〜ジョジョ立ち教室・プレゼンツ〜
ジョジョの奇妙な冒険・感涙名場面50選(4)
第5部前編
【50選】 1部 2部 3部 4部前編 4部後編 5部前編 5部後編 6部前編 6部後編
【ミニ・コラム】 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
(それぞれのシーンを具体的&詳細に研究する以上、完全ネタバレになります。未読の方は御注意を!)
※文章は左→右読みですが、画像は右→左読みでお願いします!
当コーナーは荒木飛呂彦氏&集英社とは一切関係が なく、作品の著作権は荒木氏及び集英社に帰属します |
(シーン28)48巻 ジョルノとブチャラティが仲間になる パッショーネ(マフィア)の末端構成員“涙目のルカ”を空港でボコッたジョルノは、犯人探しをしていたブチャラティと戦うことになる。ジョルノはブチャの左腕にゴールド・エクスペリエンス(=GE)を打ち込んだが、ブチャの腕は別人(通りすがりの若者)の腕を付け替えたもので攻撃は効かなかった。ブチャは左腕を切り離し、右腕でスティッキー・フィンガーズを発動する「始末させてもらうぞッ!ジョルノ・ジョバァーナッ!」。 メリメリメリ。次の瞬間、顔面にパンチを食らっていたのはブチャだった。なんとジョルノは自分の腕を皮一枚まで引きちぎって腕の射程距離を伸ばし、先にブチャへスタンドを叩き込んだのだ!動きが止まったブチャ「や…やられる」。だが、ジョルノは攻撃しない。 「なぜ俺への攻撃を止める!?なぜトドメを刺さない?」「…あんたがいい人だからな。あんたは今、僕への攻撃を一瞬ためらったから、あんたへの攻撃を止める事にしたんだ。あんたは自分から外したこの少年の腕を見た時、この“腕の異常”に気づいてショックを受けて、一瞬攻撃を止めた…ですよね?」「……」少年の腕には注射の跡があった。 「麻薬をやっているこの“腕”に…ショックを受けて。あんたがショックを受けた一瞬の時間があったからこそ、僕は『ゴールド・E』を叩き込む事ができた。だから攻撃するのは止めにしたんです。麻薬をやりたいヤツがやるのは勝手だ。個人の自由ってものがあるし死にたいヤツが自分の死に方を決めるのだって自由だ。だがしかし!この街には子供に麻薬を売るヤツがいてそんなヤツは許さない…と“あんたはそう思っている”。そして彼に麻薬を売っているのはあんたとこのボスだ。そこにあんたは“矛盾”を感じている…」(そしてこの街では取り締まるべき警官が汚職をやり、政治家も腐敗している) 「…だとしたらどうだと言うんだ?」「あんたはもう僕を殺したりはしませんね。なぜならあんたは僕の仲間になるからだ。僕はあんたのボスを倒してこの町を乗っ取るつもりでいる」「何だってッ!!」「子供に麻薬を流すようなギャングを消し去るには、自らギャングにならなくっちゃあいけないって事さ。僕は“ギャング・スター”になります!」「お前の気高き“覚悟”と…黄金のような“夢”に賭けよう、ジョルノ・ジョバーナ」 ドドドドドと見つめあう両者ッ!! ※ブチャラティは人一倍、麻薬を憎んでいた。彼は子どもの頃、優しかった父親を麻薬が絡んだ事件で失っていたからだ。
(シーン29)51巻 ホルマジオの最期の言葉 ボスの娘トリッシュをボスの元まで護衛する任務についたブチャ・チーム。ナランチャはアジトに隠れる皆の為に買出しを任され、そこで暗殺チームの第1の刺客ホルマジオ(能力『リトル・フィート』は物質を小さくするスタンド)に襲撃される。激闘の果てに、ナランチャはエアロスミスでホルマジオを蜂の巣にした。 ホルマジオは吹き飛ばされつつも、“今のうちに俺に殺される方が楽に死ねたのに”との思いから、絶命前に言い残す「しょおおがねーなああああ〜、たかが“買い物”来んのもよォォー、楽じゃあ…なかっただろ?え?ナランチャ…これからはもっと…しんどくなるぜ…てめーらは…」。ホルマジオは手強いスタンド使いだったが、もっと強い敵がこの先にいっぱい待っていることがセリフから分かる、読み手がゾクゾクする最期の言葉だったァーッ!
(シーン30)52巻 アバッキオVSイルーゾォ〜アバッキオの覚悟 (注)画像は右→左読み ポンペイ遺跡に隠された鍵を回収する任務についたアバッキオ、フーゴ、ジョルノの3人。彼らは鏡の中と外を自在に行き来するイルーゾォに翻弄される。 最初に引きずり込まれたのはフーゴ。鏡の中にスタンドを持ち込めない為、フーゴはタコ殴りされる。外界でパープル・ヘイズが暴走していたことから、ジョルノたちには“フーゴがまだ生きててどこかで戦っている”ことだけは分かった。何とかして助けようと主張するジョルノに対し、“先を急ぐぜ”と鍵を取りに行こうとするアバッキオ。 「質問します。行くってまさか鍵を取りに行こうというのでは?今危機が迫っているフーゴを見捨ててですかッ!」「言葉に気ぃつけろよ貴様…フーゴを助けたいのはオレもお前と同じ気持ちだ!だが鍵をゲットしてブチャラティに渡す事が最も大切な事なんだ!もし今フーゴの代わりにオレが襲われているのだとしても、オレは見捨てて欲しいと思う!3人とも全滅する危険を冒すことがまずいんだッ!来いッ!」「拒否します!」 あくまでもフーゴを助けるというジョルノを残してアバッキオは鍵の隠し場所に走る。後を追ったイルーゾォは、鍵を手に入れたアバッキオの体を半身だけ鏡に入れ、そこで固定し身動きを取れなくした。鏡の破片をアバの口に突っ込みイルーゾォは叫ぶ「オレの勝ちだッ!くたばれアバッキオーッ!」。 “ムッ!”うずくまるアバの体の下から大量の血が流れている。「てめー何をやっているッ!その“手”を見せろッ!」なんとアバッキオは左手首を切り落としていた!ムーディー・ブルースも左手がない。スタンドの左手は鍵をジョルノに運んでいたのだ!イルーゾォは慌てて鍵を追う。「これで理解したか!くそったれのジョルノが…フフフフ、オレたち3人のうち1人でも無事に戻ればいいんだ…“鍵”を持ってオメーが無事帰れば…オレとフーゴはそれでいいんだ…」。 ※任務遂行の為なら何の躊躇(ちゅうちょ)もなく命を捨てる覚悟が出来ている、ただのチンピラ集団とは違うアバッキオの凄味に僕は唸った!
