★アニメ『機動戦士ガンダム』はなぜ名作なのか?

【 ファン用・制作エピソード集 】



●打ち切りになってなかったらこうだった!

※「ガンダム記録全集5」「レーザー・ディスクBOX」より

第43話『グラナダ攻略』
シャア、宇宙用アッザムで出撃。この回、シャアがキシリアを刺殺!最後の会話--「刺せ」「お言葉に甘えさせてもらおう」。

第44話『エルメスのララァ』
グラナダでララァとバトル!エルメス本体は地下基地。ビットのみ地上に展開。

第45話『遭遇!ララァ』
シャアを助けてララァ散る。これはTVと同様。

第46話『デギンの降伏』
なんとデギンがホワイト・ベースに和平の為に乗り込む!デギンはセイラに「アルテイシア殿である事は判る。話し方が、母上のトア殿にそっくりだ」「ダイクンを殺したのはやむをえなかった」と謝罪する。この後、ギレンの部隊が和平を阻止すべく戦艦グレート・デギンを急襲。デギンの最後の言葉--「もはやこれまで、恨みがあるなら、アルテイシア、私を討て!」。セイラは今のデギンを討たなかった。

第47話『ジオン最終兵器を探れ』
ソーラ・レイ建造でジオンに強制疎開の動き。
  
第48話『ジュピター船団を撃つ』
ジオンのスパイ、クスコ・アルをブライトが射殺。

第49話『ソーラ・レイPART1』
ソーラ・レイが月面を航行する連邦軍主力艦隊の半分を蒸発させる。

第50話『ソーラ・レイPART2』
ソーラ・レイの第2射が放たれ、これで残った連邦艦隊も壊滅(レビル殉職)。
アムロはシャアとのラストバトルを制す。

第51話『ジオン殲滅PART1』
ホワイト・ベースはジオン本国サイド3に突撃する。圧勝を確信するギレンは、グワジンで自ら連邦を迎え撃つ。戦線は移動し、宇宙要塞ア・バオア・クーが最終決戦の地となった。

第52話『ジオン殲滅PART2』
「ニュータイプを、甘くみすぎた」ア・バオア・クーに逃げ込むギレン。アムロとシャアは協力してギレンを追い、アムロが射殺。しかし、ギレンはすでに要塞の自爆装置を作動させていた。大破したホワイトベースとガンダムを捨ててアムロたちは脱出する。傷を負ったシャアはア・バオア・クーに残り要塞と運命を共にする。
完。

※第46話がなかなか面白そう!あのまま続いていればサイド3までWBは行ってたんだね。


●制作スタッフVSスポンサー メカ・デザインの魅力&裏話

ガンダムのプラモデル(以下ガンプラ)は、80年7月の発売開始以来、04年3月末までに25カ国で計3億6000万個も売れている。単純計算で日本人一人当たり2個以上所持していることになり、120%、あらゆる家庭にガンプラがあるはずだッ!

実際、ガンダムに登場するモビルスーツのデザインは、何時間、いや何週間鑑賞していても見飽きないラインの美しいものが多い。モビルスーツのフェラーリともいえるゲルググを始め、マラサイやサザビーなどは、ジッと見つめているだけでうっすらと涙が滲んでくる。最近のアニメに多い、出てきて消えるだけで何の印象も残さずインパクトの薄いメカに比べ、これは特筆すべきことだァーッ!!
(ゼェー、ゼェー、ハァー、ハァー)

〔ガンダムの初期構想〕

アニメ制作会社サンライズは、前2作(ザンボット3、ダイターン3)の玩具の売れ行きが好調だったので、スポンサーのおもちゃ会社・クローバー(後にザブングルの玩具が売れ行き不振でダンバイン放映中に倒産)に対し強気になり、“新番組は人間ドラマを前面に出したシリアスなものにしたい”と企画会議で進言、なんとロボットの登場しない戦艦と戦闘機のみの作品コンセプトを提示した。同席したクローバーの役員は“こんな木馬みたいな玩具を作っても商売にならない”と絶句。
青ざめたスポンサーの意向を受け、従来通り巨大ロボを登場させることになった。

