《今年の断固行くべき展覧会10選!》 2002年は文芸ジャンキーには当たり年。とにかくもう、次から次へと重要展覧会が目白押し!で、今後1年間の計画を立てる際に、これだけは外せないというものを10個チョイスしました〜ッ! ●『横山大観 その心と芸術』東京国立博物館(2月19日〜3月24日) ハチョ〜ッ!なんと北斎、広重と並ぶ日本3大絵師の一人(と僕が思っている)、横山大観御大の展覧会が催されるとは!大観は印象派のモネやルノワールのように、画中で光や大気を表現しようとした日本画の革新者。当時の画壇からは“朦朧(もうろう)とした絵だ”と馬鹿にされたが、信念を持って自分の道を歩み続けた。 構図、色合い、絵の主題、何もかもが素晴らしい大観作品に貴方も酔って欲しい!嗚呼、全国に散らばる大観の名作を一ヶ所で味わえるこの喜び!(これは大阪から這ってでも見に行かねば) ●『国宝 松林図屏風展』東京出光美術館(2月26日〜3月24日) 出光美術館が開館35周年を記念してやってくれた。東京国立博物館の倉庫に保管されている至宝、“松林図屏風”を公開してくれるのだ!この長谷川等伯の屏風は元旦に放送された『日本の美100選』でトップに輝いた、あの超幽玄な水墨画だ〜っ!(ゼエゼエ)とにかく、多くの美術研究家から“日本絵画史上の最高傑作”と熱い支持を得ているこの作品。これを見ずに日本美術は語れない! ●『中島潔が描く金子みすゞ』大阪三越(2月27日〜3月18日) 26才で自らの命を絶った詩人、金子みすゞ。彼女の詩を約50編選び、童画の第一人者、中島潔が絵画化した。特に以下の詩を描いた作品は、無数のイワシの群れの中に少女が独り立ちすくんでいる鳥肌モノの絵だ。 「大漁」 朝焼け小焼けだ 大漁だ 大羽イワシの 大漁だ。 浜は祭りの やうだけど 海のなかでは 何万の イワシのとむらひ するだらう。 ●『プラド美術館展』国立西洋美術館(3月5日〜6月16日) ルーブル、オルセー、ボストン、メトロポリタンと並ぶ、世界屈指の美術館、スペインのプラド美術館。マドリードまで行けないという貴方のために、向こうからワザワザやって来てくれました!もちろん、プラド美術館展は本邦初公開づくし。エル・グレコやベラスケスなどスペイン絵画の巨匠が勢揃いするが、中でも一番の目玉は200年前の画家ゴヤが描いた“巨人”。戦争や人間の業が雲を突く巨人となって人々の前に君臨する圧巻の1枚だ。争いと混乱に満ちた現代に生きる僕らは、この作品の前に立ち、どんな感情を呼び起こされるのだろうか。 (よくぞこの名品をプラドが貸し出してくれたものだ!) ●『雪舟 没後500年特別展』 京都国立博物館(3月12日〜4月7日) 東京国立博物館(4月23日〜5月19日) ムヒョ〜ッ!室町後期の水墨画家・雪舟は、個人で最も国宝を残している天才絵師だ。しかしその国宝群は保管の関係上、常に展示されているわけではない。だが、この特別展では長さ16メートルに及ぶ超大作「山水長巻」や枯淡の極み「秋冬山水図」など、約150点が会場に集結する! この全生涯の作品が網羅されたまたとない絶好の機会を、断じて逃すべからず!万難を排して参ぜよ! ●『東大寺のすべて』奈良国立博物館(4月20日〜7月7日) 東大寺は大仏開眼から今年で1250年。これを記念し、寺の名宝を一堂に公開する特別大展覧会が開催される!普段はお堂の暗がりの中にいる「四天王立像」に照明が当たり、めったにお目にかかれない“秘仏”の「俊乗上人坐像」「良弁僧正坐像」が連日公開されるだけでもすごいのに、大英博物館やボストン美術館にある仏像までが海を渡って里帰りしてくる!最高!出展総数は200余件に達するという、間違いなく本年の最重要展覧会なり。 ●『ちひろと日本の絵本画家たち』大阪梅田大丸(4月26日〜5月12日) 絵本の画家たちにスポットを当てた珍しい展覧会。開催期間が短いので、確実に会場の大混雑が予想される。落ち着いて絵と向き合うためにも、必ず午前の早い時間帯に足を運ぶべし! ●『世界最大の恐竜博』千葉・幕張メッセ(7月19日〜9月22日) 米国、中国、アフリカから40体を超える全身骨格(完全標本)が集結!ティラノザウルスは全長15mだが、今回は全長35m(!)のセイスモサウルスというトンデモ巨大恐竜の骨格が世界初公開される。チビッコが興奮のルツボに陥る光景が目に浮かぶわい! ●『興福寺国宝特別公開』奈良興福寺境内(10月上旬〜11月上旬) 興福寺は8年後の創建1300年祭へ向けて様々な催し物を展開している。今年は国宝特別公開の第3弾として、通常は年にたった1日しか拝観出来ない南円堂を1ヶ月間公開する。お堂では秘仏“不空けん索観音”&“四天王立像(もちろん先の東大寺とはまた別の)”が待っている! ●『大レンブラント展』京都国立博物館(11月3日〜翌年1月13日) ヘキョ〜ッ!ぼ、僕がゴッホと並んで最も愛してやまぬ17世紀オランダの巨匠レンブラントの展覧会じゃあ〜!しかも、今回は展覧会のタイトルに“大”という文字が冠せられているではないか!“大”と名乗る以上、よほど内容に自信があると見た。妻子に先立たれ、裁判所からは破産を宣告され、ド貧困の中で孤独に死んでいったレンブラント。そんな彼の作品は黄金の光とセピア色の闇に支配されており、一目見ればその神秘的な陰影&色彩の虜になるだろう。まさに一年を締めくくるにふさわしい美術展だ! -----大観に始まりレンブラントで終わる。いやはや、素晴らしい1年ですな! |
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