この後、わざとパープル・ヘイズの殺人ウイルスに感染したジョルノが鏡に引きずり込まれ、イルーゾォにもウイルスをうつす。たまらず外界に逃れたイルーゾォはそこでパープル・ヘイズに捉まり、ウイルスをモロに浴びて溶けた。ジョルノはウイルスを浴びたレンガをヘビに変えて(=ウイルスに対する免疫を持つ生物)、ワクチンを取り出し命を繋ぐ。 フーゴ「ジョルノッ!お前の命がけの行動ッ!僕は敬意を表するッ!」「フーゴさん、“命がけ”というのは僕の事じゃあない…僕は予想通りに行動しただけ…“命がけ”というのはアバッキオの事です。今…彼の手は重症のはずです。命がどうなろうとも鍵を守ったのは彼であり、そしてここまで鍵を運んでくれなかったら敵は倒せなかった。僕の事よりも、フーゴ…彼の手当てを…」バタッ。
(シーン31)53巻 プロシュート兄貴の長い説教 ブチャ・チームを襲う、生物を無差別に老いさせるプロシュートのスタンド、グレイトフル・デッド(体温が速く上昇する者ほど老化のスピードも速い)。プロシュートの弟分ペッシは自分まで老化攻撃に巻き込まれないよう、食堂車で氷入りのグラスを片手にミスタと戦う。スタンド“ビーチ・ボーイ”がミスタの喉元を引き裂こうとした瞬間、ピストルズがペッシのグラスを粉々に割る。氷を失い狼狽するペッシ。その時、乗客に化けていたプロシュートがミスタの手を掴み、直(じか)に攻撃した!「“直”は素早いんだぜ。パワー全開だ!」「おごおおおっ!」一気に老化しブッ倒れるミスタ。 それを見て大はしゃぎするペッシ「兄貴ィッ!やっぱり兄貴ィはスゲェーやッ!」バギィ!ペッシは鉄拳制裁された。 ここからジョジョ史上最も長いセリフであろう、プロシュートの説教が始まる-- 「いいかッ!オレが怒ってんのはな、てめーの“心の弱さ”なんだペッシ!そりゃあ確かに“氷”をイキナリぶっ飛ばされたんだ、衝撃を受けるのは当然だ!自分まで“老化”しちまうんだからな。オレだってヤバイと思う! だが!オレたちのチームの他のヤツならッ!あともうちょっとで喉に食らいつけるってスタンドを決して解除したりはしねえッ!たとえ腕を飛ばされようが脚をもがれようともなッ!オメーは“ママッ子(マンモーニ)”なんだよペッシ!ビビったんだ。甘ったれてんだ!分かるか?え?オレの言ってる事。“氷”のせいじゃねえ。心の奥のところでオメーにはビビリがあんだよ!成長しろペッシ!“成長”しなきゃあオレたちは“栄光”をつかめねえ。 ブチャラティたちには勝てねえ!そしてハッキリと言っておくぜ。オレたちチームはな!そこら辺のナンパ・ストリートや仲良しクラブで“ブッ殺す”“ブッ殺す”って大口叩いて仲間と心を慰めあってる様な負け犬どもとは訳が違うんだからな。“ブッ殺す”と心の中で思ったならッ!その時スデに行動は終わっているんだッ!」ダン!ダン!ダン!プロシュートはミスタの頭部に向けてブッ放した。 ※よい子は絶対マネしないよ〜に!!
(シーン32)53巻 ブチャラティVSプロシュート&ペッシ ローマ発フィレンツェ行き超特急の車内。ブチャラティとプロシュートが戦闘に突入、ペッシは加勢しようとするが、“まず亀のヤツらを始末しろッ!と命じられ亀の攻撃に向かう。“させるか!”ブチャはペッシの頭部に後ろ蹴りをブチ込む。ペッシ失神。よそ見をしたブチャにグレイトフル・デッド(以下GD)のパンチが飛ぶ「甘いんじゃあねーか!ブチャラティ。仲間を切り捨ててでも娘(トリッシュ)を守るためオレを倒す!それが任務じゃねえのか?『幹部失格』だな」。 GDがブチャの腕を掴む「のろいぞブチャラティ!」。直に急速老化させる気だ!だが、ブチャは冷静だった。「『任務は遂行する』『部下も守る』。“両方”やらなくっちゃあならないってのが“幹部”の辛いところだな。覚悟はいいか?オレはできてる」。ハッとプロシュートが足元を見ると床に巨大なジッパーが。 「まッ!まさかッ!き…貴様ッ!バカな!!」「“両方”やるのはわけない事だ」「てめー、放せッ!外は時速150kmだぞ…!」「おいおい掴んだのはオマエだろうがよ」床が開いた!ガッパァァーア!「うおおおおおお、死ぬ気か!?ブチャラティ!貴様ーッ!」2人は車外に放り出された!すごい風だ!ドゴォォオオ!
