※NHKの衛星放送でオンエアされたアカデミー賞授賞式のハイライトでは、今回最大の注目を集めたマイケル・ムーア監督の「ブッシュ糾弾爆弾スピーチ」が根こそぎカット!(カットしたのは米国のTV局とのこと)今ここに、抗議の怒りを込めて授賞式を再現したいッ!

★緊急レビュー!第75回アカデミー賞授賞式
〜今回の授賞式はそこいらの映画を見ているよりも面白かった〜


「この非常時にお祭り騒ぎなどもってのほか」と、米国内で一部に中止すべきとの声が上がっていた今年のアカデミー賞。最終的に入場ゲートの赤絨毯(じゅうたん)を撤去し、過剰な演出は控えるという自主規制の下で3月24日に開催された。

今回の司会はコメディ俳優のスティーブ・マーティン。これでもかというウィットに富んだ司会ぶりは、間違いなくアカデミー賞史の伝説に残るであろう!
冒頭からジョークを連発。
「会場にはなじみの顔、才能ある方々が大勢いらっしゃいます。ふと考えてしまう…映画スターとはなんぞやと。映画スターもいろいろ。背の高い人、低い人。痩せている人やガリガリの人。民主党支持者もいれば…(この後10秒ほど口を開けて宙を見つめている)…あるいは痩せている人もいます」
むろん共和党のブッシュ政権に対するブラック・ギャグだ。カメラは爆笑しているデンゼル・ワシントンやメリル・ストリープの顔を捉える。続けて、
「若い人もいれば(舞台上のスクリーンに“シックス・センス”オスメント君が映る)、中年もいる(“レオン”ナタリー・ポートマン)。性的にストレートの人もいれば(ハリソン・フォードのアップ)、ゲイもいる(コワモテのジャック・ニコルソンにカメラ!)」
ニコルソンが調子に乗って眉を指で撫でるので会場がドッと沸いた。

「目立ちたがり屋の女優たちも、僕との“関係”については内緒にしてくれる」
この言葉を受けてカメラは場内のニコール・キッドマン、ハル・ベリー、レニー・ゼルヴィガー(“ブリジット・ジョーンズ”)らを思わせぶりに次々捉え、今年68才のジュリー・アンドリュース(“サウンド・オブ・ミュージック”)が映って大喝采。

「さあ、ここにいるのは勝ち組ばかりだが、今からそれは変わります。スピーチが長過ぎると灯りが点滅、続けてバンドの演奏が始まり、次は首に何かが刺さります。そうなったら光の方に歩いて下さい。ご先祖たちが迎えてくれるはず」

--マーティンが引っ込み、いよいよ各賞の発表へ!

最初がいきなり注目の長編アニメ映画賞。キャメロン・ディアスが登場し、『SPIRITED AWAY(千と千尋の神隠し)』と読み上げた。場内から歓声!
宮崎監督が出席しなかった為、ディアスは「アカデミーを代表して宮崎監督を祝福し、この賞を謹んでお預かりします」と続けた。受賞式の映像は永久に残るので、個人的には出席して欲しかったけど、「今、世界は大変不幸な事態を迎えているので、受賞を素直に喜べないのが非常に悲しい。(オスカー像を持って)嬉しそうな顔を見せるのは辛い」という欠席理由はいかにも宮崎氏らしく、納得。
米国内の事前予想では、ディズニーの『リロ&スティッチ』が最有力視されていた。何でもNO.1が大好きなアメリカ人が、自国のアニメより外国産アニメを高く評価するとは思えなかったので、この結果には正直驚いた。

そもそも長編アニメ映画賞はディズニーが音頭をとって昨年設立されたもの。にもかかわらず、去年はドリームワークスの『シュレック』に、今年はジブリに持っていかれ、『リロ…』の大宣伝攻勢をかけていたディズニーは地団駄を踏んでいるだろう(『リロ…』は凶悪モンスターと少女の友情を描いた、笑いあり涙ありのとても出来の良い映画で、実は僕も涙腺が何度も決壊した。しかし、イマジネーションの点で『千と千尋…』に惜しくも及ばなかった)。
『千と千尋…』は全米の約150館で上映されていたが、先週の時点では7館だけになっていた。それが、受賞を受けて急遽800館に拡大公開されるという。賞の効果は絶大だね。(これでナウシカやラピュタにも光が当たるといいな!)

