最新文芸情報


2019.9〜10

●10月31日…『ラジオ深夜便』(墓マイラーがめぐる歴代全天皇陵)のネット配信サービス開始です!11月6日の18時までリンク先(NHK第一放送)から聴けます!初代神武帝から124代昭和天皇までの124代の全天皇陵から、特に印象に残った12人の御陵を15分間で紹介しています。リンクの4分あたりから僕の出番です!
※放送で採り上げた御陵の中から、ラジオだけでは伝わりきらないと思った美しい天皇陵の画像を以下に添付します。「尊皇リベラル」ここにあり、です。
お寺のような近衛天皇陵。多宝塔の中に納骨されている
川から朝霧が漂う崇峻天皇陵 醍醐天皇陵の“松の廊下”
「日本のアンコールワット」孝安天皇陵 階段の角度が超クールな舒明天皇陵
参道が小さな天橋立、垂仁天皇陵 セスナ機で巡礼した伝・仁徳天皇陵!

//沖縄那覇の首里城全焼、そして河井法相辞任と衝撃的な報道。6日前に菅原経産相が辞任したばかりなのに。これで第二次安倍政権で10人目!しかも先日辞任した菅原経産相と同じく公職選挙法違反。違反者は夫人の河井あんり参院議員だけど、この時の選対責任者は河井法相。それなら、夫が犯罪者で妻が巻き込まれた側となる。よりによって司法を担当する法務大臣が選挙違反で連座するとは。安倍氏はいつもの「任命したのは私であります。国民のみなさまにおわびを申し上げる」。責任を痛感するばかりで、決して責任を取ることはない。そして大臣もまた「もう辞任したから」と説明責任を果たさず、うやむやに。


●10月30日…今日、萩生田文科相が「身の丈」発言を、河野防衛大臣が「私は雨男」発について謝罪したけれど、どちらも人間性に不信を抱く深刻なもの。

/教育基本法の第4条には「すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」とある。だが、政府は来年度から民間企業7社の英語検定試験2回分の結果を大学合否の判断に加えるという。
そんなことになると、都会に住みリッチな家庭の子どもは事前に何度もテストを受けて本番に備えられる一方、地方に住んでいて試験会場まで交通費・滞在費がかかる子や、試験代を何度も出せない子どもは一発勝負となり不利になってしまう。
この問題を問われた萩生田光一文部科学相いわく「裕福な家庭の子が回数を受けてウオーミングアップできるようなことはあるかもしれない」「そこは自分の身の丈に合わせて2回を選んで頑張ってもらえれば」。
通常、“身の丈”という言葉は“身の程”と同様にマイナス文脈で使われる。家の収入のことを身の丈と言っており、あとから萩生田文科相が「説明不足だった、どんな環境の受験生も頑張ってもらいたいという思いだった」と釈明しているが、誤魔化しにしか聞こえない。なぜなら萩生田文科相は別番組で格差の指摘を受けた際に「『あいつ、予備校に通っていてずるい』と言うのと同じだ」と言ってるからだ。予備校に行くかどうかは、あくまでも選択の自由。「民間の英語検定を2回受けにいけ」というのは強制。「余裕のある人はそれまでに何度受けてもいいよ」というのも著しく不平等。教育の機会均等こそが問題視されている。

