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2020.5〜6

●6月29日…「フェイスブック(FB)はヘイトスピーチ対策が不十分」として、米スターバックスやコカ・コーラ、米携帯大手ベライゾン、消費財大手ユニリーバなど世界の大手企業が、米フェイスブックから相次いで広告を一時的に引き揚げている。その数、実に160社以上。

ことの発端は6月半ば、人種差別に抗議する複数の米市民団体が共同し、厳格な投稿管理を求めてFBへの広告停止を呼びかけたことによる。
企業側が問題視しているのは、FB上のヘイトスピーチなどへの取り締まりが甘く、不適切なコンテンツの横に広告が掲載されていることだ。

コカ・コーラのジェームズ・クインシー最高経営責任者(CEO)は「世界に人種差別主義の居場所はなく、ソーシャルメディアにも人種差別主義の居場所はない」とする声明を発表。ソーシャルメディア各社には「より大きな説明責任と透明性」が必要だと主張し、コカ・コーラは有害コンテンツの見直しを求めソーシャルメディアすべての広告をいったん取りやめた。米スターバックスも同じ行動をとった。

トランプ氏の投稿に対し、FBとツイッター社で対応が分かれたことも問題になっている。5月末、トランプ氏は米国の抗議デモに関連して「略奪が始まれば、銃撃が始まる(注:撃ち殺すということ)」と投稿した。略奪行為は許されないが、本来なら国のリーダーは差別問題を解決する具体案を提示するなど、先に“言葉の力”で治安回復を試みるのが筋であり、問題を放置したままの武力鎮圧は分断を加速するだけ。ところが、トランプ氏の選択はいきなり「銃撃」だった。米ツイッター社はトランプ氏の投稿に「暴力賛美を禁じる規約に反する」と警告をつけ、すぐには表示できないようにした。
一方、FBはトランプ氏の同じ投稿を“放置”。ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)がその数日前に「インターネットのプラットフォームは、真実の仲裁人になるべきではない」とツイッターを批判しており反発を呼んでいた。
ザッカーバーグに怒ったフェイスブックの社員は抗議ストライキを実施、退社する者まで出た。
社員のストと企業の広告撤退を受け、ザッカーバーグはヘイト対策として、問題投稿に警告をつける対策などを6月26日に打ち出したが、「不十分」との見方が多く、ボイコットの動きはさらに拡大している。FBの株価は大幅安となった。
※日本の企業も差別問題にメッセージを出していいんやで!
●6月28日…完全に外部から孤立した湖に住んでいる魚たちの謎。標高の高い位置にあるカルデラ湖に魚はどうやってきたのだろうと疑問に思っていた。どんなに孤立した湖にも、近くの淡水系と遺伝的に近い魚が住み着いている。リンク先によると、魚の卵は鳥に食べられても生きたまま糞と一緒に排出され、実験では排出された卵を育てた結果、稚魚がうまれたとのこと。なんと、鳥は魚を別の湖に運ぶ箱舟だった。鳥は植物の実を食べて種を遠くに運ぶだけでなく、魚の卵も運んでいる可能性があったとは。
調査したのは、ハンガリーのドナウ研究所の所員。8羽のカモに鳥に500個の魚卵(人工受精済)を食べさせる実験を行った結果、食後一時間ほどで糞を排出し始め、魚卵は鳥の消化機能を生き延び、排出後に孵化することが確認されたという。メダカやコイは分厚い卵膜をもっており、メダカの卵は休眠状態(仮死状態)に入ることで干ばつの間にも無酸素・高塩・乾燥に耐えて土に埋まったまま生き延びる高い耐久性を持つ。元記事では、一部の魚卵は、生息地を拡散するために、あえて鳥類に食べられることを前提に進化したのかも、と綴っている。面白いねぇ。
●6月27日…この琉球新報の記事《「震える少女」沖縄戦証言に圧力 見知らぬ男性、女性宅押しかけ非難》は、ここ最近見た報道記事の中でもっとも心が痛んだものだ。
昨年6月、沖縄戦の記録映像で映し出される「震える少女」として名乗り出た浦崎末子さん(82)。2カ月後、自宅に来訪者があり、ドアを開けて応対した浦崎さんに「あなたが浦崎末子さんか」と尋ね、いきなり「どういうつもりか」と詰め寄った。浦崎さんは周囲に「恐ろしかった」と話し、この一件以来、来客を断ったり外出を控えるようになったという。
浦崎さんの親族「沖縄戦のことを振り返るのも嫌がるようになった。(その男性には)彼女の体験を広めたくないという思惑があったように感じる」。

  この後、右派の脅迫が始まる

沖縄戦の証言を封じ込めるような動きは過去にもあった。座間味村での「集団自決」(強制集団死)について、母親の手記をまとめた沖縄女性史研究家の宮城晴美さん(70)は、電話や手紙による嫌がらせを受け、自宅にも押し掛けられた。宮城さんは、作家大江健三郎さんの『沖縄ノート』での「集団自決」の記述を巡り、元戦隊長らによる「軍命令・強制の存在」を示した著作を発表した。2006年、こうした動きに反発したとみられる元戦隊長の支持者が、宮城さんの職場に「(宮城さんを)すぐに辞めさせろ」と電話を掛け、元戦隊長への謝罪を要求する手紙を送付した。2014年、元戦隊長が死去すると、女性ジャーナリストらが宮城さんの自宅を訪れ、元戦隊長が泣く生前の映像を見せ、同行した男性が「また(本を)出したら許さん」と詰め寄ったという。宮城さんは「何が何でも黙らせたいという意図を感じた」と証言。

高校日本史教科書の沖縄戦に関する検定意見撤回を求める県民大会が開かれた07年9月には、座間味村での「集団自決」(強制集団死)の生存者の自宅に黒ずくめの男性2人組が訪れ、「(集団自決の)現場にいたのか」と迫った。「話す気はない」と追い返したが、恐怖心が残ったという。「脅して黙らせようとした。許せなかったが、相手を刺激しないよう公表を控えた」と当時の心境を明かした。
沖縄戦の継承が課題になる中、証言を封殺する動きは証言者の萎縮、戦争の教訓継承の妨げになっている。
領土問題や政治体制の違いから、右派が外国勢力に対して反発するのは、たとえ意見が一致しなくともまだ理解できる。だけど、同じ日本人、それも沖縄戦で本土防衛の時間稼ぎのための捨て石にされ、言語を絶する悲惨な体験を強いられた人に対し、攻撃を加えるというのは全く理解できない。浦崎さんは子ども時代の「初めて見る米兵が怖かった」という気持ちを語っただけ。こっちがその男に「どういうつもりか」と聞きたい。沖縄戦の悲劇を語ることは、無謀な戦争を始めた日本の指導者たちを非難することになるから?いま日本を守っている米軍の悪口を言うな?それでは犠牲者が浮かばれない。

沖縄戦の被害者を責めるような人を生み出したこの国の戦後教育は、完全に失敗したということなのか。ほんと気持ちが暗くなる。でも、この脅迫者たちを批判しても何の解決にもならない。なぜなら、彼らは正義感から、あるいは義憤から、それが正しいことと信じて行動している。あの戦争を否定する考えは英霊への侮辱と考えている。SNSを見ても保守の少なくない人が「反戦左翼から不当に攻撃されている」と感じている。そういう人には批判ではなく、相手の言い分を聞いたうえで、沖縄史を丁寧に語り、現地の方への共感の気持ちを引き出すしかない。
リベラルの多くは決して日本を蔑みたいとか、誇りを傷つけたいと思っているわけではなく、あの戦争から教訓や反省を学ばなければ、それこそ犠牲者への侮辱になると考えており、だからこそ負の歴史に光を当てようとしている。当然、中国のスパイとかじゃない。(管理人がまとめた沖縄戦
とにかく、歴史の証言者として戦争のつらい記憶を語って下さる沖縄の方へ、心からの感謝と支持をサイトに綴ることで、非力ながらも応援したい。
●6月26日…いまアメリカは全世界の中で、ぶっちぎりでコロナ感染者が多い(約250万人)。2位のブラジルの倍以上もいる。この突出した感染者数は、トランプとその支持者にみられるコロナの軽視(マスクをしない自由を!とデモ多発)と、先進国なのに「国民皆保険制度がない」ことに尽きる。特に後者については、この日記で度々書いてきた。低所得者は保険がないからコロナの症状が出ても病院に行けず、結果的にどんどん感染者を増やしている。
それなのに!昨日トランプ大統領は公約のオバマケア廃止に向けた動きを支持者にアピールするため、低所得者向けの医療保険制度「オバマケア」の無効を連邦最高裁に要請した。正気なのか?2014年のオバマケア導入前、アメリカには無保険の人が約5千万人もいた。オバマケアによって、政府の補助金が支給される新型医療保険が採用され、約5千万人のうち2千万人超の低所得者が保険に加入することができた。オバマケアが廃止されると、その約2千万人が無保険者に戻ってしまう恐れがある。ペロシ下院議長(民主党)は「新型コロナウイルス危機の中、国民の保護と利益を奪うトランプ氏と共和党のキャンペーンは極めて残酷な行為だ」と激しく批判、その通りだ。
いやもう、250万人感染という数字を前に、国民皆保険制度の必要性を痛感したかと思いきや、オバマケア廃止という真逆の方向に突っ走るトランプ共和党は、優しさのカケラも無いのかと。っていうか、このままだと青天井で感染者が増え続け、経済もマヒして国力が衰退するって分かってんのかな。
●6月25日…公職選挙法は議員本人が選挙区内で金品を贈ることを禁じている。かつて小野寺五典(いつのり)元防衛相は、選挙区内の有権者へ「線香セット」を配布した行為が公選法で禁止される「寄付行為」となり衆院議員を辞職、罰金40万円の有罪判決を受けて「公民権が3年間停止」された。それほど寄付行為は許されないものだ。
香典は議員本人が直接渡す場合は例外的に認められているが、秘書が持参する行為は違法とされている。官邸のお気に入りで前経産相の菅原一秀衆院議員(58)は、昨年10月、秘書が選挙区の支援者の通夜に参列し、香典を渡していたと文春に報じられて経産相を辞任した。その後、メロンを選挙区内の有権者に贈っていたとの疑惑も報じられた。菅原氏は支持者をランク分けして何を贈るか細部まで口を挟んでいたという。

本日、その菅原氏に対して東京地検特捜部は起訴猶予の不起訴処分と発表した。法を犯していたのは明らかなのに、なぜ不起訴?検察は不起訴理由を「経産相を辞任し、謝罪したから」「大半のケースで自らが弔問し、あくまで例外の案件。公選法を軽視する姿勢が顕著とまでは言いがたい」とした。この判断がまったく理解できない。

「謝罪した」といっても、菅原氏は疑惑報道に対して「国会で説明する」と話しながらまともに説明せず、経産相を辞任した際も「私の問題で国会が停滞するの本意ではなく決断した」と、ブログには英断を下したかのように綴っていた。大臣辞任以降は1ヵ月以上も国会を欠席しながらボーナス323万円強を満額受領。最終的に、もう野党に追及されない国会の会期末前日(16日)に突然会見を開催し、「一部公選法に触れる事案があった」と罪を認めた。ところが、議員辞職はおろか離党すらも否定、それって“反省”になるのか…。

特捜部は「法軽視の姿勢が顕著とは言いがたい」とするが、元秘書らが間近で見てきたのは、支援者の「ランク」に応じて香典や枕花を届けるよう細かく指示する菅原氏の姿だ。
今年初めまで菅原氏の地元事務所に勤めていた元秘書いわく「菅原氏の行為は法軽視そのものですよ。私たち自身、違法だと思いながらやらされていたんですから」。
菅原事務所では政治資金パーティーへの参加歴や政党支部への献金額に応じて、有権者を「A」「B」「C」とランク分けしていた。昨年6月、Aランク支援者が没した際、菅原氏から元秘書にLINEで「枕花、大」「即」と指示があり、他の秘書にも「香典気をつけて」「2万」とメッセージが入った。
元秘書「枕花が公選法が禁じる寄付行為に当たることは知っていた。香典の代理持参が駄目なのも常識。でも菅原氏に意見を言えるような雰囲気ではなかったんです」。
別の元秘書は「十数年前から秘書が香典を代理で持って行っていたし、枕花も送っていた。長年続けていることなのに『法軽視が顕著でない』って…」と特捜部の処分を疑問視。
検察は「大半のケースで自らが弔問し」というが、このように秘書は有権者買収が常態化していたことを証言している。

それにしても、検察は公選法違反を認定しておきながら、そして菅原議員本人も罪を認めているのに、謝ったから不起訴ってどういうことだろう?ネットには「事実を認めて謝罪すれば不起訴になるのか。いいことを聞いた」の書き込みが。本来は起訴&処罰を裁判にゆだねるのが筋。検察は政権ベッタリの黒川検事長の辞職で、忖度のない公平な判断ができる組織になると期待したのにガッカリすぎる。小野寺元防衛相の「公民権3年間停止」と、菅原氏の「反省してるから許す」、この差はなんなのか。

前公設秘書2人の代理人を務める郷原信郎弁護士は、「不起訴」の決定を聞いて、次の怒りのツイートを3連投した。
《直前に告知して「会見」を行い、誰も質問も追及もできない状況で、大汗をかきながら、意味不明の説明をしたことが「記者会見においても事実を認め謝罪した」ことになるのか。この人物にとって、選挙区内の弔事は「香典ばらまき」の機会に過ぎない。この「罪」に対して罰金刑すら科さないことは理解不能》
《免許持って運転する人がスピート違反して赤切符切られたら罰金払う。選挙で当選した国会議員の公選法違反が発覚したのに、「大臣辞めた」「謝罪した」から罰金も払わないで済まされる。そんなことが罷り通るのか?もう誰も交通違反の罰金など払わない》
《これが、違法な定年延長強行の後「賭け麻雀」で辞任した黒川氏の後任検事長に就任した”林真琴検事長の初仕事”か?これ程、国民の期待を裏切り、バカにした話があるだろうか?》

法務省は先月、賭け麻雀をした黒川検事長を逮捕しないということで「1000点を100円と換算するレート《テンピン》は高額ではないからセーフ」という「黒川レート」を公認。そして今月、菅原氏の起訴を見送った検察は「本人が違法行為を認めて謝罪すれば起訴されない」という厳格な判断基準を国民に宣言した。この国はもう法治国家の放棄を決定したのかな。
※公設秘書の告発によると、菅原氏は秘書に他党の選挙ポスター剥がしを指示していたという。文春は新たな疑惑として、菅原氏の事務所では地元の新年会などに参加した際、会費以上の金額を手渡すことが常態化していたことや、選挙区内の有権者へのお歳暮や陣中見舞い、後援会幹部への線香配り、秘書への罰金制度や通勤手当の詐取・上納、後援会幹部を使った軟禁などを報じている。

