万人もの市民が参列したが、宮廷からは一輪の花も一人の弔問もなかった---。
 12月23日〜ウオーッ!ミレーの3大名画(晩鐘、落穂拾い、羊飼いの少女)が来春やってくる!素晴らしい!こんなことがあっていいのだろうか!?…だがしかし、東京オンリー(涙)。上京するしかない。えーい、こりゃ久しぶりに東京でアートツアーだね!
 
12月22日〜レンタル映画を5本立て。まず昨日レンタル開始の『アイ・アム・サム』。最近観た映画の中ではズバ抜けて良かった。知的ハンディを持つ父親が男手ひとつで女の子を育てる物語。安易な(あざとい)お涙頂戴映画ではなく、作り手の誠実さが伝わる質の高い作品だった。とにかく主役のショーン・ペンと子役の少女の演技が上手い!神がかってさえいた。BGMはビートルズ・ナンバーのオンパレード。見始めてわずか5分で早くも首まで濡れてしまっていた。現実は甘くないと思うけど、親子愛を偽善と呼んでハスに構えたくない。う〜ん、これは子どもが欲しくなるなぁ(それも女の子!)。『エトワール』はパリオペラ座バレエ団のドキュメンタリー。稽古の場面が見れるのは貴重だが、舞台シーンが短い上に中途半端でストレスが溜まった。『ノー・マンズ・ランド』泥沼のボスニア紛争を描く。国連軍の兵士が言った“戦争に中立はない。殺戮が始まったら傍観も加勢と同じだ”は重かった。『アザーズ』丁寧に作られた正統派ゴシック・ホラー。謎が解き明かされるクライマックスはめちゃくちゃ緊張した。『息子の部屋』では“人生や世間ともっと気楽にかかわれば良い”というセリフが心に残った。
 12月21日〜ブルボンのお菓子“チュエル”(コンビニ価格148円)のあまりの美味しさにクラッときた。チョコクレープクッキーなんだけど、ココア生地の中にまろやかなミルクチョコが流し込まれ、そのトロけ具合が昇天寸前。最近のお菓子の最大のヒット。もう芸術!//絶版になった幻の超熱血傑作野球マンガ『逆境ナイン』を文章で完全再現、HPにアップした!「勝てるか勝てないかの問題じゃない…絶対に無理でも勝たなければならないんだ!!」「井の中の蛙、大海を知らず…確かに蛙は大海を知らなかったかもしれない。だが、“通用しなかった”とは言ってない!!」など炎の名セリフがオンパレードのこの作品は、現在逆境状態にある全ての者の必読書。生きるパワーがみなぎってくるッス!(主人公は全力学園の不屈闘志!)
 12月20日〜先日、とてつもなく貴重な体験をした。国際宇宙ステーションの建設風景を、各国の宇宙飛行士が撮影した作品『スペース・ステーション3D』を観たのだ。これはCGナシ、特撮ナシ、全てが実写。しかもなんと立体映像なのだ!ほんとに自分が現場にいるようで、眼下に地球を見ながらの建設作業は大感動だった!上映終了まであと10日。まだ観てない人は急ぐべし!詳細はこちらに書きました。
 12月19日〜今日出会った良い言葉---「最初の一日か二日は、みんなが自分の国を指していた。三日目、四日目は、それぞれ自分の大陸を指さした。五日目にはみんな黙ってしまった。そこにはたった一つの地球しかなかった」(サウジアラビアの宇宙飛行士)
 12月18日〜このページのタイトル横で本を読んでるグルミット。彼の登場する新作映画『ウォレスとグルミットのおすすめ生活』がもうすぐ公開される。2分間のショート・エピソード6本立てとのこと。全部足しても15分に満たないのは残念だけど、7年ぶりの新作なのですっごく楽しみ!
