今こそ吠えさせてもらう!
★アニメ『機動戦士ガンダム』はなぜ名作なのか?
【 ストーリー編 】



嗚呼、ガンダム!
1979年の本放送以来、すでに27年間も自分はこのアニメのファンであり続けて
いる。38年の人生のうち、実に3分の2近くの年月をこの作品の熱狂的ファンと
して過ごしてきたことになる。自分が中学生の頃は、世間にまだビデオ・デッキが
出回っておらず(クラスで一番金持ちの奴が“ベータ”を持っていた程度)、夕方の
再放送にあわせて学校からダッシュで帰り、テープレコーダーをテレビの前に置いて
全話を録音、寝る前に布団でそれを至福の思いで聞く、そんな熱い日々を送って
いた。そして、クラスの男子ほぼ全員がそうであったと言って過言ではあるまい!
一体ガンダムの何がそこまで虜にさせたのか、それを吠えさせてもらおう!

ガンダムは初回放映時に視聴率が振るわず(今では信じ難いが)、全52話の
予定が43話で“打ち切り”になったという、聞くも涙の過去を持つ。視聴率低迷の
理由は、あまりにも従来のロボット・アニメと内容が異なっており、子どもが対応
出来なかったからだ!
※ここで語るのはガンダム第一作、いわゆる“ファースト・ガンダム”について。
後年の続編や外伝についてはまた別の機会に。


●初心者のための超簡単“2行”ストーリー


大きな宇宙ステーションが「今日から国家じゃあ!」と地球に独立を宣言。戦いを
挑むが地球側の最強ロボ・ガンダムの活躍もあって敗北、独立は失敗する。以上。


●もっとストーリーを知りたい人へ (一番大事な部分!開戦に至る経緯)


最初の基本設定(世界観)がしっかり構築されていたからこそ、後に続編やバリエ
ーションを約15種類も制作する事が可能になった(現在も続々と新作が生れて
ます)。全ては土台となるこの第一作が完璧な出来栄えだったゆえだ。制作スタッフ
はリアルな作品世界を創り上げる為、そこまでするかというほど詳細に物語の背景
を作り込んでいるッ!


《人口爆発と宇宙移民者差別》


近未来。90億人を突破した人類は、深刻な人口問題を解決すべく、宇宙空間に
スペース・コロニーと呼ばれる巨大宇宙ステーション(一基に数百万単位の人が
暮らせる!)の建設を進める。人類はコロニーへの移民を始めた年を宇宙世紀
元年とし、移民は地球に土地を持たぬ貧困層から半ば強制的に行なわれた。
コロニーは約40基ごとに7つの集団を作り、それぞれサイド1〜サイド7と名付け
られた。宇宙移民の開始から50年後、総人口は110億を突破。そのうち、実に
90億人(人類の82%)がコロニー市民となっていた。

コロニーには自治権がなく地球の連邦政府が行政を握っており、産業政策、貿易
条件などはすべて地球側が有利になるよう定められていた。その結果、特権階級
や大地主など富める者は地球に残り、移民組との貧富の差が拡大していく(地球組
の中にはこともあろうに宇宙移民者を差別する者までいた)。
当然ながら、宇宙移民者の中からはコロニーを植民地と見なす地球の強権的な
支配を拒絶し、自治権を求める運動が沸き起こってくる。

中でも一番激しく自治権請求運動が展開されたのは、月の裏側に浮かんでいる
サイド3だ。サイド3は地球から最も遠い場所に位置していることもあり、地球の
物資は高騰し、連邦政府の重税が住民を苦しめていた。
宇宙世紀0058、この運動の指導者ジオン・ズム・ダイクン(後に出てくるシャア
の父)は、地球と対等な関係を築くには国家として独立するしかないと考え、サイド
3の民衆から圧倒的な支持を受け「ジオン共和国」を建国した。
初代首相に公選されたダイクンは、武力闘争を否定し、あくまでも外交によって連邦
政府に共和国を承認させ、最終的にはサイド3のみならず、宇宙移民者全体の自治権
を確立しようと外交活動に尽力した。

一方、地球連邦政府は「サイド3の独立を認めれば他のサイドも次々独立しかねな
い」と独立宣言を完全に無視、逆にサイド3に建国を撤回させるべく非情な経済圧力
を加える。
この経済制裁下でジオンを救ったのがダイクンの右腕デギン・ザビだ。デギンは
ダイクンの思想に深く感銘して独立運動に身を投じた男。理想家としてカリスマ的
な人気を持っていたダイクンを、経済感覚に優れた現実家肌のデギンが支えた。
デギンは地球経済への依存率を下げようと奮闘する。彼は他のサイドとの貿易ライン
を積極的に開拓し、資源採掘用の小惑星を確保して、地球の物資に頼らずとも成り
立つ経済環境を作り、サイド3経済を立て直した。
(地球から遠いということが、自給自足の動き早めたともいえる)