/28日に河野太郎防衛相が自身の政治資金パーティーで「私はよく地元で雨男と言われました。私が防衛大臣になってからすでに台風が三つ」と発言したことに絶句。
台風19号の被害は大きくいまだ復興の目処が立っていない。30日の時点で、88人死亡、7人行方不明、71河川140か所が決壊。河野防衛大臣は「自衛隊員をねぎらうのが目的」と言っているが、直後に会場から笑いが起きているなど、“笑いをとるため”に言っているのは映像からも明らか。
…被災者の苦しみを自分のことと考えていないから、雨を笑いに変えようとする。はっきり言いたい。犠牲者には、それぞれに名前があり、顔があり、人生があるのに、それがただの死者○○人という“数字”になっているのではないか。だからこんな言葉が出てくる。もし身内が一人でも犠牲になっていたらパーティー会場のネタにできるはずがない。徹底して他人事、そんな人に大臣でいてほしくない。
●10月29日…ぐあああああ!NHKラジオ第一放送の『ラジオ深夜便』に出演し、「世界お墓偉人伝」の第5回「歴代天皇陵特集」を語ったのですが、痛恨の言い間違いを!
放送直前まで安徳天皇の母親の建礼門院の御陵が、京都大原の寂光院の隣りにあるという平家物語のラスト・エピソードを入れるか入れないか迷っていました。入れると時間オーバーになりそうでした。そして本番が始まり、冒頭の挨拶のところが少し長くなったのでカット確定したのですが“建礼門院”という言葉が頭に残り、生放送で緊張のあまり「安徳天皇は祖母の建礼門院に抱かれて壇ノ浦の海へ」と言ってしまったのです!祖母の名前は二位尼(にいのあま)なのに!
オンエア後に気がつき、真っ青に。申し訳ありません、私は生放送には向いていないようです(涙)。
〔追記〕再放送分は修正が入っていました!嗚呼、ありがとう、NHK技術部スタッフさん!これぞ匠(たくみ)のワザ!
※今回は令和改元記念の特別編として、歴代天皇陵について語りました。初代神武天皇から第124代昭和天皇まで、すべての御陵を訪れたなかで、特に印象に残った12名の天皇陵について紹介しました。
●10月28日…川崎市で開催中の「KAWASAKIしんゆり映画祭」で、慰安婦問題を扱ったドキュメンタリー映画「主戦場」の上映が中止されたことに抗議して、映画製作配給会社「若松プロダクション」が、本日、同映画祭で予定していた映画2本の上映を取りやめると発表。若松プロは抗議声明で「川崎市が『訴訟になっている作品』への懸念を示したことは公権力による検閲、介入」としたうえで「『主戦場』の問題はいずれ自分たちにも起こると考え、強く抗議する」とした。映画祭で上映する予定だった「11・25自決の日〜三島由紀夫と若者たち」と「止められるか、俺たちを」の2本については、払い戻しに応じたうえで、近くの会場で無料上映する予定だという。
また映画祭で上映予定の「沈没家族 劇場版」の配給会社「ノンデライコ」の大沢一生代表も「表現の自由の安易な放棄としか思えない事なかれ主義」とする主催者への抗議を表明した。映画祭事務局「私たちの判断により、お届けしたい作品を提供できなくなり、お客様に申し訳ない」。
映画作家たちがスクラムを組んで『主戦場』のために戦っており、僕もエールを送りたい。
〔11/2追記〕なんと、川崎市で開催中のKAWASAKIしんゆり映画祭の主催団体は、上映を中止にした従軍慰安婦をテーマにした映画「主戦場」(ミキ・デザキ監督)を最終日の4日に上映すると公式ツイッターで発表。公開討論会で映画関係者や市民から上映中止に反対する意見が相次ぎ、「上映実現に向けて前向きに協議している」とコメント、この判断に至った。いったん公開禁止になったアートが、最終日ギリギリで復活した「あいちトリエンナーレ」を思い起こさせる展開。公開討論会を企画して大正解。
●10月27日…『ニューズウィーク日本版』に古谷経衡氏が寄稿している「保守がネット右翼と合体し、いなくなってしまった理由」。文章に共感し、以下に一部紹介。
→私は、物書きとして2000年代後半から10年代初頭までの7年ほど、この保守業界に身を置いていた。保守と言うのなら、エドマンド・バークや福田恆存や小林秀雄の思想を読み込んでいる人ばかりだと思ったが、当時から全く違った。医師や公認会計士、税理士、企業経営者といった(特に医師が多かったが)社会的に地位のある人が根拠なしに隣国と隣国人を差別する。「正論を言い続ければ、いずれヘイトはなくなる」と思っていたが甘かった。彼らは基本的に学習しないし、虫食い状の歴史知識を正統的な学問や先行研究から穴埋めしようという努力も一切しない。韓国が韓国が、というわりに韓国に行ったことが一度もない
 いまだ日韓併合は合法で日本は朝鮮を植民地支配していない、というオカルト雑誌でも取り上げないトンデモ説をかたくなに信じて疑わない。自称保守系論壇誌は完全に韓国差別雑誌に成り下がり、平気で「韓国が消えても誰も困らない」などの特集を組み、零細出版社はカネのために『韓国人に生まれなくてよかった』というタイトルからしてモロに差別の出版行為を平然と続けている。
 私はこんな業界がほとほと嫌になったし、一時でもこの業界にいた自分を恥じている。本当にばからしく、彼らに更生の余地はない。
 「保守」とは本来、人間の理性に懐疑的で、社会の急激な改変や改良を嫌い、歴史や経験、常識(コモンセンス)に価値判断の基準を定めるという生活姿勢そのものを指す。もうそんな本来の意味での「保守」は、絶滅危惧種である。私はたとえ絶滅しようとも保守の本懐を曲げないで死にたい。
●10月26日…私事ですが、本日26日、ウチの子“ふう”は10歳になりました。この子が生まれた時、多くの方からオフ会やメールで祝福を頂いたので、無事に10年が経ったことをここに報告します。
彼がこの世に現れたとき、48.4cmだった身長は132cmに、3200グラムだった体重は26.2kgになりました。思えばこの子は、僕の実父のお葬式当日に生まれて来るという(ちょうどお骨が焼けた時に出生)、何とも不思議な星の巡り合わせの下にやって来ました。

子育てをしてわかったことは、自分が幼児期に「どれだけ親(大人)に守られていたか」ということです。幼児は親がいないと、まず食べものを入手不可能。車道に飛び出したり、高所から転落したり、窒息、溺死、火傷といったリスクは日常生活の中に常にあります。とにかく、誰か守ってくれる大人がいないと、命が幾つあっても足りないのだと、それを育児で学びました。
僕はいろいろあって高2の夏から一人で暮らし始めましたが、酔っ払った実父と大喧嘩したとき、“自分は愛されていないのだ”と恨んだりしていました。
ですが、どれほど衝突しようが、どんなに会話が減ろうが、最も命が危険に晒されていた幼児期を生き延びることが出来たのは、常に気を遣ってくれる人、見守ってくれる人がいたからであり、それは愛情がなければ絶対に不可能なことだと育児を通して悟りました(ずっと見続けているのはそれくらい大変)。それだけに、親には本当に感謝しています。