 12月17日〜日本で公開されるやいなや、全国のネコ好きを狂喜させたというロシア映画『こねこ』をレンタル!迷子になったやんちゃなトラ猫・チグラーシャが、飼い主一家と再会するまでの冒険を描く。猫は自由気ままで演技指導が絶望的に難しいと言われているが、猫の調教師の第一人者アンドレイ・クズネツォフが準主役の俳優として出演しており、猫との縄跳びやダンスを披露していた。氷点下のモスクワをさまようチグラーシャに胸がキュン。これはネコ好きにはたまらんわ。
 12月16日〜京都・南座へ歌舞伎を観に行く。四代目尾上松緑の襲名披露だ(歌舞伎発祥400年の記念でもある)。襲名の口上では東西の歌舞伎役者の大物が一斉に揃い、まさに壮観の一語に尽きた。市川団十郎、尾上菊五郎、中村鴈治郎、片岡仁左衛門、坂東三津五郎ら大ベテランが、27歳の松緑のハレの舞台を皆で祝っている姿にジーンときた。松緑の“鳴神”はユーモアありアクションありで、一瞬たりとも目が離せなかった。“勧進帳”はこれを十八番にしている団十郎の至芸が見られて良かった!!
 12月15日〜宮崎駿監督の次回作は04年夏に公開されることが決定!英国の人気児童文学「ハウルの動く城」が原作で、科学と魔法の冒険ファンタジーになるとのこと。“動く城”の映像はド迫力なものになるらしい//今夜の『そして音楽が始まる』。「第九は聴く歌じゃない。自分で歌う歌だ」が、印象的な言葉だった。僕も全く同感だ!
 12月14日〜毎火曜夜NHK教育の『宇宙から見る生命と文明』はスケールがでかい。前回は地球の未来を解説して興味深かった。これから太陽はどんどん膨張し、明るく、巨大に→地球の地表温度が上がる→海の水の蒸発が多くなる→雨の量が多くなる→大気中の二酸化炭素は雨に溶けて降ってくるから大気中の二酸化炭素の量が減少→植物が光合成できなくなる。で、5億年先に生物は絶滅。20億年先に海が蒸発、50億年先の地球はドロドロに溶けてガスとなり宇宙から消滅するとのこと。クラクラするね。
 12月13日〜う、うーむ…ホット・コーラは、やめといた方が良い。加熱すると炭酸が消え、恐ろしい未知の味になってしまった。というか、これが本来の味ということか。美味しいと感じていたのは、炭酸で味覚がマヒしていたのか!?
 12月12日〜料理もまたアート。今日、オリジナルメニューを開発した。その名も納豆チャンプルー!豚肉、ニンニクの芽、もやし、ニラ、エノキ、しめじにカツオだしをかけて炒めた後、豆腐と納豆を入れて(元々は同じ大豆!)、最後にごま油で香りをつける。めちゃうま&栄養満点なので試してミソ!(キムチをトドメに入れるのもいいかも)
 12月11日〜ソマリアの内戦に介入する米軍やPKO部隊を描いた映画『ブラックホーク・ダウン』をレンタル。米軍は内戦の混乱を収束させるという人道的軍事介入と捉え、ソマリアの民兵は内政干渉だと考える。互いに大義名分があり、そこに武器があるから人は話し合わずに殺し合う。結局、人間の心の弱さにつけ込む、武器を作る奴が一番悪い!米兵約20名の戦死者はその死が重みを持って描かれていたが、ソマリアの民兵千人の死は数字だけで片付けられていた(まるでゾンビ扱い…)。米軍が民兵のボスを倒したところで、別の人間が新たなボスになるだけ。この戦いに意味はない。とはいえ、観客に映画を観ている事を忘れさせるような、徹底的にリアルな戦闘描写は特筆に価する。近年の映画にない緊張感を味わった。
 12月10日〜熱狂的ファンの多いマンガ家・川原泉の『笑う大天使(ミカエル)』全3巻を読む。名門女学校の異端児三人衆の武勇伝だ。メインの3人(コロボックル様、オスカル様、ケンシロウ様)はそれぞれの個性が上手く描き分けられ、良くキャラが立っており、当作が大人気というのが分かった。脇役も“紫の上”“白薔薇の君”“桔梗(ききょう)の宮”“沈丁花(じんちょうげ)さん”など、名前だけでインパクト絶大。お菓子の説明も「“優雅さ”を“気品”と“威厳”でサンドイッチにして“高貴さ”でコーティングしたエンゼル・パイ」と楽しい。また、これだけキャラがいつも何か食べているマンガもあまりない(笑)。そして3巻目の切ない物語、テディ・ベアのルドルフ!あれにはウルッときた…。※ただ、2巻目の人身売買犯のエピソードだけはいただけない。ある程度のご都合主義(怪力薬とか)はいいとして、あまりに何のひねりもない展開に閉口。うーん、もったいない//去年大ヒットしたNHKの朝ドラ『ちゅらさん』に続編ができる!その名も『ちゅらさん2』!