プロシュートはギリギリで列車の側面にしがみ付くが、ブチャが道連れにしようと抱きついている。「ペッシーっ!早く列車を止めろーッ!!」「うう…」意識が戻ったペッシ。だが、重さに耐え切れず兄貴の手が離れた!後方に落下していく2人!「おああああああ!」ペッシがとっさに釣竿(ビーチ・ボーイ)でプロシュートの腕を釣り上げた! 踏ん張るペッシ。外の2人は強風で客車の外壁に叩きつけられている。なおも右足にしがみ付くブチャを振り落とそうと、顔面に蹴りを入れるプロシュート「今のお前の行動!…本当にオシマイかと思ったよ…さっきお前のこと『幹部失格』だなんて言ったが撤回するよ…無礼な事を言ったな…。オマエは物事を平等に決断できる男だ…“自分の命”をも含めてな…。ボスが娘の護衛をお前に任せてもいいと判断したのは正しい選択だった…いや、マジに恐れいったよ」。 蹴り続けられて地面スレスレになったブチャは、最後の力でスティッキー・フィンガーズを発動する。この攻撃はプロシュートではなくビーチボーイの“糸”に対してだった!「まったく…弟分がお前を引っ張ったその“糸”に救われたぜ」「バカなッ!!」糸に与えた衝撃(エネルギー)がプロシュートに伝わり、手に付いたジッパーが開いた!ゴバッ!兄貴、落下!ブチャは奪った“糸”を掴んで客車に取り付いた。 プロシュートの体はワンバウンドして車体と車輪の間に挟まる。血みどろで絶命は時間の問題だったが、それでもなおGDを解除していなかった。泣くペッシ「分かったよプロシュート兄ィ!!兄貴の覚悟が!“言葉”でなく“心”で理解できた!」。列車を停止させて兄貴に駆け寄るペッシの前にブチャラティが現れた「何よりも困難で…幸運なくしては近づけない道のりだった…お前に近づくという道のりがな」。 イタリアの大地に陽は落ちようとしていた。列車の外で夕陽を浴びたブチャとペッシが向き合う。ゴゴゴゴゴ。瀕死のプロシュート「栄光は…お前に…ある…ぞ…やるんだ…ペッシ…オレは…お前を…見守って…いるぜ…」。
ペッシの目が座った「オメーにここで兄貴への償いをさせる!」。ブチャは息を呑む“まるで10年も修羅場をくぐりぬけて来たような…スゴ味と…冷静さを感じる目だ…たったの数分でこんなにも変わるものか…!”。「兄貴が逝っちまう前に兄貴の目の前でよオオオオー!償いはさせるぜェェェェエーッ!」。 ペッシがビーチ・ボーイを振り上げると、ブチャは攻撃を避けるどころかペッシ目掛けて突進してきた!ブチャの体内に食い込む針「心臓に食らいついたッ!ブッ殺してやるッ!」。だが、そのまま接近戦に持ち込んだブチャは、“糸”をペッシの首に巻きつけゴキンとひねった!「『ブッ殺してやる』ってセリフは…終わってから言うもんだぜ。オレたち“ギャングの世界”ではな」。スティッキー・フィンガーズがペッシを宙に放り投げた「アリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリアリ、アリーヴェデルチ!(さよならだ)」。アッパーが炸裂し、ペッシは砕け散った。ブチャがプロシュートを振り向くと、既にもう彼は絶命していた。 ※漢(オトコ)たちの熱いセリフが大量に飛び交う第5部屈指の漢バトル、プロシュート組VSブチャラティ!! 約300ページにわたるロングバトルの為、ブチャVSペッシの第1Rなど、ここに描かれていない名場面がまだまだたくさんある!漢なら52&53巻は必ず家に置いとけ!!
(シーン33)54〜55巻 超イラチ・キャラ、ギアッチョ ここで採り上げる名場面はいささか他と色が違う。友情シーンでも戦闘シーンでもなく、ギアッチョというド短気キャラの独り言だからだ。ジョジョには荒木節という独特のリズム感を持つ言い回しが出てくるけど、その荒木節の頂点ともいえるのが次の2シーンなんだ。 メローネがブチャ・チームを襲撃したポイントに着いたギアッチョは、既にメローネが敗北し、ブチャ・チームが立ち去って誰もいない状況にキレる。 「ヤツらを探し出すために…『根掘り葉掘り聞き回る』の…『根掘り葉掘り』…ってよォ〜『根を掘る』ってのはわかる…スゲーよくわかる。根っこは土の中に埋まっとるからな…だが『葉掘り』って部分はどういうことだああ〜っ!?葉っぱが掘れるかっつーのよ─ッ!ナメやがってこの言葉ァ超イラつくぜぇ〜ッ!!葉っぱ掘ったら裏側へ破れちまうじゃねーか!掘れるもんなら掘ってみやがれってんだ!チクショーッ!どういう事だ!どういう事だよッ!クソッ!葉掘りってどういう事だッ!ナメやがって、クソッ!クソッ!」。
別のシーン。ヴェネチアに向かうミスタ&ジョルノの車を襲撃した際、ミスタに反撃され、ピストルズの一斉射撃を浴びたギアッチョ。だが、驚きもビビリもせず、身にまとった“氷スーツ”で弾丸を全てブロックし、ブツブツとこんな独り言を言う。 「フランスの『パリ』ってよォ…英語では『パリスPARIS』っていうんだが、みんなはフランス語どおり『パリ』って発音して呼ぶ。でも『ヴェネツィア』はみんな『ベニス』って英語で呼ぶんだよォ〜。『ベニスの商人』とか『ベニスに死す』とかよォ─。なんで『ヴェネツィアに死す』ってタイトルじゃあねえーんだよォオオォオオオ─ッ。 それって納得いくかァ〜、おい?オレはぜーんぜん納得いかねえ…。なめてんのかァーッ、このオレをッ!イタリア語で呼べ!イタリア語で!チクショオー、ムカつくんだよ!コケにしやがって!ボケがッ!」 だんだんテンションが上がって、氷スーツの中をどつきまくるギアッチョ。ガスッ!ガスッ!
