★一家に一冊!超熱血傑作野球マンガ『逆境ナイン』 (作/島本和彦)

史上最強最高のハチャメチャ・野球スポ根マンガ『逆境ナイン』は、約20年前(1988年)、日本一熱いマンガ家・島本和彦氏が、今はなき月刊少年キャプテン誌上に炸裂させた作品だ。破天荒なキャラクター&ストーリーが同業者(他のマンガ家)からも絶賛されたが、作品への高い評価が単行本の売り上げに残念ながら比例せず(掲載誌がマイナーだったから?)、単行本は涙の絶版となってしまった。90年代後半にファンのラブコールで再版されたが、まだ時代が追いつかないのか再び絶版の憂き目となる。しかし!2005年4月、実写映画の公開に先立って不死鳥の如く甦った!
作品の素晴らしさを一人でも多くの人に伝えるべく、ここに全身全霊をかけて中盤まで物語を紹介するッ!

                      

【旧・第1巻】

冒頭、全力学園の校長室に向かう一人の漢(おとこ)、名は“不屈 闘志”!
太い眉毛、風もないのにたなびく髪。
「野球部キャプテン、不屈闘志入りますっ!!」
扉を開けた彼が叩き付けられた校長の第一声は、
「廃部だっ!!」
万年弱小チームに校長がキレた。野球部のグラウンドをラグビー用に改造するという。
「ぶ、部費を削るほうにして下さいっ!」
「馬鹿者っ!」(バキィ)校長の左ストレートに5m吹っ飛ぶ不屈。
「帰れ!普段の努力がないから結果にも出る。遊び呆けているだけの集まりに金(部費)を出すつもりはない!!」
“これだ!これが逆境だ!!”
不屈は突然笑い出す。
「ウワーッハッハッハッー、ハーッハッ!校長!!この部屋、トロフィーや盾がいっぱいありますが、甲子園出場のものが一個もありませんねえ…」
「むおっ!」
「校長!ここのスミにでっかい優勝旗を置きたいとは思いませんかっ!!」


           

「う…うむっ!!口先だけでは納得せんぞ」
「承知!10日間あれば証拠を見せてごらんにいれましょう…日の出商業!」
日の出商業とは平均身長182cm!甲子園でベスト8に残る強豪!
「その日の出商がどうしたあ!」
「10日以内に練習試合を申し込んで叩きのめします!!」
「本気かっ!」
「それが出来なかった時は…それが出来なかった時は…いや、必ず出来るっ!失礼します!!」(バタム!扉から立ち去る)
「………!」

「むっ、無理だあっ!!」
部室で部員たちが泣き叫ぶ!
「キャプテンはどういう根拠があってそんな条件を!」
「みんなに反撃のチャンスをやる。絶対に出来ないと思う者は、そう思う理由をここで大声で俺にぶちまけてこい。この俺にも“絶対に出来ない”と思わせることが出来たらお前たちの勝ちだ!!」
「よ、ようし…!」
土砂降りの雨の中、部員たちは吠えまくる!やがて雲間から陽が。
「ハァハァ、どうしたもう終わりか」
「闘志よ…」(キャッチャー)
「なんだ」
「ハァハァ、お前は本当に…勝てると思ってるのか?日の出商業に…」
「う…っ!!勝てるか勝てないかの問題じゃない…絶対に無理でも勝たなければならないんだ!!!」

                      

「フフ…フハハ…ハッハッハッ、ウワッハハハ!」
言うこと言ったらすっきりしたぜ、と部員たち皆が笑い出した。
「オラ!行くぞおおーっ!!」
「ウオーッス!!」(ちなみにこの“ウオーッス”の文字だけで14cm)
この日からいつもの3倍の特訓が始まった!