 12月9日〜ピカソの本名について雑学を少し。本名がとにかく長い!“パブロ・ディエゴ・ホセ・フランシスコ・デ・パウラ・ファン・ネポムセノ・マリア・デ・ロス・レメディオス・シプリアーノ・クリスピン・クリスピニアーノ・デ・ラ・サンティシマ・トリニダッド・ルイス・イ・ピカソ”だ。名の由縁は最初のパブロが伯父の名、以下、ディエゴ(祖父)、ホセ(洗礼時の司祭)、フランシスコ・デ・パウラ(母方の祖父)、ファン・ネポムセノ&マリア・デ・ロス・レメディオス・シプリアーノ(洗礼時の立会人)、クリスピン・クリスピニアーノ(誕生日の守護聖人)、デ・ラ・サンティシマ・トリニダッド(三位一体)、ルイス(父の姓)、ピカソ(母の姓)となる。ピカソは生まれた時に息をしてなかったので、この長い長い名前には、両親の“色んな人に赤ん坊を守ってもらおう”という必死の思いが込められているんだって。良い名前だね!
 12月8日〜名画『ショーシャンクの空に』のフランク・ダラボン監督の新作『マジェスティック』をレンタル。コメディ役者のジム・キャリーが挑んだのは、第2次大戦後のハリウッドに吹き荒れた“赤狩り”(思想狩り)の被疑者という、実にシリアスな役柄。“反米的”というレッテルを貼られ裁判を受ける主人公が、思想や言論の自由を訴える場面は、9.11後にジャーナリズムが機能しなくなった今の米国とダブリ考えさせられた。彼は合衆国憲法を手にこう叫ぶ--「(戦死者が)命懸けで守ろうとした国は、こんな国じゃない。あなた方(体制側)が示すアメリカは冷酷で度量が狭い。アメリカは器の大きな国のはず。不都合な意見でも、誰もが自由に意見を発せるという心の広い国のはず!憲法修正第1条にはこうあります。“合衆国憲法は以下を議会に禁ずる。信教上の自由な行為を禁止する法律の制定、または言論及び出版の自由、平和的に集会する権利、国民の請願権を制限すること”。これはアメリカの基本理念です!国民が国と交わした最も大事な契約です!これを守るため多くの血が流れたんです!」。ジム・キャリー、一世一代の熱演だった。「(言論の)自由を守らねば彼ら(戦死者)は犬死にだ」に、ギューッと胸が詰まった。
 12月7日〜京都嵯峨野の巨大寺・天龍寺。その中の宝厳院(江戸時代の名所案内にも紹介されている名庭園)が、なんと約140年ぶりに一般公開されたので拝観してきた。今日の京都は冷雨&寒風。だが、次に見られるのが140年後かもしれんと思えば、気象条件など屁のカッパ。実際、庭園は見事としか言いようがなかった!ここしかない、という場所に収まった岩、緑苔の上に降り積もった紅葉、遊び心のある樹の配置。少し見る角度を変えただけで、同じ庭とは思えないほど表情が変化する複雑な設計に唸りまくった。これほどの庭を非公開にするのは、あまりにもったいない!(公開は今月15日まで)//嵯峨野嵐山と言えばお茶アイス。抹茶ソフトは有名だが、“ほうじ茶ソフト”を初めて見たので食してみた(色は暗いめの薄茶色)。感想は…まさにほうじ茶、アイスなのに苦味があったよ。