ときに、墓マイラーの子として彼は少し風変わりな体験を順調に重ねています。3歳のときに最初にお墓参りした外国人女性がマリリン・モンローというませっぷり…といっても本人はまだ誰に対して手を合わせているのかわかっていません。おそらく、最初に顔と墓が一致して「ありがとう」を言えたのは、5歳のときの“面白い人”チャップリン、“いい音楽の人”ベートーヴェン、6歳のときの“ドラえもんを描いた人”藤子・F・不二雄先生だと思う。
そして、彼が実体験から自分の意思で感謝を伝えたのは、乗り物の玩具にハマっていたときに訪ねた、トミー創業者富山栄一郎氏&プラレールやトミカを開発した2代目社長富山允就(まさなり)氏、そしてレゴブロックに夢中だった頃に訪ねた、デンマークのレゴ創業者オーレ・クリスチャンセンのお墓かと。
今や墓巡礼の際は完全にカジポン家の“戦力”となっており、広大な墓地を手分けして探すときに彼が先に発見することも増えてきました。これは漢字や英語が読めることになってきたのが大きい。
また、独身時代は外国で墓地の管理人さんに「怪しいアジア人が墓地をうろついている」と警戒されていたのが、親子連れだと「事務所に冷たい水があるよ。飴をあげよう、味は何がいい?」と対応が激変!手描きの地図もくれるし管理人さんがめっちゃ親切になる。お陰で巡礼がどんなにスムーズになったか!

そういえば父子で兵庫の山中で宮本武蔵や安倍晴明の墓を探しているときに、車の左後輪が斜面で脱輪して横転しかけ(携帯電話は圏外!)、窓から脱出した彼が近所の農家まで助けを呼びに行き兵庫県警に救助されたこともあった。足をブレーキペダルから話せば横倒しになるという状況だったし、彼がいなければどうなっていたことか。
あと8年経てば彼も運転免許をゲットできるので、肉体的、精神的にハードな海外でのレンタカー巡礼の際に、交代でハンドルを握ってもらえるのが楽しみ(「めんどくせー」って、ついてきてくれなくなる可能性もあるけど…汗)。
とにもかくにも、今日、この日を迎えることが出来たことに、妻はもちろんのこと、育児をサポートしてくれた祖父母、こども園や小学校の先生、お友だち、墓マイラーイベントで優しく接して下さる皆さん、すべての方に感謝しています。

俳優のクリスチャン・ベールが2011年のアカデミー賞授賞式で行った次のスピーチを、親となって10年目の今日、しみじみと実感しています。「これから教えるであろう以上の事を教えてくれた幼い子どもに感謝します」

//ラグビー準決勝、3連覇を狙う王者ニュージーランドをイングランドが下した熱戦は、イングランドのとてつもない攻撃力に驚嘆した。あのニュージーランドが連携をズタズタにされ、まともに試合をさせてもらえなかった。強すぎる!明日はウェールズVS南ア、こちらも強者の激突。
●10月25日…「任命責任」という言葉を辞書(大辞林)で調べると「ある者を任命することによって生じる任命者の責任」とある。
今日の菅原一秀経済産業相の辞任で、第2次安倍政権以降の閣僚の辞任は9人目!そして安倍首相のコメントは、いつもと同じ「任命責任はこの私にある」、以上。僕が聞きたいのはその先だ。責任がある場合、どうするのか。一般の会社なら、重役が不祥事を起こせば社長も辞める。首相の場合は、政治の安定性という観点から、「一人や二人の大臣の不祥事で引責辞任する必要はない」との意見もわかる。だがしかし、もう9人目だ。
9人も辞任しているのに、首相が辞めないのなら、「任命責任」なんてものはこの世に存在しないのと同じ。っていうか、現内閣の場合、「任命責任の取り方とは、“任命責任がある”と言葉で言うこと」と閣議決定してもおかしくない開き直り方に見える。
一国のトップのこの振る舞いに、世の親たちはニュースを見ている子ども達から「任命責任って何?」って聞かれたら、どう答えればいいのか。

選挙区の有権者への寄付行為は固く禁じられている。さもないと金持ちで資金力のある候補者が有利になるからだ。だが、菅原一秀経済産業相はそんな法律は何のその、贈答品リストを作って寄付相手をABCなどランク付け。香典についても議員本人が葬儀で手渡しする場合は問題ないが、秘書に持っていかせると買収行為と見なされアウト。菅原経産相はかなりのケースで秘書を通して香典を渡しており(元秘書の証言では「秘書の仕事の中心が香典渡しだった」)、自民執行部は「もう、かばいきれない」と手をあげ、組閣からたった一カ月で大臣辞任に追い込まれた。
公文書の改ざん事件、セクハラ騒動、ワイロ疑惑、もう限界。これ以上、無責任の見本を総理大臣が国民に見せるのは日本全体のモラル崩壊に繋がる。
何もすぐに政権交代しろと言っているわけじゃない。自民には自浄能力を発揮して、総裁を別の人に替えてほしいんだ。自民の多くの議員さんも、内心ではこのままで良いと思ってないはず。辞任9人目というのは、そういう数字なんです。
●10月24日…台東区が台風19号に備えて開設した避難所で、路上生活者を受け入れなかった問題は、他者に冷淡な今の社会を象徴しているよう。「前例がないほどの大型台風」「命を守る行動をとって下さい」とニュースで呼びかけているのに、「台東区の住民ではない」ことを理由に路上生活者を門前払い。避難所はガラガラだったうえ、“住民ではない”海外旅行客は受け入れ可能なルールだったというから、明らかに生命を選別している。災害対策基本法の基本理念は「人の生命および身体を最も優先して保護すること」。これを軽視して何のための避難所か。
今の日本は欧州に比べてセーフティネットが機能しておらず、一度住む家を失うと、極端に生活の再建が厳しくなる。それは国民の多くが分かっているはず。2、30年前までは「お互いさま」という言葉がしょっちゅう聞かれたし、こんな無情な国じゃなかった。ほんと方向転換しないと…。
社会が残忍になれば、人もまたより残忍になる。
●10月23日…超ド級傑作アニメ『ヴィンランド・サガ』の第二期エンディング曲『Drown』(90秒)に激ハマリ。連日気がつけば繰り返し聴いている。歌手のmiletさんは英国の名シンガー・アデルのような声。『ヴィンランド・サガ』は原作を尊重したアニメ化であり、作画は毎回ハイクオリティ(特に北ヨーロッパの風景描写と肉弾戦)、深刻なエピソードもカットせずオンエア、つくづく幸せな作品。
トールズVSアシェラッド(5分)トールズぅうううう!(子どもがトルフィン)
トルフィンVSトルケル(5分)NHKアニメで!!