//東京で激増しているコロナ感染の“経路不明”は満員電車だと思うんですが。
●6月24日…文春オンラインの記事がよかったのでメモ。黒人差別に反対するBLM運動を受けて米国では「制度的人種差別」について議論が活発に行われている。「制度的人種差別」とは、社会的弱者が不利となる仕組みが社会の構造に組みこまれていて、黒人が黒人として生まれただけで、以後の人生が自動的に不利になってしまい悪循環から抜け出せないという、こうした個人の自助努力では克服しがたい構造的な差別のこと。
1967年、ブラックパワー運動の指導者ストークリー・カーマイケル(Stokely Carmichael)は「個人的な人種差別」と「制度的人種差別」を対比させこう語った。「白人テロリストが黒人教会を爆破して5人の黒人の子どもを殺せば、それは犯人の個人的な人種差別の行為であり、社会のほとんどの人々が嘆き悲しむだろう。しかし、アラバマ州バーミンガムの町で毎年500人の黒人の赤ん坊が、適切な食事や住まい、医療施設がないために死んでいて、さらに貧困や差別によって、数千の人々が肉体的にも、精神的にも、知的にも傷つけられ破壊されているならば、それこそが“制度的人種差別”の機能なのだ」。
そもそも、アメリカ南部の警察組織の原型は、奴隷の逃亡や反乱への抑止力として組織された奴隷パトロール。南北戦争後、奴隷制度の解体により経済が混乱すると、警察は「放浪」「徘徊」などの微罪で黒人を逮捕し、彼ら囚人労働を使って道路建設などのインフラ整備を行った。その過程で、黒人には「犯罪者」「危険」「暴力的」などのレッテルが貼られていく。アメリカの警察組織は、その後も白人のための「秩序維持」の活動とともに発展し、その伝統を断ち切れていない。一時期は全米のほとんどの州で白人と黒人の結婚を、州によっては白人とアジア系、白人と先住民の結婚を禁止する法律があった。アラバマ州で異人種間結婚禁止法がようやく撤廃されたのは、なんと2000年。
※「Silence is Violence(黙っているだけでは、暴力に加担しているのと同じ)」
●6月23日…今日は戦後75年目の沖縄慰霊の日。県民4人に1人が亡くなった沖縄戦。民間人の死者は9万4000人。この人数に現地召集を受けた正規兵、そして防衛隊・鉄血勤皇隊として動員された2万8228人を加え、戦闘地域外の餓死者・病死者を含めると、沖縄県民の犠牲者は「15万人」にものぼる。その計算だと4人に1人ではなく、県民45万のうちの3人に1人が帰らぬ人となった。
今日の平和宣言で玉城デニー知事は、いまも沖縄に米軍施設の7割が集中していること、新基地建設が強行されている辺野古の海は絶滅危惧種262種を含む5300種以上の生物が生息している事を訴えていた。
僕は、慰霊の日には大田司令官が海軍司令部壕から自決前に打電した“訣別電報”をいつも思う。大田司令官は“軍は戦いに専念し県民を顧みる余裕がなかったのに、県民は軍の召集に進んで応募し戦ってくれた”と沖縄県民への思いを綴り、さらに“沖縄島は草木の一本も残らぬほどの焦土と化そうとしている”と絶望的状況を報告。そして訣別電報の最後を「沖縄県民、かく戦えり。沖縄県民に対し、後世に特別の配慮を願う」と締めている。
遺言の“沖縄県民に対し、後世に特別の配慮を願う”をいつも胸に留めたいです。僕らはまさに後世を生きているのですから。
※沖縄戦で使用された銃砲弾の数は、米軍側だけで271万6691発。他に砲弾6万発と手榴弾39万発、ロケット弾2万発、機関銃弾3千万発。約3カ月に及ぶ砲弾の雨は「鉄の暴風」とのちに呼ばれ、逃げ場を失った一般住民の集団自決(読谷村ほか)や、渡野喜屋事件のように日本軍が住民をスパイと疑い虐殺した悲劇もあった。沖縄では毎年6月23日を「慰霊の日」として休日にし、合同慰霊祭がおこなわれている。
大田中将はここで訣別電報打電 壁には自決時の手榴弾の弾痕

24万人の名が刻まれる平和の礎 激戦地・摩文仁の丘からの夕陽
●6月22日…トランプ米大統領の元補佐官、安全保障担当を務めたジョン・ボルトンが著した回顧録、暴露本の『それが起きた部屋』が強烈。外交における数々の“悪行”を告発する内容。政敵が書いた本ではなく、長年共和党政権に仕えてきた超タカ派のボルトンが書いたというのがインパクト絶大。
トランプは中国に表面上は厳しい態度をとっているが、その裏側では中国・習近平国家主席に「大統領選挙で再選したい」と協力を懇願。選挙で激戦州となる米中西部の農家の利益となるよう中国と貿易合意(大豆や小麦の輸入量増加)をし、再選を確実にするよう依頼。そして、「再選を手伝ってくれたら、ウイグル弾圧に目をつぶりますよ」と、中国政府による少数民族ウイグル人弾圧を容認したという。新疆ウイグル自治区の収容所建設について、「建設を進めるべきで正しい選択だ」とトランプは考えていたと告発。
ウイグル弾圧の容認は衝撃的。トランプのウイグル人権法案への署名は何だったのか。米議会がウイグル弾圧をめぐる対中制裁法案を可決したのに、トップである大統領が強制収容所の建設を容認していた。日本の保守論客は、ウイグル弾圧への抗議としてトランプを支持し、トランプと仲の良い安倍首相を誇りにしてきた。ボルトンの告発が真実なら、それでもトランプを応援するのか。僕はウイグル弾圧にもノー、トランプにもノーだ。
他にも…
・トランプは国益より自分個人の利益を優先させるため世界の「暴君」たちにこびへつらってきた。
・金正恩と会談したトランプは、北朝鮮の非核化にはほとんど関心がなく、自分が脚光を浴びること、写真写りばかりこだわっていた。そしてボルトンにこう言った「中身のない声明に署名する準備はできている。共同会見を開き、勝利を宣言し、さっさと帰ろう」。
・トランプは金正恩にエルトン・ジョンのCD『ロケットマン』を贈ることに異常に執着。トランプ直筆のサイン入りCDのプレゼントは皮肉ではなく仲良くなりたかったから。訪朝から帰国したポンペイオ国務長官に何度も「CDを渡してきたか」と確認。「米朝首脳会談から数ヵ月間、金のもとにCDを届けることが、トランプにとっての最重要課題となっていた」
・米大統領選へのロシア介入疑惑について、トランプは米情報機関よりもプーチンの言い分を信じた。「追及を逃れることができたプーチンは高笑いしていたに違いない」。
・プーチンとのヘルシンキ会談で、トランプはフィンランドがロシアの一部だと思っていた。
・トランプはイギリスが核保有国であると認識していなかった。イギリスのメイ首相に真顔で「えっ、核を持っているの?」と聞き返したという。
※ボルトンは同書の出版にあたり前払金で200万ドル(2億円強)を手にした。刊行に合わせたニュースのインタビューに「1期だけの大統領になるのを願っている」と答えている。
※トランプは大統領就任以来、事実誤認や誤解を招く発言を1万8千回以上も繰り返しており、その2割がツイッターを通じ発信されている。
●6月21日…第53条は「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣はその召集を決定しなければならない」と定めている。2017年6月、野党議員は森友・加計学園を巡る問題を審議するため、憲法53条に基づき衆参双方で4分の1以上の議員の連名で臨時国会召集を要求した。ところが安倍内閣は「憲法には要求から何日以内に召集しなければならないと書いていない」と3カ月間も知らんぷり。召集したのは98日後の9月末、しかも開会の冒頭、審議に入る前に衆院を解散した。あまりにも議会を馬鹿にした対応だ。この安倍政権の召集要求無視は憲法違反にあたるのか裁判で問われ、今月10日、那覇地裁で憲法53条に対する司法判断が初めて出された。判決は、内閣には「召集するべき憲法上の義務がある」と指摘。「単なる政治的義務にとどまるものではなく、法的義務であると解され、(召集しなければ)違憲と評価される余地はある」「召集義務を履行しない場合は、国会で少数派の国会議員の意見を反映させるという憲法53条の趣旨が損なわれる恐れがある」と言及した。原告側は「53条がきちんと評価された」「画期的だ」と歓迎。弁護団事務局長いわく「国会は内閣が召集したいときだけ開かれる『下請け機関』になっている。今回、要求があれば臨時国会を召集しなければならないという判断を勝ち取った。ぜひ国会で議論してほしい」。
●6月20日…トランプ大統領の要望を受けて、安倍政権は総額4500億円と言われる地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の導入に踏み切ったが、先の15日に河野防衛相は突如その配備計画中止を発表した。中止理由は「ミサイルのブースターが近隣集落に落ちる可能性を否定できない」。既に196億円を米側に払っているうえ、首相と官房長官はトランプとの関係が悪くなると反対したが、河野氏は白紙に戻すと譲らなかったという。使えないものに血税を4500億も注ぎ込むことはないし、そのお金で別の防衛装備品を充実させればいい。安倍内閣で官邸を押し切った閣僚って他にいたかな?河野氏は閣僚になった途端に持論の脱原発を封印したり、外務大臣時代の韓国特使へのマウント会見に呆れてしまったが、この件ではちょっと見直した。
〔追記〕その後、週刊文春が「イージス・アショアに採用される予定だったロッキード社製のレーダーは射撃管制能力がなく弾道ミサイル迎撃が困難だった」「イージスのレーダーは探知と(ミサイル)管制能力が一体でないといけないが、採用されるのはただのレーダーで使い物にならない」とスッパ抜いている。
●6月19日…今朝のNHK『あさイチ』。その直前、朝ドラ『エール』の中で、男が怒鳴り散らすシーンがあった。博多大吉さん「怒鳴る男にろくなやつはいない。大声荒げるのはね」近江さん「怖かった。怒鳴る人、好きじゃない」。ほんと怒鳴っても、他者には心が削られる恐怖しか与えないです。それがドラマであっても、同居相手や店員さん、駅員さんに怒鳴り散らす人、見てるだけでしんどくなる。(^^;)
  「怒鳴る男にろくな奴はいない」
●6月18日…本日、河井克行前法務大臣と妻の河井案里議員が公職選挙法違反容疑(買収)で逮捕された。憲政史上、法務大臣の経験者が逮捕されるのは初めてだし、現職国会議員が夫婦で同時に逮捕されるのも初めて。昨秋の参院選に際し、地元の有力者約100名に約2600万円もの大金をばら撒いた。弁当の提供でも違反になるのに、現金などもってのほか。
河井克行議員は安倍首相のお気に入りで、首相補佐官や党総裁外交特別補佐など「側近」ポストで重用されてきた。米大統領選でトランプ氏が勝利すると、先行渡米して就任前のトランプ氏と安倍氏の会談を実現、その後も首相の親書をたびたび持参した。また、菅官房長官を支える若手議員グループ「向日葵(ひまわり)会」を立ち上げ、官邸ナンバー2とも深い関係にある。これらの甲斐あって初入閣でいきなり法務大臣に抜擢された。

この昭和に戻ったかのような露骨な買収事件は、安倍首相の私怨に始まる。広島選挙区の自民・溝手顕正(みぞて けんせい)氏は当選5回の岸田派重鎮。溝手氏はかつて安倍氏のことを「過去の人」と酷評、第一次安倍政権時代は参院の議席を減らした安倍氏について「首相本人の責任はある。(続投を)本人が言うのは勝手だが決まっていない」と断じた。安倍氏よりも溝手氏は12歳年上だが、安倍氏は批判的な立場をとった過去を許さなかった。
昨秋の参院選では、溝手氏と同じ選挙区に河井案里氏を立て、選挙資金として溝手氏には1500万円、案里氏には10倍の「1億5千万円」が党から提供された。自民党の広島県連は溝手氏の応援を決定する一方、案里氏の擁立に強く反対した。県連副会長「2人擁立は無理と言ったが無視された」。
組織戦が期待できない案里氏の陣営は、党本部から職員が入り、安倍氏の事務所秘書も企業や団体回りを担った。応援演説に安倍氏や二階幹事長、閣僚らも駆けつけ、菅氏は3回広島に入る。こうした状況を背景として、河井克行議員は政界関係者らの事務所や自宅を1人で訪れ、封筒に入った現金を配って回った。
結果、溝手氏は落選、案里氏が当選した。党から振り込まれた異例の「1億5千万円」が、大規模な買収劇の原資になったと思われる。その一部は僕らの血税の可能性が高く、納税者として憤りを感じる。参院選後に克行議員は法相ポストを得、党内では「論功行賞」と揶揄された。
河井夫婦は疑惑の発覚後、説明責任をいっさい果たさないまま雲隠れし、国会を1ヵ月以上も欠席。それでも克行容疑者は323万円、案里容疑者は194万円のボーナスを満額受領した。
票をお金で買うといった民主国家にあるまじき行動をとる河井議員を長年引き立て、法相に選んだ安倍氏は任命責任をどう思っているのか。夫妻逮捕後の安倍氏のコメント「我が党所属であった現職国会議員が逮捕されたことについては大変遺憾であります。かつて法務大臣に任命した者として、その責任を痛感しております」。いつもと同じ、痛感するだけで、責任はとらない。ただの不祥事ではない。2名が同時に逮捕され、1名は自身が任命した法務大臣。法相は検察トップの検事総長を指揮する権限を持つ。克行氏を任命した首相の責任は極めて思い。それを「大変遺憾」で終わらせるのか。

※あくまでも議員辞職はしないという強気の河井夫妻。克行氏は安倍首相、菅官房長官を支えること目的とした“きさらぎ会”の役員。首相と官房長官が守ってくれると確信しているのか。或いは「買収を指示したのは官邸で、自分は従っただけ」「買収は誰でもやっていること」と言いたいのだろうか。
※河井克行氏が哀れに思えないこともない。案里氏秘書の有罪判決と夫妻の離党を受けて二階幹事長が会見で言ったのは「党や政権に影響を及ぼすほどの大物議員でもなければ、そんなに大騒ぎするような立場の人の行動でもない」。これをどう聞いただろうか。河井氏なりに党に尽くし、要職を拝命したであろう。その結果が、この二階幹事長の切り捨てるような言葉だ。
●6月17日…新型コロナは1月23日にロックダウンされた中国・武漢が発生源と疑われてきたが、本日イタリアの高等衛生研究所が「新型コロナウイルスが昨年12月の時点でイタリア北部に存在していた」とする調査結果を発表。北部のミラノとトリノで昨年12月18日に採取された下水から新型コロナの遺伝物質が検出されたという。昨年10〜11月に採取されたサンプルからは検出されなかった。ミラノ付近では2月下旬に集団感染が発覚したが、その約2カ月前から、ウイルスが同国内に潜伏していたことになる。フランスでも肺炎患者の検体を調べ直したところ、昨年12月27日の時点で感染していたことが判明した。
…とはいえ。ボストン大の研究チームは昨年8月に武漢で感染拡大が始まった可能性を指摘している。武漢の衛星写真を解析した結果、市内の病院の駐車場に止められた車の数が2019年8月から急増し始め、12月にピークを迎えたという。またネット検索でもコロナの特徴である「下痢」の検索数が8月に増加していたとのこと。夏の時点で何かしら異変が起きていたのは確かだろう。

//インドと中国はヒマラヤ山脈などで接している約3000kmの国境が画定していない。一昨日、お互いが領土を主張する係争地で武力衝突があり、45年ぶりに死者が出た。係争地では銃器の使用が禁じられているため、こん棒や石が使用され、インド軍は20名が死亡、中国軍は死者数を明かしていない。インドの人口は13億5千万人、中国の人口は13億9千万人。この両国がガチで戦うと大変なことになる。1962年の中印国境紛争以来の危機であり、国際社会は冷静な対応を呼びかけないと。
●6月16日…先日、漫画家ジョージ秋山 先生の訃報が報道された。享年77歳。追悼の意を込めて2作品を紹介。
まずは、カルト的な人気を誇る『ザ・ムーン』(1972)全4巻。『ザ・ムーン』は悪を倒すために巨大ロボを作り上げた男爵が、ロボの操縦を利己心にまみれた大人ではなく、純粋な正義の心を持つ9人の少年少女(小学生と幼稚園児)に任せるというもの。男爵は“正義”の危うさを自覚しており、リーダーの少年(おそらく6年生)にこう語る。
「(戦いは)良い人と悪い人が争うことばかりではありません。良い人と良い人が争って死ぬこともあります。正義とは一つではないのです。この世の中にはいくつも正義があるのですよ。正義と正義がぶつかりあって血を流すこともあるのです。どれが本当の正義なのかは誰にもわかりません」
そして自らが操縦しない理由を語る。
「何が本当の正義かを見つけ出すのは君たちの仕事です。私には本当のこと(正義)を見つけ出すことは出来ません。私は汚れていますから…心が…。君たちは純粋です。純粋な心を持っています。心が純粋でなければ…善と悪を見分けることはなかなか難しいものです」。これを聞いた少年は「正義はいくつもある…」と脳裏に刻む。

