最新文芸情報


2018.11〜12

●2月28日…〔今日の良かった〕僕は欧州分断に繋がる英国のEU離脱に反対なんだけど、昨日イギリスのメイ首相が、初めて離脱期日の延期を容認する姿勢を示した。国際経済を巻き込む無秩序な離脱を選べば、欧州経済の混乱は必至。社会の不公平感は、移民が悪いんじゃなく、制度として富の再分配がきちんと出来てないから。
●2月27日…〔今日の良かった〕一昨日のアカデミー賞発表は時代の変化を伝える象徴的なものだった!
2015年、16年と2年連続で主演と助演の男女優部門20人が全員白人だった際、“白いアカデミー賞”と批判され、黒人のスパイク・リー監督が授賞式をボイコットする事態になった。あれから3年、今年はそのスパイク・リーが脚色賞(「ブラック・クランズマン」)に輝き、スピーチで来年の大統領選に言及「みんなで一緒に歴史を正しい方向に導こう。愛と憎悪の戦いの中で正しい選択をしよう。ドゥ・ザ・ライト・シング(正しいことをしよう)!」。受賞作は白人至上主義の結社KKKに黒人刑事が潜入捜査するというもの。スパイク・リーは数多くの名作を生んできたのに、今回がオスカー初受賞だ。

作品賞、脚本賞、助演男優賞の3部門を獲得したピーター・ファレリー監督『グリーンブック』も黒人が主人公。天才黒人ピアニストと白人の用心棒がツアーのため米南部を旅し、黒人と白人が互いを理解し合う映画という。対立を描いて問題提議して終わりではなく、その先へ進んでいる。

アメコミ映画で初めて作品賞にノミネートされた『ブラックパンサー』は黒人の王がヒーローとして活躍し、名セリフ「危機に瀕した時、賢者は橋を架け、愚者は壁をつくる」で締めくくる。本作は衣装デザイン賞と美術賞、作曲賞を獲得。
長編アニメ賞の『スパイダーマン:スパイダーバース』の主人公はアフリカ系とプエルトリコ系の両親を持つマイルス少年。助演女優賞の『ビール・ストリートの恋人たち』は黒人青年が無実の罪を着せられる。
2017年はゲイの黒人が主人公の『ムーンライト』、2018年には障がい者と半魚人のロマンス『シェイプ・オブ・ウォーター』と、主人公がマイノリティーの映画が作品賞に選ばれてきて、今回の非白人系の大活躍で完全に“白いアカデミー賞”時代は過去のものとなった。

映画興行面からの大変革は、劇場公開作ではなく動画ストリーミング配信プラットフォーム「Netflix」のオリジナル映画『ROMA/ローマ』が監督賞(メキシコ出身のキュアロン)・撮影賞・外国語映画賞の3部門を獲得したこと。劇場公開を前提としない低予算の映画がオスカーに輝いたことで、これからは客入りの見込めないアート系の映画でも作りやすくなるだろう。
キュアロン監督「1人の現地(メキシコ)の女性を中心にした作品を評価いただき感謝する。労働者の権利を認められていない7000万人の1人だ。これまでの映画では背景に過ぎなかった存在だ」。

主演男優賞は『ボヘミアン・ラプソディ』でフレディ・マーキュリーを演じたエジプト系米国人ラミ・マレック。アラブ系俳優で初の主演男優賞!スピーチがとてもよかったので紹介。
「(少年時代の自分に)いつかこんなことが起きるんだよって伝えたらどう思うだろうと考えている。きっと、くせ毛頭が爆発するほどびっくりしていたことでしょう。彼は自分のアイデンティティに悩んで、自分のことを理解しようとしていましたから。僕たちは、人に媚びることなく自分らしい人生を生きた移民の同性愛者についての映画を作りました。そんな彼と彼の物語を今夜祝福していることこそ、こういった物語がもっと語られるべきであることを示している。僕はエジプトからの移民の息子で、アメリカ人としては一世にあたります。そんな僕のストーリーが今刻まれている。この瞬間にたどり着くことを信じ続けてくれたみなさんには感謝しきれません。僕の一生の宝物になるでしょう」(リンク元

※作品賞ノミネート8作の概要(25日・朝日)
・「ブラック・クランズマン」黒人刑事が白人を装い、白人至上主義団体「KKK」に入団する社会派スリラー
・「ボヘミアン・ラプソディ」人気ロックバンド・クイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーを描く
・「ブラックパンサー」アメコミが原作の超大作。黒人ヒーローが活躍する
「女王陛下のお気に入り」18世紀初頭のイングランド、気まぐれなアン女王のお気に入りの座を巡る2人の女性の駆け引きと愛憎劇
・「グリーンブック」1960年代、天才黒人ピアニストとその運転手の白人男性が、人種差別が色濃い米国南部を旅する
・「ROMA/ ローマ」ネットフリックス製作。外国語映画賞にもノミネート
・「アリー/スター誕生」主演は歌手のレディー・ガガとブラッドリー・クーパー(監督も)
・「バイス」ジョージ・W・ブッシュ大統領の下で絶大な権力をふるったチェイニー副大統領が主人公
●2月26日…〔今日の良かった〕NHKラジオから連絡があり、今年1月で最終回のはずだった『ラジオ深夜便』の「世界お墓偉人伝」が、その最終回で大きな反響をいただき、なんと来年度も担当することに!延長です、ありがたいです。これでまた墓巡礼の素晴らしさを伝えることができる!
●2月25日…〔今日の良かった〕先日のEテレ『ららら♪クラシック タンゴの真実』(公式)は永久保存版だった!タンゴの歴史、使用楽器の説明、「ジュンバ」「シンコパ」など独自のリズムの説明、フリオ・デ・カロやオラシオ・サルガンなど巨匠の紹介があり、最後にアストル・ピアソラが作曲した大傑作『ブエノスアイレスの冬』を、バンドネオンの名手小松亮太さんがライブ演奏!港町ブエノスアイレスの場末で生まれ、当初はダンスの伴奏として軽く見られていた音楽が、世界に誇るアルゼンチンの芸術として認められるまでが、30分という短い時間で実にわかりやすく語られていた。完璧な番組であり、構成を考えた人は天才!

//昨日、日本文学研究者で文化勲章受章者のドナルド・キーンさんが96歳で他界。18歳で源氏物語に惚れ込むなど日本の古典から現代文学まで通じ、世界に日本の文化と文学を広めて下さった。
以下、朝日の追悼コラムが良いので抜粋&紹介。
→(キーンさんは)東日本大震災を機に、かねての思いを実行して(日本)国籍を取得した。これを、はやりの日本礼賛の文脈で語るのは間違いだ。対談で「日本人になったからには日本の悪口もどしどし言うつもりです」と語っている。実際、キーンさんは、バブル崩壊後の日本社会のありように辛口だった。内向き志向、他者への配慮を欠いたふるまい。憲法9条が改定の動きにさらされている現状も批判した。本に親しんできた日本人が、テレビやゲームに興じ、古典と向き合う時間をなくしてしまっている風潮も惜しんだ。
そういう「ファストフード」から得られる喜びには限りがあると指摘し、人間性の探求に駆り立てる文学が再び必要とされるかもしれないと書いた。近年は、現代の私たちに通ずる孤独や、自信と不安が背中合わせの矛盾を描いているとして、啄木の作品を勧めていた。

/作家・平野啓一郎氏「近代以降、日本人はゴッホやモネに浮世絵の素晴らしさを再教育され、フェノロサに日本美術の価値を見出されたように、やはり、キーンさんに教えられた日本文学の素晴らしさも多かった」。
●2月24日…〔今日の良かった〕沖縄の辺野古基地建設をめぐる県民投票で、ハッキリと民意が示された。72%の方が辺野古埋め立てに反対。県民の声が、このように具体的に数字として可視化されたことは大きい。日本が民主主義国家を名乗るなら、これだけ明確に示された民意を無視などできない。
●2月23日…〔今日の良かった〕先日、上映中の『アクアマン』を鑑賞!体感システムの4DXで観たんだけど、これが凄まじかった。まさにアトラクション映画の決定版!物語の舞台が海中だけに今までの4DXで一番水がかかり、2月なのに服がしっとり。座席がこれまた揺れに揺れ、途中で隣席の観客の巨大ポップコーンが火山のように噴火し、その直後、箱ごと宙に舞った!マーベル系のヒーロー映画と違って、DCコミックス系は『バットマン』など暗く重い路線できたけど、このアクアマンはユーモアたっぷり。バトルシーンもエンドレスで続くクライマックスを見ているようだった。USJでライド体験した気分。
●2月22日…〔今日の良かった〕博多の講演で一泊したので、大阪に帰る前に、山形県の石屋さんKさん、北九州市の石屋さんIさんと3人で福岡を墓巡礼。太宰府で菅原文太さんと鑑真和上の墓参をした後、中間市で高倉健さんに墓参、最後に小倉で宮本武蔵の養子・宮本伊織の墓参りを敢行!車を運転して下さったIさん、そして健さんのお寺でご住職からいろんな話を聞いて下さったKさん、本当にありがとうございました!また3人で巡りたいです!(^^)/

//発売中の『音楽の友 3月号』に「世界音楽家巡礼記(24)」を寄稿。今号はスペインの作曲家特集で、サラサーテ、タレガ、アルベニス、グラナドス、ファリャ、ロドリーゴの一挙6人の墓参レポート掲載です。
●2月21日…〔今日の良かった〕『笑ってコラえて!』の出演が様々な仕事に繋がってきて本当に嬉しい。日本全国の石材店400社あまりで組織される全優石(全国優良石材店の会)さんから講演依頼を頂き、本日、博多で墓マイラーからみたお墓の魅力を語りました。こんなに大きな組織から声をかけて頂くのは初めてだし、ヒルトンホテルの大広間という巨大空間で語るのも初めて。会場に入った瞬間、
“遠くは北海道、青森、全国から集まっている…大変なことになった”
“全国組織の石屋さんに墓の魅力を語るなんて、釈迦に説法、おこがましいのでは…”
と、正直怖じ気づいた自分がいた。

でも、話し始めて最初の笑い声が出たときに緊張が解けた。皆さん、優しい!一般の人にガチの墓マイラー・トークをすると「アウェイ」な空気を感じることもあるけど、この会場には圧倒的な「ホーム」感があった。そう、ここでは、どれだけエキセントリックにお墓LOVEを叫んでも、ドン引きされない!むしろ、どんなにむき出しの愛をさらけ出してもOK!前列の方にニコニコしながら聞いて下さっている方が何人かおられ、僕は「全優石は“全国の優しい石屋さん”の略だ!」と胸熱に。

閉会後の懇親会ではイメージキャラクターをされているエジプト考古学者・吉村作治先生と同じテーブルに。当然ながら大ファンであり、大阪から色紙を持参。サインをお願いしても許される場なのか、慎重に空気を読んでいるうちに閉会時間が迫ってきて、僕の気持ちを知っているYさんが「いま頼まないと!」と背中を押して下さり、サインをお願いした。吉村先生は「いいですよ」と笑顔で色紙を受け取って下さり、ピラミッド3基とナイル河のイラストを添えて下さった!うおおおおお!!感無量、カジポン家末代までの家宝に!
全優石・吉田剛会長ともお墓トークがたくさんでき、本当に、本当に、あまりにも貴重すぎる体験だった!

墓石には命日が刻まれ、その日は故人を追悼するため墓前に人々が集います。人は死してお墓となって生きる。そして墓参に来た生者を結びつける。僕には墓前で知り合った墓マイラー友達がたくさんいます。
まっこと、墓が石であってこその墓マイラーです。これは石屋さんのために言うのではありません。100カ国2500人の巡礼からの実体験です。墓石の形、建てられた場所、刻まれた言葉、生没年が伝える波乱の人生、周囲にどんな人が眠っているのか、すべてが故人のラストメッセージ。僕にとって墓はその人そのものです。だから感謝の言葉を伝えるために30年以上巡礼し続けています。人と思うから「ありがとう」を直接伝えたくなる。伝えずにはおられない。

発見された最古の墓は6万年前のネアンデルタール人のもの。既にこの段階で花が供えられていた(洞窟内のお墓から、付近には咲いていない8種類の花粉が出てきた)。亡骸を小動物の被害から守りたいという想いで埋葬したのだろう。
お墓は先祖代々から生命を受け継がれてきたことが分かる、「目に見える命のバトン」であり、石の文化を支え続けてきたすべての石屋さんに心から敬意を表します!ビバ・お墓!(^^)/

 
吉村作治先生は前日にエジプトから帰国されたばかり。
現在、ドローンを使った大規模調査が進行中とのこと!
●2月20日…〔今日の良かった〕聴き惚れたヴィヴァルディの楽曲・ラスト、そして初期クラシック史の最終回!
1740年、ヴィヴァルディは自作オペラのウィーン公演のためヴェネツィアを発つ。ところが、大変ことが起きる。芸術のよき理解者だった神聖ローマ皇帝カール6世が崩御したのだ。このため、オーストリアは国家として1年間喪に服し、その間はオペラを含む全ての興業が禁止された。ヴィヴァルディは舞台セットや歌手の契約で既に投資しており大打撃を受ける。そのうえ次期皇帝をめぐって「オーストリア継承戦争」が勃発し、国内は戦争一色となりオペラどころではなくなった。
翌年7月、ヴィヴァルディは帰国することもかなわず、ウィーンの市民向け歌劇場の作曲家宿舎で体調を崩し、そのまま病没する。享年63歳。故郷ヴェネツィアであれば大きな葬儀になったと思われるが、旅先のウィーンであり、しかも真夏であったため、葬儀は簡単に終わり、そのまま病院付属の貧民墓地に埋葬された。

約30年後、この墓地はウィーンの再開発で閉鎖され、ウィーン工科大学が当地に開校する。“ワルツ王”ヨハン・シュトラウス2世や物理学者ドップラーが入学しており、ある意味彼らはヴィヴァルディの墓の上で勉強していたことになる。
工科大学は毎年ウィーン・フィルのニューイヤー・コンサートが催されるクラシック・ファンの殿堂「ウィーン楽友協会ホール」と200mしか離れておらず、公園を挟んで向き合っている。音楽の都ウィーンを象徴する聖地・楽友協会ホールに、全作曲家の中で最も近い場所に眠っているヴィヴァルディ。故郷ヴェネツィアには帰郷できなかったけれど、音楽家として少しでも慰めになっていたらと願ってやまない。

ヴィヴァルディがこの世を去った10年後、ドイツではバッハが他界。その6年後にモーツァルトが生まれ、20年後にベートーヴェンが生まれ、ロマン派(ショパン、チャイコ等)爆誕に向けて音楽を発展させていく。

ヴィヴァルディの没後約200年が経った1939年、イタリア・トリノ国立博物館でヴィヴァルディの楽譜を調査中に、偶然にも声楽曲『グローリア』が発見される。
この『グローリア』の第2曲「地上には善意の人々(Et in terra pax)」がとてつもない名曲!歌の大意は“地上の善意の人に平安あれ”というもの。体の芯まで震えるようなドラマチックかつ美しい旋律。ヴィヴァルディさん、あなたこんな曲も書いてられたんですか!
『グローリア』第2曲「地上には善意の人々」 (5分)

いやはや、この曲が200年ぶりに発見されて本当に良かった!ヴィヴァルディとバッハは今でこそ有名だけど、死後は100年くらい忘れ去られたいた。メンデルスゾーンが「バッハ凄いよ」と騒ぎだし、そのバッハがヴィヴァルディを尊敬していたので、ヴィヴァルディにまで光が当たった。
現代に生きているからこそ『グローリア』第2曲を聴けるわけで、1939年までに没していたら曲の存在を知らなかった。あぶない、あぶない。いや、現代だってYouTubeがなければ、こうしてマイナーな曲を自宅にいながらにしてクリックひとつで聴けたわけじゃなく、僕も曲の存在に気づいたかどうか。こと音楽に関していえば、まったくもって幸運な時代に生きていることよ。
●2月19日…〔今日の良かった〕聴き惚れたヴィヴァルディの楽曲・その3。
この隠れ名曲を読者の皆さんに紹介できることが、本当に嬉しい!

1730年、52歳のヴィヴァルディは『ギター協奏曲』を作曲。他の作曲家はあまり手を出さない分野であり、ここでも孤児院オーケストラの生徒達を楽しませたいという思いが伝わってくる。
『ギター協奏曲』第2楽章(頭出し済)、このマイナー曲の演奏風景を初めて見た!耳を傾けていると、秋の午後に林道の落ち葉の上を散歩しているような気持ちに。
そして古楽器のリュート版。音声のみだけど、こちらもグッド。作曲当時はリュートがポピュラーだった。

同じ頃、全12曲のヴァイオリン協奏曲集『チェートラ』を出版。『チェートラ』の中では第12番(ヴァイオリン協奏曲 ロ短調)が抜群にいい。最後の1分強のヴァイオリン独奏を頭出ししているので、ぜひ試聴を! ヴィヴァルディは本作の手書きの楽譜を神聖ローマ皇帝カール6世(マリア・テレジアの父親)に献呈している。
またこの頃、史上初となる『フルート協奏曲』の楽譜を出版!
『フルート協奏曲第2番 夜』 (11分)夜の雰囲気たっぷりの傑作。

そして作曲年が不明かつ楽器もヴィオラ・ダモーレという古楽器ながら、またわずか8分という短い協奏曲ながら、冒頭から身を乗り出してしまう曲がある。
『ヴィオラ・ダモーレ協奏曲 イ短調』 (8分)ええやん、このギコギコな感じ!ええやん!
(次回ヴィヴァルディ編ラスト)
●2月18日…〔今日の良かった〕聴き惚れたヴィヴァルディの楽曲・その2。
昨日紹介した 『調和の霊感』のヒットを受けて、ヴィヴァルディが翌1712年(34歳)に出版したのが『ヴァイオリン協奏曲:ラ・ストラヴァガンツァ』。全12曲あるうちの最後の第12番の第2楽章(頭出し済)が歌心たっぷりで良いです!

同年、中世(13世紀)の修道士が書いた感動的な詩、『スターバト・マーテル(悲しみの聖母)』に曲を付ける。ヴィヴァルディ初の本格的な宗教曲であり、十字架の下にたたずみ悲しみに沈むマリアの姿を切々と歌う。

Stabat mater dolorosa(悲しみの母は立っていた)
iuxta Crucem lacrimosa,(十字架のかたわらで、涙にくれ)
dum pendebat Filius.(わが子が架けられている間ずっと…)
もう歌の出だしから泣けてくる。目の前で子を失った母親の悲しみを思うと、キリスト教徒じゃなくても胸にくる。
『スターバト・マーテル(悲しみの聖母)』 (22分37秒)
※ヴィヴァルディの他にも、パレストリーナ、ペルゴレージ、ハイドン、ロッシーニ、ドヴォルザークなど多くの作曲家がこの詩に曲を付けている。

1720年頃(42歳)、『ファゴット協奏曲』を作曲。ファゴットは地味な印象の楽器だけど、ヴィヴァルディはドラマチックな曲調で縦横無尽に活躍させている。
『ファゴット協奏曲 ニ短調』(10分35秒)冒頭のツカミが完璧
『ファゴット協奏曲 ホ短調』(11分32秒)第一楽章が特に良い

そして1725年、代表曲「四季」を含む12曲のヴァイオリン協奏曲集『和声と創意の試み』を出版!この協奏曲集の第1番から4番までが『四季』であり、それぞれにヴィヴァルディ自身のソネット(十四行詩)が付いている。以下に要約。
「春」…春の到来だ!小鳥も喜んで歌っている。小川のせせらぎ、そよ風も最高。
「夏」…この猛暑はきつすぎる。カンカン照りで人間も羊もぐったり。そして恐ろしい夏の嵐!雷とヒョウ、勘弁してくれ!
「秋」…収穫が終わって村の秋祭り。狩りもするよ。
「冬」…凍てつく寒風が吹きすさび歯はガチガチ。一方、家の中の暖炉の炎は暖かい。もうすぐ春ですなあ。
イ・ムジチ合奏団の『四季』(43分41秒)この楽団が世界で初めて『四季』を録音、レコードは2500万枚以上を売り上げ、この曲はクラシックファン以外にも知られるようになった。王道の演奏。
革命児ファビオ・ビオンティの『四季』(40分)ビオンティ軍団のライブ動画。独自解釈、あまりのアグレッシブさに当初は仰天したが、気がつけばやみつきに。
※上記の『夏』第3楽章頭出し。チェンバロ完全バトルモード、全員バーサーカー(狂戦士)。
※上記の『冬』第1楽章頭出し。すごい緊張感。なんかもう、切り刻まれる感じ。

(ヴィヴァルディその3に続く)
●2月17日…〔今日の良かった〕中世まで遡り6日にわたって紹介してきた、バッハ登場以前の初期クラシックの世界。いよいよ最後の超大物、ヴィヴァルディの登場!

ヴァイオリン協奏曲やフルート協奏曲といった“ソロ&伴奏楽団”で奏でる独奏協奏曲の形式を確立した巨星アントニオ・ヴィヴァルディ。彼は1678年にヴェネツィアで生まれた。バッハの7歳年長にあたる。音楽家の父に教育を受け、同時に聖職の道にも進み、25歳で「司祭」の資格を得た。その温厚な性格から「赤毛の司祭さま」と親しまれる。
まもなく音楽の才能をかわれ、ヴェネツィアの女子孤児院付属音楽院でヴァイオリンを教え始めた。以降、約40年にわたって、孤児院運営費の捻出のため毎週ひらかれる女子孤児達の学内コンサートの作品を書き、演奏を指導した。

この孤児院はいわゆる“赤ちゃんポスト”のある孤児院。ヴィヴァルディは孤児達が音楽を演奏する喜びを感じられる良い曲を書こうと発奮、また、ひとりでも多くの子に見せ場があるよう、4人のソロが登場する『4台のヴァイオリンのための協奏曲』を書いたり、ファゴット、フルート、マンドリン、トランペット、ギターなど各種楽器の協奏曲も書いた。

我が愛する…我が愛する…『4台のヴァイオリンのための協奏曲』!
この曲の第2楽章の中に、好き過ぎて中毒症状になるくらい、ここ20年ほど繰り返し聴いている「90秒間」の旋律がある。ピンポイントでこの部分→
https://youtu.be/Sdn4DVni3eY ここからの1分半!耳を傾けていると宇宙の果てに連れて行かれる。大曲を聴いたような満足感。そして一度聴いたら、電車の中でも、お風呂の中でも脳内再生。

https://www.youtube.com/watch?v=GWZTyiMXulQ#t=5m47s
同じ部分、9割以上が女性の楽団のライブ動画。ヴィヴァルディは女子孤児院のために作曲していたから、初演の演奏会はこんな光景だったかも。先のリンクに比べて演奏の速度が速いけど、このテンポが主流。僕的には遅ければ遅いほど良い。

https://www.youtube.com/watch?v=86Aqf2GTmCs#t=4m38s
なんじゃこれはというほど超速い演奏。神秘性や情緒は吹き飛んでるけど、これはこれで切れ味バツグン、好きな人も多い。

https://www.youtube.com/watch?v=7OwQOb6bd1M#t=5m09s
20年後にバッハが編曲した「4台のピアノ(チェンバロ)のための協奏曲」のライブ映像。4台のピアノが並んでいる光景はなかなか壮観!ピアノを4台用意するのが大変なため、めったにステージで演奏されることはない。

https://www.youtube.com/watch?v=mHAsO0yqPwQ (4分)
変わり種。ジェームス・ピンダーなる人物が同曲の第1楽章をシンセサイザーに編曲。『時計じかけのオレンジ』のサントラを手がけたウェンディ・カーロスを彷彿。天才か!この人はバッハのブランデンブルク協奏曲第3番とか良い編曲をいろいろアップしている。

『4台のヴァイオリンのための協奏曲』が発表されたのは1711年、ヴィヴァルディ33歳のとき。全12曲の協奏曲集『調和の霊感』のうち第10番が当曲。
続く第11番が『2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲』で、これも名曲。
『2つのヴァイオリンとチェロのための協奏曲』 (9分16秒)冒頭からドラマチックで聴き入る。第3楽章のフーガはバッハそっくり、いやバッハ(当時26歳)が似ているのか。
(ヴィヴァルディその2に続く)
●2月16日…〔今日の良かった〕初めて器楽曲で国際的名声を得たコレッリに続いて、名前が現代に伝わるバロック音楽の作曲家トマゾ・アルビノーニ(1671生)を紹介。23歳のときに作品1となる『12のトリオソナタ』を完成。面白いのは、最初に出版された楽譜には自身の肩書きを“ディレッタント(好事家・物好き)のヴァイオリニスト”としており、職業作曲家ではないことをアピールしている点。父は製紙業者として成功し、裕福な家庭であったため、作曲のノルマもなく肩の力を抜いて音楽を楽しんでいる印象。とはいえデビュー時から良い曲を書いている。
『12のトリオソナタ』(87分)冒頭のオルガンの音色から一気に引き込まれる。

29歳で発表した作品2『五声のシンフォニアと協奏曲集』は海賊版が出るほど人気を得た。この曲集からは「シンフォニア ト短調」 (8分半)をプッシュしたい。個人的に陰のある曲が好きなので、短調の作品は要チェック。
36歳のときに『ヴァイオリン協奏曲イ短調』 (7分22秒)を書いており、アルビノーニは独奏バイオリン協奏曲の創始者のひとりに名を連ねている。
40歳で出版した『12のヴァイオリン・ソナタ』では、肩書きが「ヴァイオリン音楽家」となっている。アルビノーニの中で大きな変化があったのか、公に職業音楽家と名乗っている。
51歳、『12曲の五声の協奏曲集』を発表、第2番となる『オーボエ協奏曲』の第2楽章アダージョ (12分半)が特に素晴らしく、リンクの頭出しをしておいた。
そして第12番にあたる『2つのオーボエのための協奏曲』(7分42秒)は、50代に入った作曲家の円熟味、風格が漂う作品。ちなみに、まだクラリネットはこの世にない。
以降、作品の発表が激減し、まだ存命にもかかわらず、過去の作品が「遺作」として出版される憂き目を見る。1751年にヴェネツィアにて79歳で他界。この5年後にあのモーツァルトが生まれている。時代がかなり現代に近づいて来た感がある。

−−アルビノーニといえば、最も有名な曲は本人の名が冠された『アルビノーニのアダージョ』(11分50秒※カラヤンは小品にも手を抜かず全力の名演)なんだけど、残念ながらこの曲はアルビノーニ本人とは無関係。20世紀イタリアの音楽学者レモ・ジャゾットが1958年に“アルビノーニの楽譜の断片から再現した”と偽ったもの。実際はレモ・ジャゾットの完全オリジナル。ある意味、誰もが騙されるほどの名旋律を書いたレモ・ジャゾットが凄いわ。
バッハは14歳年上の先輩アルビノーニを評価し、弟子達に研究を勧め、自身もアルビノーニの主題を使ったフーガを2曲書いている。(次回ついにヴィヴァルディ編!)

〔2月24日※日記の順番とズレがあるので後日入れ替えます〕
沖縄の辺野古基地建設をめぐる県民投票。野党支持層だけでなく、与党支持層の半数が基地建設に反対票を投じた結果、7割以上が反対という結果に!
反対 42万4273票
賛成 11万4933票
どちらでもない 5万2682票
昨年の県知事選で、反対派の玉城デニー知事が得た過去最多票数をさらに4万票も上回るもの。これでもうハッキリした。沖縄に対して「対案を出せ」とかもういい。沖縄はノーと言っている以上、対案を考えるのは政府だし、本土の人間。戦後74年間、ずっと沖縄に無理強いし、耐えさせてきた。12/29の日記にも書いたけど、「もはや海兵隊を沖縄に置く戦略的な意味はない」と、とっくに結論が出ている。かつては仮想敵国の目の前に戦力を配置することが抑止力になっていたが、ミサイルが高性能化した現在、前線への戦力配置は初戦で壊滅するリスクが高く「悪手」と認識されている。本土の人間がどうしても基地が必要というなら、本土で国民投票をして、最も「米軍基地必要」とする票が多かった県に移設すればいい。
●2月15日…〔今日の良かった〕4日前から書いている西洋古典音楽の旅、昨日のアレグリまで声楽曲ばかりだったけど、ここにきてついに歌のない器楽曲が登場。時代はルネサンスが終わりバロック時代へ突入。

ときは1653年。オペラや教会音楽などの声楽曲ではなく、ベートーヴェンやショパンなど楽器メインの器楽曲ワールドの開拓者、アルカンジェロ・コレッリがイタリア東部に生まれる。コレッリは合奏協奏曲の創始者。同時代の他の作曲家と異なり声楽曲は書かず、器楽曲だけで国際的名声を獲得した最初の作曲家だ。10代前半からイタリアの器楽音楽の拠点ボローニャでバイオリンを学び、28歳で作品1となる全12曲の『トリオ・ソナタ』を作曲&出版する。全曲で約70分とたっぷりだ。
※『トリオ・ソナタ』は日曜日の昼間にのんびりと聴きたい感じの素朴な温かみがある。
ちなみにコレッリ35歳のときにドイツでバッハとヘンデルが生まれ、バッハはコレッリの作品を研究した。

中年になったコレッリは当時のどの作曲家よりも恵まれた創作環境にあった。芸術に理解のあるオットボーニ枢機卿(ローマ教皇)が生活を保証してくれたのだ。おかげで他の作曲家のように毎週新作を書くという無理な創作活動をせずに済み、じっくりと納得できるまで内容を練ることができた。
1700年(47歳)、『ヴァイオリン・ソナタ』(全12曲)をローマで出版。最後を飾る「ラ・フォリア」が人気を得る。
『ラ・フォリア』 (11分)この作品は曲調に陰影がありファンが多い。231年後にロシアの作曲家ラフマニノフが変奏曲の題材に選んでいる。

他界の前年となる1712年、渾身の遺作『合奏協奏曲集』(全12曲)を完成させる。翌年、ローマにて他界。享年59歳。
『合奏協奏曲集第3番』 (12分)短調ならでは、随所に渋い旋律が登場。 葬儀の際にコレッリの弟子達が厳粛な趣のあるこの曲を演奏した。
『合奏協奏曲集第4番』 (9分35秒)この動画は楽器ごとの役割が分かりやすい。9人で豊かに響く。
『合奏協奏曲集第8番クリスマス協奏曲』 (14分)クリスマスの真夜中のミサのために書かれた曲。
美しい音色を尊重して技巧的な表現を避け、緻密な構成、優雅な気品を重んじる作風を貫いたコレッリ。バッハやヴィヴァルディは死後その名が一時的に忘れられたが、コレッリはパトロンの熱心な庇護もあって、音楽教育の現場で作品が使われ続けた。長調や短調という調性を使用した初期の人物でもある。(アルビノーニ編に続く)
●2月14日…〔今日の良かった〕イタリアにて人まちがいで墓参した人物が音楽史の重要な聖人であったことが判明。
昨夏、ローマで作曲家グレゴリオ・アレグリに墓参した。ルネサンス末期1582年生まれという、バッハよりさらに100年前の人。ヴァチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂聖歌隊のカストラート歌手でもあった。アレグリは一昨日の日記で紹介したパレストリーナの孫弟子にあたり、非常に慈悲深い人物との評伝が残る。1652年にローマにて70歳で他界。
アレグリの墓はコロッセオとヴァチカンの中間にあるナヴォーナ広場(ベルニーニ「四大河の噴水」が有名)に近い「ヌオーヴァ教会」にある。海外の墓マイラーサイトには「この教会のフィリッポ・ネリ礼拝堂に眠る」とあり礼拝堂へ。祭壇の下部がガラスになってミイラ(汗)が見え、僕はそれがアレグリと思って「アレグリさん、聖歌ミゼレーレ(※後述)最高です!」と感謝。だけど、今日、海外サイトを調べてて、あのミイラが別人のフィリッポ・ネリ司祭と判明!やってしまった!

