●12月31日…大晦日。今年もいろんなことがありましたが、なんといっても1月に放送された『笑ってコラえて!新春SP』が最大の出来事でした。出演したおかげで多くの人と知り合うことができ、秋には公立中学校で若者たちに講演(墓巡礼を通しての人間讃歌)するという夢が叶いました。オンエアを機にフェイスブックを開始したことでたくさんの人と繋がることができ、人生の転機となった2019年でした。 墓巡礼はこれまで欧米の芸術家や思想家を中心に墓参していましたが、今年からアジアの巡礼を開始。韓国を縦断して台湾を一周し、現地の偉人や、異国で土となった日本人の墓に手を合わせました。アジア巡礼は日本の植民地支配の歴史と向き合うことでもあり、これは欧州の巡礼と大きく異なる体験でした。来年は劉備、曹操、諸葛孔明など三国志の英雄や孔子の墓参で中国を訪れる予定。 『音楽の友』の連載を通して、執筆の過程で数多くの隠れ名曲と出会い、あと2号で予定していたすべての原稿を脱稿&完結するので、連載終了後にどんどん隠れ名曲をサイトで紹介するつもり。 アニメ化を期待していた第5部ジョジョ、ヴィンランド・サガ、どちらも素晴らしい内容でファンとして感涙にむせびました。大河『いだてん』も、東京五輪をテーマにしながら、昭和初期の軍部の暴走、戦争に至った過程が予想以上にしっかり描写され、クドカンの“本気”に感動しました。 一方、政治の現状にはまったく納得していません。官邸は勝手に公文書を廃棄していますが、公文書は現在の国民の財産であるだけでなく、未来の日本人にとっても大切な宝です。指導者たちがどんな議論を通して政策決定に至ったのか、後世の歴史家が過程を検証するため絶対に残すべきものです。公文書を民主主義の血液として扱う人物を国家のトップに。 ※健康面では尿管結石で6月から9月まで苦しんだので、もう来年は結石にならないことを祈るばかり。あと、マジで歯がヤバイ。ガチヤバイ。歯医者さんから“お餅禁止令”が出てしまった。嘘だろ、まだ52なのに、残りの人生お餅を食べられないなんて…。若い方、人生は1に歯磨き、2に歯磨きです!今すべき最優先事項は歯磨きです! ※来年は1月25日から長崎でジョジョ展、4月25日から金沢でジョジョ展! |
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●12月30日…『スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け』、めっちゃ良かったです!劇場の大きなスクリーンで観るべき映画。前2作は小者感があったカイロ・レンですが、一気に心を掴んでいった!EP8の最後の少年はいったい何だったのか引っかかるけど、レイの正体は十分驚きに値するものだった。“まさか”とのけぞった。ラストシーンも素晴らしかった。エンディングロール、暗闇に響き渡るスターウォーズの名旋律を聴きながら「大ボリュームでこのエンドタイトルが聴けるのもこれが最後か」と、1977年、小学4年生のとき母に連れられて大阪梅田のOS劇場シネラマスクリーンで旧第1作を観たときのことを思い出し、このシリーズと歩んだ42年をしみじみと噛みしめ、妻子に悟られないよう落涙。ありがとう、すべての制作スタッフさん!タトゥイーンの双子の太陽がいつまでも瞼の裏に。92点。 //『アナと雪の女王2』はそれなりに面白かったけど、前作からの期待値が高すぎた。もっとユーモアいっぱいの話が観たかったなぁ。っていうか、「自分ガンバレ」「私ガンバレ」ソングばかりで、なんか強迫観念で窒息しそうになった…。あと、主題歌はサビの日本語訳が問題。「ありのままで〜」は母音で始まる開放感があったけど、今回の「未知の旅へ〜踏み出せと〜未知の旅へ〜」は早口で舌を噛みそうだし子どもには歌いにくい。訳が違ったらもっとヒットしたと思う。なんでGOサインが出たかな、意訳でも良いのに。75点。とはいえ、パート3が作られたらもちろん観に行く。 //『ターミネーター:ニューフェイト』、賛否あるけど僕は大いに楽しめた。っていうか、サラ・コナー(リンダ・ハミルトン、28年ぶり63歳)がお婆ちゃんになってもバズーカ砲ぶっ放して頑張ってる、その姿を見られただけで胸熱だった。85点(うちリンダ・ハミルトン80点)。 |
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●12月29日…先日の朝ドラ『スカーレット』、北村一輝扮するお父ちゃんが他界するシーン、ほんと胸にきた。主人公の喜美子が、もう息がこと切れたお父ちゃんに、ニコニコと思い出話をするシーンがたまらなかった。その後も喜美子の台詞にかぶせて、お母ちゃんとお父ちゃんの別れ、悲しむ妹と彼女を慰める幼馴染み、それを同時進行で見せていく流れは、見事な演出だった。喜美子ひとりの語りで進行することで一層悲しみが深まった。エグ泣きってやつだ! しっかし朝ドラって不思議。あんなにハマった『なつぞら』がもう遠い空の彼方に。『まんぷく』は月軌道上、『半分、青い。』は冥王星あたりに。 |
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●12月28日…今年鑑賞した映画の第1位はDVDで観た2017公開の韓国映画『タクシー運転手〜約束は海を越えて』です!こちらも1億点! 実話がベース! ※『タクシー運転手〜約束は海を越えて』予告編(2分)既に予告編が傑作 時代は1980年5月。韓国南部の光州市で全斗煥(チョン・ドファン)将軍の軍事独裁政権に対する民主化要求デモが起き、これに軍隊が無差別発砲を行い、死者約200人、行方不明約400人を出した「光州事件」を描く。外国軍から国民の命を守るべき軍隊が、あろうことか国民に向けて無差別発砲する光景に愕然。現場の軍人は上官から「民主化デモをする人間は北朝鮮のスパイ」と決めつける教育を受けており、“正義感”から市民を殺害していた。 主人公キムは日々の生活に追われて政治に無関心なソウルのタクシー運転手(ソン・ガンホ好演)。「光州に取材に行きたい」というドイツ人ジャーナリストのピーター(実在したユルゲン・ヒンツペーターがモデル)を乗せて光州に入ったキムは、軍による苛烈な武力弾圧を目撃する。 キムはピーターを降ろし、とっととソウルに帰るつもりだったが、軍支配下のテレビは真実を伝えず、「暴徒が不法に暴れている」と報道していることに疑問を抱く。銃撃された市民が多すぎて救急車が足りないため、光州のタクシー運転手はボランティアで負傷者を病院へ搬送しており、キムも行動を共にする。銃弾をくぐり抜け、血まみれの学生や市民を病院へ送り届けるキム。 当初は政治に興味がなかった彼が、後半は「何としてもピーターを光州の外に脱出させ、世界中に真実を伝えなければ」「撮影したフィルムを新聞に」と覚悟を決める姿が胸熱。そしてキム&ピーターを逃がすため、“盾”になって独裁軍から守ろうとする光州のタクシー運転手連合がカッコよすぎる! シリアスな題材ながら、随所にユーモアが散りばめられ笑うシーンが多く、迫力いっぱいのカーチェイスもあるなど、自国の黒歴史をエンタメ作品にしてしまう韓国映画の底力を感じた。 戦前の事件とかじゃなく、ほんの40年前の出来事ということに改めて驚く。デモ鎮圧シーンは非常にリアルで、鎮圧棒で殴られる痛みが伝わった。軍人の中にも良心に目覚める人がいるのが救いだ。 鑑賞後、多くの血を流しながらも命懸けで国家を民主化した韓国の人々の、その勇気と行動力に胸中で敬意を表した。アメリカから棚ぼたのように民主主義を与えてもらった日本人と、流血と引き換えに民主主義を勝ち取った人々との、政治に対する責任感の差が投票率に現れているように感じた。光州事件等を念頭に、韓国の人には「この政治腐敗を許せば、民主化運動で犠牲になった先人に申し訳ない」という思いがある。 2019年春、僕は『タクシー運転手』にあまりに感動しすぎて、実際に光州に行ってタクシーに乗り込み、主人公と同じルートを走ってしまった!そして光州市郊外にあるドイツ人記者ピーターのお墓に足を運んだ。彼の決死の取材によって国際社会は軍事政権を非難し、韓国の民主化運動を強力に後押しした。「あなたのフィルムが歴史を変えた。ありがとう」と合掌。
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●12月25日…私事ですが、クリスマスの1週間前、別室に保管していたクリスマスプレゼント(ラッピング済)が、ふう(子ども)に発見されるという大惨事がありました。彼は10歳、この年齢になると“機密事項”に気づく子どももいるのですが、ふうは昨年のNHKニュース(1分)でフィンランド北部ラップランドからサンタクロースが出発するその“決定的瞬間”を見ており、サンタの存在を確信しています。それゆえ、彼は驚倒せんばかりの表情で「お父さん、お母さん、もしかしてサンタってもう来たの!?」。 僕は深刻な顔をして「ふう、実は世界中の大人が秘密にしていることがる…」と切り出しました。それを聞いた妻が、「カジポンッ!」と殺気を込めた目で僕を睨んだ後、とっさの機転でこう言いました。 「サンタさんはフィンランドに住んでいるの。日本からは飛行機で18時間もかかっちゃうところ。世界中の子どもの数は20億人いるのに一晩で回れると思う?実はね“24日の夜にサンタさんが来る”っていうのはフィンランドだけのお話なの。それでね、遠くの国の子どもには先に親に渡しておくの」 ふう「そっか!フィンランドは遠いから!」 妻「でもプレゼントの中身は分からないから、サンタさんにちゃんと手紙を書いて、良い子だったらその通りのものに変身するし、悪い子だったらクリスマスの朝に煙になって消えてしまうの」 僕「そうそう!大人たちはみんなそのことを秘密にしてるねん!」 ふう「たった一晩でどうやって世界中に行くのだろうって、このごろ不思議に思ってたから、なっとく!ちょうなっとく!」。 あ、危なかったです。アマゾンの箱に入っていたのに、なぜかそこはまったく疑念ナッシング。たぶん、生まれてからずっとアマゾンの箱を見ているので、「世の中のものはこの箱で配達される」という認識っぽいです(笑) ※後日談。クリスマス後、夜のお風呂で。 「ところで、お父さん、手紙がなくなっていたけどサンタさんは取りに来たのかな」 「ああ、あれはな、弟子たちが取りに来た。サンタの弟子はいっぱいいるからな…」 「あ、わかってしまったかも」 「え!?何がわかった!?(ドギマギ)」 「荷物がなくて手紙だけ集める専門だから、子ども全員まわれるんだね。ふうはわかってしまった」 「お、おう…」ホッ! |