巨大ロボ(ザ・ムーン)が悪を倒す、これだけの設定ならどこにでもある。この作品のオリジナリティは、9人の子ども全員が同じ気持ちにならないとロボは命令を聞かないことだ。誰か一人でも「この相手とは戦いたくない」と考えると動かない。子どもにだって私欲がある。だから男爵は「大人ではなく子どもが操縦」「子ども一人では動かせない」という二重の安全装置を組み込んだ。まさに民主主義、9人で納得いくまで話し合い、意見の一致をみてロボが動く。心から同意しないと無理なので、大人が腕力で子どもを脅迫してもダメ。
そして最終巻でリーダーの少年は仲間にこう訴える。
「戦争にならないように戦うのが正義の戦いだ!!戦争になってからの戦いは正義の戦いじゃない!!どんな場合でも戦争には正義はないんだ!!」

 

正義はいくつもあるが、戦争になってからの戦いは正義の戦いではないと。うおお、ジョージ秋山先生!
作中、非常に驚いたのは、主人公が水爆の危機におののくシーンで原爆詩人・峠三吉の詩が背後に書かれていたこと。

ちちをかえせ ははをかえせ
としよりをかえせ
こどもをかえせ

わたしをかえせ わたしにつながる
にんげんをかえせ

にんげんの にんげんのよのあるかぎり
くずれぬへいわを
へいわをかえせ(『原爆詩集』序から)

さらに、ザ・ムーンが水爆ミサイルを水平線の彼方に捨てに行くシーンでは憲法第九条の第一項「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」が書かれていたこと。

峠三吉の原爆詩 憲法第9条が書かれている

この作品は『少年サンデー』に連載されたもの。今の少年漫画誌に原爆詩や第九条が載るだろうか。そもそも漫画家が書き込むだろうか。作中、地球を訪れた異星人が、地球人と友好関係を結びたいと思う一方、人間が同じ地球上で何のために戦争をしているのか理解できず戸惑う描写もある。

中でも、もっとも印象に残ったのは子ども同士の乾杯シーン。終盤、金に目がくらんだ愚かな大人のせいで地球に人類死滅の危機が訪れる。9人の子ども達は人々を救うため、ある命がけの行動を選択する。その出発前のシーンが胸を打つ。これが大人なら別れの杯をかわすのだろうけど、彼らは小学生。ポケットに1枚だけあった板チョコを割って、チョコを手に互いにカンパイする。もぐもぐと食べているうちに子どもたちの目に涙が。わーん、ジョージ秋山先生!

  

※選ばれた子どもたちが巨大ロボを動かす、子どもの純粋な気持ちに反応する、作動した核兵器をロボが遠く捨てに行く等の設定は、その後の様々なSF作品(富野由悠季『イデオン』や鬼頭莫宏『ぼくらの』等)に通じるものがある。

もう一作。平安時代末期の飢饉の村に生きる孤児を描いた『アシュラ』(1970)。2巻&完結編からなり、極限状況下の人間性を赤裸々に描いた最大の問題作。先生は当時27歳。第1話の冒頭、飢餓で発狂した母親が赤ん坊にかじり付く戦慄の描写がいきなり見開きで描かれ、僕は「げっ!」と思わず本を閉じそうに(っていうか閉じた)。『週刊少年マガジン』の第1話掲載号は有害図書指定され未成年購入不可、社会問題に発展した。
主人公アシュラは幼児の頃、飢えた実の母によって火に投げ込まれ、食べられそうになった過去を持つ。前半はひたすら地獄のような飢饉の描写が延々と続き、読んでいて目まいが。少年漫画において、何度も人肉を食らって生き延びる主人公はアシュラだけでは(汗)。その中にあって時折垣間見る人間の心の善意に読み手は心を揺さぶられる。
2012年に『アシュラ』は超絶クオリティでアニメ映画化され、「文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞」を受賞した。
※皆さんお忙しく映画版『アシュラ』をなかなか見る時間はないと思いますし、内容が凄絶なので万人にお勧めし難いですが、物語中盤でアシュラが僧侶と対話するシーンが本当に素晴らしいので、リンク先に「頭出し」しておきます!
「(俺は)生まれてこない方がよかったんだぁ!こんな苦しいところに生みやがって!」と泣き叫ぶアシュラに、一人の僧侶が声をかけます。ここから4分間です。
https://www.youtube.com/watch?v=qlZ5oa80hLQ#t=45m05s
(パソコンだとドンピシャで再生、スマホだと冒頭からになるようです。開始45分過ぎから該当シーンです)

※ジョージ秋山先生の代表作『浮浪雲』。連載期間40年、全112巻、全1039話の超大作。この作品に以下の名セリフが登場するとのこと、これが何巻のセリフかご存知の方、メルアドまで連絡を頂けると助かります!嗚呼、このエピソードが読みたいです。
「望むことと生きることは別々だから、望みが叶わなくても、意気消沈するなかれです。肝心なことは、望んだり生きたりすることに飽きないこと。」
(ちなみにセリフの元ネタはロマン・ロランの小説『ジャン・クリストフ』の「人は望むとおりのことができるものではない。望む、また生きる、それは別々だ。くよくよするもんじゃない。肝腎なことは、ねえ、望んだり生きたりするのに飽きないことだ」)
●6月15日…都知事選に立候補している宇都宮健児さん(73)は弱者のためにヤクザとも戦ってきた本物の人格者。日弁連(日本弁護士連合会)の元会長でヤミ金融・多重債務問題の専門家。
僕が初めて宇キ宮さんを知ったのは2006年。まだオンエア開始から間もないNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』の第5回「人生も仕事もやり直せる」で宇キ宮さんが特集された。

1970年代後半にサラ金地獄が問題化した際、宇キ宮さんは当時ほとんど顧みられることのなかった多重債務者の弁護を引き受けた。多重債務者の事件は手間がかかる上に報酬が少ないことから、相談を断る弁護士も少なくない。だが、宇都宮さんは行き場を無くした相談者の盾となり、悪徳金融業者に真正面から立ち向かってきた。
闇金融の過酷な取立てにより、借り手が夜逃げや自殺に追い込まれるケースが多発するなか、宇都宮さんは「簡単に解決できる」と断言。闇金融の最大の弱点は法律違反の利息をとっていること。それを盾にとり、弁護士が間に入ったことを知らせる通知を郵送すれば、それだけで取り立てはほぼ無くなった。闇金融は、暴力団やエセ右翼の資金源になっていることが多いが、宇キ宮さんはひるむことなく闇金融を刑事告発して徹底的に追い詰め、さらに「武富士」など大手企業とも正面から戦った。こうした宇都宮さんらの活動により、グレーゾーン金利の違法性が確定した。
宇キ宮さんの生き方は、多くの弁護士仲間の胸を打ち、投票で日弁連の会長に選ばれた。同業者が一番凄さをわかっている。

※この頃の武富士はほんと悪質で、雑誌等で批判を受けると名誉棄損として億単位の高額訴訟を相手に起こす「スラップ訴訟」=言論弾圧を繰り返していた。この訴訟で、武富士側代理人として名前を連ねていたのが、弁護士出身で現大阪府知事の吉村洋文氏だ。2019年、当時、大阪市長だった吉村氏は外国特派員協会で「“訴権の濫用”と認定されるような武富士訴訟に、過去に弁護人として加わったことをどう考えているのか」と質問を受け、謝罪するどころか「仕事上、弁護士として当たり前のことをした」と言い張った。この裁判は「武富士がたまたま敗訴になっただけ」、というようなシロモノではない。最終的に武富士自体が訴訟を『訴権の濫用』『捏造』と認めて請求放棄しており、確信犯で起こしたスラップ訴訟の典型。武富士は盗聴行為まで行っていた。悪徳企業が犯罪を隠蔽するために嘘を捏造して起こしたスラップ訴訟に訴訟代理人として加担しながら、道義的責任をガン無視する吉村氏…。

宇キ宮さんは、反貧困ネットワーク代表であり、ヘイトスピーチとレイシズムの被害者にも寄り添ってきた。オウム真理教のテロで自身の事務所に務めていた職員(坂本弁護士夫人)を殺害され、オウムの被害者支援機構理事長にも就いている。元山口組系の暴力団幹部から東京地検が押収した闇金約3億3千万円を、被害者のために取り戻すべく、「国が上前をはねるのはおかしい」と国税局とも裁判で戦った。

2012年、宇キ宮さんは「弱者救済は社会から変えていく必要がある」と都知事選に立候補。福祉の充実、格差是正、脱原発などを訴えたが猪瀬氏に敗れ2位となる。
2014年、都知事選に再び立候補。舛添氏に敗れたものの、民主党やリベラル言論界が推していた元首相・細川護煕氏を上回る98万票を集め2位となった。
2016年、三度、都知事選挙へ立候補を表明したが、「鳥越俊太郎氏に野党勢力を一本化せよ」という、リベラル勢力の説得(圧力)を受けて立候補を見送った。結果、鳥越氏はセクハラ問題で失速、人権活動家の宇キ宮さんは激怒する。

そして2020年。本当の意味で3度目の正直となる都知事選立候補。「今度は絶対に降りない」と宣言。これまでの宇キ宮さんへの非礼もあって、立憲、共産、社民が支援を決定した。
宇キ宮さんは地味だけど、実績や理念、何よりその誠実な人間性を都民に伝えられたら勝機はあると僕は思っている。なぜなら、小池知事は4年前の選挙公約7つのうち、一つしか実現できず結果を出せなかったから。小池知事の公約のうち、満員電車の緩和が実現していればコロナ対策になったのに…。

※僕が小池知事を苦手に感じているのはその差別体質。小池氏が国会議員だった2013年、玉城デニー氏の発言中に議員席から「日本語読めるんですか、日本語分かるんですか」とヤジを飛ばした。沖縄出身の玉城氏はウチナンチューの日本人とアメリカ人の両親を持つ。小池氏のヤジはその出自をからかった最悪の差別発言。玉城氏は、国会で差別的な中傷を浴びたのは、後にも先にも小池氏からだけとのこと。他にも小池氏は、関東大震災時に虐殺された朝鮮人犠牲者追悼式典に40年以上も歴代知事(右派の石原慎太郎含めて)が寄せていた追悼文を突如として取り止め、この式典に反対する排外主義団体の活動にお墨付きを与えてしまった。
蓮池透さん《2002年9月17日、涙の記者会見をしている横田さんご夫妻の真後ろに立っていたのは小池百合子氏。終了後、一度出て行った小池氏、戻って来て一言。「あったあ!バッグ」「私のバッグ、拉致されたかと思った」あれ以来彼女のことは信用していない。》

さあ、宇キ宮さんVS小池知事の事実上の一騎打ちだ。そう思っているところに、れいわ新選組の山本太郎氏が都知事選に立候補の名乗りをあげた。愕然とした。宇キ宮さんと山本氏の支持層は完全に重なる。っていうか、昨夏の参院選では、宇都宮さんはれいわ新選組の候補者を応援するために街宣車に乗って、街頭で応援演説に立っていた。その恩ある宇キ宮さんに、今度は山本氏が応援する番に回るべきではないか、年齢的にも宇キ宮さんはほぼラストチャンスなんだから全力でバックアップするのが人の道だと、僕はカンカンに憤慨した。

…ところが。山本氏の出馬声明と夜の新宿ゲリラ街宣をフルで視聴した結果、感動している自分がいた。彼はヤジられると、その人にマイクを渡して耳を傾け、相手の疑問にひとつひとつ答えていった。あの情熱、あの切実さ。立候補前に山本氏と宇キ宮さんが2度話し合ったこともわかった。論戦が深まり、行政に良い効果をもたらさんと、互いにエールを送りあったという。

山本陣営が狙うのは、被っている支持層ではなく、小池知事の票、そして無党派層の票を掘り起こすこと(前々回の都知事選投票率は50%以下)。山本氏は立憲から統一候補を打診された際、「次の総選挙でコロナ禍の復興のためにも消費減税5%を野党共通の公約に」と求めたが、立憲は「党内調整の時間がない」と回答(その時点で期限まで約20日間あったにもかかわらず)。
山本氏の本心は消費税ゼロであるため、もう立憲には減税する気がないのだと悟り、袂を分かったという。
また、山本氏は東京独自の追加コロナ給付として15兆円を用意すると公約、財源を含めた具体的な内容を演説で語っていた。山本氏は、なぜ小池知事はコロナを地震・台風のように災害指定するよう国に訴えないのかと吠えていた。これは僕の考えとも一致する。
…と、大阪人の僕には都知事選の投票権はないんだけれど、そんなことをつらつら考える今日この頃。
優れた候補者2人を前に、自分の一票をどう使うか悩むことが出来る、そんな都民の方が羨ましい。

★宇キ宮さんの選挙戦第一声(お人柄が伝わる)
https://www.youtube.com/watch?v=i5StYjFI1_o
★山本太郎の都知事選立候補当夜の新宿街宣(思想の右、左は関係なし、ただただ切迫感に聞き入る)
https://www.youtube.com/watch?v=fgGVeEmuvRM&feature=youtu.be#t=27m18s
●6月14日…その調査能力と情報整理の労力に僕が脱帽しているデマ検証ブログ『脱“愛国カルト”のススメ』さん。コンテンツに、「安倍政権によるデマ一覧」「評論家別デマ一覧」が追加されていて、これがまたどえらいボリューム。小項目を読んでるだけで、いかに政治ジャーナリストを自称する人々やまとめサイトが、悪質なデマ、フェイクを流しているかが分かる。この管理人さんに国民栄誉賞をあげたい。
●6月13日…「和をもって貴しとなす」。聖徳太子が作ったとされる十七条憲法は、漢文で書かれており訳者によって印象がかわる。今日BSで再放送された古代史ドラマ『大化改新』(2005年制作)は、めっちゃ胸に響く現代語訳で、思わずメモった!

