〜神は実在した〜
荒木飛呂彦先生・講演会ルポ
(in名古屋 2006年6月24日)



 

鼻血!ジョジョを映しながら、あの荒木先生が喋っておられる!

●座席指定券をゲットせよ!

愛知の東海中学・高校で催される『サタデープログラム』(誰でも受講可能)に荒木先生が講師として
登場!会場の定員は一般1500名+生徒200名の1700名(先着順、なんと無料)。何が何でも受講
したくて前日から名古屋のカプセルホテルに宿泊し、4時45分に宿を出発!始発で会場を目指す!




 

全国各地から宿にジョジョ・ファンが集まり、前夜から盛り上がり
まくり。初対面でも「これぞ引力」と速攻で意気投合!香川県から
きた若者は、ジョルノと一緒の15歳で誕生日も同じ4月16日!
最愛のキャラを聞いたら「アバッキオ。理由は彼が一番成長
したから」と黄金回答。まったく、たいした四国の少年だった!
晴天!週間天気予報は雨だったのでこれに
は感動。宿泊組でJOJOトークをしながら
地下鉄に向かう。皆の人気キャラはジョナサン、
億泰、ワムウ、しのぶさん(笑)、などなど

ユニクロのジョジョTシャツ
を着てる人をたくさん乗せた
始発列車。お互いに恥ずか
しいやら嬉しいやら、微妙な
空気に包まれる (*^v^*)




“既に1500名いるはずない”と思い
つつも、駅を出ると自然と早足に
バーン!朝5時45分でこの行列! 自転車や夜行バス&タクシーで来た人は
始発組みよりも早く着いてた!(100人前後)

 
「7時の開門までもうちょっと」「ウズウズ」

 



「やった開門だ!待ってました!」と喜んだものの、ここからがまた長かった。座席券の配布は
8時半から。このスシ詰めの状態で1時間半!これは辛かった。隣の男性は富山からきたという
「あ、ガッツのGだ」
と誰かがポツリ

 

座席指定券ゲット!前から6列目ッ!


  

壇上のスクリーンには第1巻の表紙!先生が登場した瞬間、1700人を包む空気が沸騰した!
破れたジーンズをはきこなす先生。46歳には絶対に見えない!「先生は波紋呼吸法を
マスターしておられる」「石仮面を被ったのか!?」、様々な声が会場から聞こえた(笑)

※熱狂的な拍手で迎えられる先生

(デジカメ動画、25秒。講座の録画はNGなので最初の拍手だけ。でもこれで会場の熱気は伝わると思いますーッ!!)



★以下、会場の暗闇でメモした荒木先生の言葉を要約して紹介!

12時45分、講座スタート!!

はじめに、今日“なぜ来たか”という話からスタート。「立派なことを言うようですが、若い頃は自分や出版社の利益の為に描いていたけど、今は読者への恩返しという感謝の気持から描いています。この講演の依頼は編集部の隅に小さく貼られていました。編集の人は“先生、こんなの来てますけど。行かなくていいですよ、お金にならないし、名古屋で遠いし”とのこと。でもよく考えたら、中学生に
来て欲しいって言われてるのは、感謝しないといけないことだと思ったのです。どうせ30人くらいの教室でやるんだろうと思って“いいッスよ”って答えました。今日来たらすごいことになっていて、ちょ、話が違うなって(笑)。ほんと、こんなに来て頂けて感謝しています」(場内笑)

続いて生い立ちトーク。「子どもの頃からマンガを描くのが好きで、小学生の時に友達が“この絵ちょうだい”って誉めてくれたのがすごく嬉しかった。このファン第1号の言葉をきっかけに“いつか漫画家になりたい”って思ってたら、高校生の時に同じ17歳のゆでたまごが『キン肉マン』でデビューして衝撃を受けたんです。さらに桂正和という年下の漫画家が現れ、北条司、こせきこうじなど怒涛の如くデビューして、すごく焦りました。僕は高1の頃から投稿していましたが、いつもボツ。

