〜こいつぁシブいぜ!〜
★名作茶器ウットリ展示室(傑作30大茶器)

第2室


「ここいらで菓子も欲しいところじゃのう」
千利休



●野々村仁清(にんせい)作 色絵鱗波文(いろえうろこなみもん)茶碗 江戸時代前期 重文

    

この優雅さ、この気品、まさに雅の極みッ!まるで豪華な能装束をまとっているようだ。
さすがは京焼きの天才デザイナー、仁清!

★野々村仁清のお墓



●初代・大樋(おおひ)長左衛門作 飴釉(あめぐすり)赤茶碗 江戸時代前期



キ、キャラメルだっ!このネットリ感がGOOD!(作者は加賀大樋焼の開祖)



●五代大樋(おおひ)長左衛門作 黒釉(こくゆう)富士絵茶碗 江戸時代中期



夜闇に浮かぶ幻想的な富士。光悦の“不二山”とは別の名景を楽しみたい。



●四代樂吉左衛門・一入作 赤樂茶碗 江戸時代中期



鮮やかな朱色と黒が混ざり合って美しい。甘いマロン・グラッセみたい。ペロッてしたくなる。
(食べ物系のコメントばっかり)



●五代樂吉左衛門・宗入作 黒樂茶碗 銘『亀毛(きもう)』 江戸時代中期



まるで鉄塊!錆びた感じもカッコ良い。ダンディズム炸裂!



●尾形乾山(けんざん)作 さび絵滝山水図茶碗 江戸時代中期 重文



「ズドドドド…」手の中の器からそんな轟音が聞こえてきそうな滝山水がインパクト大!
※乾山は江戸時代のマルチ・アーティスト、尾形光琳の弟。



●十一代樂吉左衛門・慶入作 白樂茶碗 銘『潮干』 江戸時代後期

   

乳白色の柔らかな外観も良いが、器の中に貝殻がある遊び心がニクイ。まさに『潮干』。



●作者不詳 萩茶碗 銘『むさし野』 江戸時代



萩焼ならではの柔らかな土の味を存分に発揮。侘びさび率120%。



●十三代樂吉左衛門・惺入(せいにゅう)作 黒樂茶碗 銘『黒磯』 昭和前期



惺入はとても勉強熱心な陶工で、各地で様々な鉱石を採取しては、光沢を出す釉薬(ゆうやく、
うわぐすり)に使用可能かどうか、研究に研究を重ねた。『黒磯』は白波がドラマチック!



《 以下の3茶碗は舶来モノ!》


●作者不詳(中国・南宋) 曜変天目茶碗 12〜13世紀 国宝

   

超激レア傑作茶碗の登場ッ!この器は製作中に偶然美しい模様になった奇蹟の作品で、光の当て方によって色が美しく変化するという名品中の名品!中をのぞくと漆黒の闇から青白い光が浮かび上がり、あたかも宇宙空間さながら。見つめていると銀河系に吸い込まれていくようだ!製作過程に神が介入したとしか思えない。同じ模様のものを再度制作するのは不可能なので、室町時代の時点で既に伝説の茶器となっていた。すべての戦国大名にとっての垂涎の的で、この茶碗一個が一国一城の価値に匹敵したという。
※曜変天目はすでに生産地の中国には現存せず、日本に3点が残るのみ(大阪・藤田美術館、東京・静嘉堂文庫美術館、京都・大徳寺龍光院)。いずれも展示期間が限定されてるので、確認のうえ訪れるべし。



●作者不詳(中国・南宋) 玳皮(たいひ)天目鳳(おおとり)文碗 12世紀 



加賀前田家屈指の名碗!永遠の生命を持つ鳥・鳳凰(ほうおう)と枝が描かれている。黄金の大気の
中を羽ばたく鳳凰は目を疑うほどの神々しさ。圧倒されたッ!※玳皮とは海亀の甲羅、ベッコウのこと。



●作者不詳(中国・南宋) 青磁茶碗 銘『馬蝗絆(ばこうはん)』 12〜13世紀 重文

     

ハァ〜、この美しく澄んだグリーンはたまらんのぅ。うるうる。平重盛が所有していた茶碗で、
後に足利家に渡った。底のひび割れを修理した際に鎹(かすがい)で繋がれ、それが
数匹の馬蝗(イナゴ)に見えるのでこんな名前が付いた。これで水が漏れないんだって。



              《 次点 》

   ●作者不詳(高麗・こうらい、朝鮮) 黄伊羅保(きいらぼ)茶碗 17世紀

               

         この端正でストイックなラインに惚れた!何も足す必要がない。完璧ッ!

             志野茶碗 銘『羽衣』
             長次郎作 赤樂茶碗 銘『無一物(もつ)』 重文
             長次郎作 黒樂茶碗 銘『大黒』 重文
             長次郎作 黒樂茶碗 銘『面影』
             道入作 赤樂茶碗 銘『鵺(ぬえ)』
             一入作 赤樂茶碗 銘『あわゆき』
             黄瀬戸茶碗 銘『唐衣(からごろも)』

                    
                        唐衣


茶碗。この小さな世界に、人は生きる意味や、自分の存在を見出す。




【 茶碗の国宝は以下の8点 】※刀剣の国宝は100点以上あるのに少な過ぎ!