第十条の原文は「十曰、絶忿棄瞋、不怒人違。人皆有心。々各有執。彼是則我非。我是則彼非。我必非聖。彼必非愚。共是凡夫耳。是非之理、キョ(言偏に巨)能可定。相共賢愚、如鐶无端。是以、彼人雖瞋、還恐我失。」

この第十条をドラマではこう訳していた。

「第10条 心に恨みを抱くな、顔に憤りを表すな。人が自分と違うからといって怒ってはならない。人にはみな心があり、心にはそれぞれの思いがある。自分は聖人ではなく、相手が愚かな者でもない。共に凡夫(ぼんぷ)なのである。何が正しくて、何が間違っているか、いったい誰が定める事ができよう。それゆえ相手が怒ったら自分の過失を恐れよ」

このドラマ、主人公が中大兄皇子ではなく中臣鎌足という点や、蘇我入鹿を単純な野心家と描かず、鎌足の親友として描いていたのが新鮮で面白かった。暗殺された入鹿の最期の言葉が「飛鳥を…頼む」、これは来る。
キャスティングも3時間ドラマではあり得ないほど豪華。原田芳雄(蘇我毛人)、仲代達矢(南淵請安)、岡田准一(中臣鎌足)、小栗旬(中大兄皇子)、渡部篤郎(蘇我入鹿)、山口祐一郎(山背大兄王)、伊武雅刀(蘇我石川麻呂)、木村佳乃(車持与志古)、大河クラスの名優がズラリ。BGMがぶ厚いサウンドで「これN響?どこ?」と思っていたら、EDでモスクワのオーケストラ&指揮もロシア人と判明、NHK大阪放送局はどえらい予算をかけたと最後にまたびっくり(あとで正月にオンエアされたものと知った。通りで!)。

「人が自分と違うからといって怒ってはならない。人にはみな心があり、心にはそれぞれの思いがある」。ドラマの中で、この「第十条」を初めて読んだ中臣鎌足はこう涙した。
「仏の教えと…唐の学問と、やまとの美しさがここに込められている」。

  
●6月12日…あおり運転の危険性がこれだけニュースになっているのに、昨年は車間距離不保持で摘発された事例が約1万5千件にのぼり、前年比で2040件増という。先日成立した改正道路交通法では、あおり運転を「妨害運転罪」として新たに規定。以下の10類型があおり運転として取り締まりの対象となった。
・車間距離不保持
・急ブレーキ
・割り込み運転
・幅寄せや蛇行運転
・不必要なクラクション
・危険な車線変更
・パッシング
・最低速度未満での走行
・違法な駐停車
・対向車線からの接近
罰則も強化され、違反すると事故を起こしていなくても一発で免許取り消しになる。また、免許を取り消されると2年先まで再取得は不可能であり、違反歴が重なると最大5年となる。また、改正自動車運転死傷処罰法も成立し、危険運転でケガをさせた場合は15年以下の懲役、死亡させた場合は最大20年の懲役となる。「事故がなくても一発免停」「2年間免許不交付」はインパクトがあり、抑止効果に期待できる。改正道路交通法は今月末から施行。
●6月11日…作曲家・服部克久さんの訃報。享年83歳。世界名作劇場『トム・ソーヤーの冒険』のED「ぼくのミシシッピー」は神曲だった!大河に「きみ」と呼びかけ夢を歌う。
−−−
♪人が生まれる前から 流れているんだね
空より広い豊かな ミシシッピ・リバー
君はいつでも明日を 指差す矢印さ
知らない世界へ行こうと 歌ってる
きっといつか行くよ僕も 君が目指す海へ
そして君に負けないくらい 遠く旅をするんだ
−−−
胸に染みる旋律、最後は夕空に吸い込まれゆくような透明感。この曲を愛しすぎて、20年前、ミシシッピー河辺で夕暮れを待ち、場面を再現。服部先生に哀悼の意を表します。

 

 『ぼくのミシシッピー』 (1分20秒)短い曲なので是非!
●6月10日… もう日本社会は性暴力被害者への中傷を終わらせるとき。伊藤詩織さんを支持します。

//関西地方、梅雨入りとのこと。
●6月9日…春の選抜高校野球に出られなかった32校の球児のために、夏に甲子園で交流試合が組まれることになりよかった。各1試合とはいえ、甲子園に立つという悲願が叶えられる。
●6月8日…ホワイトハウスの周囲に突如、高さ3mのフェンスが約3kmにわたって設置された。アメリカ国民は近づくことが出来ない。国家のトップというのは、国民の様々な声に耳を傾け、それに寄り添った政策を実施すべきなのに、この高いフェンスはまるで“我々”と“彼ら”に国民を分断するかのよう。っていうか、フェンスの奥に逃げ込む大統領ってカッコ悪すぎる。国民と向き合えと言いたい。




普段の距離(2009) ホワイトハウスがあんなに遠く!弱虫としか(2020)
約3キロのフェンス 差別批判の声で埋め尽くされている

//気温30度を超えているなかをマスクで歩くと、速攻で口の周りが蒸し風呂状態になってきついっすね。
●6月7日…路上芸術家バンクシーが、米国の黒人男性死亡事件を受け、黒人の肖像と追悼の灯で燃え始めた星条旗を描いた新作を発表し、次のメッセージを寄せた。「私は当初、この暴行死事件について黙って黒人の言葉を聞くべきだと思っていた。しかしこれは彼らの問題ではない。私自身の問題だ」。バンクシーは人種差別問題の例えとして、アパートの上階の水道管が壊れて下の階に水漏れしている状況をあげた。「人種差別が続く社会システムを是正するのは下の階で影響を受けている黒人がするべき仕事ではなく上の階の白人の問題だ。白人が直さないなら、誰かが上階にやって来てドアを蹴破る必要があるだろう」と強調した。

  星条旗が燃え始めている

//荒木先生の御誕生日。公式データでは60歳代に突入。いつまでも若い姿なのでまったく60歳代には見えず、非現実感がすごい。還暦っすよ、還暦!ジョジョを連載開始されたのは20歳代後半。現在通算127巻!人は年齢と共に見える景色も異なるもの。9年前の時点で枯淡の極みに達したような第7部スティール・ボール・ラン最終回を描かれた先生が、今後何を描かれるのか本当に楽しみ。一人の芸術家の表現の変遷をこれほど長く見続けられる読者の至福よ!先生の末長き健康を願って乾杯!

//大河ドラマ『麒麟がくる』は今夜のオンエアを最後に、コロナ禍でいったん放送休止。今日の重要回「桶狭間の戦」までロケが終わっててまだ良かった。桶狭間直前で終わっていたら悶絶ものでござった。少年っぽさと狂気と優しさが混じった、まったく新しい信長像、いいですね(光秀そっちのけ)。
そして朝ドラ『エール』、コメディ調でありながら作曲家の“生みの苦しみ”がじっくり描かれ、ほんと毎回見応えあり。同時に、二階堂ふみさん熱演の「音さん」が生命力にあふれ、なんかもう、毎回15分間、実際に音さんに会ったような感覚に。すべてのやり取りが面白く、彼女に圧倒されっぱなしです。
●6月6日…都知事選、れいわ新選組がどうして宇キ宮さんの支援を宣言しないのか理解できない。宇キ宮さん、めっちゃ良い人やん。山本太郎は何にこだわっている。立憲、共産、社民と国政の考え方は違っても、宇キ宮さんは徹頭徹尾、弱者目線の人であり、想いを同じくする部分が多いはず。
●6月5日…拉致被害者救出活動の象徴だった横田滋さんの死は本当に切ない。めぐみさんを取り戻すために40年以上も奔走し、講演は1400回を超える。娘さんと会えずに終わり、どれほど無念だったか。かける言葉が出てこない。
●6月4日…今日で天安門事件から31年。事件の中心人物の一人で、ノーベル平和賞を獄中で受賞した人権活動家・劉暁波(りゅう ぎょうは)氏は「賞は天安門事件の犠牲者に捧げられたものだ。僕はその代表に過ぎない」と泣いた。
劉氏は天安門事件の際に非暴力闘争を説き、学生がどこからか銃を持ち込むとすぐに取り上げ、「この銃を壊すことで平和を表明する!」と叩き壊した。
その後、「表現の自由は人権の基礎で、人間性の根源で、真理の母だ」と訴え続け、国家転覆扇動罪で投獄される。
劉氏は3年前に他界したがお墓はない。そこが民主化運動の聖地になってしまうことを恐れた中国政府が作らせなかった。夫人は墓の建立を望んだが、当局の圧力を受けたであろう実兄が、大連市沖の海に散骨した。
劉氏は日本にもメッセージを遺している。「日本が自由、人権擁護、民主の旗を掲げ、中国の民主化の推進に力を注げば、中国の人々の助けとなり、日本自身の助けともなる」。“日本自身の助けともなる”、極めて重い言葉だ。氏は「中共も日本の右翼も歴史を改ざんし謝罪はしない」と懸念を記している。
いま香港が危機。このまま「国家安全法」が導入されれば一国二制度は崩壊する。
天安門で銃を叩き壊す劉暁波氏
非暴力を貫くよう訴えた

「自由へと向かう人間の欲求はどんな力
でも止められないから、いずれ中国は
民主化される」、劉氏はそう確信していた

●6月3日…NHK『クローズアップ現代』、コロナ禍で家賃が払えず追い出される問題に言及。台風や地震など自然災害で住む場所を失った人に対し、行政は仮設住宅を用意している。番組で「コロナは災害だから、洪水で家を失った人のように公的住居を提供すべきです」と語られていたことにめっちゃ納得。

//国民が困っているときに、コロナ対策予算で政治家が金もうけしようとしたり、身内に利益誘導することが信じられない。幽霊会社で中抜きなんてとんでもないこと。給付金事業は民間に任せると“企業秘密”をタテに金の流れが不透明になる。国の機関がすべておこない、血税をどう使ったか透明化しないと。
●6月2日…まさかブッシュ元大統領の言葉にグッと来る日が来ようとは。2日夜の声明「今はお互いの声を聞くべき時だ。特に若い黒人男性が犠牲となる人種差別をなくすべきだ」「アメリカの現実を見るには、おびやかされ、抑圧され、権利を踏みにじられた者の目を通して見るべきだ。今はそういう時だ。多くの人が我が国の正義に疑念を抱いているのも当然だ」「解決のためには一貫した勇気のある創造性に富む努力が必要だ」

 

//元国防長官のマティス氏「トランプ氏は私の人生の中で、米国を団結させずに、分断させようとする初の米大統領だ。しようとするふりさえしません。代わりに、彼は私たちを分断しようとする」。
●6月1日…いまアメリカでは、白人警官が無抵抗の黒人男性の命を奪ったことをきっかけに大きな暴動が起きています。お墓参りでアメリカのほぼ全州を巡礼していることもあり、ローカル・バスや食堂で交流のあった様々な人の顔が浮かび胸を痛めてます。巡礼中の体験談などを混ぜながら、事件から僕が感じたことを少し綴ります。

今回の暴動は首都ワシントンDCに及び、ホワイトハウスの前で炎が上がったことに驚いきました。記憶にない光景です。トランプ氏はよほど身の危険を感じたのか、ホワイトハウスの照明を消し、「地下壕」に避難したといいます。これがオバマ氏であれば、逆に民衆の前に出て、冷静になるよう呼びかけていたでしょう。
この暴動は一時的には州兵の火力で鎮圧できても、人種差別問題に触れずに「暴動は極左のしわざ」などと分断を煽っているトランプ氏では、根本的には解決できません。この暴動の背景にあるのは次の3点と思っていますが、トランプ氏は対策を示せていません。
(1)根深い差別感情
(2)先進国なのに国民皆保険がない
(3)銃社会
このうち(1)については、あくまでも一例になりますが、2015年に警察官が武器を持たない黒人市民を射殺した割合は、白人市民を射殺した割合の2倍とワシントンポスト紙が指摘しています。射殺時に相手が誰かに危害を加えていたケースは、黒人より白人の方がずっと多かったのにです。

(2)はコロナ禍が黒人の経済的貧困を浮き彫りにしました。黒人感染者の死亡率は白人の2倍に達しています。アメリカは超格差社会であると同時に、他国では当たり前の国民皆保険制度がないため、人々は高額の民間保険に入らざるをえず、低所得層約3000万人が未加入の状態です。その結果、病院に行けず、感染も広がり続け、米国は世界でも突出した最多感染国になりました。複数のジャーナリストが、暴動が起きた大きな一因に、コロナ禍への不安と、政府に見捨てられているという貧困層の怒りをあげています。

(3)の銃社会は、警官の過剰暴力の呼び水になっています。暴動関連の米国のニュースでは差別感情とコロナ禍しか話題になっていないようですが、問題の本質は銃社会にあると訴えたいです。米国は「3億丁」も銃が出回っており、警官は常に命がけ。撃たれる前に撃たないと自分が死ぬ。わかりやすい例では、スピード違反で停車させる→相手がダッシュボードから免許証を出そうとする→銃を出すと思って射殺、こうした悲劇が繰り返されています。

20年ほど前、僕はフロリダで墓巡礼中に不審者と思われ、3人の警官に路上で身体検査を受けました。英語がよくわからず、背中のリュックの中を見せろと言われたのかと思い、作り笑顔で「OK、OK」とリュックを下ろそうとした瞬間、一斉に「Don't move!」「Don't touch!」とシャウトされ、2人の警官に両腕を固められました。その頃の僕は今より童顔、体重も15kg少ないため、アメリカではよく学生に間違われていました。そんな外見だし、自分では蟻んこも踏めないほど非力と思っているので、リュックに手をかけただけで大騒ぎになると想像せず、「ノー・ノー、アイム・セーフティー・マン」とか言って、余計に怪しまれました。欧州でこんな体験はなく、銃社会アメリカならではです。

同様のことは、相手が警官でないケースでも体験しています。南部オクラホマ州の夜のバス停での話。バスが来るまで20分ほど中南米系の男性(35歳くらい?)とベンチで話していて、“あ、そうだ、日本から持ってきた《酢こんぶ》が内ポケットにあったはず”と上着に手を入れた瞬間、相手が「うおっ!」と立ち上がって距離をとりました。一瞬、僕は何が起きたか分からず“えっ、今の今まで笑いながら雑談してたじゃん!”と仰天。男性が「ふぅ、銃かと思ったよ」と言ったので状況を理解しました。
別の年。南部ニュー・メキシコ州に画家ジョージア・オキーフの遺灰が撒かれたという荒野を訪ねたときのこと。到着した場所に確信が持てず、日没間近ということもあって、付近の一軒家に近づきました。カウボーイハットを被った男性2人が出てきて、明らかに怪しんでいます。先にこちらから「Excuse me! Help!」と大きな声でオキーフの散骨地はここで合っているか尋ね、僕は自分が泥棒でないことを知らせました。初対面の相手にはこちらから話して安心させることが鉄則です。
「その通り。お前は絵が好きなのか?こんな所にアジア人が来るわけないから、もうちょっとで撃つところだったぞ」「ああ、撃たれても仕方ないぞ」と警告されました。「何者だ」と問われたので「美術学校の生徒」という設定にしておきました。

その帰りです。レンタカーでしばらく走っていると、後方からハイビームを点灯させ猛スピードで追っかけて来る車が。同行していた友人M氏と顔を見合わせ、「悪党が迫ってきた」とブルっていたところ、クラクションを鳴らして降りてきたのは先ほどのカウボーイの親父さんでした。手に持っていたのは“額縁”でした。
そして「俺の弟が絵描きでな。君は絵をやるんだろ。もらってくれ」と絵をプレゼントしてくれました!熊と馬が描かれており、超展開にびっくり。その絵はM氏が今も大切に持っています。米国人は打ち解けると根が優しい人がほんとに多いのに、銃の存在によって、無用な緊張関係が最初にあるのがもったいないです。
差別防止の啓蒙教育だけではダメです。国民皆保険を導入して低所得層の健康不安を減らし、市民が銃を持たぬことで警官の緊張感を減らす、この2点を導入することでアメリカははるかに住みよい国になると思います。
最後に、アメリカ巡礼では、警察署から墓地までパトカーで送ってくれた親切な警官がいましたし、レンタカーをパトカーで先導してくれた警官も複数いたことを付け加えておきます。

レディー・ガガさん「トランプ大統領は世界で最も権力がある立場にいながら、黒人の人生が失われ続けている間も無知と偏見しか与えていません。大統領になった時から能力がなく、人種差別主義者であることは分かっていました」
テニスの大坂なおみさん「(事件に触れ)何に対しても立ち上がらないのであれば、あらゆることに対して屈してしまう」

※暴動を伝える報道に埋もれがちですが、以下のCNNの記事がめちゃくちゃ良かったです。
《デモ隊に笑顔で「一緒に歩こう」米保安官に共感広がる》
米ミシガン州フリントタウンシップで5月30日に開かれた抗議デモ。暴動鎮圧の装備で出動した警官隊とにらみ合う市民らに語りかけたのは、ジェネシー郡の保安官クリス・スワンソンさんだった。地元放送局WEYIが伝えた。
スワンソンさんは警棒を下ろすと、「抗議ではなくパレードにしたい」とデモ参加者に語りかけ、「私たちがここにいる唯一の理由は、あなた方が確実に声を上げられるようにするためです。ここにいる警官たちはあなた方を愛しています」と訴えた。
集まった人たちは、米ミネソタ州で起きた警官の暴行と黒人男性ジョージ・フロイドさんの死に対して抗議の声を上げていた。
スワンソンさんが笑顔でデモ参加者とハイタッチを交わすと、集まった人たちの中から「一緒に歩こう」という声が巻き起こった。スワンソンさんは「レッツゴー」と応じ、歓声を上げる人たちと一緒に歩きながら、「どこまで歩きたい? 一晩中歩こう」と声をかけていた。
ソーシャルメディアにこの映像が流れると、「#WalkWithUs(『私たちと一緒に歩こう』の意味)」のハッシュタグとともに、スワンソンさんの行動を称賛する声が広がった。
ツイッターには「これこそ警察の正しい対応」「WalkWithUsこそ、ジョージ・フロイドさんを殺害した体制を変える方法だ」といったツイートが相次いでいる。
スワンソンさんはこの前日、フェイスブックに「この恐ろしい犯罪に関与した警官それぞれの即時逮捕と訴追を求める」と投稿していた。