で、20歳の時に自分の作品のどこがいけないのか直接編集部で聞こうと思って、デビュー作となる『武装ポーカー』を持って仙台から上京しました。最初はサンデー編集部に持ち込むつもりだったけれど、小学館のビルがあまりに立派でビビッてしまって、当時は小さかった集英社が近くにあったので先にそっちへ行きました」(場内爆笑)

※『武装ポーカー』は第20回手塚賞の準入選となり、晴れてジャンプに掲載された。
●参考動画『20歳の時の荒木先生と手塚先生』(1分39秒)
※動画の中で手塚先生が石ノ森先生のことを「あの程度」って言ってるのは悪い意味じゃなくて、東北から出た漫画家は“彼がいる程度”っていう意味の“あの程度”なので、お間違いなく〜!(汗)

「エネルギーを絵に出来ないかなぁ、そう考えて生まれたのが“波紋”です」「スタンドのアイデアは、
なかなか編集者に理解されなくて、“守護霊みたいなのが出てきて物を割りに行かせるんですよ”って説明してました(笑)」「側に立つからスタンド。“スタンド・バイ・ミー”みたいな(笑)」


★写真撮影に関して会場のスタッフの生徒さんに尋ねたところ「大丈夫と思います」との返事。とはいえ荒木先生に
失礼にならぬよう、フラッシュをたかずシャッター音を消して撮りました。実際、会場はフラッシュの洪水&携帯で
撮っている人のシャッター音が響きまくり。フラッシュは勿論、携帯のシャッター音はもうちょっと気をつけた方が…。
※追記…当サイトはアップ後にスタッフの方に目を通して頂きパスしています。


★マンガの奥の深さを語る



「たとえば美術の先生にこの真っ白なスケッチブックを提出して“雪です”って言ったら怒られるけれど、
マンガという表現形態では、この絵に“俺の心は真っ白…虚しい”とセリフを入れるだけで成り立ちます」



「これはバーネット・ニューマンという方の現代アート。シンプルだけど、これがニューマンの
個性と認知されているから、世間は芸術作品として認めています。大切なのは個性!」



「プロの漫画家になるには10m離れた所から見ても、誰の作品か分かるほど特別な個性が必要」
先生がペンを握って描き始めた時、「ウオーッ!!」という地鳴りのような歓声が起きた!
それはまさに、神がアダムの体に魂を吹き込んだように、指先から命が生まれた瞬間だった!!

 

意外ッ!描かれたのは米国の世界一有名なネズミの頭部!(笑)
「どんなにシンプルでも個性の強さは出せます。これ以上描くと著作権とかヤバいので…」(ドッ!)



「ホント、絵の個性は重要。ピカソは誰が作品を見てもピカソと分かる!」

(荒木先生が“個性”いう言葉にこだわるのは、他でもない、先生の絵が流行りの軽い絵柄とはほど遠い、強烈な
個性を持っているからと思った。“荒木絵が濃い”と敬遠する人に「だが、このままいく。これが個性」と宣言するように!)




「ゴーギャンはチョ〜スゴイ。奥行きがあるにも関らず、色をエリアで囲んで塗るんですよ。
地面がピンクだったり木が青かったり、鮮烈な色の使い方を学びました」
※荒木先生は興奮すると“チョ〜スゴイ”を連発されてました。 (*^o^*)

 

同じキャラでも色彩を変えるとこんなに雰囲気が違うと、ジョルノを例に解説!