//来年から流通するイギリスの新20ポンド札の人物が、我が愛する画家ターナー(1775-1851)に!ターナーはモネやルノワールらがフランスで印象派の全盛期を築くより半世紀も前に光と大気、霧を描いた画家。日本でお札になるのは政治家、実業家、文学者が多いけど、海外は芸術家をよく見かける。ターナーと同時代の日本人と言えば葛飾北斎(1760-1849)。いつか日本のお札にも北斎が登場してほしい。
●10月22日…本日の「即位の礼」、“正殿の儀”のお言葉の中で「(上皇陛下が)常に国民の幸せと世界の平和を願われ」「ここに、国民の幸せと世界の平和を常に願い」「国際社会の友好と平和、人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします」と、3度も「平和」という言葉が繰り返されたのが強く印象に残った。
思えば、戦後70年となる2015年の全国戦没者追悼式。安倍氏は2013年の第二次安倍政権発足後から、保守界隈の「いつまで反省せねばならぬのか」という声に同調し、アジア諸国への加害責任に言及する「反省」という2文字を口に出さなくなった。上皇さまはこれに抗議するかのように、その2年後に戦後初めて「反省」という言葉を取り入れ、「過去を顧み、深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い」と述べられた。
今夏の全国戦没者追悼式でも、戦後世代の最初の天皇となられた今上天皇が「深い反省の上に立って、再び戦争の惨禍が繰り返されぬことを切に願い」と“深い反省”を継承。さらに今上天皇は、現在の日本の平和と繁栄が築かれた要因として、これまで上皇さまが「国民のたゆみない努力」とされていた部分を、「人々のたゆみない努力」と言い換えられた。あえて「国民」を「人々」に変えられたのは、在日外国人など日本国籍を持たない人もこの国の一員であり、日本の繁栄を築いてきたと、そう明確に発信されたと僕は受け止めた。
令和日本が平和外交を重視し、理不尽なレベルに達している格差構造を改め、社会的に弱い立場にある人にやさしい国になることを願ってます。

//今月号の『NHK短歌』テキストを見てて、思わずメモった。「かすかな苦みが好みですコーヒーも君の言葉も砂糖はいらぬ」。
●10月21日…四国での4日間は生涯忘れられないものとなりました!すべての出会いに感謝!公立中学校の総合学習の時間で墓マイラー・トークが可能ということがわかった!!お寺の法要とあわせた講演も可能とわかった!!この収穫の大きさよ!!(詳細後述)
●10月17日…明日から四国に入ります。次回更新は10月21日夜の予定です。

〔週末の動き〕
18日 松山市内の中学校で生徒の皆さんに講演
19日 松山でラジオ出演。21時台の『痛快!杉作J太郎のどっきりナイト7』
20日 松山・蓮福寺にて水野広徳75回忌追悼法要(10時)と講演、午後から高知にて、やなせたかしさんの墓参と『大名墓をめぐる世界 そのすべて』展へ
21日 愛媛を巡礼後、帰還
●10月16日…今度の日曜、10月20日に愛媛県松山市の中心部にある蓮福寺にて講演します。四国で一般の方を対象に墓マイラー・トークをするのは初めて!今回は通常の講演と異なり、非戦を訴えた反骨の軍人・水野広徳75回忌追悼法要にあわせた講演であり、子規記念博物館の学芸員・平岡瑛二さんと一緒にやります。10時から法要があり、それに続いての講演です。
申込みフォーム(南海放送/無料)

−−水野広徳(ひろのり/1875-1945)は日露戦争の旅順港封鎖戦や日本海海戦に水雷艇長として参加した海軍大佐で、当初は「軍備は戦争抑止力として必要不可欠」「戦争は国家発展の最良手段」と考えていたゴリゴリの軍国主義者。彼が執筆した日露戦争の戦場ルポ『此一戦(このいっせん)』は大ベストセラーになり、その印税で第一次世界大戦に揺れる欧州を2度視察し、そこで大きな衝撃を受ける。
一度目は1916年(開戦3年目)。水野はロンドンでドイツ軍の空襲にあい、避難していた地下室から出ると、5分前に通ったばかりの家屋が破壊されていた。この時の市民の死者は約150人、負傷者は450人。水野は5分違いで命を拾った。そして「石造建築が中心の西洋と違って、日本は都市に木造家屋が密集しており、空襲になれば東京は一夜にして灰燼に帰す。しかも日本には避難できる地下室も地下鉄もなく、莫大な人命の損失となる。航空機が船の甲板で発着可能になれば、東京の空襲は防ぎようがない」と危機感を抱く。東京大空襲の28年も前に、焦土となる姿や空母の活躍を予測していた。