志野茶碗 銘『卯花墻(うのはながき)』
…国産茶碗の国宝はこれと『不二山』のみ!

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(サイト読者T.Kさんの感想)初め見たとき造り損ないの茶碗みたいと思いました。菊練した円錐形の土をろくろの上に載せ廻わし水をつけながら土を引いて茶碗を作りますが、中心がぶれてくると旨く引けなくて縒れてねじれて、ついには土が崩れてしまいますよね。あと一回転したら崩れてしまうかもしれないというぎりぎりの器に見えたのです。あんなによじれた感じの土で、またよく割れずに焼けたなとも思いました。でも、何度も観ているうちに、その崩れるぎりぎりのところが、しっかり完成品といったものにはない柔らかさや不思議さを感じさせるのかとも思え、やっぱり国宝なんだなという気もしました。
白樂茶碗 銘『不二山』 本阿弥光悦作。
高麗 井戸茶碗 銘『喜左衛門』
…高麗(朝鮮)産の茶碗のうち唯一の国宝。
南宋 玳皮(たいひ)天目茶碗
…制法についての文献は残っておらず「幻の技術」とされている。
南宋 油滴天目茶碗
…金ぶちで斑文も金色。ゴージャス。
南宋 曜変天目茶碗
…京都・大徳寺龍光院所蔵。
南宋 曜変天目茶碗
…大阪・藤田美術館所蔵。
南宋 曜変天目茶碗(稲葉天目)
…東京・静嘉堂文庫美術館所蔵。美しいというより妖しい!

2012年末時点で日本の国宝は1085件(建造物217件、美術工芸品868件)。このうち茶碗はたった8件しかなく、その中で最高傑作とされているのがこの漆黒の器「曜変天目(稲葉天目)」だ。内側に銀河のような斑文が散らばり、見る角度によって周囲が青色、藍色、“虹色”に見える奇跡の茶碗。曜変天目は12世紀〜13世紀に南宋の福建省で焼かれた。この茶碗は徳川将軍家→家光から春日局→淀藩主稲葉家と渡り、1934年に岩崎小彌太(『龍馬伝』岩崎弥太郎の弟の子、三菱第4代社長)が購入し、父子で設立した静嘉堂文庫美術館に保管された。戦時中は空襲から守られ、「天下の名器を自分だけのために用いるべきではない」と、小彌太は生前に一度も使用しなかったとのこと。現存する「曜変天目」の完形品は世界に3点しかなく、その全てが日本にある(同館、京都・大徳寺龍光院、大阪・藤田美術館)。キング・オブ・曜変天目が、今回展示された通称・稲葉天目。
※信長も所持していたが本能寺の変で失われたと伝わる。2012年、旧南宋の都(杭州)から4分の1ほど欠けた“4つ目”の曜変天目が発掘された。



静嘉堂文庫美術館さま、藤田美術館さま、大徳寺龍光院の住職さま…

★文化財保護法第43条 国家指定文化財は特別な事由がない限りこれを公開しなければならない
(原文)国家指定文化財(重要無形文化財を除く。以下この条において同じ。)は、第2項により当該文化財の公開を制限する場合のほか特別な事由がない限り、これを公開しなければならない。(改正2008.3.28)
※第2項… 文化財庁長は、国家指定文化財の保存及び毀損防止のために必要な場合には、当該文化財の全部又は一部に対して公開を制限することができる。


この公開原則の法律を知ってますか…(涙)。もっと曜変天目茶碗を公開して下さいッ!
国宝は国民全体の宝デス!茶碗は絵画や刀剣に比べると、比較的に管理が容易なハズ。
どんなに短期間でもけっこうですから、必ず年に一度は倉庫から出して展示して下さい!
2年に一度ならまだしも、3年に一度とか5年に一度とかは…あんまりッス!(T_T) ウルウル
なにも、触らせてくれとか無茶を言ってるのではありません。ただ見るだけでいいんです!
企画展の内容に合わなければ合わないで、別コーナーで展示して下さればいいでは
ありませんかー!っていうか、10年に一度は3碗を一同に集めて並べちゃって下さいッ!!




最後に…信長が所持していた国宝間違いナシの大量の傑作茶碗が、本能寺の変で
ことごとく焼失したことを付け加えておく。本能寺の変の前夜に大茶会があったのだ。




※当コーナーの参考資料

・『国宝の旅』 講談社
・『日本の美をめぐる』第2号、18号、50号 小学館
・『茶道具の世界 楽茶碗』 淡交社 責任編集・樂 吉左衛門
・『茶道具の世界 和物茶碗』 淡交社 責任編集・樂 吉左衛門
・各地の美術館で購入したポストカード、展覧会の広告etc





「我々は宝石や金銀を宝物とするが、日本人は古い釜、ひび割れた陶器や土器を宝物とする」
(イエズス会宣教師 ルイス・フロイス)

「“わび”とは心細い心境を楽しむこと」(吉田兼好)



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