「死んだ人から真似るのはパクリじゃないです。オマージュ。先人から学んでいるのです。今仕事して
いる人から影響を受けるのはパクリですけど。このジョルノ(左)はゴーギャンの影響を受けたもの。
ピンクの隣に青を置くと、色のパワーが発揮されます」



「“リングにかけろ!”は極端にストーリーや絵をシンプルにしたもの。すごく評価しています。描けそうで描けない」



【 荒木先生オリジナルの“マンガ地図” 】

「自分の目標と違った方向へ進まないように確認するためのモノが、マンガを描く時には絶対に
必要と思うんです。ジョジョがマンガ界のどの辺りにいるのかを確認する為に地図を作ってみました」



登場した28作品…バガボンド、ろくでなしブルース、恋文日和、北斗の拳、仮面ライダー、ナルト、ワンピース、
ブラックジャック、タッチ、サザエさん、ハチミツとクローバー、あしたのジョー、こち亀、ゴルゴ13、デスノート、バスタード、
アキラ、コブラ、カムイ伝、星野之宣(ゆきのぶ)の作品、ゲゲゲの鬼太郎、ドラゴンボール、ドラえもん、遊戯王、
リングにかけろ、バビル2世、キャプテン翼、ミッキーマウス。※たくさん他の漫画家の作品も読破されてますネ!

@JOJOさんがまとめたチョ〜見やすい『荒木’s マンガMAP』

「右の方にいくとデザイン的に円が強調されアニメになりやすいです。『サザエさん』『ドラえもん』『ミッキー』は
別格。『リンかけ』、『キャプテン翼』は絵もストーリーも単純化したマンガ史に残るチョ〜スゴイ傑作。
『バガボンド』や『ろくでなしブルース』は正統派。『ハチクロ』と『ワンピース』は内面を描いているのに
デザインもチョ〜スゴくて、これも別格」

荒木先生が他作品をどのように解釈しておられるかが分かり、ヒジョ〜に興味深いっす!



「ジョジョはこの辺ですね。僕は古典的な手法でリアリティーを目指しています」


【 後半はジョジョ・ファンの生徒3名が荒木先生と対談! 】



破れたジーンズがオシャレ!かっこいい46歳!

Q.「6部の一巡後の世界にアイリンが出てきますが、あれはゴージャス・アイリンと関連があるのですか?」
A.「考えすぎです(笑)」。
などなど、コアなやり取りが続く。「質問した生徒は良く読んでいるなぁ」と会場では好評だった。
※講演中は聴覚が不自由な方の為に字幕(左端)と手話がついてました。素晴らしい。

Q.「主人公にはモデルがいるのですか?」
A.「かつてアクション・スターだったイーストウッドは“走るな”と指示されていた。僕はこの話を聞いてすごくカッコイイと思い、承太郎は動かないキャラで、代わりにスタンドをチョ〜速くしたんです(笑)。ジョセフがおふざけキャラになったのは、真面目すぎたジョナサンの反動です(笑)」

Q.「荒木先生にとってマンガとは?」
A.「マンガは心の救い。ないとヤバイ。ここに来たのはそういう意味。中学生に熱い気持を伝えたい」

Q.「新人漫画家にはどう接しているのですか」
A.「僕は若い人を応援していきたい。デビューしたての頃、(こち亀の)秋本先生に“頑張ってね”と励まされ、車田先生に“最後のコマ、ちょっと泣いたよ”と言われて、どれだけ嬉しかったことか!」


(この画像は許可を得て公開しています)

荒木先生「最後に。これからも人間の謎を、そして人間賛歌を描いていきたい!」

予定の14時を少しオーバーして終了!密度も濃く、大満足の約90分!夢のようなひとときだったッ!

東海中学・高校の生徒さん、本当に荒木先生を呼んで下さって有難うございます!
あなたがたは全世界のジョジョファンの、一生の恩人ですーッ!!


※追加情報…後日、「対談コーナーの3人が荒木先生へ講座依頼の手紙を書いてくれたんですよ」と、当レポを
御覧になったイベント実行委員長さんからメールを頂きました。僕はッ!君達3人にッ!敬意を表するッ!!






★ジョジョ・コーナー総目次


★荒木先生がテレビに出演!★

06年7月4日23時半からNHKBS2でオンエアされる『マンガノゲンバ』に先生が出演されマス!
仕事の現場にカメラが入るそうです!めったにない機会なので、ファンの方はお見逃しなきよう!








愛と狂気のメイン・ページへ