※宮崎監督の『千と千尋の神隠し』公開時のコメント。
「支配者であり権力者である湯婆婆を、ただ懲らしめれば話が終わるようなものを作りたくなかったんです。誰かを槍玉にあげて、アイツは悪人だからアイツをやっつければ世界が平和になるって映画はね、それだけは作りたくない。それは最低だと思う。エンターテイメントだから“そうしなければいけない”っていう壁を、何とかして破りたいと思ってジブリはやってきたつもりなんです。悪人をやっつけてカタルシスを得るっていうのはね、時代が問題の把握の仕方を誤らせるんじゃないかと。そういう映画を見たり、そういうモノを見て育った人間たちは、そんな風に世界を考えると思うんです」

●以下、全18部門の中で特に印象に残ったスピーチを紹介。とにかく、イラク戦争に関するスピーチが目立った。

助演男優賞は52才のクリス・クーパー。映画デビューは36才と遅く、そこから個性派の脇役として下積みを続けて念願のオスカーだ。スピーチが胸を打った。
「アカデミー協会から生んでくれた母までありがとう。優れた候補者(ノミネートは5人)の仲間入りが出来て光栄です。妻のマリアン…苦労をかけたね。そして…世界が大きな問題を抱えている今、皆に平和が訪れますように」
クリス・クーパーは途中から涙声。口元が震えていた。

作曲賞はメキシコの女流画家フリーダ・カーロをモデルにした映画『フリーダ』のエリオット・ゴールデンサール。彼は“エイリアン3”や“インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア”などを担当し、4度もノミネートされている。5度目の正直となった。
「僕達はこの映画でメキシコとの架け橋を築きたいと思いました。この賞をメキシコの偉大な芸術的・政治的遺産に捧げます」

作曲賞の『フリーダ』からのナンバー“バーン・イット・ブルー”を紹介した際の、若手俳優ガエル・ガルシア・ベルナルのスピーチ。
「フリーダは夢ではなく現実を描きました。彼女は現実を良く知っていました。フリーダが生きていたら間違いなく平和を主張したでしょう」
“バーン・イット・ブルー”は雄大かつドラマチックな楽曲で、ブラジルとメキシコの歌手がステージで熱唱し、全身に鳥肌が立ちまくった。サントラは買いだ!

音響編集賞は『ロード・オブ・ザ・リング』の2人のエンジニア。
「世界は今狂気に満ちています。そんな中でも才能溢れるチームと仕事ができ光栄です。共に心血を注ぎ作業したニュージーランドの仲間に感謝します」

撮影賞プレゼンターのジュリア・ロバーツのスピーチはユニーク。
「撮影賞の紹介が出来て光栄です。朝5時に撮影に行く時、自分がどんな顔してるか知ってるから、撮影賞には意義があると思えるのです」

テレビで反戦CMを流したスーザン・サランドンは、壇上でどんなスピーチをするのか注目されたが、あえて何も語らず、毅然とピース・サインすることで考えを表明していた。(それはそれでカッコ良かった)

歌曲賞のプレゼンターはバーブラ・ストライサンド。
「歌は驚くべきものです。苦痛、情熱、称賛、抗議、何でも歌で伝えられます。この国でアーティストを含め全市民に表現の自由があることを誇りに思います」

名誉賞に輝いた70歳のピーター・オトゥール(“アラビアのロレンス”など)
「いつも候補者止まりなんて、もう言わせません。ようやくオスカーを貰ったので、封筒が開く時の不安とはお別れです」

アカデミー協会の会長フランク・ビアソン。
「海外にいる兵士の皆さんが早く安全に帰国できますように。そしてイラク国民の皆さんにも早く平和が訪れるよう祈っています」

脚本賞は『トーク・トゥ・ハー』のペドロ・アルモドヴァル(スペインの名監督)
が受賞した。
「この賞を平和、人権、民主主義、国際法を護る為に立ち上がっている人達に捧げます。生きることに必要な要素を護っている人々に捧げたいのです」

主演女優賞のニコール・キッドマン。
「戦争中のアカデミー賞に対する疑問の声も聞かれますが、アートは大切です。この仕事に信念を持っているし、それに敬意を表したい」
彼女の言葉“アート・イズ・インポータント”を僕も全肯定!!