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●12月24日…今年鑑賞した映画の第2位はDVDで観た2012年の日本映画『道〜白磁の人』(監督高橋伴明・主演吉沢悠)です!100点満点中で1億点という久々の銀河点を叩き出した作品。邦画ですが舞台は日本統治時代の韓国。この映画を見た人と見ていない人では、韓国という国に対する印象が大きく異なると思う。こんな傑作が7年も前に公開されていたとは! 物語の舞台は日本統治時代の朝鮮。日韓併合から4年(1914)、山梨県出身の林業技術者・浅川巧(たくみ/1891-1931/当時23歳※実在の人物)は、日本の乱伐で禿山になった朝鮮の山を植林で緑化するために渡航する。日本人の多くが朝鮮人を蔑視するなか、浅川は同僚の朝鮮人職員チョンリムから朝鮮語を習って友情を育み、朝鮮の風土を研究して発芽しやすい植林方法を発見する。浅川とチョンリムは種子採集のため一緒に朝鮮各地の山々を巡り、無二の親友になっていった。浅川はまた、初めて朝鮮の陶器、白磁を見て素朴で温かみのある白色に「まるで目から入る音楽だ」と美を見出し、壺や茶碗など暮らしの中の工芸品を収集し始める。浅川は朝鮮古陶磁研究者の兄・伯教(のりたか)と700ヶ所に及ぶ窯跡を訪ね歩き、兄は誰も注目してこなかった朝鮮古陶磁の歴史をまとめあげた。 そんな中、言論の自由も選挙権も、土地という経済的基盤さえも日本に奪われた人々の間には独立の機運が高まり、1919年3月1日、民衆蜂起『三・一独立運動』が勃発する。「独立万歳」を合言葉に、またたく間に全土に広がった。日本は容赦なく武力鎮圧を行い、3ヶ月間の朝鮮人の犠牲者数は、総督府(日本側)の発表では死者553人、負傷者1409人、朝鮮側の発表では死者7509人、負傷者15961人にのぼる。林業試験所の朝鮮人職員にも犠牲者が出た。 浅川はこの事件に衝撃を受け、日本人がいかに朝鮮の地で横暴に振る舞っているか痛感し、現地文化を尊重する意味からも日本人でありながら朝鮮服チョゴリを着るようになる。日本の軍人はそんな浅川を馬鹿にし因縁をつけて殴打した。チョンリムは浅川に朝鮮民衆の思いを語る。「みんながあなたに笑顔を見せるのは、日本人が怖いからです」「本当に朝鮮人の味方なら、独立させて下さい」。朝鮮人が最も求めているのは国家の独立であり、どんなにインフラを整えようと、学校を作ろうと、民族の誇りを奪われて喜べるはずがないと。 −−36年間に及ぶ日本の支配。日本の保守派はよく「日本の植民地政策は欧米に比べていいものだった」という。だがその言葉は、「確かに殴ったけど、他の人よりそんなに強く殴ってない」というのと同じで、支配された側にはなんの言い訳にもなっていない。「併合は韓国側が望んだもの」という言葉もネットにあふれている。この言葉をより正確にいうならば「“合併を望んだ”のは韓国政府ではなく、一進会というただの政治結社であり、しかも一進会の要求は“対等合併”であり、日本による“吸収合併”ではない。日本は“対等合併”のふりをして一進会を騙し、条約締結後に用済みとなった一進会を解散させている」。 この映画には「民芸品」という言葉を生み出し、僕が敬愛している東京生まれの民芸研究家・柳宗悦(むねよし)も登場する。浅川の生きる姿勢、日常品に美を見つけ出す視点は柳に影響を与えた。1920年、浅川兄弟は日本の同化政策で朝鮮文化が消え去ることを危惧し、朝鮮民族の美術館設立を計画し、柳宗悦に協力を求めた。そして4年後に、彼らは朝鮮初の私立美術館となる「朝鮮民族美術館」を設立した。朝鮮総督府は美術館の名前から「民族」の名を消し、「朝鮮美術館」にするよう何度も圧力をかけてきたが、柳は「民族という言葉が大事なんだ。そこに自分たちの芸術を守り伝えていく気持ちが生まれる」と意見を通した。 1931年、浅川は肺炎により40歳で他界する。臨終前の言葉は「私は死後も朝鮮に留まる。だから亡骸も朝鮮式に埋葬してほしい」。この遺言により、浅川は林業試験場に近い里門里(いむんり)の朝鮮人共同墓地に葬られた。1942年、墓は都市計画により忘憂里(まんうり)共同墓地に改葬され、1966年に浅川を慕う林業試験場の職員たちが功徳碑を建て、1986年にはハングルで「朝鮮の山と民芸を愛し、韓国人の心の中に生きた日本人、ここ韓国の土となる」と刻まれた追慕碑が職員一同の手で建てられた。既に他界から90年近くなるが、朝鮮の山を甦らせるため尽力した浅川の墓は、今も韓国の人々によって大切に守られ続け、常に献花が絶えない。 浅川巧を演じた吉沢悠、柳宗悦役の塩谷瞬、チョンリム役のペ・スビン、各々の好演が光る。負の歴史を描いた日本映画がほとんどないなか、過去を美化せず描ききった高橋伴明監督に敬意。併合の名の下の植民地支配がどういったものか、相手の視点で知ることができる貴重すぎる作品であり、多くの国民がいま最も見るべき映画だと思う。 ※『道〜白磁の人』予告編(2分)アマゾン・プライムでいつでも鑑賞可能っす! |
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●12月19日…スターウォーズの最新作(完結編)、まだ未見だけど良い評判が多く嬉しい!前々作、前作ともに、駄作ではなかったものの、このシリーズに求められている期待値を超えるものではなかったから…。今日までいっさい予告編は観てこなかった。劇場で予告編が始まるとカジポン家は全員目を瞑っていた。ゆえに完全に白紙の状態。世紀のビッグイベントであり、絶対に4DXで見たい。 | ||||||||||||||||
●12月18日…この日記でも過去に採り上げてきた、性犯罪被害者の伊藤詩織さんの裁判。今日の全面勝訴、本当におめでとう。被告は安倍首相の伝記を2冊書き、首相の携帯電話に直接電話できるジャーナリスト山口敬之氏。海外メディアは忖度しないから「安倍首相に最も近い人物」として山口氏を紹介している。山口氏が暴行の言い訳を書いたフェイスブックには、昭恵夫人が「いいね」を押していた(昭恵夫人と山口氏の姉は古い友人)。 山口氏がどう反論しようと、意識がない女性への性行為は絶対にアウト。しかも避妊もせず悪質すぎる。伊藤さんはアフターピルを買いに行っており、痛ましすぎる…。 被害女性が名前と顔をメディアに公開して告発するのは、この国ではとても勇気がいること。現に彼女へは、安倍シンパの男性だけでなく同じ女性の一部からも「ハニートラップ」「売名行為」「枕営業失敗」など、残酷でおぞましい二次加害の言葉が雨あられと浴びせられていた(国会議員の杉田水脈氏も彼女を嘲笑)。レイプを告発した女性がここまで叩かれる社会は狂ってる。 判決後の会見で、伊藤さんが記者から「性暴力被害者に伝えたいことはありますか」と問われて、彼女が搾り出した言葉が深く心に残った。「(被害者の方へ)まずは生き延びること。きょうこのメッセージを聞いていてくれたら、今日まで生き延びてくれて本当にありがとうと伝えたいです。そして、力が出たら、歩みを共にしていきたい」。 伊藤詩織さんのインタビューを少しでも見た人わかると思うけど、彼女は「私が、私が」ではなく、いつも一歩引いて、他の被害者のことを念頭に行動している。自分だけがどうこうじゃなく、2度と同じ様に辛い体験をする人が出ないよう、どうすれば日本社会を変えていけるか、法整備も含めて考えている。その強い想いに頭が下がる。 本日の勝訴判決を受けて、報ステ、news23、news ZERO、すべての報道番組が、ようやく伊藤さんの事件をトップニュースで伝えてくれた。これまで官邸の顔色をうかがっているのか、まともに報道してこなかった。だが、まだだ。肝心のことを3番組とも掘り下げていない。 米TIME誌の見出しは「安倍晋三首相と密接な関係にある山口は違法行為を否定したが、裁判所は却下した」。 山口氏には強姦容疑で裁判所から逮捕状がいったん出ており、捜査員が海外から帰国する山口氏を空港で待ち構えていたのに、逮捕直前になって警視庁の上層部から逮捕中止命令が出て、捜査員の目の前を山口氏が通り過ぎた不可解な出来事がある。近代日本で『逮捕令状出ているのに逮捕されなかった』のは前代未聞。 どうしてそんなことになったのか、報道番組はそこをきっちりと取材し、警察上部に説明する義務があることを指摘しないと、いまの裁判結果の伝え方だけでは不十分すぎる。 〔政府側関係者整理〕 安倍首相:山口敬之氏に自身の礼賛本を2冊書かせる、携帯に直接電話の仲 昭恵夫人:山口氏が強姦を否定したFBに「いいね!」、山口の姉と同級生 菅義偉官房長官:TBS退職後の山口敬之氏に広告会社の顧問の職を斡旋 中村格:高輪署が山口敬之氏を逮捕しようとしたところ、証拠も見ずに逮捕中止命令を出す(次期警視総監候補) 北村滋:週刊新潮が山口敬之氏の強姦事件を取り上げたときに、助けを求めたと疑われている「きたむら様」 〔政府以外〕 警視庁捜査一課:伊藤詩織さんを弁護士事務所に連れて行き示談を強要 有本香、小川榮太郎、青山繁晴、阿比留瑠比、上島嘉郎、西岡力:山口氏を励ます会を開催 百田尚樹、居島一平、健康サプリのDHC:山口敬之氏を呼んで伊藤詩織さんを口撃 花田紀凱:月刊Hanadaに山口敬之氏による反論記事を掲載 大塚拓衆院議員(丸川珠代の夫):国会で伊藤詩織さんの件が取り上げられたときに野次を飛ばし続けた 杉田水脈議員、はすみとしこ:ネット番組でハニートラップ呼ばわり、下品なイラストで嘲笑 山口氏は「本当の性被害者はテレビに出て笑ったり、上を見たりすることは絶対にない、そのように本当の性被害に遭った方が言った」とし、だから伊藤詩織さんは性被害に遭った女性とはいえないという。…これを加害者が言うのか。暴行を受けた者はずっと下を向いて生きろと、笑うなと?ただただ絶句。もう勝訴とか敗訴とか関係なく、山口氏を安倍首相シンパという理由だけで擁護している人はほんと考えた方がいい。この件は右とか左とか関係ない。 〔元東京地検特捜部副部長・若狭勝氏〕 「元TBS 記者山口敬之氏に係る準強姦罪の被疑事件につき、所轄警察署が告訴状を受理した上、カメラ映像の分析などの捜査をした結果、裁判官に逮捕状を請求した。所轄警察署の現場警察官も、昨今のえん罪事件に留意し、慎重な判断のもとで逮捕状の請求に至ったと思われる。しかし、山口氏が空港に到着次第逮捕するべく、所轄の警察官が態勢を整えていたところ、こともあろうに、警視庁本部中村格刑事部長(当時)からの突然の指示で逮捕状の執行が見送られた。私は、逮捕状とその執行実務に精通している。その私の目からすると、通常ではあり得ない事態。この種の犯罪で、所轄警察署が入手した逮捕状につき、警視庁本部刑事部長がその逮捕状の執行をストップすることは通常絶対にあり得ない。裁判官は、逮捕の必要もない、ひいては、逮捕するに適さない案件に逮捕状を発付したということなのか。中村刑事部長(当時)に問い質したい。裁判官の逮捕を許可した判断と、何がどう変わったのか。逮捕状の発付後に、裁判官の判断を覆す特殊な事情が生じたとでもいうのか。逮捕状の執行を阻止した説明を納得のいく形でしない限り、私は中村刑事部長(当時)を許せない。これまで多くの人が、何にも代え難い法治主義を守るため、我が国の刑事司法の適正に向けて努力してきたのに、警察内部からその適正を崩壊させることは絶対に容認できない。 |