※上のようなシーンの場合、一般のマンガならここで“なぜ攻撃が通用しないか”を敵が勝ち誇って話し始めるのに、ジョジョはその解説に行く前にワンクッションの“溜め”がよくある(39巻で康一の前に初めて姿を現した吉良が、延々とスポーツ・ジムの話をしている場面なんかもそう)。読者は、ギアッチョがミスタの攻撃に無関心で、「ベニスという英語の発音」にキレてる様子を見て、あまりの超余裕ぶりにビビッちまうんだ。本能が“この敵はヤバイほど危険”だと教えてくれる。こういった、戦闘中に挿入される物語の展開とは関係ない「間」が、逆に全体の緊張感を高めていくのが荒木演出だッ!! (シーン34)55巻 ミスタVSギアッチョ、『覚悟』の戦い 空気中の水分を超低温で凍らせ装甲(氷スーツ)のように全身にまとっているギアッチョ。弾丸は通用せず無敵に見えたが、ミスタはある事実に気づく“呼吸はどうしてるんだ?空気を取り入れる穴が絶対あるはずだ!”。 ヴェネチアの運河で水中戦に持ち込んだミスタは、ギアッチョの首の後ろから泡が漏れるのを見逃さなかった。“あそこが急所だ!”ミスタは水面に出たギアッチョの空気孔に弾丸をブチ込んだ。ドグオ! だが!ギアッチョはスーツの内外に「空気の凍った壁」(空気はマイナス210度で固体となって凍り出す)を作り、弾丸をミスタ自身に跳ね返した!ミスタの弾丸がミスタを襲ったのだ!岸に上がったミスタとギアッチョ。ミスタは右肩から血を流している「チクショオオ、絶対に呼吸はしてる筈なんだ!もう一度、至近距離なら!」。ヤケになり、がむしゃらに突進するミスタにジョルノは叫ぶ「ミスタ!“覚悟”とは犠牲の心ではないッ!」。 ジョルノはまだ運河にいたが、自分の腕を裂き岸の上にいたギアッチョに血しぶきをブッかけた「“覚悟”とは!暗闇の荒野に!進むべき道を切り開く事だッ!」。血しぶきはギアッチョの側で凍りつき、鏡となって死角を消した。ミスタ「そこだーッ!ジョルノッ!確かに進むべき道がッ!暗闇に見えたぜッ!」6発全弾発射!弾丸はいったん街灯の柱に当たり(コレ重要)、次にピストルズを経由してギアッチョの空気孔を襲う。 しかし!ギアッチョは弾の軌道を超低温の空気の壁で変えてしまった!6発の弾が、ギュイン、ギュインと不気味な音を立ててスーツの周囲を飛び交う。ギアッチョの目が光った「おい〜、覚悟はできてんだろうなあああああ!とどめだッ!ミスターッ!」なんと全弾をミスタに弾き返した!ミスタは両腕で顔面を防御したものの、至近距離から撃ち込まれてしまった。血を吹き出すミスタ。 ビシャア!ミスタの返り血がギアッチョのヘルメットにかかり、視界がほとんど見えなくなった。 ミスタ「ジョルノが“覚悟”をくれなかったなら…この“道”は見えなかった。(返り血を浴びせる為に)自分の弾丸をあえて身に受けるこの“覚悟へ”の『道』は…!!」「見ッ…見えねえ…血が凍りついて…固まっ…!やッやばい!ぬぐえねえッ!」。さらにピストルズが発射されギアッチョは背後にひっくり返った。後方にはミスタが弾丸で削っておいた鋭利な街灯の柱があり、空気孔がそこにグッサリ刺さった「(ドスッ)あぼっ!!」。 ギアッチョは首が固定されて動けない!「イデッ!痛でぇぇぞッ!生…生ァァァァ、ナマッ!生暖っけえものが…俺の首の後ろから…血かッ!?血が出てんのか!?」。
ゴゴゴゴゴ。既にミスタは7発の弾を浴び、体中から血を流し、かろうじて立っている状態だ。ミスタ「お前…このオレに…『覚悟』はあんのか…と…言ったが…見してやるぜ。ただし、お前にもしてもらうぜッ!ブチ砕かれてあの世に旅立つってェェェェ『覚悟』だがなあああああ〜ッ!」「(や…野郎…まだ立ってきやがるッ!)やばい!こいつを引っこ抜かなくてはッ!」。 まさに覚悟の戦いだった!撃った弾丸は全部自分に返って来ると分かった上で、相手をさらに鉄片へ深く刺し込む為に、ミスタは真正面から撃ちまくった!「うおおおおおおおお!」ピストルズたちが口々に叫ぶ「無茶ダ!ミスタ!弾丸ハ戻ッテクルッ!」「アンタの方がモタナイッ!」。「突っ切るしかねえッ!真の『覚悟』はここからだッ!『ピストルズ』!てめーらも腹をくくれッ!うぬあああおおああ!」「ホワイト・アルバム、ジェントリー・ウィープスッ!」ドン!ドン!ドン!ダン!ダン!ダン!ボス!ボス!ボス!射撃音と両者のボディへの命中音が錯綜する!「うおおおお!」「ゲ…限界ダ!ミスタ!」「オレタチの存在ガ消エテイクッ!」「アンタノ意識ガッ!」 片膝をつきながらも、なおも撃ち続けるミスタ「ま…まだだ…オレにはまだ!意識はあるッ!まだ撃ち込んでやるッ!」
ブシュウウ〜ッ!ついにギアッチョの空気孔から鮮血がほとばしった!喜ぶピストルズたち。 ギアッチョ「違うな…(ガブッ!)…『覚悟』の強さが…上なのは…オレの方だぜ…グイード・ミスタ…。ここまで…オレを追い込んだのは…敬意を表して…やる」なんとギアッチョは、首から吹き出す自分の血を凍らせて、これ以上のけぞらないように体を固定していた!しかも弾き返された最後の一発がミスタの頭部に当たった!意識を失うミスタ。 ギアッチョは歓喜する「勝ったァーッ!!」。 倒れゆくミスタの体。だがそれを運河から這い上がってきたジョルノが抱きとめた。この瞬間に夜が明け、ジョルノの背後から朝日が昇る!「ミスタ…あなたの『覚悟』は…この登り行く朝日よりも明るい輝きで『道』を照らしている。そして我々がこれから『向かうべき…正しい道』をもッ!」。 ギアッチョ絶叫「なんだってエエエエェェェェ!」。 ジョルノのゴールド・エクスペリエンスが出現、ギアッチョにキックの雨を降らし鉄片に刺し込んだ!「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」「うぐええッ!」。ギアッチョ昇天。
※ジョジョには防御することを放棄した捨て身の攻撃がよく描かれるが、このギアッチョ戦の至近距離の弾丸の応酬ほど読んでて胃がキリキリするものはなかった。自分に弾が返ってくるのを分かってて撃つなんて、想像しただけでブルッちまうぜ!(ミスタは20発近く撃っていた) 《ピックアップ〜このシーンが特にスゴイ!》 ゾクゾクと鳥肌が立った、超カッコイイ演出を紹介ッ!ギアッチョのゴーグルから見たカット!ミスタの返り血がベットリと付いてて、その隙間から拳銃と足が見える。鉄柱が刺さって自分は体を動かせず、目の前で弾が込められていくのを固唾を呑んで見ているという状況だ。まるでその場にいるような、すっごい臨場感だッ!!