「し…しかし!俺たちだってもっと冒険がしたい…!」サンライズのクリエイターたちは、新境地を開拓したい一心でスポンサーとの妥協点を模索した。

メカデザインを担当した大河原邦男は語る。
『一番最初はガンキャノンが主役という感じだったんですよね。ただ、それだと(クローバーが)商売上つらい感じだったし、三つ作ると商売的に採算が取れるらしいんだよね。ザンボットも三体合体だったし。それで、スポンサーさんに納得してもらう為にガンタンクも加えて、ガンダムを主役にして、コア・ファイターを中心に3通りに換装出来るということでOKをもらったんです。売れる売れないなんていうのはわかんないものねぇ。まずはスポンサーさんがOKしないと、にっちもさっちも行かない世界ですし、当時はそういう高い年齢層(のファン)が狙えるなんて誰も気付いてないようなところもありましたから。敵メカは絶対にオモチャにはならないというのが当たり前だったし。ザクのモノアイだけは監督がこだわっていましたけど。(スポンサーが超合金玩具の)クローバーだったから、プラモは当分出ないだろうとは思ってたんですよ。』(byガンダム公式百科事典から要約)

ガンダムの初期デザインにはスパロボにありがちな“口”が描かれていたが、キャラデザインの安彦良和氏から「何で口がついているのですか?こういう(シリアスな)話でメカが喋るのはないでしょう」とツッコミがあり、最終的にマスクが付けられた。

次の企画会議で、サンライズは「ロボットものでありながらリアル路線を追求した」新たな青写真をぶちまけた。それは---“敵メカはザク一体のみ、ガンダムの機体は白一色”というものだった!(白一色はスター・ウォーズの影響)

この構想を聞いてスポンサーは仰天。玩具は作品世界を再現するものではなく、子供が手にとって遊ぶものと考えている業者としては、これまで同様の“ロボット・プロレス”を希望しており、当然ながら次のように猛反発。
・もしウルトラマンに毎週同じ怪獣が出て来れば、観ている子どもは飽きるだろう。ザクだけでは視聴率がボロボロになるのは目に見えている!
・おもちゃを発売しようにも、敵がザクだけでは商売にならない。敵の種類は多い方が良い!
結局、スポンサーの圧力で「ザク以外も登場させる」ことが告げられ、現場スタッフたちは「そんな話は聞いていないぞ!降りる!」と激怒し大爆発したという。

ガンダムに色を塗れと指令が下り、安彦氏が選んだのは赤・青・黄の信号機カラー。この配色は、当時ロボット物の正義のヒーローの定番配色が赤・青・黄だったので、「この配色にしとけばメーカーも文句を言うまい」と色付けしたものだった。(富野監督の“主役メカ・白一色”の悲願は、後の『エルガイム』で成就した)

晴れてガンダムの放送開始!オンエア中もサンライズはよく頑張った。ザク以外のモビルスーツを出すことになったものの、第12話のグフ登場まで、業界の常識を打ち破ってほんとにザク一体で貫き通した!

とはいえ、クローバーは怒り狂った。実際、玩具が売れていないのだ。だが、これはクローバー自身の責任でもある。なぜなら、クローバーが発売していた超合金のガンダムは、短足&ずん胴でまったくアニメと似ていなかったからだ!そんな出来なので、ガンダムを熱心に見ていた少し高めの年齢層には完全無視され、クローバーがターゲットにした低年齢層は、ガンダムは難しいので見ないことから、当然玩具の人気もサッパリだった。
※もう少し詳しく書くと、クローバーの商品開発力は著しく低く、ガンダムの玩具の設計をタカラの子会社に依頼していた。だから超合金の“ガンダムDX合体セット”はタカラ製ともいえる。何より「ガンダム」という作品タイトルを考え出したのがタカラの出向社員だった。