−−フィリッポ・ネリ(1515-1595)は教会組織の上下関係の厳しさに違和感を感じ、1564年に司祭と信徒が平等の立場というキリスト教共同体「オラトリオ(祈祷所)修道会」を創立した。彼は孤児に音楽を教えるなど民衆に慕われ、ユーモアもあったため「喜びの聖人」と呼ばれた。ネリ司祭はオラトリオ修道会で歌う聖歌を作曲家パレストリーナに依頼し、ここから宗教的音楽劇「オラトリオ」(演技のない宗教オペラ)が生まれた。ハレルヤ・コーラスで有名なヘンデルの『メサイア』も「オラトリオ」だけど、このジャンルはネリ司祭が源流だった!
アレグリは音楽を心から愛していた聖ネリの墓の側で永眠することを希望した。僕はミイラのインパクトで周囲を見ていなかったけど、アレグリの墓は床下か、或いは側面の壁にあったのだろう。もう一度教会を訪れて確認しないと…。聖ネリは陽気な性格から「神の道化師」とも呼ばれていたので、人まちがいも笑って許してくれるだろう。

ときに、アレグリの代表曲『ミゼレーレ』には特筆したい秘話がある。1630年代、アレグリは旧約聖書をもとに自身の最高傑作、9声部の『ミゼレーレ』(ミゼレーレ・メイ、デウス/神よ、我を憐れみたまえ)を作曲した。5声の第1合唱と、4声の第2合唱に分かれて交互に歌い継ぐ二重合唱曲。その神秘的な美しさから、教皇庁はこの曲の“神性”を保つため、楽譜持ち出し禁止、写譜禁止、楽譜を書くことも禁止、システィーナ礼拝堂以外での演奏を許さず、禁を破れば“破門”とした。

作曲から約140年が経った1770年、当時14歳のモーツァルトは父親に連れられてローマを訪れ、システィーナ礼拝堂で秘曲中の秘曲『ミゼレーレ』を聴いた。9声部(9つのパート)が10分以上も重なり絡みあう極めて複雑なものだが、モーツァルトはこの門外不出の秘曲を一発で記憶し、宿に帰って楽譜に書き起こす。そして確認のため2日後に再びシスティーナに足を運んで細かな校正を行い、これを完璧に仕上げた。この譜面は旅の途中で出会った英国人音楽学者の手に渡り、翌年にロンドンで出版される。『ミゼレーレ』の楽譜は世界に広まり人々を驚嘆させ、少年モーツァルトはローマ教皇クレメンス14世に呼び出された。教皇はモーツァルトを破門するかと思いきや、逆にその驚異的な才能を褒め称え、ヴァチカンは『ミゼレーレ』(12分22秒)を解禁したのであった。
(コレッリ編に続く)
●2月13日…〔今日の良かった〕“オペラの父”モンテヴェルディの曲に浸る。彼は1567年生まれ、時代はルネサンスからバロックへの過渡期。モンテヴェルディは15歳で教会音楽(歌曲)の楽譜を出版して以降、音楽による詩の表現を追求していく。20歳の時に日常生活で歌うラブソングなどを収めたマドリガーレ(マドリガル)集を出版。彼は生涯に約250曲もの世俗曲を残している。
1607年、40歳でオペラ第一作『オルフェオ』を初演(亡くなった妻を黄泉の国から連れ戻す途中、オルフェオが妻に振り返ってしまい再び引き裂かれる有名な物語)。古代ギリシャからセリフを歌う劇はあったけど、モンテヴェルディはただセリフを歌わせるのではなく、歌に巧みな抑揚をあたえ、情熱的で真に迫った感情表現を実現、さらにオーケストラはただの歌の伴奏ではなく、14曲もの管弦楽曲が用意され、ときに単独で舞台を盛り上げた。音楽と演劇が融合した『オルフェオ』は観客から熱狂的な支持を受け、近代オペラの出発点となった。
翌年オペラ第2作『アリアンナ』も大成功を収め、オペラ作曲家としての名声を不動のものにする。怪物ミノタウロスを退治したアテナイの英雄テセウスと恋に落ちたクレタ王ミノスの娘アリアドネ(アリアンナ)が、テセウスの心変わりでナクソス島に置き去りにされ、オペラのクライマックスで「アリアンナの嘆き」を歌う。“われを見捨てよ、死なしめたまえ、この苦しみ、悲しみに望みも絶え果て、ただ死あるのみ”と絶望から死を願うこの歌は、聴衆の女性の涙をしぼり取り、爆発的に流行した。
「アリアンナの嘆き」は後にマドリガーレになっている。冒頭の“Lasciatemi morire(われを見捨てよ)”は胸に迫るものがある。
1610年(43歳)、約30年ぶりの宗教音楽となる『聖母マリアの夕べの祈り』を作曲しローマ教皇に献呈。バッハ以前の教会音楽では最大の曲で、壮大なスケールの作品となった。
※『聖母マリアの夕べの祈り』からマニフィカトの超美しい後半部分を頭出し
1614年、歌曲『愛する女の墓に流す恋人の涙』(16分)出版。冒頭の“Incenerite spoglie(灰となった亡骸よ)”が悲しい。
1643年、ヴェネツィアで他界。享年76歳。バッハ生誕まであと42年。(グレゴリオ・アレグリ編に続く)
●2月12日…〔今日の良かった〕約30年前、大学の下宿にクラシックファンの先輩が遊びに来た。その先輩は音楽史の超初期の作品ばかり聴いている人で、「ベートーヴェン?あんな新しい音楽は苦痛だ」と吐き捨てた。僕は仰天して「じゃあ、バッハとかヘンデルはどうですか」と聞くと「あいつらも前衛音楽だけど…我慢したら、まだ聴ける。でもほんとギリギリ」。
この言葉がそれからずっと心の奥に残っていた。僕はベートーヴェン以降のロマン派のドラマチックな作品にカタルシスを感じて、それらを中心に聴いてきた。だけど「いつかはあの先輩をそこまでドハマリさせた初期クラシックを、バッハ以前の音楽を徹底的に聴き込まなきゃ」、そう思い続けていた。その“いつか”がこの3週間だった。中世グレゴリオ聖歌から始まるバロックに至る旅。
「これは“神曲”!」と感じた作品がいくつも見つかったので、第一弾を報告します。歴史的に音楽は教会の中で進化してきた。楽器ではなく人間の声を通して。

1350年頃(日本の南北朝時代)、フランスの作曲家ギヨーム・ド・マショー(1300-1377)が、史上初めてひとりの作曲家が全曲を書いた多声ミサ曲『ノートル・ダム・ミサ曲』(28分37秒)を完成。それまで歌い手の人数に関係なく同じひとつの旋律を歌っていた“単旋律”=グレゴリオ聖歌の時代が終わり、4声(多声)のパートが絡み合い、響き合うものになった!マショーのミサ曲は670年前のもので、ベートーヴェンが生まれるより420年も昔の曲。でも楽曲として充分鑑賞に堪えうるし、寝る前に聴いてると落ち着く。

1430年頃、マショーの約100年後にイギリスで生まれた“中世最後の作曲家”ジョン・ダンスタブル(1390-1453)。彼は透明感のある美しいモテット(多声教会音楽)を複数書いており、中でも『来たれ精霊よ 来たれ創造主なる精霊』 (5分44秒)に聴き入った。

時代はルネサンス音楽へ。フランスの作曲家ギヨーム・デュファイ(1397-1474)は対位法に優れ、新しい和声を研究し、各楽章の冒頭で同じモチーフを使って統一性を持たせるなど、ルネサンス時代の音楽の先駆者となった。デュファイがやった「モチーフの再利用」を400年後にワーグナーが楽劇で極めることになる。
デュファイの『アヴェ・レジナ・チェロルム』から、彼が自分の葬儀用に心を込めて書いた旋律「アニュス・デイ(神の子羊)」(5分25秒)を紹介。

1440年、ルネサンス最大の作曲家ジョスカン・デ・プレが生まれる。生地は不明だがベルギーで没している。ジョスカンは当時の全ての作曲技法を意のままに操り、構築美にあふれた簡潔で明快な作品を多数書いた。ポリフォニー(多声)技法を完成。名曲を三つ紹介。
『オケゲムの死を悼む挽歌(森のニンフ)』(5分12秒)5声になり広がりを感じる。師匠オケゲム追悼のため作曲。
『祝されたり、天の女王(聖母マリア)』(6分24秒)最後の余韻が良い
『アヴェ・マリア』(7分)ぬくもりのある旋律

1525年、宗教曲を多く残した「教会音楽の父」、ルネサンス最後の大音楽家ジョヴァンニ・ダ・パレストリーナが生まれる。当時イタリアでは、演奏される宗教音楽が外国人の手によるものばかりだった。パレストリーナが19歳で出した『ミサ曲集』は、イタリア半島出身者の最初の出版された教会ミサとなった。伝染病ペストで、妻、弟、2人の息子を亡くすなか、数々の名歌を書き残しローマにて68歳で他界。

『インプロペリア』(4分10秒)パレストリーナの唯一の自筆楽譜!冒頭の歌詞は“世の救い主のかかりたまいし十字架を見よ”。この美しさよ!ヘッドフォンお薦め!
『谷川慕いて』(2分20秒)鹿が谷川を求めるように魂が神を慕い焦がれるという歌。めっさ響きが柔らかい。2分20秒の至福。パレストリーナは神秘的で流れるように優美な旋律のカーブを描く裏技として、各声部のリズムの強拍が一致しないよう別々の強弱パターンを書き、拍節(はくせつ)感を消して連続性を出す工夫をしている。静穏で透明感のある作品は後世の作曲家たちの素晴らしい手本となった。
『アスンプタ・エスト・マリア』 (35分)パレストリーナのミサで最も美しい曲のひとつ。晩年の傑作。

時代は宗教音楽の時代から、人文主義が隆盛したルネサンスを経て「人間」を感じさせる表現に移っていく。オペラ誕生まですぐそこ。(明日に続く)
●2月11日…〔今日の良かった〕アメリカ音楽界最高の栄誉であり世界最大の音楽の祭典「グラミー賞」で、日本人の映像ディレクター、ヒロ・ムライさんが監督を務めたチャイルディッシュ・ガンビーノのミュージックビデオ『This Is America』が最優秀ミュージックビデオ賞を受賞!この歌は社会派の問題作であり、最優秀レコード賞、最優秀楽曲賞など今回最多となる4部門に輝いている。ちなみにヒロ・ムライさんの父親は『翼をください』を作曲した音楽プロデューサーの村井邦彦さん。

それにしても、再生回数4億8千万回以上に達している『This Is America』(4分)、戦慄の暴力描写にブッ飛ぶ。冒頭、頭に袋を被せられた男が後頭部を撃ち抜かれ、直後にそのピストルがハンカチで丁寧に包まれて大切にされる一方、地面に転がった男の遺体は無造作に引きずられ、アメリカでは人間の命が銃よりも軽いことを象徴。
中盤の黒人聖歌隊が自動ライフルの乱射で皆殺しにされるシーンは、2015年にサウスカロライナ州の黒人の通う教会で人種差別主義者の白人男性が銃を乱射し9人が犠牲となった事件を象徴。4分間でアメリカ社会が抱える問題をえぐり出している。
本作にグラミーを与えるところに、米国民が感じている社会の危機感が出ている。ほんま、アドバイスしたい。銃を規制しろと。市民生活に銃なんかいらんて!
※NHK「ニュース9」は『This Is America』をお茶の間に流したけど、いきなり見せたら駄目。子どもはまだギリ起きてる時間。事前に一言、アナウンサーは警告すべき内容っす。
●2月10日…〔今日の良かった〕祝!フィギュアスケート四大陸選手権、男女共に日本人選手が初優勝!男子シングルの宇野昌磨選手(21)はショートプログラム4位からの逆転優勝。宇野選手は怪我からの復帰にもかかわらず今シーズンの世界最高得点を更新。宇野選手は2015年にジュニアの世界選手権を制しながら、シニアでは主要国際大会で勝てなかった。平昌五輪で銀、世界選手権でも2度の銀。大舞台では6大会連続で2位となり“シルバーコレクター”と呼ばれていたけど、ついにその名を返上した。
女子の紀平梨花選手(16)もショートプログラム5位と出遅れたものの、フリー演技でトリプルアクセルを含む7つのジャンプをすべて成功させ、2位に14点以上の大差をつけて逆転優勝。来月に開催される世界選手権がまっこと楽しみ。
※フジテレビ公式が宇野昌磨選手・男子フリーの演技をノーカット配信!これは素晴らしい試み。良い演技を著作権の心配なく共有できるのはホント嬉しい。今回、宇野選手はベートーヴェンのピアノソナタ「月光」を演技で使っている。このピアノ演奏が非常に良い。グルダのようにたっぷり情感がこもった演奏だ。誰が弾いているんだろう?紀平梨花選手の全ジャンプ成功も配信中
●2月9日…〔今日の良かった〕先日の大河『いだてん』第5話「雨ニモマケズ」、最高だった!ストックホルム五輪の選考マラソン、順位を伝える実況中継で盛り上げながら、明治日本の風物を随所に織り交ぜ、非常に楽しいものになっていた。毎回そうなんだけど、45分間、まったく無駄がない。ゴールシーンで金栗四三が“柔道の父”嘉納治五郎に抱きしめられるシーンは、第1話の伏線(子ども時代に嘉納治五郎に抱きしめられそこなった)の感動的な回収。金栗君の夢が叶った!

報道によると『いだてん』は視聴率が伸び悩んでいるという。あまりにもったいない話だ。俳優さんの生き生きとした演技、活気あふれる明治の街、青春を謳歌するバンカラ学生たち、時折挿入される寄席の光景、音楽も明るく喜劇調でテンポもいい。基本、真面目路線の大河でこの楽しさは新鮮!

ただ、このコメディ路線も戦争の時代に入っていくにつれ、シリアスな場面も増えていくだろうし、実はそこをけっこう期待してる自分がいる。大河ドラマは基本的に戦国時代と幕末維新ばかり。平成が終わろうとしている今、そろそろタブーを恐れず大河で昭和の戦争を描いてほしいし、むしろこのタイミングを逃したら、次はいつチャンスがあるか分からない(来年は明智光秀)。

現在ドラマの舞台は1911年、この後、嘉納治五郎(役所広司)は五輪を通して世界の人々と出会っていく。やがて第一次世界大戦が起き、続いて世界恐慌に。その中で日本は急速に軍国主義化していく。
1931年、満州事変が勃発。IOC委員の治五郎は、オリンピックを国際交流の平和運動と捉えていたが、政府は国威発揚の場と考えギャップが生まれていく。
1932年、五・一五事件が発生し犬養毅首相が海軍青年将校らに暗殺される。史実によると、治五郎が開いた講道館の若い柔道家たちは、国家改造を画策する青年将校の過激な思想に共鳴し、治五郎に対して「6万人の柔道家を抱える講道館が武道報国の行動を起こさないのは、館長嘉納治五郎の忠君愛国の精神が不足しているからだ」と批判、引退を迫ったという。その際、治五郎は彼らをこう諭した「我らの説く道は中正道(ちゅうせいどう)である。右に偏ったり、左に傾いてはいけない」。世界を知っている治五郎だからこそのバランス感。
そして治五郎の悲願である東京五輪(1940)の開催が決定すると、翌年に北京郊外の盧溝橋で軍事衝突が起き、日中戦争が勃発してしまう。“戦線不拡大”という政府、天皇の意向を無視して暴走する陸軍は南京に向かって突き進む。IOCからは「戦争中の国で“平和の祭典”五輪はできない」、陸軍からは「五輪を中止しろ、戦争に集中せよ」と大きな圧力が加わる…。

日独伊軍事同盟に反対し、日米開戦にも反対した3人の海軍首脳、山本五十六、米内光政、井上成美を主人公にした昭和の戦争をいつか大河で、そう願っているけど、現在の右傾化した日本社会では、侵略という負の部分を直視した大河など無理だろう。でも、嘉納治五郎を通してなら、オリンピックに絡めてというのであれば、大河で昭和の戦争を描けるはず。宮藤官九郎さんは日本の黒歴史をどう脚本に反映させるか。様々なデマがネットに満ちる今、この大河が正しい歴史認識を促すものになって欲しいと切に願ってる。
●2月8日…〔今日の良かった〕昨夜のBSプレミアム『ザ・プロファイラー ニール・アームストロング』が素晴らしかった。アームストロングがアポロ11号の船長として月面に人類で初めて立ったとき「1人の人間にとっては小さな1歩だが、人類にとっては大きな飛躍である」と語ったのは有名だけど、その後の言葉はさらに感動的だった。
打ち上げ当時は東西冷戦の真っ只中。米ソが熾烈な宇宙開発競争を繰り広げるなか、ソ連ガガーリンが人類初の宇宙飛行を成し遂げ、米国は出遅れてしまう。そこで国家の威信をかけ、最初に月へ人類を送ろうとした。
月面に降り立ったアームストロング船長とバズ・オルドリン操縦士が、石の採取などミッションに取り掛かると、ホワイトハウスから第37代ニクソン大統領が衛星電話をかけてきた(本来、この電話をかけるべきケネディは6年前に暗殺されていた)。
ニクソン「やあ、ニールとバズ。私はホワイトハウスの執務室からかけているんだ。すべてのアメリカ人にとって今日は人生で最も誇れる日になうだろう。そして世界中の人々がこの偉業を認めてくれるはずだ。君たちのおかげで宇宙は我々の世界の一部となったのだ」。
ニクソンは着陸成功をアメリカの偉業として讃えようとした。この大統領の言葉に対し、アームストロング船長は少しの間、沈黙する。そしてこう答えた。
「ありがとうございます、大統領。私たちは合衆国だけの代表ではありません。すべての国家の平和を愛する人好奇心を持ち未来を目指す人々、彼らを代表してこの場所に立てるのは、とても光栄なことです」

アームストロングら2人が月面に滞在したのは2時間半。地震計や太陽風測定装置など複数の機器を設置した後、月を離れる直前に小さな包みを月面に置いてきた。中身はここに来られず事故死した宇宙飛行士たちを称えたメダル。アポロ1号の飛行テストで死亡した3人の乗組員と、前年に航空事故死したガガーリンを追悼する4枚のメダルだ。ガガーリンは“敵国”ソ連の人間。だが、同じ宇宙に憧れてきた仲間としてアームストロングは敬意を表した。国家間のくだらない争いとは違う次元に宇宙飛行士たちはいた。
「小さな1歩だが大きな飛躍」の言葉だけが有名になってるけど、「私たちは合衆国だけの代表ではありません」も同じか、それ以上に胸を打つ言葉であり、ぜひ教科書に載せて欲しいっす。

このエピソードを知って、地球外に出た最初のイスラム教徒で、衛星軌道からコーランを読み上げたサウジアラビアのアルサウド飛行士の言葉を思い出した。
「最初の一日か二日は、みんなが自分の国を指していた。三日目、四日目は、それぞれ自分の大陸を指さした。五日目にはみんな黙ってしまった。そこにはたった一つの地球しかなかった」
●2月7日…〔今日の良かった〕キタキタ、劇場版実写ジョジョの地上波初放送がキタ!放送は2月10日深夜1時20分からTBSにて。日曜の夜だけど翌日は祝日だし、オンタイムで観る人も多いのでは。山ア賢人君の仗助はイメージ通り、CGのスタンドも良いし、オリジナルの脚本部分もキャラに厚みを持たせた成功例。良い映画なのに、宣伝の仕方がまずかったり、作品を観ずに叩く人がいたり(漫画実写化の宿命)で、興行収入が伸び悩んだ可哀想な作品。今回の地上波オンエアがきっかけで、「この続きが観たい!」という人が増えて、映画会社を動かすウェーブが出来ると良いなぁ。
っていうか、リンク先にある「決してエンドロールまで見逃すこと無くご覧下さい!!」が気になる。なんか重大発表があるのか?期待しちゃって良い感じなのかコレ!?期待するよ!?ええ、全力でしますとも!!
※だがしかし!関西の毎日放送で予約しようと思ったら、全然違う番組がそこに!ギョエー、大阪ではオンエアされないのか!毎日放送ふざけんな…ひどい…。そもそもアニメの放送時間も超遅いし…。あんまりだぁあああ!会社幹部に猛省を求む!
●2月6日…〔今日の良かった〕ここ数週、朝ドラ『まんぷく』がとても面白い。いや、『まんぷく』は初回からずっと面白いんだけど、クライマックスのインスタントラーメン誕生に向け、まずは美味しいと感じるスープの開発で苦労しまくり、次の麺作りでさらに壁にぶち当たり、今週はどうすれば麺を常温で長期保存できるか悪戦苦闘している。今まで、“コレ美味しいな”くらいの印象でインスタントラーメンを食べてたけど、そこに至るまでの挫折の繰り返しを知り、感動と共に口に運んでいる次第です。
主人公の萬平さんが、ラーメン開発にあたって壁に貼った“5つの誓い”がいい。全部ものすごく重要!→
【新ラーメンの5箇条】
一、美味しいこと
一、安く買えること
一、便利であること
一、常温で保存できること
一、安全であること
●2月5日…〔今日の良かった〕少しずつインスタグラムの使い方がわかってきた!(1)ツイッターと違って文字数制限がない(2)写真を同時アップ可能(3)シャープ記号でタグをつけられる(4)説明文に誤字脱字があると編集で訂正できる(コレ重要!ツイッターは直せない、涙)
インスタをやる前、既に文ジャンに載せた墓写真を再度インスタにアップするのは意味がないって思ってたけど、32年間の墓巡礼フォルダから、陽射しが綺麗だったり、献花や周囲の緑が美しかったものを1日に1枚ずつアップしていると、パソコン画面で一覧を表示したときに、なんかもう写真集みたくなっている!
撮影技術は素人だし、そもそも機材がスマホのカメラと5万のデジカメのみ。だけど、単品では「そこそこ」の写真が、複数並ぶことでシンフォニーのように響き合い、「これが100枚になったら良い感じになるかも!?」とちょっとワクワクしてきた。画像のストックは10万枚ある。溜まりに溜まっている。自費の写真集を出す資金はないから、インスタでそれっぽいもの作って遊んでみよ。(*^_^*)

//そしてフェイスブック。救援要請を出した、ロシア皇帝ニコライ2世の墓調査(墓碑の文字の解読等)が無事終了したことに、読者の方から次のお便りを頂いたので許可を得て転載。
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ニコライ2世のお墓のロシア語の件について思ったこと。
僕は「みんなが力を出し合って、1人ではできないことを成し遂げた成功例」だと感じました。
・あの石がお墓だという写真を見つけた人。
・ロシア語がわかる人に呼びかけた人。
・古いロシア語を訳した人。
・Google先生。
・詩篇(旧約聖書)の該当箇所を探した人。
誰もが、1人だけの力では真相にたどり着かなかったけど、それぞれ自分の得意分野で少しずつ力を発揮して、次の人にバトンを託していく、というマンガ的な展開に、実は少し感動してました。
解決という最終的な結果も素晴らしいけど、そこに至る過程にドラマを感じました。
いわゆる「集合知」ってこういうことなのかな、とも思います。
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いやほんと、僕がスピルバーグなら映画化してます。協力して頂いたすべての方に感謝です。

//個人サイト、フェイスブック、ツイッター、インスタでユーザー(住民)の年齢層&性別割合が異なるとよく聞くけど、それ、本当だと思う。想像以上に棲み分けができてる。書き込みの内容・文面から体感でそう思う。
●2月4日…〔今日の良かった〕先日、WOWOWで昨年のマイベストワン映画『リメンバー・ミー』を再見して、あらためてエンドクレジットの言葉「時を越えて私たちを支え、力を与えてくれた人々を決して忘れない」でアートサンダーをくらった。墓マイラー的にどストライク、感電して頭のヒューズがとんだ。子どもは本編が終わると遊び始めたけど、僕は顔を見られないようエグ泣き。今まで観た映画の中で最高のエンドクレジット。ほんと、この言葉を故人に伝えるために墓巡礼をやってる。売れないまま早逝した芸術家とか、権力と戦って獄死した人とか…胸に来る。ずっと語り継いでいく!
「時を越えて
私たちを支え、
力を与えて
くれた人々を
決して忘れない」

//2018年度鑑賞映画のベスト10です。よろしければレンタルの参考に。
(1)リメンバー・ミー…故人に想いを馳せる気持ちはどこの国も同じ。人類普遍の共通点を感じ脱水症状になるまで滝泣き。
(2)グレイテスト・ショーマン…「私はなるべくして今の自分になった、これが私」、名曲「THIS IS ME」に激感動。
(3)万引き家族…血縁にこだわらず家族になろうとする人、産んでないけど親になろうとする人の物語、カンヌで世界の胸を打つ。
(4)シェイプ・オブ・ウォーター…声を出せない女性と言葉を話せない半魚人との珠玉のラブストーリー。本当のモンスターは差別主義者の人間と語り、モンスター・ムービー初のアカデミー作品賞。
(5)カメラを止めるな!…何度も大笑い、最初にやったもん勝ち!
以下順に「湯を沸かすほどの熱い愛」「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」「犬ヶ島」「レディ・プレイヤー1」
〔番外・どうしてこうなった〕ハン・ソロ
●2月3日…〔今日の良かった〕ヨーロッパの鉄道乗り放題パス「ユーレイルパス」が60周年を迎えてパワーアップ!その昔、旅費が乏しいながらも、初めて欧州全土の墓巡礼が実現したのは、欧州“以外”の居住者だけが購入できる周遊券「ユーレイルパス」があるお陰だった。

最初に利用したのは1989年だからちょうど30年前。その頃は17カ国でしか使えず(それでも当時は「銀河鉄道999」のパス級価値)、イギリスは別にブリットレイルパスが、東欧圏はヨーロピアンイーストパスなどが必要だった。ちなみに初の英国旅行では4日間有効のブリットレイルパスを購入したにもかかわらず、たった1日使っただけで翌日からストライキで止まってしまう惨劇を味わった(お金は戻って来ない)。
かつて利用可能国が17カ国のみだったユーレイルパスに、今年から“最後の大物”大英帝国が参加、これでもうブリットレイルパスとはオサラバだ!っていうか、東欧圏の参加国がハンパない数になっており、もうユーレイルパスだけで東欧も行ける時代になった!

【最新版ユーレイルパス加盟国】
(西欧)フランス、トイツ、イギリス(NEW)、スペイン、スイス、イタリア、オーストリア、オランダ、ベルギー、ポルトガル、ギリシャ、アイルランド、ルクセンブルク
(北欧)デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン
(東欧)ハンガリー、チェコ、ポーランド、ルーマニア、ブルガリア、リトアニア(NEW※バルト三国初!)、スロバキア、セルビア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、クロアチア、モンテネグロ、マケドニア(NEW)、スロベニア
(イスラム圏)トルコ

実に31ヵ国!ユーレイルパスはパックツアーを楽しむ人には馴染みがないと思うけれど、個人旅行者にとっては水戸黄門の印籠並みの重要アイテム。その長所を8つにまとめる。
(1)切符を買わなくていい!長蛇の列に並ぶ必要なし、時間を取られない!出発時間ギリギリまで滞在地を見聞可能!
※JRの「みどりの窓口」の行列を思い出してほしい。外国であれに並ぶ必要がないのはプライスレス!
※ただし、全席指定・予約必須の列車は予約料金が必要(20年前は500円くらいだった)。
※日本のJRと違って車内で切符を買えないため、ユーレイルパスがないと飛び乗れない。
(2)JRの「青春18きっぷ」は各停と快速しか使えないけど、ユーレイルパスは「急行」どころか「特急」にも乗車可能!また、新幹線に該当するTGVは割引料金で乗れる!
(3)鉄道だけじゃあない、鉄道会社系のフェリーは無料だし、「スウェーデン〜フィンランド」や「イタリア〜ギリシャ」などの国際フェリーに半額で乗船可能!他にもいろんな船やバスで割引がきく。
(4)値段が高いけど安い!大阪と東京を往復するだけで3万円近くかかることを考えたうえで以下の金額を見て欲しい。
★ユーレイルパスの2等車料金…1カ月毎日乗り放題9万2800円、3カ月12万4900円
(昨年まで25歳以下しか2等用は買えなかった。26歳になると貧乏でも1等車を買うしかなく客室で“浮く”。僕の身なりを見た紳士から「ゴホン。君、失礼だがここは1等車だよ」と指摘され、おずおずとパスを見せるのが“ユーレイルパスあるある”だった)
★ユーレイルパスの1等車料金…1カ月毎日乗り放題12万3600円、3カ月16万6400 円(ちなみに30年前は3カ月11万9千円)
わかりますか!東京・大阪を3、4回移動するくらいの料金でフィンランド北部の北極圏から南欧ギリシャ、果てはトルコのイスタンブールまで好きなだけ移動できる!どの時間の列車に乗っても良い!
(5)夜行も可!欧州の客車は、一室に3人掛けの座席が向き合う小部屋が並ぶ。昼間は座席だけど、夜になって3人以下なら水平に倒して簡易ベッドになる。つまり、ユーレイルパスを持っていれば、ホテルに宿泊しなくても8時間ほど往復できる距離の夜行に乗れば宿代が浮く!僕が「ユーレイルパスは高いが安い」というのは、宿代が含まれていることも大。
(6)60歳以上は10%のシニア割引適用。ちなみに欧州の鉄道は11歳まで子ども料金無料!なんで日本は小学生から運賃をとるのか!
(7)ヨーロッパのシティカードや博物館、ホテルなどの割引や無料特典がついている。
(8)パスの期限は15日、21日の短めのものあり、そっちはもっと安い。

たった1枚のパスで、アルバニア以外の欧州全土の鉄道が乗り放題になる夢のチケット、ユーレイルパス。1959年のパス発行初年度は利用者5千人、60年後の現在は年間30万人が利用。日本から往復7万円の格安航空券で欧州に飛び、3カ月の2等車パスを使い、食事をスーパーで売ってる一袋6個入り1ユーロのマドレーヌと噴水の水で済ませれば、理論上はフライト代込み約20万円で3カ月分の宿代・交通費・食事代をすべてまかなえ、かつ、全ヨーロッパをくまなく見て歩ける!墓地は入場無料だから上乗せなし!スイスで雄大なアルプスに泣ける!お小遣いがちょっとあればサグラダ・ファミリアもルーブルもシスティーナ礼拝堂も見学できる!ユーレイルパスを使って良き旅を!

(注)英仏トンネルを使ってロンドン〜パリを結ぶユーロスターは別途料金が必要。僕の場合、ドーバー海峡は船賃が安いから船を使ったり、格安の夜行バスでロンドンからパリに入った。
(注2)旅費に余裕があるなら、置き引きの被害に遭わないためにも、治安を考慮して1等車のパスをお薦め。2等車の方が地元民と交流できて楽しいけど、夜行の場合は客車が独立している1等車が安心できる。車掌さんもよく訪れるし、乗客が少ないため高確率でリクライニングできる。3カ月もの長旅になると、安心と安眠が手に入りやすい1等車が断然GOOD(1等車でも睡眠時は荷物をチェーンで荷台と結んでおくこと)。
●2月2日…〔今日の良かった〕デビューして半月が経ったフェイスブック。まっこと素晴らしすぎる!これまで文ジャンの日記やツイッターで情報提供を求めていた、海外のお墓についての次の3つの疑問が、外国の方の協力などで、投稿からたった2日で解決した!
(1)チェコに眠る作曲家ヤナーチェクの墓石に刻まれた楽譜(歌曲)の曲名。そもそもヤナーチェク自身がマイナーな作曲家であり、歌曲を大量に作っているため僕は14年間も曲名を分からずにいた。日本ヤナーチェク協会に問い合わせても返事がなかった。
ヤナーチェクはオペラに名作が多いため、僕はオペラの歌と信じ込んでいたけど、米国在住の日本の方が英文サイトを調査、その結果、男性合唱曲「さまよえる狂人」と判明、アジア初のノーベル文学賞に輝いたタゴールの詩集に基づいたものだった!
(2)帝政ロシア最後の皇帝ニコライ2世の墓には2つの謎があった。ペテルブルクの墓所には壁面の石板に皇帝一家の名前が刻まれており、少し離れた場所に何かロシア語が彫られた白い石がある(こっちはニコライの名がない)。果たして石板付近が墓なのか、白い石が墓石なのか?
結果、皇帝の子孫が白い石に墓参している姿を撮影した海外の報道写真が発掘され、白い石が墓と判明。次の疑問は、白い石に彫られている文字の意味だった。古いロシア語であり、現代のものと微妙に違う。ガチのロシア人でないと分からない。米国在住の方が、フェイスブックを通して知人のロシア人に解読を依頼、そのロシアの方は直接フレンドではないのに親切にロシア古文を英語に翻訳して下さり、聖書の一節であることがわかった。「旧約聖書の詩篇っぽい」ということになり、最終的に膨大な詩篇の言葉の中から、「詩篇106篇の4」であることが突き止められた!奇跡!
(3)パリのドビュッシーの墓石には、フランス語で書かれた詩の石板がある。詩の翻訳には訳者のセンスが必要で、グーグル翻訳ソフトの機械訳だと、めちゃくちゃな日本語訳になってしまう。仏人男性と結婚して現地に住む人にフレンドさんがアクセスし、全文を翻訳して下さった!1カ所のみ日本語訳が難しい単語(demesure)があり、そこだけ僕からも訳案を提案、検討の上、最後のピースが埋まった。

ただただ感無量。フェイスブックのこの拡散力!墓巡礼を通して知り合った旅行会社の人や、旅先で交流した海外在住の方など、墓マイラー32年の間に、知らぬ間に築いていたネットワークがあったことを、フェイスブックを始めてみて気づいた。
あと、『笑コラ』のおかげで、高校時代の吹奏楽部仲間と33年ぶりに繋がったのも感動。こちらも、フェイスブックを通してのもの。「おさむ君」という呼び方で呼ばれたのは高校以来だ。
そして、石材業界の方と繋がったのも大きい!これまで講演したことのない土地の方と繋がったり、メッセージで「番組を見ました」「石屋として嬉しかった」と感想を下さることがあり、僕はモチベーション爆上げです。もっと墓巡礼の素晴らしさを訴えていこうと改めて決意。
世間から10年遅れて始めたフェイスブックだけど、ほんと役に立ってる。なるほど、通りで世界中にユーザーがいるはずだ。

※「いいね」パワーは意外にあなどれない!文ジャンはどんな長文を書いても基本的に一方通行だし、こちらも20年それが普通と思って更新していますが、フェイスブックだとリアルタイムで「いいね」通知が入ってくる上、アイコンで相手の顔も見えるので、執筆推進エンジンの燃料になると判明!なんだか分からんが、体の芯から元気が湧いてくるぞ!