 12月6日〜緊急告知!本日、深夜25時15分からNHK人間ドキュメント『まごころケーキを召し上がれ』の再放送があるのでぜひ見て欲しい!精神的にハンディキャップを持った人達が働く、ある菓子工房の日常をスケッチしたドキュメンタリーだ。こうした番組にありがちな感情に訴えるつくり(言い方は悪いが“お涙頂戴”モノ)ではなく、あくまでも菓子職人としての誇りと、自立への挑戦を描き出そうとしていた。何かを生み出している時の人間の表情、その美し、その生命の輝きに何度も息を呑んだ。新人の仲間とのやりとり「こころを込めて作ってね」「こころ…?」「そう、こころも美味しいの」--これにはめちゃくちゃ鳥肌が立った!色んな意味で人生や命を考えるきっかけになる美しい番組ッス。
 12月5日〜ジャズの傑作バラード“レフト・アローン”(作詞ビリー・ホリディ)の作曲者、ピアニストのマル・ウォルドロン逝く。これまで何度レフト・アローンを聴いて救われたか。レフト・アローン、つまり“一人にしてくれ”“ほっといてくれ”。後ろ向きに聞こえるけど、時間しか解決出来ない状況って現実にあるもんね…。名曲を有難う、ウォルドロン。//今日出会ったゴッホの言葉--「死んだら汽車に乗れないように、生きている限りは星へ行けない。汽船や乗合馬車や汽車が地上の交通機関ならば、コレラや尿石や結核や癌は、天上へ行く交通機関のように思われてくる」。ゴッホには星空を描いた作品が幾つかある。この先、それらに触れたとき、この言葉が作品の前にたちあがって来そうな気がする。
 12月4日〜1969年にキネマ旬報で第1位に選ばれた邦画『心中天網島』を昨夜のBSで観た。ス、ス、スゴかった。一組の男女が心中へ向かって転げ落ちていく様が、息つく間もないほど壮絶な緊張感の中で描かれていた。この作品は危険だ。激愛に溺れた主役2人は、ワクワクしながら、いそいそと死のうとしている。彼らは、ともかく2人一緒に死ねることが嬉しいのだ。何か観てるうちに、心中が羨ましくなってしまった…ヤバイ。原作は近松門左衛門、文楽では曽根崎心中と並ぶ超人気演目だ。
 12月3日〜クフゥッ!“三銃士”“モンテ・クリスト伯”の著者アレクサンドル・デュマの遺骨がパリ中心の国家霊廟(パンテオン)に納骨された!デュマはユゴーやスタンダールより世界で読まれている仏の大文豪。死後132年間も国葬扱いにならなかったのは、文豪の叔母が黒人奴隷だったという偏見が原因であった。シラク仏大統領は棺の前で「今日、フランスは天才に敬意を表するだけでなく、不正を償う」と謝罪しこうべを垂れた。ムゥ、良い話じゃないか。むおお、墓参したい!だが…こちとらパンテオンへは5ヶ月前にキュリー夫妻へ会う為に巡礼してきたばかりだ!なぜあと半年早く納骨せんかったのじゃあ〜(涙)。そう何度もパリに飛べぬわッ!//水素が燃料で排出されるのが水だけという、完全無公害の究極環境対応カー、“燃料電池車”をトヨタ&ホンダがついに実用化した。やがてガソリン・スタンドは水素スタンドに変わっていくのだろうか!?