そこでクローバーはより玩具性を強めたメカの登場(出来れば合体モノ)を強要し、その結果第24話に登場したのが「Gアーマー」だった!ガンダムを前後から挟んで飛行するこのGアーマーは、あまりに設定が馬鹿馬鹿しいという理由から映画版には登場していない。スポンサーには“怪獣ロボット・ヒット神話”が根強くあり、Gアーマー以降も制作サイドに圧力を加え続け、明らかに作品世界から浮きまくっている怪獣型デザインのビグロ、ザクレロ、グラブロなどが生み出されることになる。(特にザクレロはタイムボカン・シリーズと勘違いしているのではと、ファンの失笑を買った)


   ザクレロVSガンタンク。世も末。


サンライズの奮闘虚しく、ガンダムの視聴率は地の底を這い、ついに涙の打ち切りに。この放映終了直前にガンダムの商品化権(版権)を買い取ったのが、かのバンダイ帝国だった!バンダイが版権獲得を世間に公表したのは最終回のオンエアの5日後。もちろん、放送が終わった番組の版権をわざわざ得るなんて異例中の異例だ。このバンダイの判断は、半年後に発売されたガンダムのプラモデルがバカ売れしたことで、先見の明だったことが実証された。
ここからバンダイ帝国の伝説が始まる。とにかく発売するモビルスーツはすべてが飛ぶように売れ、日本各地で品切れ店が続出。地方の玩具店でさえ、新たな機種が発売される日には早朝から長蛇の列が店先にできた。欲しくても手に入らないことが、ファンの熱狂をさらに煽った!
(僕もゾックの発売日には4時半から並んだッ!)

テレビでは再放送が驚異的な視聴率を弾き出し、調子に乗ったバンダイ帝国はありとあらゆるものをキット化し始める。最後には番組に出てこなかった、下書きしか残っていない「ゾゴック」や「ジュアッグ」まで発売される始末。しかも、そんなトンデモ・メカの“アッグガイ”が78万個という売り上げを叩き出し、市場もファンも理性が蒸発し混乱を極めていた。82年には千葉県のダ○エーで、入荷したガンプラを目掛けて殺到した客が非常階段で将棋倒しになり、小5の少年が圧死するいう痛ましい事件まで発生した。(少年は1/144量産型ザクを求めていたという)

「ガンダム」の人気がプラモデルの人気に火をつけ、ガンプラ・フィーバーがさらに作品の人気を沸騰させるというフィードバック状態が起こり、その狂熱の中で劇場版3部作が次々と公開された。

※当時、ガンプラ・ファンが嘆いていたのが、悪質な抱き合わせ販売だ。ドムやザクだけが欲しいのに、「ラーメン屋台」や「松本城」、「ガンガル(最悪)」などが紐で一つにくくられており、それらも一緒に購入させられたのだ。ひどい話だ。僕は最高でガンプラ一個に4個のトホホ・プラモがセットになっているのを目撃した事がある。しかし、後に分かったことだが、これは小売店のせいではなかった。実は、問屋の段階からこうした悪行がまかり通っていたのだ!そりゃ、町の小売店が抱合せ販売に追い込まれるのも無理はないかも。憎むべきは卸し問屋!!

バンダイ帝国はその後、サンライズの株式の大半を買い占めて、事実上サンライズを子会社にした(「逆シャア」公開時)。強大な権力を手に入れたバンダイ社員は富野御大に向かって、あろうことか
「ストーリーなんかどうでもいいんです、30分のCMだと思って…」
と口を叩き、御大を激高させたという。近年、ガンダムWやSEEDに5機のガンダムが登場するのも、すべてバンダイ側の意向によるものだ。

だが、版権がクローバーのままではプラモは出なかったと思うし、昨今のガンプラの究極進化(接着剤を使用しない、可動部分多数、プロポーション抜群)を考えると、やはりバンダイ帝国の技術力は素晴らしく、ガンダム・ブーム存続への功績は大きい。うーん、この辺はなかなか難しいところだね。(自分に権力があれば、サンライズに国家予算を割いて自由に好きなものを作らせてあげたい!)