※フェイスブックで困っているのは業者のスパムメール。数日前から急に海外の美女の申請(完全に罠)が増えており「こんなオッサンがモテるはずないのに」とビビって半泣きで震えています。
フレンド申請された方で、アイコン写真なし、プロフィールなし、投稿履歴なし、フレンドなし、何から何までなしの方は、情報業者・スパム系と見分けがつかないなため、申し訳ありませんがご遠慮頂いています。アイコンとプロフィール登録後に再度申請頂けると助かります(汗)

//自室の本棚を語る友人I君の言葉に、なんかしびれる。「本は一点一点は書籍だが、集まると『蔵書』になる。星座になる。人生の痕跡になる。稀少種を遺す《ノアの方舟》になる。」
●2月1日…〔今日の良かった〕旧友が勧めてくれた、作家ウンベルト・エーコ(1932-2016)とジャン=クロード・カリエール(1931-)が“紙の本”への愛を語り合った対話集、『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』の以下のくだりに笑ったり唸ったり。ちなみにエーコの墓の場所は不明で3年間探してる。

〔ウンベルト・エーコ〕
初めて家に来た人が、大きな書棚に気づいて、よりによってこう訊いてくるとしましょう。「ここにある本、全部お読みになったんですか」こういう質問への答え方はいろいろありますが、ある友人はこう答えました。「ここにある本だけじゃありませんよ、もっとです、もっと読んでいます」。
私はというと二通りの答え方を知っています。一つは「いえ、ここにあるのは、来週読まなくちゃならない本です。もう読んだ本は、大学に置いてあります」というもの。
もう一つの答え方は「ここにある本は一冊も読んでません。でなきゃ、どうしてここに置いておく必要があるでしょう」。
〔ジャン=クロード・カリエール〕
書棚にあるのに読んでいないし、この先も決して読まないであろう本に関しては、おそらく誰にでも、ずっと先に、もしかしたら来世になるかもしれないが、いつか必ず読むと決めている本をどこか、身近に置いておきたいという気持ちがあるんじゃないでしょうか。最期の時が来て、まだプルーストを読んでいないということに気づいて死んでゆく人々の嘆きは、じつに悲痛なものです。(注:マルセル・プルースト「失われた時を求めて」は難解・長編の代名詞)
〔エーコ〕
これこれこういう本を読んだことがあるかと尋ねられた場合、私は用心して、いつもこう答えます。「いいですか、私は読むのじゃなくて、書くのが仕事なんですよ」。こう言えば、みんな黙って引きさがります。
〔カリエール〕
本棚は、必ずしも読んだ本やいつか読むつもりの本を入れておくものではありません。その点をはっきりさせておくのは素晴らしいことですね。本棚にいれておくのは、読んでもいい本です。
〔エーコ〕
知識の保証みたいなもんですよ。
(カリエール)
ワインセラーにも似ていますね。全部飲んでしまったら困りますね。
書物の場合も同じようにするべきではないでしょうか。セラーに入れる必要はないとしても、いったん脇によけておいて、熟成させる、といいますか。
そうすれば、とにかく、あの忌まわしい「新刊強迫症」に対抗することはできますね。新刊だから読まなきゃならないという例のあれです。「話題の」本をとっておいて、三年後に読んだっていいじゃありませんか。

/別の旧友がくれた『笑ってコラえて!』の感想が胸の奥まで染み渡り、番組関係者への感謝を込めて貼っておきます。
「笑ってコラえてを見ました。今まで梶本さんが紹介された番組や雑誌は変わり者やキワモノ扱いが多かったのですが、この番組は普通の人が芸術に打たれてのめり込んでいく様がわかりやすく描かれて良かったです。ポーズや知ったかぶりでなく、ただ何かに打たれた人間の当然の反応として墓参りがあることを世の中に示してくれたと思います」

/週末、近所のダイエーで初めて初対面の人から声をかけられた。マダム2人組から「テレビを見ました」と。そして「写メをインスタにあげてもいいですか」と。めっちゃ恥ずかしかったし、心の準備ができてなかったのでアガってしまった。これがゴールデンタイムの力なのか。これからは、スーパーで値引きシールを貼ってまわる店員さんの後ろを、コバンザメみたいについていく姿を見られないようにせんと…やっべ(汗)
●1月29日…〔今日の良かった〕NHKラジオ第一放送『ラジオ深夜便 世界お墓偉人伝』4回シリーズの最終回を無事に終了!生放送なのでとにかく緊張。普通4回目となれば慣れそうなものだけど、『笑コラ』以降、SNSのフォロワーが増えたこともあり、“初対面”の人の前でうまく喋らなきゃと、今までで一番緊張した。

さて、さっそくですが、番組の補足です。墓巡礼の魅力について以下に追記します。
どの国を訪れても「墓参りで来ました」「有難うの一言をお墓に捧げたい」と伝えれば、誰かが巡礼を手助けしてくれます。特別な美談とかじゃなく、ほんとそうなんです。だからこそ、ロクに英語も喋られず、旅費も少ない僕が19歳から30年以上も墓参を続けて来られました。
“外国で簡単に手助けなんてしてもらえるのかな”と疑問をもたれた方。たとえば手塚治虫先生の墓所の近くに住んでいる人が、外国からきた人から、たどたどしい日本語で「ワタシ、テヅカセンセイノ、オハカヲサガシテマス、センセイハ、サイコウデス…」って涙目で言われたら、「そんじゃそこまで一緒に行きましょう」ってなると思うんです。僕のはまさにその外国版です。

確かに旅先には悪党もいて、強盗にあったり、盗難にあったりするけれど、その度にたくさんの人が助けてくれます。世界は良い人だらけです。
墓巡礼をしてきた僕は、戦争があろうとテロがあろうと、人間について断固「性善説」の立場をとります。人間の本性は善とします。もし「性悪説」で人間の本性が悪ならば、墓巡礼など続けてこられなかった。おっちょこちょいでトンマな僕が、多くの“初対面の人”の手助けで墓巡礼を続けてこられたという、この圧倒的な事実!「性悪説」なわけがないし、あまり不吉なことは書きたくないのですが、この先、仮に外国で巡礼中に犯罪の犠牲になり帰国できなかったとしても、その少数の悪党の存在で、他のすべての人の善意が無価値になどはならず、プラスマイナスではぶっちぎりで「性善説」のプラスです。
いつもこのマハトマの言葉を思います→
「人間性への信頼を失ってはならない。人間性とは大海のようなものである。ほんの少し汚れても海全体が汚れることはない」(ガンジー)
●1月28日…〔今日の良かった〕先週末、大学時代の文芸サークル仲間と年に一度の新年会。もう30年も経ち、20歳の学生は50歳のオッサン&オバチャンに。
昭和63年(1988年)、僕が通っていた当時の近畿大学には、文学クラブはおろか、芸術全体を対象にした研究会さえないという悲劇的状況だった。“マンモス校なのに文学を読んでも感想を語り合える友人がいない”。今ならSNSで同じ趣味の人と繋がれるけど、携帯電話さえない時代。しかも『笑コラ』再現VTRにあった、あの失恋3連発の直後。孤独地獄の中にあって、僕は真剣に友達を探していた。そして「きっと向こうもこっちを探しているはず、良い本を読んだ後は誰かと語りたいはず」、そう思って文芸研究会(文芸研)を旗揚げした。
芥川龍之介の肖像写真に「この顔にピンときたら文芸研」の言葉を入れ、8円コピーでチラシにして、大学通りの商店街に頼み込んで店頭に貼らせてもらった。
最初の年は入部3人。その後、少しずつ増えていき、やがて20名を超え、時を同じくして大学には本物の「文芸学部」が誕生した。メンバーの詩や小説をまとめた同人誌「ベアトリーチェ」は、僕の卒業後も18号まで出て、文芸研は約10年で主な活動を終えた。

新年会に参加したメンバーは11人。それぞれ、百貨店や製造メーカー、デザイナーなど社会と接点を持ち頑張っている。中にはツアーコンダクターでガラパゴスに何度も足を運んだ人や劇団四季の関係者も。だけど、トレンディ・ドラマのようなキラキラのリア充ライフとかじゃなく、そこは文芸研、50歳になっても心に陰の部分を持っており、それを排除せず、大切にしている。この陰が文学や映画を味わい深いものにする。悩みを抱えながらも、それぞれの持ち場で踏ん張ってる。

飲み会の後、寒風吹きすさぶなか、店の外で恒例の『最近、何がよかった?』コーナー。これは各自がお薦めの1冊を持ち寄り、1人3分以内でプレゼンするというもの。このコーナーが始まるまで、「酒はやっぱり○○の酒がうまい」だの、「腰と膝がつらすぎる」だの、そういう話ばかりしてたのに、突然、30年前に時間が巻き戻されて、カバンの中からゴソゴソと本を取り出し、「これがね、なかなか良かったんですよ!」と目からビームが出る。「アホな話をしていても、ちゃんと読んどるやんけワレ!」ってなる。
みんながカバンから出してきた本はこんな感じ→

ウンベルト・エーコ
『もうすぐ絶滅するという
紙の書物について』
カズオ・イシグロ
『忘れられた巨人』
ヨシタケシンスケ
『おしっこちょっぴり
もれたろう』

葉山嘉樹
『海に生くる人々』
惟任將彦
『灰色の図書館』
ロマン・ロラン『ジャン・クリス
トフ』とシャトーブリアン『アタラ』
他に心理分析の面からオウム死刑囚の告白録等々。最後のジャンクリとシャトーブリアンは自分。こないだの『笑コラ』をみんな見ており、彼らはこの30年間、僕があちこちで墓地を転げ回ってることを知っているので、「やっと活動に光が当たりましたね」と祝ってくれた。旧友からの祝福ほど嬉しいものはない。もしネットが発明されなければ、墓巡礼していることを知る人は、家族と文芸研のメンバーくらいで、そのまま生を終えていた。かつては文芸研の仲間だけが、僕の話をドン引きしないで聞いてくれ、そして笑ってくれた。
むろん、人に知られようと知られまいと、墓巡礼は恩人に御礼を伝えるのが目的だから、我がライフワークとして黙々と続けているのだろうけど、メディアで紹介されることで、故人のことをより多くの人に知ってもらえたり、他の墓マイラーの人と繋がれるのはホント嬉しい。50まで生きてきたからこそ、少しずつ形になってきたわけで、身体のあちこちにガタが来始めてはいますが、ここまで持ってくれた生命と、応援してくれた周囲の人に感謝です。
●1月27日…〔今日の良かった〕27日は国連の定める「国際ホロコースト・デー」。この日に合わせ、イスラエルで元外交官の杉原千畝(ちうね)さんを称える式典が開催された。第2次世界大戦中、リトアニアに駐在していた杉原さんは、ナチスの迫害から逃れるユダヤ人のために、人道的な立場から日本政府・外務省の指示に背いて日本の通過ビザを発給し、6000人の命を救った。日本と外務省はヒトラーの気嫌を損なうことを恐れ、杉原さんに「ユダヤ人を見捨てろ」と命じたのに、杉原さんは独断で大勢のユダヤ人を助けた。この式典は、杉原さんの勇気を広く知ってもらう目的で、複数のユダヤ人団体が協力して開いたとのこと。ホロコースト犠牲者を追悼する施設の外壁に杉原さんの名を刻んだ石板が設置され、主催者は「人生のリスクを冒してまで私たちを助けてくれた、杉原の勇気ある行動を決して忘れない」と称えた。「命のビザ」で生き延びた人々の子孫は「既に他界した父は20歳のときに杉原さんのお陰で命を繋ぐことができました。今や孫も入れると60人の大家族です。杉原さんには感謝の気持ちで一杯です」。
リトアニアの首都ヴィリニュスを4年前に訪れた際、街を流れるネリス川のほとりの“SAKURA公園”に杉原さんの顕彰碑があり、複製された命のビザがパネルになっていた。杉原さんの行動はリトアニアでも知られている。
日本の学校の授業で杉原さんについて伝えることはとても大事。だけど「杉原さんスゴイ=日本人スゴイ」で完結することには異議がある。僕は次の3点も重視している。

・敗戦後、2年間の捕虜収容所を経て帰国した杉原さんに、外務省は労をねぎらうどころか退職通告書を送付、事実上の懲罰解雇にした。夫人は後の岡崎外相から免官理由として「ビザ発給の責任」を告げられた。解雇を進言したのは終戦連絡中央事務局連絡官兼管理局二部一課。外務省ソ連課長いわく「杉原は本省の命令を聞かなかったから、クビで当たり前なんだ。クビにしたのは私です」「日本国を代表もしていない一役人が、こんな重大な決断をするなど、もっての外であり、絶対、組織として許せない」。

・外務省関係者の間には「杉原はユダヤ人に金をもらってやったのだから、金には困らないだろう」という冷淡な中傷が流れ、これを聞いた杉原は旧外務省関係者と絶縁した。戦後も長く外務省では悪くいわれ、夫人は杉原さんのお墓の場所すら伏せざるをえなかった。

・政府は白人によるアジア人差別を批判しながら、人種差別集団の極致であるナチスと同盟を結び、そればかりか杉原さんの行動に対して、ヒトラーの顔色をうかがうような態度をとっている。
−−歴史から学ぶべきことはたくさんある。

1981年、ドイツ人ジャーナリストが著作『孤立する大国ニッポン』で「戦後日本の外務省が、なぜ杉原のような外交官を表彰せずに追放してしまったのか、なぜ彼の物語は学校の教科書の中で手本にならないのか、なぜ劇作家は彼の運命をドラマにしないのか、なぜ新聞もテレビも、彼の人生をとりあげないのか理解しがたい」と抗議した。その後、次第にメディアが取り上げ始める。
生誕百周年となる2000年、没後14年目にして、ようやく日本政府による公式の名誉回復が河野洋平外務大臣によって行われたが、この時ですら当時の外務省幹部は反対しており、名誉回復は押し切ってなされた。
「これまでに外務省と故杉原氏の御家族の皆様との間で、色々御無礼があったこと、御名誉にかかわる意思の疎通が欠けていた点を、外務大臣として、この機会に心からお詫び申しあげたいと存じます」(河野洋平外相)
現在、杉原さんの“命のビザ”で生き残った難民たちの子孫は25万人に達するという。

「政府の命令に背き、良心に従った杉原さんがいなかったら、私たちの誰も存在しなかった。私たちが歩み続けた暗い道の中で、杉原さんの星だけが輝いていた」(ビザ受領者アンナ・ミロー)
「自分についてはまったく話さなかった。誰にでも温かく接する人柄だし、決して、上から見下ろしたり、差別したりしなかった」(モスクワ駐在員時代の部下・川村秀)

〔杉原千畝さんいわく--〕
「私のしたことは外交官としては間違っていたかもしれない。しかし、私には頼ってきた何千もの人を見殺しにすることはできなかった」
「大したことをしたわけではない。当然の事をしただけです」
「彼らは国を出たいという、だから私はビザを出す。ただそれだけのことだ」

//大相撲は関脇玉鷲が初優勝。初土俵から15年、休場は一度もなく「1151回連続出場」は現役1位。34歳2カ月での初優勝は半世紀で2番目の年長記録。モンゴルから来た努力の人に春、おめでとう。“変化”を使わない、玉鷲のガチンコ突き押し相撲は見ていて気持ちがいい。ちなみに趣味は小物、お菓子作り。可愛い。
●1月26日…〔今日の良かった〕今月11日の日記で紹介したヴァイオリニスト、アンネ=ゾフィー・ムター演奏の『ツィゴイネルワイゼン』の御礼として、旧友が同じムターが演奏したヴィヴァルディ『四季』の熱狂的名演の動画を教えてくれた!『四季』では「春」が一番人気でCMにもよく使われているけど、ムターのライブ演奏は「冬」の緊張感がハンパない!このヒタヒタと厳冬が迫ってくる感じ、ナマで聞いたら脈拍がおかしくなりそう。冬の第2曲はうってかわって暖炉の炎に当たってるような柔らかな世界。ド感服。そして最大の圧巻はアンコールで演奏された「夏」の嵐(頭出し済み)!これ15人で出してる音じゃないだろ!?100人のオーケストラに聴こえる。演奏後はスタンディングオベーションも起きた(クラシックでは珍しい)。旧友が愛を込めて呼んでいる“ムター親分と手下たち”の演奏、是非お楽しみあれ!!
※クラシックのコンサートでは、曲が全部終わるまで拍手をしないという暗黙のルールがある。ところがこのライブでは聴衆が感動のあまり、「冬」の第1曲で拍手してしまっている。それがマナー違反に思えないほどの名演!

//大坂なおみ選手(21)が四大大会の全豪オープンテニスで優勝!世界ランキングが1位に。推移を見ると2012年は1016位、16年は95位、18年4位、圧巻の成長度A!
●1月25日…〔今日の良かった〕2012年にジョジョアニメの第一部がオンエアされた時から、“何年先になってもいいから、このシーンをアニメで見たい”、そう思っていたエピソードがいくつかある。第5部屈指の名バトル、ブチャラティVSプロシュート兄貴&ペッシ戦がまさにそれ。14話〜16話まで3話にわたった当エピソード、14話はプロシュートがえらく垂れ目で、鋭い切れ目のイメージを持っていた僕は「こ、これは兄貴なのか?」と戸惑った。時々ロングカットで人体比に違和感が…。だけど、15話と16話は「神作画」の領域だった!超重要な回を美麗作画で見られる幸せ!声優さんの名演、夕暮れの美しい風景、ドラマチックな音楽、ホント最高だった。2012年から7年間、ずっと待っていた甲斐があった。ブチャラティもプロシュートも最高。はうう…。

 
「アリーヴェデルチ(さよならだ)」昔の外国映画の字幕風フォントがまた良い!
●1月24日…〔今日の良かった〕昨日のファリャに続いて音楽との良い出会いがあった。スペインの作曲家アルベニス(1860-1909)は心臓病のため48歳で他界している。世代的にはマーラーと同い年で、ドビュッシーの2歳年上。「スペイン人の手で世界に通用するスペイン音楽を! 」と、音楽でスペイン各地を描きあげた。それらは主にピアノ単体の独奏曲で、小品を集めたものが多い。長生きしていれば、オーケストラと共演するピアノ協奏曲も生まれていたかも、そう残念に思っていたら、20世紀後半に行方不明になっていた『ピアノ協奏曲イ短調“幻想的協奏曲”』の楽譜が発見されていた!しかもYouTubeに演奏がアップされていた。
緊張と共に再生ボタンをクリック。第一楽章は壮大な始まり方をした後、5分ほどしてめっさ美しいピアノ・ソロが流れ始めた(頭出し済み)。キターー!!旋律からロマン砲炸裂、超好みのメロディーライン、至福のひとときでござった。アルベニスという作曲家自体がクラシック・ファン以外は馴染みが薄いため、この曲が世に普及するにはまだ時間がかかるだろうけど、100年後には「アルベニスのピアコン(ピアノコンチェルト)ええよなぁ」と愛聴する人が増えているだろう。

//アルベニスの後継でスペイン音楽を発展させたグラナドス。彼も作曲活動に脂が乗り始めた48歳で他界している。しかも病気で没したのではなく、第一次世界大戦の混乱の中、乗船した汽船がドイツ軍潜水艦(Uボート)の魚雷攻撃を受け、英仏海峡の波間に消えるという悲劇的な最期。グラナドスはいったん救命ボートに助けられかけたが、溺れる妻を見て海に戻ったという。
グラナドスの最高傑作は晩年のピアノ曲集『ゴエスカス(ゴヤ風)』。この中の「愛と死」の後半に、2分間ほど素晴らしい旋律が登場する。その部分にリンクを貼ったのでよろしければ是非!ドイツ軍は取り返しのつかぬ事をした。
●1月30日…〔今日の良かった〕昨夜の『ラジオ深夜便 世界お墓偉人伝』(最終回)がNHK公式サイトにアップされました!2月6日午後6時まで期間限定の聴き逃しサービスで、開始3分半から登場。今回はラストということで、墓マイラー・デビューされる方のために、国内外の偉人が多く眠る墓地(ウィーン中央墓地、仏ペール・ラシェーズ墓地、英ウェストミンスター寺院、NYウッドローン墓地、LAウエストウッド・メモリアルパーク、雑司ヶ谷霊園、青山霊園、谷中霊園、多磨霊園)も紹介しています。よろしければ是非!
以下、ラジオで紹介したエピソードの実際の写真です。200%無実の罪でアメリカの留置場も体験しました。
カリフォルニアの優しい警官ケインさん
一緒にスヌーピーの生みの親の墓へ
留置場1号室の
囚人カジポン
エジソン博物館前(工事閉館中)の号泣 石灯籠で挟まれたエジソンの墓




●1月23日…〔今日の良かった〕クラシック・ファンとして、YouTubeがある時代に生きているこの幸運を感謝せずにいられない(クラシックは既に著作権フリーの音源も多い)。それまでCDショップになければ諦めていたマイナーな曲でも、根気よく探していれば、海外で誰か1人だけアップしていたりする。今日、僕はスペインの作曲家マヌエル・デ・ファリャ(1876-1946)の若い頃の作品を探していて、20歳の時のピアノ曲『夜想曲』(5分)という傑作と出会った!なんちゅう美しさ。切なくもある。1896年の作品だ。
こんな曲、これまで存在すら知らなかった。そもそもファリャといえばバレエ音楽しか聴いたことなかったし(汗)。名演奏なのに誰が弾いているのかデータがなく、コメ欄を見ると、「いや、これはデ・ラローチャじゃあない」とかみんなで推測しあってますね。ほんとこれ、何度聴いても飽きないな。終わった瞬間にまた再生したくなる。ファリャさん、ムーチャス、ムーチャス、ムーチャス・グラシアス!
※ファリャは独裁者フランコがスペインの政権を握ったことで、反ファシズムの立場からアルゼンチンに亡命した。フランコ政権は何度も帰国を要請したが、彼は拒否し続けた。
※24歳のときのピアノ曲『アンダルシアのセレナータ』(5分49秒)もなかなか良い。
※一般的にファリャでイメージされる曲は、フラメンコとオーケストラが融合したバレエ『三角帽子』の陽気なフィナーレ(すごい迫力)。

//全豪大坂なおみ選手決勝に進んで欲しいですね!→決勝進出!おめでとう!

/ /昨日の『音楽の友』の記事に画像を追加。インスタの方もだんだん写真が増えてきました。
●1月22日…〔今日の良かった〕木曜の22時45分からEテレでオンエアされている5分間のショートアニメ『ざんねんないきもの事典』が面白い。夏休みに一度放送されたらしいけど、墓巡礼で気がつかなかった。第1回のコアラ編では、主食のユーカリの葉は毒があるから他の生き物と奪い合いにならないメリットがある一方、毒の消化で猛烈に体力を消耗するため、コアラは1日の大半を寝て過ごさないといけないんだとか。第2回のサバクノツノトカゲは、敵に襲われたときに身を守るため体内の血液をビームのように発射(ジョジョのディオに同じ技が。笑)。このとき、血を出しすぎて、それが理由で死んでしまうトカゲいるとのこと。防御になってない(汗)。24日の第3話も楽しみ。

//発売中の『音楽の友 2月号』に「世界音楽家巡礼記(23)」を寄稿。今回は「北欧の巨匠たち」と題して、グリーグ(ノルウェー)、シベリウス(フィンランド)、ニールセン(デンマーク)を紹介。北欧の作曲家の音楽は、霧に包まれた森や湖が絵画のように目に浮かぶ。濃霧が生み出したモノクロの世界は、水墨画を愛してきた日本人の感性とよく合う。
これまでスウェーデンには墓巡礼したくなる作曲家がいなかったけど、前々回のオフ会でクット・アッテルベリの存在を知ったので、早く墓参したいな。アッテルベリが眠る墓地には、ノーベル、イングリッド・バーグマン、ストリンドベリ、サルコーのお墓もあるし。




岩壁の真ん中にグリーグの墓!
(ノルウェー・ベルゲン)
夜11時、オスロ行き夜行にベルゲンから乗車。
まだ空が明るい。北上すると白夜になる
自邸の裏庭に眠るシベリウス
(フィンランド・ヘルシンキ)
ニールセンは彫刻家の妻が彫った
レリーフ付き(デンマーク・コペンハーゲン)
●1月21日…〔今日の良かった〕ギターを伴奏楽器から独奏楽器に昇華させた“ギターの父”、スペインの作曲家フランシスコ・タレガ。彼の作品を片っ端から聴いている。最も有名な曲は『アルハンブラ宮殿の思い出』(5分24秒/演奏は孫弟子のセゴビア!)なんだけど、僕は異国での望郷の想いとも、亡くなった幼い娘さんへの追悼曲といわれている『ラグリマ(涙)』(2分)が胸に来た。一音、一音にタレガの想いが込められている。2分間の短い曲だけどホント心に残った。そして『ゆりかご』(2分45秒)も良い。とても穏やかで温もりに満ちた曲。このタレガさんは、親しい人の名前を曲名にすることも多く、まっこと優しい人だなぁ。

//先日の『笑ってコラえて!』の墓マイラー企画を見逃された方、途中から見たという方、YouTubeにはありませんが、某動画サイトに…ゴホン、ゴホン(リンクA)(リンクB※41分あたり、フェロモン広告注意)。見つけましたが、削除は時間の問題と思います。解像度が低いから少し若く見えて個人的には嬉しかったり…いや、何でもないです、忘れて下さい。

 

//漫画原作者・小池一夫さん(フォロワー86万人!)のツイッターがいい。→

小池一夫@koikekazuo
好きな人がいっぱいいる人は、好きなことがいっぱいある人は、人生が深刻化しません。深刻になって行き詰っているときは、とても視野が狭くなって「好き」が無い状態です。「真剣になれ、深刻になるな」。

…『笑ってコラえて!』の失恋エピソード3連発なんかまさにこれです。好きな芸術家や作家がいっぱい増え、絵画・音楽・文学、両手で抱えきれぬほど好きなことが増えたおかげで、ダメージが深刻化しなかった。
ちなみに、過去の小池一夫さんのツイートで超メモったのはコレ→

小池一夫@koikekazuo
「ネットでは、無責任に好き勝手なことが書かれている。前にも強く言ったのだが、表現者は絶対に匿名掲示板などを見るな。悪意の深淵を自ら覗くな。」
●1月20日…〔今日の良かった〕なんと、明晩21日の9時からBSプレミアムで映画『それでも夜は明ける』オンエアされる!19世紀アメリカで黒人音楽家ソロモン・ノーサップが12年間の奴隷生活を強いられた実話を描き、アカデミー作品賞に輝いた傑作。差別と虐待を受けながらも、人間としての尊厳を守り続けた男。原題は『12 Years a Slave』だけど、この邦題は良い。特に“それでも”という部分が!必見です。
※黒人のマックィーン監督がニューヨーク映画批評協会賞で監督賞を受賞した際、スピーチ中に「お前なんか、しがないドアマンか清掃作業員だ!」とヤジを飛ばされるなど、改めてレイシズムが浮き彫りに。同監督は動じず最後までスピーチを続け、ヤジった男は協会を除名に。(予告編

//う〜む、これは厳しい!昨年から募集をかけていた『偉人墓巡礼ツアー フランス・パリ6日間』(3/25-3/30)、申込み期限は1月末になっていますが明日21日14時までにあと8名の申込みがないと催行中止とのこと。
実質4日間でショパン、ナポレオン、ドラクロワ、ユゴー、モジリアニ、スタンダール、ジム・モリソン、エディット・ピアフ、アントワネット、トリュフォー監督など約60名の墓所をめぐり、さらにルーブル美術館とセーヌ川下りまで盛り込んだ「全部載せ」企画だったのですが、やはり旅費38万はハードルが高いですよね…。
ただ、この価格はほんとギリギリです。春休み時期の往復フライト代、4つ星ホテル4泊、貸し切りバス、通訳ガイドさん、各所入場料その他を合算すると、15名以下では赤字になる価格。ほとんど利益がなくても、旅行会社さんは「文化事業」と位置づけ企画して下さいました。僕もノーギャラ覚悟です。もし迷われている方がおられましたら、明日14時までにお申し込み頂けると幸いです!
●1月19日…〔今日の良かった〕Eテレ『ららら♪クラシック』が良かった!後ほど更新します。
●1月18日…〔今日の良かった〕16日放送の『歴史秘話ヒストリア ぼくはアニメの虫/手塚治虫がやりたかったこと』、手塚先生のアニメ事業に的を絞った見応えのある内容だった。初めて見た1984年の作品『ジャンピング』(6分21秒)に思わず見入った!ジャンプするたびに、野原、街中、海、戦地と視点が移動していく様子が臨場感たっぷりに描かれ、これを現代の4DX劇場で上映したら大きな話題になるだろう。後半、ある雲の中に落ちたときに地面がないという…。短い6分間にこのメッセージ性。嗚呼、手塚先生!
『ジャンピング』ってウィキの項目にもなってない作品だけど、世界4大アニメーションフェスティバルのひとつ、ザグレブ国際アニメーション映画祭グランプリを受賞している。ユネスコ賞も獲得。この作品の存在を知ったことは大きな収穫だった。

//『笑ってコラえて!』の余波が続いている。2005年に出した僕の著書『お墓お散歩ブック』は定価が約1700円なのに、アマゾンで中古本に約10倍の16800円がつき、しかもそれが売れていた。業者はえげつない値段をつける。保存状態だって“可”なのに異常な価格。僕はいま新しい本を書いており、年内には形になると思うので、この値段で買うのはNGです。数日経てば価格も下がっていきます。名案がひらめいた!増刷すれば問題解決しますよ、大和書房さん!

  恐ろしい値段になっている…う〜む
●1月17日…〔今日の良かった〕昨日の今日なので私事ネタです。『笑コラ』、勇気を出して出演し本当によかったです!撮影当初、「やっぱ、厳しくないですか?ゴールデンタイムのバラエティでお墓をやると視聴者はドン引きしますよ」などと懸念していたのですが、ネット上のまとめページ(全5ページ)を拝見した限りでは、「感謝している恩人に“ありがとう”を言いに行く」というシンプルな理由は受け入れられた気がします。ゴッホやショパンの話の反応など、視聴者の感想を読んでこちらが泣きそうに。失恋のお馬鹿なエピソードは、我が身の事ながら爆笑しました。“そりゃあ、フラれるよカジポン!”と。テレビ画面のカジポン役に僕が突っ込むカオスな状態でした。

オンエア中からツイッターのフォロワー登録を知らせる着信音が鳴り続け、1時間で約1500人フォロワーさんが増えました。放送終了後は、親戚から電話がかかってきたり、何年も連絡をとってなかった旧友からフェイスブックやツイッターにコメントがきたり、カジポン役の俳優・島林瑞樹君からも連絡がありました。
ツイッターの「おすすめトレンド」に、おそらく我が人生では最初で最後であろう「墓マイラー」と「カジポンさん」がダブルで入って驚倒。「カジポン」ではなく「さん」がついているのが、なんか嬉しかった(『AKIRA』の金田もニッコリ)。“さん”付けは、おそらく51歳という年齢もあるだろう。

改めてロケを見て、奇跡のようなタイミングと思ったのが、龍馬の墓前で涙ぐんでいた女性の方、そしてシャトーブリアンの墓前で詩を朗読にきたパスカルさんと出会えたこと。多くの人には「墓マイラー」は初めて聞く言葉だろうし、「変わった趣味」「どちらかというと変人」という印象を持たれるかも知れない。ところが、ロケに行くと僕以外の墓マイラーがそこにいる。日本でも、世界でも。視聴者の方に、墓マイラーがたくさんいることを伝えたかったので、この偶然に感謝しまくり。ちなみにパスカルさんが自身を「ブルターニュ人」と名乗っていたのは、フランス北部ブルターニュ地方が、ケルト文化の影響を受けた特別な土地という郷土愛からきています。




友人が送ってくれた
おすすめトレンドの写メ
シャトーブリアンの墓前で
優しくこう言って下さったパスカルさん

ゲストが菅田将暉さん、坂口健太郎さんという豪華さもあって、視聴率はありがたいことに20時台で首位、21時台は裏番組の『相棒』と同率首位とわかり、墓トークで視聴率が急降下することは避けられたよう。胸を撫で下ろした。
番組後、複数の石屋さんから温かい感想メールをもらえたのも嬉しかった。最近は「墓じまい」という墓マイラーが気絶しそうな言葉が出てきて、お墓業界はあまり元気がない。こういう時だからこそ、お墓LOVEを全身全霊で叫び、石屋さんにエールを送りたかった。思いが伝わってよかった。

僕が通う空手道場は、僕以外、全員が黒帯(小学生も!)で、運動神経絶無の僕だけが10年間も茶帯。普段は「茶帯の下手なオッサン」と距離を置かれてるのに、今日は道場の扉を開けた瞬間にワラワラと子どもたちが集まって来て「オス!」「オス!」「オス!」とみんな挨拶してくれるじゃないですか!「すごい、これがゴールデンの力か!」と感嘆しました。
今まで近所の人やPTAの人に「何をやってる人だろう」「時々大きなリュックを担いでる怪しい人」と思われていたのが、いや、怪しいのは正しいんだけど、少なくとも「安全なお馬鹿」と分かってもらえたら、ほんと嬉しいです。(*^_^*)

ところで!番組で紹介されたフランスの墓は3人のみでしたが、実は11人に墓参しています!放送時間の関係で泣く泣くカットされたのは、ゴッホ兄弟、ナポレオン、マリー・アントワネット、ロダン、サティ、ラヴェル、アンリ・ルソー、ロマン・ロラン。それぞれの墓地に良いエピソードがあり、深夜でもいいので、お蔵入りになっている巡礼映像に陽の光を当ててあげてほしいなぁ…ねぇ、日テレさん(チラ見)。

//フェイスブックのフレンド登録、順番に行っていますので、申請された方、いましばらくお待ちください(汗)。10年以上前からの読者の方から申請を頂くと、なんかこう、胸がいっぱいになります。既に会ったことがあるような感覚に。よくぞ足を運び続けて下さったと…!
●1月16日…〔今日の良かった〕ついにこの日が。朝刊のテレビ欄、本日出演『笑ってコラえて!新春SP』の中に“墓マイラー”の文字を発見!もう緊張しすぎて、2日前から足の小指をテーブルの脚、椅子の脚、いろんなものにぶつけまくり。
先日も書きましたが、今回の放送は、このホームページやツイッターなど、ネットでのみ繋がっている初対面の方に、番組を通して「はじめまして」のご挨拶というか、心の握手ができたら、そんなふうに願っています。そして旧知の方には「お久しぶり!」のハイタッチです! (^^)/
※今朝のディレクターさんからの情報では、20:45頃から登場とのこと。

【追記】放送終了!皆さんも失恋した時に、恋の炎の灰からダイヤを拾える人を好きになって下さいね。ビバ失恋です(本末転倒)。恋愛というものは、成就しないことの方が圧倒的に多いんです。学校では失恋からの立ち直り方を教えてくれませんが、これは必修科目にすべきです。将来、ストーカー化しないためにも。
失恋しても自分が成長して恋が終われば、悲しみを胸に抱きながらも、相手に感謝しこそすれストーカーになるのはあり得ません。そして芸術には失恋して繊細な心理状態にある方が、感動できる作品が多いんです。幸せルンルンなときには見えてなかった、心に響く芸術作品が次々と見つかります。墓マイラーの話については明日の日記で。

今回、取材して下さった日テレ・石原ディレクターほか製作陣の皆さん、再現VTRの俳優の皆さんに心から感謝。青年時代役を演じた島林瑞樹さん、見事な再現度でした。何もかもあのままです!そしてシャトーブリアンの墓前で偶然出会ったパスカルさんに画面を通してまたお会いできて胸熱でした…涙。

//8年前に連載を開始した『月刊石材』の「墓を訪ねて三千里」がもうすぐ第100回。それを記念してバックナンバーがWEB化されました!まずは第1弾として25名をピックアップ。誌面ではモノクロ写真ですが、WEBではフルカラー。やっぱカラーは美しい。連載は約1400字という制限があり、その中に巡礼エピソードと伝記を入れる必要があるんだけど、逆にいえばコンパクトになって読みやすい。サイトだと文字数に制限がないため、つい長文になるから(汗)。是非、移動中にでもこのWEB版をお楽しみ下さい。

//開設したばかりのフェイスブック。このサイトを見てフレンド申請される方(既にされた方も)は、メッセージに「文芸ジャンキー読者です」の一言を添えて頂けると助かります。
●1月15日…〔今日の良かった〕先日のNHK『サグラダ・ファミリア 天才ガウディの謎に挑む』がとてつもなく素晴らしい内容だったので、数日中に紹介します。

//『笑ってコラえて!新春SP』オンエアまで、あと1日!番組放送後、撮影時の現地の方との交流や、放送時間の関係でカットされた巡礼エピソードなどアップしますね。
●1月14日…〔今日の良かった〕大河ドラマ『いだてん』第二話も実に丁寧な作り。熊本で生まれた主人公・金栗四三は体の弱い子どもだったが、長い山道を走って通学するうちに、マラソンでは呼吸法が大切と悟り、「スッスッ、ハーハー」の呼吸で誰よりも速く長距離を走れるようになっていく。若き日の古今亭志ん生も落語の師匠に入門、物語が動き出した。大声で歌いながら自転車に乗る綾瀬はるかさんに癒された。
※ただし、37歳の勘九郎が15歳の中学生役は無茶ぶりすぎます!(笑)

/週末のNHK『さし旅 仏像マニアと巡る新春!御利益ツアー』。番組登場の仏像マニアが持っていた仏像フィギュアコレクションの中に、なんと「法然上人」のフィギュアが混じっていた!制作はあの海洋堂。これは欲しい。ネットで検索したら「親鸞上人」のフィギュアまであった。既に販売終了、ヤフオクは落札1万円超え。さすがに手が届かない。

//ネットに詳しい友人に勧められ、初めてフェイスブックを開設。いやあ、これは面白い。試しに好きなゴッホ絵『最初の一歩』と、没後もファンに愛されているのがわかるモジリアニの墓画像をアップしたんだけど、サイトだと容量が重くなるから縮小している画像が、クリックひとつで大きいまま見られる!
フェイスブックは2004年に設立され、2017年に全世界のユーザー数が18億人を突破。日本語化されたのは2008年で、日本の利用者は2700万人を超えているとのこと。日本人の4人に1人ってすごいな。僕は11年も遅れてこのムーブメントに参加。