 12月2日〜個性派監督デビッド・リンチの問題作『マルホランド・ドライブ』をビデオ屋でレンタル!僕の点数は96点!えらく高得点だが、観終わった直後はここまで高い点数ではなかった。後半があまりに難解で、正直チンプンカンプンだったのだ。「きっと監督自身も物語の収拾がつかなくなって、中途半端に投げ出したのだろう」そんな風に考えていた。僕は愚かだった!監督のインタビューや解読サイト(以下のアドレス等)を読んで、自分が作品の奥深さをいかに理解していなかったかを悟ったッ!“難解”どころか、これほど映画全体に親切なヒント(小道具や意味深なセリフ)が散りばめられているミステリーはない。
単に僕がそうしたヒントを全部見落としていただけだ!僕のアホ!ウウッ、なんと悲しいラブストーリーだったのか。物語の複雑かつ見事な構成、情感たっぷりの美しい音楽、俳優たちの名演。さすがカリスマ&鬼才と呼ばれるだけある!
(ネタバレ有)http://www.ne.jp/asahi/hoth/press/other_films/2002/mulholland/mulholland.htm
 12月1日〜頼むよ、ニフティ!せっかくの日曜というのに、丸一日このホームページにアクセス出来なかった。ここのとこ、あまりにサーバーのトラブル多すぎ!しっかり!//フィギュア・スケート男子シングル、優勝者クリムキンの素晴らしいバランス感覚に惚れ惚れ!あの連続回転…ヒョエー、同じ人間とは思えん!
 11月30日〜先ごろ世界精神医学会が『日本は自殺率世界一』という衝撃的統計を発表した。’98年以来、我が国の自殺者は3万人を超えたままだ。昨年の自殺者は31042人、つまり1日85人、1時間に3〜4人が自殺している。交通事故死が1万人を超えると“交通戦争”と呼ばれ社会的に大問題になるのだが、実はその裏で3倍もの人が自ら命を絶っている(大半が40歳以上)。不況とはいえ日本はGDP(国内総生産)世界第2位、しかもそれは3位以下の英仏独の合計額よりも多いという超経済大国だ(日本のGDPだけで全世界の約2割を占めている)。個人金融資産は約1400兆円という天文学的数字。だが、いくら総資産が諸外国より多くても、どんどん国民が自殺してゆく国家がまともと呼べるだろうか?未曾有の生き地獄ではないか。この“自殺率世界一”は明らかに異常事態だ。しかし、これを問題視する動きが行政の主導で始まったという気配はない。なぜ、この国の為政者たちは国民をここまで追い込み、そして思い詰めさせるのか?国も役所も「財政難だから医療費の補助も、失業者や低所得者の援助も出来ない」と弁明するが、もっと財政が苦しく失業率の高い国はいくらでもある。それは自殺率世界一の言い訳にはならない。「もう生きることに疲れた」と国民が次々と自殺するような社会環境を、早急に変えていかねば。それにはどう考えても社会保障の充実しかない。政府がズサンで無駄な財政支出をなくし、税金を120%有効に活用しているのが目に見えるなら、国民は高い税にも納得出来るだろう。
※人口は女性の方が多いが、自殺者の過半数(7割)は男性。それだけ男は打たれ弱いということか。
 11月29日〜文芸極道は修羅の道。当ホームページで日々怪気炎を上げてるものの、世間的には全く無名に等しく、なかなか陽が当たらぬトホホなこの身を案じてか、友人がカロリーメイト、レトルトカレー、アルファベット・チョコレート(知ってる?)をダンボール箱に詰めて大量に送ってきてくれた。嗚呼、人の優しさがやけに身に沁みる35才の冬。