(シーン35)55〜56巻 トリッシュの救出&ブチャラティの過去 組織のボス(ディアボロ)から、ヴェネチアのサン・ジョルジョ・マジョーレ島の大鐘楼の上に、“娘のトリッシュを連れて来い”と命じられたブチャラティ。島への上陸を許可されたのは護衛役の彼だけだ。鐘楼のエレベーターの中でトリッシュは不安を打ち明ける「あたしこれからどうなるの?会った事もない、愛情なんかない父親のところに連れて行かれて…」「ボスはただ君の無事を心配しているだけだ」「あたし…父親の事…好きになれるのかしら?」「そんな事を心配する親子はいない」「そうよね…」「着くぞ!塔上だ…」。 トリッシュの返事がない。握っていた彼女の手を見て驚愕するブチャ。トリッシュは手首から上がなかった! 「なにイィィィィィィィーッ!トリッシュ!!まさかッ!そんなッ!まさかーッ!!オレたちに護衛の任務をさせたのはッ!自分の娘を確実に自らの手で始末する為なのかァァァァァーッ!!」
※ここでブチャの過去が初めて語られる。彼が7歳の時に両親は離婚するのだが、母親は家を出て行くときに“父さんと母さんのどちらと暮らしたい?母さんと一緒にこの村を出て都会に行きたいでしょう?それとも父さんと一緒に何もない村に残る?”とブチャに問いかけた。母親の説明は公平でなく誘導的だったが、漁師の父親はただ黙っていた。ブチャは母親に甘えたい年頃だったが父親を選ぶ。彼は本能的にこの離婚で真にダメージがあるのは父親の方だというのを知っており、母は都会で過去を忘れ元気にやっていくが、父のような男は 過去を引きずりきっとダメになってしまうだろう、“一緒にいてやらねばならないのは父の方なのだ”と考えたのだ。母親は“なんですって!”と取り乱しつつも、父を選んだブチャの性格を誇りに思い、また息子の『人の悲しみを知りすぎる優しさ』が自分の人生を“不幸”にしなければいいのだが…と心配した。 その後、父はブチャを良い学校へ入学させる為、真面目一本に働き続けていたが、偶然麻薬の取り引き現場を目撃した事で、口封じの為に殺された。
「吐き気をもよおす『邪悪』とはッ!何も知らぬ無知なる者を利用する事だ…!自分の利益だけの為に利用する事だ…!父親が何も知らぬ“娘”を!てめーだけの都合でッ!許さねえッ!あんたは今、再びッ!オレの心を裏切ったッ!」。それは、ずっと信じていたボスが、父の命を奪った“欲望の白い粉”に自ら手を染めている事を知った時に続く、2度目の激しい怒りだった。
薄っぺらいキャラ設定ではなく、それぞれのキャラクターに複雑な過去が用意されているため、読者は作中の人物に感情移入できる。80巻までイッキに読ませる魅力は、こうした丁寧なキャラの肉付け、作りこみから 生れていく!! (シーン36)56巻 ブチャラティの裏切り〜ナランチャの涙 ボスにトリッシュを引き渡したはずのブチャラティが、再び彼女を連れ帰ってきたことに戸惑いを隠せない仲間たち。しかもトリッシュは気を失っている。 アバッキオが口を開いた「どういう事なんだ?ブチャラティ!説明してもらおう!何をやってるんだ!?あんたは!」「分かった…単刀直入に言おう。トリッシュを連れ帰ったのは、たった今!オレがボスを“裏切った”からだッ!お前たちとはここで別れるッ!これからお前たちがオレと一緒に行動すれば、同じ“裏切り者”になってしまうからだ!」。 ミスタ「な…なんだって?」。アバッキオ「……」。ナランチャ「よ…よく分からないな。今言った事…今何て言ったんです?」。フーゴ「“裏切った”と言ったんだ…ボスを!」。 ジョルノ「僕は説明すべきだと思う。あなたに“ついて来る者”がいるかも知れない」。ブチャは、ボスが自分の正体に関係するもの全てを消す為に、娘まで殺すつもりだった事を話した。 アバッキオ「裏切り者がその後どうなるのか…知らぬわけではないだろうに」。
ブチャは背筋を伸ばし、毅然として口を開く「“助け”が必要だ…共に来る者がいるのなら…ボートに乗ってくれ。ただし、オレはお前たちについて来いと“命令”はしない…一緒に来てくれと“願う”事もしない…オレが勝手にやった事だからな…だからオレに義理なんぞを感じる必要もない。だが一つだけ偉そうな事を言わせてもらう。オレは『正しい』と思ったからやったんだ。後悔はない…こんな世界とはいえオレは自分の『信じられる道』を歩いていたい!ボスは必ず倒す!“弱点”は必ず見つける!」。 うつむくナランチャとフーゴ、背中を向けるミスタ、座り込むアバッキオ。フーゴが言葉を絞り出す「言ってる事はよく分かったし正しいよ、ブチャラティ…だけど、残念だけど…ボートに乗る者はいないよ…あんたに恩はあるがついて行く事とは別だ…あんたは現実を見ていない…理想だけでこの世界を生き抜く者はいない。この組織なくして僕らは生きられないんだ…」。
アバッキオ「フーゴの言う通りだぜ。あんたのやった事は自殺に等しい。世界中どこに逃げようと、もうあんたには“安息”の場所はない…そしてオレが忠誠を誓ったのは“組織”なんだ。あんたに対し忠誠を誓ったわけじゃあねえ!しかしだ…オレも元々よォ〜、行く所や居場所なんてどこにもなかった男だ…!この国の社会から弾き出されてよォー、オレの落ち着ける所は…ブチャラティ、あんたと一緒の時だけだ」何とアバッキオはボートに乗り込んだ! 続いてミスタがスッと立ち上がる「ボスを倒したのならよォー、実力から言って…次の幹部はオレかな」。 フーゴが叫ぶ「ミスタッ!お前ら、ど…どうかしているぞッ!完全に孤立するんだぞッ!どこに逃げる気なんだッ!?」。