−−−−
【追記】被害者ジョージ・フロイドさんの弟テレンスさんが、暴動をやめるよう死亡現場で訴えました。氏の声明は魂に語りかけるものでした。「皆さんが怒る気持ちは分かります。でも、私に比べれば半分も怒っていないでしょう。その私が暴動を起こしたり、物を燃やしたり、コミュニティーを汚したりしていないのに、皆さんは何をしているのですか!そんなことをしても兄は戻ってきません。平和的にやって下さい。お願いです」

 
●5月31日…6/1(月)の13時からBS(NHK)で、僕にとってここ数年で第1位の映画『タクシー運転手〜約束は海を越えて』を放送、可能なら録画を熱烈推奨です!社会派作品ですが随所にユーモアもあり圧巻の完成度。
1980年、韓国光州で起きた民主化要求デモに軍事独裁政権は武力行使(無差別発砲)を決定。テレビは軍支配下に置かれ「暴徒が暴れている」と報道。
主人公は政治にあまり興味のないソウルのタクシー運転手(演じるのは「パラサイト」のソン・ガンホ)。彼は光州へ潜入取材を試みるドイツ人を乗せて現地に入り絶句する…。
真実を知った彼らの行動が凄い。僕は勇気に胸を打たれ、舞台となった光州を訪問、ドイツ人ジャーナリストのユルゲン・ヒンツペーター(遺言で光州に墓)や市民の墓参りをし、“タクシー”であの大通りを走りました。
※なんでこんな良い作品を平日の昼間にやるのか!夜にやってくれ〜!もったいない!
※ちなみに予告編もすごい!予告編の冒頭と終わりで同じ俳優と思えないほど表情が激変。彼の身に何が起こったのか…です!
●5月30日…平安末期〜鎌倉初期に描かれた国宝絵巻「鳥獣戯画」(全4巻44メートル!)の特集番組が先日NHKで放送され、ナレーションの温かさにウルウル&思わずメモ。
「動物たちから伝わってくるのは、勝ち負けよりも“楽しいかどうか”が大事ということ。蛙に投げ飛ばされた兎の目は三日月型に笑っている。合戦ごっこでひっくり返った蛙に手を差し伸べる兎、微笑ましく見守る狐。遊びの喜びにすべての動物が“とりこ”になっている」。
“遊びの喜びのとりこになる”って素晴らしい表現!国文学者・今村さん「動物たちが同じ様な大きさで描かれている。みんな平等。ただ楽しむためにみんなが一生懸命になっている、そういう世界」。
 
兎は相撲に負けたのに爆笑している!なんて楽しそう

 
お猿のお坊さんの口元から、お経が漫画の吹き出し(セリフ)のようにボワッと
出ていることから、漫画の原点とも。拝まれている仏像はカエル仏。
威張っているお坊さんへの風刺にもなっており800年前の絵師のユーモア
 
ある日本画家さんいわく「このカエルのお腹の丸みの線はすごい、
筆でシュッと描いているが見事としか言いようがない」

//先日の『笑ってコラえて!』オンエアでいろんな方と新たにフェイスブックで繋がることができて感無量です。シャイな方は「フォローだけ」されていると思うのですが、この不肖カジポンごときには遠慮など無用です。気軽にフレンド申請をどうぞです。
…恥ずかしいという気持ち、とても分かります。僕がお墓好きなのは、墓前でモジモジしていても「早く話せ」「お前は誰だ」とか言われないからです(コレ重要)。

ただ、フェイスブックを始めてまだ1年ちょいですが、世界の美女からのフェロモン炸裂画像メッセージが多すぎて「絶対に僕と誰かを人違いしている」と日夜ガタガタと震えおののいています。僕が見ず知らずの外国の女性にモテモテのはずがないのです。なんとかこの恐怖を創業者マーク・ザッカーバーグに伝えたいのですが…。

もしも数日前にフレンド申請をしたのに許可がまだ、という方がおられましたら、顔写真なし、本文なし、プロフィールなし、フレンド未公開、名前だけしかわからず、小心者の僕がビビっているということです。
また、アップ情報が“おすすめ商品”の体験談だけだと、押しに弱い僕は買ってしまいそうで二の足を踏んでしまいます…(汗)
一言「文芸ジャンキーの読者です」メッセージをいただけたら、安心してフレンドボタンをクリックしますので、よろしくお願いします <(_ _)>
●5月29日…専門家会議の議事録を安倍政権は公文書として作成していないことが判明。この未曾有の危機にどう対応したのか、きちんと議事録を残していないと、将来同じようにパンデミックが起きたときに教訓にできない。政府の決定プロセスを明らかにするのは未来への責任。
※政府は議事録を作成しない理由を「自由な議論をするため」というけど、それって専門家への侮辱かと。集められているのはその道のプロであり、責任を持って発言している。仮に専門家会議が間違った場合でも、その間違いがまた今後の財産になる。なんなら、議事録の公開を一定期間は控えるという条件でもいい、絶対に作成すべきだ。

/北九州市のコロナ第2波、ちょっと心配ですね。23日間も感染ゼロが続き、ようやく小倉城やいろんな施設が公開されたのに、2日間で閉鎖となって残念。東京も今日は22人の新規感染者で半数が若者。ゴールデンウィーク明け、5月11日の緩和から2週間後がどうなるかと懸念されていたけど、ここにきて人数が増えてきたのが気がかり。ほんともう収束してほしい…。

//香港に対する中国政府の圧政が激化。米国ではミネソタ州で人種問題に端を発した暴動。世界が緊張している。習近平もトランプも強権以外の根本的な解決策を提示しないと、事態は悪化するばかり。

//ガンダムの模型をコマ撮りしてマイケル・ジャクソンのダンスを再現した動画(2分)に見入った。これ時間がかかっただろうなぁ。
●5月28日…最近は家にテレビを置かない人も多いと聞きます。昨夜放送された『笑ってコラえて!』、6/3まで無料配信だそうです!これは嬉しい!「墓マイラーの偉人愛」はリンク先の開始33分半からです。笑っていただければ幸いです。

//『笑ってコラえて!』のクライマックスで僕とフランス人紳士(パスカルさん)が墓参していた作家シャトーブリアン(1768-1848)。日本ではこの作家が愛したステーキの名だけが有名ですが、番組を見ているだけではどうして僕とパスカルさんが墓前で胸熱・感無量になっていたのか伝わりにくいと思い、シャトーブリアンの魅力を語らせて下さい(撮影の裏話も)。
シャトーブリアンは1768年にフランス北部の港町サン・マロ(あのお墓がある町)で没落貴族の家に生まれました。ナポレオンはひとつ年下、ベートーヴェンは2つ年下という熱い時代。20歳でパリに出て、翌年にフランス革命に遭遇、市民による有名なバスティーユ牢獄襲撃(革命の始まり)を目撃しています。大きな時代のうねりの中で、23歳の彼は未知なる世界とロマンを求めてアメリカ大陸に渡航。東海岸を旅行し、雄大な自然に圧倒されます。

帰国後、貴族側として蜂起に加わって深手を負い、英国に亡命。7年に及ぶ貧窮生活をロンドンで送り、生活のためにイギリス文学を翻訳しているうちに文学に夢中になりました。祖国では粛清の嵐が吹き荒れ、貴族側だった兄夫婦は処刑され、母や姉も投獄(釈放後すぐに2人は他界)。亡命中のシャトーブリアンは葬儀に立ち会えませんでした。やがて英国で活躍するシャトーブリアンの文才がフランスで話題になり、ナポレオンは彼の安全を保障し帰国を許します。
1801年、33歳でフランス文学の金字塔となる小説『アタラ』を執筆。かつての新大陸での見聞がここに結実しました。小説の舞台はアメリカ、主要人物は先住民という、当時の欧州人にとって異国情緒あふれる非常に新鮮なもので、熱狂的な喝采をもって迎えられました。
魅力的な冒頭部分を紹介します。現代の人間が読んでも旅情を呼び起こされる文章です。

「フランスはむかし北米に広大な植民地を持っていた。ラブラドル(カナダ東部)からフロリダまで、そして大西洋岸からカナダの奥の湖沼地帯まで広がっていた。四つの大河が同じ山岳地帯から流れ出て、この果てしもない広大な土地を区分していた。(略)ミシシッピー河は一千里以上を流れながら楽園のような大地を潤し、フランス人はこの土地に“ルイジアナ(ルイの土地)”という柔らかな名を残した」
「ミシシッピー河の両岸は世にも珍しい光景である。西岸には見渡す限り大草原が広がり、緑の波は遠ざかるにつれて空の青の中にのぼっていくように見え、そこで消えてしまう。果てしのない草原には3、4千頭の水牛(バッファロー)の群れがあてもなくさ迷っている。時には老いた牛が水を分けて泳ぎ、ミシシッピー河の島にあがって身を横たえ、三日月型の二本の角に飾られた額や、古びた泥まみれのひげを見ると、あなた方はこの野牛のことを、壮大な河の流れや、両岸の豊かさに満足の眼差しを投げている河の神と思いこんでしまうだろう」

物語は米大陸に渡ったフランス人青年ルネが、先住民ナッチェス族の長老の養子になり、長老から生涯最大の悲恋話を聞くというもの。長老が若い頃に愛した女性アタラを通して、シャトーブリアンは次のセリフを綴りました。「いまあなたが背負っている試練は、あなたを他人の不遇に対してもっと同情のある人にするためです。ああ、人の心は刃物で自分が傷つけられた時でなければ、傷につける樹液を出してくれないあの樹に、本当によく似ています」。
そして僕は続編の『ルネ』で衝撃を受けました。『アタラ』の主要人物がフランス軍の攻撃で虐殺されたのです。1730年、仏軍はナッチェス族を大虐殺し、民族のほぼ全員を殺戮しました(圧政に怒って蜂起したナッチェス族が仏人を殺害したため、その報復として行われた)。虐殺を生き残ったルネの孫がこう語ります。「フランス人はあたし達の国の者を大勢殺しました」「長老と祖父のルネは、あの虐殺事件のときに命を落としてしまいました」。
僕はこの短い描写に打ちのめされました。侵略戦争が当たり前のように行われていた時代にあって、シャトーブリアンは自国の軍隊がナッチェス族を絶滅させたこと、その酷さを、理不尽さを、すべての読者に知らしめたのです。自国の加害行為を作家が記すことは今も昔も勇気がいります。

その後、シャトーブリアンはナポレオンが無実の王党派幹部(王位継承権を持つ人物)を銃殺刑にしたことで激怒し、ナポレオンとは終生の敵となりました。彼はあとに続く王政も批判し、パリにて79歳で寂しく他界。晩年、貧しいなかで書きあげた回想録『墓の彼方の思い出』を売却する際、「死後に出版する」という条件をつけたため、彼は「墓を抵当に入れた」と語っています。亡骸は遺言により故郷サン・マロに運ばれ、グラン・ペ島に埋葬されました。

−−そんなこんなで、僕は墓前で奇跡的に出会ったパスカルさんと2人でシャトーブリアンLOVEを語ったのです。放送ではカットされていましたが、持参した岩波文庫の『アタラ』をパスカルさんに見せて、表紙にキスしたり、中の文章を見せて「日本の小説は文字が縦書きなんです、シャトーブリアンの文章を縦に読んでいるんですよ!」とかいろいろ伝えたのを覚えています。パスカルさんは、170年前の故人のために、墓前で詩を朗読してあげようと遠くパリからやって来た優しい人。忘れられない出会いとなりました。
大変だったのはその夜です。宿のロビーでディレクターさんが何やらこそこそと電話で話しているのです。耳をそばだてると「今日、めちゃくちゃ良い出会いがあって、もう番組的には十分に成立するから帰国を早めようと思ってる」みたいなことを言っているのです!えええーっ!まだロダンやラヴェル、サティの巡礼が残ってるやん!「行こうよ、行こうようっ!」と説得。その後、なんとか無事に巡礼できましたが、放送ではボツに。11箇所を墓参してオンエアされたのは、ジュール・ヴェルヌ、ジョルジュ・サンド、シャトーブリアンの3人だけという…。ですが、ナポレオンやゴッホという超有名人の墓をカットしてでもその3人を残した日テレさんの判断は、完成された番組を見ると英断だったと思います。長ければ良いというものではありません。さすがはプロのテレビマン。お蔵入りした映像にいつの日か光が当たることを祈っています…(笑)

※シャトーブリアンのお墓がこんなに素敵な場所にあると知ったのは、漫画『のだめカンタービレ』15巻を通してでした。作者の二ノ宮知子先生のお陰です!2006年に読んで以来、ずっと墓参したいと思ってて、12年後に笑コラの企画で実現しました。
 
海の向こうは彼が文学に目覚めたイギリス
『のだめカンタービレ』15巻から
「偉大なフランスの作家がここに眠る 波の音、風の音だけを聞くために ここに来る人たちは作家の遺志を尊重してほしい」
●5月27日…今朝の朝刊(日経、朝日)のテレビ欄『笑ってコラえて!』の説明「時空を超えた偉人愛、失恋するたび成長する“墓マイラー”の真実」、内容がまったく分からないという(笑)
でもこれは正しい解説です。デイレクターさん情報では20時半頃にカジポン登場とのこと。

 

//番組内で話題になっていたディレクターさん撮影の“SFの父”ジュール・ヴェルヌのドラマチックなお墓です(左)。あの後、僕も真似をして撮ろうと思ったのですが、既に太陽が移動しており「かめはめ波」にしかならなかったです(右)

  

//ゴールデンタイムのオンエアはめったにないことなので、「墓マイラー講演依頼案内」をアップしておきます!(^^;)
●5月26日…『笑ってコラえて!』総集編特番オンエアまであと1日。友人が予約画面の番組概要を、「コレ、文字でこう書かれると完全にヤバい人ですねw」と送ってくれた。日テレの番組説明にあったのは『お墓で時空を超えて話す男』。まるでスタンド使いか異能力者で噴き出した(笑)
だけど、相手が紀元前の人でもコッテコテの大阪弁で暑苦しく語りかけているので、間違った説明ではないです。もっと正確にいえば『お墓で時空を超えて“一方的”に話す男』かも。
ちなみに昨年の本放送の番組概要は、僕の名前もコーナー自体も一言も入っておらず、ただイケメン祭り(菅田将暉さんと坂口健太郎さんのこと)とあったので、僕みたいな怪しいオッサンが出てきたら、“不当表示”でJAROに通報されないか心配したのを覚えています。
2019年1月 2020年5月(NEW!)
●5月25日…賭けマージャンで辞職した黒川元検事長の処分が、めちゃくちゃ軽い「訓告」(ただの注意)で終わってビックリ。当初、法務省は国家公務員法に基づく懲戒処分(免職、停職、減給、戒告)の一つである「戒告」が相当と判断。この段階でも軽いものだったんだけど、この処分案を法務省が首相官邸に伝えた(検事長の懲戒処分は任命権を持つ内閣が行うため)ところ、官邸は「戒告」ですら厳しすぎる、懲戒にはしないと結論付け、さらに軽い「訓告」となったという。黒川氏の退職金は減額され5900万円になったけど、“処分”が反映されたのではなく自己都合退職が理由。