〔カミーユ〕

Zガンダムの主人公カミーユの名は、彫刻家ロダンの女弟子カミーユ・クローデルからきている。彼女は卓越した技術を持っていたが、19世紀社会は女性の芸術家を評価せず、私生活でもロダンを愛し、捨てられ、とうとう発狂してしまう。最後は精神病院の中で生を終えた。“発狂”というキーワードからこの名前になったとは…あまりにヘビーで言葉もないっす。


《このコーナーはまだまだ増えます。乞うご期待!》


※プラモ業界の裏話など、とても参考になるサイト。コンテンツにあるガンダム資料館内の『ガンダムの80年代』が力作です!
http://www2s.biglobe.ne.jp/~ryuseik/index.htm


※僕の解説で重大な間違いがあればご指摘下さい。なんせガンダムには裏設定が山のようにあるので… r(^_^;)


★「無残な大人達に物言う資格なし」--富野由悠季監督インタビュー〜『週刊東洋経済1/10号』から

『●今の若者世代の問題点は?
--若い人達よりもむしろ、40代、50代の人々のモノを考える力が衰えていて、これが若い人達に波及しているのだということを認識する方が先でしょう。一般教養をきちんと束ねられなくなった大人達が、どうして若者の問題を論じられるのかが一番の問題であって、若者の責任は2番目でしょう。自民党は何百人もの議員がいる組織なのに、あの程度のリーダーしか担ぎ出せないのは無残なものです。他にも、自己権益を守る官僚とか、10億円単位の年収をとる経営者とか、フィクションの世界でやっている金融ファンドを“実業”と思っている大人とか。でも、それを無残だと認識している大人はいないでしょう?自衛隊内にはクーデターの芽が育っていても、大人達はその危機感すら持っていないのだから、若者論を論じている暇なんかありません。
●最近の若者の“冒険をしない、消費をしない”という傾向をどう思いますか?
--若者が温室の中で飢えることなく暮らしていけるシステムを作ってしまったのは我々なのです。温室育ちの子が温室の外に出て行くわけがないでしょう?「外に出ろ」という自覚を喚起する言葉を、中年世代が発信していないことの方が問題だと思っています。それから、僕は子どもの頃から広告というものがもの凄くイヤで、なぜ欲望をそこまで喚起しなくてはいけないのかが、いまだに分からないのです。そこまで消費活動を奨励するというのは欺瞞行為だと思っています。今の若い人はそれに気付いて警鐘を鳴らしているのかも知れない。“このジャケットはまだ着られるんじゃないか”“あんな高層マンションを作ってどうするんだ”“資源は有限なのに今の経済システムでやっていけるのか”ということです。ひょっとしたら、今回の経済危機をきっかけに、消費を拡大しない経済システムを構築する時代に入ったのかも知れません。
●若い人に厳しい発言をされるのはなぜですか?
--僕が若い人に厳しく言う時は、自分の才能に気付いて欲しい場合です。若い人にはブレ幅をちょっと大きくしてあげたいと思い、こういう視点もあるということを伝える努力をしているつもりです。もっとも、厳しい物言いをしても彼らはショックを受けていません。言葉に不感症なのです。叱られた経験がないので、痛みもあまり感じない。子供の機嫌を取ろうとする大人が多いからこうなったのです。
●中年以上の世代に言いたいことは?
--国家百年の計とは、自分が死んでもこの社会が維持していって欲しいと思うこと。“自分が死んだらおしまい”ではない。そういう風に思えば、自分がやるべき事は見つかります。“年金を手に入れて最低限の暮らしが保障されているのなら、その気力、体力を世間に向けて全部投げ出せ”と言いたいですね』

僕は富野監督の言葉を読んで、ほんとガンダムやイデオンなど富野アニメのファンを続けてきて良かったと思った。こういう“まっとうな大人”が作っていた作品なのだから。(って、僕も41なので、監督の言葉に感銘を受けている場合じゃないんですよね。それにしても、アッという間の40年!)