ナランチャは苦悩する。彼はブチャラティに“一緒に来いと命令してくれ”と懇願する。「だめだ…こればかりは“命令”できない!お前が決めるんだ…自分の“歩く道”は自分が決めるんだ。だが忠告しよう。『来るな』ナランチャ…お前には向いてない」。 ボートがフーゴとナランチャを残して岸から離れて行った。フーゴは拳を握る「なぜ…正気じゃあないぜッ!どういう物の考え方してるんだ!?」。この時、ナランチャの瞳にトリッシュの右腕が映った。彼女の手首は、ブチャのジッパーで繋がっており、傷口から流れた血がポタポタと海に垂れていた。ナランチャは瞬時に彼女がどんな目にあったのか理解した。彼女の手首は父親(ボス)に一度切断されたのだ…!
愕然として立ちすくむナランチャ「トリッシュは…信じる人に見捨てられた…オレも昔…見捨てられた…。父さんからも…信じていた友達からも…見捨てられた…同じだ…トリッシュと“オレ”は、なんか…『似てる』…」。
ジョルノがボート後方の異変に気づいた「ブチャラティ、振り返ってください」。そこには遠ざかるボートを必死に追いかけて泳いでいるナランチャがいた!「ブチャラティィィィィィィィィ!行くよッ!オレも行くッ!行くんだよォーッ!!オレに『来るな』と命令しないでくれーッ!トリッシュはオレなんだッ!オレだ!トリッシュの腕のキズは、オレのキズだ!!」。ボートはUターンし、号泣しているナランチャをアバッキオが引き上げた。
※極限の孤独地獄を味わったナランチャだからこそ、トリッシュの絶望や痛みを全存在で感じることが出来る。彼女が見る暗闇を想像できてしまうんだ。このナランチャの落涙シーンは、第5部のみならず、ジョジョ全巻を通して5本の指に入る屈指の名場面だと思う!初めて読んだ時よりも2度目、2度目より3度目と、自分が年をとった分だけ読み返す度にいっそう泣けてくる、そんなナランチャの慟哭シーンだ。 (この「50選」を作り始めた当初から、早く本場面を紹介したいとずーっと待ちわびていたァッ!!) ※フーゴは死なずに済んだがそれで幸せかどうかは分からない。誰もが『黄金の精神』を持っているわけじゃないので、脱落したフーゴの存在が物語をよりリアルにする。 (シーン37)57巻 ナランチャVSティッツァーノ&スクアーロ 「ナランチャ、お前の言う“敵のイメージ”が全くオレたちに伝わって来ないな」ブチャラティを始め、チームの皆は「敵スタンドを見た」というナランチャの証言が二転三転するので戸惑った。ヴェネツィアのレストランでナランチャが攻撃を受けたのは、水から水へ自由に移動する魚型スタンド「クラッシュ」(本体スクアーロ)。コップの水、スプーンのスープ、とにかく水があればどこでも瞬間移動でき、サメのように喰らいつく素早いスタンドだ。
ところが、ナランチャが特徴を話そうとすると、「のろい」「ドでかい」と正反対のことを言ってしまう。キレるミスタ「辻褄が合ってねぇ!でかくてのろいやつなら、なぜオレたちに見えなかった?」。…実はスクアーロには相棒ティッツァーノがいて、ナランチャを攻撃した際に、ティッツァのスタンド「トーキング・ヘッド」が発動していたのだ!その能力は、相手の舌に密着し、考えと反対のことを言わせるというものだった(地味な能力だがこれが手強い!)。 ナランチャは頭の中では皆を水場から遠ざけようとするが、「調理場にいた!」「手洗いにいた!」など、逆にクラッシュの側に誘導してしまう。敵の最優先ターゲットは仲間の負傷を治すジョルノ。クラッシュはジョルノの首に喰らいつき、床の水溜りに引きずり込んだ。「うああおおおお、ジョルノォォォオーッ!」ナランチャはエアロスミスでクラッシュを撃つが、敵はジョルノをくわえたまま別の水溜りへ瞬時に移動して弾が当たらない!ナランチャは二酸化炭素探知レーダーを使って敵の軌道を先読みしたが、ジョルノの喉に入っていくクラッシュを見てパニックを起こし、誤射でジョルノを撃ってしまう。「うあああっ、ジョ…ジョルノをッ!そ…そんなつもりは!」。 結果、クラッシュがジョルノを下水に引きずり込むのを許してしまう。 「しまったアアアア!逃げられたああああああ!」叫ぶナランチャ。下水では失神したジョルノをクラッシュが仕留めにかかる。その時、ティッツァーノが青ざめた「オレのトーキング・ヘッドがやつの舌に引っ付いているのに“逃げられた!”と言ったぞ!スクアーロ!すぐそこを移動しろッ!今いる下水管はまずいッ!“逃げられた”と言ったのはわざとだ…!君を安心させるために!探知されているぞッ!早く移動しろーッ!!」ドドドドド。既に上空にはエアロスミスがいた。ナランチャ“ジョルノはあの時…わざと動いて撃たれたんだ…硝煙(火薬の煙)を作ってオレが追跡できるように…行くぜッ、ブチ込むッ!”。 機銃発射!クラッシュに命中!本体スクアーロの腕と足から血が吹き上がった!焦るティッツァ「まずいぞ!スクアーロ!2発撃ち込まれたってことは、今度はお前の“硝煙”を追ってくるぞ!」。クラッシュは調理場にジャンプして逃げまくったが、負傷のせいで徐々に動きが鈍くなり、コンロ上の鍋に逃げたところでさらに撃たれてしまう。「次はとどめだ!」勢いづくナランチャ。だが、これはスクアーロの作戦だった。鍋から漏れた水で火が消え、厨房にはガスが充満していた!引火するのでこれ以上機銃を撃てない! 「撃てるものなら撃ってみろッ!これでオレたちの勝利だッ!」襲い掛かるクラッシュ。「撃てねえーんなら撃てねぇーでよオオオオ!てめーを殺る方法はあるぜェェェーッ!!」ナランチャはエアロスミスを密着させ、プロペラの回転でクラッシュを引き裂いた!「やった!敵をやったぞッ!」こう叫んでギョッとしたナランチャ“オレ今、なんで本当のことが言えたんだ?”。実はティッツァには策があり、一時的にトーキング・ヘッドを解除していた。