僕は文ジャンという個人サイトを持っているし、ツイッターもやっているので、正直、これまでフェイスブックを開設する必要性を感じていなかった。だけど、友人から「フェイスブック、ツイッター、ブログ、個人サイトは、メインのユーザー層がそれぞれ異なっているから、アクセスできるツールを増やした方がいい」とアドバイスされ、明後日の『笑コラ』オンエアを控え、タイミング的に良いかもと開設しました。
ただし、あくまでも「主戦場」はこの文芸ジャンキー・パラダイスであり、フェスブックは墓マイラーに特化していこうと考えている。というのも、ラインで『世界墓マイラー同盟』を運営しているけど、メンバーは総勢3人オンリーだし、全国各地にいるであろう孤独な墓マイラーを、幅広く結びつける情報交換の場が必要と痛感していたから。
原則、完全オープンにするので、「フレンドまで公開」とかはやらないつもり。テレビを見た墓マイラーの人から連絡が来るといいな。

※フェイスブックの『知り合いかも』欄に、自動的にいろんな人が表示されるんだけど、10年ぶりとか、20年ぶりに見る名前があって、「おお〜、この人は全然変わってない!昔のままだ」とか、めっちゃ懐かしく、思わず見入ってしまう。

※若者に人気の「インスタグラム」は1600万人のユーザーがいる。僕もローラさんの辺野古基地反対メッセージのその後の報告を追いたくて、彼女をフォローするため登録を済ませた。さすがに5ツールの更新は手が回らないので、こちらはボチボチに。

//訃報が続いている。1月4日に英国の絵本作家ジョン・バーニンガムさん(82歳)、5日旅行ジャーナリストの兼高かおるさん(90歳)、6日「出前一丁」「アート引越センター」「積水ハウス」などCMソングの女王・天地総子さん(78歳)、12日に哲学者の梅原猛さん(93歳)と女優の市原悦子さん(82歳)。哀悼の意を表します。
●1月13日…〔今日の良かった〕第122回にして、ついに海外へ進出した昨夜のNHK『ブラタモリ』。地形から見るローマ発展の歴史はとても面白く、最後に登場したイギリスからインドまでの古代の道路地図(7メートル!)は圧巻だった。次回は、トレビの泉など水から見るローマ。

//昨日の『絶望名言』に触発され、自分でも過去に映画や小説からメモったものを見直してみた。すると、名言の内容はマイナスにもかかわらず、共感したり、噴き出したりで、不思議と元気に。以下、いくつかチョイスしたく!これらは、今までトップページ上部にある「人生の名言(救命ロープ)」に一度も登場したことがないものばかり。

・人間のこの巨大な渦(うず)の中にいる時くらい、深く孤独地獄を味わったことはない(ファーブル)昆虫学者
・人間のみがこの世で苦しんでいるので、笑いを発明せざるを得なかったのだ(ニーチェ)哲学者
・「明日は、明日こそは」と人は人生を慰める。この「明日」が彼を墓場に送り込むその日まで(ツルゲーネフ作家
・欲するものがすべて手に入りつつある時は警戒せよ。肥えていく豚は幸運なのではない(ジョーエル・チャンドラー・ハリス)作家
・立派な信念と公平さと誠実さを持つ人物を口を極めて賛美することは、人間一般に対する不信を表明しているのと全く同じだ(ラ・ブリュイエール)思想家
・死んだらとりあえず部屋代を払わんでいい(モーム)作家
・自分を哀れむという贅沢がなければ、人生なんていうものは耐えられない場合がかなりあると私は思う(ギッシング)作家
・愚かな女は見かけほど愚かではない。愚かな男は実際その通りであるが(マルセル・アシャール)劇作家
・美的にも、知的にも、そして論理的にも自分ほど進んでいない世の中を忌む(夏目漱石)
・この世に人間ほど凶悪な動物はいない。狼は共食いをしないが、人間は人間を生きながらにして丸飲みにする(ガルシン)作家
・何という世の中だ。狂人が恥を知れと叫ばねばならんとは!(A・タルコフスキー)映画監督
・女に忘れられたら男だって意地になる。そういう女を忘れる為に出来るだけの手は打ってみせる。それでもうまく行かなければ、せめて忘れた“ふり”をする(モリエール)劇作家
・40歳を過ぎると男は自分の習慣と結婚してしまう(メレディス)作家
・あきらめを十分に用意することこそ、人生の旅支度をする際には何よりも重要だ(ショーペンハウエル)哲学者
・何事も期待せぬ事。それが肝心(吉田兼好)歌人
・この世から未来永劫消えないものは二つだけ--『宇宙』と『人間の愚行』だ。ただ、宇宙のほうは断言できない(アインシュタイン)科学者

最後のアインシュタインが強烈すぎる。だが、そこが良かったりもする。

//たぶん今、日本中の個人サイト管理者が、ヤフーニュースの表示ボックス不具合で途方に暮れていると思う。お正月までこのトップページ上方のヤフーヘッドライン枠は普通に表示されていた。でも、1月3日にYQLというニュース表示ツールが提供終了となり、白い枠しか表示されなくなった!パソコンに詳しい人は、自分でプログラムを書き換えて再表示させているらしいけど、ネット原始人の僕には何がなんだかサッパリ…。
業界の知人によると、時代はブログやインスタであり、ヤフーは絶滅しつつある個人サイトに力点を置いておらず、新たな表示ツールを配布することはなかろうとの悲観的予測。あのトップニュース8本のリアルタイム・ヘッドライン、めっちゃ便利だったのにな…。もし読者の方で「これが使えるよ」というニュース表示ツールがあれば、メールで連絡をいただけると助かります。
【追記】問題解決しました!スーパーハッカーみたいな知人が、魔法のようにプログラムを書き換えて、再び利用できるように!むしろ以前よりスッキリと見やすくなってる!感動!
●1月12日…〔今日の良かった〕頭木弘樹氏の新刊『絶望名言』を読了。NHKラジオ深夜便を書籍化したもの。コンセプトに共感した。

「将来に向かって歩くことは、ぼくにはできません。将来に向かってつまずくこと、これはできます。一番うまくできるのは、倒れたままでいることです。」(カフカの手紙から)

失恋したときはハッピーなラブラブソングは傷に塩を塗り込むようなものだし、『耳をすませば』を見た日には卒倒するかも知れない。失恋を癒してくれるのは失恋ソングであり、ゲーテ『若きウェルテルの悩み』のような失恋小説だ。ゲーテは「この小説を若いときに読んで、これは自分のために書かれたのだと感じたことがないような人は不幸だ」と言い切っている。
辛いときは同じ境遇にいる者同士で支え合わなきゃならない。同じ痛みの中にある人の存在を知るだけで、孤独感が薄れるもの。この時空を超えた“助け合い”は、数百年前の画家や作曲家との間に築かれることもあり、それが芸術の醍醐味でもある。
以下、『絶望名言』を読んで個人的にメモったものを一部紹介。

「僕には誰もいません。ここには誰もいないのです、不安のほかには。不安とぼくは互いにしがみついて、夜通し転げ回っているのです。」(カフカの手紙)
「絶え間のない悲しみ、ただもう悲しみの連続。」(ドストエフスキーの手紙)
「75年の生涯で、本当に幸福だったときは、一ヶ月もなかったと言っていい。石を上に押し上げようと、繰り返し永遠に転がしているようなものだった」(ゲーテ)
「私の病気がなかなか良くならなかったとき、父は短気を起こした。優しくいたわってくれるどころか、残酷な言葉をあびせかけた。私にはどうしようもないことなのに、まるで意思の力でどうにでもなるかのように言った。そのことを思うと、どうしても父を許すことができなかった」(ゲーテ)
「不幸は、ひとりではやってこない。群れをなしてやってくる。」(シェイクスピア「ハムレット」)
「“どん底まで落ちた”と言えるうちは、まだ本当にどん底ではない」(シェイクスピア「リア王」)
「あらゆる神の属性中、最も神のために同情するのは神には自殺の出来ないことである。」(芥川龍之介(「侏儒の言葉」)
「駄目な男というものは、幸福を受け取るに当たってさえ、下手くそを極めるものである」(太宰治「貧の意地」)
「弱虫は、幸福をさえおそれるものです。綿で怪我をするんです。」(太宰治「人間失格」)
「いままで、生きて来たのも、これでも、精一ぱいだったのです。」(太宰治「斜陽」)
「生きている事、生きている事。ああ、それは、何というやりきれない息もたえだえの大事業であろうか。」(同上)

−−このように、絶品の絶望名言がチョイスされており、それらが生まれた時代や作家の境遇など背景が解説されている。僕はサイト上部で名言コーナーを設けているけど、あそこに載せるのは背景を語らなくても伝わりやすい希望名言が多い。希望名言では救われなかった人が、絶望名言で悲しみをしのぎ、生を繋いだケースもあるだろう。これからは絶望名言も取り上げていこうかな。

/同書で頭木弘樹氏は絶望音楽も紹介されていた。特に印象に残ったのは、400年も昔のイングランドの作曲家ジョン・ダウランド(1563-1626)が生んだ歌曲「我が涙よ、あふれよ」(4分)。

「♪夜の闇は濃いほどいい。光というのは、絶望した者にとっては、辱(はずかし)めでしかない。私の悲しみは、決して癒されない」。最後の方は「先に地獄に行った人が羨ましい」的なことまで歌っている。押しも押されぬ絶望名曲だ。
●1月11日…〔今日の良かった〕極めつけの『ツィゴイネルワイゼン』発見!スペインの天才ヴァイオリニストであり作曲家のサラサーテ。彼が34歳のときに書きあげた『ツィゴイネルワイゼン』の決定版を探して、いろいろ聴き比べた結果、ドイツのヴァイオリニスト、アンネ=ゾフィー・ムターのものが、名演の中の名演に!定番のハイフェッツもモチロン良いけれど、ムターの明らかに聴き手を“殺しにかかってる”演奏、あの尋常じゃない緊張感は、一度聴いたら病みつきになってしまう。この演奏(8分41秒)と出会えて良かった!
●1月10日…〔今日の良かった〕本年夏、NY郊外にて50年ぶりにロックの祭典『ウッドストック』開催!1969年に開催された伝説的な音楽フェス「ウッドストック・フェスティバル」は、ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ザ・フー、サンタナなど30を超えるミュージシャンが登場し、3日間で40万人もの音楽ファンが集まった。当時の共同主催者マイケル・ラングは、この夏50周年を記念して「ウッドストック50」(8月16日-18日)を開催すると発表!1000エーカー(東京ドーム約86個分)の敷地に3つのメイン・ステージが用意され、60ものアーティストが出演予定。この半世紀ぶりの超ビッグイベントは、現地に来られない人の為にリアルタイムでネット配信されるという。第1弾アーティストは2月発表され、既に50年前のイベントに出たミュージシャンが内定しているとのこと。

//年末年始は総集編で事実上放送がなかったジョジョ5部アニメ。その間、ジョジョ成分を維持してくれたのはスケート「メダリスト・オン・アイス2018」で東方仗助になりきってグレートな演技を披露してくれた田中刑事選手と、元旦の『獄門島』再放送で金田一耕助の無駄無駄ラッシュを聞かせてくれた長谷川博己さん!
キレキレの動きだった! まさか氷上の仗助が見られるとは
長谷川博己さん怒濤の無駄無駄 血管が切れそうな咆哮
●1月9日…〔今日の良かった〕所ジョージさん(63)が、YouTubeに沖縄への想いを込めた歌を投稿。お正月に沖縄の辺野古を訪れ、自らビデオをまわし「これ、辺野古の基地建設の前なんですけれど、意外に静かでしたね。お正月はみんな休むんだね」。そして沖縄の伝統楽器・三線(さんしん)で、米軍機は日本の沖縄ではなく米国に着陸してという弾き語りをした。

「♪アメリカの飛行機、アメリカに降りてョ/周辺諸国の防衛、沖縄の人の感情、両者正義で何年も揉めて/その間、諸国は攻めるの休んでくれているの か〜な〜」(動画

歌の最後は「か〜な〜」と、ひょうひょうとしつつ内容は踏み込んでる。軍拡派が周辺諸国の軍事脅威論を煽っているけど、基地をめぐって何年も揉めているから日本に攻め込むチャンスなのに、全然攻めて来ないよね、休んでいるのかな?という軍拡派への皮肉になっている。
元旦に辺野古の海で「アメリカの飛行機、アメリカに降りてョ」と歌う、それはなかなか出来るものじゃない。しかも、歌詞の字幕まで付けていることから、軽い気持ちでアップロードしたのではないことが分かる。
所さんはこれまで政治的発言をあまりしてこなかった印象があるから、ほんと感動してしまった。僕はウィキを見るまで、所さんがリベラルな作家・大江健三郎氏と文通をしていることを知らなかった。
所さんは沖縄に大きな別荘を持っていて、北野武監督『アウトレイジ』のクライマックスのロケで使用されている。長期オフの間は沖縄で過ごしているからこそ、現地の視点で状勢を見ることが出来るのだろう。
所さんクラスの大御所が動くことで、勇気を得て自分の思いを発信できるタレントさん、表現者が増えればいいな。

『笑ってコラえて!新春SP』放送まであと1週間。番組の顔は所ジョージさん。墓マイラーにどんな反応をされるのか、すごく緊張すると共に楽しみでもあり。
●1月8日…〔今日の良かった〕マーベル新作映画、3月、4月連続公開!昨年、ヒーローチームが敗北するという、あまりに衝撃的な結末を迎えた『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』。究極の新戦力になってくれるであろう『キャプテン・マーベル』(予告編)のファースト・エピソードは3月15日に公開。そしてインフィニティ・ウォーの正統続編『アベンジャーズ:エンドゲーム』(予告編)は4月26日公開!これまで大作の公開は半年ほど間隔があいていたので、2カ月連続はめっさ嬉しい。冬に『アントマン&ワスプ』をやったばかりなのを考えると、えらいハイペースで撮影してる印象。
一方、マーベルのライバル、DCヒーローズ(バットマン、スーパーマン、ワンダーウーマン系)では『アクアマン』が2月8日に公開。スーパーマンなどの空中戦に比べ、アクアマンの水中戦は地味な感じがして、あまり観に行く気がしなかった。ところが、アメリカ本国の評価がかなり高いことを知り、断然楽しみに。予告編の冒頭、迫力ある海の描写に「うおおお!」となったけど、「これは予備知識なしで観た方がいいかも」と慌てて再生をストップ。未知の映像体験をうたっているから、劇場まで興奮はとっておこう。
『アクアマン』を入れると2月から3カ月ぶっ続けのヒーロー映画祭り。夏休みでもないのに!下半期にはスター・ウォーズの完結編が控えており熱い年になりそうだ。

//ツイッターで流れてきた『風の谷のナウシカ』主要キャラの年齢設定、ナウシカ16歳、クシャナ25歳、クロトワ27歳、ここまでわかる。「ユパ様45歳」にビックリ。まさか、あのユパ様が僕より年下だったとは!ガンダムのランバ・ラル35歳以来の衝撃。
●1月7日…〔今日の良かった〕出版社の宝島社が今朝の朝日新聞と読売新聞に出したカラー2面を使った全面広告が凄すぎる。

読売「敵は、嘘」
※画像はローマの“真実の口”。
嘘つきが手を入れると
手を咬みきられるという
朝日「嘘つきは、戦争の始まり」
※湾岸戦争で参戦を促す宣伝に利用された
油まみれの鳥。米広告会社の
やらせ写真という説が有力

読売の文面
『敵は、嘘。』
いろんな人がいろいろな嘘をついている。
子供の頃から「嘘をつくな」と言われてきたのに嘘をついている。
陰謀も隠蔽も改ざんも粉飾も、つまりは嘘
世界中にこれほど嘘が蔓延した時代があっただろうか。
いい年した大人が嘘をつき、謝罪して、居直って恥ずかしくないのか
この負の連鎖はきっと私たちをとんでもない場所へ連れてゆく。
嘘に慣れるな、嘘を止めろ、今年、嘘をやっつけろ

朝日の文面
『嘘つきは、戦争の始まり。』
「イラクが油田の油を海に流した」
その証拠とされ、湾岸戦争本格化のきっかけとなった一枚の写真。しかしその真偽はいまだ定かではない。
ポーランド侵攻もトンキン湾事件も、嘘から始まったと言われている。
陰謀も隠蔽も暗殺も、つまりは、嘘
そして今、多くの指導者たちが平然と嘘をついている。
この負の連鎖はきっと私たちをとんでもない場所へ連れてゆく
今、人類が戦うべき相手は、原発よりウィルスより温暖化より、嘘である。
嘘に慣れるな、嘘を止めろ、今年、嘘をやっつけろ

/双方とも嘘を批判しているが、リベラル寄りの朝日には「戦争の始まり」と反戦色を出してるあたり、保守系の読売と少し内容を変えてきている。
勇気ある素晴らしい広告である一方、広告主がヘイトに加担する宝島社であることに戸惑いを覚えたのも事実。宝島社が出している別冊宝島は、かつては反主流サブカル、カウンターカルチャー的なものが多かった。だが、残念ながら今世紀に入って歴史修正主義・差別扇動のヘイト本を出す、いわゆるヘイト出版社に転落。 2017年の別冊宝島は『韓国の不都合な真実』『韓国大狂乱(慰安婦ヘイト)』『日中歴史戦(南京否定)』などがズラリ。
今回の広告でも「ポーランド侵攻(※第二次世界大戦)もトンキン湾事件(※ベトナム戦争)も、嘘から始まったと言われている」の部分に、それを言うなら日本が自作自演テロをやって戦争の引き金を引いた「満州事変」(柳条湖事件)を入れるべきだし、「人類が戦うべき相手は、原発よりウィルスより温暖化より、嘘である」の部分に、なぜかシレッと「原発」が入っているのも引っ掛かる。猛毒の使用済み核燃料を10万年も保管する場所が、地震の多い日本列島には存在しないのに、小さな問題であるかのように扱うのは腑に落ちない。
−−とはいえ、今回の広告の「隠ぺいも改ざんも粉飾も、つまりは嘘」「居直って恥ずかしくないのか」「今年、嘘をやっつけろ」という直球の言葉は、覚悟がなければ書けないもの。今日の広告をヘイト路線との訣別宣言と信じて、同社の今後に期待したい。
●1月6日…〔今日の良かった〕司法が日常生活における個人間のヘイトスピーチで被害者保護を鮮明に。大阪のローカルニュースだからあまり報道されてないと思い、ここでピックアップ。
大阪地裁で先日重要な判決が出た。大阪市内のスイミングクラブで、日本国籍を取得した台湾出身の63歳の女性が、連れてきていた高校生のおいが60代の男性利用客の貸しタオルを間違って使ったことをめぐり、怒った男性から「ここは日本ですよ。お国に帰られたらどうですか」と言われた。“国に帰れ”は世界各地で問題になっている差別発言だ。大阪地裁は男性に慰謝料15万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
慰謝料は高いとは言えないが、それ以上に重要なのは、日常生活における個人間の「ヘイトスピーチ」で賠償が認められる貴重な判例になったこと。街宣活動での発言を人種差別と認めたり、外国人であることを理由に入居や入店を断った言動を差別と認定した判例はあるが、日常生活のトラブルにおける発言を差別と認定したのは珍しい。
藪田貴史裁判官は、原告が発音などから海外出身だとうかがわれる状況だったと指摘し、「排外的で不当な差別的発言」と認定した。男性側は「マナー違反を注意した。適切ではない部分があったが、賠償しなければならないほどの違法性はない」と反論していたが、判決は「注意する趣旨であっても通常用いてはならない表現だ」と退けた。
日本のネット界では、残念ながら、在日の人だけでなく、帰化した人にまで、凄まじいヘイト言葉が叩きつけられることが少なくない。この判決は同じような暴言に晒されている人に勇気を与えるものだし、日本人同士でも「その言葉は裁判でアウトだよ」と指摘することができる。判決が広く認知されることを願う。外国人を差別するのではなく、みんなで幸せに。

//今年の大河ドラマ『いだてん』には戦国武将も幕末の偉人も登場しないため、“今年の大河はパスして来年の明智光秀まで休憩するか〜”と思ってた。だが、今夜の第一話を見て、来週以降も見続けることに決定!1964年の東京オリンピックをテーマにした物語というから、てっきり戦後の日本が舞台のドラマかと思った。ところが、蓋を開けてみると、過去と現代の二つの世界が交互に描かれ、過去パートには柔道創始者かつアジア人初のIOC委員・嘉納治五郎(役所広司)が出ており、1908年(明治41年)から始まってるじゃないか!1908年スタートということは、大河ドラマの中で第一次世界大戦、日中戦争、太平洋戦争も描かれるということ。
第一話で嘉納治五郎は「スポーツで国際的に交わることは、世界平和の実現に役立つでしょう!」と言っている。現実は6年後に第一次世界大戦、1936年のベルリン五輪はヒトラー観覧の中で日本人選手が出場、1940年に予定されていた東京オリンピックは、日中戦争の泥沼化で開催を返上し幻に終わっている。大正デモクラシーの平和な時代から、なぜ戦争の時代に突入してしまったのか、その過程が大河ドラマでどう描かれるのか、クドカンの脚本に興味津々。これは見逃せない。
●1月5日…〔今日の良かった〕りそな銀行が「核製造企業への融資禁止」を宣言!これは国内大手銀行初の快挙。被爆国の企業として筋が通っているし、りそなに対する企業イメージが爆上げっす。
核兵器製造を使途とする融資を禁止する例はあるけれど、それ以外の目的であっても該当企業には一切の融資を行わないと宣言したもので、こうした取り組みは国内の大手銀行ではもちろん初めて。一昨年、国連で「核兵器禁止条約」が採択され、欧州を中心に投融資を禁止する銀行や機関投資家が広がっている。国内でも同様の動きが出てくるか注目されていたところ、りそなが真っ先に行動を起こした。ぜひ他の銀行も後に続き、この流れを加速してほしい。

//経団連・中西宏明会長の年頭会見にも驚いた。原発メーカーである日立製作所の会長も務めている人物の発言としては前代未聞だ。
中西氏「お客さまが利益を上げられない商売でベンダー(提供企業)が利益を上げるのは難しい。どうするか真剣に一般公開の討論をするべきだと思う。全員が反対するものをエネルギー業者やベンダーが無理やりつくるということは、民主国家ではない
今後の原発政策について踏み込んだ発言であり、脱原発とも取れる内容。これまで原子力村は、石にかじりついても利権を手放さないという態度を示してきた。だが、日立が英国で進めてきた原発建設計画も、三菱重工が進めてきたトルコの原発建設も暗礁に乗り上げ、安倍氏が売り込んでいた原発輸出はことごとく頓挫した。世界的に見ても、もはや原発ビジネスは採算が取れない。
東電は国内最大級の洋上風力発電の建設を計画。1兆円規模の事業費を投じ、千葉県銚子沖などに風車を約200基設置し、原発1基分の年間電力を賄う計画だ。
既得の原発利権にしがみついてきた経団連が、「無理やり作るのは民主国家ではない」と会見する時代になった。
●1月4日…〔今日の良かった〕元ビートルズのポール・マッカートニーとクイーンのギタリスト、ブライアン・メイが沖縄辺野古への新基地建設に向けた工事の停止を求める署名活動に共感を表明!海外で始まった米政府への「埋め立て停止請願」について、ポールはホワイトハウスの辺野古署名サイトへのリンクに「いいね!」を押し、ブライアンはツイッターに「緊急!緊急!この請願書にサインをして、アメリカ軍の基地拡張によって脅かされている美しいサンゴ礁とかけがえのない生態系を救おう」。署名は18万筆を突破。署名サイトの期限が日本時間の8日午後2時までということもあり、続けて「請願書へ署名する最後のチャンスだ」と投稿。

/ブライアン・メイといえば、サイト読者の方から年末にNHKが行った独占インタビューの存在を教えていただきました。音楽の話題だけでなく、訪日の印象、国際情勢に対する懸念など、充実したインタビューであり、一部を紹介します。

「(1975年の初来日の思い出)月に行くような感じだったよ。日本の写真は見たことがあったけど、日本人に会ったことがあるかどうかすらわからない、とにかくイメージができないくらいだったんだ。
何が起きるか予想もしていなかった。別の惑星みたいなものだったんだ。考えてみると、あの頃は国によって全然違ったよね。インターネットと国際化で、「異なる」すばらしさをいくぶんか失ってしまったと思う。恥ずべきことだと思うよ。
日本に行ったとき、全てが違った。全ての色が異なり、全ての通りが異なり、街には英語表記なんてなく、ほとんどの人は英語なんて話せなかった。だから東京を歩いていて道に迷うということは、本当の迷子になるということだったんだ。あの頃は街に出るとき、ホテルの住所を書いた紙切れを持って行かなければならなかったよね。
文化の違いにも驚いたよ。空港に着いたら何千人もの女の子が叫んでいたんだ。「ビートルズでもないのに、なんでこうなるの?何が起きてるんだ?」って思ったよ。そして初めて武道館で演奏したとき、突然巻き起こったような興奮とエネルギーのうねりにやられてしまって、僕らは全く新しい舞台に立たされた感じだった。その環境で僕らはこれまでとは違う人間になった。
ファンたちは美しい木や紙でできた玩具や人形、日本刀をくれて、僕らはあっという間にこの素晴らしい異文化に魅せられてしまった。そしてみんな優しかったよ。イギリス人はよそよそしくて冷たい傾向があるんだけど、日本の人たちは初対面でもあたたかく優しく、僕らに会って喜んでくれた。忘れることのない、信じられないような体験だった。」
親の世代は日本と戦争で敵対関係にあったわけだよね。初めて日本に行ったとき、父親は「日本に行ったんだって?大丈夫なのか?」って言ってたのを覚えてるよ。父親にとっては人生の大半がそういう争いに関わっていたわけで、複雑な気分だったに違いない。それで僕が日本でもらったプレゼントを見せたり、観客の声を聴かせたりしたら、彼の意見が変わってきて、日本がどれだけすばらしかったのかを理解してくれたんだ。
僕らの世代にとって、それは日本との新しい関係を作っていくことで、大切なことだった。僕は国際主義者で、今世界で起きていること−ナショナリズムが再び生まれていることや、その影響を心底嫌悪している。イギリスがヨーロッパから出て行くという考えも大嫌いだ。後戻りだと思っている。
僕は壁ではなく橋を作りたい。だからアメリカで起きていることも嫌いだ。だから僕はこれが世界にとって一過性のものに過ぎないことを願っているし、これを乗り切れば、世界を一つの惑星にする作業に戻ることができると思っているよ。世界のあちこちのコミュニティーが人類として一緒になる。それがすべてさ。」(全文

/辺野古基地といえば、落語家・立川談四楼(だんしろう)さんが、“ナイツ”の漫才をツイートで讃えていた。
→『ナイツがソフトにキツいシャレをかました。「沖縄の神社でおみくじを引くと凶しか出ないってね」「そんなことはないでしょう」「いや凶しか出ないの」「どうしてよ」「これ以上吉(基地)は要らないってね」偉いなあ、直球より変化球の効果を狙ったんだ。こういう形で安倍政権をシャレのめすといいよね。』
この、ブチのめすのではなく“シャレのめす”という言葉がツボった。弱者の側に立つナイツに敬意。
●1月3日…〔今日の良かった〕年末にNHKで再放送された『世紀を刻む歌2』でクイーンの名歌「ボヘミアン・ラプソディー」の歌詞を徹底検証していて見応えがあった!
1999年、イギリスで「過去1000年のベストソング(ミュージック・オブ・ザ・ミレニアム)」が60万人の投票で行われ、第2位がジョン・レノンの「イマジン」、第1位が「ボヘミアン・ラプソディ」に決定した。つい先月には、伝記映画のヒットをうけ「ボヘミアン・ラプソディ」のミュージック・ビデオ再生回数が「16億回」を超え、20世紀の楽曲で最も再生された楽曲に輝いた。
この曲を書いたフレディ・マーキュリーの本名はファルーク・バルサラ。1946年9月5日、人類発祥の地、アフリカ・タンザニア連合共和国のザンジバル(旧英国領)にてペルシャ系ゾロアスター(ツァラトゥストラ)教徒の家に生まれた。8歳でインド・ボンベイの寄宿学校に入学、学校の仲間とバンドを結成しオリジナル曲などを作り始める。16歳で故郷に戻るが、1963年に独立運動が起き、翌年一家は混乱を避けてロンドンに移住、フレディは17歳でイギリスの土を踏んだ。その後、美術学校に進み、絵画や服飾デザインで才能を発揮する。
1970年(24歳)、クイーンの前身バンド「スマイル」のヴォーカルでフレディの友人だったティム・スタッフェルがバンドを脱退。その後釜でフレディがスマイルに加入し、フレディの提案でバンド名が「クイーン」になった。フレディ自身も名字をバルサラからマーキュリーに改名。

「ボヘミアン・ラプソディ」がヒットした1975年は英国が最も暗い時代だった。60年代から続いたインフレと失業率上昇は「イギリス病」と呼ばれ、電力会社のストで週3日は停電、オイルショックで灯油は配給制となった。さらに爆弾テロや暴動も起き、イギリス全体が不況で出口のない暗闇に包まれていた。音楽シーンも小さなバンドがあるだけで殆ど死んでいた。音楽は明るいだけのつまらないものが多かった。
演出家デビッド・クリリィ「当時の音楽が退屈でつまらなかったのは、イギリス社会がそうだったからです。そうした社会への暴力的な反発から、暴動・デモ・ストライキが起こりました。だが、一番の問題は、人々の無気力と無関心。様々な価値が崩壊しました。“ボヘミアン・ラプソディ”はそうした状況を打ち破る革命的音楽だったのです」。※自分の国を「大英帝国」と威張っていたのに経済が破綻し、暗い時代だから明るい曲がいいとみんな思い、単純で退屈な曲が多かった。
この状況は、経済で世界を征服したがバブルは崩壊、終身雇用など信じていた価値観は崩壊し、再生の糸口が掴めない現代日本とそっくり。“明るいだけのつまらないものが多い”という音楽シーンも重なる。

クイーンの曲の大半は、曲名がそのまま歌詞に出てくるが、「ボヘミアン・ラプソディ」は6分もあるのに「ボヘミアン」が一度も登場しない。チェコ西部のボヘミア地方には古くから流浪の民族ロマ(ジプシー)が暮らし、習慣や規則に囚われない自由な生き方をしていた。それに憧れる芸術家たちは自らを“ボヘミアン”と名乗った。ボヘミアンは社会の主流から外れた人々。
フレディはアフリカで生まれインドで育ちイギリスに渡った男。当時はゲイに対する差別が強く家族にさえカミングアウトできず、宗教も英国では少数派のゾロアスター教。歌の中で「ママ、たった今人を殺してしまった」「ママ、泣かせるつもりはなかった」と懺悔しているのは、親からもらった名前を改名し、ゲイであることを受け入れるなど、本当の自分になるために過去の自分を殺したという説に僕は一票を投じたい。歌には「みんなと別れて真実と向き合うしかない」という決意表明も出てくる。

ティム・スタッフェルは「ボヘミアン・ラプソディ」をフレディの個人的な問題を歌ったものと解釈。曲中には“僕に石をぶつけて目にツバを吐くつもりだな”とある。「彼はこの歌で母親に告白したのかもしれない。自分がゲイであることへの宗教的偏見を」「“僕はこういう人間だ、気に入らなきゃ勝手にしろ”、これ以上自分を偽ることはしないと言ったのだと思う」。
デーモン小暮「移民ゆえのイジメがあったはず。(ボヘミアン・ラプソディからは)自分はみんなから仲間外れにされているけど、“今に見てろよ”“何とかなってみせるぜ”という強いメッセージを感じる」。
ペルシャ文化研究家ファルーク・ヴァジブダー「ゾロアスター教は選択の自由を認めた宗教。ゾロアスターは自分の教えの中から良いものを選べといっている(そしてフレディは改名)」「(歌に登場する)“スカラムーシュ”はイタリア喜劇の登場人物で人間の“葛藤”を表し、“ファンダンゴ”はスペインの踊りで抑圧された感情の“解放”です」「“ボヘミアン”は慣習にとらわれない人々、“ラプソディ”は感情的で自由な音楽の形式。2つをあわせることでフレディ自身の自伝的作品となった」

『ボヘミアン・ラプソディ』(6分)
(アカペラ・パート)これは現実か/それとも妄想か/地滑りにのまれたように現実から逃げられない/目を開けて空を見上げたらわかる/僕は貧しい少年、でも同情なんかいらない/いつだって気ままなもの、良いこともあれば悪いこともある/風がどちらに吹こうとも僕は気にしないのさ
(バラード・パート)ママ、たった今人を殺してしまった/銃を頭に突きつけ引き金を引くと彼は死んだ/ママ、人生は始まったばかりなのに、すべて駄目にして捨ててしまった/ママ、泣かせるつもりはなかった/明日僕が戻らなくても、どうかそのまま生きて、何ごともなかったように/もう遅い、その時が来た/背骨を震えが走り、ずっと体が痛い/さようならみんな、僕はもう行かなきゃ/みんなと別れて真実と向き合うしかない/ママ、死にたくないよ/いっそ生まれてこなきゃよかった
(オペラ・パート)1人の男の小さなシルエットが見える/スカラムーシュ、ファンタンゴを踊ってくれ/雷鳴と稲妻が僕を怖がらせる/ガリレオ、フィガロ、偉大だ!/僕は貧しい少年、誰も僕を愛さない/そう彼は貧しい少年、貧しい家庭の生まれ/彼をおぞましい運命から救ってやれ/気分次第で僕を助けてくれますか/神(ビスミラ=イスラム神)に誓ってお前は助けない−−助けてやれ!/お前は助けない!−−助けて!/ダメだ、ダメだ、ダメだ、ダメだ、ダメだ、ダメだ、ダメだ/ママ、お願い助けて/魔王ベルゼブブは悪魔を僕に用意している、僕に、僕に!
(ハードロック・パート開始)僕に石をぶつけて目にツバを吐くつもりだな/愛する振りをして野垂れ死にさせるつもりだな/オーベイビー、そんなことはできないぜ/出て行け、今すぐここから出て行け
(バラード・パート再開)でも、どうでもいい/みんな知っている/たいしたことではない/たいしたことではないんだ、僕にとっては/風がどちらに吹こうとも

ここには、シェイクスピアの「ハムレット」的な内面の衝突があり、同時に“風がどちらに吹こうとも”に「マクベス」的な達観もある。1985年5月に6度目の訪日ライブ。7月13日にライブエイドで伝説のステージ・パフォーマンスを行うが、1986年を最後にコンサートをしなくなった。翌年、エイズ感染を自覚したからだ(映画ではエイズ→ライブエイドの時系列になっている)。1991年11月23日、エイズと闘病していることを世界に発表し、翌24日午後7時に他界した。享年45歳。

「ボヘミアン・ラプソディ」が書かれた1975年当時、曲の長さは「3分以内」が基本だった。だがこの曲は倍の約6分という大曲。180ものトラックを駆使した多重録音の力作。リリース時、当たるわけないと思われていたが、結果は空前の大ヒットとなり、全英レコード史上初、ビートルズさえ成し得なかった9週連続第1位の記録を樹立した。様々な意味でマイノリティの流浪の民ボヘミアンであった彼は、ボヘミアンという逆境を力に変えて、音楽や文学のジャンルや形式を超えた革命的な歌を作った。
社会の主流から外れた人が、これ以上自分を偽ることはしないと誓う、そんな力強いメッセージを含んでいるからこそ、イギリス国民が千年のベストソングに選んだのだろう。