              

ところが、試合3日前の段階でバタバタと5人の部員が脱落!
サード→テストで赤点、試合当日は補習
ショート→女に振られてダウン
セカンド→犬に咬まれて負傷
センター→当日はバイト
ライト→ラジオの修理中に火傷
「戦えるのが俺を入れてたったの4人…ふふふ…」
不屈は静かに笑い涙する。そして星空を見上げる---
「星か…この宇宙のどこかでは今もお互いの星の運命をかけて壮大な宇宙戦争が行われているんだろうなぁ…それに比べりゃ、たかが野球!まだまだ…まだまだ…!どうにでもなるさ…!なあ、宇宙よ!!」

                      

翌日、滝のような雨の中、4人はガッツで特訓に挑む!
「俺たちはこの全力学園野球部を守る!!」
しかし!その結果レフトが風邪をひきダウン!さらに部室には“もうついて行けません”のファーストの置手紙!
「日の出商だって神様じゃない、俺たちと同じ人間だ!俺にはまだこの左腕(サウスポー)が残っている!まだ勝つ可能性はある!」
そこへ新聞部の取材ッ!
「(部員が減るのは)無茶な練習のし過ぎではないでしょうか!?」
「無茶は承知の上!!」
「そこまでさせる権利がキャプテンにあるのですかっ!」
「俺が無茶をさせているのではない…しいていえば3つの条件…男の3つの条件が俺たちに無茶をさせているのさ!!」
「その条件とは…!?」
「ひとつ!!男はイザという時にはやらなければならない!!ふたつ!!今がイザという時である!!そしてみっつ!!俺は、俺たちは男なんだッ!!」

試合前夜、キャッチャーは不屈の家に泊まりに来ている。翌日の作戦を練る2人。不敵に微笑する不屈!
「最後まで俺たちバッテリーが無事だったのは不幸中の幸いだな。2人だけで勝つためには、全てのバッターを三振にとるか、ノーバウンドで処理するんだ。それしかない…!打順も2人を並べるんだ…その二連打に全てを賭けて点をとりまくる!!」
「まるで綱渡りのようだな…それも恐ろしく細い綱だ…」
「ああ…だが、綱は渡れる!!俺たちも勝てる!!」
“頼んだぞ、俺の左腕よ…!もうお前しか頼れるものはないんだ!”
深夜1時。寝ぼけてトイレに行こうとする巨体のキャッチャーが不屈の黄金の左腕を踏みしめた。
「(ベキッ)ぐわあああっ!!」

当日、豪雨の中、脱臼した左腕を包帯でつった不屈は、キャッチャーと共に日の出商に向かう。2人を校門で見送る全力ナイン。
「キ、キャプテン!」「キャプテンッ!」「不屈!」
不屈の目はまだ死んでいない。
「きょうの試合…勝つ!!」

                

全力ナインは電撃に打たれた!!
「赤点のひとつやふたつ…補習がなんだっ!」(単語帳を叩きつける)
「女が…女がなんだあっ!」(写真をビリビリにやぶる)
「こんな火傷がなんだっ!」(包帯を引き剥がす)
「バイトがなんだ!」「風邪がなんだ!」「犬がなんだ!」「今日の試合、命がけでキャプテンに続くんだあっ!!」「オーッ!!」

日の出商業グラウンド!
ザバーッ!爆雨が全力&日の出商ナインの両肩に容赦なく降りしきる。日の出商は翌日に強敵・大強高校との試合を控えていた。仁王立ちで両キャプテンが向かい合う。
「日の出商キャプテン高田だ」
「全力学園キャプテン不屈だ!!」
「不屈くん!我々は明日の試合の(肩ならしの)為に君たちとの試合を受けて立った。だが、あいにくこの雨!悪いが我々にとっては明日の試合が重要なのだ。よってこの試合、我々はいさぎよく辞退する!!君たちの不戦勝にしておいてくれたまえ!では!!」
きびすを返して立ち去る日の出商ナイン。呆気にとられる全力ナイン。

「か、勝った…何はともあれ…俺たちの勝ちだ!!」
「は、はは!はははは!」「ばんざあいっ!」「やったあ!」
帽子を天へ投げ上げ、肩を抱き合う全力学園野球部!なおも雨に打たれながら不屈は吠える。
「神が、俺たちの為に涙を流してくれたんだ!これは神の涙だっ!!」
このエピソードの締めくくりに、見開き2ページに渡って、作者の熱い言葉が刻まれる。
“全力学園は勝った!!この満身創痍の体でみごと強豪日の出商相手にどうどうと勝ち抜いたのである!!ありがとう!ありがとう逆境ナイン!!僕たちは君たちに教えられたんだ!絶望にくじけず戦い抜くことの尊さを…!!”