★「今の改憲論はサブカル的」--漫画家の安彦良和さん(ガンダム作画監督)

機動戦士ガンダムでは、主人公の敵の「ジオン公国」はナチスなんです。整列して挙手して「ジーク・ジオン」。ところが、ガンダム人気はジオン人気というぐらい人気が出た。かなり否定的に描いたのに、それを承知で格好いいと思うのが人間の性(さが)なんですね。
小泉純一郎さんも、国民は「むちゃくちゃ言っている」と思いながら、格好いいと肯定した。理屈にもならないことを押し通す方が謝るよりもいいと。あれもある種の性でしょう。

「なにか面白いことない?」という関心にあおられるのが、サブカルチャーの世界。そこでは行儀が悪くて、刹那(せつな)的で、非日常的なものを求める。昔は「お楽しみ」にすぎなかったのに、最近は偉そうな顔をして出てきて、本当の政治気分を醸し出している。サブカル的政治ブームというのでしょうか。

僕はアニメをやめてから「虹色のトロツキー」という満州国(中国東北部)を舞台にした漫画を描いた。満州国は日本にとって非常に存在感があった。真剣にやれば「王道楽土」ができると思って国造りをした。だけど、やはり現地では、日本人は威張り腐って結局は因果応報。本気だったけど間違っていた。
平板な「善玉・悪玉論」では抜け落ちる、人の生きざまとか微妙なものを描きたかった。でも今の嫌中嫌韓とセットの改憲論は、そんなの関係ない言い方ですからね。「なめられて平気なのか」って。過激でインパクトがあるけど、それをそのまま受け取るのもサブカル的ですよ。

僕が学生運動をしていたころにも、日本は米国に守られて半永久的に平和だという前提があった。甘えがあった。ぬくぬくと居心地がいいから平和憲法は捨てがたいと。そういうのは嫌だったが、人類の最高の目標を書いた看板の陰で「解釈改憲」という恥ずかしい状態も続いた。「いいかげんこの看板を外そう」という気持ちは分かる。
でも、今のこの政治気分では非常にレベルの低い憲法改正になる。だったら恥ずかしくても分別がつくまで、この看板を掲げておけばいいと思います。 (2007年2月11日/中日新聞)

★機動戦士OO(ダブルオー)ガンダムの水島精二監督(43才)インタビュー

監督の言葉から、どういう想いを込めて作品を作っているかが分かってグッときました。(日経の長いインタビューなので抜粋)