宇宙世紀0068。建国から10年を経てもいっこうに独立を承認せず、宇宙移民者
の生活改善を訴えるジオン側の要求に何の改善策も講じない連邦政府に対し、
穏健路線をとるダイクン派と、強硬路線を主張するデギン派が次第に対立を深めて
いく。その渦中、ダイクンは暗殺され(表上は病死)、暗殺を企てたデギンが次期
首相に就任する。これに対しダイクン派は爆弾テロで対抗、ザビ家次男のサスロ・
ザビは暗殺され、爆発に巻き込まれた三男ドズルは重傷を負う(顔の傷はこの時の
もの。彼が弟のガルマを溺愛するのは眼前で兄を失ったトラウマだ)。
※サスロ爆死に関しては安彦氏のマンガ版〔 ガンダム THE ORIGIN 〕の9巻に、ザビ家次女のキシリア
が黒幕ではないかと思われる描写がある。彼女はサスロと上手くいっていなかった。


デギンはやがて訪れるであろう連邦政府との武力衝突を睨み、政権基盤を堅固なもの
にすべく政府中枢部をザビ家で固め、自らは大きな権力を握る君主となり、国名を
「ジオン公国」に改めた。
ザビ家の長男でありジオン公国総帥のギレン・ザビは、父親と比べ物にならないほど
過激な思想の持ち主で、「保身に明け暮れる無能な連邦政府に人類を統治する資格
はない。サイド3だけでなく地球圏すべてがジオン国国民によって管理運営される
べきだ」と説いた。同時にギレンは他のサイド市民へサイド3への移民を呼びかけた
(裏を返せば、移民を希望しない者は宇宙居住者であっても敵であり、連邦側の勢力
と見なすということ)。
ギレンは卓越した政治力でみるみる頭角を現し、やがて、老いたデギンに代わって
公国の実質的な指導者となっていく。宇宙世紀0078、ダイクンの死から10年を
経て、ジオン全土に国家総動員令が発布される。

そして宇宙世紀0079(ダブル・オー・セブンティー・ナイン)!ジオン公国は地
球連邦政府に宣戦布告し独立戦争に突入した!人類が宇宙に移住を始めて79年目、
そしてジオン建国から21年目にして、ついに自治権を求める宇宙移民者と、それを
弾圧する地球連邦政府との間に戦いの火蓋が切って落とされた。
※ジオン好きの自分としてはあまり触れたくないが、開戦初期にジオン軍は連邦側
のコロニー(サイド1、2、4)に神経ガスを注入して、無差別殺戮を行なっている。
広島・長崎の原爆同様、「戦争終結を早めることで犠牲者を最小限にする」というのが
建前だ。いくら連邦軍拠点への先制攻撃といってもこれは酷すぎ!(ガスを注入した
ジオン兵には、“致死性のない安全な催涙ガスの一種”と事前に説明していた)

アニメ『機動戦士ガンダム』はこの宇宙世紀0079の戦いをめぐる人間ドラマだ!


《戦争を変えたモビルスーツ〜デギンの勝算》


ジオンは連邦にくらべ国力が30分の1以下しかなかったが、デギンには勝算が
あった。レーダーを使用不能にするミノフスキー粒子の発見と、巨大人型兵器(ロボ
ット=モビルスーツ)「ザク」の開発である。
ミノフスキー粒子でレーダーが使い物にならず、肉眼による射撃が行なわれる状況下
では、艦船だけで編成された連邦軍に対し、ジオンのザク部隊は桁外れの強さを
誇った。ザクは18mあるとはいえ、宇宙空間ではとても小さな物体だ。動き回る
ザクに弾を当てるのは至難の技であり、逆に巨大艦船はザクにとって撃ち放題の
オイシイ標的だった。

しかもザクのパイロットたちは戦艦を沈めるのに、船そのものを破壊する必要が
ないことを熟知していた。接近し、指揮系統が集中するブリッジ(艦橋)さえ破壊
すれば、戦艦は戦闘不能に陥ったからだ。その為、少ない弾薬でも巨大戦艦と
十分戦えたうえ、弾が尽きてもモビルスーツなら手足でブリッジを破壊することも
可能だった。
そして、ジオン軍はいっきに勝敗を喫するべく、連邦軍の本拠地・南米ジャブロー
を攻撃する。地下巨大基地のジャブローをどうやって宇宙から攻略するのか?
総帥ギレン・ザビは、大型コロニーを弾頭に見立てて地表に落下させるという空前
絶後の作戦を実行した!
※このコロニーは連邦艦隊の必死の抵抗で軌道を外れ、シドニーに落下する。

上記の如く、初戦は圧倒的に「ジオン有利」で進む。しかし、なんといっても連邦側の
国力はジオンの30倍。長期戦を覚悟したジオン側は資源確保の為に地球各地に
降下、全大陸の3分の2を支配下に納めた。だが、急速に戦線を拡大したことで補給
ルートが維持出来なくなり、前線で足止めされた両軍は睨み合ったまま8ヶ月間の
膠着(こうちゃく)状態に入る。

※第一話の本編は実質ここから始まる!!