二度目の渡欧は1919年(終戦翌年)。戦死者1200万を出して大戦は終わった。まず戦勝国のフランスに入る。北仏の古都ランスを訪れると、すべての家屋が被害を受け、ホテルも劇場も崩れ落ち、瓦礫が道を埋め、廃墟そのものだった。付近の村落は壊滅し、田園は荒れ果て、生き物の姿がない。塹壕(ざんごう)の中ではドイツ兵が武装したまま白骨化していた。戦場の至るところに十字の墓標と、盛り上がった土饅頭があった。
続いて最大の激戦地ベルダンを訪れる。当地には仏軍の要塞があったため、4年の攻防で50万人以上が戦死しており、一帯の老人、女性、子どもも巻き添えになった。
水野の自伝から。「市街地は完全に破壊され、人の住む家はなく、まるでポンペイの発掘跡のようでした。独軍は50万の兵を投入して、一度はこの地を占領しましたが、仏軍によって全滅させられました。彼らは決して死にたくて死んだのではない。ただ国家のために己の命を捨てたのです。彼らは国家の要求によって、いや応なしに命を取り上げられたのです
水野は庶民が犠牲になる一方で、戦争で大儲けしている層がいること、国家がその層と結びついていることに義憤を抱く。「列強の政府は大勢の貧しい国民のために、少数の富裕層の富を差し出すことをあえてしない」「弱い国民からはその掛け替えのない生命さえ奪いながら、強い国民からはその有り余る富すらも奪い得ぬ国家、これは国家として正しい行為なのか」。

続いて、初めて敗戦国ドイツの地を踏む。貧困の極みであり、街には異臭が漂い、道端では国家のために戦った廃兵(傷病兵)が物乞いをしており、同じ軍人として胸を痛める。ドイツの貨幣価値は、戦前の4分の1以下に過ぎず、泥棒も多い…。現地で会った日本人いわく「国民道徳の退廃こそは、戦争でドイツがこうむった無形の大損害と言えるでしょう」。
水野は戦争の不毛さ、理不尽さを見つめる。「戦死者1200万を出したこの戦争、敗戦国は言うまでもなく、勝ったイギリスやフランス、イタリアにせよ、その国民は戦前よりも果たして幸福になっているでしょうか。どの国も物資の欠乏と生活難、労働不安に襲われています」。

これらの体験から、水野は思想的に180度の大転換をとげる。軍国主義者から人道的平和主義者に生まれ変わった。
「僕はまず北フランスの戦場を見て、戦争の恐るべき実状を知りました。戦勝国でさえ、戦利で得たものは、戦争で失ったものを償うには足りないのです。戦争は国家発展の最良手段と考えていた僕の軍国主義思想は、根本から覆(くつがえ)されました。たとえ戦争に勝っても国家としてほとんど利益がないのは、大戦が実証しました」
「国際連盟(現国際連合)は、国の安全を保ち得る最小限にまで軍備を縮小することを規約しています。しかし、最小限度の基準をどう定めるかという、最も重要な点を規定していないのです。軍備の縮小は、戦争の発生をとどめる効果はあるかもしれませんが、戦争を防止し絶滅することは出来ません。軍備がある限り、仮想敵国は想定され、戦争の脅威があります。国際連盟が真に世界の永久平和を実現しようと思えば、軍備縮小などという消極的な手段に頼らず、個々の軍備を撤廃し、国際連盟軍の編成まで持って行かなければなりません。国民が戦争の正体をはっきりと認識するならば、少なくとも一部の野心家が企てる侵略戦争だけは避けられるでしょう」
1919年8月、水野は在ドイツ日本人の集まりで初めて軍備撤廃の意見を公表した。
「この未曾有の大戦が残したものは、果たして何でしょうか。ただ地を覆う千万の墓標と、数百万の未亡人と孤児、そして新たな国際間の怨恨のみです。戦争を防ぐためにすぐに出来ることは、各国民の良心と勇断とによる軍備の撤廃のみです。国際連盟の唱える軍備縮小などは、断じて戦争を絶滅する方法ではありません。ことに今、第2のドイツとして世界から冷たい視線を浴びている日本としては、極力戦争を避ける手段を考えなければならないでしょう。そのために、わが国は列国に率先して、軍備の撤廃を世界に向かって提唱すべきであり、これが日本の生きる最も安全な策であると信じます
※原文「戦争を防ぎ、戦争を避くる途は、各国民の良知と勇断とに依る軍備の撤廃あるのみである。第二のドイツとして世界猜疑の中心に立てる日本としては、極力戦争を避けるの途を考えねばならぬと信ずる。これが為に我国は列国に率先して、軍備の撤廃を世界に向かって提唱すべきである。これが日本の生きる最も安全策であると信ずる」
この2年後、水野は軍を去ってジャーナリストとなり、剣をペンに替えて、言論でもって武力撤廃を世論に訴えた。1931年に陸軍が満州事変を起こすと、大半のマスコミが軍部の行動を支持するなか、水野は満州国の問題がアメリカを敵に回すことになると警告した(水野は渡米経験がある)。そして、日米戦争の仮想小説『興亡の此一戦』を書くが発禁処分となる。文中に「日本の満州国承認は、国際連盟を驚愕せしめ、米国を憤慨せしめ、中国を悶殺(もんさつ)せしめた」とあったからだ。また、将来の東京大空襲を予言するような恐ろしい文章も出てくる。「東京では数百の飛行機が流星の如く暗空に去来して敵味方の識別も出来ない。逃げ惑ふ百万の残留市民、父子夫婦乱離混交(らんりこんこう)、悲鳴の声。跡はただ灰の町、焦土の町。死骸の町である」。満州事変の段階で、ここまで未来を的確に見通していた人物がいた。
海軍大佐にまでなった軍人が、武力放棄を訴える平和主義者になることは、当時は考えられないものだった。豊富な軍事知識を持ち、日露戦争に従軍、世界大戦真っ只中の欧州と、戦後すぐの荒廃した欧州を自分の目で見て回り、アメリカを横断して強大な国力を目撃、これらすべての体験から出されたものが水野の平和主義であり、お花畑と揶揄されるような平和主義ではない。
リアリストであった水野だからこそ「(あまりに武器の威力が増した近代戦では)戦争に勝っても得られるものは払った犠牲に全く見合わぬ」「日本の如き貧乏国にして、しかも世界の孤立国は、如何にして戦争に勝つべきかと言うことよりも、如何にして戦争を避くべきかを考えることが、より多く緊要である」と確信していた。
「戦争を防ぎ、戦争を避くる途(みち)は、各国民の良知と勇断とによる軍備の撤廃あるのみである」(水野広徳)。
※過去にNHK『その時歴史が動いた』(42分)で水野広徳が特集されています。『歴史秘話ヒストリア』でもやってくれ〜い!