(おまけ)映画『ウェインズ・ワールド』で主人公たちがカーステレオでボヘミアン・ラプソディを聴くシーンがほんと楽しい!
●1月2日…〔今日の良かった〕オバマ元大統領が発表した2018年のお気に入り映画リストに、是枝監督のカンヌ映画祭パルムドール受賞作『万引き家族』の名前が!オバマ氏はお薦めの映画15本、音楽23曲、書籍29冊を紹介。その文章が良い。「自分の大好きな恒例行事として、今年のお気に入りリストを紹介します。リストを作っていると、自分を深く考えさせたり、インスパイアしたり、あるいは単にすごく大好きになったりした書籍、映画、音楽を通して、今年はどんな年だったのかを一呼吸おいてじっくり考えることができます。皆さんがすでにお馴染みの人もいるだろうし、中には全然聞いたこともない人もいるかもしれません。さて、これが私の2018年のベスト作品リストです。ぜひ、楽しんで読んだり、観たり、聞いたりしてほしい」。知的好奇心を刺激する、オフ会のような語り口。リンク先(rockinon)によるとラインナップは以下の通り。ライターさんが「さすがの趣味の良さ+レベルの高さ」と感嘆。

『万引き家族』(是枝裕和監督)
『アナイアレイションー全滅領域ー』(アレックス・ガーランド監督)
『ブラックパンサー』(ライアン・クーグラー監督)
『ブラック・クランズマン』(スパイク・リー監督)
『バーニング 劇場版』(イ・チャンドン監督)
『スターリンの葬送狂騒曲』(アーマンド・イヌアッチ監督)
『エイス・グレード』(ボー・バーナム監督)
『ビール・ストリートの恋人たち』(バリー・ジェンキンス監督)
『リーヴ・ノー・トレース』(デブラ・グラニック監督)
『ROMA/ローマ』(アルフォンソ・キュアロン監督)
『サポート・ザ・ガールズ』(アンドリュー・ブジャルスキー監督)
『Blindspotting』(Carlos Lopez Estrada監督)
『Minding the Gap』(Bing Liu監督)
『The Rider』(Chloe Zhao監督)
『Won't You Be My Neighbors?』(Morgan Neville監督)

今後の鑑賞作品の参考になるし、『万引き家族』を選んだオバマ氏が、他にどんな作品に胸を打たれたのか純粋に知りたい。マーベルのSFアクション『ブラックパンサー』が入っているのもナイス(最後の国連演説シーンが良い)。上記のリンク先には音楽と書籍のリストも掲載されています。
※こういうことがあると、是枝監督のカンヌ栄冠を徹底して無視して、一言も祝辞を贈らなかった安倍氏との差が際立つ。是枝監督が反安倍であっても、他国の大統領まで感動させる作品を生んだ是枝氏の映画人としての才能を讃える、そんな器の大きさを見せてほしい。国のトップなんだから。
今年のアカデミー賞は今月22日にノミネートが発表され、2月25日(日本時間)に授賞式が開催される。『万引き家族』が『おくりびと』に続くアカデミー外国語映画賞の受賞作品になるといいな。
●1月1日…新年明けましておめでとうございます!今年、当サイトは5月で20周年になります。そこで、数年前に一度チャレンジして数週間で頓挫した「今日の良かったニュース」を日記の冒頭に再び書くことにします!日記の出だしが良いニュースであれば、後に振り返って流し読みしたときに、「何だかんだいっても、世界は良い方向に向かってるじゃないか」と楽観的になれると思うんです。

〔今日の良かった〕
“世界は良い方向に”などと大風呂敷を広げておいて、いきなり私事のニュースになって恥ずかしいのですが、日本テレビの番組ホームページに告知が出たので「良かった」と言わせて下さい!1月16日(水)19時56分『1億人の大質問!?笑ってコラえて!』に“墓マイラー・カジポン”として出演します!新年1回目の2時間特番で、ゲストは菅田将暉さん、坂口健太郎さん、劇団ひとりさん。既に収録は終わっていますが、果たして“墓マイラー”がゴールデンタイムのお茶の間に受け入れられるのか、日テレの上層部で「バラエティー番組だぞ?新年早々、お墓巡礼は地味すぎるだろ。ボツ!」と裁定が下り、お蔵入りになりやしないかと正式な告知が出るまでドキハラしていました。下記の番組予告が出たので、たぶんもう放送中止の心配はないと思います。


愛あるおせっかい・お墓参りの真骨頂」という最後の一文が個人的にツボり、ディレクターさんは本質を捉えているなぁと。番組では、若い俳優さんが僕の半生を再現ドラマで演じるコーナーがあります。普通に生きていれば両親が芸術家や作家でない限り、なかなか文芸ジャンキーにはならんと思うのです。僕がどうしてこうなってしまったのか、いくつか「事件」があり、それらが赤裸々に再現VTRで描かれる模様…。僕はもう51歳ですし、失うものもたいしてないので、「カジポンはアホやなぁ」と大いに笑って頂ければ幸いです。
※番組前半は菅田将暉さんが「ダーツの旅」に初挑戦。アンタッチャブル山崎弘也さんのコーナー他があり、僕は番組後半で日本やフランスのお墓を案内します。

年に一度サイトのオフ会をしていますが、遠方の方はなかなか大阪まで来られないと思います。そういう方に、この番組を通して心の握手ができたらいいなと、「こんな人が文ジャンを作っているのか」と親しみを感じて頂けたら、そんなふうに願っています。

//それでは、本年もよろしくお願いします!!


●12月31日…今年も今日でおしまい。平成最後の大晦日。今年は(今年もか)自然災害が頻発し、我が家も6月の大阪北部地震でいろんなモノが壊れ、亡き父の形見として母が経営していた高槻市の碁会所は半壊し、退去勧告が出て店を閉じることに。いつか閉店したにしろ、まさか地震という形で、突然22年の歴史に幕を閉じることになるとは思わなかった。来年は1人でも多くの人が笑顔で1年を送られますように。

(芸能人と政治的発言 その3/ラスト)

今月20日のプーチン大統領の記者会見が強烈。北方領土交渉に関して、「返還した領土に米軍基地を作らないことが条件。だが、日本が決められるのか、日本がどの程度主権を持っているのか分からない」「沖縄県知事が基地拡大に反対しているが、(日本政府は)何もできない。人々が撤去を求めているのに、基地は強化される。みんなが反対しているのに計画が進んでいる」「日本は本当に主権国家なのか?」
元外交官・天木直人「日本は痛いところを突かれた。まさか辺野古を持ち出されるとは思っていなかったでしょうから、官邸も外務省も腰を抜かさんばかりの衝撃を受けたはずです。安倍首相は北方領土に米軍施設を置かないと言っていますが、プーチンは日本には決定権がないと切り込んだ。米国の言いなりで主権を行使できない日本とは、北方領土問題を含む平和条約の締結は難しいと突きつけたのです」。
「本当に首相がトランプ大統領と世界一仲がいいのなら、『武器をたくさん買うのだから、辺野古基地建設はやめよう』と言えば済む話です。それで、北方領土には米軍基地を置かないと明言してもらえば、ロシアとの交渉も進められます。ロシア疑惑で急所を握られているトランプ大統領は乗ってくる可能性がある。それができないのなら、首相が誇る米ロ首脳との信頼関係はマヤカシということです」。

〔その他、ローラさん関連の著名人の言葉〕

「松本人志、つるの剛士、小籔など、現政権にゴマをする政治的発言は「政治的発言」としてカウントされない。他方でローラさんのように現政権の目指す方向と違う発言をするだけで「政治的発言」としてテレビで吊し上げられる」(政治学者・五野井郁夫)
「ローラさんが「政治的発言」をすることによってCM出演などに影響が出るのではないか、という言説は「心配」しているふりをして「抑圧」しているだけ」(法政大学教授・上西充子)
「芸能人の政治的発言はタブーという考えはもう変える時代。別に政治家を倒そうということではなくて、この国をよくしたいという純粋さでは」(高木美保)

“元ネット右翼”文筆家の古谷経衡氏『ローラさんは真の愛国者である』
「(ローラを批判する人は)怒るポイントが間違っている。ようく考えて欲しい。日本人は戦後、余りにも米軍の存在になれすぎている。普通の国家には、自国軍より強い外国の軍隊が、首都圏に駐留している時点で「国家が占領されている」事とイコールである。しかし何故か彼らはこの厳然たる事実には全く何の関心も無く、中国と韓国の脅威のみを説く。日本に最大の労苦をもたらしているのは、物的に在日アメリカ軍である。日本には韓国軍や中国軍の軍隊施設はひとつも無い。私たちが声を上げる対象は誰なのか、言うまでも無くアメリカだ。なぜか去勢されたオオカミのように、彼らが牙をむくのはアメリカではなく「自分より劣等」ときめつけた中国と韓国も限局されている。…嗚呼、情けない」(全文

別記事での古谷経衡氏
「ローラさんの行動はすごくいいことだと思う。アメリカでもヨーロッパでも、芸能人が政治的な発言をするなんて当たり前。例えば2016年のアメリカ大統領選挙でも民主党寄りの芸能人や歌手たちが『ヒラリーさんを支持します』と発言しても、何も問題にならなかった。ヨーロッパでも『メルケルさんを支持します』『マクロンさんを支持します』と言っても何も問題ない。日本だけですよ。こんな問題が起きるのは。日本は50年遅れている
「こういう発言したら僕がスポンサーなら降ろしますなんて言っている人は、逆にローラさんが辺野古移設賛成派でも『偏っているから(スポンサーを)降ろすんでしょ?』って言いたい。でも、辺野古移設賛成派だったら降ろさないんでしょ。自分の意見と一緒だから。自分の嫌いな意見をローラさんが言ったから『俺なら降ろす』と言っている。公平じゃない」(リンク

村本大輔(ウーマンラッシュアワー)@WRHMURAMOTO
『リベラルな発言をした芸能人に「僕ならCMを降ろす」発言は芸能人だけじゃなくリベラルな発言を黙らせ、この国の声を「右だけのように」見せる。言論の自由は権力に対してある、スポンサーは芸能人には権力言論には言論なのに「おれなら降ろす」は権力が言論の自由を脅迫してるようにみえる。』
『不勉強だから政治的な発言控えてるって人、是非、テレビに出てる大学教授や専門家、評論家の名前SNSで検索して。1人残らずみんなどの発言でも「こいつはバカ」と言われてる。自分寄りの発言は勇気があって素晴らしくて逆の発言は、不勉強だ、でしかない。大丈夫。』

//それでは皆さん、良いお年を!!4月に発表される新元号、優しさがにじみ出るようなものがいいな。その元号を見る度に癒される的な。
●12月30日…(芸能人と政治的発言 その2)
デーブ・スペクター氏(以下敬称略)、西川史子、堀江貴文らはローラに向かって「もっとちゃんと勉強してから言うべき」と言い、一方で自分自身は「政治的発言をしてもOK」とドヤ顔。恐るべき自己評価の高さだし、そもそも「ローラは勉強していない」となぜ断定できるのか。ローラは28歳の女性であり、上から目線で彼女を馬鹿にしすぎ。「辺野古の美しい海を守りたい」という呼びかけを「不勉強」と冷笑し、一刀両断するこの3人は何様かと。
テリー伊藤が「(ローラが)辺野古の問題に関して言ったことは勇気がある」とかばうと、西川史子は「そんな勇気いらないですよ!おかしいですよ、それは!」と過熱。堀江貴文は「僕から批判浴びてボコボコにされることは覚悟してもらわないと」。見てられなかった。

番組内で、テリー伊藤、藤田ニコル、杉村太蔵、爆問太田がローラをフォローしていたのが救い。
テリー伊藤「西川さんは勉強不足って言うかもしれないけど、(ウーマンの)村本は最初に発言したときって勉強不足だった。彼自身もそう言っているわけね。でも、やることによって、どんどんどんどん彼なりのね、いろいろ考えているんだよ。だから、『勉強不足だから発言するな』っていうのは、すごく失礼な話ですよ! 誰しも勉強の途中なんだから」
藤田ニコル「ローラさんがつぶやいてくれたきっかけで、私もその問題を知ることができましたし、ローラさんいろいろつぶやいているじゃないですか。それきっかけで知ることがめちゃくちゃあります、若い世代にとっては」
杉村太蔵「民主主義ってさ、今あなたが思っていること、感じたこと、それを言う権利があるんだから!『解決策がないなら言うな』なんてまったく(間違っている)」。
太田「よく芸能人が政治的発言をするなって言うんだけど、とくに我々は時事ネタやってて『お笑いのくせに』とか言われるんだけど、全ての表現には政治的なメッセージが含まれている。ファッション業界だって動物の皮を使う・使わないとか、デザインを労働者風にするか、セレブ風にするか、ということで政治的なメッセージを使う。そんな業界にいるローラが、そういう意識を持つのは当たり前」

※現在CM契約社数13社のローラ。高須(クリニック)克弥は「僕がスポンサーなら降ろします」、テリー伊藤は「この程度の発言でコマーシャルを降ろす会社って何なの?」。
芸能人はイメージが命だがアメリカでは俳優やミュージシャンが支持政党を明言するのが普通。モデル・鈴木奈々「若い子たちが知ることができたり、興味ができたりするから、ローラちゃんすごいなって思いました」。
ちなみにローラは昨年1000万円をユニセフ(国連児童基金)に寄付している。ローラ「今こうして私がここに居られるのは、差し伸べてくれる手があったり、諦めないでいてくれた人たちがいたから。私も誰かのそういう手になりたいし、そのことを諦めたりもしたくない」。日本では7人に1人が貧困といわれているが、奨学金返済の金利は世界的に見ても異常に高いまま。彼女はユニセフのイベントに参加し寄付を決めた。
そのローラをネットでは「売名」「偽善者」とディスる人がいて、夕刊フジ(ZAKZAK)は「セレブ気取り」「迷走」とバッシング。まるで、自分のカネ勘定ばかりして、海外に隠し口座を作り、社会貢献など露ほども考えない日本の富裕層の方が誠実だと言わんばかり。現に困っている子どもがいるのに、寄付した人を「売名」と叩く感覚が分からない。

※以下、朝日の12/15社説から。この一年間の沖縄に対する官邸の冷酷な仕打ちが、時系列で分かりやすくまとめられたいたので紹介

『辺野古に土砂投入 民意も海に埋めるのか』(抜粋)
→政府の振る舞いはこの1年を見るだけでも異様だった。3月、辺野古の海底に想定していなかったマヨネーズ並みの軟弱な地盤が広がっていることがわかった。防衛省による地質調査で判明しながら政府は結果を2年間公表せず、情報公開請求でようやく明らかになった。そればかりか、8月末に県がこの問題に加え、他の違法行為や取り決め違反を理由に埋め立て承認を撤回すると、行政不服審査法を使って2カ月後に効力を停止させる挙に出た。
本来、行政によって国民の権利が侵害された場合に備えて設けられた手続きだ。それを持ちだし、県と政府(防衛省)の間の争いを、政府の一員である国土交通相に「審査」させ、政府に軍配をあげさせる。行政法の学者などから批判や抗議の声があがったのは当然である。
土砂投入にあたっても、県が「使われる土砂が環境基準にかなうものか、国が約束していた確認手続きがとられていない」などと指摘しても、政権は聞く耳をもたなかった。
中国や北朝鮮を念頭に、日ごろ「民主主義」や「法の支配」の重要性を説く安倍首相だが、国内でやっていることとのギャップは目を覆うばかりだ。
米国は、沖縄駐留の海兵隊のグアム移転に取り組むなど戦略の見直しを進めていて、「抑止力」をめぐる考えも変わってきている。状況の変化に目を向けずに、辺野古に固執し、県民の反感に囲まれた基地を造ることが、日本の安全に真につながるのか。国内外の専門家が疑義を寄せるが、政権は「思考停止」の状態に陥ったままだ。

無理に無理を重ねて工事を急ぐ背景に、来年の政治日程があるのは間違いない。2月に埋め立ての賛否を問う県民投票が行われる。4月は統一地方選と衆院沖縄3区の補選が予定され、夏には参院選も控える。それまでに既成事実を積み重ねて、県民に「抵抗してもむだ」とあきらめを植えつけ、全国の有権者にも「辺野古問題は終わった」と思わせたい。そんな政権の思惑が、土砂の向こうに透けて見える。
何より憂うべきは、自らに異を唱える人たちには徹底して冷たく当たり、力で抑え込む一方で、意に沿う人々には経済振興の予算を大盤振る舞いするなどして、ムチとアメの使い分けを躊躇(ちゅうちょ)しない手法である。その結果、沖縄には深い分断が刻み込まれてしまった。
国がこうと決めたら、地方に有無を言わせない。8月に亡くなった翁長雄志前知事は、こうした政権の姿勢に強い危機感を抱いていた。「日本の民主主義と地方自治が問われている」と繰り返し語り、辺野古問題は全国の問題なのだと訴えた。
沖縄に対する政権のやり方が通用するのであれば、安全保障に関する施設はもちろん、「国策」や「国の専権事項」の名の下、たとえば原子力発電所や放射性廃棄物処理施設の立地・造営などをめぐっても、同じことができてしまうだろう。
そんな国であっていいのか。苦難の歴史を背負う沖縄から、いま日本に住む一人ひとりに突きつけられている問いである。(明日に続く)
●12月29日…(芸能人と政治的発言 その1)
ホワイトハウスのHPには、1ヶ月で10万筆が集まれば、アメリカ政府がその内容を検討し60日以内に返答する仕組みになっている嘆願ページがある。安倍官邸が強行する沖縄米軍基地の辺野古埋め立てを止めさせるため、日本政府を通り越してアメリカ大統領に直訴しようという運動が12月8日から始まり(ハワイの日系四世が開始)、これを支援すべく「インスタグラム」のフォロワーが520万人(国内2位)もいるローラさん(以下敬称略)が「美しい沖縄の埋め立てをみんなの声が集まれば止めることができるかもしれないの。名前とアドレスを登録するだけでできちゃうから、ホワイトハウスにこの声を届けよう」と呼びかけた。
その結果、ラサール石井、茂木健一郎、塚本晋也、平野啓一郎、松尾貴史、村本大輔、りゅうちぇる、町山智浩、津田大介、内田樹、後藤正文(アジカン)、湯川れい子、うじきつよし、清水潔などが賛同を表明。既に目標の10万筆を超えて17万筆に達しており、期限の1月7日までにさらに増えるだろう。20万筆になれば署名ページのトップに表示されるときき、僕も署名した。
※ホワイトハウスのリンク先に名前とメルアドを入れ、受け取ったメールのURLをクリックするだけ!

このローラの呼びかけに対し、ワイドショーでは酷いバッシングがあり、自称知識人の大人たちがよってたかって彼女を口撃している。ツイッターでは百田尚樹がローラを「牝ガエル」呼ばわり。『サンジャポ』ではデーブ・スペクター、西川史子、堀江貴文が「CMタレントなのにリスクの高い発言はどうなのか」「ローラの立場を考えると(呼びかけの)必然性を感じない」「代案はどうなの」「解決策なき発言は無責任」とこき下ろしていた。
耳を疑った。シカゴ生まれのデーブであれば、米国の芸能人が政治的発言をバンバンすることは知っているはずだし、米社会もそれが当然と受け止めていることを踏まえ、日本の芸能界にはびこる政治的発言のタブー視を批判するものと思っていた。なんで欧米のタレントはセーフで日本はアウトと考えるのかデーブに聞きたい。

埋め立て賛成派が二言目には口にする「代案を出せ」について。これは、「もはや海兵隊を沖縄に置く戦略的な意味はない」と、とっくに結論が出ている。かつては仮想敵国の目の前に戦力を配置することが抑止力になっていたが、ミサイルが高性能化した現在、前線への戦力配置は初戦で壊滅するリスクが高く「悪手」と認識されている。
中国は中距離弾道ミサイルDF21や巡航ミサイルDH10などミサイル攻撃能力を向上させており、射程距離内にある沖縄の基地は危険。それゆえ、米国は海兵隊9000人を、沖縄から安全なグアムやハワイなどに移転させる計画を立てた。その方が東シナ海、南シナ海、インド洋を扇状に幅広くカバーできるメリットもある。
米シンクタンクは2015年の報告書で、米中が衝突した場合、中国は嘉手納基地を叩き、同基地を何週間も閉鎖に追い込むと予測。この意味からも、普天間の代替施設を同じ沖縄本島の辺野古に作るのはナンセンス。

先月、ブッシュ(子)政権で米国務長官の首席補佐官を務めたウィルカーソン元陸軍大佐が「沖縄の海兵隊駐留に正当な戦略上の必要性はなく、日本政府が多額の経費を負担してくれるから駐留している。在沖海兵隊は米国内より経費が半額で済む」と発言。氏は海外米基地再編の専門家。そして、多額の費用を投じて辺野古の海に滑走路を造ることは、今後の海面上昇や津波を念頭に「馬鹿げている」と強調。仮に朝鮮半島で有事が起きた際でも在沖海兵隊の派遣は「戦闘が終わってからしか現地に到着しないだろう。60万人の韓国軍にとって微少な追加(約1万8千人、グアム移転後はその半数)でしかなく、戦略的理由はない」といい、「米国の太平洋地域での国防戦略で本当に重要なのはハワイだけだ」と断言
米軍の元高官が沖縄の海兵隊駐留に「戦略的な必要性はない」と公言しているのに、執拗に代替案を求めるのは現実逃避だ。あくまでも代替案が欲しいなら、玉城デニー知事が既に「普天間飛行場は(移転ではなく)閉鎖・返還。代わりに新しい場所を作れというなら、どうぞ日本政府が全体的に考えてどこに持っていくか考えて下さい。多くの国民がいらないというなら、アメリカに引き取っていただく」と示しており、これしかない。国民投票をして、最も米軍基地が必要とする票が多かった県に移設すればいい

辺野古基地賛成派のデマで頭に来るのは、官邸や百田尚樹らがやっている議論のすり替え。百田氏はツイートで「私も辺野古移設反対の署名活動をして、普天間基地の固定化を推進するか」と書いているが、ローラさんも、そして辺野古基地反対派も、「普天間基地を固定しろ」なんて思っていない。保守右派が勝手に「辺野古か普天間か」と官邸が決めた二者択一の踏み絵を差し出し、「辺野古反対なら普天間固定」と決めつけているだけ。菅官房長官は「普天間飛行場の危険性除去をどう進めていくか、ここは極めて重要な問題だと思う。固定化は絶対に避けなければならないはずだ」と、他の「県外への移転」「基地撤収」という選択肢を一方的に排除している。

っていうか、一部保守はこういうときだけ「危険な普天間を放置していいのか」と普天間を気にする素振りをするけど、過去に普天間の近くにヘリから落下物があると「自作自演」だの「基地の近くに住む方が悪い」など、さんざん被害者叩きをしていたし、政府だって落下物の原因究明が終わってないのに同型機の飛行が再開されてもダンマリで、小学校の上空通過すら止めようとしない。ダブル・スタンダードすぎる。
辺野古基地反対派を「お花畑」と嘲り、普天間撤去が進まないのを「お前たちのせいだ」となすりつける前に、海兵隊の沖縄駐留に戦略的意味はないという事実に沿った議論をしてほしい。国会で事故原因を追及していた野党議員に、自民・松本文明内閣府副大臣(当時)が「それで何人死んだんだ」とヤジを飛ばしたこと、反対運動をしている市民を「土人が!」と罵倒した大阪府警機動隊員と、隊員を擁護した松井大阪知事、ぜんぶ沖縄軽視で繋がっている。(明日に続く)

//韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされる問題。合同演習をする仲の国をロックオンしたらアカンやろ、という気持ちと、「なぜカチンと来て照射したのかも考えんと」という気持ちと。ネットでは「韓国許すまじ!」と息巻いている人が多い。町山智浩さんのツイッター「日韓の軍事衝突でどの国が得するのか考えた?」に同意。
●12月28日…『日銀の株式買い歯止めなく、過去最高6.5兆円』。世界的に株安が進むなか、大納会(=取引所で1年の最終の立会)の本日、日経平均株価20014円という超ギリギリで2万円割れを逃れた。だが、これはアベノミクス失敗というイメージの年越しを避ける為であり、日銀黒田は今日だけで715億円もの株式を買い取っている。その資金は、過去の政権が禁じ手として運用枠を抑えていた国民の年金。安倍氏は年金を株にガンガン投入できるようルールを変えた。
2018年の日銀による投資信託を通じた株式の買い上げ=上場投資信託(ETF)は「6兆5000億円」と過去最高を更新。これまで最高だった昨年の5兆9033億円を約10%上回り、買い入れ額のメドと言っていた6兆円を大きく超えた。主要国の中央銀行はどこもやっていない異常な政策。いつか必ず下がる株に年金を入れるなど狂気染みている。日銀による株の買い支えによって、株式市場が正常に機能しておらず、将来の損失リスクも危険水域に。

2018年は夏場以降に株価下落が進んだが、9月20日に自民総裁選があったせいか、買い入れが増加。日経平均が2200円近く下がった10月は月間買い入れ額が過去最大の8700億円となった。
かつて、日銀による株の買い支えはタブーだった。民間の企業活動の舞台である株式市場に政府が介入すると、企業の本当の体力も実体経済も分からなくなる。公正であるべき資本主義のルールにも反している。だが、2010年12月、リーマン・ショック後に日経平均が1万円を下回ったため、民主党菅政権が当時の日銀・白川前総裁に指示してETF買い入れを開始した。ただしこれは投資家不安を和らげることが狙いであり、あくまでも年間1兆円を上限とするものだった。

だが、第二次安倍政権の指示を受け、2013年3月に就任した黒田総裁は買い入れ枠を拡大。株価が上昇し始めた時点で買い入れを止めるべきだったのに、年金を溶かして買い入れ枠を拡大、ついに「年間約6兆円」をオーバーした。どうすんのこれ…。2010年以前の株式市場では皆無だった事態。国民は幻の「官製相場」を見て、「株が上がった!」「さすが経済の安倍首相」と言ってるけど、どの総理がやっても、というかタラちゃんが総理でも、同じことをすれば株価はあがる。年金で株を買うだけの単純なこと。

既に日銀のETFの保有残高は時価25兆円に達し、日銀が実質的大株主となる企業が続出。上場企業の約4割で上位10位以内の大株主になり、うちイオンなど5社では実質的な筆頭株主に。ユニクロの浮動票の7割を日銀が所持。これでは企業価値が株価へ適切に反映されず、どんどん市場が歪んでいく。保有株を売却すれば暴落するため日銀が持ち続けるしかない。株価が急落すれば日銀は含み損で債務超過のリスクを抱える。前日銀審議委員・木内氏「簿価(取得額)から3割余り株価が下がれば、日銀の自己資本はほぼ無くなる。常に爆弾を抱えているようなもの。買い入れを減らす方向に正常化すべき」。

「世界の年金基金トップ20」は1.2兆ドル(約140兆円)を運用する日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が首位。2010年からずっと連続で第1位であり、日本の年金基金は世界一のギャンブラー。世界中の全年金基金の運用資産の43.2%を日本が占めているクレイジーさ。安倍氏に聞きたい、出口戦略はあるのかと。
罪深いのはこれを積極的に伝えないマスコミ。次の政権が「株式市場を健全な状態に戻すため、日銀の爆買いをやめる」と言った瞬間に外国人投資家の投げ売りが始まり、大暴落は避けられない。そのとき、世間の人々は「安倍首相の頃は良かった」となる。「いや、あの頃の相場は政府によるインチキな官製相場だよ」と言っても、ニュースに関心がない人に届かない。その未来が見えるだけに悔しい。
●12月27日…日本はどうしようもないブラック企業支援国家ということか。
企業の不正を通報する内部告発者のことを「公益通報者」という。公益通報者が経営者から報復(解雇)されないよう、欧米では通報者を守る法律がある。そもそも、行政には通報者の氏名を漏らさない義務があるため、特定される心配がない。ところが、日本では行政に訴えると「おたくの従業員の○○さんが、こんな内部告発をしていますよ」と役所から経営者に個人名を伝える事案が発生した。
他にも、2002年、富山の運輸会社の社員が、内部通報に対する報復で26年間にわたって草刈りや布団の整理などの仕事しか与えられず、昇進もない不当な扱いを受けたとして裁判を起こし、2005年には金沢大付属病院の医師が内部通報に絡んで不当に診療行為を禁じられたことから裁判を起こした。
内部通報者を守るべきだという声が高まり、2006年、ようやく『公益通報者保護法』が施行されたが、この法律には内部通報者への企業側の報復に罰則がなく、結局は「通報がバレたら解雇される」という不安が労働者に残った。実際、内部通報者が不当な扱いを受けたとして裁判を起こしたケースは法律の施行から少なくとも29件にのぼっている。消費者庁の専用窓口にも、内部通報の報復を受けたという相談がここ5年間で323件も寄せられ、解雇されたり解任されたりしたという相談が26.7%を占めている

神戸製鋼所のデータ改ざん問題、日産自動車の検査システムでの法令違反、三菱自動車のリコール隠し、マツダ、スズキ、ヤマハ発動機のデータ改ざんなど、近年はこれまで“ものづくり大国”を自認してきた日本の大手製造業で次々と不祥事が起きている(改ざん問題が起きていない自動車メーカーはトヨタとホンダだけ)。東電原発の自主点検記録改変、東洋ゴム工業、旭化成建材、KYB(大手油圧器メーカー)、東レ子会社の品質データ改ざん、枚挙にいとまがない。
これらは、いずれも内部関係者の情報提供によって発覚したもの。勇気ある内部告発者はヒーローなのに、日本では「裏切者」の烙印を押され、解雇されたり“懲罰人事”で左遷されるケースが少なくない。
欧米先進国のように告発者の保護を強化する法改正の必要性が叫ばれ、この声におされて安倍政権が選んだ専門調査会は今年1月から法改正について議論を重ねてきた。昨日26日にその報告書がまとめられたが、内容は「内部通報者を不当に扱った企業が勧告に従わなかった場合、名前を公表する」というユルユルなもの。最大の懸案だった報復に対する罰則の導入は、「企業の反対の声が大きい」として見送られた。何とも日本らしい結末に脱力。「反対の声」って通報者に報復する気満々じゃないか。これでは報復はなくならない。

日産の件があったにもかかわらずこういう結論を出すことが信じられない。官邸が集めた専門調査会メンバーは、ブラック企業を守るブラック調査メンバーだった。専門調査会の座長代理を務めた明治大学の柿崎環専任教授は、「今の日本は罰則化を取り入れるのが厳しい風潮だったため、導入できなかった」と弁明したが、国民の大多数は誰も罰則化に反対していない。「今の日本」=経営者っておかしいだろ。労働者保護の法律なのに、報復する側に聞いてどうするだ。ほんと腐ってる。やましいことがなければ罰則化に賛成しろと。内部通報されたら困ることをやってる会社がそれだけ多いってこと?政権に関していえば、森友、加計関係者に「告発した奴には報復するからな」という脅しになっている。
「有名日本企業がデーター改ざんを何十年も当たり前のようにやってる、日本製品が優秀だなんて都市伝説」、そんな認識が世界に定着すれば、結局は国レベルでダメージをくらうのに、経営者も官僚も目先の利益しかみていない。日本の労働生産性は地を這ってる。モチベーションが上がらないのは、こういう根本的な部分にあるのに、解決しようとしない安倍官邸に政権能力なし。っていうか、こんな酷い展開になっているのに当の国民がおとなしすぎる。日頃、「愛国的」であるかどうかにこだわってるネット民が、この件でほぼダンマリなのも違和感。ブラック企業にこんなに甘い国でいいのか。
●12月26日…日本政府が国際捕鯨委員会(IWC)からの脱退を表明。反捕鯨国の世論を押し切って、今後は沿岸での商業捕鯨を再開していくという。水産庁が公表した「平成28年度食料需給表」によると、現時点で年間の供給量は4000トンあり、これに対する需要は3000トン、つまり1000トンが余っている。国内の鯨肉消費はピークだった1960年代の20分の1程度。今でさえ、供給オーバーである上、鯨肉は以前より流通が減っているのに価格は値上がりしていない。無理をして商業捕鯨を再開する必要はない。っていうか、ノルウェーはIWCに加盟したまま独自に捕鯨枠を設けて商業捕鯨を行っているんだから、わざわざ脱退しなくてもいいのに。
専門家はIWC脱退で逆に鯨肉の生産量が減る可能性を指摘している。なぜなら、南極海や北西太平洋でおこなってきた調査捕鯨が国際法上できなくなり、さらにIWC加盟国のノルウェーやアイスランドからの輸入も不可能になるからだ。

…僕の世代は小学校までギリギリ鯨肉を食べていたので多少愛着はある。固いがそこそこ美味しい。また、「鯨は知能が高いから殺すな」という意見は、牛や豚の知能の高さを無視している。日本の文化を守るのは大切。だがしかし、人間よりはるかに巨大な生物を前にして畏怖を感じる気持ちはよくわかるし、ホエール・ウォッチングは世界で大人気。極北の先住民と異なり、鯨肉の他にも食べ物はたくさんある。国際社会の過半数が「鯨を殺さないで」と訴えているのに、話し合いのテーブルを蹴って背を向けるのは印象が悪すぎる。今回のIWC脱退を主導したのは選挙区が捕鯨と縁の深い和歌山の自民党・二階幹事長。選挙戦に向けての“仕事してます”アピールで、国民全体を巻き込むのはやめてほしい。豪州やEUでは日本製品ボイコットの呼びかけが始まっており、失うものが多すぎる。
「国内の鯨肉消費量は激減し、既に大量の在庫を抱えている。現状では商業捕鯨に転換することのメリットは見えづらい」(北海道新聞)
「商業捕鯨になれば、調査捕鯨のように政府が補助金を出すことは難しくなり、鯨肉の市場価格が上昇しかねない」(中国新聞)

/今日メモった言葉「偽りを述べる者が愛国者とたたえられ、真実を語る者が売国奴と罵られた世の中を、私は経験してきた」(三笠宮崇仁※昭和天皇の末弟)
●12月25日…平成最後の天皇誕生日の記者会見約16分は、陛下が万感の想いを込められた、とても感動的なものだった。特に、沖縄、戦争、皇后さまについて語られる際は、思いの深さから陛下が涙声になる場面も…。

陛下「昭和47年(1972)に沖縄の復帰が成し遂げられました。沖縄は、先の大戦を含め実に長い苦難の歴史をたどってきました。皇太子時代を含め、私は皇后と共に11回訪問を重ね、その歴史や文化を理解するよう努めてきました。沖縄の人々が耐え続けた犠牲に心を寄せていくとの私どもの思いは、これからも変わることはありません
先の大戦で多くの人命が失われ、また、我が国の戦後の平和と繁栄が、このような多くの犠牲と国民のたゆみない努力によって築かれたものであることを忘れず、戦後生まれの人々にもこのことを正しく伝えていくことが大切であると思ってきました。平成が戦争のない時代として終わろうとしていることに、心から安堵しています。」
※この会見の6日前、安倍政権は沖縄辺野古の珊瑚礁に基地建設の土砂投入を始めた。陛下はそれを念頭におき、心を寄せていると強調されたのだろう。