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●12月17日…今年鑑賞した映画のトップ3は第3位が『ジョーカー』なんですが、同じ3位にDVDで鑑賞した2014公開の台湾映画『KANO
1931海の向こうの甲子園』をあげたい。 「蕃人(ばんじん/先住民)は足が速い、漢人は打撃が強い、日本人は守備に長けている、こんな理想的なチームはどこにもない!」。一度も試合で勝ったことがない台湾のヘッポコ野球チーム・嘉義農林学校野球部(KANO)が、新任の熱血監督・近藤兵太郎のもとで各選手が得意分野の能力を伸ばし、ついには台湾代表として夏の甲子園に乗り込むという実話。3民族混成チームが初出場で決勝まで進み、一球入魂、決して諦めない戦いぶりで甲子園の観客の心を鷲づかみに。公開当時、主演が永瀬正敏だから日本映画と誤解していた(汗)。台湾人の監督、台湾資本で作られた完全台湾映画と知って驚いた!しかも、当時アジア最大のダムを作った水利技術者・八田與一(よいち)まで登場するとは! 登場する日本人の中には「野蛮な高砂(たかさご)族は日本語を理解できんの?」など心ない言葉で選手を馬鹿にする者もいるが、監督の近藤は「野蛮?あなた一体何を見ているんですか。民族の違いは関係ない。他のチームの子と同じ、野球の大好きな球児です」と偏見から生徒を守る。指を負傷した呉投手に、他の部員が「俺たちが守るから打たせればいい」と声をかけるシーンが良い。3時間の大作だが長さを感じさせない素晴らしい青春ドラマ。日本語、台湾語、アミ語(先住民語)が使われている。台湾映画界からの素晴らしい贈り物に感謝。 ※『KANO 1931海の向こうの甲子園』予告編…約6分のロング予告編!アマゾンのプライム・ビデオやNetflixに現在この映画がないので、特大ロング予告で世界観を味わってほしい。 |
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●12月16日…「水がなく食料生産が上がらないから栄養失調になる。水が汚いから下痢なんかで簡単に子どもが死んでいく。医者を100人連れて行くより水路を1本作った方がいい。病気の予防という観点からすれば、水路1本が医者数百人分の働きをする」(中村哲) 先日、アフガンで非業の死を遂げた中村哲医師の人柄や偉業についてまとめた追悼ページ『中村哲医師を忘れない』を作りました。ここ数日、日記の更新が停滞していたのは、このページを作ることに集中していたからです。画像が40点あり、視覚的に分かりやすいかと思います。 11年前に現地で凶弾に倒れた伊藤和也さんと同じページに、いま再び犠牲となった中村医師について追悼を綴るのは辛かったです…。日本にはまだ中村さんのことを知らない人がたくさんいます。一読いただければ有難いです。
アフガンの大統領が送り出した中村さんの棺が着いた成田空港に安倍首相の姿はなく、茂木外相も出迎えず、誰1人閣僚は来なかった。2名の外務“副”大臣のうち鈴木氏1人だけが成田空港で出迎えた。そして、映像を見る限り、駐日アフガニスタン大使の職員の方が日本人より多い。その同じ時間、安倍氏は私邸でくつろいでいた。中村さんが行った35年間の活動に対する評価が、日本(っていうか日本政府)ではあまりに低すぎる…。僕は首相に出迎えてほしかった。中村さん自身は“首相の出迎えなど無用”と思うかも知れないけど、首相が出迎えることで、より多くの人が「それほどの人だったのか」と、中村さんの活動や人物に関心を持ってくれたろうから…。 「アフガン問題とは政治や軍事問題でなく、パンと水の問題である。“人々の人権を守るために”と空爆で人々を殺す。果ては“世界平和”のために戦争をするという。いったい何を何から守るのか。こんな偽善と茶番が長続きするはずがない」(中村哲) |
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●12月12日…英国総選挙の開票が迫るなか、クイーンのギタリスト、ブライアン・メイがコメント。ブライアンはライヴ・ツアーで世界各地を訪れており、それを踏まえての発言。「英国は既に3年もカオス状態でこれからさらに悪くなる。(EU離脱派は)うその情報で人間性の負の部分につけこんだんです。人間という生き物は排外的な傾向を持っています。理解できないこと、異国のもの、異色なものを恐れます。EU離脱という思想はそうした恐怖を利用したんです。酷い話です。離脱は間違っています。世界を旅すればどこへ行っても人間は同じで、自分たちが世界という共同体の一部であるべきだと実感します。EU離脱は暗黒時代への後退です。もし離脱すればイギリスは再び小さな島国です。悲劇です、酷い過ちです。」 〔追記〕開票結果はEU離脱派の圧勝。まさかここまで大差になるとは…。ブライアン・メイさん大丈夫かな…。 |
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●12月7日…本日23時からEテレ『ETV特集・選 追悼 中村哲さん〜武器ではなく 命の水を』放送。3年前にオンエアされた傑作ドキュメンタリー。荒れ地が緑になるまでの不屈の15年の記録。必見です。 | ||||||||||||||||
●12月6日…大阪オフ会の会場、抽選にハズレ続けていたんですが、ついに来年3月20日(祝)に当選しました!もう忘年会でも新年会でもなく、「春の文芸まつり」です!(笑)オフ会参加希望の方、今から3月20日を空けておいて下さいませ! | ||||||||||||||||
●12月5日…年末恒例のシネマ・レビュー(その2)昨年公開を含む過去作品 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』(93点)他人に心を閉じた男の秘められた過去が淡々と綴られる静かな映画。過去、様々な映画に取り返しのつかない失敗をした主人公が描かれてきたけど、これほど凄絶な失敗をした人物はそういない。でも、現実問題として、我々の人生には主人公ほどの失敗でないにせよ、思い出すだけで息ができなくなるような絶望的失敗があるもの。つらい思い出に押し潰されないために、人生のリハビリ映画として心に刻んでおきたい作品。アメリカ東海岸ボストンに近いマンチェスター(英国のマンチェスターじゃない)の寂しげな風景が心にしみる。警察署で主人公がとった行動に号泣。アカデミー主演男優賞(ケイシー・アフレック)、脚本賞を受賞。 『スリー・ビルボード』(90点)登場人物たちのイライラと鬱憤が重なり続け、観てる側が酸欠になりかけた頃、怒りの連鎖を断つ署長の遺書と、加害者が被害者からもらうオレンジ・ジュースで、映画の空気が一気に変わった。主演女優賞フランシス・マクドーマンドの存在感はハンパなく、彼女にしかあの狂気ギリギリの役は出来ないと思う。助演男優賞に輝いたサム・ロックウェルも名演。犯罪を自慢していたあのクズにアイダホで天誅を。 『くるみ割り人形と秘密の王国』(65点)もっとチャイコフスキーを聴かせてくれい!バレエ曲「くるみ割り人形」は名曲揃いなのに、ごく一部しか使っていない…。 『未来のミライ』(78点)4歳男児のくんちゃんに、大人の観客がどこまで感情移入できるか。表情は生き生きしていた。後半、失速。 『アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル』(84点)米国女子フィギュアスケート選手で初めてトリプルアクセルを成功させながら、ライバル選手(ナンシー・ケリガン)への襲撃事件でスケート界を追放されたトーニャ・ハーディングの半生。銀盤での戦いを描きつつも、白人貧困層の実状にスポット。あれほど練習に練習を重ねたのに、周囲の人間に恵まれず、試合以外でボロボロになっていく姿が気の毒だった。自称ボディガードの外道っぷりに唖然。強烈な個性を持つタフな母を演じたアリソン・ジャネイがオスカー助演女優賞を受賞。 『SING/シング』(75点)楽しいけれどひとつひとつのエピソードが弱く、後に残るものがない。水槽が割れるあの試練は必要ないと思う。 『ソロモンの偽証 前篇・後篇』(68点)4時間半もかけてたどり着いた事件の真相が“え、結局そうなん?”と何の意外性もなく、そこに逆に驚いた。1本で上映するべき。 いじめっ子が鬼畜すぎて頭にくるが、その親がまた酷すぎる。観客にまで画面からパワハラ。 『ボヘミアン・ラプソディ』(93点)劇場の大音響でクイーンの名曲を楽しめる幸福。再現されたライブエイドのステージは鳥肌モノだった。フレディに再会できて良かった。バイセクシャルであることを包み隠さず描き、大ヒット映画となったことも意味深い。(つづく) |
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●12月4日…戦乱と干ばつが続くアフガニスタンで用水路を建設した日本人医師、中村哲さんの死が悲しすぎる。ショックすぎる…。あんなに、あんなに良い人が。 「水がなければ農業が続けられず、日々の糧を得ることができない、しかも綺麗な水がなければ伝染病の蔓延を防ぐこともできない」とアフガン各地で井戸を掘り、また巨大な用水路の建設を始めた。その結果、東京ドーム約3500個分にあたる約1万6000ヘクタールの農地を復興させ、65万人が飢餓から救われた。 中村医師は自分が特別なことをしていると考えていなかった。アフガニスタンは内戦や干ばつで泣いている人がたくさんいて、食べるものがない。「泣いたり困っているのを見れば誰だって“どうしたんですか”って言いたくなるでしょう」。 そして中村医師は政府軍、タリバン、ISが三つ巴の戦いをしている危険地帯で、アフガニスタンの最も弱い立場の人々を助けることに人生の大半を捧げた。 2008年、仲間の伊藤和也さん(享年31)が武装勢力の凶弾に倒れてからは、仲間をみんな日本に返し、自分一人だけが現地に残って活動を続けた。その中村さんの姿勢にアフガン政府は敬意を表し、今年、アフガンで外国人初の名誉国民に選ばれた。 日本にはまだ中村さんが亡くなったことを知らない人がたくさんいる。多くの人に中村さんを、その人生を知ってほしい。 12月7日(土)23時からEテレで『ETV特集・選 追悼 中村哲さん〜武器ではなく 命の水を』が放送されます。3年前にオンエアされた名作ドキュメンタリー。「戦乱は武器や戦車では解決しない。農業復活こそがアフガン復興の礎だ」と白衣を脱ぎ、用水路建設に乗り出した中村さん。渇いた大地に再び緑を取り戻すまでの15年の不屈の歩みをアンコール放送。必見です。 中村医師は断ると思うけれど、こういう人こそ、真の意味で国民栄誉賞や国葬に相応しいと思う…。 〔12/6追記〕報ステ、沢尻エリカの保釈ニュースをトップで延々と伝えるよりも、中村さんの続報を先に伝えて欲しい。まだ事件から2日なのに、後ろに回しすぎる…。 |