   1945年10月、終戦を見届けて他界
●10月15日…現在、高知城歴史博物館にて『大名墓をめぐる世界 そのすべて』(大名墓展)を開催中!会期は11月25日まで(無休)。大名の墓にスポットをあてた企画展はあまり聞いたことがなく、墓マイラー的にとても興味をそそられ、期間中に訪れようと思っています。藩医の日記、家康の遺言、参勤交代中に江戸で他界した藩主が国許で眠るまでの過程を綴った「御廟所日記」、墓所の造営方法の全過程の復元(3D技術も使用)、長宗我部元親の法要記録、神として祀られる歴代藩主など、気になるコーナーがいっぱい。中でも僕のイチオシは会場から1キロほど離れた場所で特別公開されている「土佐藩主山内家墓所」!
高知市の筆山(ひつざん)にあり、初代山内一豊から300年にわたる15人の藩主が埋葬されています。江戸時代初期から明治まで、藩主たちの墓石が、笠付き、亀趺付き、神道式など、どう変化していったか見渡せる、素晴らしい墓所です!
ただし、ここは普段非公開。古い墓石は倒壊する危険があり、山中で足場が悪い場所もあるため門が閉まっている。僕は10年以上前に、山内家の子孫の方に直接お願いして墓参させていただいた(涙)。それが今回、「大名墓展」とのコラボで会期中の土・日・祝は特別に公開されている!1日に8回、各回定員20名が巡礼可能とのこと!
時間は10時、10時半、11時、11時半、13時、13時半、14時、14時半。筆山の山内家墓所前にて先着順で受け付けています(見学時間30分)。大名墓展の展示観覧券が必要なので、確実に墓参したい方は9時に展覧会に行って速攻で墓所に向かうのがベスト。この機会を逃せば、次はいつ公開されるか分かりません。行けそうな方は是非ッ!

  初代土佐藩主・山内一豊公の墓石!
●10月14日…アルフレッド・ノーベルはスウェーデン人であり、ノーベル賞の授賞式はストックホルムで行われる。だが、ノーベル平和賞だけは隣国ノルウェーの委員会が選考する。かつてスウェーデンとノルウェーは何度も戦争をしていた。だからこそ、ノーベルは遺言の中で、「平和賞はノルウェー側に決めてもらうように」と指示した。このエピソードはもっと知られていい。
今年のノーベル平和賞(記念すべき第100回目)はエチオピアの勇気ある若き指導者、アビー首相に決まった。隣国エリトリアとの戦争を終わらせた政治家であり、ノーベルの考えた平和賞に最も相応しい人物ともいえる。
1993年にエチオピアからエリトリアが独立した際、バドメ地方がどちらの国に属するか確定しなかった。その結果、バドメの領有権をめぐって1998年に戦争となり約10万人が犠牲になった。2002年、国連によって国境画定委員会が発足し、「バドメはエリトリアのもの」と裁定したが、エチオピアが受け入れず対立は続いた。
2018年にアビー氏が41歳の若さで首相に就任すると、なんといきなり敵国エリトリアを電撃訪問し、同国の大統領と歴史的会談を実現。そして、「エチオピアはバドメのエリトリア帰属を認める」と表明した。会談後のアビー首相「この先、両国の人々にとって戦争は選択肢にはならない。私たちが必要としているのは愛だ」。
  ノーベル平和賞に選ばれたエチオピアのアビー首相

アビー首相は、犠牲者10万人以上、20年間も紛争が続いた問題を、就任からたった3カ月で終わらせた。領有権が問題になっている土地を、自国が実効支配しているにもかかわらず相手側に譲ると言ったわけで、エリトリア側はびっくり仰天だし、寝耳に水となったエチオピアのタカ派は「裏切り者アビー許すまじ」となった。
戦争で家族を失った人々にとっては、負けたわけでもないのに領土を手放すのは受け入れ難いし、兵士の親は「息子は何のために死んだんだ」ってなる。その一方、元々は同じ国であるため、両国にまたがって親族がいる市民が多く、平和になれば20年ぶりに親族に会える。生き別れになっている親子もいる。このタイミングで平和を構築しないと、何十年先になるかわからない。