 11月28日〜マドンナやD・ボウイ大絶賛の話題作『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』をレンタルして観た。ゲイのロックシンガーが「運命の人」を求めて絶叫する物語。音楽はどれも名曲揃いで、中でもテーマ曲“愛の起源”はとんでもなく素晴らしい完成度。ただストーリーは…うーむ、愛の渇望からくる底なしの孤独感は十分過ぎるほど伝わってきたし、誠実で優しく繊細な主人公は愛すべき存在なんだけど、あまりに恋愛至上主義過ぎる。人生を「恋人がいない=不幸」と思い込み過ぎてはいないか?僕は独り者には独り者の侵し難い幸福があると思うが…。(スナフキンのようにね)
 11月27日〜京都の大レンブラント展の感想。約50点という作品数は少ないという先入観があったけど、実際に鑑賞してみるとけっこうなボリュームだった。近年の美術展に多いデッサンや下絵のオンパレードと違って、すべて油彩画の完成作だったからかも。出展作のMyベスト5は順に1.笑う自画像(破産し家族に先立たれた老画家の笑顔に滲むあの哀しみ!人生の無常感がなだれ込んで来た)、2.目を潰されるサムソン(血を流すサムソンのホラーな図より、彼を罠にはめ不気味に冷笑する女・デリラの表情がもっと怖かった!)、3.首当てをつけたレンブラントの肖像(この若く自信に満ちた23歳の自画像を第1位のものと比べた時、間に流れた40年という歳月の重みを感じた。これら2枚を見ただけで大長編ロシア文学に匹敵する人間の魂の旅を体験した気がした!)、4.机の前のティトウス(写真がまだなかった時代、画家はこの14才の亡き息子の肖像画を、死後幾度眺めたろう…)、5.手紙を読む僧侶(普通は人物に照明が当たるものだが、人物は暗がりに潜み手紙だけに光が当たっている図が新鮮かつ神秘的だった!)。
今展は来年1月中旬までやってるので、機会があればぜひ!
※展示会場の解説で“トローニー”という単語が頻繁に出てたけど、トローニーとはモデルを見て描いた人物画ではなく、架空の人物を想像で描いたものです。

 11月26日〜昨日アップした紅葉特集が、夜の紅葉は暗すぎて見えにくいとのことなので、明度をグッとあげてみました。これで見えるはずなんだけど、どうでしょう!?
 
11月25日〜紅葉の素晴らしさを文章で記しても限界があるので、昨日のアートツアーの紅葉デジカメ写真を急遽アップしました!高台寺の紅葉は2ページ目にありますッ!ぜひご参考に!
 11月24日〜皆さん!京都高台寺の紅葉夜間特別拝観に、あらゆる用事を後回しにして大至急行くべきッス!今日見てきたけど、大袈裟ではなく、本当にこの世のものとは思えない美しさだった!赤や黄の紅葉と緑の竹林が闇夜に浮かび上がり、それが池の水面に鏡のように映り込んでいて、視界の上下に紅葉が見えた!フワッと重力が消え自分がどこにいるのか分からなくなった。紅葉のライトアップといえば清水寺や永観堂の方が知名度は高いし、実際紅葉の本数も多いけど、それらはただ単に下から照らしてるだけ。高台寺は照明の角度を様々に工夫した光のアート!ハッキリ言って高台寺を見た後では、他寺のライトアップは忘却の彼方へ消えゆくのみ。せっかくこの世に生まれてきたのに、あの色彩のハーモニーを体験せずに死ぬなんてもったいなさ過ぎ!国内、国外を問わず、ここ十年で、この目で見たもので最も美しいものだった!(高台寺は八坂神社のすぐ南側。毎夜21時半、12月8日までやってマス。拝観料600円。あれが600円!)//本日のアート感電ツアーは急な告知(5日前)にも拘らず、福岡、鹿児島、高知、広島、愛知、埼玉、千葉、東京、神奈川など、関西圏以外からも約25名集まりました。年齢も21〜70歳と幅広く、アートを接点にするとバラエティに富んだ顔ぶれが集まりホント楽しいですね。参加者の皆さん、11時間で7ヶ所を周る激ハードな一日、本当にお疲れ様でしたーッ!