※2015年、陛下は終戦日に「さきの大戦に対する“深い反省”と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い」と、戦没者追悼式において史上初めて「反省」という言葉を盛り込まれた。また、同年の誕生日会見では「満州事変に始まる戦争の歴史を十分に学び、今後の日本のあり方を考えていくことが、今、極めて大切なことだと思っています」と声明。多くの日本人にとっての戦争は米軍の大空襲であり原爆だが、陛下はそもそもなぜそんなことになったのか、真珠湾攻撃よりもさらに遡って、1931年に中国東北部で日本軍が自作自演テロによって戦端を開いた「満州事変」に言及され、そこから戦争全体を考えよと促された。満州事変は15年に及ぶ日中戦争の発端であり、この戦争を続けるために資源を求めてアジアを南下し、米軍との開戦に至った。満州侵略に反対し「日本は中国から手を引くべき」と持論をもっていた犬養首相は急進派将校たちに暗殺された(五・一五事件)。
満州事変以降、大陸の日本軍は(1)天皇の裁可がなくても(2)陸軍中央の許可がなくても(3)内閣が反対しても、勝手に戦線を拡大していく。日本が「白人からのアジア解放」をスローガンに掲げだしたのは1940年7月からであり、南京攻略の3年後だ。陛下が「正しく伝えていくことが大切」と語られるのは、「アジア解放」は後付けの理由であり、満州事変から始まったあの戦争を美化するなという事と僕は受け止めているし、そうとしか思えない。

「今年、我が国から(ブラジル等)海外への移住が始まって150年を迎えました。(略)日系の人たちが各国で助けを受けながら、それぞれの社会の一員として活躍していることに思いを致しつつ、各国から我が国に来て仕事をする人々を、社会の一員として私ども皆が温かく迎えることができるよう願っています。また、外国からの訪問者も年々増えています。この訪問者が我が国を自らの目で見て理解を深め、各国との親善友好関係が進むことを願っています」
※外国人排斥を訴えるレイシストに100回聞かせたい言葉。

「天皇としての旅を終えようとしている今、私はこれまで、象徴としての私の立場を受け入れ、私を支え続けてくれた多くの国民に衷心より感謝するとともに、自らも国民の一人であった皇后が、私の人生の旅に加わり、60年という長い年月、皇室と国民の双方への献身を、真心を持って果たしてきたことを、心から労(ねぎら)いたく思います」
※皇后さまへの愛情のこもった感謝の言葉。多くの国民の胸を打った。

「新しい時代において、天皇となる皇太子とそれを支える秋篠宮は共に多くの経験を積み重ねてきており、皇室の伝統を引き継ぎながら、日々変わりゆく社会に応じつつ道を歩んでいくことと思います」
※秋篠宮文仁親王は、この前月の平成30年11月22日、自身の誕生日(11/30)に先だって秋篠宮邸で行われた記者会見で「宗教色が強い大嘗祭(だいじょうさい)に公費支出をするべきではない」「身の丈にあった儀式を」と、政府方針と違う異例の提言をされ、「宮内庁長官らに伝えたが聞く耳を持たなかった」と踏み込んだ発言をされた。「大嘗祭」は天皇の代替わりに伴う皇室行事であり宗教色が強い。
秋篠宮「(即位の礼は国事行為で行われるが)大嘗祭については、これは皇室の行事として行われるものですし、ある意味の宗教色が強いものになります。その宗教色が強いものについて、それを国費で賄うことが適当かどうか、これは平成のときの大嘗祭のときにもそうするべきではないという立場」
「宗教行事と憲法との関係はどうなのかというときに、それは、私はやはり内廷会計で行うべきだと思っています。大嘗祭自体は私は絶対にすべきものだと思います。ただ、そのできる範囲で、言ってみれば身の丈にあった儀式にすれば。そのことは宮内庁長官などにはかなり私も言っているんですね。ただ、残念ながらそこを考えること、言ってみれば話を聞く耳を持たなかった。そのことは私は非常に残念なことだったなと思っています」。

政府は2019年の大嘗祭関係費として27億円の公費支出を決定。皇居・東御苑に新造される「大嘗宮(だいじょうきゅう)」の設営費関連だけで19億円かかる。この「大嘗宮」はただ一度だけ使用され、解体・撤去される。秋篠宮は代替案として、新嘗祭(にいなめさい/収穫の感謝祭)が行われ、国中の神々をまつる宮中の神殿「神嘉殿(しんかでん)」を使うことで大幅に費用を抑え、それを天皇家の私費で賄うという具体案を、宮内庁の前長官にも、現在の山本信一郎長官にも示していた。
「大嘗宮を建てず、宮中にある神嘉殿で執り行っても儀式の心が薄れることはないだろう」「天皇の代替わりに伴う諸行事は国民の理解のもとで執り行われるべきだ」「公費支出はなじまない」と繰り返し意見を述べてきたが、宮内庁はとりあわなかった。

皇族が関わるものには、国事行為で行われる行事と皇室の行事があり、国事行為については意見を言えないが、皇室の行事にはある程度の考えがあっても良いと思う。いまだ被災地で年越しをする人がいるなか、お言葉の「身の丈にあった儀式」は国民目線に近いものだと思う。政府、宮内庁は提言に耳を傾けてほしい。
●12月24日…昨日23日のお昼のNHKニュースがグッジョブすぎる。フィンランド国営放送が撮影した、北極圏ラップランドからサンタが出発する激レア映像をオンエアしてくれた!
ウチの子は9歳。非常に微妙な年頃だ。たぶんギリギリ。学校でクラスメートから国家機密を聞かされるのは時間の問題だ。
彼いわく「節分の鬼はうそだし、ウルトラマンの怪獣には人間が入ってるけど、サンタは本当にいる」。とはいえ、内心では信念が少しグラついているかも知れない。確証が欲しいはず。

そして今回NHKが流したニュース映像は、(1)サンタが小屋から出てくる(2)ソリに荷物を積む(3)トナカイにひかれて大雪原を疾走!それを圧巻の空撮!
さらにアナウンサーの解説が実にリアルで、
「今年は大雪で交通が混乱する恐れもあることから、時間に余裕を持って例年より2日早く出発しました」
「旅が順調に進めばクリスマスイブの夜から翌朝にかけて、世界各地の子どもたちの元にサンタクロースが訪れます」
と迫真のレポ。
ソリに荷物を積み込むサンタクロース

広大なラップランドの雪原を行く
※素晴らしいドローン撮影
「今年は大雪で交通が混乱」と懸念 「時間に余裕をもって例年より
2日早く出発」と解説
子どもはテレビ画面を食い入るように見つめ
「すごい!ニュースで決定的瞬間を見た!サンタが出発してた!」と存在を確信。
そして「フィンランドは遠いからなぁ、2日早く出発する必要があるんやなぁ」と、納得の表情。
ありがとう、フィンランド国営放送!ありがとう、NHK!
●12月23日…グランフロント大阪で開催中の『マーベル展』、人、人、人でびっくり。入場制限までやっていた。マーベルヒーローのアメコミ原画や、映画『アベンジャーズ』などで使用された実物コスチューム、歴代アイアンマン・スーツなどが展示されていた。イヤホンガイドのおかげで小学生の子供も楽しそうだった。75年以上の歴史を誇るマーベルコミックスが生み出してきたキャラクターは8000人以上にもなる。単純な正義VS悪ではなく、アイアンマンことトニー・スタークはストレスからアルコール依存症になって町をさまよい、キャプテン・アメリカはアメリカ政府の腐敗を目にして盾を返上、スパイダーマンはドラッグ問題を扱うなど時事問題も取り込む。展覧会の最後に先日急逝した原作者スタン・リーの追悼コーナーがあり、多くの人がメッセージを書いていた。来年3月に公開される『キャプテン・マーベル』が楽しみ。

//おお〜、近所のケーキ屋さん、イチゴが雪だるまチックなサンタに!イチゴを切ってホイップを挟むだけ。家庭でも簡単にできるね。

 
●12月22日…本日のオフ会に参加された方、朝10時から夜10時まで本当にお疲れさまでした!参加者22名、関西以外の参加者は東北の宮城、四国の高知と愛媛、それから東京、富山、愛知、三重の方が。最遠という意味ではイタリア・シエナ在住の日本人声楽家の方がおられました!
プレゼン内容は、王道の映画、音楽、文学、絵画、漫画のほかに、日本刀、気功、競馬(!)など近年で最もバラエティに富んでいた気がします。音楽でも古代シュメールの世界最古の音楽とか。後日、レポートで報告します。自分が知らないジャンルのプレゼンは、めっさ知的好奇心が刺激されますね。プレゼンされた方、まっこと有難うございました!
※“競馬はアート”プレゼンの方が、最後に紹介された“笑撃”のレース動画はコチラ(3分)です。京都バイオレットステークスの1400mダート。暴風雪で何も見えなくてもアナウンサーは見事に実況!
●12月21日…いよいよオフ会まであと1日!クイーンを大ボリュームで聴きましょう!劇場公開中の『ボヘミアン・ラプソディー』、ほんと素晴らしい作品で、ライブエイドの再現シーンは鳥肌モノでした。今年の3本の指に入る作品!
●12月20日…初めての試みですが、近畿日本ツーリストさん&月刊石材さんとのコラボで『偉人墓巡礼ツアー フランス・パリ6日間』を企画しました!僕が同行&熱血ガイドします。期間は来年3月25日から30日で、パリ滞在4日の間に、ショパン、ボードレール、ビゼー、ドラクロワ、スタンダール、バルザック、ユゴー、モジリアニ、ハイネ、サルトル、ドガ、ジム・モリソン、ナポレオン、トリュフォー、ニジンスキー、キュリー夫妻、エディット・ピアフ、ヴォルテールなど約60人を墓参!さらにルーブル美術館やセーヌ川クルーズ、市内観光(凱旋門やエッフェル塔)もセットの“欲張り全部載せ”。定員25名、1月末までに15名以上の申込みがあれば実施します。旅費は38万ですが、春休みの航空運賃が高い時期であり、現地の貸し切りバス、宿代などを入れると、この値段でカツカツです。旅行会社さんもこれで利益を得るというより「文化事業」として企画しており、興味ある方は是非。日程や墓参者リストはリンク先に!

//オフ会まであと2日!初参加の方、大歓迎です!
●12月19日…発売中の『音楽の友 1月号』に「世界音楽家巡礼記(22)」を寄稿。今回は「ヴァイオリンをめぐる巨星たち」と題し、伝説のヴァイオリン製作者ストラディバリ、天才ヴァイオリニストのパガニーニ、ダヴィッド・オイストラフ、ユーディ・メニューイン、ヘンリク・シェリング、アイザック・スターンの5人を一挙紹介。メニューインの墓石には「彼はこの世で音楽を生み出し、来世でも音楽を生み出す」と彫られ、シェリングの墓石にはバッハ「シャコンヌ」の最後の3小節が刻まれていました!
公園の片隅に大ストラディバリ
(伊クレモナ)
悪魔伝説で教会に埋葬拒否
されたパガニーニ(伊パルマ)
墓になっても演奏している
巨匠オイストラフ(露モスクワ)

バッハ「シャコンヌ」のラストと
人生の終わりがリンクしたような
シェリングの墓(モナコ)
●12月18日…先日のBS『マジックアワー ゴッホが描いた空の光』で紹介された、絵が売れず八方塞がりのゴッホが書いた晩年の手紙が胸に迫った。

「母上様へ。僕にとって人生は孤独のまま続くのかも知れません。絵の仕事はそれ自体ひとかどの何かです。昨年僕はどこかで読みましたが、本を書いたり絵を描いたりするのは、子どもを持つのと似ているというのです。それだからこそ、この仕事がまるで理解されないということになっても僕は精一杯努力しているのです。それは僕にとって自分の過去と現在を結びつける唯一の絆となっています。」

その後、ゴッホが自殺したとき、ズボンのポケットに短い手紙があった。
「僕は自分の絵のことだけしか語れないのだ。だが、どうすればいい」。
●12月17日…フィンランドの作曲家シベリウスの作品を聴きたおす。彼が作曲家の道を歩み始めた頃、フィンランドは帝政ロシアの圧制下にり、民衆にとって祖国独立が悲願だった。シベリウスはフィンランドの神話や民謡をベースに郷土色の濃い音楽を書き、代表作となった交響詩『フィンランディア』(8分35秒※圧政を倒して解放へ、そんなメロディー)は、「独立運動を刺激する」という理由でロシアが演奏禁止にした。彼は芸術家として自分に厳しく、「満足のいかない作品は発表できぬ」と、最後の30年は苦闘の日々を送り新作をまったく出せなかった。

〔お薦め曲〕
カレリア組曲(16分)3曲で構成、そして全曲ハズレなし!演奏時間も手頃。シベリウス28歳の作品。
・交響曲第1番の第2楽章以降(38分)歌心が爆発。魅力的な旋律がいっぱい。
交響曲第2番(40分)ベルグルンド指揮ヘルシンキ・フィルの名盤。クライマックスの充実感がやばい。大傑作。
・交響曲第5番の終楽章のここから最後までの約10分(バーンスタイン指揮の動画)が最高!気がつけば繰り返し再生している、中毒性のあるメロディー。どハマリ

〔小品〕
組曲『恋人』(13分)気合いの入った動画で映画を一本観た気分になった
交響詩『吟遊詩人』(8分14秒)ハープが効果的に使用されている
『アンダンテ・フェスティーヴォ』 (4分37秒)シベリウス本人のお気に入り曲

//オフ会まであと5日!全力でプレゼン資料を作成中。
●12月16日…『西郷どん』最終回、滝泣きするつもりでスタンバイしていたのに、西郷の最期が通説と違い過ぎてキョトン。史実とされているのは…

最後の突撃で西郷は股と腹を撃たれる→腹を撃たれ自分で切腹できない→同志の別府晋介に「晋どん、晋どん、もう、ここらでよか」と言い介錯を頼む→半次郎ら仲間が見守るなか、東(皇居)に向かって遥拝→別府「ごめんなったもんし(お許しください)」と叫んで首を打つ→敵に西郷先生の首を取られないよう土中に埋めて隠す。

子どもが見るゴールデン帯で映像化できないという判断だろうけど、大河『翔ぶが如く』では西田敏行扮する西郷をロングショットで後方から撮影し、首が落ちるシーンをはっきり映していた。
別にことさら残酷なシーンを見せろと言っているのではない。実際にあったことは、誤魔化さずそのまま伝えることが歴史教育では大事と思うんだ。この時代の日本はこういう戦いをしていた、それでいいじゃないか。
大久保利通の暗殺もめっちゃ違和感。史実では大久保は頭を割られ、横たわる体に刀が垂直に突き立てられたまま放置、さらに馬車の御者が巻き込まれて死んでいる。そこまで士族の恨みは骨髄に達しており、それを描くことで大久保の哀しさ(理解されない悲劇)も伝わるのに…。『西郷どん』の御者は襲撃されてるのに、逃げることもなく座ったまま。寺田屋事件はあれほど真に迫る描写をやったのになんでこんなフワフワに…。
でもまぁ、史実にこだわらなければ、最終回はあれはあれで感動的だったと思う。西郷と大久保の怒濤の回想シーンは胸に来た。モヤモヤは残るけれど、一年間とても楽しい時間を過ごさせてくれた番組スタッフに感謝。鈴木亮平さんと瑛太さん、熱演ほんと素晴らしかったです。DVDで史実バーションの別エンドの特典映像を撮ってくれたら最高なんだけど…。
●12月15日…さあ、オフ会まであと1週間!君のッ!好きなアートをッ!聞かせて欲しいッ!!(☆。☆)
●12月14日…本日とうとう沖縄辺野古の海に土砂が投入される。その量は東京ドーム17杯分に達する。海に珊瑚の一度土砂が投入されると二度と元に戻らない。辺野古新基地建設の是非を問う県民投票は来年2月24日。あと2カ月、なぜその結果を首相は待てぬ。県民投票があるから先に最後の一線を越えるのか。ほんと酷い。
●12月13日…『銀河英雄伝説』の旧アニメシリーズはBGMにクラシックを使用していたので、名シーンにかかっていた音楽は、それがマイナーな作曲家の作品でも繰り返し聞くことで自然と好きになっていった。その典型がデンマークの作曲家ニールセン。正直、劇場版の銀英伝を見るまでニールセンの名前も曲も聞いたことがなかった。銀英伝のおかげで「ニールセン」という言葉を見聞きすると「“あの”ニールセンか、ちょっと聴いてみようかな」となった。最近よく聴くのは…

『交響曲第1番』(33分)。ニールセン27歳の作品。若々しさに満ち溢れている。牧歌的な第2楽章が美しい。ニールセン節ともいえる、炎や蜃気楼がユラユラとするようなトレモロの旋律が第3楽章に早くも登場。

・『交響曲第3番 広がり』。第2楽章で舞台裏からソプラノとテノール歌手がおおらかにヴォカリーズを歌い、のどかなたたずまいから「ニールセンの田園交響曲」とも言われる。
第2楽章の後半(頭出し済み)。日曜日の昼間に広〜い草原でこれ聴いたら最高だろうなあ!

・『交響曲第4番 不滅』、この第4楽章が銀英伝で流れた。「不滅」とは生命のこと。本作が書かれたのは第一次世界大戦が泥沼化していた1916年。世界大戦という未曾有の悲劇にあって、ニールセンは生命讃歌のメッセージを込めたこの曲を作曲した。ニールセンいわく「地球上における生きとし生けるものの生命力の不滅。仮に洪水や噴火などの天変地異によって生物が一度生命を絶たれたとしても、再び繁殖を始め栄えるであろう」。生命の連続性を示すかのように、この曲は全楽章がひとつに繋がった「単一楽章」という珍しい形式になっている。同じ単一楽章で有名なシベリウスの『交響曲第7番』より、ニールセンの方が8年早い。2群のティンパニが実に劇的!

・ピアノ曲『シャコンヌ』(10分33秒)。曲の最後、終わり方がめちゃくちゃ綺麗!骨抜きに。
●12月12日…今回グリーグの生涯を調べるなかで、親友であり3歳年上のノルウェーの作曲家ヨハン・スヴェンセン(1840-1911)の存在を知った。グリーグが作曲活動を始めた頃、ノルウェーはスウェーデンの支配下にあり、独立国家ではなかった。それゆえ、国民には外国音楽のまねごとではない、ノルウェー民族の誇りとなる音楽が必要とされていた。
グリーグはスヴェンセンが書いた民族的要素の濃い『交響曲第1番』を聴いて感動し、自身の『交響曲ハ短調』があまりにシューマンなどドイツ音楽の影響を受けすぎていると判断、「演奏厳禁」とスコアに書き込み、同曲は生涯出版されなかった。
※ヨハン・スヴェンセン『交響曲第1番』の第2楽章。確かにグリーグに自作交響曲を封印させただけはある。
●12月11日…「バッハやベートーヴェンのような大音楽家だけが荘厳な大聖堂を建築することが出来る。私は人々が“ここは自分たちの家庭だ”と感ずるようなありふれた住居を建てたい」(グリーグ)。ノルウェーの国民的作曲家グリーグ(1843-1907)のほぼ全作品を聴き終える。
グリーグといえばCMなどでペール・ギュント組曲の『朝』(4分49秒)が有名。
爽やかな『朝』もいいけど、僕は北欧的な憂愁をたっぷりとたたえたものが好み。むせ返るような切々とした旋律こそグリーグの醍醐味。お薦めしたいのは以下の4曲。

・管弦楽版『ホルベアの時代から』第4曲アリア(6分)嗚呼、ええなあ…
・『抒情組曲』冒頭の「羊飼いの少年」(4分51秒)たまらんのう…
・『ペール・ギュント組曲』から「ソルヴェイグの歌」(5分27秒)はう、はうう…
・ピアノ曲『抒情小曲集』第9集から第3曲「あなたのそばに」(3分)「北欧のショパン」といわれたグリーグ。長年連れ添ったニーナ夫人に捧げた1曲。

今回、グリーグが書いた音楽評論をいくつか読み、情熱的に先人をリスペクトしていて好感を持った。ユーモアもあり、毒舌もあり、実に人間的。以下に抜粋。

モーツァルトについて語ると言うことは、神について語るということだ
・バッハやヘンデル、モーツァルトといった作曲家たちが現代に甦りワーグナーのオペラを聴いたらどんな顔をするだろうか。万能の天才モーツァルトだけは、ワーグナーの成し遂げたドラマとオーケストラの新たな境地に、大きく眼をみはって歓迎し容認するのみならず、おそらく子どものように歓喜するだろうこと確実だ。
・モーツァルトが最高であり、偉大なのは、その芸術がすべての時代を包括していることにある。もしある時代の人々が、あまりにいろんな種類の音楽に接しすぎ、神経が麻痺して彼のことを見落とすことになったとして、それが何であろう。美は永遠だ。流行の波というものは、せいぜいほんの一瞬の間それを曇らせるぐらいのことしか出来ぬのだ。
・私はモーツァルトの曲を現代風の響きに編曲しようとしたことがあるが、彼の書いた音符はただのひとつたりとも変更せず、その点、この巨匠に払うべき尊敬の姿勢だけは常に保った。あのバッハの「(平均律クラヴィーア曲集)前奏曲」を当世風の、ひどく感傷的で浅はかな見世物染みた歌曲に作りかえてしまうという、到底承服しがたいことをやったグノーの例は論外だと言いたい。
・ベートーヴェンは作品がより高度の輝きに達するためならば、響きの快さなど、ためらいなく棄てて顧みなかった。いわば彼と共に新しい時代が始まった。そのモットーは「第一に真実、美はそれからあとのことだ」と言える。
・シューマンの音楽はワグネリアン(ワーグナー・ファン)によって、完膚なきまでにやっつけられ格下げさせられている。そこには、ほんの砂粒ほどの名誉さえも残されておらず、シューマンの偉大な個性、輝ける想像力と飛翔力は、まったく無価値な低さに引きずり下ろされ、世にも陳腐な代物の典型として描かれている。(略)シューマンは彼をめぐる重要な出来事の全てについて公平な判断力を持ち、それによって美しい記念すべき業績を打ち立てた。ベルリオーズ、ショパン、ブラームスといった人々の才能を最初に認めて、音楽界に紹介したのはシューマンである。(略)私はシューマンの作品の中で歌曲がとても好きである。さすがのバイロイトの雇われ批評家も、彼に巣食うあらゆる憎悪の邪神でさえ、こと歌曲については、シューマンを取るに足らぬ存在だなどと貶(おとし)めることは困難だろう。
・歌とピアノ伴奏を密接に結びつけた最初の作曲家シューマン。後にワーグナーがちょびっと発展させて、その重要性を完全に証明した。つまり、ピアノやオーケストラによってメロディーが発展させられ、声のパートは叙唱(レチタティーヴォ)的に詩を語っていく、という手法である。しかし、天は、私が「ワーグナーはシューマンから刺激を受け影響された」などとほのめかすことさえ禁じているのだ!そのような可能性のヒントですらワグネリアンはバイロイトの巨匠(ワーグナー)に対する侮辱であり、言語道断な無礼さだと見なすだろう。
・私はシューベルトをほとんど完璧に表現した同じ歌手が、シューマンになるとまったく下手くそだったのを聴いたことがある。歌曲の伴奏部には重要な役割があり、ピアノの音色が細やかなニュアンスを表現していることにまるで注意を払わず、声だけでシューマンを歌おうとする多くの歌手どもに災いあれ!
・モーツァルトの管弦楽作品は、未来永劫、聴衆の心を虜にるすだけの充分な新鮮さを備えている。最後の交響曲(第41番)は、あたかも神の手によって創造されたかのようだ。

//『西郷どん』で大山綱良を演じる北村有起哉さん、ほんと演技が神がかってる。牢獄の中から大久保利通と対話するシーンに息をのんで見入った。「先に行って有馬と待っちょるで」がグッときた。…それにしても大久保、完全にフォースの暗黒面に墜ちている。もっと演出家が大久保なりの覚悟を見せないと、視聴者の印象が悪すぎて心配になってくる。次回、ついに最終回!
●12月10日…先月、フランスで墓巡礼中に「増税反対イエローベストデモ」初日に遭遇。仏全土の高速道路入口を増税反対派が封鎖、「市民が市民を」検問している光景に仰天。日本では絶対にあり得ない。彼らに「増税反対」「マクロン大統領ノー」と言えば通してもらえ、増税派だと「おまえなぁ〜」と取り囲まれ“説教”される。左右の思想的な対立でなく、上下の貧富の対立。これは根深い。
方法に賛否あれど、この「検問」を社会が容認しているのは、さすが市民革命をやった国と実感。国民が国のボス!警察は遠くにいて揉め事が起きたら仲裁する感じ。日本だと正当なストでさえ「迷惑かけるな」と非難されがち。僕の目の前で、検問を突破した増税派の車が、反増税派を轢きそうになり、その車はガンガン蹴られ、窓越しに運転手がボコボコにされビビったです…(汗)
マクロン大統領は国民を怖がっている。一方、本邦では国民がなめられているし、なめられても鈍感。ニュースを見ない、選挙はいかない、そんな国民を怖いはずなし。

前の車がバリケードを
強行突破、僕はビックリ
反増税派の市民が轢かれ
そうになった。マジ危ないぜ
車は蹴りまくられ、運転手は
窓越しに鉄拳制裁、拳の雨
「ったく信じらんねーぜ」「次の
車は?ん?日本人?災難だな」
●12月9日…オフ会まで2週間をきりました!この不肖管理人、皆様の参加申込みを三つ指ついてお待ちしております!
●12月8日…アイフォンを使い始めて6年。昨年、初めてイヤホンで音楽を聴いたらモノラル音声でどうも迫力がない。ステレオで聴きたい。「変換プラグが不良品なのか?」とプラグを買い換えたが、まだモノラル。「イヤホンのせいか?」とイヤホンを別途購入したが、まだモノラル。「携帯って基本的にモノラルなのかな」。そして今日、設定→一般→アクセシビリティ→モノラルオーディオのモノラルがONになってることを発見、卒倒しかけた。これ、購入から一度もいじってないんで、初期設定がモノラルってこと?そこはステレオでいいやん。とにもかくにも、これで外出先で良い音楽を楽しめる。皆さんもモノラルになってないか確認を。
●12月7日…年末恒例シネマレビュー邦画編(その2)※10点満点

【2017年公開作品】

『火花』(7点)…お笑い芸人を目指す若者たちの挑戦と挫折を描く。テレビでは華やかに見える漫才師だが、人を笑わせるのは本当に大変。コンテストの本番前、廊下や階段などあちこちで漫才の練習をしている風景や、公園でのネタ合わせなど、彼らの人生を垣間見ることが出来たのが良かった。そして後輩に抜かれていく先輩芸人の悲哀…。主人公を菅田将暉が熱演。描写不足だったのはファンとの交流。引退ライブまでほとんどファンとの絡みがないので、そこをもっと描いていたら感動はさらに深まったかと。最後の方に、「成功せず無名のまま解散した漫才コンビは無数にいるが、彼らがいたからこそ漫才という文化に多様性が生まれた。すべての芸人に価値がある」、こういうニュアンスの台詞があり、そこに原作者又吉直樹さんの優しさを感じた。

『アウトレイジ最終章』(7点)…「登場人物全員悪人」シリーズの最終章。第1作は裏切りに次ぐ裏切りという全く先の読めない脚本、かつ三浦友和のヤクザ姿に驚き、第2作はさらに驚愕のキャスティングで“あの”西田敏行が関西ヤクザの大物になって巻き舌の怒号、善人顔の小日向文世が悪徳警官というのも新鮮だった。一方、今回の最終章は老ヤクザの心理戦がメインゆえ、過剰暴力が売りだった過去2作と比べおとなしめ。だが、若い衆のドンパチだけがヤクザの抗争ではない。老ヤクザの生き残りをかけたタヌキの化かし合いを描くことで3部作の締めくくりとした。シリーズを通して、ヤクザを美化することはなかった。監督の北野武は日本のヤクザの醜さを描く一方で、筋を通す韓国・済州島出身の在日フィクサーを登場させている。主人公・大友を助けてくれるのは韓国サイド。今の日本はネット上で韓国叩きをやたら目にするが、本作が描くのは主人公が韓国の恩人に義理を通す生き様であり、バッシングを恐れずこの展開にした北野武は勇気があると思った。鉄砲玉として命を使い捨てにされる若者たちが哀れ(登場したと思った瞬間に死ぬとか…)。ピエール瀧の怪演、大森南朋のマシンガン乱射も見どころ。松重豊が演じ、全編の中で唯一善人だった警官はその後どんな人生を歩んでいくのだろう。
【2016年公開作品】

『聲の形』(8点)テーマはイジメ問題。主人公は耳が不自由なので、その部分も詳しく描写されるけど、メインはイジメ。ハンディがあることは、それは「障がい」ではなく、その人の「個性」のひとつなんだけど、個性と思わない人がイジメを行う。ふざけて補聴器を壊すとかほんと酷い。この作品では、イジメを行った少年が、新たなイジメの対象になったときに、自分がこれまでどれほど残酷なことをしていたか気づく。クラスメートはみんなイジメを見て見ぬふり。ヘビーなアニメだ。大事なことはイジメを傍観しないこと、これに尽きる。紆余曲折を経てハッピーエンドになってよかった。

『湯を沸かすほどの熱い愛』(9点)…余命3カ月の末期癌と分かった主人公(宮沢りえ)が、自分のやるべきことを片付けていく物語。中には、本来なら何十年も先送りにしていたであろうプライベートな課題もある。映画の前半に「うん?何で彼女はこんな行動をとったんだ?」と真意を計りかねるシーンがいくつかあり、後半になって「そういうことか!」と納得。驚くような展開もあり、またそこに深い感動もあった。登場する3人の女性はみんな親に捨てられており、「ママを好きでいていい?」に落涙。宮沢りえの演技力は圧巻であり、アイドルだった彼女がここまで押しも押されぬ大女優になるとは想像もしなかった。鑑賞後、自分が余命3カ月と分かれば何をするだろうか、そんなことを考えた。

【2015年公開作品】

『杉原千畝 スギハラチウネ』(8点)…唐沢寿明が杉原千畝を好演。当時のユダヤ難民の立場、杉原と日本政府・外務省との攻防がわかって良かった。リトアニア時代の「命のビザ」発給だけでなくソ連での諜報員時代もきちんと描いていた。この映画でラテン語の外交用語「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」を初めて知る。あと、ハルビン学院での杉原の後輩、ウラジオストク日本総領事館・根井三郎総領事代理が登場したのも良い。「命のビザ」を持って極東ウラジオストックにたどり着いたユダヤ難民に対し、「日本行きの船に乗せてはならない」と外務省から訓令が出ていたが、根井は杉原の思いを尊重して外務省の指示を拒絶、ユダヤ難民を日本に向かう船に乗せた。

【2014年公開作品】

『柘榴坂の仇討』(8点)…浅田次郎の短編小説を映画化。中井貴一×阿部寛。桜田門外の変で井伊大老を守れなかった者が主人公という渋い時代劇。彼は主君を守れず切腹を願ったが、襲撃者を突き止めて大老の敵討ちをするよう藩命を受ける。襲撃グループの最後の1人は逃げ続け、明治に入っても主人公は追い続ける。開国して発展した事実を前に、暗殺犯は井伊大老が正しかったのではと過去を悔やむ。大老暗殺から13年後、ついに主人公は暗殺者を追い詰めるが、自分も相手も明治日本から取り残され、時間が桜田門から止まっていること、侍の世は去り、互いに「死にぞこない」であることを認識する…。明治の街角でヤクザ者(借金取り)と対峙した際、今は別の仕事をしている通りすがりの元武士たちが、「拙者は元○○藩士、××と申す!」と次々と助太刀を申し出る場面にしびれた。ポジティブなラストに好感。

【2013年公開作品】

『蠢動-しゅんどう-』(6点)…藩の不正の濡れ衣を着せられた無実の男と、この男を殺すために派遣された友人たちとの雪原の死闘に息を呑む。ただ、斬っても斬っても血が出ない。別に流血を求めている訳ではないが、雪原での戦いで雪が赤く染まらないと不自然すぎる。平岳大が好演。彼が出ると画面が引き締まる。

【1979年公開作品】

『蘇える金狼』(7点)…カネをめぐる男たちの野望。ハードボイルド映画ではあるが、演出が未熟でどこか牧歌的。松田優作は男に殺されるより、女に殺される方が絵になると確認。

【1963年公開作品】

『この首一万石』(8点)…武士の世界の裏側、不祥事が起きたときの責任のなすり付けあい、買収や裏金、その醜さをこれでもかと見せつける異色時代劇。武士になりたいと願う主人公が、身代わりの切腹をやらされそうになり、槍を持って大暴れ。前半はほのぼのしており油断していたら、後半は突如スプラッターとなり仰天。大川橋蔵が力演を見せる。

以上、映画レビュー完。来年も傑作と出会えますように。今年はこの後、『ボヘミアン・ラプソディー』『くるみ割り人形と秘密の王国』『シュガー・ラッシュ:オンライン』を観に行く予定。
●12月6日…年末恒例シネマレビュー邦画編(その1)※10点満点

【2018年公開作品】

『万引き家族』(9点)血縁にこだわらず家族になろうとする人、産んでないけど親になろうとする人の物語。近年問題になっている児童虐待など、様々な社会問題を正面から描いている。エンドロールが終わった後も、この映画に出てきた子ども達の幸せを祈らずにいられない、そんな作品だった。是枝監督「日本は経済不況で階層間の両極化が進んだ。政府は貧困層を助ける代わりに失敗者として烙印を押し、貧困を個人の責任として処理している。映画の中の家族がその代表的な例だ」。

『カメラを止めるな!』(9点)もう楽しいの何の。台本と想っていたらアドリブだとわかったシーンで何度も噴き出した。まさに神脚本。この映画は「最初にやったもん勝ち」であり、アイデアの完全なる勝利。公開から3カ月後に観に行ったが、毎日ネットに身を置いているのに、よくぞネタバレを目にすることなく済んだと思った。これは映画を観た多くの人が、話したいのをグッとこらえて黙っていたおかげ。この映画に関しては、ネタバレが子孫末代までの重罪という共通認識が鑑賞者にあるのだろう。

『文豪ストレイドッグス DEAD APPLE』(9点)…カミングアウト、ということになるのだろうか。文豪と同じ名前のキャラが作品にちなんだ異能力を駆使してバトルを繰り広げる本作。文学ファンの中には「文豪への冒涜」「そもそも文豪の名を使う理由がわからない」と怒っている人もいるが、僕はアニメ版を見てサントラを買うほどTVシリーズにハマってしまった。
当初は愛する作家梶井基次郎がクレイジーな爆弾魔になったキャラデザインを見て脱力し、距離を置いていた。だが、山口県・中原中也記念館の特別企画展「太宰治と中原中也」を見に行った際、文ストの原画コーナーがあり、「記念館的には、中也がマフィアになっている文ストは“あり”なんだ」と知り、同時に若いファンが原画の前でハイテンションになっている光景を見て、“食わず嫌いはいかんな”とアニメを見始めた。
最初は「ん?太宰が芥川に憧れていたのに、なんで芥川が太宰に憧れる設定に?逆じゃん」「おい…泉鏡花と尾崎紅葉が女体化してるぞ…」と反発を覚えたが、一方で、中島敦が虎になったり、谷崎の能力「細雪」が美しく&妹の名前がナオミだったり、芥川の必殺技「羅生門」の格好良さ、癒やし系の宮沢賢治、与謝野晶子の治癒能力「君死にたまふことなかれ」、能力無効化系の太宰「人間失格」など、ツボにはまるものもあり、アニメを見続けた。あと、主人公の中島敦がめちゃくちゃ良い子で、彼の運命がどうなるのか見届けたくなった。メインキャラは敵も味方も生きることに不器用で、自己肯定感が低く、それでも必死にもがきながら生きている。