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●12月3日…年末恒例のシネマ・レビュー(その1)。まずは2019年公開作品から。既に日記に書いた『イエスタデイ(88点)』『ゴジラ/キング・オブ・モンスターズ(50点)』『天気の子(90点)』『新聞記者(95点)』『アリータ:バトル・エンジェル(90点)』は除外しています。新作の半分以上が4DX鑑賞という、以前とは別次元の好環境で映画を“体験”できる有り難さ。今の若い人は想像つかないと思うけれど、僕の学生時代は劇場には煙草の煙が充満、入れ替え制じゃないため何度も繰り返して鑑賞できるメリットがある反面、座席が空かないので立ち見や通路に座って観るのが当たり前だった。エンドロールが始まって席を立つ人がいると、情け無用の座席争奪戦が始まり、後ろの席はスクリーンが見えず、場内に殺気が充満。つまり最終上映以外は余韻に浸るとか無理…。 事前にネットで座席指定できる現代は夢のようだ。ただし、たまに上映中にスマホをチェックしている極悪人がいるけど…あれは刑法でとんでもない重罪にすべき。※「アナ雪2」「ターミネーター」「i 新聞記者ドキュメント」は12月8日のチケットを買いました。 『4DX トイ・ストーリー4』(84点)ウッディの決断が過去のシリーズと矛盾するものであっても、自由意志を持った彼が選んだ道だから受け入れるしかないし、こうなった以上、彼の幸せを祈っている。最後のフォーキーの哲学問答、僕なら「笑うためじゃないかな」って答えるなぁ。 『ジョーカー』(98点)映画の冒頭からラストまでヒリヒリする緊張感が貫いていた。トッド・フィリップス監督いわく「この映画の大きなテーマのひとつは“思いやりの欠如”だ」。ベネチア国際映画祭金獅子賞も納得。今年の日本は超富裕層や権力者を指す「上級国民」という言葉をよく見かけた。格差は縮まるどころか拡大する一方。大きな格差はあって当然と考える人間が行政を支配しているんだから当然そうなる。そして、「自己責任」の名の下に弱者は切り捨てられていく。社会から「思いやり」が消えた時に、この映画のようなジョーカーを生む。一歩間違えると暴力扇動ととられる内容だけど、あれだけ踏んだり蹴ったりのキツい体験ばかり続けば、“プッツンするジョーカーが悪い”と言い切れない自分がいる。ゴッサム・シティの他者に無関心な社会の空気は、日本の近未来を見ているようだ。絵空事と思えない映画。 ※一部の富裕層は庶民から向けられる怒りを「嫉妬」と呼ぶが、庶民は努力して財を築いた人に文句など言ってない。法律が平等に適用されないことを怒っているだけだ。 『4DX アベンジャーズ/エンドゲーム』(95点)2008年の「アイアンマン」第1作から11年越しの大団円。勝利確率1400万分の1の戦い、上映182分はアッと言う間だった。アイアンマンとキャプテン・アメリカのプライベートなドラマも完結。ありがとう、悩みを背負ったヒーローたち。ありがとう、アベンジャーズ。※農作業してたサノス、敵ながらなんか良かったな…。 『4DX スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』(78点)「エンドゲーム」でド派手なCGに麻痺してしまい、余程のスペクタクルでないとアクションに興奮できなくなった今、敵キャラに魅力があることが名作の絶対条件。そこをクリアーできなかった。 『4DX キャプテン・マーベル』(88点)もう強いのなんの!マーベル・ヒーローで最強、パワーバランスなんかどうでもいい、彼女が規格外すぎて面白い。しかも、脳天気に楽しいだけじゃなく、何度でも立ち上がる姿はそれだけで感動があるし、宇宙人の難民のエピソードもよかった。宇宙猫フラーケンも(笑) 『メリー・ポピンズ リターンズ』(70点)前作へのオマージュは丁寧だったけど、ミュージカルの生命である印象に残る曲がないのが残念すぎる。 『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』(75点)タイトルになっているにもかかわらず、肝心のビースト(魔法生物)があまり活躍しないのはどういう了見なのか。ビーストが出なくても話が先に進んでるんですけど!?クライマックスの舞台がパリの有名なペール・ラシェーズ墓地だったので、そこは墓マイラー的に嬉しかった(加算要素)。 『4DX シュガー・ラッシュ:オンライン』(65点)アーケードゲームから広大なネット世界に飛び出し、しかもディズニープリンセスを自由に使えるという大ボーナスがあるんだから、映画の制作陣は、もっと、もっと面白く出来たはず。設定を活かしきっていない。何よりヴァネロペ、前作であんなに自分のゲームを大切にしていたのに、あれは何だったのか…。殺伐とした世界が好きというイメージは前作になかったよ。ラルフがSNSで中傷されて落ち込むシーンを入れたのは、ネットのダークサイドについての大事な警鐘であり評価。 『4DX アクアマン』(90点)祝!DC映画史上興行成績No.1。僕は水が噴き出す4DXで鑑賞、今まで観た映画で最も服が濡れ、ちょっとしたウォータースライダー体験だった。そして意外にイタリア・ロケの地上戦も良かった。アクションのこだわりは海だけじゃない。ストーリーは二の次、それでも高得点。(つづく) //『永遠の門 ゴッホが見た未来』の予告編が良く、見たいけど近所で公開していない…。ウィレム・デフォーはゴッホそのもの、まるで憑依したみたい。来年はゴッホ没後130年。 |
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●12月2日…発売中の『音楽の友12月号』に「世界音楽家巡礼記(33)」を寄稿。今号は“近代の作曲家たち・後編”として、バルトーク、コダーイ、ヒンデミット、バーバー、ブリテン、そして「ゴッドファーザー」「太陽がいっぱい」など映画音楽で有名なニーノ・ロータの墓参レポートを書いています。ロータいわく「本業はあくまでクラシックの作曲で、映画音楽は趣味にすぎない」。近年は名ヴァイオリン奏者のギドン・クレーメルがロータの『弦楽協奏曲』(16分)を採り上げて話題に。 ※『ゴッドファーザー』(愛のテーマ) (4分52秒)何度も映画を見ているせいか、映像を見てるだけで泣ける。音楽の力だろうか、暴力の嵐なのに泣ける。 ナチス嫌いのバルトークはファシスト政権の弾圧を避けてアメリカへ移住。終戦翌月に病没し、遺言で「ナチスドイツや共産主義ソ連の影響が残る間は祖国ハンガリーに埋葬しない」と求めたことから、亡骸はニューヨーク州のファーンクリフ墓地に埋葬された。バルトークの遺族は葬儀費用もないほど貧しかったため、アメリカ作曲家協会が費用を丸ごと負担。その後、ハンガリーで共産政権が一党独裁を放棄するなど民主化が進んだことから、バルトークの弟子だったハンガリー人指揮者ゲオルク・ショルティと、バルトークの2人の息子の尽力で、1988年7月に棺がハンガリーに移され、国葬を経てブダペストのファルカシュレーティ墓地に改葬された。11年後にショルティが他界し、今、バルトークの隣りに眠っている。 ※バルトーク『ルーマニア民俗舞曲』(9分)素晴らしい! ヒンデミットは妻がユダヤ人であること、音楽仲間のユダヤ人と録音を続けたこと、社会主義の作家ブレヒトと仕事で組んだことがナチスの不興を買い、オペラ版『画家マティス』が上演禁止となる。1936年にはヒンデミットの音楽が「ドイツ文化を破るもの」としてドイツ国内で公式に演奏禁止となり、彼はドイツを見限りスイスに、そして米国に移住した。墓は晩年教壇に立っていたスイス・チューリッヒ。 バーバーはアメリカ出身の作曲家として初めて国際的名声を得た人物。27歳で発表した『弦楽のためのアダージョ』(10分)で注目を浴びる。7段の総譜に書かれたわずか67小節の本作がバーバーの名を不動にした。哀感に満ちた心を揺さぶる旋律が弦楽器のみで展開されていく傑作だ。 ペンシルベニア州のバーバーの墓の右隣には「To The Memory Of Two Friends(2人の友人の記憶へ)」と刻まれた石碑がある。もともと、右隣は40年余りも私生活のパートナー(同性愛)だった台本作家メノッティのために確保していた場所だった。メノッティはバーバー没後、さらに26年も生きて95歳で他界し、養子と暮らしていたスコットランドに遺言で埋葬される。そこでバーバーのファンが募金活動を始め、右隣の空き地に友情を讃える石碑を置いた。嗚呼メノッティ、隣りに来てあげて…。 ※「弦楽のためのアダージョ」の原曲『弦楽四重奏曲』第二楽章(7分50秒)も心に染みる。深夜に聴くと最高。 ベンジャミン・ブリテンは第二次世界大戦時に良心的兵役拒否者として非戦を貫き、社会から排斥された人物に寄り添うオペラ作品を多く書いた。戦後、代表作『戦争レクイエム』を完成させ、犠牲者の哀悼を通して戦争の不条理さを炙り出した。ブリテンの墓はイギリス東海岸の小さな漁村にある。こちらは私生活のパートナーだったテノール歌手ピーター・ピアーズと墓が並ぶ。英国では約50年前(1967年)まで同性愛は“違法”であり刑事罰の対象だった。1861年までは死罪。2人は関係を秘密にし続け、厳しい偏見が向けられていた時代を40年近く生き抜き、今は同じ形の墓に肩を並べて入っている…胸が熱くなる光景だった。 ※『シンプル・シンフォニー』第3楽章 (8分)。作曲当時21歳でこの情感!控え目に言って天才だろ、ブリテン…。この曲は鬼才レオス・カラックス監督のフランス映画『汚れた血』(1986)のラストシーンで使用された。僕はてっきり映画用の音楽と思っていたので、原稿を書くために「全曲聴き」をするなかで『シンプル・シンフォニー』と出会い、「ぬおっ!“汚れた血”やんけ!」と仰天、公開から33年を経て改めて大感動、アート・サンダー直撃となった。