主演男優賞は『戦場のピアニスト』のエイドリアン・ブロディ。
「皆さんに感謝します。(授賞式を控えて)不眠症や不安による発作を除けば、素晴らしい体験をさせてもらいました(会場ウケる)。エンドロールをご覧になりましたか?いかに大勢の人間が携わっているか。その一人一人に感謝します。この作品は皆の努力の結晶です。(“巻き”の音楽が流れる)待って、ちょっと待って。音楽を止めて。今しか言えないから。今夜こうして喜びに包まれながらも、胸の中は哀しみで一杯です…このような時期に受賞して。私はこの映画に関わる事で、いかに戦争が悲しく、個人の人間性を踏みにじるかを痛感しました。あなたが信じる神がどんな名前であれ、神のご加護がありますように。この戦争の平和的で迅速な解決を祈りましょう」
最後の“あなたが信じる神がどんな名前であれ、神のご加護がありますように”は良い言葉だね!


今回の授賞式、いや全75回のアカデミー賞史の中で最大のセンセーションを巻き起こしたのが『ボウリング・フォー・コロンバイン』で長編ドキュメンタリー賞を受賞したマイケル・ムーア監督のスピーチだ!!
プレゼンターのダイアン・レインが作品名を絶叫した瞬間、全出席者が総立ちになり大きな拍手が沸き起こった。これは極めて異例なことだ。巨匠と呼ばれる監督や往年の大女優が受賞した場合に会場が総立ちになることはあるが、40代のドキュメンタリー監督がスタンディング・オベーションを受けたのにはおったまげた!

マイケル・ムーア監督はベストセラーとなった“アホでマヌケなアメリカ白人”の著者でもある。ホワイトハウスが公式に「危険人物」と評する反権力の塊だ。オスカーに輝いたこの『ボウリング・フォー・コロンバイン』は、銃社会の問題を鋭く告発した記録映画で、アメリカ白人社会の病巣を徹底的にえぐり出している。
ムーア監督は日常的に右翼から脅迫されており、いつ暗殺されてもおかしくない状態だが、相変わらず命知らずの言動を繰り返しているスーパー・パワフルなオッサンだ。

万雷の拍手に迎えられたムーア監督は、長編ドキュメンタリー賞にノミネートされた他の候補者らも舞台に上げた。会場はいったい彼がどんなスピーチをするのかと耳を澄まし、緊迫した空気が張り詰める。授賞式は生放送なのでカット不可能。全米はもちろん、世界中に同時中継されている。
彼は静かに口を開いたが、それはすぐに雄叫びへ変わった!

「我々は全員ノンフィクションを愛する者です。しかし今はウソ偽りの時代だ。インチキな選挙で選ばれた偽者の大統領の時代だ!大統領はウソの根拠で国民を戦場へ送り出している!どんな偽りを並べ立てようと我々は断固この戦争に反対する!ブッシュは恥を知れ!恥を!ローマ法王(※1)とディクシー・チックス(※2)を敵に回したら貴様は終わりだッ!!」

言ってしまった。
ムーア監督はブッシュのことを“プレジデント・ブッシュ”ではなく“ミスター・ブッシュ”と呼び、幾度も
「シェイム・オン・ユー、ミスター・ブッシュ!」
と拳を突き上げ罵倒した。会場にはブーイングの嵐と大喝采が同時に起こり、蜂の巣をつついたように騒然となった。
客席の俳優たちの表情も千差万別。唖然として口を開けてる者、ニヤニヤ見つめてる者、奇声をあげてる者…。満面の笑顔だったのがハリソン・フォード。拍手していたのはリチャード・ギアやスコセッシ監督、暖かい笑みを送っていたのがキッドマンやルイス・ゴセット・Jr。聞き入ってるのはエド・ハリスにD・ワシントン(大物俳優でブーイングしている者は一人もいなかった)。