この経緯について、安倍氏は午後の会見でこう語った。「検事総長が事案の内容など、諸般の事情を考慮し、適切に処分を行ったと承知している」。まるで最初から訓告で決まってて、判断をしたのも検事総長で、官邸はまったくノータッチと言わんばかり。原案が「戒告」であったのは、時事通信や朝日新聞が複数の法務・検察関係者から証言を得ているので、首相が誤魔化している可能性の方が極めて高い。
検察庁法改正案をめぐっては、こういった官邸による介入はやめてくれと世論が高まったのに、その処分において再び圧力をかけてくることが、僕にはまったく理解不能だ。首相の側近は「この件でまた介入するのはさすがにマズいですよ」と誰も言わないのか?
っていうか…黒川元検事長の賭博行為は常習だったと判明してる&検察は賭博を取り締まる側&しかも組織ナンバー2、というトリプルコンボを考慮すると、当初案の「戒告」でも軽すぎないか。

法務省の川原隆司刑事局長いわく「当該マージャンのレートは1000点を100円と換算する、いわゆる《テンピン》だったので必ずしも高額と言えない」とまさかの「黒川レート」公認発言。つまり、レートが点ピンで2万円程度なら賭博にあらずと!《テンピン》は賭博罪にもならないし、国家公務員法82条1項3号の「国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行」にも該当しないと。
「黒川レート」は内閣、法務大臣、法務省全役人、検事総長、検察庁全役人、警察庁、警視庁が告発も捜査もしないということで正式に合法化された。より正確にいうならば、漫画家の蛭子能収さんはかつて1000点200円の《テンリャンピン》で逮捕されたので、《テンピン》はセーフ、《テンリャンピン》はアウトという厳格な指針が法務省から国民へ新たに示された。
とはいえ、司法上は、現金は1円でも賭博罪の対象でこれまで来たんだから、今後、どう整合性をつけていくんだろうね。
●5月24日…SNSで頻発する匿名投稿者のネットリンチ。スマホを片手に指1本で相手を死に追い込むことから、韓国では“指殺人”と呼ばれている。女子プロレスラーの花形として東京ドームのリングを任されるほどだった木村花さん(22)が、恋愛リアリティーショーの出演をきっかけにバッシングされ、連日のように「死ね」「気持ち悪い」「消えろ」などと罵られて生命を絶ったのは痛ましすぎる。木村さんが最後に綴った言葉は「愛されたかった人生でした」−−。
恋愛リアリティーショーはあくまでショーであって、ドキュメンタリーではない。演出家が思い描く展開になるよう場面をつなぎ合わせ、インタビューの順番を入れ替えて視聴者に“提供”する。だからこそ、番組を編集する大人たちは「この演出でオンエアしたら、出演者が誤解を受けるかもしれない」という配慮が絶対に必要。まして、テレビ局が炎上を狙って動画をアップするなどもってのほか。
木村さんに対して、匿名で容赦ない書き込みをしていた人は、事件後に一斉にアカウントを削除し姿を消したという。…昨年の菅田将暉さんのドラマ『3年A組』は、ネットの誹謗中傷がテーマだった。最終回で主人公が全国のネットユーザーに語った言葉を思い出す。

言葉は時として凶器になる。ナイフなんて比にならないくらい、重く、鋭く、心をえぐってくる。だから刻んで欲しいんだよ!右にならって吐いた何気ない一言が、相手を深く傷つけるかも知れない、独りよがりに偏った正義感が束になることで、いとも簡単に人の命を奪えるかも知れないってことを!そこにいる君に!これを見ているあなたに!一人一人の胸に刻んで欲しいんだよ。他人に同調するより、他人をけなすより、まずは自分を律して、磨いて行くことが大切なんじゃないのか?ってか、そっちの方が楽しいだろ。その目も、口も手も!誰かを傷つけるためにあるわけじゃない!誰かと喜びを分かち合うために、誰かと幸せをかみしめるためにあるんじゃないのか?」

ドラマのエピローグでは、あるネットユーザーが「お前なんか死ねばいいのに」と文字を打ち込んだ後、EnterキーではなくBack spaceキーを押して削除する描写が映り、そこで物語は終わる。
主人公は「ストレスの発散で他人の心をえぐるな」とも。こんなドラマを作るテレビマンもいれば、今回のように人間の負の部分を娯楽のために刺激するテレビマンもいる(その人も上司から不本意に作らされているのかもしれない)。後者はどんな世を作りたいのか。
インターネットが普及し始めた20年前、暴言を書いた人には、すぐに周囲の人が「それはネットマナーに反するよ」とさとしていた。いまや、ネットマナーという言葉自体が死語に近い。自分の親や、友達に面と向かって言えない言葉を、見ず知らずの他人にぶつけてはいけない、そういう共通認識がほんと社会に必要。2020年代、世界を変えていこう。
●5月23日…この国会で、日本でもついにツイッターなどSNSが政治を動かした。著名人は政権支持者から攻撃されても萎縮せず、自分の意思表示をやめなかった。米国では著名人の発言と作品への評価は別物と考えられる傾向があり、俳優はあまりCMに出演しないこともあって、アカデミー賞の授賞式でもバンバン政治的な主張をする。一方、日本はスポンサーや事務所のしがらみで芸能人が自由に発言するのは難しいと言われてきた。それだけに、勇気を出して声をあげ始めた表現者に心から敬意を表したい!
政府からすれば「沈黙」は「賛同」と同じ。投票の「棄権」も「賛同」と同じ。「勉強不足だから発言しなかった」「分からなかったから黙っていた」という態度が美徳とされる社会ほど政府にとって都合のいいものはない。「政策に違和感を感じた」というレベルでどんどん書いていいし、その方が政治家だって「なるほど、ここが誤解されているのか」と問題点がわかり説明に力を注げる。
日本では低い投票率や、飲み会で政治の話はタブーというように、政治に対する無関心が問題になっている。著名人が積極的に発言し始めたのはとても良い変化。議論が生まれることが大事!
以下、著名人が語った言葉を一部紹介。

井浦新(俳優)
「もうこれ以上、保身のために都合良く法律も政治もねじ曲げないで下さい。この国を壊さないで下さい。#検察庁法改正案に抗議します」

宮本亜門(演出家)
「このコロナ禍の混乱の中、集中すべきは人の命。どうみても民主主義とはかけ離れた法案を強引に決めることは、日本にとって悲劇です。#検察庁法改正案に抗議します」

大友良英(作曲家)@「あまちゃん」「いだてん」
「こんなものを通したら民主主義の根幹が崩れかねないとわたしは考えています。政党超えて、この法案を止める力のある国会議員には反対してほしいし、新聞を含むメディアもことの深刻さを伝えてほしいと思います。#検察庁法改正案に抗議します」

いきものがかり 水野良樹(ミュージシャン)
「どのような政党を支持するのか、どのような政策に賛同するのかという以前の問題で、根本のルールを揺るがしかねないアクションだと感じています。#検察庁法改正案に抗議します」

小泉今日子(俳優)
「私、更に勉強してみました。読んで、見て、考えた。その上で今日も呟かずにはいられない。#検察庁法改正に抗議します」
※小泉さんは「#検察庁法改正案に抗議します」をつけた投稿を7連投。

鴻上尚史(劇作家)
「国民が感染症に苦しんでいるときに、内閣や法相が認めれば検察庁幹部の定年を例外的に延長できる法律を通すなんてストーリーを書いたら、プロデューサーから間違いなく『ありえないです。リアリティがなさすぎ』と突っ込まれると思う」

野木亜紀子(脚本家)@「逃げるは恥だが役に立つ」
「左の人がタグで騒いでるから乗らない、とか、左の人が言ってるからこの法案は正しいとか、そういうのもうやめませんかね。これ右も左もない話で私は共産主義なんて信奉してない、民主主義を愛する日本国民ですよ。左右ではなく問題を知って判断してほしい」

吉田戦車(漫画家)
「得意技の「ある組織の人事を自分の都合のいいものにする」を、いつまでも使わせてちゃいかん。#検察庁法改正案に抗議します」

城田優(俳優)
「大事なことは、ちゃんと国民に説明してから、順序に則って時間をかけて決めませんか? そんなに急ぐ必要があるんですかね。#検察庁法改正案に抗議します」

嘉門達夫(ミュージシャン)
『怒りのグルーヴ(検察庁法改正案編)』「ボケボケボケボケ、ドアホドアホドアホ、ええ加減にせえ、ええ加減にせえ、あ〜!自分達に都合のいい法案を通す、バカにすな、バカにすな、あ〜!検察と行政の癒着を許すな」
『怒りのグルーヴ』 2分間の短い曲、頭出し済

LOVE PSYCHEDELICOのギタリストNAOKI
「法改正してまで、退任後の逮捕を逃れようと我が国の総理大臣は実は必死なのです。そんな他に全く理由のない法改正がこの国ではどさくさに紛れて通ってしまう。一言言っていいですか? この火事場泥棒!」

ウーマンラッシュアワー村本大輔(漫才師)
「検察という番犬を飼い慣らして、自分達を逮捕できないような仕組みを作ろうとしてるとしか思えない。しかもコロナで国民が生活という目の前のことに盲目になってるドサクサにまぎれてコソっと通そうとしてるところに姑息さを感じる」

ハマカーン・神田伸一郎(漫才師)
「#検察庁法改正案に抗議します 人それぞれの信念だから政治と宗教についてはツイートしないのだけど、これはさすがにルール違反だからね。」

水原希子(俳優)
「東京高検・検事長黒川弘務氏の違法な定年延長に抗議し、辞職を求めます」と署名を呼びかけ。

パトリック・ハーラン(タレント)
「今まで安倍政権が行った強行採決は安全保障や経済など国民全員に関わるものという大義名分が名目上はあった。それが今回見当たらない。公務員数人、もしくは一人のための都合のいい法案にしか見えない」「なんで緊急事態宣言中に法案を通さねばならないのか」

西田敏行(俳優)
「改正案はおかしい! 私もそう思います。果たしてそれをコロナが蔓延しているこの時期に、政府が率先してやるべきですか」

マンガ家からも多くの声があがった。羽海野チカ、二ノ宮知子、江口寿史、伊藤潤二、しりあがり寿、さそうあきら、けらえいこ、榎本俊二、松田洋子、ヤマシタトモコ、ねむようこ、小玉ユキ、南Q太、田亀源五郎、羽生生純、島崎譲等々。
ほかにも、俳優の西郷輝彦、浅野忠信、ラサール石井、秋元才加、鈴木砂羽、映画監督の岩井俊二、『この世界の片隅に』の片渕須直、金子修介、入江悠、作家の島田雅彦、平野啓一郎、村山由佳、綾辻行人、角田光代、俵万智(歌人)、美術家の奈良美智、会田誠、作詞家の松本隆、ミュージシャンのChara、岸田繁(くるり)、高野寛、末吉秀太(AAA)、コムアイ、キヨサク(MONGOL800)、小宮山雄飛(ホフディラン)、声優の緒方恵美(碇シンジ役)、芸人の大久保佳代子、大谷ノブ彦(ダイノジ)、バレーボールの大山加奈選手。
東京工業大の西田准教授(社会学)「新型コロナの強い制約下に国民が置かれているなか、普段は政治的な発言をしないアーティストやタレントが意見を述べたことで、多くの人たちが関心を示した」。
※2015年の安保法制で反対の声をあげた、坂本龍一、渡辺謙、石田純一、笑福亭鶴瓶、SHELLYなどと顔ぶれが変わった印象。

検察OB有志の反対声明も特筆すべき動きだった。ロッキード事件で最前線に立った元検察官たちの理路整然とした反対意見に、反論できる議員などいない。ネットで「芸能人に法律のことが分かるのか」と叩いていた人も、検察OBに対しては「法律の素人」と強弁できず沈黙するしかなかった。
「(黒川検事長の定年延長を決めた閣議決定は)安倍首相が内閣による解釈だけで法律の運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王制を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる『朕(ちん)は国家である』との中世の亡霊のような言葉を彷彿(ほうふつ)とさせるような姿勢である」「17世紀の高名な政治思想家ジョン・ロックは《法が終わるところ、暴政が始まる》と警告している。心すべき言葉である」「今回の法改正は、検察の組織を弱体化して時の政権の意のままに動く組織に改変させようとする動きで看過できない」。
小泉今日子「(検察OBの意見書に)泣きました。そして背筋が伸びました。こういう大人にわたしはなりたい」。

僕は日本の政治史の転換点に立っているという胸の高鳴りを感じ、上記の表現者の反応も含め、この半年間の動きを全力でまとめた特設ページ『超展開!検察庁法改正狂騒曲』を脱稿。長文ですが、時系列になっているので比較的に読みやすいかと!

  哲学者ジョン・ロックの墓(英国)

●5月22日…墓マイラー の世界はあまりにマイナーすぎて、2度とゴールデンタイムで光が当たることはないと思っていたのですが、先日、日テレから連絡があり、次の水曜(5/27)の『笑ってコラえて!2時間スペシャル』(総集編19:56〜)に再び登場することになりました!うおお!
これまで24年間にわたって放送してきた中から、『所さんも納得の番組史上もっとも笑えて泣ける珠玉の愛のVTR3本を大公開!』という特集が組まれ、その1本に墓マイラー編が選ばれました。「偉人愛」という枠になります。
オンエアされたものに少し手が入り、最後に後日談的なミニ・エピソードを加えたものになる…と聞いています(ビデオメッセージ収録しました)。僕もオンエアまでどうなるのか分からずドキドキです。笑っていただければ幸いです。(*^_^*) 番組予告(30秒)
●5月21日…人口2億人の南米の大国ブラジルがコロナに対しノーガード戦法をとっていることに各国が懸念するなか、ついにブラジルの感染者数はロシアを抜いて世界第2位に。ブラジルは検査体制が不足していることから実際の感染者はさらに多いとみられている。ボルソナーロ大統領はトランプの崇拝者。米国とブラジルは超格差社会であり、両者がワンツーになっているのは象徴的に思える。WHOはブラジルが「新たな中心地」となって南米全体にコロナ禍が広まっていると指摘。南半球はこれから冬。

 
●5月20日…検事長がコロナ禍のさなかに違法な賭けマージャン、しかも国会で自身と官邸の親密さが注目を浴びるなかでだ。すべてが終わってる。常習だから内閣調査室も前から把握していたはず。それなのに安倍政権は「黒川氏は優秀だ、この人しかいない」と言い続け、法律を曲げてまで定年延長させた。賭けが大好きなのか、カジノを合法化したときの法務省のトップは黒川氏。
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【NHK速報5/21朝】東京高等検察庁の黒川弘務検事長が緊急事態宣言によって不要不急の外出自粛が要請されているさなかの今月1日と13日の夜、新聞記者の都内の自宅マンションを訪れ、賭けマージャンをしていた疑いがあると21日発売の「週刊文春」が報じています。
これを受けて黒川検事長が辞任する意向を固め周囲に伝えていることが関係者への取材で分かりました。検事長は21日にもコメントを出すものとみられます。
検察内部からは「検察庁法改正案の国会審議が行われていたさなかでもあり最悪のタイミングだ」などと辞任は避けられないという声が出ていて、法務・検察当局は今後、黒川検事長本人から事情を聴くなど事実関係の調査を進めることにしています。
黒川検事長をめぐっては政府がことし1月、「必要不可欠な存在だ」としてこれまでの法解釈を変更し史上初めて定年を延長しましたが、野党側からは「官邸に近い黒川氏を検事総長にするためではないか」などと批判が相次いでいて、今後、検事総長に就任するかどうかが注目されていました。
また法解釈変更の後、個別の検察幹部の定年延長を可能にする規定が検察庁法の改正案に追加されたことについても弁護士の団体などから「黒川氏の違法・不当な定年延長を後付けで正当化するものだ」と批判が出ていました。
●5月19日…マスコミは一瞬しか話題にしなかったけど、僕は5月初旬の安倍首相の緊急会見の衝撃をまだ引きずっている。
日本人の大半、7割の人は中小企業に勤めている。休業などで売上げがゼロになり、窮地に陥った会社も少なくない。政府は中小規模事業者のための支援金として「持続化給付金」を用意した。主要国に比べてかなり遅れたものの、とにもかくにも政府は手を打った。
今月4日、首相は会見で緊急事態宣言のさらなる延長を発表した。それ自体は予想できたことだけど、“事件”は会見の目玉である持続化給付金の説明中に起きた。
「(中小企業の)その苦しみは痛いほど分かっています。(略)明日の支払いにも大変なご苦労をしておられる皆さんに、1日も早く、使い道が全く自由な現金をお届けしなければならないと考えています。5月1日から最大200万円の持続化給付金の受付を始めましたが、最も早い方で、“8月”から入金を開始します」
中継を見ていた僕は絶句した。“え?8月?あと3カ月後?しかもそれが最も早い人?明日の支払いも困難な事業者に語りかけておいて3カ月後!?”
結局、このスピーチがすべて終わって、最後の質疑応答の際に首相は「8月と言ったのは(5月)8日の間違いでした」と訂正した。

