南半球で一番高い建造物からバンジー




SKY JUMP 192m

なぜこんなことに挑戦したのか。生物は本能で危険を避けると言われているのに、どうしてわざわざ高いお金を払い
スリルを買うのか。2005年初春、僕がニュージーランドを訪れた目的は、先住民マオリ族の墓文化(ハカルチャー)
を取材する為だった。このとき滞在していたオークランドのド真ン中に、南半球一高い建造物『スカイタワー』が
そびえており、ガイドブックには、このタワーの展望台の上からバンジーができると書かれていた。
バンジーと聞いただけでも怖いのに、南半球一高いなんていわれたら超ブルッちまう…。でも一番怖いヤツを勇気
出して体験しておけば、この先の人生、大抵のことが「あの時の恐怖よりマシ」って平気になるハズだから、
思い切って腹をくくった。まずは偵察をかねてスカイタワーへ向かう。




ゴゴゴゴゴ… ハチョーッ!あれが展望台ッ!

スカイタワーのてっぺんは高さ382メートル。ジャンプ地点の展望台の上は192メートルの場所だ。当初は偵察のみのつもりだったけど、「雨天、強風の場合は中止します」という注意書きを読んで、もしここで先送りして滞在中ずっと強風だったら後悔すると思ってチョ〜迷った。そして、受付の人に、1日何名がトライするのかそれとなく聞いてみた。平均30名くらいとの返事。スカイタワーは1997年に完成したから、それから8年=2920日が経っている。つまり、これまで2920日X30人で87600人が単純計算で飛んだことになる!約9万人が飛んでも無事故ということは信用してまず間違いはないだろう。「ドリャーッ!」と申し込んでしまった。



先にお金を払う。料金は195NZドル!
円換算で約1万4千円強とかなり高額だ
なんか、レジの背後にとんでもない高さからダイブしてる
ポスターがあったけど、こ、これってきっと合成写真だよね

申し込むと、何か長い誓約書にサインさせられた。「“もしも”のことがあっても文句は言いません」と書いてあった。
“何でこんな誓約書があるんだ!?”と、この紙のおかげで勇気がくじけそうになった。また、係員から「途中で怖気づいて
ジャンプを中止してもいいけど、その時はお金が戻って来ませんがいいですか?」と確認された。うーむ、り…了解。


申し込み後、カウンターの側にあったモニターを見て青ざめる。ジャンプ台が映ってたけど…ほとんど「空」だ…(滝汗)








この赤い二重丸のヘリポートのような部分が、バンジー・ジャンパーの着地ポイントだ





「じょ、冗談だろう!?」途中の展望台で既にこの高さ!ジャンプ台はここからさらに上!

スカイタワーの巨大な影が街に落ちる

ハッキリ言おう。多少のスリルを味わいたくてバンジーにトライしたが、ここまでの恐怖を味わうつもりはなかった。
この高さは、限度を超えている。


マジでこのタワーより高い建物がひとつもない! これを飛べと言うのかッ!ワイヤー1本でッ!!













これも途中の展望台から撮影。黄色の枠内が着地ポイント。あんなに小さく見える!




















マッチョな彼が「3、2、1、GO!」
と号令をかけ背中を叩き押す
足元の景色からも、「あり得ない高さ」というのが分かってもらえると思う…!
写真では分からないが、
ものすごい強風だ。
カラ元気。足は超ガクガク

インストラクターの話では、このジャンプ台まできてしゃがみ込んでしまい、「1万4千円がパーになっても
いいから」と、バンジーを断念する人が少なくないという。僕は現実逃避作戦、つまり自己暗示をかけた--
“これはマトリックスだ…マトリックスの世界での出来事なんだ…これは現実じゃない…”

何が怖いって、「ヒア、デンジャラス」「ビー・ケアフル」とかいろいろ重要な注意事項を言ってくるんだけど、
当然全部英語の説明だし、早口だし具体的に何を言ってるのかサッパリ分からず、注意点が不明のまま
飛ぶのが怖かった!
嫁さんや両親、身近な人の顔が次々と浮かんだ。“オ…オレはとんだ大馬鹿者だ!勝手なことしてゴメン!”




Mr.マッチョは“躊躇(ちゅうちょ)してると余計に危ないからイッキに行け”みたいなことを
言ってた(ような気がした)。背後でカウントダウンが始まる。もう後には引けない。「3…2…1…」

 

「GO!!」ジャンプ!!ホゲーッ!!


飛んだ瞬間も現実逃避は続いていて、マトリックスの後は『風の谷のナウシカ』作戦を敢行した。足がジャンプ台から
離れた時に僕が口に出した言葉は「さあ、森へおかえり!」。僕は羽ばたいた。

人は今際の際に走馬灯の如く人生を思い出すという。僕も幼稚園の時に初めて犬のフンを踏んだ記憶や、中学の
時に自分で買ったチョコを自分でラッピングして机に入れ親友に自慢したバレンタインの虚しい記憶が次々と
フラッシュバックで甦った。



  

スーッ…気を失いそうだった



「ガクン!」なんと落ち始めた後、インストラクターがワイヤーをいったん止めて
記念写真をパチリ。あとでキッチリ25NZドル(約2千円)で売ってきた






最後は蓑虫のようにブ〜ラブラ 着地ポイントには空を見上げる観光客

飛び終わった後も、しばらく足がガクガク震えていた。係員のオバサンに自分の手首の脈を測るフリをして
とっても怖かったことを伝えると、オバサンは穏やかな笑顔で「But,you did」。握手を交わした。
正直言って、自分が20代の頃なら不測の事態を考えて飛べなかったと思う。30代後半になったからこそ、
“ある程度は生きたし”って飛べたような気がする。
とにかく、よくテレビで見るような、橋の上から川へ向かってのバンジーなら、最悪でも下は水だけど、
コンクリートの地面に向かってビルの間を飛ぶ恐怖は、空前絶後のものがあった。



(おまけ〜“逆バンジー”にも挑戦してみた)

もう恐怖神経が破壊されたのか、僕は続けて“逆バンジー”にも挑戦した。逆バンジーとは、
ゴムパチンコの原理で人間が空高く飛ばされ、自由落下を楽しむ特殊バンジーだ

スカイタワーのすぐ近くにある 三人は運命共同体 「ブシュン!」かなり高く飛ばされた!



上下に跳ねるだけじゃなく、グルグル回転するので怖さも倍増(でもスカイジャンプの後では平気の平左衛門)





(あの高さから落ちたのか…)

さらばスカイタワー。人生よありがとう。



結論。あのポスターは合成じゃなかった。







愛と狂気のメインページに戻る

【最新ランク】 DVDトップ100 本のベストセラー100 音楽CDトップ100 玩具のトップ100/(GAME)