ムーア監督のスピーチはバンドの演奏が始まり強制終了!退場後に登場した司会のスティーブ・マーティンの場のつなぎ方が、これまたサイコーだった。
「今、舞台裏でムーア監督が“連中”に車のトランクへ詰め込まれました」
J・ニコルソンとM・ストリープは天を向いてバカウケ。ニコラス・ケイジ、ダスティン・ホフマン、クリストファー・ウォーケンらの笑顔をカメラは続けて捉えた。

(※1)ローマ法王の発言
キリスト教世界の象徴的存在、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世は、米英に対して以下のように即時停戦を要求した。
「イラク戦争は人類全体の運命を脅かすものだ。暴力と武器で国家間の問題を解決することは、絶対に出来ない」
法王はまた、ブッシュが演説で何度も“神のご加護を”“神の祝福あれ”と神の名を引き合いに出すことにも抗議した。自らを「極めて信心深いクリスチャン」と公言してはばからないブッシュだが、イスラム教徒の目にも、ブッシュはキリスト教を侮辱していると映るだろう。

(※2)ディクシー・チックスの発言
ディクシー・チックスはテキサス出身の女性3人組のカントリー・バンドで、米国では国民的人気を誇っている。98年にファースト・アルバムを出して以来、発売された3枚のアルバムがそれぞれ1000万枚(100万枚じゃないよ)、合計3000万枚以上のメガ・セールスを記録したモンスター・グループだ。当然グラミー賞も獲りまくり。ツアー・チケットは発売当日に86万7千枚も売れ、これは1日の売り上げ記録として、マドンナ、ストーンズ、U2、P・マッカートニーらを抜き全米新記録となった。(チケットの総売上60億円!)
そんな彼女らが次のように意見を表明した--
「みんな、分かってると思うけど、私達は同じテキサス出身のアメリカ大統領を恥ずかしく思ってるわ」(ライブにて)
「何週間もツアーで海外にいて、外部からアメリカを見た私達は、大統領がどれだけ世界の国々から孤立しているか分かったの」(公式サイトにて)
カントリーは米国人にとって日本でいう演歌のような国民音楽。特に南部の保守層には絶大な人気がある。それだけに上記の発言は“裏切られた”という気持を保守層に与え、全米各地でディクシー・チックスのCDをトラクターで踏み潰したり、ラジオ局がオンエアを拒否するなど騒動になっている。
リード・ヴォーカルのナタリー・メインズは弁明のコメントを出すハメになったが、これがまた上手い。
「アメリカ市民として私がした発言は尊敬を欠くものであり、ブッシュ大統領に謝罪します。大統領の職務には、“その人が誰であれ”最高の敬意を払うべきです」
つまり、人物ではなく「職務」に敬意を払うというわけだ。

さて、授賞式も終わりに近づき、マーティンのギャグも佳境に。
「ここまでの受賞者を見て、ある傾向に気づきました。なんと全員ノミネートされているのです!」

オオトリは作品賞。プレゼンターはカーク&マイケル・ダグラス親子。
「これにて皆さん、発表前の不安から解放されますよ」
2人が一緒に叫んだ映画のタイトルは『シカゴ』!オスカー像を受け取ったのは老製作者のマーティン・リチャーズ。
「長い道のりでした。私の肩には2人の天使がいつも座っているのです。愛しい妻と今は亡き(仕事の)パートナー、ロバート・フライヤー。やってこれたのは、彼らのおかげです」

「これでようやく折り返し地点を過ぎました」
マーティンは最後までユーモアを忘れない。
約4時間に及んだ全18部門の授賞式はこうして終わった。(ちなみに第1回の式典は4分22秒で終了。出席者は今回の3500人に対してわずか200人)


●授賞式が終わった後のムーア監督のインタビュー。

Q 「授賞式でなぜあんなことを言ったのですか?」
A 「私はアメリカ人だからだ。この国は自由な発言の権利を認めている。私は仕事でも私生活でも言いたいことを言ってきた。今日もそうしただけだ。スピーチ中に照明が消えなくて良かったよ。明るくなった時に“おい、ムーアが撃たれてるぜ!”ってならなくてね。ハハハ。私があそこで自分の考えを言わないのは責任の放棄だ。選んでくれた人々だって、私が受賞挨拶で他の俳優のように映画関係者に礼を言うだけだとは思わなかったはずだ」