《連邦の反撃》


連邦軍は捕獲したザクの内部構造を徹底的に研究し、モビルスーツの開発を急ピッチ
で進めた。そして莫大な資金と持てる技術力を全て注ぎ込み、ザクの性能をはるかに
超える究極の機体を完成させる。それが「ガンダム」だ。極秘裏に開発されたガンダ
ムはサイド7(サイド3から最も遠い)で最終テストに入る。
“連邦にモビルスーツ開発の動きあり”--この情報を確認すべく3機のザクが
サイド7に侵入する。ザクに与えられた任務は偵察だったが、運搬される多数の
連邦軍モビルスーツの姿にパニックを起こし発砲、サイド7内は大混乱になる。

逃げ惑うサイド7市民の中に15才の少年、アムロ・レイ(長くなったけどコイツが
主人公)の姿があった。彼は避難中にトレーラーに積まれたガンダムを発見、
パソコン少年のアムロは操作マニュアルを見ながらガンダムを起動させる。ガンダム
はとてつもなく装甲が厚く、ザクの攻撃が全弾命中しても全くの無傷!アムロは逆に
ザク2体を見事撃破する--。
その後、連邦軍はガンダムの戦闘データを元に、余分な機能を削ってコストを下げた
普及用モビルスーツ「ジム」を開発。豊富な資金でジムを大量生産し、各地の戦線で
ジオンに対し一斉反撃を開始した!

次第に追い詰められるジオン軍。地球侵攻部隊は総崩れになり、ザビ家にも戦死者
が続出。
※四男ガルマ・ザビが戦死した際に、ジオン本国で国葬が催された。この時のギレン
の追悼演説『国民よ立て!』が煽りまくってて凄い。

「一握りのエリートが宇宙にまで膨れ上がった地球連邦を支配して50余年、
宇宙に住む我々が自由を要求して、何度連邦に踏みにじられたかを思い起こすが
いい。ジオン公国の掲げる、人類一人一人の自由の為の戦いを、神が見捨てる
訳は無い。私の弟、諸君らが愛してくれたガルマ・ザビは死んだ、何故だ!
戦いはやや落着いた。諸君らはこの戦争を対岸の火と見過ごしているのではない
のか?しかし、それは重大な過ちである。地球連邦は聖なる唯一の地球を汚して
生き残ろうとしている。我々はその愚かしさを地球連邦のエリート共に教えねば
ならんのだ。
ガルマは、諸君らの甘い考えを目覚めさせるために、死んだ!戦いはこれからで
ある。我々の軍備はますます復興しつつある。地球連邦軍とてこのままではある
まい。諸君の父も兄も、連邦の無思慮な抵抗の前に死んでいったのだ。
この悲しみも怒りも忘れてはならない!
それをガルマは死を以って我々に示してくれたのだ!我々は今、この怒りを結集し、
連邦軍に叩きつけて初めて真の勝利を得ることが出来る。この勝利こそ、戦死者
全てへの最大の慰めとなる。
国民よ立て!悲しみを怒りに変えて、立てよ国民!ジオンは諸君等の力を欲して
いるのだ!ジーク・ジオン(ジオン万歳)!」


《シャア・アズナブルという男》


前述したように、シャアはダイクンの忘れ形見だ(シャアの本名はキャスバル・
レム・ダイクン)。父と同じく宇宙移民者の自治権確立を目指しているが、最優先は
暗殺された父親の仇討ち。その為に名前を変えマスクで顔を隠し、戦場で華々しい
戦果をあげて大佐まで昇進し、ザビ家に接近して、一族への復讐のチャンスを虎視
眈々と狙っている。
彼は反射神経が抜群で、モビルスーツを通常の3倍のスピードで動かすことが出来
る。シャアが自分の愛機を赤くペイントすることから、連邦軍の兵士は「赤い彗星」
と呼んで彼を怖れている。


《終戦》


連邦軍の物量攻撃はとどまる事を知らず、宇宙におけるジオン軍の拠点は次々
と陥落、シャアの復讐や内輪もめでザビ家は滅ぶ。
開戦から1年後の宇宙世紀0080年1月1日。ザビ家の滅亡を受けて、ジオン
臨時政府のガルシア首相は、ジオンが公国から共和制に移行したことを宣言、
これ以上の徹底抗戦を良しとせず、連邦政府に降伏し終戦協定が結ばれた。

(余談だが、このガルシア首相の投降命令を受け入れなかったジオン軍残党が、
ゲリラになったり、ネオ・ジオン軍を旗揚げし、後のシリーズにつながっていく)


※自分の解説で重大な間違いがあればご指摘下さい。なんせガンダムには
裏設定が山のようにあるので… r(^_^;)

★後編「それまでのアニメと比べて何がどう新しかったのか!?」に続く!



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