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●12月1日…会津若松の講演から帰宅。会場に足を運んで下さった方、有難うございました!滞在中、仕事の合間を縫って、地元の石屋さんと会津の墓巡礼。大河『八重の桜』を観て以来墓参したかった会津藩の家臣、山本権八(八重の父)、西郷頼母とその妻子、萱野権兵衛、神保内蔵助、中野竹子のほか、歴代会津藩主や名家臣田中玄宰(はるなか)、近藤勇や斎藤一ら新選組関係者の墓参ができて嬉しかった。滝沢本陣では戊辰戦争時の弾痕が建物のそこら中にあり、当時の激戦がしのばれた。 白虎隊記念館では学芸員の方から、「自刃したのは20名ではなく7名のようです」と聞いてびっくり。じゃあ架空の13名を足しているのかといえばそうではなく、みんな実在した若者。つまり、死亡した状況が分からない10代の白虎隊隊士を、飯盛山の自刃者とひとまとめにしているだけで、実際に若い生命が失われた悲劇には違いない。墓前にて合掌。4度目の会津巡礼で初めて“さざえ堂”も見学。上り階段と下り階段がすれ違わない建物で面白かった。 ※会津の馬刺しがまっこと美味しく、これまで馬は可愛い動物と思っていたのに、食べ物に見えてしまう(汗)。あと椎茸の天ぷらと思って食べたら、あんこ団子でびっくり。会津では甘い団子を天ぷらにするそう。この3日間のすべての出会いに感謝です。 |
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●11月28日…明日から3日間、仕事で会津若松に行きます。そして12月1日に市内の「ルネッサンス中の島」4階大広間で、墓マイラー講演をします。世界の偉人の墓と会津の墓を語ります。無料なので、生活圏内の方、ぜひ! //観に行くつもりでいた映画、ターミネーター、アナ雪2、決算忠臣蔵、全部クチコミが「良」どまりで、二の足を踏んでいる(汗) |
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●11月27日…首相の「桜を見る会」、国民の税金で反社会的勢力にタダで飲食させた疑惑はシャレになってない。吉本芸人は“相手の素性を知らなかった”場合でも責任をとった。さらにはマルチ商法の犯人が首相枠の招待状を受け取り、宣伝に悪用して高齢者を騙していたのも酷い話。首相は国民の規範たるべき存在。きちんと国会で説明を。子ども達の手本になって下さい。 首相が無実だとして、だからこそ、それを証明する証拠として、参加者名簿はシュレッダーにかけちゃ駄目だったんだよ。最低でも一年間は保管しておかないと。 そもそも、多額の公金が使われたイベントなのだから、参加者名簿は官邸の所有物ではななく国民のもの。血税が使われた以上、勝手に廃棄していい類いの資料じゃない。国民には、事後に正しく税金が使われたのか知る権利があり、公開を前提にしていなければおかしい。 予算を3倍もオーバーする5200万円も使って、無料で飲み食いできて、お土産まで持たせてもらえるイベントであり、氏名の公開は当たり前。っていうか、「国家や社会に功績があった人」を招くイベントなんだから、公開はむしろ参加者にとって名誉なことでは?参加したことが明るみになると不都合になるなら、参加を辞退すればいいだけ。招待状をもらったときに「名前を秘密にしてくれるなら参加したい」って考えるようなイベントは、国民の税金でやる内容じゃないだろう。 大事なことなのでもう一度書く。国民の手本になって下さい。 |
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●11月26日…昨日の東京ドームでのローマ教皇のミサ。日本の若者の自殺率は先進国でダントツのワースト1位であり、そんな今の日本を鋭く分析していた。 「(日本は)社会的に孤立している人が決して少なくなく、いのちの意味が分からず、自分の存在の意味を見いだせず、社会からはみ出していると感じている。家庭、学校、共同体は、一人ひとりが支えを見いだし、また、他者を支える場であるべきなのに、利益と効率を追求する過剰な競争意識によって、ますます傷ついている。多くの人が、当惑し不安を感じている。過剰な要求や、平和と安定を奪う数々の不安によって打ちのめされている」。 他国にも当てはまる要素はあるけれど、2000年以降の日本はこの傾向が強い。ほんとこの空気を変えたい!欧州では当たり前の「残業なし」「完全週休2日(さらに金曜は早退)」「有給休暇完全消化」「大人も約一ヶ月の夏休み」「議員の男女比は5:5」「選挙の立候補に供託金なし」「大学無料」「高速道路無料」「派遣社員は期間限定だから正社員より給料が高い」、これをどれ一つ導入できない国って、やっぱ集めた血税の使い方がおかしいと思う。「半分は真似できるけどあとは無理」とかじゃないもん…全部実現していない。欧州の人も日本の人も同じ人間、欧州で可能で日本で不可能なワケがないのに。 東京に行くと、働き盛りの中年男性の外国人旅行者が、旅を楽しんでいる姿をよく見かける。特に富裕層でなくとも、他の国ではああいうことが普通という、まさに生きたお手本です。もちろん他の先進国にも社会問題はあるし、貧富の差はあるけれど、ロンドン、パリ、ベルリン、ローマ、マドリード、どの大都市も東京のように悲劇的な人身事故が多発しておらず、それだけでも国民の“追いつめられ感”が大きく異なると思うんです。人身事故がない日がない、こんな異常な状況の首都は世界で東京だけです。 |
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●11月25日…すごいな香港区議会選挙。選挙前の議席配分は、親中派7割、民主派3割。それが民主派8割、親中派2割になり、完全に勢力が逆転した。投票率は返還後最高の71.2%、香港政府に対する市民の不信感が見事に票数となってあらわれた。 | ||||||||||||||||
●11月24日…昨日、フェイスブックとツイッターのフォロワーの方が突然増え、理由にまったく心当たりがなく「何事か!?」とたまげていたら、関西地区で土曜昼に『笑ってコラえて!新春SP』の再放送が!番組を見てフレンド申請して下さった方、今後ともよろしくお願いします! …っていうか!再放送の連絡があれば、ばーちゃんをはじめ親戚じゅうに連絡できたのに、何も連絡がないなんて、グスン。とはいえ、1月の放送分を11月に再放送されるとは夢にも思わず、嬉しいサプライズでした。 歴史上の偉人と血は繋がっていなくともお墓参りをして感謝の言葉を伝えると、教科書の中の人物と思っていた故人に俄然存在感が増し、強く“親近感”(コレ重要)を覚えます。手を合わせた人が大河ドラマや歴史番組に出てくると「あっ!あの人が出ている!」とめっちゃ反応するようになります(経験者談) 人生の苦しい時に出会い支えてくれた作品があるならば、「このセリフのお陰で救われた」「この曲に励まされた」というものがあるならば、ぜひ作者の墓前へ。感謝を伝えたい作家、詩人、音楽家、画家、俳優さん、漫画家さんへ、一言「ありがとう」と。人生を豊かにしてくれた先人への御礼、そこには深い感動があります。(^^)/ //本日で52歳。アッと言う間の52年、あと4年でベートーヴェンとタメになる事実に驚倒しております。 |
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●11月23日…11月の冷たい雨の中、本日の青山霊園巡礼会に参加された方、本当にお疲れさまでした!時折、横殴りの風も吹き、巡礼と言うより“行軍”という局面もあった気がします。お風邪を召さないよう暖かくお過ごし下さい。僕はすっかり鼻づまりです(笑)
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●11月19日…全力で青山霊園巡礼会のレジュメ(資料)を作成中。当日配布します。既に告知している大久保利通ら12名にプラスしてさらに9名(小村寿太郎、加藤友三郎、白川義則など)についても簡単に紹介したく!レジュメ、炎の2万3千字です! | ||||||||||||||||
●11月18日…今月23日の青山霊園巡礼会まで定員は残り5名です。迷われている方、是非!歴史上の人物の墓参はまっこと感慨深いものがありますよ!熱烈におすすめします!(最も遠くから参加される方は、沖縄の宮古島からです!) ※今回のルートは墓地内の移動距離が少なくコンパクトにまとまっており、霊園も駅から徒歩圏内なので、墓マイラー・デビューにうってつけです。 ※私自身家族で参加するので、お子さん連れでも大丈夫です。カジポン家大阪から夜行バスで出陣です。 ※申込みはリンク先からお願いします。 |
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●11月17日…世界初(?)のストリートの墓マイラー・トークライブ(160分!)が無事に終わりました!この企画は以前に講演を聞かれた富山石材会の方が、“石屋を対象にしたクローズドな空間の講座ではなく、オープンスペースでやってもいけるはず。予備知識がなくても楽しめるし、こういう積み重ねが業界全体の盛り上がりになる”と考えられ、実現に向け尽力されました。 また、僕自身にも、“普段はお墓にそれほど関心がないという方にこそ語りかけてみたい、もう50歳過ぎたし無謀であってもアウェイな場所で一度はやりたい”という思いがあり、大阪から富山に向かいました。 講演はノンストップで2時間40分、イタリア料理店やカフェに面した華やかなショッピングモール(イオン高岡)で、ひたすら墓巡礼の素晴らしさ=感謝している偉人に御礼を言える喜び、巡礼で体験する地元の人との温かい交流などを語り続け、吠え続け、厳選した520枚のスライドをすべて上映しました! 開始5分前の時点では35席のうちご年配の男性が1名だけ着席。「やはりここで墓マイラー・トークライブをやるのは“場違い”では(汗)」と、不安に包まれました。ですが、講演が始まると少しずつ客席が埋まり、14時半〜17時10分(雨天)という時間帯で、多いときは8割以上の30席(!)、周囲のカフェテラスから見ている方や2階で立ち見している方を入れると、主催の石材会の方いわく「のべ150人ほどが聞いておられたので大成功ですよ!」。ホッ。僕は満席に出来なかったことを申し訳なく思っていたので、その言葉に胸をなで下ろしました。 講演後、ご年配の女性が笑顔で「買い物にきて、5分だけ聞くつもりが最後までいて、こんな時間になってしまった。最初は外国まで墓参りに行って何が楽しいのだろうと思ってたけど、理由がわかりました。明るい話でした」と伝えて下さり、勇気を出してマイクを持ってよかったと胸熱に。富山石材会の皆さん、このように貴重な機会を与えて下さり、本当に有難うございましたッ! ※僕は気づかなかったのですが、途中、近くで小さな男の子がジッと見入っていたそうです。たぶん、大の大人が、客席に身を乗り出して雄叫びをあげている見慣れない光景、その鼻息、その「珍獣感」に驚いて目を離せなかったのではないでしょうか(笑)。 ※遠く長野県から参加されたBさん、写真をたくさん送って下さったSさん、まっこと感動しました! ※そして富山石材会代表のMさん、翌日、早朝から富山の偉人12名への墓巡礼に車を出していただき、心から感謝しています。源平合戦の倶利伽羅峠、紅葉の中の五輪塔最高でした!