どハマリする転機となったのは第10話「羅生門と虎」。前半の太宰と中也のウィットに富んだ会話のやり取り、後半の芥川(マフィア)VS中島敦(武装探偵)の凄絶なバトル。元マフィアの暗殺者で人一倍孤独な鏡花を、中島は陽の当たる場所へと救い出し、命懸けで守ろうとする。芥川はかつて組織にいた鏡花に、暗殺者として生きる価値を与えたと主張。怒る中島「誰かに生きる価値があるかどうかを、お前が決めるな!どうして彼女に、もっと違う言葉を掛けてやれなかったんだ。人は誰かに「生きていいよ」と言われなくちゃ、生きていけないんだ! 」。
2度目の胸熱ポイントは、第13話から第16話までの過去編。元マフィアだった太宰が、生き方を変えて人を救う側になったのは、親友・織田作之助のおかげ。太宰、オダサク、坂口安吾がBAR「Lupin(ルパン)」で酒を飲むくだりは、文学ファンにはたまらないものがあった。未見の人は、この過去編全4話を見てから第1話を見始めてもいいかも。オダサクとアンドレ・ジイドの未来予知バトルはアニメ史に刻まれるべき名シーンかと。
3度目のリミッター解除は第17話。この回、世界文学の文豪異能力者、強敵のスタインベック、ラヴクラフト、マーガレット・ミッチェル、メルヴィル、ホーソン、マーク・トゥエインらが一気に来日、登場シーンにカジポン昇天。
その後、第21話で中原中也が最終奥義「汚濁」をラヴクラフトに発動、太宰と中原のキュンキュンくるエピソードが展開、作画スタッフの力の入れ方ハンパなし。
そして第二期最終回の第24話、白鯨上でのフィッツジェラルドとの対決に雪崩れ込み、映画を数本観たような満足感と共に終劇。この文面だけでは訳がわからんと思うけど、全話を通して作画に恵まれ、音楽に恵まれ、声優陣、演出家に恵まれた幸福な作品だった。作画の崩壊は一度もなし。

前置きが長くなった。劇場版文ストの『DEAD APPLE』、これはもう完全にファン向けの作品。そして僕はファンであり、存分に文スト・ワールドを満喫した。冒頭のオダサクでいきなり劇場内はすすり泣きの渦。ドストエフスキーの能力は依然謎であり、第三期のオンエアが楽しみ。同時に、過去編にシルエットと声だけ登場した夏目漱石の降臨希望。
※僕の周囲には、NHKのアニメ『クラシカロイド』をきっかけに、クラシックを聴くようになった人や、文ストを通して純文学を読み出した人が実際にいる。文芸に触れる“きっかけ”は多いほどいい。この流れ、是非、画家の世界にも来て欲しい。名画を使ってなんか画家たちが大活躍する物語を作れないものかねぇ。

『劇場版 マジンガーZ / INFINITY』(7点)…ラスト30分のマジンガーZの大暴れはカタルシスがあった。ロケットパンチを発射する度にエンドルフィン大分泌。なんならドラマ部分はいっさいなくて、90分ひたすらZとグレートの無双でも良い。
●12月6日…年末恒例シネマレビュー洋画編(その4)※10点満点

【2013年公開作品】

『ダイ・ハード/ラスト・デイ』(1点)…シリーズ第5作。前作から6年を経て公開されたのに、98分は短すぎるし、なんでこんな中身ゼロの脚本なのか。通常なら娯楽映画に社会問題をねじ込まなくてもいいけど、舞台がチェルノブイリとあっては話が別だ。いわば文明の墓標を舞台にしながら、なんら事故に言及することなく、濃縮ウランを転売して大金を得ることだけが目的のアホみたいな連中が敵。しかも、ジョン・マクレーンと息子ジャックが倒す最後の敵は若い女性。悪党とはいえ娘さんの死で終わって後味がいいわけない。車を壊しまくるカーチェイスもダラダラ続き、まさかダイ・ハードのアクションで欠伸が出るとは思わなかった。「なんで俺が」と巻き込まれながら知恵を絞って悪党を出し抜くような、第1作の心理戦が懐かしい。息子が真面目キャラ過ぎるのも作品のテンションを下げる原因。

【2012年公開作品】

『アンナ・カレーニナ』(8点)…モダンダンス振付師シディ・ラルビ・シェルカウイが俳優の動きにバレエの要素を加えているため、登場人物の所作の優雅なこと!アカデミー衣装デザイン賞に輝いた衣服もあって、これらを見ているだけでも楽しめた。何もかも失おうと不倫に落ちていくアンナの生き方は、夫のカレーニン伯爵が優しい人格者であるだけに、無条件に肯定できるものではない。だが、若くして結婚した彼女が、人生で初めて恋の炎に焼かれた際、周囲が見えなくなってしまうのも理解できる…。文庫本3巻の大長編を130分にまとめるのは大変だったと思うが、その中でリョーヴィンとキティの結婚エピソードもちゃんと描いていた。ジューロ・ロウがカレーニン伯爵だったことにエンドロールで初めて気づき驚く。

【2010年公開作品】

『タイタンの戦い』(7点)…巨大サソリやクラーケンとの戦いはなかなかの迫力。特筆すべきはメドゥーサとの死闘!目を見れば石にされるのに、あんなに高速で接近してくるとは恐ろしすぎる。仲間たちの犠牲のおかげで倒せて胸熱。敵ながらメドゥーサの悲しげな表情が瞼に残る。
※メドゥーサ戦 https://www.youtube.com/watch?v=PBfe9uX0Xk0

【2006年公開作品】

『パンズ・ラビリンス』(8点)軍部独裁が勝利した内戦後のスペイン。民主主義が滅んでいく時期が舞台であり、抵抗するゲリラの壊滅を見るだけでも辛いのに、主人公の薄幸の少女が迷い込む迷宮には、ダークファンタジー史上最も不気味な造形(手のひらに目玉がある喰人鬼)のペイルマンが待ち受けている。あんなの子ども時代に見たら大人になるまでトラウマになるよ…。ゲリラの味方の医者がめっちゃカッコ良く、家政婦メルセデスの誇り高き精神に感動し、弟を渡さなかったオフェリアの優しさにグッときた。彼女は地下の王国で幸せに暮らしていると思える描写(王妃が赤ん坊を抱いてる)があったので、せめてそこに希望を託したい…。

【2001年公開作品】

『アンネ・フランク』(8点)父親のオットー・フランクを名優ベン・キングズレーが演じた3時間11分の力作。アンネ役のハナ・テイラー・ゴードンは本人とそっくりなうえ演技力もある。アンネの逮捕前から収容所の死、戦後の後日談まで丁寧に描いていた。戦前の生き生きとしていたアンネの姿を描写したことで、この作品は彼女の石なき墓となった。

【1978年公開作品】

『ブラジルから来た少年』(8点)アウシュヴィッツで「死の天使」と呼ばれたナチス医師メンゲレが、逃亡先の南米でヒトラーのクローンを94人も作る不気味な話。史実ではヒトラーが13歳のときに公務員の父が65歳で死んでおり、同じ家庭環境にするためナチ残党は「クローンの里親となった65歳の公務員男性94人を殺す」というマッド計画を実行。この動きに気づいたナチハンターが作戦阻止に動く。本作で狂気の医師メンゲレを演じたのが、「アラバマ物語」で人種差別と戦い、「ローマの休日」でオードリーをエスコートした“アメリカの良心”グレゴリー・ペック!よくこの悪役を引き受けたもの。一方、執念のナチハンターを演じたのは「マラソンマン」でナチ残党の歯科医を演じたローレンス・オリビエ。つまり立場が逆転している。映画界を代表する名優2人が老体になって取っ組み合いの肉弾戦。今でこそクローンを扱ったSFはゴマンとあるが、1978年の段階では観客の度肝を抜く内容だったろう。

【1970年公開作品】

『ワーテルロー』(9点)1815年6月18日、復位したフランス皇帝ナポレオンが72000の兵を率い、イギリス軍司令官ウェリントン公率いるイギリス・オランダ連合軍68000と、ブリュッヘル元帥率いるプロイセン軍5万に、ベルギーのワーテルローで決戦を挑んだ「ワーテルローの戦い」。監督は『戦争と平和』で大会戦を撮ったセルゲイ・ボンダルチュク。ソ連陸軍が全面協力し、2万人のエキストラを投入、1500頭もの軍馬が用意された。合戦シーンではCGを一切用いず、早朝から日没まで刻々と変化する戦況を描写。ロケではウクライナのジャガイモ畑がワーテルローの丘として整地され、広大な戦場として甦った。雪崩のような騎馬突撃のド迫力映像は、映画史に残る名シーンだ。
会戦当日、朝の時点では仏軍の相手は英蘭軍だけだった。兵力は仏軍が上回っており、早朝に開戦できればナポレオンに勝機があったが、運悪く前夜は豪雨であり大地は水浸しに。泥に阻まれ砲兵が移動できないため、地面が乾く昼頃まで攻撃開始が遅れてしまう。その結果、午後になって戦場にプロイセン軍が到着してしまい、仏軍は二正面作戦をとらされ兵の不足に陥り、英軍の堅固な方陣を崩せず、ジリ貧となって敗北した。この戦いで仏軍騎兵は英軍砲兵に何度も無謀な突撃を行い、膨大な戦死者を出した。その様子は「草刈鎌で雑草を薙ぎ払うようだった」(英兵)という。死傷者・捕虜は仏軍が4万人、英蘭軍が27000人、プロイセン軍が7000人。戦場にいた両軍19万のうち5万人以上の戦死者が出た。ナポレオン脱出後、戦場に残っていた皇帝近衛隊の一部が降伏を勧告され、「近衛兵は死ぬ。降伏などしない!」もしくは「くそったれ!」と叫び全滅の道を選んだ。
この時代の将校は、戦闘が始まるまできらびやかな軍服を着て優雅に食事をとっているが、ひとたび戦端が開くと、泥と血にまみれてボロボロになって死んでいく。そのギャップが印象に残った。ウェリントンを演じたのは『サウンド・オブ・ミュージック』のトラップ大佐クリストファー・プラマー。連合軍も多大な犠牲を払っており、ウェリントンの「敗者の次にみじめなのは勝者だ」という言葉が重く響いた。

【1966年公開作品】

『男と女』(8点)カーレーサーと映画業界の美女の恋、そんなもの共感できる要素は皆無だろうし、わざわざ102分かけて観る義理もない、そんなふうに思ってずっと観なかった。50歳になり初めて鑑賞し、人を愛したときに気持ちが臆病になるのは、イケメンもフツメンも関係ないと、自然に感情移入できた。女性から脈のある電報が届けば、そりゃあ夜通しで車をかっ飛ばす。そして頭の中で「会ったら何て言おうか」と作戦を練るシーンにほっこり。カンヌ映画祭でグランプリを獲っているのは、人間普遍の心理を描いていると皆が思ったからだろう。
互いに配偶者に先立たれている2人が、ブレーキをかけながら接近していく。その過程で男と女の感情の違いが実にうまく表現されていた。男の方は気持ちの整理がある程度ついていて、女の方はまだ心の中に相手が生きている。男はレーサーでイケメン、モテモテのはずが、女の思い出の中にいる元夫に勝てない。なぜなら元夫が「一風変わった男」だったから。元夫はひょうきんで良く妻を笑わせてくれたスタントマン。女は心から故人を愛していた。これはリアルだ。どんなにカッコいい男でも、「一風変わった男」には勝てない。イケメンや金持ちは代わりがきくが、「一風変わった男」の代わりはいない。女は次の人生に進もうとしたが、いさ肌を合わせると死別した元夫を思い出し、悲しみがこみ上げてくる。重たい空気、気まずい別れとなり、それまで燃え上がっていた気持ちが後ろめたいものに。女は男の車に乗らず、列車で帰る。男の「急ぎすぎたのか」という呟きは、男なら誰もが一度は口にするであろう後悔。でも、諦めることなく、勇気を出して先回りし、駅で待ち受けた。諦めなかったから、彼女の心の扉が開いた。女がいったん断っておきながら、最後に笑顔を見せて駆け寄る気持ちも分かる。すぐには元夫への申し訳ない気持ちは消えないだろうけど、新たな愛が真実のものであれば、きっと故人も祝福してくれると思う。お幸せに。

『ロシュフォールの恋人たち』(8点)ジャック・ドゥミ監督が『シェルブールの雨傘』に続いて作曲家ミシェル・ルグランとコンビを組んだミュージカル作品。『雨に唄えば』のジーン・ケリー、『ウエスト・サイド物語』のジョージ・チャキリスをハリウッドから迎え、フランス側はカトリーヌ・ドヌーヴとフランソワーズ・ドルレアックの姉妹が出演。画面にパステルカラーの衣装やアイテムが踊り、ときに明るく、ときに哀愁を帯びた名旋律のミュージカルナンバーが恋を彩る。個人的には若者たちの恋よりも、ダムという名前のせいで振られた男(妻の名が「マダム・ダム」とダジャレみたいになる)と姉妹の母親のロマンスがグッと来た。すごいイケメンの俳優がいると思ったら、なんと『ニュー・シネマ・パラダイス』で中年トトを演じていたジャック・ペランでびっくり。幸福感に満ちた作品だった。
サウンドトラック(83分)
※おすすめ曲 Concerto (ballet)(2分47秒)

【1961年公開作品】

『突然炎のごとく』(9点)男2人(ジュールとジム)、女1人(カトリーヌ)の三角関係を描いているが、各自があとの2人を愛しているため、いろいろ切ないことが起きる。中でもジュールの純愛がたまらない。彼はカトリーヌとの結婚後、夫婦生活の危機に際し、別れたくないため親友ジムに妻と結婚して欲しいと頼む。そして3人で暮らすことを願う。妻が赤の他人と再婚すると手が届かなくなるが、親友と結婚すれば理解を得て共同生活できるからだ。ジムは独り身になっても、彼女の側で生きることができる喜びを噛みしめる。トリュフォーは本作の原作を映画化したくて映画監督になったとのこと。ジャンヌ・モロー演じる自由奔放なカトリーヌを、ジュールとジムは女神のように讃えているが、若い頃の僕はカトリーヌに“自分勝手すぎる”と怒っていた。でも、原題は「ジュールとジム」であり、カトリーヌこそが2人の男に翻弄されていたのかも知れない。公開当時、トリュフォー監督に「カトリーヌはわたしです」という手紙が世界中から届いたという。世の中に三角関係を描いた作品は山ほどあるけど、3人ゆえの1対1対1ではなく、2対2対2になっているところに先の読めない緊張感があった。

【1953年公開作品】

『シェーン』(9点)…「シェーン!カンバーック!」のラストシーンだけ知っていた本作をついに鑑賞。X-MENシリーズの『LOGAN/ローガン』に『シェーン』が登場し、シェーンの「人を殺してしまえば、もう元には戻れない」がキー的な台詞として使われていたことから、早く鑑賞せねばと思っていた。早撃ちガンマンが登場する西部劇にもかかわらず、銃がかっこいいものではなく、「暴力」の象徴として否定的に描かれていたことに驚いた。ワイオミングの大自然を背景に、流れ者シェーンと少年一家の交流が描かれ、シェーンが銃を抜くのはジョーイに撃ち方を教えるシーンとクライマックスの酒場での対決だけだ。殴り合いの方が圧倒的に多い。シェーンは自らを銃で問題を解決する旧世代の人間と考え、新世代のジョーイの親が銃を使うこと(人殺しになること)を断固許さなかった。悪党を倒した後、「もうこの町で銃は必要なくなった」といって町を去るシェーン。こんなに銃のマイナス面を全面に出した西部劇であったとは。
※殺し屋ウィルスンを0.3秒の早撃ちで倒した俳優アラン・ラッドは、『シェーン』公開の11年後、自殺未遂を経て、睡眠薬とアルコールの同時摂取により50歳で他界している。

/洋画編は以上。次は邦画編をアップします。
●12月5日…年末恒例シネマレビュー洋画編(その3)※10点満点

【2016年公開作品】

『ドリーム』(9点)原題は「Hidden Figures(埋もれた事実)」。NASAの輝かしい宇宙開発の歴史において、その初期に大きな功績をあげた黒人女性たちを描いている。科学の殿堂であるNASAでさえ、半世紀前はトイレや水飲み場は白人用と非白人用に“区別”されていたことに驚く。黒人差別、女性差別を扱った作品は重い作風のものが多いが、本作は冒頭からユーモアに富み、テンポ良く物語が進んでいく。3人のヒロインが実力で人生を切り開いていく姿に拍手。印象に残った台詞は、「私は差別意識なんて持ってないわ」と“理解力”を見せようとする白人上司に、「そう思い込んでいることを分かっています」と切り返したもの。ドキリとする言葉だ。ケヴィン・コスナーがトイレの「白人用」表示をぶっ壊したシーンにカタルシス。

『ハクソー・リッジ』(9点)…米軍衛生兵から見た沖縄戦。150メートルの絶壁を登るとそこは日米両軍の屍が累々と横たわる「前田高地」(ハクソー・リッジ)。主人公デズモンド(実在の人物)は聖書の「汝殺すなかれ」を守り、絶対に銃を持たない。他の兵士から馬鹿にされ侮辱されるが、戦場では危険を顧みず何人もの負傷兵の生命を救い、アメリカ史上初めて「良心的兵役拒否者」として名誉勲章が与えられた。戦友たちのデズモンドを見る目が変わっていく過程が素晴らしい。そして沖縄戦が米兵にとっても、いかに地獄であったか伝わってきた。至る所で血煙があがり、身体はバラバラに…容赦ない描写が続き、息を殺してスクリーンを見ている自分がいた。それにしても、監督としてのメル・ギブソンの才能はすごい。“衛生兵”という地味な題材を使い良作を完成させた。性格俳優アンドリュー・ガーフィールドを主役に選んだのも大正解。アカデミー録音賞と編集賞を受賞。※ギブソンは来年、米海兵から見た神風特攻の映画を撮るそうだ。22回も特攻を受けた船員がいるらしい。

『否定と肯定』(8点)「ホロコースト(ナチのユダヤ虐殺)はなかった」と言い張る歴史修正主義者と戦う映画。このアーヴィングという否定派はやっかいな男だ。議論相手がその場で即答できない質問を矢継ぎ早にして、相手が正確な情報を言おうとして返答がもたつくと、すかさず「ほうら、ホロコーストはなかった!」と勝利宣言を行い、それが新聞に載ることで世間にユダヤ人虐殺への疑念を植え付ける。後日、アーヴィングが間違っていることを証明しても、既に広がったデマをなかなか消せず、歴史修正主義者がほくそ笑む結果となる。アーヴィングは「確かにシャワー室の換気装置からシアン化合物(チクロンB)は発見されたが、それはユダヤ人を殺すためではなく、チフスを広めるシラミの駆除のためで、極めて薄い濃度だった」と主張。「薄い濃度」と聞けば安全に思えるが、元々シラミを殺すには人間の20倍の濃度が必要であり、それ比べて「薄い」というだけ。薄くても人間は死ぬ。やがてアーヴィングは「思いつきでデマを書いたかも」と認め、主人公は勝訴するが、裁判を通してデマが判明したことを、再びアーヴィングが反省することなく流している姿を見て目まいを覚えた。彼はホロコーストはないと盲信しているため、敗訴しようが同じ主張を繰り返すのだ。こういう、どれだけ証拠を見せても歴史を捏造する人をどうすりゃいいのか。日本版アーヴィングは政界にも論壇にもいっぱいいる。

『パッセンジャー』(8点)宇宙船のフォルムや、船体内部のデザインが非常に美しく、主人公と一緒に惑星間航行飛行をしている気持ちになれた。食堂、ジム、プール、宇宙遊泳、ロボット・バー、事故さえ起きなければ楽しそうな船旅だ。乗員が5000人もいる船なのに、冬眠装置の故障で1人目覚め、死ぬまで一人きり…。主人公はあまりに孤独な環境で正常な判断ができなくなり、自殺すら考え、“もう1人起こす”という絶対にしてはいけないことをやってしまった。あの激怒した彼女の表情…。謝っても許してもらえない罪、できることは、それでも謝り続けること。見ていて胃が痛くなった。最後の選択に救いがあって良かった。

『ラ・ラ・ランド』(7点)…ラスト15分の「もう一つの未来」、あれを実現すれば良かったのに…できないのが人生なのか。アカデミー賞で『タイタニック』『イヴの総て』に並ぶ史上最多13部門14ノミネート(歌曲賞に2曲入ったため)となり、監督賞、主演女優賞(エマ・ストーン)など6部門を受賞。 良い映画ではあるけど、最多タイのノミネートというのは、主人公が女優の卵であり、舞台演技を酷評され挫折を味わう姿に、ハリウッドの映画関係者が軒並み感情移入したからでは。思えば『イヴの総て』も女優の話だし、役者モノはアカデミー会員の心を掴みやすい気がする。

『ムーンライト』(7点)…LGBTを扱った映画として初のアカデミー作品賞を受賞。黒人ゲイの少年期、青年期、成人後の内面を繊細なタッチで描く。あの優しく温厚なシャロン少年が、いかつい麻薬の売人になるとは。だが外見はマッチョでも、ストイックに何年も相手を想い続けていたことが最後の一言でわかった。デリケートなシャロンのままだった!もうヤクなんか売らず、まっとうな仕事をして生きてくれい。

『メッセージ』(7点)…映像詩人ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作品。宇宙人と会話を試みる女性言語学者にスポットを当てた異色SF。スター・ウォーズやアベンジャーズの対極にある、まっこと静かなSF映画。音楽を担当するのはポストクラシックを代表する1人ヨハン・ヨハンソン(2018年急死)であり、彼は同じくポストクラシックの旗手であるマックス・リヒターの音楽「On The Nature of Daylight」を随所で使用、これが見事に映画の雰囲気と合っている。原題「arrival(到着)」も奥が深い。 本作の宇宙船の形がお菓子の「ばかうけ」とそっくりなことが話題になると、ヴィルヌーヴ監督は日本人への“メッセージ”として「ご推察の通り、宇宙船のデザインは『ばかうけ』に影響を受けたものだ」とジョークでコメント(24秒)。面白い監督だなぁ。

  
確かに全体のバランスとか比率とか、宇宙船には“ばかうけ”の影響が(笑)

【以下「メッセージ」ネタバレ】人は頭の中で何かを考えるときに言葉を使って論理を組み立てている。それゆえ、宇宙人の言葉を理解すると、全く新しい考えが生まれるなど思考が変化していく。この映画の宇宙人にとって「時間は流れるものではなく」、彼らには未来のことが分かって当たり前。結果、言語学者も「未来の想い出」が見えるようになってくる。その能力を持つことは幸なのか不幸なのか。自分の子どもが早逝すると分かっていて、またパートナーとも破局すると分かっていて、それでも結婚・出産に踏み切れるか。僕が彼女なら、それでも出産を選ぶだろう。我が子に出会えない未来より、たとえ短い間であっても一緒に時間を過ごす喜びを感じたい。

【2014年公開作品】

『不屈の男アンブロークン』(8点)先の大戦中、ドイツの収容所における米軍捕虜の死亡率は1%であったが、日本軍管理下の収容所では米軍捕虜の死亡率が約40%に跳ね上がった。ドイツに比べて実に40倍という酷さ。本作の主人公、米国のベルリン五輪陸上選手ルイス・ザンペリーニは、戦時に日本軍の捕虜となり過酷な虐待を受けたが、終戦から半世紀を経た1998年の長野五輪で聖火ランナーとして再来日する。劇中、爆撃機が墜落して47日間も海上をゴムボートで漂流する話がリアリティに富み、その部分だけでも見応えのあるサバイバルムービーになっている。新潟・直江津の収容所で、重い木材を延々と担いでいた姿が印象的。残念だったのは、戦後がエピローグの実写スライドショーで簡潔にまとめられ、僕が一番知りたかった、主人公が日本兵を“赦す”気持ちにどうやって至ったのかがまったく描かれていないこと。そこが抜け落ちると、長野五輪で走っている映像を見ても感動が薄れ、消化不良のまま終わった。
※この映画の収容所での虐待が「反日的」であるとして、一部の保守右派が上映禁止運動を行い、当初は公開が見送られた(2年後に上映)。僕にしてみれば、この映画には米兵捕虜が生きたまま解剖された九州大学生体解剖事件も登場しないし、日本軍将校が米兵捕虜の人肉を食べた小笠原事件もスルーしており、かつて日本で大ヒットした『戦場にかける橋』『戦場のメリークリスマス』などの捕虜虐待描写と変わらないレベルだった。それどころか、日本への無差別爆撃の非人道性を告発するような描写まで出てくる。監督のアンジェリーナ・ジョリーは、日本人の狂気ではなく、戦争の狂気を描いているのであって、上映反対運動は的外れなものだった。戦犯指定された渡邊睦裕伍長は逃げ切ったという。ザンペリーニは80歳で聖火ランナーを務め、2014年に97歳で他界した。
●12月4日…年末恒例シネマレビュー洋画編(その2)※10点満点

【2017年公開作品】

『グレイテスト・ショーマン』(10点)時代は19世紀。見世物小屋で好奇の目に晒されるフリークスたちが、「私はなるべくして今の自分になった、これが私」と誇りを掲げて歌いあげる名曲「THIS IS ME」(3分46秒)。本作を飛行機で見てこの歌に激感動し、周囲がドン引きするほど嗚咽。もうこの歌だけで満点に。実在したP・T・バーナム(主人公)がどんな理由でサーカスの興行を始めたとしても、集められた人々の居場所になったことは想像できる。見世物小屋の負の面を吹っ飛ばすほど、歌、ダンス、メッセージにパワーがあった。火事で全てを失ったと落ち込んだ時に、友達という宝が残っていたことに気づくシーンが良い。アカデミー作品賞にノミネート。

『リメンバー・ミー』(10点満点で1億点)「時を超え私たちを支えてくれた人たちを決して忘れない」。ピクサーからまた大傑作が爆誕!なんという完成度。「死後に誰からも思い出してもらえなくなった時に2度目の死が訪れる」、アニメでこの重要テーマを描いたスタッフ(『トイ・ストーリー3』のチーム)に最大限の敬意を捧げたい。通常でも満点だけど、僕の場合は“墓マイラー加算”があるため、「1億点」という限界突破点に。アカデミー長編アニメ作品賞にも納得。ファミリー向けのアニメで、骸骨が大量に登場する死者の国を舞台に選んだのは英断。しかも決して不気味ではなく、終始観客の笑いが起きる脚本にしびれた。日本にお盆があるようにメキシコには「死者の日」がある。国や文化が違っても、故人に想いを馳せる日を持つことに、人類普遍の共通点を感じて嬉しかった。自らの命は先祖からの授かり物、命を大切にしなくては、そう思える温かいストーリー。さらに言うと、たとえ主人公ミゲルのような幸福な家庭でなくとも、個々の命は古(いにしえ)から受け継がれてきた尊いもの。死後に思い出してもらえるのは家族じゃなく友人でもいい。それゆえ人に愛される生き方をしなくてはと思う。こういう時代だからこそ、全世界の政府が「リメンバー・ミー専門チャンネル」を作って24時間オンエアして欲しい。音楽も実に素晴らしく、鑑賞後、その場でサントラCDを購入!(悪役を倒すのではなく和解するのであれば2億点だった。でも米国のアニメは「カールじいさん」にしろ「インクレディブル」にしろ、悪役は生き残れないものが大半…。「トイ・ストーリー3」でさえ、ピンクの熊は心を入れ替えなかった。そこがいつも引っ掛かる。米国の国民性なのかな。不思議だし、もったいない)

『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』(7点)スター・ウォーズにしてスター・ウォーズにあらず。もう僕が大好きだった夢あり笑いありロマンありのスター・ウォーズは帰ってこないんだ…。でも、良いシーンはあった。2つの夕陽を見ながら大気となるルーク、レイとカイロ・レンの胸熱な共闘、ラスボス候補の退場、ハイパースペースの特攻(禁じ手という気もするが)、ズラリと並んだスノーウォーカーと対峙するルーク…。一方で、宇宙空間に生身で放り出されてもフォースの力で生還したレイアはやり過ぎだし、フィンと整備士ローズのロマンスは唐突感が否めない。次回作はハン・ソロもルークもいない世界。レジスタンスは壊滅状態、バックボーンが何もない普通の市民とわかったレイ、ここからどう大団円を築くのか期待している。

『シェイプ・オブ・ウォーター』(9点)声を出せない女性と言葉を話せないアマゾンの半魚人との珠玉のラブストーリー。言葉で交流できない両者を繋ぐものが音楽と手話というのもグッとくる。映画の前半は半魚人をモンスターと思って見ていたけど、途中から“本当のモンスターは、差別主義者の人間じゃないか”と考えるように。「あいつ(半魚人)は人間じゃない」「彼を助けねば私たちも人間じゃない」に胸を打たれた。本作を怪獣を倒す物語として見た場合こういう構図になる。あの白人の暴力的な差別主義者が怪獣であり、怪獣と戦う正義のヒーローが、聴覚のない者、ゲイの老画家、黒人清掃婦、半魚人、冷戦下の宿敵ロシア人という、マイノリティ・チーム。社会的弱者がマッチョな連中を出し抜く。モンスター・ムービーを土台にヒューマニズムを語ったデル・トロ監督の手腕に脱帽。

『ダンケルク』(8点)華々しい大勝利を描いた戦争映画ではなく、戦に敗れた約35万人の兵士を戦場から脱出させる「撤退戦」に着目したノーラン監督。そのセンスはやはり非凡だ。時間の経過は、陸が1週間、海が1日、空が1時間という、別々のもので、それがラストに向けて重なっていく複雑な構成。ドイツ兵の姿は見えず、流血もほとんどない。それなのに全編を通して緊張感がみなぎっている。壮大な叙事詩であり、ノーラン監督にしか作れない映画だった。「生きて帰っただけで十分」と、敗残兵を温かく迎えるイギリス国民が良い。

『ベイビー・ドライバー』(8点)…隠し録りした悪党の会話で音楽を作っていたことに笑った。オスカー俳優のジェイミー・フォックスがマッドな強盗を演じたので怖いの何の。レストランでベイビーの恋人が殺されかけてヒヤヒヤした。ベイビーが鉄パイプに向かってアクセル踏んだのは正解。ジョン・ハム、ケヴィン・スペイシー、みんなブッ飛んでたなぁ。クイーンの「brighton rock」が最高にキマッてた。

『ブラックパンサー』(7点)スーパーヒーロー映画としては『アベンジャーズ』を抜いて米映画史上最高の興行成績となり、全体でも「タイタニック」を抜いて歴代3位に輝いた(1位は「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、2位は「アバター」)。黒人がスーパーヒーローを演じ、監督も黒人、キャスト、制作スタッフの大半も黒人という、従来になかった作品。他国と交流せず、鎖国体制にあったアフリカの架空の国家ワカンダの王が、方針を変えて国連で「賢者は橋を架け、愚者は壁を造る」と演説したのは、メキシコ国境の壁建設に固執するトランプ大統領と真逆の姿勢として対比され、米国人にとって特別なメッセージを持つ作品となった。親衛隊長オコエや天才発明家が女性であるように、本作は女性の活躍を描いた作品でもある。黒人と女性、どちらも米社会で差別やセクハラで尊厳が踏みつけられ問題となっており、それがメガヒットの一因に。ただ、あまりに期待値が高すぎて、見終わった後に「面白かったけど世界3位…なんだよね?」と、スケールでもアクションでも『アベンジャーズ』に負けていたことに戸惑った。

『ジャスティス・リーグ』(7点)バットマン、スーパーマン、ワンダーウーマンが画面に登場して、なおも盛り上がりに欠けるのは、ひとえに悪役の薄っぺらさにある。悲愴な過去も苦悩も思想もなく、単純に破壊と侵略をやりたいだけ。まったく記憶に残らない。一番テンションが上がったのは、冒頭のテロリストから民衆を守るワンダーウーマンの戦いと、“寝起きの悪い”スーパーマンが混乱して味方を攻撃した際の内輪もめ。光速移動中のフラッシュをスーパーマンが目で追うカットが素晴らしかった。つまり、どちらもラスボスが絡んでいない。もっと敵に魅力を!

『カンフー・ヨガ』(3点)ジャッキー・チェン主演作品で最大の興行成績、「カンフー・ヨガ」という面白そうなタイトルに惹かれて正月の映画館へ。そして大混乱。(1)ジャッキーのカンフーがない。2012年の『ライジング・ドラゴン』でアクション俳優卒業を宣言しているとはいえ、タイトルがカンフーだから披露してくれるとばかり…(2)ヨガはまったく関係ない(3)美女ばかり登場し、前時代的に女性が商品のごとく撮影されている(4)編集が間に合わなかったのか、エンディング音楽が途中で切れ、無音のテロップを眺め続ける観客…。結局、「カンフー・ヨガ」のタイトルは、中国とインドの合作だから両者をイメージさせるカンフーとヨガを単純に合わせたようだ。ラストの僧侶との大規模ダンスは楽しかった。

『カーズ/クロスロード』(7点)…大人向けのカーズ第3作。マックィーンはレーサーからトレーナーとなる第二の人生へ。アニメは基本的に主人公が見守られながら成長するもの。第1作から11年が経ち、主人公が見守る側になったことが感慨深い。
●12月3日…この一年間に鑑賞した新旧映画47本(洋画36本、邦画11本)のレビューを脱稿!新作から順番に載せていきます。一部、過去の日記に書いた作品もありますが、加筆しているため再掲します。10点満点です!