Q 「会場では大きなブーイングが聞こえましたね」
A 「いや、でかい声でブーイングしてたのは5人だけだ。ホワイトハウスが作り出した恐怖や、アメリカ株式会社が作り出した暴力の文化、国内と海外での暴力、それを追及した私の映画にみんな立ち上がって喝采していたじゃないか。アメリカ人はこの地球上のどの国よりも、遥かに高い頻度でお互いに殺しあっている」

Q 「この町も国も2つに別れているとは思いませんか?」
A 「この国は団結している。大多数のアメリカ人は若い男女がこの戦争で死ぬところは見たくないと思っている。過半数のアメリカ人は今、ホワイトハウスに座っている人間に投票していない。彼がホワイトハウスを出るまで、私はこのことを言い続ける。われわれの民主主義はハイジャックされ、不法居住者が(ワシントンD.C.)ペンシルバニア通り1600番に住んでいるんだ」

Q 「ハリウッドの“赤狩り”リストに入ることは心配でないですか?」
A 「私は真実を言っただけだ。申し訳ないが、他に何と言えばいいのか」

Q 「最後に。あなたの発言はハリウッドの評判を落としたという人がいますが?」
A 「そうは思わない。私は多数派だ。式典では大勢でステージに上がったが、あれは生中継のCMの間に、“もし自分が受賞したら一緒に舞台に上がってくれないか、私は戦争に反対し大統領批判をするつもりだから、覚悟した人だけ来て欲しい”と言ったうえでのことだ。それに、私が書いた本は去年出版
されたどのノンフィクションよりも売れ、50週以上もベストセラーになり支持されている。ノンフィクションは、世界にはびこっているインチキの真実を暴くために重要だ。最近は“なくてはならないもの”になった。我々は国を取り返さねばならない。私はこの国を愛し、民主主義を愛している。ありがとう」

(ムーア著“アホでマヌケなアメリカ白人”から)
『ジョージ・W・ブッシュ、合衆国の“大統領”、泥棒のボスだ。俺は人質に取られた2億3400万人のアメリカ人に成り代わって、こう訴える−「NATOは直ちに、自分たちがボスニアとコソボでやったこと(空爆)を、アメリカがハイチでやったことを、今ここでやってくれ」と。海兵隊を送れ!スカッドミサイルを打ち込んでくれ!俺は国連のアナン事務総長に嘆願する。俺たちはもはや、自らの国を治めたり、自由で公正な選挙を行なう能力はない。俺たちには国連の監視員、国連軍、国連決議が必要なんだ!』


●授賞式を観終わって

一番強く感じたことは、アメリカという国の懐の深さだ。マイケル・ムーアがどんな人物か十分に分かったうえで、アカデミー協会は彼にオスカーを授け、壇上でスピーチをする機会を与えた。物議をかもすことは目に見えていたにもかかわらずだ。米政府を徹底批判することで、逆にそこまで言論の自由があるアメリカが、どんなに素晴らしい国かを伝えることになったと思う。(…と、ここまで書いたら、米軍の作戦を批判した新聞記者がクビになったというニュース。ほんと、一筋縄ではいかない国だ)。
とにかく、僕にとって今回の授賞式は、映画ファンとしてより、一人の人間として忘れられないものになった!

(P.S.)長編ドキュメンタリー賞の発表は順番でいうと真ん中あたりです。文の量が多くなったので、後半にまとめて紹介しました。

(P.S.2)俳優たちの反戦運動を少しピックアップ。ロスでマット・デイモン、スーザン・サランドン、ティム・ロビンス、マーティン・スコセッシ、キム・ベイシンガーらがピース・デモ。ジョージ・クルーニー、マーティン・シーンはブッシュを”愚か者”と断罪。最も過激なのはショーン・ペン。ワシントンポストの紙面を買い取り、イラク侵攻をもくろむブッシュに対して抗議文を掲載しただけでなく、直接バクダッドに足を運び、現地で米政府へ抗議運動を繰り広げた。


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