 11月23日〜みうらじゅん&いとうせいこうの“テレビ見仏記”第3弾(最新版)をスカパーで見る。彼らのトークはいつ聞いてもホント楽しい!前回のオンエアから約1年。待ちに待っていたッス!
 11月22日〜先月開催された第40回ニューヨーク映画祭に関して。味のある作品を撮り続けているフィンランドのアキ・カウリスマキ監督が参加を拒否した。なぜか。『友だちのうちはどこ?』『桜桃の味』など、ヒューマンな作品を生み出してきたイラン人のアッバス・キアロスタミ監督に、米国への入国ビザが発給されなかったことへの抗議だった。キアロスタミ監督はカンヌ映画祭で最高賞を受賞している名匠。アキ・カウリスマキ監督が出した声明文は怒りとブラック・ユーモアの混じった素晴らしいものだった---「世界中で最も平和を希求する人物の一人、キアロスタミ監督にイラン人だからビザが出ないとは何たることか!米国がイラン人に用がないなら、フィンランド人も無用だろう。我々は石油すら持ってない。米国防長官を我が国に招くから、キノコ狩りでもして気を静めてもらいたい。世界の文化の交歓が妨害されたら何が残る?武器の交換か?」
 11月21日〜画家ゴーギャン。彼は同居していたゴッホを見捨てたというイメージがあったので、正直言って僕はあまり好感を持ってなかった。ところが!ゴッホ自殺の10年後に彼もまたタヒチで自殺を試みて(作品が評価されぬ為)おり、未遂に終わったゴーギャンは、わざわざパリからゴッホが愛したヒマワリの種を取り寄せ、咲いたヒマワリを椅子の上に置き描いていた。これはかつてゴッホが同居中に2人の椅子を描いたことへのオマージュだ。画中の署名もゴッホがよくやるように対象物の中(ここでは椅子の足)に書き込んでいた。ゴーギャンは胸の奥底でゴッホへの深い友情を秘めていたんだ!ゴーギャン最高!!
 11月20日〜名優ジェームズ・コバーン逝く。『荒野の七人』『大脱走』などで渋い存在感を出していたので大好きだった。特に『荒野の七人』では、凄腕のガンマンに混じって一人だけ“ナイフ投げ”の達人というニクい役どころで、映画を見ていた男性のハートを掴みまくった。
 11月19日〜急ですが5日後の24日に第4回アート感電ツアーを決行します!今年の京都の紅葉は、ここ数年間で最高の美しさ!もうスゴいの何の!
 11月18日〜夢にまで見たP・マッカートニーのライブ(公演最終日)をついに見てきた!19時開演が15分遅れたうえ、さらに15分間意味不明のサーカスがステージで行なわれ、正直最低のテンションから始まった。しかも一曲目の“ハロー・グッバイ”でポールは音程が外れまくり、誰かそっくりさんが代役で歌ってるのかと本気で思った。しかし!声の調子は徐々に良くなり、3曲目の“オール・マイ・ラヴィング”で完全復活、10曲目の弾き語り“ブラックバード”では熱い涙が頬をつたった!ビートルズは活動中期にコンサート中止宣言をしたので、ライブ映像で残っているのは初期の曲ばかり。だが今回は23曲もビートルズ・ナンバーが歌われ、一生ナマで聴けないと諦めていた後期の名曲も数多く登場した! “シーズ・リービング・ホーム”“エリナ・リグビー”“ミッシェル”“ロング・アンド・ワインディング・ロード”“サージェント・ペパーズ”“レット・イット・ビー”…もう失神寸前。生きてるうちにポールと一緒にハモれる日が来るとは思っていなかった!そして、嗚呼、5万人の“ヘイ・ジュード”!!ラストのナンバー(その名も“ジ・エンド”)が始まると、“これが終わると、もうポールの声は聴けなくなる”と、悲愴な気持ちで聴いていたが、曲の最後でスクリーンに巨大な太陽が昇ってくる映像が映った。