●作品テーマについて
--(ダブルオーガンダムでは)人と人との繋がりとか、人同士が繋がることで、登場人物たちがいる世界が少しでも良くなるとか、そういうことが描けたらいいなと思っているんです。争いをなくすにはどうするか、若い人に少しだけ考えてもらうきっかけになればという気持ちもあって。今の時代、(他者に対する)疑心暗鬼スパイラルこそが、職場だけでなく、社会全体を悪くしているという気が僕はしますね。相手が何を考えているのか分からなくても、「この目の前の人とどうやったらコミュニケーションが取れるか」とアプローチ方法を考えて、諦めずにトライ&エラーを繰り返すと、何かしら相手のことが見えてくるんです。
●自分から手を繋ぐ時は、相手に値踏みされる、自分が見下されるのではないかという不安がありませんか?
--「見下されるのが嫌」、つまり相手より劣位に立ちたくないと思う心理の根源には、相手に対する恐怖があるんじゃないですか。相手に対する恐怖があるから、「この人より優位に立たなければ」と思ったりする。優位に立っていれば少なくとも害はなくなると考えるから。そして相手より優位に立とうとするから、対立して争いになる。人間関係でも国家間でも、あらゆる対立が同じ理屈で起きていると思います。その疑念をなくそうという努力が必要だと思うんです。相手を恐怖に感じるのは、相手のことがわからないからだと思うんですよ。相手は何を欲していてどんな行動に出るか。欲求や行動の動機がわからないと不安になる。欲求というのは、「価値観」に基づくもの、ですよね。価値観がわからないというのは、利害関係の対立よりもやっかいだと思います。
●価値観についてもう少し。
--人間、理解できないものが一番怖いのだと思いますよ。「相手のことがわからない不安」が、コミュニケーションの一番の障害です。「ダブルオー」の設定は「コミュニケーションが成立しないことが原因で戦争が終わらない」というもの。登場人物それぞれが、互いに全く違う価値観を持った国で生まれ育ち、価値観が違うために思いの行き違いや対立が起こる。今の時代、「どこかに絶対正義があって、絶対悪がある」なんていうことはないじゃないですか。世界でも僕たちの周りでも。みんな自分の利益が欲しいから主張をするのだし、自分が正しいと思うことが正しい、良いことなのだと思っている。ところがそれぞれが自分の正義を主張することで、争いは拡大していく。「ダブルオー」ではそういうところをテーマの一つにしたかった。
●多様化する価値観が対立を産む?
--個人間でも、利害関係があったり、立場が違う者同士が手を繋ぐ難しさがある。「ダブルオー」では、そうしたコミュニケーションの難しさを、国家間戦争にもスライドさせてみようと。今の時代は、大量の情報が飛び交い、多様な価値観が存在している。互いの価値観が錯綜し、そのために対立が多く発生している。ガンダムに乗る主人公たちは、宗教、民族、国という、「対立の元」になる括りを取り去ることで世界に秩序をもたらそうとしている。だけど、その「対立の元」にこそアイデンティティを求めている人もいるから難しい、そんな矛盾も、構図として出したいと思っています。
●では、価値観が違う相手とどう話すか
--どうしたら相手の気分を悪くせずに、自分が言っていることを理解してもらったり、注意したりできるのか。やはり頭を使うこと、工夫ですね。もう本当に言い方次第だなと。自分の正論は、相手にとっての正論じゃあない。「自分が正しい」というふうに正論を貫こうとすると、必ず悪く誤解される。相手は自分とは違う人間で、違う価値観を持っているわけで。相手を全部肯定するのは無理ですよね。相手の価値観を全て受け入れるのは不可能なんです。僕も自分の中に、普段は無自覚な偏見があるし。ただ、「相手の価値観は自分と違う」と認識するだけでも、結構違うと思うんですよ。相手を自分と同じ価値観を持つ人間だと思うから、なぜ俺の言うことを理解してくれないんだ、と腹が立ったり行き違いが生まれてしまう。だから、相手を「匿名」で見るのをやめる。相手を、地位や役割という大ざっぱなくくりに追いやって、相手の個人的なパーソナリティを想像せずに「あの人は○○の所属だから」とカテゴライズしてしまうと、そこで思考停止してしまって、相手のことを理解することができなくなるんじゃないかと。大切なのは「相手と同一であること」ではなく、「違っているお互いを認識し合うこと」なんだと思う。それが、相手のことをどこまで思いやれるか、ということだと思うんです。(相手の全肯定はムリ、でも「自分だけが正しい」と考えなければうまくいく)※日経ビジネスの全文はコチラ


【マニアック!ガンダム良質お笑いスレッド集!!】
★傑作爆笑ギャグ・スレッド「ガンダムをうろ覚えで語るスレ」
★激リアル!「最前線兵士の嘆きスレ」
★目からウロコ「アムロのνガンダムにザクTで勝つ方法」ダウンロードして使ってネ♪


《 ガンダムコンテンツ総目次へ 》




ダウンロードして使ってネ♪    ダウンロードして使ってネ♪


★ガンダム・コンテンツ総目次


【最新ランク】  DVDトップ100 本のベストセラー100 音楽CDトップ100 玩具のトップ100/(GAME)




愛と狂気のメインページにGO!!