               

翌日。日の出商は翌日最大のライバル大強高校をコールドで沈め、日の出の部員たちは凱旋気分で学校へ戻る。しかし、生徒たちの反応はなぜか冷たい。キャプテン高田は新聞部に怒鳴り込む。
「なぜ出迎えに来ないっ!俺たちはあの大強高校に勝ってきたんだぞ!」
襟元をつかまれた新聞部の部長は全力学園の校内新聞“全力報道”を指し示した。部長は静かに笑う。
「大強には勝ったけど…全力学園には負けたんでしょ」
その記事にはこう書かれていた--
『全力学園、圧勝!日の出商、手も足も出ず!!』


※第1巻は以上だが、巻の後半に転校生ピッチャーが野球部に加わるエピソードがある。不屈に似て熱い魂を持った漢、リョウだ。彼は以前の学校で野球部の主将だったが、不屈と同様の苦悩を味わっていた。廃部の危機である。ボールを買う予算すらなく、リョウが生徒会室へかけあいに行く場面がド迫力!
「実績も可能性もない部に部費は出せない。悪いが校長からもそのように言われている」
メガネを光らせ表情ひとつ変えずに言い放つ生徒会長にリョウはキレた!グワッシャアン!!部屋の机をひっくり返し粉々にするリョウ!
「わーっ!なっ、何をする!」
「ハイそうですかと帰れるかっ!子供の使いじゃねえんだ!!今日という今日は首をタテにふるまで帰らねえぞっ!」
会長に襲いかかるリョウ!
「部費を上げろーっ!」
「暴力には屈しないぞっ!話し合いならばしてやろう!!」
「話し合いに来たんじゃねえ!!」
「ムググーッ!グギャーッ!」(会長は首を絞められている)
「たったひとつの答えを聞きに来たんだーっ!!」
リョウは実績を作る為に全力学園に試合を挑んだ。なぜなら、全力との試合に勝てば、日の出商業にも勝ったことになるからだーっ!!
(結局敗北し転校→全力学園野球部入部とあいなった)


【旧・第2巻】


主人公・不屈闘志の恋愛がテーマ!校内の廊下の角でぶつかった女生徒・桑原に一目惚れしてしまった不屈!!
作者・島本和彦は吠える--
“すでに一目惚れは架空の物語やSFでない!!万人が認める事実なのだ!!しかし!なぜその様な現象が起こるのか解明した者はいない!!だが恐ろしいことにそれは、既に恋人や婚約者がいても起こりうる。たとえ命をかけ、青春をかけ、燃える対象があり、生活に何も入り込む余地がなくても、そいつは無理やり入り込んで来る!!何かを押し出して…!あえて問おう!!一目惚れはロマンスか逆境か!?一目惚れはロマンスの始まりか、とてつもなく恐ろしい逆境の始まりであろうか!?”

不屈には逆境であった。地区予選第2回戦の当日、不屈は桑原と遊園地にいたのだから!不屈抜きで2回戦を突破した全力ナインは、試合後にキャプテンは病気かも知れないと見舞いに向かう。その途中の道で、デート帰りの不屈と全力ナインが出会うという修羅場で2巻は終わる。

               


【旧・第3巻】


部員を裏切った不屈!
“俺の一番大切なものをぶち壊してわびるしかない!”
そう思って左手にカッターを突き刺そうとする不屈を、彼の父・不屈根性が止めに入る(ちなみに兄は不屈男児、祖父は不屈大和)。父は息子を後ろ手に縛り上げ生きる姿勢を語る!
「闘志、お前の今やらねばならん最終目的は何だ!?甲子園だな!ならば全ての出来事をそいつに結びつけるように考え動け!!デートの現場をナインに見られたのはケガの功名かも知れんぞ!血を流そうとツバを吐きかけられようと体面を失おうと…構わん!!まずは石にかじりついてでも甲子園だ!突き進んでいる時は振り返るなっ!!優勝旗を手にした後に好きなだけ振り返れ!!逆境がなんだ!時間は限られている!どでかい目標に向かっている時は(逆境に)いちいち構うな!振り払って進んじまえっ!!」