それは“ジ・エンドこそ始まりなんだ”というメッセージに聴こえ、僕は激しくド感動した!完璧だった。これ以上考えられないほど完璧なコンサートのフィナーレだった!ありがとう、ポール!!2度目のアンコールが終わった時、すでに時計は22時15分。生涯忘れられない夜となった。(ポールは水も飲まずに3時間歌いっぱなし。なんちゅう元気な60歳なのか!また、第一声「もうかりまっか」にブッ飛んだ。以後も「おおきに」「まいど」を連呼また連呼。ハッピ着て歌ったり、バンドがちょんまげカツラで演奏したりそのサービス精神に脱帽。客層の幅広さがまたいい。あんなに通勤帰りの背広姿の男性客がいるロック・コンサートは他にないだろう。スクリーンに若い頃の4人が映る度に、“もう、半分のメンバーが死んでこの世にいないんだよな…”と、切ない気持ちで胸が詰まったよ)
 11月17日〜今夜の『そして音楽が始まる』。名デュオ、“サイモン&ガーファンクル”の以前の名前が“トム&ジェリー”だったとは…!そして『ミステリー映像ベスト100』。怖すぎ。見るんじゃなかった。ほとんどトリックなんだろうけど、心霊写真と違ってビデオの動画だから、宙をフワフワ移動する幽霊は大人が見てもやばいくらい怖かった。小学生であの映像を見たら20年はトラウマになるんじゃないだろうか…。
 11月16日〜今夜の『美の巨人たち』で紹介された英国人ウィリアム・ブレイクの詩がめちゃくちゃカッコ良かった!
  一粒の砂に世界を見
  一輪の野の花に天国を見る
  手の平に無限を
  一瞬の内に永遠をつかむ
クーッ、僕もこういうのをサクッと書ける才能が欲しいッス〜!
 11月15日〜来年公開される『ボーン・アイデンティティ』『ヤァヤァ・シスターズの聖なる秘密』、既に公開された『インソムニア』を飛行機内で鑑賞。『ボーン』はCIAの一支部の暗躍と破滅を描いたもの。記憶喪失になったCIAの工作員が、同じCIAの工作員に機密保持の為に命を狙われる展開に終始ハラハラしっ放し。ド派手な特撮はないが、脚本でグイグイひっぱる良作だった。火薬を大量に使うだけのカス映画が多い中、久しぶりにまともなサスペンスに出会えた。マット・デイモンは優等生っぽくて苦手だったけど、この作品で高感度アップ。『ヤァヤァ』はサンドラ・ブロックのハートフル・コメディ。大喧嘩をした母娘が和解に至るまでのドタバタを描く。あまり期待せず見始めたら、テンポが抜群に良いし、セリフも小粋なものが多く一気に引き込まれた。それもそのはず、調べてみたら監督は女性映画の最高傑作“テルマ&ルイーズ”の脚本家だった!『インソムニア』はずっと善人役ばかりだったロビン・ウィリアムズが不気味な殺人犯になり、アル・パチーノが彼を追う刑事に。両者とも素晴らしい演技だった。舞台になったアラスカは寒々とした曇天と濃霧のシーンが多く、夜の場面も白夜の為にボーッと明るいまま。なんだか見てる内に自分の時間軸まで麻痺してしまった。//名作SF『惑星ソラリス』がソダーバーグ&G・クルーニーによってリメイクされた!全米で今月公開とのこと。日本でも早く公開して欲しいッ!
 11月14日〜うぐぐ、か、身体が動かぬ…。
 11月13日〜無事生還!帰国に要したフライト時間は21時間。永遠のようだった。時差ボケでヘロヘロなので、今日はバタンキュー。明日から本格更新します。





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