人間は誰だって間違う。僕も漢字の読み間違いは多い。だけど、給付金の説明はこの日の会見の一番大事な部分であり、単なる読み間違いとはワケが違う。首相はそれまでに「苦しみは痛いほど分かる」「緊急事態の延長は断腸の思い」と言っていた。それがどうして、「8月」なんて言ってしまうのか。
首相の頭に「休業は中小企業にとって死活問題」という危機意識があって、日頃から「対策を急がねば」と思っていたら、「8月…ん?8月?そんな遅いはずはない、8日だ」と、口に出す前に頭の中で瞬時に判断できるはず。自分の頭で考えず、官僚が書いた文章をそのまま読んでいるからこんなことになってしまう。プロンプター(左右の透明な板)の原稿を読み上げているだけじゃないか…。

ちなみに、NHKのリアルタイムの字幕は「8月」ではなく「8日」だった。つまり、スピーチ原稿は先にNHKに渡されている。本番までに目を通す時間が首相になかったわけではない。
SNSには「官僚の作ったカンペを読むだけなら(ロボットの)ペッパー君を首相にすればいい、そっちの方が正確」と書かれていたけど、笑い事じゃない。自分の考えを述べようとしてないから、重要な点を簡単に言い間違える。生きるか死ぬかギリギリの人間がたくさんいるのに…。内容を理解していたらありえない言い間違いであり、まだ漢字が読めない方がよかった。

/4月8日に行われた首相記者会見も耳を疑った。イタリア人記者が「世界はロックダウンしているのに、日本がそうしないのは。一か八かの賭けだ。失敗したらどう責任を取るのか?」と問いかけた。その頃、欧州各国のリーダーやニューヨーク州クオモ知事は「あらゆる批判は私が受ける。責任は最終的に私が取る」と発言していたので、僕は首相の言葉に注目した。
安倍首相いわく「最悪の事態が起きたら、自分は責任を取ればいいというものではない」。…首相は進退をかけて対策の責任を取ると明言しなかった。これが海外なら、政治家生命が断たれてもおかしくない致命的な大失言。僕は激しく失望した。ところが、日本ではさほど問題にならなかった。政治家へのあきらめ、諦観のようなものがこの国を覆っているのだろうか。

/閣僚の言葉で「それを言うのか」と絶句したものがもう一つ。厚労省は2月17日付の文書で、コロナ疑い例の条件の一つとして「発熱(37.5 度以上)かつ呼吸器症状を有している」とし、帰国者・接触者相談センターもPCR検査受診の目安を「風邪の症状に加えて37.5℃以上の発熱が4日以上続いている」ことを挙げていた。だからこそ、多くの人が4日間の自宅待機を守ったし、その結果、容体が急変してお亡くなりになった方も少なくなかった。そもそも、相談センターに何回連絡しても、発熱して4日たっていないからと検査を断られる事例が多発していた。
それにもかかわらず、5月8日に加藤勝信・厚生労働大臣は会見でこう言い放った。「(37.5℃以上が4日以上という)これらは相談や診療を受ける側の基準ではない」「我々から見れば誤解だ」と、あたかも“国民や保健所が勝手に誤解した”と言わんばかりの主張をした。

あまりといえばあまり。医療崩壊を恐れての線引きとはわかるけど、じゃあ武漢封鎖から3カ月もあったのに政府は何をしていたのかと。僕は3月24日に東京五輪の開催延期が決まるまで、感染者数を少なく見せたかったという官邸の思惑もあったと思っている。衆院厚労委員会で読み上げられた新型コロナ患者の遺族コメントが痛切。家族が泣きながらPCR検査を頼んだのに断られ、発熱6日後に検査を受けたものの、入院後に呼吸困難となり亡くなったという。「私たちはコロナの犠牲者ではありません。どこかの偉い人たちが考えた基準によって犠牲になっています」。

//長野、岐阜、福島、奄美大島、震度3以上の地震が1日のうちに立て続けで起きすぎ、どうなってんの日本列島(汗)
●5月18日…野党は国家公務員の定年延長それ自体は反対していないのだから、与党は検察庁法と別々に法案を出せば良いだけなのに、なんでかたくなに束ねて提出することに固執するかね。
●5月17日…本日13時50分から平安末期〜鎌倉初期に描かれた国宝絵巻「鳥獣戯画」の謎にジョジョの荒木先生が挑むドキュメンタリーがNHKにて地上波初放送!兎やカエルが人間のように相撲をとったり遊んだりする様子が長さ11mにもわたって描かれた超大作。うおお、最高画質で録画予約セット完了!
●5月16日…お笑い芸人・せやろがいおじさんの新作動画「5分で分かる!検察庁法改の内容と問題点について」、解説の分かりやすさといい、ギャグのキレ味といい、過去最高傑作と思います!一休さん理論とか白いワンピースの前でカレーうどん食う話に爆笑。しかも罵倒とか一切なく個人攻撃せずにまとめている。神技!!
●5月15日…午後からYouTubeで衆院内閣委員会の国会中継。検察庁法改正案が強行採決されるという噂が。コロナ対策、経済対策を真っ先にやってくれ。優先順番がおかしい!
ていうか、なんでこれほど議論になっている法案の審議がNHKで中継されないわけ??

※15時45分、本日最後の質問者である維新・足立議員の持ち時間が終わり、議場は休憩に入った。休憩後、強行採決に入るか、それとも来週へ質疑持ち越しになるか注視。今日ここまでの法相答弁でも問題だらけなのが炙り出された。明らかに欠陥法。
※16時27分、「本日は閉会」との議長宣言、なんとか強行採決はまぬがれた!首の皮一枚で繋がった感じ。ヒヤヒヤです。
●5月12日…本日で文芸ジャンキー・パラダイスは開設21年になりました!長年、足を運んで下さっている読者の皆さん、本当にありがとうございます!<(_ _)>
※学生時代から来られている方は、そろそろ中年ワールドに突入ですね。ぜひ良い歳の重ね方を!
●5月11日…官邸がお気に入りの検察官幹部だけを勝手に定年延長できる規定が問題になる中(採決予定は15日)、自民党の泉田裕彦衆院議員がツイッターに「強行採決は自殺行為です。与党の理事に強行採決なら退席する旨伝えました」と投稿。そのわずか3時間後に泉田議員は「(法案を審議する)内閣委員を外されました」と驚きの報告。官邸の意向に逆らえば、同じ自民の議員でも容赦なく成敗する官邸。この余裕の無さは、官邸の腰ぎんちゃくと言われている広島選挙区の河井元法務大臣夫妻の逮捕・立件が迫り焦っているからか?
●5月10日…国内34県での新規感染者は、ゼロないし一桁台で推移。これが真実の数値であれば、まだ二次爆発の危険はあるものの、最初のピークを乗り越えたのは確実っぽい。気温が30度近くなり、外を少し歩くだけでマスクの中が湿ってくる。このまま終息してほしいもの!
●5月9日…11日22時からEテレで『グレーテルのかまど “ジョジョの奇妙な冒険”のごま蜜だんご』の再放送!瀬戸康史さんがごま蜜団子づくりに挑戦。料理番組でありながらジョジョ紹介番組でもあり!前半、僕もジョジョトークで出演。美味しい「ごま蜜団子」を作りたい方、是非レシピをメモって下さいませ!
  
※「アナスイ立ち」「花京院立ち」、収録現場で監修させて頂きました!
●5月8日…「検察庁法改正案」は、検察官の定年を63歳から65歳に引き上げるほか、63歳の段階で役職定年制が適用されるというもの。加えて、内閣あるいは法務大臣が必要と判断した場合は定年延長ができるとされている。つまり、内閣が検察人事に介入することが可能となる。
いまは全閣僚が一丸となってコロナ禍の対策に取り組まねばならぬ時期。検察庁法をいじるのはコロナが終わってからでいい。
●5月7日…大河ドラマ『麒麟がくる』、これから本能寺まで毎回がハイライトなくらいネタの宝庫なのに、コロナで撮影がストップしており、あと5話分(6/7放送)しかストックがないとのこと。この大河はただでさえ沢尻エリカ降板の再撮影で2週遅れでスタートしているうえ、もともと東京五輪の放送にあわせて夏場は放送休止で5話分少なく、全44話しかなかった。それなのに来月中旬からコロナ禍で放送中断になってしまうと、いったい何話になってしまうのだろう…。せめて収録が続いていれば五輪が消えた期間にオンエアできるのに。報道では回数減で年内終了の方向という。いろいろ、もったいなさ過ぎる。
●5月6日…“家賃払えず廃業”の声があふれている。もっと早く次の対策を!

//自粛を解除したばかりの韓国で集団感染。まだ解除したら駄目なのか…。

//ラインのグループ通話に比べるとZOOMは確かにサクサク動く気がする。画質もあれで十分。セキュリティに問題がなければ使っていきたい。
●5月5日…一時は新規感染者数が沈静化してピークアウトしたと思われた北海道で、昨日は新たに31人の感染者を確認。中でも29人が確認された札幌市は、1日としては過去最多。ポカポカ陽気だし、列島各地で自粛解除に向かっているから、“コロナ禍は去りつつある”という空気だけど、北海道の情勢は第二波の到来を示唆しているように見える。緊張。

/刻々と変化している世界のコロナ感染状況。4月下旬の上位10カ国(感染者数)を比較すると、英国とロシアは感染拡大がなおも続き、英国は死者数がイタリアを抜いて世界に2位になってしまった。英国民はロックダウンしてあんなに頑張っているのに…つくづくコロナは手強いウイルスだ。ロシアは3日連続で1日1万人以上の感染者が出ており、かなり危険な兆候。米国は死者7万人を突破(国民皆保険の必要性に気づいてほしい)。新たにランクインしたブラジルは、オラオラ系のボルソナーロ大統領がコロナ対策より経済優先を公言し、感染防止を主張する保健相を解任。先日も「感染死者5千人、それで?」と発言、1か月後にどうなっているかほんと心配だ。他に、インド、チリ、サウジアラビアで感染者増加が目立っている。

 
●5月4日…今日の朝ドラ『エール』、僕は裕一を応援しているけど、弟のセリフ「兄さんは自分がどれだけ恵まれているか分かってる?周りの愛を当たり前だと思うなよ、もっと感謝しろよ!」はめっさ胸に迫るものがあった。感謝、ほんと大事だよね。

//嗚呼、映画館で映画が観たい!!あの大画面、あの大音響が恋しい!!
●5月3日…東洋経済オンラインの記事「コロナ対策と休業補償6カ国徹底比較」がめっちゃ参考になったので要点をまとめて整理。日本政府は他国の政策を参考にし、長所をどんどん採り入れてほしい。個人的にグッドと思ったものに星印を入れてます。(データは5月1日時点)

【イギリス】人口6665万人
・感染者17万1253人、死者は2万6771人。PCR検査数は90万件。
・政府は当初、「人口の60%が感染することで集団免疫を獲得する」戦略を選択。3月23日に一転して「緊急事態」を宣言しロックダウンへと突入。
★ロックダウンに先駆け雇用補償を発表。GDPの15%に当たる総額3500億ポンド(約47兆円)を経済対策に投資すると宣言。一時休業した労働者に対して、8割の給与を月額最大2500ポンド(約33万円)、最長3カ月補償する「雇用維持制度」を発表。この制度はフリーランスにも適用され、対象者には歳入関税庁から直接連絡が来る仕組み。
・生活必需品を販売する店以外は閉店、3人以上の集まりは禁止され、運動のための外出も1日1回と制限。スーパーやレストランは補償があるから従業員を休ませられる。
・政府の素早い対応に「安心感」。政府のスローガンは「Stay home, protect the NHS, save lives」(家にいろ、無料医療制度を守れ、命を救え)。
・補償や無料の医療サービスは、国籍に関係なく受けることが可能。
・その他、失業保険や生活支援金などがセットになった低所得者向け給付制度があり、100万人近くが申請している(4月中旬時点)。
・大手スーパーは朝の1時間を高齢者や医療スタッフのみが買い物できるようにしたり、デリバリーを医療スタッフ優先で行っている。
・ホームレスや低所得者層にはチャリティー団体が食料を無料で届けるなどサポートを続け、政府はそれらの団体にも給付金を支給。
・毎日午後5時に会見があり、記者はリモートで質問する。

【アメリカ】人口3億2820万人
・感染者106万9424人、死者6万2,996人、どちらも世界最多。PCR検査数は623万1182件。
・最大500億ドル(約5兆4000億円)を検査や治療の拡充に充てると発表。国民皆保険ではないアメリカで、無保険でも無料でコロナウイルスの検査や治療が受けられるようにした。
・3月27日に2兆ドル(約220兆円)規模の景気対策法が成立。
年収7万5000ドル(約825万円)以下の大人1人に1200ドル(約13万円)、子ども1人につき500ドル(約5万3000円)を給付給付金は申請不要で、昨年の確定申告をもとに自動振り込み。夫婦が別々に確定申告している場合は、給付金も各口座に振り込まれる。自分が対象かどうかは国税庁のサイトで確認でき、口座を持っていない人には小切手が郵送される
・フリーランスや、ウーバーなどネットで単発の仕事を請け負う労働者も失業保険の対象に。
・大統領は3月13日に「国家非常事態」を宣言したが、外出制限や休業要請は各州の判断。
・(アラバマ州の例)休校初日から小中高等学校の授業がオンライン化され、ネット環境のない家庭にはプリント配布などで対応。州知事「自分はすでに感染していると思って、他の人を守るためにも家にいてください」。
・図書館が立ち上げたYouTubeチャンネルでは、スタッフが自宅で撮影した読み聞かせ動画を公開。
・トランプ政権は移民に厳しい政策を取ってきたことから、「検査で不法移民と分かれば強制送還されるのでは」と、移民が検査を受けずに感染拡大したり死亡したりするケースが出ている。

【イタリア】人口6036万人
・感染者は世界で3番目に多い20万5463人、死者はヨーロッパ最大の2万7967。PCR検査数は190万件。
・3月11日に250億ユーロ(約3兆円)の医療・経済支援策を発表。4月6日に国内総生産(GDP)比の4%に当たる4000億ユーロ(約46兆円)を企業および個人事業主の支援などに投入することを決定。外国人も行政の支援対象。
・不要不急の外出は散歩も含め全て禁止。飲食店のテイクアウトもだめで買い物は近くの限られたエリアのみ。(5月4日より飲食店のテイクアウトや公園への立ち入りを許可)
・出歩く際は政府のサイトから証明書をダウンロードし、そこに氏名や外出目的を書いて持ち歩かなければならない。警察のチェックが入り、違反すると高額の罰金。
・解雇手続きを一時凍結し、売り上げが減少した企業に対し2カ月の納税支払い延期や、銀行ローンの国家保証。
・フリーランスを含む個人事業主に対しては、4月から月600ユーロ(約7万円)を最長3カ月給付。ただし仕事を失った人が月600ユーロだけで生活するのは厳しい。
・学校は9月まで休校。