       

「デートで試合を休むような男のクズと甲子園を目指す気はない!」
リョウたち全力ナインは不屈を“玉ひろい”専門部員として復帰させる。そして裏切り者の不屈にあてつけて見せるために、ナインは猛練習を繰り返す。結果としてメキメキと実力をつけてゆく全力学園野球部。
地区大会準決勝の相手は王者高校だ。

「今度の日曜、遊園地にでもいきません?」
声をかけられたのはリョウ、かけてきたのは瞳の美しい桑原だ!日曜は準決勝当日!
「は…はい…!」
そう即答して、われに返ったリョウ。
「ばっ、ばっかやろう!その手に不屈はひっかかったかも知れねーが、この俺はひっかからんぞお!ち、ちょっとばかりカワイイからって」
「そんな…」(泣き出す)
「あ…ごめん。ちょっと言い過ぎたかな。ははっ!」
頭をかいて鼻の下を伸ばし、満面の笑顔をつくる彼。以下は再度われに返った彼の心の声。
“はっ!目だ!この女の目を見てはいかん!いいなりになってやりたくなる!C・Tスキャン、C・Tスキャンを思い出すんだ!(このシーンの彼女の顔は皮を剥がれたグロ画像)人間一皮むけば、しょせん皆ああなんだから!”

        

「とにかく俺は遊園地なんぞに行かんぞ!」
必死の形相で駆け去り、危機一髪で難を逃れたリョウ。

王者高校は強かった。ベンチの不屈(補欠)を横目にリョウは激投を続ける。ビギイッ!!リョウの右腕が酷使に耐え切れず破壊、彼はマウンドに倒れ込む。駆け寄るナイン!
「どうしたっ!」
「ゆ…」
「ゆ?」
「遊園地が見える…」

                  

「なに言ってんだコイツこんな時に…!どうするんだ、他に投げられる奴はいないぞ!…ハッ!」
ナイン全員とベンチの不屈の目が合った!
「だめだ」「不屈を使ってはいかん」「しかし…!」「だめだ、奴に頼ったら部活動としてのけじめがつかなくなる!」「先生(監督)!俺たちどうしたらいいんですかっ!」
黒サングラスで寡黙な野球部顧問ゴウ先生。ナインに取り囲まれたゴウが、両腕を組んだままその重い口を開いた!
「誰だって叩けばホコリは出る!!」
(ゴウの背後には画面いっぱいにイナヅマが走っている)
「その通りですっ!先生!!」
涙する野球部員!不屈をマウンドにあげた全力ナインは胸中でこう叫んだ--
“こうなった以上は死んでも勝たないと、明日から生きてく道はない!!”
「うおおおおお!」「ああああーっ!」
そして、全力学園は決勝まで勝ち残った。

※ゴウ先生には「それはそれ!!これはこれ!!」という名言も!!あと武闘派のゴウは破壊的に強い酒“ギャラクシーウォーズ”という、1杯で普通の酒の10杯分もアルコールが入ったものを愛飲している。

全力ナインは対戦相手を研究する為、もうひとつの準決勝会場へ。そこでは因縁の日の出商業とガッツ高校が戦っていた!今年の日の出商は殺人的に強い!打たれ放題でさらしものになったガッツ高ナインのハートはズタボロに!
アナウンサーが叫ぶ!
「本当にこれが高校生の集まりなのでしょうか日の出商業!打ったー!大きい!走るレフト、間に合うか!ああっとレフト泣いています。これをとったからって何になるんだという顔です!ああっと歩き始めました!レフト試合を捨てたーっ!大変な試合になりました!途中で逃げたピッチャー5人!試合を捨てた野手がこれで6人目だ!レフト大の字に寝転んだーっ!もうボールを返す気もないようです!センター慌てて走る!センターボールを拾った…が、あ!ああ!?センター、ボールを客席に放り込んだーっ!何を思ったかセンター!?顔も涙でぐしょぐしょだーっ!」
センターが日の出商ベンチに向かって泣き叫ぶ!
「これで満足だろうっ日の出商っ!こうしたかったんだろーっ!してやったよ!さあ次は何をして欲しい!言ってみろーっ!言ってみろよーっ!!」