【2018年公開作品】

『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』(9点)…「アベンジャーズ」にハズレなし、映画代を払ってお釣りが来るほどの大ボリューム。クライマックスが終わったと思ったら、もっと大きな超クライマックスがあり、その後に超々クライマックスが、そしてさらにという具合に冒頭から最後まで続く。過去のシリーズ18作品の伏線がすべてこの一本に集約された。悪役サノスは単なるクレイジーな破壊神ではなく、悲しみを感じることができる敵であり、そこが作品に深みを与えている。マイナス点はクライマックス・バトルのソーの長時間の不在と、スター・ロードのウザキャラ扱い。スター・ロード好きなのにあんな使い方しないで…。ヒーロー映画では前代未聞のラストに驚愕。
※鑑賞前にマーベル作品全18本を観ておくのがベターだけど、多忙な人は「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(続編“リミックス”ではなく、第1作の方)だけでも観ておこう。最凶の敵サノスはここから登場する。

『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』(9点)…シリーズ第6作。2時間半もあるのに、ずっと見せ場が続き殆ど休憩なし。どうやって撮影したのか分からないアクションばかり。パリ市内をバイクで疾走するカーチェイスとラストのヘリコプターのヘリチェイスが完全に異次元レベル。トムはもう50代半ばなのに畏敬の念を覚えるほど。ビルからビルに飛び移るアクションでトムは本当に骨折しており、そのシーンがそのまま使われている。なんという役者魂。アクションを観てるだけで泣かせるのはトムくらいでは。ストーリー自体はいつもの身内の裏切りだし、3年前の「ローグ・ネイション」の完全続編なのに、冒頭で前作の振り返りを挟んでくれないから、置いてけぼり感があった…それにもかかわらず、スーパーアクションでここまで高得点に。それくらい凄かった。

『犬ヶ島』(9点)…近未来の日本で猫派の市長の弾圧と戦う犬たち。世界観に慣れるまで距離を感じていたけど、不幸な少年アタリが涙を浮かべて「聞こえるかい?」って犬に話しかけるシーンから一気に引き込まれた。犬が「聞こえます、聞こえます」って…。野良犬のチーフが「俺は絶対に人間と“取ってこい”はやらないぞ」と言ってたのに、棒を取ってくるくだりが和む。犬たちがめっちゃ良い声してるのもGOOD。『七人の侍』テーマ曲でテンションが上がった。偏執的なまでの日本愛を炸裂させたウェス・アンダーソン監督は本作でベルリン映画祭銀熊賞(監督賞)を受賞!※ブルーレイを買ってしまった!オフ会でちょっと紹介します。

『レディ・プレイヤー1』(9点)…世代的に最高に面白かった!1980年代のポップカルチャーが全開、冒頭からヴァン・ヘイレンの「JUMP」が流れ、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアンや「AKIRA」のバイクが疾走し、あの時代に青春を送った人は300%楽しめる。女優フィービー・ケイツの名前を聞いたのは何十年ぶりだろう。4DXスクリーンで鑑賞したら、まるでUSJのライド・アトラクションに乗っているようだった。逆に、この映画を小さなテレビで鑑賞したり、中年以外の世代だと、ストーリーに既視感がある分、低い評価も出てくるだろう。事前にキューブリック監督のカルト・ホラー「シャイニング」、米SFアニメ「アイアン・ジャイアント」を観ておくとネタを最大限に楽しめて吉!4DXの「シャイニング」はヤバイ。ガンダムとかメカゴジラとか、もうほんとスピルバーグありがとう!週2日のネトゲ禁止にも賛成。

『アントマン&ワスプ』(7点)…目まぐるしく小さくなったり大きくなったりのサイズチェンジ・バトル。このアイデア満載&奇想天外なアクションシーンはアントマン・シリーズの醍醐味であり、それを存分に楽しめたので一定の満足はしている。だが、いかんせんストーリーが物足りない。ストーリーが弱いと他の部分が気になってくる。「このシーンも、あのシーンも、全部予告編で流してるヤツじゃん。予告編作った人、ネタバレふざけんな」とか、「マイケル・ペーニャの吹き替え声優さん、なんでこんな棒読みなんだ…」というように。声優さんはブラマヨ小杉さんだった。小杉さんは好きだけど、本編に集中できないほど声が気になってしまった…。ラストは「インフィニティ・ウォー」と繋がっていてテンション上がった。マイケル・ダグラス、ローレンス・フィッシュバーン、ミッシェル・ファイファー、キャストがあり得ないほど豪華。

『インクレディブル・ファミリー』(7点)…前作から14年ぶりの続編。夫(インクレディブル)が家事・育児に励み、妻(イラスティ・ガール)がヒーロー活動、これは時勢を反映していると思った。ジャックジャック(赤ちゃん)の覚醒は楽しかったけど、ダッシュとバイオレットの活躍をもっと見たかったなぁ。冒頭のバトルが一番楽しかった。逃げたアンダーマイヤーがパート3の敵に?バイオレットが幸せな恋愛を出来ますように。同時上映の短編「Bao」はなんと中国の一般家庭が舞台。ハリウッドにおける中国資本の影響力を象徴する作品だった。

『ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー』(3点)…何のために作ったのか。同じスピンオフでも『ローグ・ワン』はベイダー大暴れのサプライズがあった。このハン・ソロの地味なこと!スター・ウォーズでなければ平均点をあげてもいいけど、仮にもスター・ウォーズの名を掲げているのだから、他のSF作品と同じレベルでは駄目なんだ。主役があまりハリソン・フォードと似ていないのもマイナス点。
●12月2日…早朝5時ごろ、東の空に下弦の三日月と、明けの明星の金星が並んでおり、カメラを構えてツーショット。実に美しい。朝からいいものを見た。これまでずっと普通のデジカメを使っていたけど、故障したのでオリンパスに修理に出したら「部品がもうないので別のカメラと交換」と言われ、初めてミラーレスのカメラを手にした。普通のレンズと望遠レンズを取り替えたりするやつだ。不便だけど、プロのカメラマンにちょっと近づいたみたいでテンションあがった。
夏の南欧巡礼で3日目に故障したときは気絶しそうだったけど、あの故障がなければ、一生普通のデジカメを使っていたと思う。その意味ではオリンパスに感謝。

  
●12月1日…最近保存したツイートから。

HMA-04@HMA04
昔よく聞いた「幕末の日本人は機械の仕組や外国語はすぐ理解したが権利や自由といった概念はなかなか理解できなかった」という話が、今となっては別の文脈を持って現代社会に襲いかかってくるの不要な伏線回収すぎる

平野啓一郎@hiranok
「小生は彼ら(ナチス)に反対する旨を表明したことによって、なんと国家を、ドイツを侮辱したことになるのだそうです!彼らは、自分たちとドイツ国家を混同するという、信じられないような図太さを持っているのです!」(トーマス・マン 「ボン大学との往復書簡」1937年)

蓮池透@1955Toru
国会で私を「北朝鮮の工作員」呼ばわりした中山恭子氏。ご自分は、大層な工作をやっておられるではないか。/中山恭子氏、(日本のこころ)党支部解散の前日に交付金2億移動(読売新聞)

山下芳生@jcpyamashita
「どれだけ痛みがあるか。でも他に選択肢はありません」たどたどしい日本語で語り、日産で2万人以上のリストラを強行したカルロス・ゴーン氏。その目的が50億単位で私服を肥やすことだったとしたら、首を切られた労働者は浮かばれない。リストラすれば株価が上がる資本主義の腐朽を思う。

異邦人@Beriozka1917
水道管が老朽化しているならバンバン公費を投入して更新して下さいって話なんですが、自公維の三バカトリオは逆に民営化の口実に利用し、その妄動に政府広報NHKも加勢している有様です。カジノ万博に240億円も突っ込んだり、1兆円も使って100機もF-35を買うぐらいなら水道管新品にしろって話ですよ。

きっこ@kikko_no_blog
ソ連にぶん取られた北方四島の面積は、歯舞が11km2、色丹が249km2、国尻が1489km2、択捉が3167km2だ。安倍信三は「二島の返還」を優先させ、あたかも「半分」を取り戻すかのようにアピールしているが、安倍が取り戻そうとしている歯舞と色丹は北方四島の総面積の「わずか5パーセント」に過ぎない。

外教@yuantianlaoshi
もうみんな忘れてると思うが、2010年〜2012年頃の自民党の口癖は「財源は?」「バラマキだー」だったな。あの頃の自民党は、子供手当や高校無償化を潰そうとしたり震災時にはデマを流したり、今の野党と比較にならないレベルで政権の足を引っ張るためだけに存在してた。

柴山哲也@shibayama_t
まさか大阪に2度目の万博が来るとは予想しなかったが、考えてみると、ローマがオリンピックを辞退し、パリが万博を辞退した流れを見ると、大増税や財政破壊につなかがる巨大イベントを先進国は避けるようになったということだ。時代遅れの五輪や万博を有り難がるのは税にたかる連中だけではないのか。

ブルドッグ@Bulldog_noh8
生活保護費『不正受給』の77.9%は、高校生の娘のバイト代とか障害年金の申告が必要だと知らなかった世帯の、いわゆる申告漏れ。それを『不正』と呼ぶとして、その金額は平均で38万7千円(年間)。今回の片山さつき氏の訂正額はその15倍。

菅野完事務所@officeSugano
毎日新聞の見出しだと「片山さつき氏側、政治資金支出先に訂正要請も」なのに、同じ記事がYahoo!ニュースに行くと「片山氏 収支訂正4回目の背景」と、随分、片山さつきに優しい感じになるw買ったニュースの見出しを変えるのはヤフーの自由かもしれんが、こういうのを「印象操作」っていうんだよ。

mimipon@kiraranomimi
政府は「失踪した外国人実習生=悪い人」と印象操作して、入管法の改正だけパパッと決めてしまいたかったのでしょうが、野党が炙り出した実態は「失踪」ではなく「避難的逃走」か「緊急避難」と言える酷さ!それを無視して「安い労働力だけもっとほしい」と言う財界と政府のワガママ許しません

但馬問屋@wanpakutenshi
ミャンマーから来日された方が“技能実習生”の実態を語る。「日本についてすぐ、会社にパスポートを取られた。給与は月およそ8万円。半分を会社が持っていく。日本人と同じ仕事」。技能実習生の生の声を聞くべきと言われた安倍首相、“法務省がやることじゃん”と回答

タイガースとおる@uyctoru4903
「羅生門」録音の大谷巌さんがリマスター版の音を聞いて、「あ、俺の録った蝉の音がない」。頼むで、何でもかんでもきれいにしたらええのとちゃうでアメリカには蝉おらんし雑音にしか聞こえんのかも知れんけど。宮川一夫さんの溝口作品も、撮影監督協会で問題になってる。
●11月30日…占い師から誰にでも当てはまることを言われているのに、まるで自分だけにドンピシャの内容と思ってしまう現象に、心理学で名前がついていることをウィキで知った。「バーナム効果」というらしい。ウィキのページには例文として「あなたは他人から好かれたい、賞賛してほしいと思っており、それにかかわらず自己を批判する傾向にあります」「あなたはある程度の変化や多様性を好み、制約や限界に直面したときには不満を抱きます」などが載っている。ランダムに選ばれた星座占いの内容を10個読んで、「なんでこんなに自分のことが分かるんだ、この占い師はすごい」ってなりかけて笑った。別に射手座とか関係ないのに。
●11月29日…年末恒例、この一年間のシネマレビューを一挙執筆中。今年は『リメンバー・ミー』『グレイテスト・ショーマン』という超ド級の大収穫があった。
●11月28日…発売中の『音楽の友12月号』に「世界音楽家巡礼記(21)」を寄稿、今回は「異国に眠る亡命作曲家」としてラフマニノフとストラビンスキーを紹介。当初はバルトークも入れる予定だったけど、彼は没後にアメリカの墓地から祖国ハンガリーに改葬されたから“異国に眠る”ではなくなった。

ラフマニノフはチャイコフスキーに心酔していた。望郷の想いを抱きながら帰国を果たせなかったラフマニノフのために、アメリカ人ピアニストのヴァン・クライバーンが、冷戦中にロシアのチャイコフスキーの墓前から土を持ち帰り、ニューヨークのラフマニノフの墓前に撒いたエピソードはグッと来る。ラフマニノフは遺言でモスクワに眠ることを希望したのに、戦争の混乱で果たされなかった。

これまでストラビンスキーの曲と言えば、彼の3大バレエ曲『火の鳥』『ペトルーシュカ』『春の祭典』くらいしか聴いてなかったけど、執筆を機にほぼ全曲を聴いた。聴きまくった。僕は不協和音が爆裂する、いわゆる“前衛音楽”を聴くと体調を崩しそうになるので、積極的に聴いてこなかったけど、だんだんメロディーラインがないに等しい曲でも「響き」を楽しめるようになってきた。

〔当初は面食らった曲〕
『ピアノと管弦楽のためのムーブメンツ』(8分22秒)。ストラビンスキーいわく「この曲のリズム言語は自分の書いた曲のうちでもっとも進んだもの」。77歳の作品。

・『管弦楽のための変奏曲/変奏曲オルダス・ハクスリー追悼』(5分)。声楽以外では最後の作品かつ非常に難解。オルダス・ハクスリーは1932年にディストピア小説『すばらしい新世界』を発表し、機械文明の発達の中で尊厳を見失う人間たちを描いた。同作はジョージ・オーウェル『1984年』と並ぶアンチ・ユートピア小説の傑作として知られている。大戦中、ストラビンスキーが米国で亡命生活を始めた際の隣家の住人がハクスリーで家族ぐるみのつきあいをしていたので、死を悼んでこの曲を捧げた。82歳の作品とは思えない前衛っぷり。攻めてるなぁ。

/で、ストラビンスキーでどの曲が一番好みかというと、前衛派ファンから“ぬるい”と叱られそうだけど、彼がまだ前衛に爆進する前の、弦楽合奏のみで演奏されるバレエ音楽『ミューズを率いるアポロ』(32分)。46歳のときのもの。ぶっちゃけ、不協和音が少なく聴きやすい。時々たまらない和音が出てくる(この辺!)。なんかホッとした。彼はこういうのも書けるんだよね…。
僕も次第に後年の前衛作品にハマっていくのだろうか。前衛音楽ファンの人に22日のオフ会で魅力を語ってほしい〜。ちなみに振付を担当したジョージ・バランシンは本作で名声を確立した。
ストラビンスキーの墓は、彼の才能を見出し、世に出してくれたバレエ・リュスの主宰者ディアギレフの側(ヴェネチア)にある。

//いま某旅行会社さんと「墓マイラーとめぐるパリの墓地」という企画を進めている。これ、実現するといいなぁ。ショパン、ドラクロワ、ボードレール、スタンダール…芸術家や文豪の墓を案内&解説できたら最高。行くなら3月末に。
●11月27日…本日、衆院で外国人労働者受け入れ拡大を自民・公明・維新が強行採決。外国人労働者(技能実習生)がとんでもない低賃金(時給300円)でこき使われるなど、年間7千人が失踪している実態があるのに、そっちの労働環境の改善を放っておいて、事実上の移民解禁に突っ走る安倍政権。僕は原則移民に賛成だけど、それは日本人の労働環境が他の先進国と同等(残業ゼロ、有休全消化、大型夏休み3週間以上)になってからの話だ。現状は低賃金の維持に繋がってしまう。不況というけど日本の超富裕層は増加しており、ますます格差拡大が加速していく。
それにしても…日本は世にも珍しい移民賛成の右翼ばかり。保守論客の、この清々しいほどのダンマリっぷり。まさにビジネス右翼の面目躍如。なんなのか。ハッキリ書いておく、衆院で移民解禁をゴリ押ししたのは自民与党、拙速な解禁に反対したのは立憲民主、共産、社民。保守右派が推進し、左派が反対した。天皇陛下の退位声明のときも、陛下が恒久法を切実に求めていたのに、それを踏みにじって一代限りの限定法にしたのが右派保守、陛下の意向を尊重して恒久法にしようとしたのが左派。宗教カルト右翼が掲げる「愛国」の底の浅さよ。
●11月26日…大阪ジョジョ展、一般公開の初日第1回に昨日行ってきました!会場スペースの関係で東京展よりは規模がやや小さかったものの、逆にいえば12枚(十二神)の新作巨大絵画を数センチの距離で鑑賞でき、荒木先生の筆致を間近で感じることが出来ました。大阪の小さな会場でもボリュームある展示が可能と分かったので、あのスペースがあれば名古屋や福岡、北海道でも開催でき、全国巡回に道を開いたと言えます。
/東京展では売り切れて入手できなかった“家系図手ぬぐい”をゲットできて良かった。これ、ヴェルサス、リキエル、ウンガロまで載っててニンマリ。そして、やや値が張るけれどパーカーも妻を説得して買った。だって背中に各部ボスのイラストがあるんだもの、そりゃあ買うよ…。

//『ラストエンペラー』『暗殺の森』『1900年』『ラストタンゴ・イン・パリ』『暗殺のオペラ』『シェルタリング・スカイ』など傑作映画を数多く生み出したイタリア映画界の名匠ベルナルド・ベルトルッチ監督が他界。享年77。反ファシズムという信念を尊敬。独自の映像美、甘美な音楽、作家性の強いベルトルッチ・ワールドで映画ファンであることの喜びを何度も味わわせてくれた。心から哀悼の意を表します。
●11月25日…伝説のアメコミ原作者スタン・リーが今月12日に他界。95歳の大往生。1960年代にマーベル・コミックで『スパイダーマン』、『X-メン』などのスーパーヒーローコミックの原作を手がけ、マーベル・コミック発行責任者などを歴任。『アイアンマン』『ハルク』『マイティ・ソー』『ドクター・ストレンジ』『アベンジャーズ』など、すべてがスタン・リーの頭脳から生まれた。マーベル・コミックの実写映画版の製作総指揮などを務め、劇中に必ずカメオ出演する遊び心を持っていた。夢を与えてくれたことに感謝!
●11月24日…フランス・ロケから帰国!秋のパリは8時過ぎに日の出、9時にようやく街全体が明るくなる。気温は昼でも4度という日があり、かなり寒かった。番組の収録とはまったく関係なしに、自由行動で巡礼した墓がいくつかあり、その中で最も感動したのが女優ジャンヌ・モロー、そして画家ニコラ・ド・スタールの墓。

フランス映画界の巨匠フランソワ・トリュフォー、ルイ・マル、ゴダール作品に出演し、オーソン・ウェルズから「世界で最も偉大な女優」と讃えられたジャンヌ・モロー。昨年7月に他界し、一刻も早く墓参したかったが、その願いがかなった。墓所はトリュフォー監督が眠るモンマルトル墓地と知り、「トリュフォーの側に眠っていたら嬉しいな」、そう思って墓地を訪れると、なんとトリュフォーの2列背後という近距離に彼女は眠っていた!『突然炎のごとく』『黒衣の花嫁』でトリュフォー監督と組んだモロー。構えたデジカメのワンフレームに2人が収まって、胸が激アツでござった。ちなみに、ゴダールは存命、ルイ・マルは遺灰を家族が持ったまま墓を建てていない。
手前の黒い墓石がトリュフォー。
後方の白い花束がジャンヌ・モロー
秋の陽射しとジャンヌ。墓石にはあふ
れんばかりの献花、さすが大女優

そして、50歳最後に墓参したのが、ロシア出身の画家ニコラ・ド・スタール。ジョジョ荒木先生のお気に入り&露伴が熱くリスペクトしているド・スタール!ロシア貴族の子息ゆえ革命のため亡命、3歳で両親を失う。ベルギーで絵を学び、フランスで作品を発表。長い貧困生活を経て、後年高く評価され成功を手にしたにもかかわらず、「私は工場ではない、これでも出来るだけやっている」と苦悩、41歳でアトリエのテラスから投身自殺した。遺書には「絵を描きあげる力がなかった」。
彼はパリ郊外の墓地の一番奥に眠っている。墓前に立つと、墓石に置かれた絵筆のオブジェにちょうど夕陽が当たり、劇的な光景に見入った。露伴いわく「抽象画でありながら同時に風景画でもあってそのギリギリのせめぎ合いをテーマに描いている。こんな簡単な絵なのに光と奥行きと哀愁があって泣けるんだ。つまり『絵画』で心の究極に挑戦しているんだ」



ニコラ・ド・スタールは41歳で
自ら命を断った。人妻への
失恋が原因と言われている
日陰に位置した墓に、一瞬、ビルの窓
が反射した夕陽があたり、絵筆のオブ
ジェが輝いた。なんかもう泣きそうに!
「こんな簡単な絵なのに光と奥行きと哀愁があって泣けるんだ」(岸辺露伴)

//そんなこんなで、今日から51歳。信長“人間五十年”の時代なら、もうゴールイン。中世の人々にとってはボーナスタイムともいえ、生命を有効に使いたい。
●11月11日…明日12日から23日まで、北部フランスの墓巡礼に行ってきます。初めての海外テレビ・ロケ&初の冬の欧州。これは50歳イヤーの最後を飾る大きなもの。無事に巡礼が終われば、来年に放映される予定。これで最初の渡仏から約30年かかったフランス全土の墓参が一区切りに。次回のサイト更新は11/24になります!

//リンク先「旅の持ち物チェックリスト」「海外の運転の注意点」をアップ。
●11月10日…来月22日に年末恒例の読者交流会をやります!オフ会としては記念すべき30回目!近年はクジに外れて新年会になっていましたが、今年は4年ぶりに年末に当たった!詳細や申込みはリンク先から。下記、前回のオフ会の様子をレポートします!
参加者26人、“お薦めアート”をプレゼンしたのは18人。関西以外の参加者は、群馬、富山、東京、愛知。各自がプレゼンしたラインナップは以下の通り→

アール・ブリュット(無流派)の作品=アドルフ・ヴェルフリの絵画と、建築家フェルディナン・シュヴァルの理想宮/横溝正史角川文庫旧緑版全100巻コンプリート・アート作品としての“表紙絵”の魅力(画・杉本一文)/スウェーデンの作曲家クット・アッテルベリ「交響曲第2番」/アートとしての“うどん”/マヤ文明やトルテカ文明のメキシコの遺跡、ウシュマル、チェチェンイッツァ、テオティワカンなどのピラミッド/大河ドラマ「花の乱」の魅力/京都国立博物館「国宝展」、書の鑑賞/ウルトラマン・シリーズの歴史/松浦まさふみの漫画「アウターガンダム」/反田恭平演奏のショパン「別れの曲」/メアリー・シェリーの小説「フランケンシュタイン」/『新宿歌舞伎町俳句一家「屍派」アウトロー俳句』北大路翼編/脊椎動物門脊椎動物亜門両生綱に分類される動物のうち尻尾がない生き物(カエル)の世界/東京都町田市を舞台にしたローカルヒーロー『超伝神トライブレイバー』/寿限無(落語ドラマ)/ビーだま・ビーすけの大冒険(ピタゴラ装置)/ビートルズ:サージェントペパーロンリーハーツクラブバンド50周年CD/ラーメンズのコント「good day house」より"3rd.Floor"/ネット上で都市伝説を作っていくムーブメント「SCP Foundation」紹介


スイスの画家アドルフ・ヴェルフリ
病棟の独房の中で作品制作を開始
リンク先に作品の画像大量
この建築の作者シュヴァルは
郵便配達人!他の作品も超インパクト
フランスのガウディだ
アール・ブリュット=アウトサイダー・アートは強迫的幻視者、統合失調症患者などの作品で、正規の美術教育を受けていないケースが多い。作品に圧倒的存在感。
横溝正史130冊の表紙が並び壮観!
著者・横溝正史×装画者・杉本一文×角川文庫編集局の三位一体の
情熱の結晶こそが、日本出版史上至高のポップアートを産み出した  !

クラシック・ファンとして個人的に大収穫だったのが、スウェーデンの作曲家アッテルベリを知ったこと。右上画像では交響曲で最初にメロディーを演奏する楽器の分析がされており、ベートーヴェンの金管率0%に対し、アッテルベリは67%もあり、金管楽器を多用した作曲家と分かる。紹介された「交響曲第2番の第2楽章」はレコード会社が勝手に作ったコンセプト・アルバムに「地球への帰還」として使われている。実際、聴いてみると、惑星間航行を終えて久々に地球が見えたときの風景そのもの!宇宙船に乗ったことないのに窓から地球が見える曲!
※YouTubeリンク・第2楽章の頭出し済み
藤原行成の書の美しさを解説 胸に迫るアウトロー俳句プレゼン
アウトロー俳句から
「駐車場雪に土下座の跡残る」
「呼吸器と同じコンセントに聖樹(クリスマスツリー)」
各地のうどんを食べ「うどんは小麦粉と塩と水が作り出した“芸術品”!」
紹介があった「飲み込めないくらい固い、のどごしゼロのうどん」食べてみたい
本人撮影によるマヤ文明や
トルテカ文明の建築物解説
カエルLOVEを力説中!ジャンル
関係ないのもオフ会の魅力
参加者から大好評だった
ウルトラマン・シリーズの歴史
ご当地ローカルヒーロー
町田人(ちょうでんしん)=超電神
僕がメモったウルトラマン講座のトリビア
・ウルトラセブンのキングジョーは世界初のスーパーロボット
・「帰ってきたウルトラマン」は初代マンが帰ってくる設定だった
・ウルトラマンAの防衛チームは仲が悪く特撮で最低のチーム(笑)
・ウルトラマンティガは特撮初の初期からタイプチェンジ可能
・コスモスは劇場版で始まって劇場版で完結する唯一の作品
・ネクサスは主人公が最終回で初めて変身する

応仁の乱がテーマの異色作「花の乱」
視聴率は伸び悩んだが、役者は
市川團十郎、野村萬斎など超豪華
戦争の中で貫かれる人間性
シリアスな「アウターガンダム」

単なるモンスターものではない! ビートルズの超名盤から50年
息子はピタゴラ装置の名作解説 最後はバレエ「ボレロ」に皆で挑戦!

読者の皆さん、一緒にアートを味わいましょう!作品のプレゼン時間は1人15分、是非あなたのお気に入りアートをお聞かせ下さい。会場で待ってます!(*^_^*)
●11月9日…先日、NHKと民放の垣根を越えて、年間の傑作ドキュメンタリーを讃える放送がBSプレミアムであった。6本ほどオンエアされ、どれも力作ばかり、本当に見応えがあった。
(1)教科書から日本の戦争、黒歴史が次々と消えていく過程を追った「教育と愛国〜教科書でいま何が起きているのか」(50分)。取材を受けた保守派重鎮が「歴史から何も学ぶ必要がない」と断言したシーンにブッ飛んだ。大戦で死亡した日本兵の過半数は、戦死ではなく“餓死”。戦争指導者が補給を軽視し、無茶な命令を連発した結果なのに、「何も学ばなくていい」なら、それこそ無駄死にではないか。
(2)担当ディレクターが日テレを退職する前に作った『南京事件U』(全編 45分/ハイライト 7分)。テレビ史上初めて南京の虐殺をCGで描き、これまで日本兵の当時の日記、文字でしか知らなかった現場の状況が、映像で見ることで戦慄の体験となった。やっと何が揚子江の河岸で起きていたのか理解できた。
(3)最も衝撃を受けたのは、故樹木希林さんがナレーションを担当された反戦ドキュメンタリー『記憶の澱(おり)』(19分)。地上波では珍しい、旧日本軍の加害行為に触れた番組だった。空襲など被害の体験は伝えやすいが、加害の実態は語りにくいもの。この作品を完成させた山口放送のスタッフに心から敬意。自虐的とかじゃなく、知っておくべきこと。なぜならアジアの旅行客はこのことを知っているからだ。後半は沖縄戦にも言及している。
●11月8日…今回、アメリカの中間選挙をめぐる報道で最も驚いたことは、11/2の報ステが伝えた「アメリカの30歳未満の若い有権者は、社会主義に好意的な人の方が否定的な人より多い」という事実。戦後の赤狩り、レーガン時代のウルトラ反共など、アメリカ人にとって「社会主義=絶対悪」という共通認識があると思っていた。具体的には社会主義好意派が43%、否定派が26%、残りが態度保留か回答なし。両派は僅差ではなく、数年後には倍の差になっていそうな数字。
ただし、 ここでいう「社会主義」は目標を共産国家とする政治体系としての社会主義ではなく、北欧型の福祉国家。米国は自己責任論を徹底するあまり、税金を投入して福祉の充実をはかるという考えまで“社会主義”の枠に入ってしまている。なんせ、オバマが日本では当たり前の国民皆保険制度を導入しようとした時ですら、アメリカでは「社会主義の悪魔的平等政策を押しつけるな」と糾弾する人が大勢いたのだから…。



「超富裕層8人が36億人分の資産を所有」と極端に格差が広がった今、「資本主義でも社会主義でも若者が同じ貧乏になるなら、医療・教育が無料の社会主義“路線”がいい」ということらしい。富めるものはますます富み、貧しいものはさらなる貧困に堕ちていく超格差社会は、政治システムとして成功してるといえるのか、僕はそう思わない。

中間選挙の結果、米民主党が下院の過半数の議席を奪い返したことで、二大政党制がアメリカの若者に「変化は可能」と希望を与えているのを感じた。若い世代は、自分の投票行動で政治がひっくり返ることを実感しているだろう。
だからこそ思う。「日本の野党は不甲斐ない」「立憲民主は身内の不祥事に甘い」で終わるのではなく、そのダメダメな野党を育てなければならないと。アメリカのように、「政治不信を生めば、与党と野党は簡単に逆転する」という現実があれば、自民の議員にもっと緊張感が生まれるだろう。
政権転落の可能性を常に肌身で感じていれば、公文書偽造なんてあり得ないし、まして役人に自殺者が出ているのに、担当大臣が責任をとらずに続投するなんてこともない。野党が強くなるのは、与党にとっても良いこと。与党議員の劣化を防げるから。野党をバッシングして溜飲を下げて終了ではなく、健全な民主主義政治を行えるよう、日本には対抗勢力が必要とつくづく思う。
●11月7日…祝!アメリカ中間選挙、下院で民主党が過半数を奪還!29歳以下の若者の7割が「分断はもうウンザリ」と民主に投票したという。素晴らしすぎる!
●11月6日…ニコロ・パガニーニのほぼ全曲を聴き終わった。超絶技巧の連続、演奏シーンを動画で見てビックリした。ヴァイオリニストが1人でメロディーと伴奏をやっている!?右手で弓を動かしてメロディーを奏で、左手はピチカートで伴奏を刻んでいる。右手は同時に複数の弦を弾く重奏(ひとりハモり)もやってるし(汗)。
曲名は英国国歌による変奏曲『ゴッド・セイヴ・ザ・キング』 (3分41秒)。現在は「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」、英国の国歌はときの君主の性別によって曲名も歌詞も変わるらしい。
演奏者は中国のヴァイオリニスト、ニン・フェン。彼以外の演奏と聴き比べようと思ってYouTubeを検索しても、演奏動画をアップしているのはニン・フェンしかいないという…。
ニン・フェンではもう一曲、超絶技巧曲の無伴奏ヴァイオリン独奏曲『独奏ヴァイオリンのためのデュオ(Duo for One Violin)』 (2分23秒)の動画もアップされていた。

一方、たっぷりと歌心を込めた聴きやすい曲もあった。この『カンタービレ』 (4分)は繰り返し聞きたくなる。4分じゃ物足りない。
そして冒頭から引き込まれたのが『弦楽四重奏曲第1番』 (18分27秒)。良い曲なのに、なぜ音楽史で殆ど無視されているのか…。
●11月5日…漫画のアニメ化では原作の改悪が少なくないけど、ジョジョ5部アニメのオリジナルシーンは毎回素晴らしくスタッフに脱帽。第5話は原作の「眠れる奴隷」にリンクした、ミスタ「車どうするんだ」アバ「代車だよ」フーゴ「誰かさんがぶっ壊したから」の会話に鳥肌。クルーズ船の出港シーンの伏線、ナランチャの「スパライト」購入シーン、色々最高。毎週楽しみ過ぎる!
そして、ジョジョ愛爆裂の盟友DOR氏が5部アニメでも全話の放送スケジュールをエピタフ(未来予知)。リンク先のツイッター画像が放送カレンダーになっている。細かなズレはあるかもだけど、大まかにはこの進行でいくと思う。年末年始にプロシュート戦!バレンタイン付近でギアッチョ戦!GWにチョコラータ戦!最終回は6月下旬になる模様。楽しみですなぁ!
●11月4日…アメリカ中間選挙、米国民が2年間のトランプ政治をどうジャッジするか注視。敵と味方をハッキリ分けて対話が成り立たないほどの分断を作り、怒りや対立を煽るトランプの手法。これは米国だけじゃなく、日本でも欧州でも南米でも、ここ数年絶大な効果を得るようになってきた。この道の先になにがある。破滅的な暴力が待ってるだけだ。
●11月3日…先日NHKラジオ深夜便で話した第3回『世界お墓偉人伝』が11/7の18時までリンク先で試聴可能!巡礼中に出会っためっちゃ優しい人々の話!今回のトークに関連する画像を以下に貼っておきます!
ポーランド軍がくれたドーナツ ヒッチハイクOK!ロシアの婆ちゃん
大恩人のフレミングさん ヘミングウェイの墓

//日本シリーズ、ソフトバンクは強かった。今年こそ広島が日本一になってほしくて応援してたので残念至極。初戦は勝ったのになぁ。
●11月2日…作曲家のパガニーニは同時に天才ヴァイオリニストでもあり、残された作品はヴァイオリン曲が有名だけど、実は恋人の女性ギター奏者のためギター作品も多数作曲している。第37番までのギター・ソナタを全収録した『37のギター・ソナタ』(95分)をYouTubeで見つけ、作業BGMとして流している。重くないので時間帯を選ばず部屋に馴染む。交響曲やオペラはお腹いっぱいという時に良い。
※ギターとヴァイオリンという異色の組み合わせの楽曲(21分)もある。作曲時は10代後半。若者らしくのびのびとした曲。ギタリストの彼女と楽しくセッションしていたんだろう。

//やはり文春砲は第二弾の音声データを持っていたか。電話の声は片山さつき大臣に聞こえるが、本人が「喋った記憶がない」「自分の声かどうか分からない」と答弁する以上、早急に声紋鑑定にかけるべき。「口利き」疑惑に関与した私設秘書について大臣は「彼は私設秘書ではない」といいながら、参院を自由に出入りできる私設秘書用の通行証を長期間渡していたことも今日分かった。っていうか、リンク先によると文春との初期のやりとりで「既に私設秘書を退職した」と回答している。真っ黒やん…。

//2014年、「イスラム国」に約10カ月間拘束されたフランス人記者4人が解放された際、フランスのオランド大統領(当時)は4人の帰国を自ら空港で出迎え、「報道の自由に尽くす、優秀な同胞がいることを誇りに思う」と述べた。それが世界標準の反応。
それだけに、以下の記事は読んでるだけでしんどくなった。『安田純平会見に『バイキング』坂上忍、東国原、土田らがゲス全開バッシング!「シリアの話より反省聞かせろ」』。坂上、土田両氏は森友・加計問題で官邸批判ができる数少ないタレントなのに、この件に関しては戦地取材の重要性がすっぽり抜け落ちている。残念すぎる。
●11月1日…今日の国会答弁。移民について山下法相は「移民者に上限を設けない」というが、立憲民主の長妻議員は「受け入れ拡大より、技能実習生の待遇改善を」と主張。技能実習生に関して実質時給300円で長時間労働をさせ、寮からの逃亡を防ぐため外部と切り離すなど、現代の奴隷制度と大きな問題になっている。結果、技能実習生の失踪者は今年の1月〜6月だけで4279名に達している。昨年は一年間で7089名だったので、それを上回る勢い。長妻議員「このままでは死んでしまうの逃げざるを得ない、こういう現状をほったらかしておいて、技能実習制度は残したままどんどん入れていくのは非常に無責任」。まったくその通り。まずは労働環境の整備と、日本人と同等の賃金水準の確保を。






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