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●11月15日…いよいよ明日16日、おそらく日本初、いや世界初になるかもしれない、ストリートでの墓マイラー・トークライブを14時半から富山の「イオンモール高岡」(東館1Fセントラルコート)で開催!2時間強、喋り続ける予定。主催は富山石材会、無料です。高岡のイオンは新幹線「新高岡」駅からは300m、在来線「高岡」駅からは約2km。生活圏内という方、よろしければ会場へ!450枚のスライドを駆使して、なぜ墓巡礼が素晴らしいのか、そこにどんな感動があるのか、全細胞をもって吠えたおします! ※会場では他のイベントもあり、勾玉(まがたま)作りを体験できるとのこと(先着50名)。マイ勾玉ほしい! //そういうわけで、次回の更新は17日深夜になります! //来週19日に日米FTAの衆院本会議採決。審議時間たった11時間、TPPの70時間を大きく下回っている。反対派が懸念しているのは「(アメリカのように)国民皆保険の撤廃」「警察、消防の民営化」「軽自動車の撤廃」「為替条項で消費税廃止不可能」「水道の再公営化不可能」等々。これ、締結をめぐって国民投票をすべきでは。はっきり分かっているのは、もっと時間をかけて議論する必要があるということ。 |
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●11月14日…映画『イエスタディ』、ビートルズファンのための夢のような映画だった。地球に時空のズレ?が生じて、主人公の売れないミュージシャンが、自分以外誰もビートルズを知らない世界へ行っちゃうSFコメディ。彼は自作として「イエスタデイ」を歌って大ヒット、劇中では「エリナ・リグビー」なんてシブイ曲まで登場する。あらためて、ビートルズ音楽の魅力を実感。「レット・イット・ビー」「ザ・ロング・アンド・ワイディング・ロード」、ワンフレーズ流れただけで、その場の空気が変わってしまう。地球の歴史から消えてしまったものはビートルズ以外にもコカコーラや煙草などいくつかあって、中には爆笑小ネタになったものも。後半にはSFだからこそビートルズファンが落涙する展開もあり、そのエピソードは映画の鑑賞後も、しみじみと心に残っている。荒唐無稽な設定のストーリーを最後はうまくまとめていた。 //今月から新作映画公開の大ラッシュです!予告編を見てウズウズしていた映画がこんなに! 『ターミネーター:ニュー・フェイト』(既に公開中)早くも賛否 『アナと雪の女王2』(11月22日公開)オラフの吹き替えはピエール瀧そっくり 『決算!忠臣蔵』(11月22日公開)ソロバン視点という切り口が面白い 『スターウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』(12月20日公開)ついに完結 『実写映画版“キャッツ”』(来年1月24日)伝説のミュージカルが映画に!予告 『1917』(来年2月公開)※監督は傑作「007/スカイ・フォール」のサム・メンデス!第一次世界大戦の地獄を描くとのこと。友軍1700人の命を握って走る。 第一次大戦の映画は珍しい //官邸の「桜を見る会」疑惑でNHKが久々に良い仕事。ニューオータニで開催された首相同席の前夜祭(会費5千円)について、管官房長官が「5千円でパーティーができるはず」と言ったことに対し、NHKはニューオータニの回答「お一人様1万1千円からであり、値引きはありえない」を報道。では、この差額は誰が払ったのか。政治資金規正法は、政治団体が会費を徴収して催し物を開いた場合には、その収支を政治資金収支報告書に記載することを義務づけている。だが、「安倍晋三後援会」の収支報告書には記載されていない。闇すぎる。 安倍氏は来年の「桜を見る会」を中止にしたけど、吉田茂の時代から長年伝統的に続いてきたこの会を、「独断で中止にした」こと自体が私物化になるって分かってないっぽい…。岸田さん、石破さん、ウォーミングアップを。 【11/15追記】本日の首相会見を要約すると、“前夜祭の参加者は大半がニューオータニの宿泊客だから、税・サービス料込みで特別に5千円ポッキリになるよう便宜してくれた”ということ?すごいなニューオータニ。なんて良心的な一流ホテルなんだろう。 |
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●11月13日…初めてお寺で講演!! 先日、新しい取り組みとして中学校での講演について記しましたが、もうひとつ、お寺にて法要とあわせた講演も2箇所で初めて行いました。 10/20 松山の蓮福寺「水野広徳75回忌追悼法要」※非戦を訴えた反骨の軍人 11/10 代々木の立正寺「日蓮大聖人第728御遠忌お会式」 前者では水野広徳さんのご親族や研究者、後者では檀家さんを対象にした墓マイラー・トークとなりました。(過去にお寺主催&別会場という例はありましたが本堂は初です) それぞれ、「墓マイラーになった理由」「感動した国内外の偉人のお墓」「巡礼で出会った忘れ得ぬ人々」「お墓が教えてくれたこと」の4項目が共通。そのうえで、 ・蓮福寺では「墓マイラーが見た水野広徳」「松山の偉人の墓」をスライドに組み入れ。 ・立正寺では法華宗の檀家さんに向けて「日蓮大聖人のお墓とゆかりの地(辻説法の地や法難の地など)」「墓マイラーが想う先祖供養」を入れた構成にしました。 歴史的に有名な宗派開祖のお墓は、信徒さんがそのお側で眠ることを希望します。親鸞廟のそばに司馬遼太郎さんが眠っていたり、法然廟のそばに湯川秀樹さんの墓があったり。それゆえ、墓マイラーは著名人の墓巡礼をしているだけで、自然と各開祖のゆかりの地を訪れることになります。 どの開祖にも人間的な魅力があり、“民衆を救いたい”というその純粋な想いに、私は敬意を抱いています。これまで、「故人の生涯に迫るために」と、どこで&誰に発表する目的もなく撮りためてきた墓所以外(生誕地や出家地ほか)の聖地の写真。これらが、お寺の講演という形で日の目を見たことに私自身驚いています。 【松山・蓮福寺】 水野広徳さんの墓前での読経と焼香のあと、お寺の二階でご親族の方や関係者各位の前で40分の墓マイラー・トーク。最初に子規記念博物館の学芸員・平岡瑛二さんが講演。僕はご親族を前にガチガチに緊張。冒頭、司会の方に名前を紹介された際、「墓マイラーのカジポン・マルコ・残月さん」と言われたときに、この名前では国籍が分からないし、「墓マイラーって何?」という空気を感じ取り、居たたまれなくなって思わず挙手、「文芸研究家の梶本さんでお願いします」と頼み、会場に笑いが起きました。この笑い声でリラックス! 軍部に逆らえば首相でも暗殺された昭和初期に、「国連軍だけ残して軍備撤廃」と命懸けで訴え続けた海軍大佐・水野広徳の勇気に脱帽です。講演後、ご住職から笑顔で「是非また」のお言葉を頂きホッとしました。 【代々木の立正寺】 明治神宮のすぐ側にある“超”都心のお寺、法華宗立正寺。3年後の日蓮生誕800年に向け、様々な催しが始まるなか、その流れの中で招待していただきました。宗祖等の命日にあわせて行われる大法会のことを御会式(おえしき)というのですが、その御会式とご法話の前の貴重な75分間をご住職が下さり、檀家さんの前で墓マイラー・トーク。日蓮大聖人のご遺骨が安置されている山梨の身延山久遠寺や、西日本の門徒のために分骨された京都妙伝寺(西身延)の話等を行いました。先祖供養については、兵庫の山奥にあるカジポン家の本家墓所の実例を出し、江戸期享保年間から墓石が十数基並んでいる姿、こうしてリレーのように「生命のバトン」が手渡されていることを紹介。ご先祖様が飢饉や恐慌、戦災の時代を乗り越え、命を紡いで下さったこと、大変な時代を生き抜いて下さったお陰で、令和の世にこうして自分が生きていることを感謝し、その親の姿を子どもに見せることで生命の尊さを伝えている、そのようなことを語りました。講演後、数名の檀家さんが「素晴らしかった」と感想を伝えに来て下さり、僕は新しい世界に踏み出した気がしました。 仏教の専門教育を受けていない僕が、このようにご親族が参列される法要や、宗祖御会式という厳粛な場に現れて、墓巡礼のトークをするのは「場違い」な気がしていたのですが、話の切り口をそれぞれ変えていくことで、違和感が消えることがわかりました。日蓮大聖人に限らず、民衆救済を願った思想家として、空海、最澄、法然、親鸞、道元、栄西、一遍上人の墓所やご遺蹟を訪ねてきたので、これからはお寺でも話をしていこうと思います。 “墓マイラー・カジポン”という、怪しさ全開の人物を講演に呼んで下さった蓮福寺、立正寺のご住職の勇気(僕がいうのも変ですが)に敬意を表すると共に、実現に向けて尽力して下さった愛媛・南海放送のKさん、東京のお墓業界のKさん、Yさんに心から感謝です!
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●11月12日…11月16日(土)14時半から富山の「イオンモール高岡」東館1F セントラルコートにて、人生初のストリート・墓トーク・ライブをやります!ショッピング中の一般通行人の方を対象に、墓巡礼の魅力、お墓の大切さを吠えます。いったい何人の方が足を止めてくれるか、こればかりはやってみなければ分かりません。聴衆がたった一人であっても、いつもと同じく全力投球で挑みます。フルスロットルです! | ||||||||||||||||
●11月11日…この日記でもたびたび問題にしてきた安倍氏の「桜を見る会」。ここ数日の報道を見ていると、実態はこれほど酷かったのかと唖然。もはや、票を買うための接待といわれても仕方のない身びいき。次回の予算は5千万円以上。国民の血税を湯水のように使って、自分の選挙区から支援者850人を、バス17台に乗せて招待しているのであれば、寄付行為にあたり公職選挙法違反、議員辞職案件。メロンやカニを配って大臣をクビになった元経産相・菅原一秀氏の事例より、はるかに悪質。「公金横領」という自覚がない。 庶民には「財源がないから」と消費税率をあげ、児童相談所の職員数も「財源がないから」と不足したままなのに、自分がチヤホヤされて気持ち良くなるための「桜を見る会」の予算を3倍にする感覚が理解不能。一国の総理のやることか。 ※地方議員など花見の参加者が、招待を受けたことを自慢していたブログ記事やツイートを慌てて削除しているのは、後ろめたいことと分かっているから?やましくないなら、「日頃の社会的貢献が認められ、このたび首相から直々に花見に呼ばれました」と、堂々と書けばいい。 毎年のように自然災害に苦しんでいる日本。この国の政治家は、災害被害者の生活支援と被災地の復興、これを第一に考えて税金を使ってほしい。 |
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●11月10日…東京での仕事のあと、即位祝賀パレードに行ったのですが、青山一丁目駅から地上へ向かう出口が複数封鎖され、2箇所しかなかったために人が殺到!地下鉄から地上へ出るのに40分かかり、地上に出てからもあとほんの2メートル行列が進めば見えるという状況で20分が経ち、ついにパレードは目視できず、群衆の歓声だけ聞いて終わったという…。パレード終了から15分経って、ようやく赤坂御苑の手前の大通りに出られた。夜、ニュースを見たら約12万人があの狭い空間にいたという。どおりで身動きがとれないはず…。 世界墓マイラー同盟のK氏が撮影!K氏は2時間前から並んでいた勤王家。気合いが違う。 |
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●11月8日…今夜から仕事で上京するため、次回の更新は10日夜になります。夜行バスを埼玉・大宮で降りるので、氷川神社や近郊の三蔵法師のお墓(玄奘三蔵塔)に行きたいな。 /明日9日はベルリンの壁が崩壊し、東ドイツの人が自由を得てからちょうど30年。バーンスタインがタクトを振った第九を思い出す。 |
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●11月7日…人生初の中学校講演!愛媛・高知巡礼&講演レポート(その1) 僕の生涯の中で、先月下旬の愛媛・高知訪問は忘れられないものとなりました。 (1)公立中学校での講演 僕はずっと子ども達に話したかった。国内外の墓巡礼を通して、人間は互いに相違点があっても、共通点の方がはるかに多いことに気づいたことを。それを教えてくれたのは、巡礼を助けてくれた現地の人の優しさであったり、墓参をしている人々の表情であったり、故人となった後も墓前に集うファンを結びつけてくれる芸術家だったりした(ゴッホの墓前で初対面の人間が一緒に泣くなど)。 人間は戦争のような酷いこともするけど、美しい芸術作品も山ほど生み出してきた。音楽や絵画が言語の違いを超えて心に響くのは、人間が持っている“共感力”のお陰だし、逆に“共感力”を大切にしない社会は「自分は自分、他人は他人」で荒廃していく。人が映画で感動できるのは、他者の立場に立って世界を見ることができるからであり、誰もが持つこの能力を育てていくことが、教育の一丁目一番地と僕は思っています。 将来、子ども達が思いやりのある寛容な社会に暮らしてほしい。他者に攻撃的な息苦しい社会ではなく。この点に関して、僕は必死です。 ※公立学校なので宗教教育に繋がる「お墓参りに行こう」という言葉は絶対に禁句。墓マイラーなのに「お墓を大切に」と言ってはいけない、これはもう手足を縛られた状態であり、講演前はどんな結果になるのか不安だった。でも、墓参の珍道中に笑いがよく起き、ある生徒さんが「お墓は怖いものと思っていたけどイメージが変わった」「有難うって言いに行きたくなった」と言ってくれ、想いが伝わったことを確信しました! お墓にはあまり縁のない子ども達でも、大人と同じように、墓巡礼で出会った人との交流や、墓前で感じた生命の尊さを語れば、きちんと心に届くと分かりました。最後は拍手で終わったので、僕はこの講演で何かを突破した気がします。松山東中学の2年生のみんな、緊張しまくった大阪弁のオッチャンの話を最後まで聞いてくれて本当にありがとう!! 〔スライドの流れ〕 (1)墓マイラーになった理由(すべては失恋から) (2)世界の偉人の感動したお墓(エジソン、ファーブル、ヘレン・ケラー、野口英世など子ども達が知っている人物を中心に) (3)墓巡礼は1日にして成らず、旅先での様々な試練 (4)心を打たれた墓碑の言葉(ラストメッセージ) (5)地元(松山)ゆかりの人物のお墓(正岡子規、夏目漱石、種田山頭火など10名) (6)笑いと感動、巡礼で出会った優しい忘れ得ぬ人々 (7)お墓が教えてくれたこと、「人は相違点より共通点の方がはるかに多い」等々、魂の叫び! (8)質疑応答 ※この5番目の「地元ゆかりの人物」は「墓マイラーがいく地元の史跡」と合わせて47都道府県の異なるバージョンを入れ替えることで、全国津々浦々で講演できると思う(壮大な野望) ※校長先生とお話して、とても印象に残ったことが。学校では生命の大切さを伝える「いのちの授業」を行っている。 僕「自殺したらいけないという内容の授業ですよね」 校長先生「いえ、子ども達に赤ちゃんを抱かせています。赤ちゃんの柔らかさ、肌の暖かさは、どんな言葉より生命の大切さを伝えてくれるんです」 なるほど、生徒自身も、自分がこんな赤ん坊の時期があり、愛されて育ったことがわかる…素晴らしい取り組み!先生の話を聞いてるだけでウルウルきた。 ※追記。古い知人から「どういう経緯でこの講演が決まったの?」とメールが。お答えします、元をたどれば『笑ってコラえて!』(日テレ)と『ラジオ深夜便』(NHK)のお陰です!『笑コラ』で僕を知った南海放送の方(いまや大恩人)が、学校で講演できないか動いて下さり、『ラジオ深夜便』で僕のことを知っていた校長先生が「それなら我が校で」となりました。掘り下げれば『笑コラ』出演の前にこの文芸ジャンキーや雑誌連載があり、いろんな仕事がここで奇跡的に一本に繋がったのです!