         

真っ青になって球場から退散する全力ナイン。
「うわあああああ!」
「お…俺たちは明日、あんなやつらとやるのか…!!」
「待てみんな!!逃げて…逃げてどうなるっ!!で、でも、逃げないと…!!」
うなだれて学校に戻ったナインが見たもの、それは校長が勇み足でぶら下げた巨大な垂れ幕だった。
『祝!甲子園出場決定!おめでとう全力ナイン』


一方、麗しの女生徒・桑原への想いがなかなか消えず悶絶する不屈闘志!はじける笑顔の彼女を目前にした時の内面描写がすごい---
“も…もう…野球部なんか…甲子園なんかどうでもいい!この子の瞳が俺を見てくれるならば…世界中を敵に回したっていい!…おいおい!世界中を敵に回すってことは、まず日本から追われて自力で衣食住を世界中から睨まれる中でまかなわなきゃいけないんだぞ!しかもいつ誰に命を狙われたって誰も助けてはくれないんだ!世界中が敵なんだから!…それでもいいっ!!”
しかし、同志リョウに
「野球と恋愛のどちらか選べ!俺たちゃ2つのことに同時に命をかけられるほど器用じゃねぇんだ!」
と最終決断を迫られ、校長や部員と誓った漢の約束を思い出し、
“片っぽを犠牲にしないとすべて中途半端で終わってしまう!”
と、桑原への愛に訣別する決心をする。男泣きする彼に父・不屈根性は吠える!
「もしここで女に走るような男なら、また他にかわいい女子(おなご)が出てきたらどうなるか!たちまちその女に必ず走る!!男の行動など一事が万事!一つの物事に対し命がけで責任を持ち、歯をくいしばり最後まで全力を尽くすことが出来て初めて一人前!!それさえも出来ずして女子にだけは優しくいい男(ひと)になろうなどとは片腹痛い!!彼女を真剣に好きならなおのこと、物事を途中で放棄するような男として付き合えんし、そんな男とニコニコ付き合う彼女であって欲しくもない!!」

泣き終わった不屈は吹っ切れていた。
“辛く…辛く苦しい戦いだった。しかし、もう思い悩むことはない。明日は決勝だ!俺がこうやって女のことでウジウジ悩んでいる間にも、日の出商ナインは血ヘドを吐きながら練習していたに違いない!だが…!日の出商の部員たちよ聞けっ!もし仮に君たち一人一人に桑原さんが与えられたとしよう…そのうち何人が桑原さんを振り切って決勝に出ることが出来る!?おそらくは一人もいまい!!俺は今ひとつの山を乗り越えた、身悶えするほど辛いひとつの試練に打ち勝ったのだっ!!もう目をつぶっても甲子園が見える!!”

                 


【旧・第4巻】※途中まで!