店の前で敵の手掛りを探していた他のメンバーがナランチャの声を聞いて駆けつける。床に転がるクラッシュに気づいたミスタがすぐに銃を構えた「そいつが敵か?野郎ッくらえ!」。“いけない!ガスが爆発してしまう!”、ナランチャが慌てて撃っちゃダメだと叫びかけた時、トーキング・ヘッドが発動した!「撃てェー、ミスタ!撃つんだぁぁあ!(なにっ!また嘘を!!)」。ドグオオオン!コンロが爆発し吹っ飛ぶブチャ・チーム。
衝撃でジョルノが蘇生したが、再びクラッシュに連れ去られ、彼のテントウムシのブローチだけが残った。追跡するにも、あちこち火が燃え広がりナランチャの探知レーダーは役に立たない。他の3人もダメージを受けている。「オレひとりだ!ひとりでやるしかねぇ!」ナランチャは雑踏に飛び出した。こうなれば本体を探し出して叩くしかない。 店を見張っていたスクアーロ「おい見ろ…ナランチャだ…レストランの外に出て来たぞ…なんで外に出て来たんだ!?」「落ち着いてスクアーロ。この半径100m界隈だけでもどのくらいの数の人間がいると思いますか?
50人?100人?君と一般市民を区別できるわけがない!」「ヤツは『呼吸の荒い者』を…区別して探そうって考えなら?」スクアーロは戦闘のダメージでかなり息があがっていた。「焦らないでスクアーロ。広場にはサッカーをする者や急ぎ足の者もいる…君より『呼吸の荒い者』は何人もいる!区別できるわけがない!」2人は広場に移動し、ティッツァはスクアーロの負傷を上着で隠してあげた。「平然とこの広場にいれば安心です!」「確かにお前の言うとおりだぜ…見つかるわけはないな」。 「見つけたぞ!そこに!いるな!」ナランチャの声が人ごみの中から聞こえた。仰天するスクアーロ「な!?なんだと!?しまったッ!クラッシュを戻さねば!」「落ち着いてスクアーロッ!よく考えてッ!トーキング・ヘッドが舌にいる事を忘れないでッ!“見つけたぞ”と言う事は“見つからない”という事、安心して下さい…!!わたしのトーキング・ヘッドは確実にやつの舌にひっついて…」「お…おい…見ろ…あいつの…口の中…」「なっ!!なんだとオオオオオオ!!」。ナランチャの手にはナイフがあり、刃先には舌が刺さっていた。彼はスタンドごと舌を切り取ったのだ!戦慄するティッツァ「バカなッ!舌を切り取ったら生きてなどいられないッ!ましてや喋る事など…!」。スクアーロは悟った「ジョルノの野郎がさっき料理場で舌の“部品”(テントウムシのブローチ)を創って渡したんだッ!く…来るぞッ!やはりオレの呼吸は探知されてたんだ!」「ハ…ハッタリに決まっているッ!もし探知しているのなら、とっくの昔に攻撃しているハズだ!!」。
うつむいてレーダーを見つめるナランチャ「この人の数だ…いろんな“呼吸”がある…“荒い息”!“ゆっくりの呼吸”!いろいろあって見分けがつかない!!だが待ってたぜ…オレはこれを待っていた!急に『呼吸』を『大きく乱す』ヤツを!!自分のスタンドがベロごと外に出ているのを見て…大きく動揺するヤツを!!」。 顔が引きつるティッツァ「なん…だって…!!」。「今ッ!『呼吸』を乱したなッ!おめーだよーっ、おめえ〜!髪の長いオメーに言ってんだぜ、オレはよォーッ!」。
「なんてこった…こいつ…この私の方を探知する為に…自分の舌を…」「つぅ〜事はよォォォォ、“サメ使い”はよォォ〜、その隣の野郎だな?よく見りゃあ顔色悪いぜ…おめーの隣にいる野郎の方がよォ〜!!」。ティッツァはスクアーロに早くクラッシュを戻せと耳打ちする。スクアーロ「すでに下水管内を移動して近くまで来ている…しかし…呼吸を探知されないように…この広場に隠れようとしたのはマズかったぜッ!!この広場には『水』がねえッ!ナランチャの近くまでジャンプする為の『水』がねえッ!」。 スクアーロを指差すナランチャ「てめーの方がよォォォ!ジョルノを連れてった野郎だなぁぁぁぁぁ!くらえッ『エアロスミスーッ』!!」機銃一斉掃射!ドンドンドンドンドン!全弾命中!しかし、弾を浴びたのはスクアーロではなくティッツァーノだった!ティッツァがスクアーロの壁となったのだ!絶句するスクアーロ「え?ティッツァー…!?ティッツァーノオッ!?」噴き出した血がナランチャに降り注ぎ、ティッツァはそのままスクアーロの腕の中に倒れ込んだ。
ティッツァ「これなら…ナランチャのところまで…ジャンプできる『水』ができたろう…スクアーロ。ほんのちょっぴり…予定通りではなかったが…『勝利』にはかわりがない。オレたちの『勝ち』には…な」。 絶命したティッツァーノの体を、片膝をついて抱きかかえたスクアーロは、ワナワナと言葉を搾り出す「“ボスの命令”…そんな事はもう…どうでもいい…“任務”が動機でヤツを殺るのではない…。ティッツァーノ…オレはお前のためにヤツを始末する…死体は破片も残さねぇ…。クラッシュ!喰い破れェェェェ、喉をヲヲヲヲヲオオオオオオオオオオ!」 ナランチャの肩についた返り血にクラッシュが出現し、速攻で喉へ喰らいついたッ!ナランチャの首から鮮血がほとばしる!