20年続いた紛争を終わらせるには、国連の国境画定委員会の判断を尊重するしかない。だが、これは命懸けの政治決断であり、アビー首相はいつ軍部に暗殺されてもおかしくない。今年6月、軍がクーデターを試み軍参謀総長や政府高官が殺害され、首相が出席した集会で爆発事件があり100人以上が負傷した。ノーベル委員会は平和賞を授与することで、メダルがアビー首相の命を守る盾になってほしいと願ったのだろう。
アビー首相は内政でも、政治犯の大量解放や、メディア検閲の廃止を行い、女性の影響力の向上をうたっている。エチオピアは人口がアフリカで2番目に多く、東アフリカでは最大の経済規模。周辺国への影響力は大きく、アビー首相の平和主義がアフリカに良い風を吹かせるだろう。アビー首相はケニアとソマリアの紛争仲介で動き出し、スーダンの政情安定化にも協力していいる。
アビー首相のコメント「ノーベル委員会の決定に恐縮している。平和のために尽力し、取り組んでいる全ての人に深く感謝する。この賞は、エチオピアとアフリカ大陸に対するものだ。私たちは平和のもとに繁栄していく」。

※日本だって現実的には、北方四島、竹島、尖閣、すべて国連の国境画定委員会に任せるしかないし、早くそうするべき。僕は日本の領土と思っているけれど、国連のお墨付きがないと、どの国の政府も自国民を説得できない。アビー首相にはその大義名分があった。領有権問題が、喉に刺さった魚の骨のように、いつまでも、いつまでも、この地域をギクシャクさせている。とっとと終わらせよう。
●10月13日…台風19号はたった1日で年間降雨量の3倍という恐ろしい豪雨となり、栃木や多摩など各地に大きな爪跡を残した。特に長野県は被害が深刻、千曲川の決壊で浸水は非常に広範囲に及ぶ。行方不明者が早く見つかることを祈ると共に、夜を徹して救援活動に取り組んでいる、自衛隊、消防庁、警察など関係者の方に深く感謝。

/台風の影響でラグビーW杯の試合が中止になったカナダ代表が、岩手県釜石市で住宅地に流れ込んだ土砂を撤去するボランティア。ピーター・ネルソン選手「ラグビーより大切なことがあります。僕たちにできることで役に立ちたいのです」。ナミビア代表も「ボランティアがしたい」と宮古市を訪れた。ラグビーは紳士のスポーツと言われているけど、こういう行動からもラガーマンの生きる姿勢が伝わってくる。

/そして日本対スコットランド。凄まじい力と力のぶつかり合いだった。28対21、スコットランドに勝利したのは30年ぶりとのこと。日本にはテニスの大坂なおみ選手や陸上のサニブラウン・ハキーム選手など、見た目がアジア系でない選手への排他的な偏見が一部(特にネット)にあるけれど、ラグビー日本代表チームの感動的な戦いが、彼らのあの堅固なスクラムが社会の差別的な風土まで崩していくように感じる。諸外国のように、肌の色に関係なくその国の代表選手が讃えられる空気が、一気に広がっている気がする。
●10月12日…台風19号は、超強力、超大型のまま上陸する可能性が大とのこと、ほんと怖すぎる。ルート上に千葉があるのが心配。まだ復旧作業の途中なのに…。今日から明日にかけて大潮と重なるため高波に厳重注意。
●10月9日…今年のノーベル化学賞を、リチウムイオン電池を開発した吉野彰・旭化成名誉フェロー(日本人27人目)、米テキサス大のグッドイナフ教授(過去最高齢となる97歳での受賞!)、米NY州立大のウィッティンガム特別教授の3氏が受賞決定!充電して何度も使えるリチウムイオン電池は、スマホやデジカメのバッテリーに欠かせないもの。電気自動車にも必須だし、太陽光発電の蓄電でも活躍している。学生時代、それまで定番だったニッケル充電池がリチウムになったときは、その寿命の長さに驚いたものだ。
最も軽い金属のリチウムは電気を生み出す反応を起こしやすい。今回3人が受賞したのは、実用化までに3段階の革新があったから。
(1)1970年代、ウィッティンガム氏がリチウムを電極に使う二次電池を初めて制作。だが、発火や爆発がありそのままでは使えず。
(2)グッドイナフ氏がリチウムイオンを含んだ酸化化合物を正極にすると、電圧を高くできることを発見。まだ爆発の不安が残った。
(3)吉野氏は負極に炭素材料を使う方式を開発。安全性が大幅に高まり、これが現在のリチウムイオン電池の原型に。その後、電池の構造そのものにも爆発しにくくする工夫を施した。
吉野氏「気候変動は深刻な人類の問題。電気を蓄えることができるリチウムイオン電池は、持続可能な社会の実現にとって必要だと思う」。
/ノーベル物理学賞は太陽系の外の惑星を初めて発見したミシェル・マイヨール氏らが受賞。

/“あいちトリエンナーレ”の「表現の不自由展」、閉幕ギリギリになったとはいえ、展示が再開できて本当によかった。ただし、鑑賞は抽選になり、競争率は20倍以上。一方、苦情の電話は大半が70歳前後の高齢の男性で、各々平均30分の電話になるとのこと。怒りや誤解が、応対した人の説明で解けますように。