ガッツ高の惨劇を目撃して怯えきった全力ナインたち。だが不屈は違った!
「日の出商のような強いチームが3年連続で甲子園に出場したとして、立派度はせいぜい“すごく立派”だ。しかし万年予選、せいぜい2回戦どまりの俺たちがいきなり出場してみろ!もしそれで優勝しようもんなら…すごく立派→超立派→学校の誇り→市町村の誇り→都道府県の誇り→国家の一大事→アジアの一大事→世界の一大事→伝説!!ハッキリ言って歴史に名が残る!!」(叫ぶ不屈の背後にベートーベン、ガリレオ、プラトン、芭蕉が!)
「じゃあ!(泡を食って鞄から歴史の教科書を取り出すナイン)これに俺たちの名前が載るんですか!?」
「載るっ!!日の出商がもし勝ってみろ!何も歴史に記させるものはない!だが俺たちなら載る!!」バーン!!
「じ、じゃあ受験生は電車の中で俺たちの名前を必死に暗記するのか!!」
“さすがだ不屈!”唸るリョウ。不屈は部員を一列に並ばせた。
「順になぜ試合に出たくなかったか言ってみろ」
「負けると無様で立ち直れるか不安だった。棄権の方が“やってたら勝ってたかもしれない”という可能性だって残る!」
それを聞いて不屈は2枚のカマボコ板を机に叩き付けた!1枚には“すすむ”、もう1枚には“にげる”の文字が!!
「どっちかを選べ!!そして明日の試合が終わるまで持っていてもらおう。いや…一生持っていてもいいぞ!!
「(ぴくっ)一生!!」
ナインは思わず“すすむ”を掴んだ!すると彼らの表情に変化が!
「ふ、不屈!思い切ってすすむを握ったら、ち、力がみなぎってきた…!」
「そうだ!今、体中の細胞が勝利に向かっていっせいに団結を固めたのだっ!力がみなぎらん方がおかしい!!」
「ウオオオオッス!!」

            

「プレイボールッ!」
地区大会決勝!!日の出商業との戦いの火蓋が切って落とされた!!一回表、先攻は日の出商だ。不屈が第一球を投げたっ!
「ファイヤーッ!!」ズギュウゥゥゥーン、バキィイイイイ!!
先頭打者の打球がなんと不屈の顔面に直撃、不屈は失神ッ!!ゴウ監督は気絶した不屈をベンチに入れず、そのままライトに寝かした。

                   

やがて意識が戻った彼が見たものは…9回表、112対3ッ!!

             
                   (第5巻の裏表紙から〜ホントに112対3!)

“な…なんだありゃあ…100点差はあるぞ…しかも、もう最終回…フ…フ、なんだ夢か、ハハハ!それにしても大袈裟な夢だなあ”
現実に気づいた不屈は立ち上がった瞬間、思わずよろめきフェンスにぶつかる。スタンドから桑原さんが駆け寄った。
「不屈君っ!がんばるのよっ!まだ最終回があるじゃない!!いい?ここで負けたら最終回裏と引き換えに、君は私を振ったことになるんだよっ!この最終回裏を私だと思ってがんばって…!!」
ジャキーン!!不屈の目が光った!!彼はゴウ監督にピッチャー復帰のサインを送る。
「や、やれるのか、不屈!?」
「たかが100点差!残り1回!俺たちの青春の輝きざまを、鳥肌を立てながら見ていて下さい!!」※正確には109点差

               


★ここから先(4巻〜)に待っている奇跡は単行本を手にとって、あなた自身の目で確認して欲しいッ!(小学館・サンデーGXコミックス)悩める若人たちよ本屋にダッシュせよ!来たれ逆境!!
※1〜3巻もここに登場してないエピソードがいっぱいあるゾ!


(ふろく)
単行本にはオマケで“島本和彦が答える逆境人生相談”コーナーがある。これがなかなか痛快だ。
Q受験生の僕は先生に志望校を言ったら「次にテストで全教科満点をとったらいいよ」と言われました。どうしたらいいでしょう。
A満点以上はとれないが、満点はとれるように出来ている。とれ!!
Q逆境ナインに憧れ色々逆境を捜しているのですが見つかりません。これが逆境でしょうか。
A逆境を捜すな、目標を捜せ!目標がでかければでかいほど障害が多い!これすなわち逆境!でかい目標を持って乗り越えろ!
Q漫画のアシスタントをしていますが自分の作品が上手く描けません。ヒット作のコツを教えて下さい!
Aここではだめだ!他の漫画家が見ているからな!とりあえず島本の単行本を(コツが)分かるまで何冊も買って買って買いまくれ!

                      


「逆境ナインは、僕が一番影響を受けたかもしれないマンガです」(うすた京介/すごいよマサルさん)





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