ギラン。ナランチャの目がスクアーロを睨んだ。「ひるむ…と!思うのか…これしきの…これしきの事でよォォォオオオオ!」。ナランチャは攻撃を受けているのに全く動じない!
「オレたちはよォ…このヴェネツィアを…何事もなく…皆で脱出するぜ。それじゃあな…。(エアロスミスの機銃が火を吹く!)ボラボラボラボラボラボラボラボラ、ボラーレ・ヴィーア(飛んで行きな)」。 蜂の巣にされて背後に吹っ飛ぶスクアーロ「こんな…圧倒的な“精神力”…『裏切り者のくせに』…ボスに始末される運命の…未来に絶望しかない者のくせに…なんなのだ?こいつらを突き動かす…まるで希望があるかのような精神力は、い…一体?」ドグシャアアッ。ついに激闘は終わった。
※読者的には、ティッツァーノの捨て身ガードにグッときて、敵ながら一瞬感情移入しかけるんだけど、その直後に首から血しぶきを上げながら仁王立ちしているナランチャの「これしきの事で」にガツンとやられる。 これは第5部全体でナランチャの最もカッコイイ見せ場だろうッ!! ●ミニ・コラムその6〜『覚悟』の漢、その名はカルネ! このコラムでは、第57巻に新たな敵(親衛隊)として登場しながら、わずか5ページで殺られてしまったことで、ジョジョラーからも名前を忘れられがちな、ヒジョ〜に存在感が薄いキャラの一人・カルネを採り上げたい。 カルネは巷で言われているようにヘタレ・キャラなのか?NO!僕はカルネをプロシュート兄貴に匹敵、否、それ以上の『覚悟』の持ち主だと信じている。彼のスタンド「ノトーリアス・B・I・G」は本体が死ぬ事で攻撃を開始するというトンデモ能力。それゆえ、カルネは自分から殺される為にヴェネチア空港のブチャ・チームの前に現れた。…考えて欲しい。たとえ組織の命令だからと言って、確実に死ぬと分かっている命令を遂行できるだろうか?ボスを殺ろうとした暗殺チームの連中も相当な『覚悟』の持ち主だったが、彼らは「暗殺」という危険な任務に従事しているのに、“汚れ役”として周囲から蔑まれている事に抗議して立ち上がった連中であり、名誉ある地位で幸福に暮らしたいという目的で戦っていた。それは未来に繋がる、この先も生きていく為の『覚悟』だ。だが、カルネは違う。彼が見せたものは人生を終わらせる『覚悟』だった! 彼がどんな経緯でパッショーネに入団したかは描かれていない。だが、自分の命を差し出せるほどボスや組織に恩を感じていたのは確かだ。単純に「狂信的」という言葉で片付けたくない。僕はカルネが、人生に絶望し、何の希望もないドン底の境遇にいた(それこそ生きる屍だった)時期に、何らかの形で組織に命を救われたのだと思う。だから、ボスから直接“カルネ、今こそお前の力が必要な時が来た。空港へ行き裏切り者を消せ”と指令を受けた時、“俺は既にあの頃一度死んでいた。その後、今日まで生きてこれたのは、心を支えてくれた組織があったからだ。とっくに失っていたハズのこの命を、ついに役立てる時が来た、ボスに恩を返せる時が来た!”と、半ば嬉々として空港を訪れたのだと思う!
組織の末端構成員からボス直属の親衛隊になれたのは、それなりの人望を持っていたからで、多くの友がいたに違いない(くだらない男を親衛隊にすればディアボロ自身の名が汚れるので、この人選は慎重だったハズ)。 彼にだって愛した女性がいただろうし、パッショーネの幹部になりたいという夢もあったろう。そういう現世の幸福を全て捨て去り、ミスタの銃口に死への行進を続ける彼を漢と呼ばず、誰を漢と呼ぶのだろう!?
本体が死ぬ事で、怨念エネルギーによって発現するスタンド「ノトーリアス・B・I・G」は、相手の肉体&スタンドを食べて成長する。通常はスタンド使いを殺せばスタンドは消滅するが、ノトーリアス・B・I・Gは既に本体が死んでいるので殺すことは出来ないし、本体がいない以上、射程距離も無限だ。動くものを片っ端から喰っていき、しかも弾丸より素早く動ける最強クラスのスタンドだ!(仮にDIOが時を止めて無駄無駄ラッシュをしても、細かな破片に千切れるだけで完全に殺すことは出来ない)
最終的には飛行機を呑み込むほど巨大になって、飛行機もろとも海上に落下したッ!
カルネ、あんたは強かった。あの強力なブチャ・チームでさえ「ノトーリアス・B・I・G」を倒すことが出来ず、ただ逃げまわることしか出来なかったのだ!このコラムをカルネの為の石なき墓としよう! ★第5部後編に続く |
プロシュートとペッシ 絵 しやなさん |
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