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●11月6日…(つづき)ソビエト時代の作曲家ショスタコーヴィチは交響曲を15曲書いている。独裁者スターリンの圧制下で、自分の表現したい音楽を書くために苦労を重ねた作曲家。最も有名な曲は『交響曲第5番“革命”』だけど、僕は社会派シンフォニーの最高峰として『交響曲第13番
バビ・ヤール』の存在を特筆したい。“バビ・ヤールの虐殺”は日本では殆ど知られていないが欧州では有名な事件だ。 1941年、ドイツ軍はロシアの古都キエフを45日間に渡る包囲戦の末に陥落させ、市内に入ったナチス・ドイツ親衛隊はキエフに住む「全ユダヤ人の殺害」を決定する。「ユダヤ人は翌日出頭せよ。出頭せぬ者は銃殺する」とビラを張り、出頭した3万3771人のユダヤ人市民がキエフの「バビ・ヤール峡谷」に連行され、10人ずつ崖のへりに立たされ機関銃で殺害された。幼児もだ。 この「バビ・ヤール大虐殺」はホロコーストにおいて1件で最大の犠牲者を出した虐殺事件となった。その後も、キエフが解放されるまで2年間にわたって、ロシア人、ウクライナ人、ジプシー、ありとあらゆる国籍の人々がバビ・ヤールで殺害され、戦後ニュルンベルク裁判において「約10万の遺体」がバビ・ヤールの谷にあったと報告された。 ショスタコーヴィチはナチスの暴挙を糾弾する一方で、ロシアの黒歴史を白日の下に晒す。帝政ロシア末期に極右民族主義団体が、ナチスより先にユダヤ人を虐殺していた。 『交響曲第13番 バビ・ヤール』には、ベートーヴェン第九のように合唱がついている。第1楽章は差別主義への怒りだが、第4楽章はスターリン批判になっている。 −−− 『交響曲第13番 バビ・ヤール』から、歌詞抜粋 バビ・ヤールに記念碑はない。 切り立つ崖が粗末な墓標だ。 ベロストーク(露人による虐殺が起きた街)のユダヤ少年は私。 血が流れ、床に広がる。 酒場のゴロツキどもが暴れまわりウオッカとネギの匂いが混じる。 長靴で蹴飛ばされた、力ない私は、虐殺者どもに命乞いをする。 「ユダ公を殺せ、ロシアを救え!」 騒ぎの中で粉屋が私の母をぶちのめす。 おお、我がロシア民族よ! 私は知っている ロシア人は本来、国際派なのだと。 だが、しばしば汚い手をした奴らが、お前の清らかな名を騙っているのだ。 私は知っている、この土地の優しさを。 だが、卑劣な反ユダヤ主義者どもは、厚かましくも、自らをこう名乗っているのだ。 「ロシア民族同盟!」 私は思う、自分がアンネ・フランクであると。 何とわずかしか見たり嗅いだりできないのだろう! 私たちは小枝に触れることも空を見ることも許されない。 だけど、たくさん出来ることがある。 それは優しく暗い部屋で抱き合うこと。 バビ・ヤールに雑草が茂る。 木々は裁判官のようにいかめしく見下ろす。 ここでは全てが無言の叫びをあげ、 帽子をとった私は感じる、ゆっくりと白髪になって行くのを。 そしてこの私は、無言の叫びの塊として、 数万の虐殺された人々の上にいる。 私はここで銃殺された老人だ。私はここで銃殺された子どもだ。 私の中の何ものも、決してこれを忘れはしない! 私の身体の中にユダヤの血はないが、 激しい敵意を込めて私は憎まれる、すべての反ユダヤ主義者どもに、ユダヤ人として。 だからこそ…私は真のロシア人なのだ! ・第4楽章「恐怖」(スターリン時代の密告社会) 恐怖は何処へも影の如く入り込み、どの階段にも忍び込んだ。 こっそりと人々を手なげつけ、全てに刻印を押して行った。 誰かの密告に対するひそかな恐怖、ドアを叩く音へのひそかな恐怖。 そして、外国人と話す恐怖は? 外国人ならまだしも、妻と話す恐怖は? そして、葬送行進曲の後、静けさだけが残るあの言いがたい恐怖は? 我々は吹雪の中の建設も、砲弾の下での突進も恐れなかったが、 自分自身と話し合うことを時々死ぬように恐れたのだ。 自国の負の歴史は直視しにくいもの。だがショスタコーヴィチはナチスの蛮行だけでなく、帝政ロシア時代の憎悪犯罪を、そして平等をうたった社会主義ソビエトになってもなお、ユダヤ虐殺があったバビ・ヤールに墓標一つ造っていない(1962年時点)という、根深い差別心を人々に直視させた。 この曲の初演は当局の妨害を受け、当初予定していた指揮者に断られ、怖じ気づいた独唱者が次々と交代し、本番では4人目の独唱者が舞台に立った。 1975年、ショスタコーヴィチは死の4日前に最後の作品『ヴィオラ・ソナタ』を完成させる。享年68歳。没後2ヶ月、同曲を献呈されたヴィオラ奏者が初演し、彼はこう回想している。 「(この曲は)催眠術のような強い作用を聴衆に及ぼした。ホールで唯一の空席であるドミトリー・ドミトリエノヴィッチ(ショスタコーヴィチ)の席には花束が置かれ、そこから遠くない場所に、(大指揮者の)ムラヴィンスキーが私の妻と並んで座っていた。ムラヴィンスキーはまるで子供のように、止めどなく涙を流していたが、ソナタが終わりに近づくにつれて、文字どおり慟哭に身を震わせていた。舞台の上と聴衆の心の中で生じたことは、音楽の範疇(はんちゅう)を超えていた。我々が演奏を終えたとき、私は、ソナタの楽譜を頭上に高く掲げた。聴衆の喝采を残らずその作曲者に捧げるために」(『ショスタコーヴィチ』音楽之友社)。 ※遺作『ヴィオラ・ソナタ』終楽章は、ベートーヴェン月光ソナタのオマージュとなっている https://www.youtube.com/watch?v=lycYG6oJcvU#t=20m01s ※『弦楽四重奏曲第6番』第3楽章が胸に染みる(頭出し済) https://www.youtube.com/watch?v=0oUB_k7WTgs&#t=12m24s |
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●11月5日…『音楽の友 11月号』に「世界音楽家巡礼記(32)」を寄稿。今号は「近代の作曲家たち・中編」として、スクリャービン、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチをピックアップ。神秘主義にのめり込んだスクリャービンは、「音楽を通して聴衆を陶酔のうちに宇宙=神と一体化させ、音楽をもって人類の魂を救済する」という壮大な目的を胸に作曲。後年は音階ごとに「色」を設定し、音と光のコラボレーションを目指した。 ※『交響曲第3番“神聖な詩”』第一楽章のココから40秒間が好き!好き好き好き!! https://www.youtube.com/watch?v=jbiU9lBPv7w#t=6m52s ※『交響曲第4番“法悦の詩”』ラスト3分 https://www.youtube.com/watch?v=BWINpXNd5KE#t=19m20s ※スクリャービンはピアノの小品も良い。『2つの詩曲』から第1番。 https://www.youtube.com/watch?v=GeIkc573yJg (3分31秒) プロコフィエフはバレエ音楽『ロミオとジュリエット』のように甘美なメロディーを生み出す一方で、けたたましいグロテスクな旋律も得意とした、何でもありの天才。ロシア革命の混乱を避けて欧米に亡命したが、亡命先では良い音楽が書けず、帰国を決心する。その時の友人宛の手紙が良い。 「ロシア人というものは、自分の国の土を持って歩いているようなものだ。むろん国土全部をではない。(異郷の生活は)最初のうちはわずかしか苦痛を感じないが、段々ひどくなり、しまいにはそのために駄目になってしまう。私はもう一度祖国の雰囲気の中に浸り込まなければならない。私はまた本当の冬を、一瞬ごとに咲き開いてゆく春を見なければならないのだ。ロシア語が耳いっぱいに響くのを聞き、血と肉を分けた同胞たちと話すのだ。彼らはここには無いものを私に返してくれるだろう。彼らの歌を、私の歌を…。そうだ、やっぱり帰ろう」 帰国後、当初は自由に作曲活動をしていたが、スターリンによる恐怖政治が始まり、友人たちが強制収容所に送られる。ソ連の楽壇では、前衛作品は「民衆の方を向いていない」と見なされ糾弾されるため書けなくなった。奇遇にも、プロコフィエフはスターリンとまったく同じ日に他界している。スターリンの方が3時間早い。たとえ3時間であっても、プロコフィエフがスターリンのいない世界で呼吸できたことはよかった。 ※『騎士たちの踊り(ロミオとジュリエットから)』。近年、ドラマやCMで使用 https://www.youtube.com/watch?v=rrt7pqB5Ecw#t=28m04s ※『交響曲第5番』のこの部分、ゴジラがゆっくり上陸してきそう https://www.youtube.com/watch?v=sPsw3QpBsUE#t=10m41s ※『バイオリン協奏曲第2番』第2楽章(頭出し済)。亡命を終え祖国に戻った際の安心感、懐かしさにあふれている https://www.youtube.com/watch?v=uuXKaRFFJIc#t=11m02s ※『ピアノ・ソナタ第8番』第2楽章。舟歌のようで心地よい。 https://www.youtube.com/watch?v=VPmry-cj4OU#t=16m31s (つづく) |