【カナダ】人口3759万人
・感染者5万4457人、死者は3310人。PCR検査数は77万9613件。
・最大820億カナダドル(約6兆1000億円)を拠出すると発表。カナダのGDPの3%以上に当たる。その後1070億カナダドル(約8兆3000億円)に増額。
・感染者10人に満たない時点で入国者の隔離を開始、帰国した隔離生活者の家には定期的に見回りが来て、不在なら高額の罰金。
・3月18日に緊急事態宣言が出され、事実上のロックダウン状態になった。
★すべての企業と個人に補償を。売り上げが3割減少したあらゆる企業と非営利団体の、従業員給与75%を3カ月補償。収入を失った個人(フリーランス・個人事業主含む)に対し、月2000ドル(約15万円)を最長4カ月間給付。給付金は4月6日にオンライン申請が始まり、10日間で755万人に振り込まれた。
カナダは平時でも子ども1人につき子ども手当300〜400カナダドル(約2〜3万円)が毎月もらえるがこれが約2倍に増額された
・学生ローンの6カ月返済猶予と緊急学生給付金の支給。
・トルドー首相は毎日2回の会見を実施。
・4月20日以降、コロナウイルスによる死者の増加率が10%を下回っている。段階的に規制を緩和していくことを発表。

【ニュージーランド】人口495万人
・感染者は1479人、死者数は19人。死者の半数は1カ所の高齢者施設で起きた集団感染。PCR検査数は14万件。
・コロナウイルスにいち早く対応し感染拡大を阻止。感染者10人未満の3月15日から、入国者の2週間隔離を開始。
・ニュージーランドは観光立国であり、3月19日からの入国規制に先駆け、GDP4%に相当する121億NZドル(約8000億円)規模の経済支援策を打ち出した。
★売り上げが前年同月比30%減になる企業に3カ月分の給与補助。フリーランスも対象となり、オンラインで給付金を申請すると1週間ほどで3カ月分まとめて振り込み。
・社会的弱者への給付金の増額、学生が学業を続けるための費用支援などが、国籍やビザの種類に関係なく受けられる。
・労働ビザや観光ビザなど一時滞在のビザは、ロックダウン中に期限切れにならないよう6カ月自動延長。
・政府が開設したコロナウイルス特設サイトは、マオリ語・手話動画を含む28言語に対応。
★アーダーン首相は毎日午後1時から会見を開くほか、たびたびFacebookでライブ配信を行い、市民や子どもたちからの質問に直接回答。首相はつねに『Be kind』、ヘイトではなく優しさを持ちましょうと訴えている。
・4月20日、主要都市でランダムなPCR検査を実施した結果、市中感染者がゼロだった。飲食店のテイクアウトなど一部の事業を再開、学校も規模を縮小して再開。ただし、何かあったらすぐに警戒レベルを引き上げると念押し。アーダーン首相「私たちは経済活動を再開するが、人々の社交を再開するわけではない」。
・政府はクリーンに情報開示していて信頼できる。

【韓国】人口 5122万人
・感染者は1万765人、死者は247人。PCR検査数は62万件。
・当初、不安に駆られた人々がコロナ専用電話に殺到し、検査が受けられないまま重症化することもあった。その後、新規感染者は2月29日の909人をピークに減り続け、現在は毎日10人前後で推移。韓国の検査体制は国際的に評価され、60万回分の検査キットがアメリカに輸出された。
・韓国は2015年の「MERS(中東呼吸器症候群)」対策失敗を教訓に民間で感染症検査ができる制度を設立。現在、全国953か所の施設でコロナの検査・診療が行えるほか、新たにドライブスルー検査やウォーキングスルー検査も導入。
自宅隔離となった場合、自治体が食料やマスクなどの支援物資に加えて支援金を給付。外国人も受け取ることができ、ウイルスに感染した場合の治療費は国籍を問わず無料となる。
・感染者の行動履歴を徹底的に追跡。マイナンバーに紐づくクレジットカード情報や携帯端末の情報などを参照し、感染者が訪問した店や場所をすべてサイトで公開(個人情報を保護しない選択)。
・ソウル市は多言語の相談窓口を用意し「不法滞在者も通報されることなく治療を受けられる」と呼びかけ。期限が切れる滞在ビザは自動的に3カ月延長。
・経済対策に総額240兆ウォン(約21兆円)を投入し、基幹産業の支援や雇用対策、個人事業主の支援に当てる方針。目玉は国民一律給付に向け進められている「緊急災害支援金」。ただし、給付対象は原則として「国民」となっており、外国人は韓国人と結婚しているか、永住権がある者だけが含まれる。
・政府はマスクを曜日ごとに購入できる「マスク5部制」を導入。
・学校はオンライン授業に切り替え。
・4月15日に総選挙があり与党が圧勝、文大統領のコロナ対策が評価された。

参考【日本】1億2650万人
・感染者数は1万4088人、死者430人、PCR検査数は27万3854件(人口10万人あたりのPCR検査数はドイツ・伊が約3000件、日本は190件)。
・全国で一律10万円の「特別定額給付金」。対象は「住民基本台帳に記録されている全ての住民」であり、外国籍や無国籍の人も含まれている。昨年の在日外国人数は過去最高の293万人。
・4月13日の自民党役員会で安倍首相は「わが国の支援は世界で最も手厚い」と事実誤認の自画自賛。
・一度閣議決定した支援があまりに貧弱だったために補正予算案を大きく組み替え。
・108兆円の経済対策を実施予定。納税や社会保険料の支払い猶予に約26兆円をあてる。
・中小企業へ最大200万円の給付。
・あまりに政府の動きが遅いため、東京都医師会がしびれを切らして、独自に「PCRセンター」を設置すると発表。医師会が主体となって運営し、5月上旬に都内に約10カ所設置できる見込み。
・布マスクを1世帯に2枚配布、妊婦用マスクにカビ発生や虫混入で回収。
・この危機下で主要国は政権支持率が軒並み上昇するなか、日本とブラジルだけが不支持率上昇。ブラジルの大統領は「ちょっとした風邪」「これが人生」という態度。そのブラジルより日本の方が下げ幅が大きいという…。
・自民議員が緊急事態宣言のなか靖国神社でコロナ収束祈願(NEW)
※日本の感染拡大は中国、韓国、欧米のあとだった。それなのに、なぜ日本政府は準備期間も前例も無駄にしたのか?
●5月2日…一昨日にEテレで放送された障がい者情報バラエティー『バリバラ』。番組内の、相模原やまゆり園の19人殺害事件をめぐる次の言葉が強く胸に響きました。
「植松聖を罰したとしても、彼を生んだ社会はそのままここに残っている」
これは本当に日本人全体で考えていかねばならないことです…。

やまゆり園の事件は2016年7月26日に起きました。裁判は終わりましたが、国民の間で完全に抜け落ちていることがあります。植松聖死刑囚は犯行5ヶ月前に、安倍首相に障がい者抹殺の思いを伝えようとしていました。この重大な出来事が何の議論もされていません。事件前、植松死刑囚は衆院議長公邸を訪れ、土下座してまで手紙を大島理森・衆院議長(当時)に渡すよう頼み込んでいます。この手紙の前半には「障がい者は不幸を作ることしかできません」「私は障がい者総勢470名を抹殺することができます」とあり、「是非、安倍晋三様のお耳に伝えて頂ければと思います」と締めています。手紙の後半は犯行計画を「作戦」と呼び、具体的な方法を記述。そして再び文末で「安倍晋三様にご相談頂けることを切に願っております」と念押ししています。

〔植松聖死刑囚が犯行前に書いた手紙の後半〕
作戦内容
職員の少ない夜勤に決行致します。
重複障害者が多く在籍している2つの園を標的とします。
見守り職員は結束バンドで見動き、外部との連絡をとれなくします。
職員は絶体に傷つけず、速やかに作戦を実行します。
2つの園260名を抹殺した後は自首します。
作戦を実行するに私からはいくつかのご要望がございます。
逮捕後の監禁は最長で2年までとし、その後は自由な人生を送らせて下さい。心神喪失による無罪。
新しい名前(伊黒崇)本籍、運転免許証等の生活に必要な書類。
美容整形による一般社会への擬態。
金銭的支援5億円。
これらを確約して頂ければと考えております。
ご決断頂ければ、いつでも作戦を実行致します。
日本国と世界平和の為に、何卒(なにとぞ)よろしくお願い致します。
想像を絶する激務の中大変恐縮ではございますが、安倍晋三様にご相談頂けることを切に願っております。
植松聖(住所、電話番号)
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政府与党の大半の人は、この植松死刑囚の身勝手な信条に怒りを覚えられると思います。ですが、なぜ植松死刑囚は、この文面が首相の共感を得られると思ったのでしょう?現政権が彼にそう思わせる政策や言動をとってはいないのか。やまゆり園の事件の「後」でさえ首相近辺では以下のようなことが続いています。

(1)2019年6月、G20大阪サミットにおいて、安倍首相は開幕を祝う夕食会であいさつに立ちました。首相は大阪城が明治維新の混乱による焼失後、天守閣の復元工事が行われたことを話し、その上で 「しかし1つだけ、大きなミ
スを犯してしまいました。エレベーターまでつけてしまいました」と“ジョーク”を披露しました。世界中が注目する場面で、エレベーターの設置を「大きなミス」と表現し、バリアフリーを笑い話にしたのです。これをユーモアと思っている感覚に絶句しました。

(2)「桜を見る会」問題で公選法、政治資金規正法違反で告発されている安倍首相。さらに首相招待枠に反社会的人物や詐欺師が入っていたと見られています。招待者名簿のシュレッダー廃棄日と、野党が資料提供を求めた日が同じ5月9日であったことから、2019年12月、「証拠隠滅でないか。なぜその日に廃棄したのか」と問われた首相は「4月22日にシュレッダーの予約をしたが、担当である障がい者雇用の短時間勤務職員の勤務時間などを調整した結果、廃棄が5月9日になった」と、“廃棄に時間がかかったのは障がいがある職員が担当したため”と言わんばかりの説明をしました。このような形で障がい者を引き合いに出したことで、障がい者団体は内閣府を訪れ「政府が率先して『障がい者はこの程度の仕事しかできない』と宣伝しているようなもの」と訴えました。報道に出ていた障がい者の方いわく「そもそも4月22日に廃棄用のシュレッダーを予約したという説明自体が「うそ」なのではないか。資料要求を受けて急いで廃棄したのを隠すために4月22日の話を作り出し、5月9日の廃棄とつじつまを合わせるため『障害者だから作業が遅れた』とダシに使ったのでは」。

(3)2018年10月、自民の杉田水脈議員がLGBTと呼ばれる性的マイノリティーの人たちについて、「彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのか」と述べ、人間を「生産性」という言葉で表現する議員の資質が問われました。杉田議員は“次世代の党”時代に「男女平等は、絶対に実現しえない反道徳の妄想」と国会で言い放っていたのですが、安倍首相は2014年、同氏を自民党候補として「中国ブロック比例第1位」に大抜擢しました。名簿のトップです。これは党内論議をまったく経ていない、官邸独断のねじ込みでした。いわば杉田議員は安倍氏の秘蔵っ子であり、首相は「杉田議員はまだ若い(当時51歳)ですから」と擁護、結局、LGBT差別発言は謝罪も撤回もされていません。
今年1月、杉田議員は選択的夫婦別姓に関する野党の質問時に「それなら結婚しなくていい」というヤジをとばしてまた問題になりましたが、首相に守られているのですから強気になるのも当然です。

−−政権批判とかそういうことではなく、どういう日本にしたいのか、ということなんです。1億総中流が完全に崩壊して二極化したため、空気は張り詰め、余裕のない人が多くなりました。特に匿名のネット空間は安倍政権下で加速度的に攻撃的になった印象を受けます。国のリーダーがバリアフリーを笑い話にし、スピーチ原稿を事前に共有しているはずの側近たちがそこに疑問を抱かない、今の日本社会を象徴しているようでとても怖いのです。
他者を思いやる心は、人を自己責任論で追いつめる社会では育まれません。僕はリベラル寄りですが、応援している自民議員もいます。だからこそ、心ある自民議員の方に訴えたい。植松聖が「自民党にこんな手紙を持っていくだけ無駄、考えが違い過ぎる」、そう思わせる、弱い立場の方に寄り添った人道的な政治をしてほしいのです。「人が人の命に優劣をつける」ような考えは到底受け入れられません…。

人間の価値を他人が勝手に「生産性」という言葉で決めつける。これはヒトラーの「優生思想」と同じです。この考えのもと、ユダヤ人よりもまず先に障がい者20万人以上が抹殺されました(T4計画※既にガスのシャワーを使用)。このナチスのT4計画を中止に追い込んだのは独ミュンスター大聖堂ガーレン司教の次の言葉でした。
「貧しい人、病人、働けない人、いて当たり前だ。私達は他者から生産的であると認められた時だけ、生きる権利があるというのか。非生産的な市民を殺してもいいという原則ができ、実行されるならば、我々が老いて弱った時に我々も殺されるだろう」(1941年夏)

  

//東京五輪の聖火ランナーに決まっていた東京のとんかつ屋店主(54)が、自ら命を絶ったとみられると報道。店主は知人に「コロナが収まらないと、もうどうやったってだめだ」と嘆き、FBの最後の投稿で、店舗の再開に向けて必要な消毒液が手に入らないことで悩んでいたとのこと。痛ましすぎる…。行政のサポート拡充、さらなるスピードアップを。
●5月1日…高校生の「9月始業」希望ツイートが切実。「始まりはどんどん遅くなるのに、終点は変わってくれません」に10万件の「いいね」がついている。このままでは夏休みを短縮し、土曜も登校させて、毎日7時間くらい授業をしないと終わらないという。運動会や修学旅行などもなくなりそう。9月始業にすれば行事もできる。留学のことも考えると、僕は世界標準に合わせた9月始業制に大賛成。そもそも、4月新学期を採用している国は世界のたった3%しかない。

〔9月始業のメリット〕
留学…世界標準は9月入学。留学しやすくなり、若者の選択肢が増える。日本への留学生の受け入れも容易になる。
受験…冬の受験で悩みの種だった積雪による交通マヒや、インフルエンザ流行の心配がなくなる。
教育…このままだと休校している学校は1年間の学習課程をこなせない懸念が。入学時期が9月にずれれば、通常と同じ学習時間を確保することができる。授業再開地域と休校地域で学力格差が生まれており是正が必要。また、オンライン授業は学校によって設備の差が大きいが、9月始業と決めれば全国的にオンライン授業の準備ができる。
熱中症対策…5月再開を強行して夏休みを短縮する議論もあるが、エアコンが完備されていない学校もあり熱中症のリスクが高い。

〔9月始業のデメリット〕
就職…日本社会は4月入社のサイクルを組んでおり調整が必要(今の公務員試験は3月)。
会計年度…国や地方自治体の会計年度は4月から3月。様々な法改正が必要。

尾木直樹さん「ピンチをチャンスに変える絶好の機会。海外と異なる4月入学が、留学の低迷など日本の大学のグローバル化が進まないひとつの要因。IT環境が不十分なまま走り始めたオンライン学習も、落ち着いて整備し、対応できるなどメリットはいっぱいある」。
宮城県の村井嘉浩知事「コロナの影響が大きい所と少ない所で学力差が生じるのはよくない。日本全体の問題として、これを千載一遇のチャンスと捉える方が、親にも子どもにもいいのでは」。







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