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●11月4日…ショックだった首里城の炎上は、やはり正殿の分電盤が火元のようだ。分電盤に繋がる配線・延長コードから30箇所以上の溶融痕(火災の熱で溶けてできる銅の塊)が見つかった。この延長コードでLEDの照明器具を点灯させていたとのこと。 首里城は、かつての琉球王国の建築様式としても、第二次世界大戦の戦災から復興した建物という意味でも、多くの沖縄の人々がアイデンティティーの象徴と感じている建物。僕個人としては再建のための寄付が貯まるのを待つのではなく、政府が率先して国費を投入してほしいし、こういう時のために税金を払っている。特別会計のズブズブの無駄金に使ったり、トランプ大統領にボラれるより、よっぽど価値ある税金の使い方だ。 …それにしても、なぜゆえ安倍氏は、パリのノートルダム寺院の火災では速攻でお見舞いのツイートを書き込んだのに、首里城の火災はとことんスルーしているのだろう。自国民が悲しんでいるのに。一方、ラグビーの感想はすぐにアップしている。安倍氏は辺野古基地建設をめぐる答弁で、いつも「沖縄の皆さんに心を寄り添って」と言ってるけど、こういうときに無反応というのは、僕には理解不能だ。玉城デニー知事を圧勝させたから、県民を丸ごと“敵”とでも思っているのか。そんなはずはないだろうが、ノートルダム寺院の即ツイートがあるだけに、どうしてもギャップが目立つ。結局、こういうときにいたわりの言葉を持たない人物がトップにいるから、この7年間でこうも日本が壊れてきたのだと思う。 |
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●11月3日…「人生最大の栄光は、一度も転ばないことではなく、転ぶ度に立ち上がることにある」(ネルソン・マンデラ元南ア大統領) ラグビーW杯、南アフリカ3度目の栄冠をあらためて祝福。イングランドがニュージーランドを下したとき、南アが初戦でNZに敗北していることから、「これはイングランドが優勝するかも」と思ったけれど、そのイングランドに32-12で快勝、鉄壁の防御でトライを許さなかった。南ア強し!道理で日本があの“緑の壁”に苦しんだわけだ。 南アではアパルトヘイト(人種隔離)時代からラグビーは「白人のスポーツ」と見られてきたが、今のチームは代表初となる黒人主将のコリシ選手がまとめ上げている。試合後のコリシ主将「様々な背景、人種が一つになって優勝できた。一つになれば目標を達成できると示せた」。 決勝の中継では、会場にいた南アの元主将フランソワ・ピナール選手の姿が写り「うおっ!」と前のめりに。ピナール選手は傑作ラグビー映画『インビクタス』の主人公。1995年に南アをW杯初優勝に導き、マンデラ大統領(当時)が目指す人種間の対立緩和に貢献した。 映画『インビクタス』には、反アパルトヘイト運動で逮捕されたマンデラ氏が、“27年間”もの長い獄中生活で心の支えとした、英国詩人ウィリアム・アーネスト・ヘンリー(1849-1903)の詩「インビクタス」(ラテン語で“不屈”の意)が登場する。作者ヘンリーは骨結核のため12歳で左足を切断、8年間の入院生活を送り、結婚後は愛娘が6歳で病死。様々な試練の中でもヘンリーは強い心を持ち続け、次の四行詩「インビクタス」を書いた。 −−「夜より出(い)でて私を覆う奈落の如き漆黒の闇。どんな神であれ感謝する。征服されざるわが魂に。過酷の魔の手に落ちてなお、私はひるみも叫びもしなかった。運命に打ちのめされ、こうべが血にまみれようと決して屈しまい。怒りと涙尽きぬこの地のかなた、死の影が恐怖をほのめかす。だが幾年月脅威にさらされようとも、私は何一つとして恐れはしない。その門がいかに狭くとも、いかなる苦しみを負うことになろうとも、私がわが運命の支配者、わが魂の指揮官なのだ」(ウィリアム・アーネスト・ヘンリー) ※マンデラ氏は釈放の3年後にノーベル平和賞を受賞し、その翌年大統領に就任した。「私は決して言葉を軽んじない。27年の獄中生活で良いことがあったとすれば、独りゆえの沈黙のおかげで、言葉がいかに大切であるか、心から発した言葉が人間の生死にいかに影響を与えるかを理解したことだ」(マンデラ) ※作家スティーヴンソンはヘンリーを『宝島』の片足の海賊ジョン・シルバーのモデルとした。 ※今大会の入場者数は100万人を超え、W杯9大会目にして過去最多となった。それも発祥地の英国から遠く離れた極東の地で。開幕前に生放送した日本戦は視聴率6%台だったが、8強入りをかけたスコットランド戦は瞬間最高視聴率は54%を記録、これからは多くの日本人がラグビー中継を見ると思う。まさにラグビー元年となった。 //今月6日18時NHKBS1『世界のドキュメンタリー選 プロパガンダ ウソを売る技術』放送。ロシア語の「プロパガンダ」は“政治宣伝”の意味。チェ・ゲバラの肖像画が国境や時代を超えるアイコンとなった陰には、原作者が著作権フリーとしたことが大きく影響。ベルリン五輪の記録映画、レニ・リーフェンシュタール監督の「オリンピア」は、ヒトラー・プロパガンダの最高傑作ともされる。プロパガンダはどう機能し、社会にどんな影響を与えるのか。有史以前の洞窟壁画に始まる“人類最古の宣伝戦略”や、中世キリスト教会の“洗脳手法”、レーニンやヒトラーが洗練させたプロパガンダ。「ウソを売る技術」を徹底分析。 |
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●11月2日…文芸ジャンキー・パラダイス開設20周企画年第2弾&世界墓マイラー同盟第2回企画の偉人巡礼会『あの人に会いたい〜青山霊園・魂の墓参行脚:前編』を11月23日(土)13時より16時すぎまで実施します!都心の青山霊園は、面積が前回訪れた漱石が眠る雑司ヶ谷霊園の約2.3倍、甲子園球場の約7倍。同地に眠る12万人の中には、近代日本の礎となった先人が多数います。 世界墓マイラー同盟では、3回にわけて青山霊園の偉人を巡礼、それぞれの墓前で、なぜこの人に墓参したかったのか、故人への熱い想いを語ります。参加費は1500円(資料込み)、定員は先着20名強です。申込み方法など詳細は特設ページにて。 〔墓参予定の歴史上の人物12名&1匹〕 この東ブロックは政府要人が多く、固いイメージがありますが、命懸けで軍部に抵抗するなど重要人物ばかりです。ハチ公もこのエリア! ・大久保利通(1830-1878)幕末・維新期の政治家、薩摩出身。倒幕後、版籍奉還・廃藩置県を断行、凶刃に倒れる。享年49。 ・犬養毅(1855-1932)政治家、首相。備中(岡山)出身。護憲運動で活躍、五・一五事件で軍部に暗殺される。享年76。 ・浜口雄幸(1870-1931)政治家、首相。高知県出身。ロンドン海軍軍縮条約を結び、右翼に銃撃され他界。ライオン宰相。享年61。 ・牧野伸顕(1861-1949)政治家。鹿児島出身。満州事変後、軍部の横暴阻止に尽力、二・二六事件で襲撃される。大久保の子。享年87。 ・志賀直哉(1883-1971)小説家。宮城県出身。「白樺」創刊、簡潔な文体。「城の崎にて」「暗夜行路」。文化勲章。享年88。 ・斎藤茂吉(1882-1953)歌人。山形出身。「アララギ」編集。生の感動をうたいあげた歌集「赤光」などで文化勲章。享年70。 ・尾崎紅葉(1867-1903)小説家。東京出身。口語文体を創始した明治文壇の重鎮。圧倒的人気を獲得したが早逝。享年35。 ・乃木希典(1849-1912)陸軍大将。長州出身。日露戦争で旅順を攻略。明治天皇の大葬当日、自邸で殉死。享年62。 ・山口多聞(1892-1942)海軍軍人。東京出身。先見の明のある智将であったが上官に恵まれず、ミッドウェーで戦死。享年49。 ・川路利良(1834-1879)日本で初めて警察制度を構築した「日本警察の父」。薩摩出身。西南の役で抜刀隊を指揮。享年45。 ・有村次左衛門(1839-1860)薩摩藩士。桜田門外の変で水戸藩士と井伊大老を襲撃、首級をあげた後に自刃。享年21。 ・海江田信義(1832-1906)幕末・明治期の政治家。薩摩出身。生麦事件で行列を遮った英国人に天誅。有村次左衛門の兄。享年74。 ・ハチ公…秋田犬。東大教授・上野英三郎(ひでさぶろう)の忠犬。帰らぬ主人を10年近く渋谷駅で待ち続けた。 (予備)篠原泰之進(1828-1911年)新選組隊士。後に近藤勇と対立、襲撃。戊辰戦争では赤報隊。享年82。 世界墓マイラー同盟 |
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●11月1日…日記の10/26〜10/28までをアップ。この間、子どもが10歳になったので、その所感などを書いています。 そして…元旦から日記に綴っていた国内外のニュース「今日の良かった」は、尿管結石になったことで6月13日に中断し、その後、倒れている間に仕事が溜まってしまい、本日、ついに「遡っての“良かったニュース”更新」を諦めました。あまりに増えすぎた…無念。来年こそは、元旦から大晦日まで「今日の良かった」を完走させたい! //今年の文化勲章受章者6人と文化功労者21人が発表され、文化功労者の中に、我が敬愛する漫画家、萩尾望都先生(70)のお名前があって感激! まだ漫画が大人たちに馬鹿にされていた1970年代に、少女漫画を文学や詩と肩を並べる芸術に昇華させた『ポーの一族』『トーマの心臓』を描き、『11人いる!』『スターレッド』では男性SFファンも虜にした。しみじみと泣ける、そんなもの悲しさを味わった漫画は萩尾作品が初めてだった。おめでとうございます。 今回の文化功労者は、他に「転校生」「さびしんぼう」「時をかける少女」などで知られる映画監督の大林宣彦さん、日本のゲームを発展させた任天堂のゲームプロデューサー宮本茂さん、 歌舞伎界を代表する女形の坂東玉三郎さんなど、僕の世代には馴染み深い方が多く、テンションが上がりました。 |
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