/ユニクロ柳井氏の言葉を初めてメモった気がする。日経ビシネスから。「(日本人は)みんなと一緒にやるという強みが弱みになってしまっている。たとえば忖度で公文書を偽造するのは犯罪で、官僚なら捕まって当然でしょう。民度がすごく劣化した。それにもかかわらず、本屋では「日本が最高だ」という本ばかりで、僕はいつも気分が悪くなる。「日本は最高だった」なら分かるけど、どこが今、最高なのでしょうか。新聞のスポーツ欄を見たらよく分かります。日本選手が3位や4位になったという記事ばかりで、1位は結局、誰かが書いてない。オリンピックなどにたきつけたお祭り騒ぎで、ローマ帝国の「パンとサーカス」と一緒ですよ。国民がそうした生活に明け暮れ、気が付いたらパンが全部なくなり、サーカスをする費用もなくなっていくということです。いわゆる「ゆでガエル現象」というものが全部でき上がってしまった。私はそんな日本についてあきれ果てているけれど、絶望はできない。この国がつぶれたら、企業も個人も将来はないのですから」。

/日本のことが心配で誰かが問題点を指摘したら、ネットでは「日本の悪口を言うなら出て行け!」という反応になる。それでは何も解決しないし、状況は悪化するだけ。この傾向はほんとまずいです。
●10月8日…ラグビー、スコットランドがロシアを61-0で下し、その点差にびびる。ロシアの選手が体格で劣っていたワケじゃないのに。せめて3点だけでも入れたかったろうなぁ。なんか、スコットランドがアッと言う間に防御ラインを突破するので、選手が3人くらい多く見えた(汗)

//アメコミ原作で史上初めてヴェネツィア映画祭の金獅子賞(最高賞)に輝いた『ジョーカー』、見終わった後、すぐに立てないほどの衝撃だった。なんちゅう作品が誕生したのか!気持ちが落ち着いてから感想を書きます。
●10月7日…接近中の台風19号、今年最強の勢力となる恐れ。最大風速60m/s、最大瞬間風速85m/sにまで発達すると予想、昭和の伊勢湾台風級とも。早め早めの対策を。
●10月6日…海外の報道陣から「日本のメディアの意識は、世界で最低レベル」と言われる理由の一つが、権力者との距離感。欧米のジャーナリストは、自分が権力者に取り込まれていると人々から判断されることを恥じるため、疑惑の目を向けられるような場には同席しない。しかるにこの国はどうだ。
〔10月3日の首相動静〕
午後0時6分、公邸発。同7分、官邸着。
午後2時31分から同58分まで、新聞・通信各社の論説委員らと懇談
午後2時59分から同3時22分まで、在京民放各社の解説委員らと懇談
午後3時23分から同46分まで、内閣記者会加盟報道各社のキャップと懇談
午後3時57分から同4時32分まで、北村滋国家安全保障局長、秋葉剛男外務事務次官。

これは関電関係の裏金が自民の稲田朋美幹事長代行など政界に流れていることが報じられ始めたタイミングと重なる。原発マネーの政界汚染にメディアがどう斬り込んでいくのか、僕はマスコミの動きを注視していたが、この官邸での会合ラッシュはほんと脱力する。
何が深刻といって、ここに登場している論説委員や解説委員、報道キャップは、自分たちが官邸で首相と懇談すれば、翌日の首相動静で報道されることが分かっているのに要請を断らないことだ。何のためらいもないのか?開き直っているのか?「私たちジャーナリストは権力の腐敗を監視する役目があり、密室で会うことはしない。国民に疑われるようなことはしない。たとえ会合で情報をもらえても、こんな形でもらったものに価値はない。首相、会見場で会いましょう」となぜ言えないのか。
●10月5日…ラグビーW杯、サモアに勝利!最後のトライは胸熱でしたね。13日のスコットランド戦、引き分け以上なら決勝トーナメントに進出決定。

//ホアキン・フェニックス主演の映画『ジョーカー』、めっちゃ良いらしい。早く観に行きたい。R15にちょっとビビってるけど。
●10月4日…香港政府がデモ封じのため、緊急事態条例を発動させ「議会を通さず」にマスク禁止法を施行。これに反発する市民がさらに過激化。私服警官が14歳の少年の足に発砲し、今度はその警官に向かって、火炎瓶が投げられた。あの火炎瓶は、ヘタすりゃ警官が死んでたし、投げた人間から殺意が感じられた。どんどん状況が悪化している。中共政府が市民の求める普通選挙制度を認めるとは思えず、絶望的な未来しか見えなくつらい。
●10月3日…関西電力の裏金3億2千万の疑惑、凄まじい癒着ぶりに目眩。分かっているだけでこの金額。調査が進めばどれだけ出てくるのか見当もつかない。政界にも波及するだろう。
●10月2日…週末にテレビでやっていた映画『僕のワンダフル・ライフ』、子どもが見ていたので軽い気持ちで僕も“ながら見”をしていたら、気がつけば画面に釘付け。ただの人間とワンコの友情物語と思ってたら、始まってすぐにワンコが生まれ変わってビックリ。ワンコは寿命が10年〜13年だから、映画の前半からどんどん転生していく…!
そして主人公のワンコは「自分が生まれて来た理由」を考え続ける。「なぜこの飼い主なのか」「この出会いにどんな意味があるのか」等々。
人間の転生モノはファンタジーの定番だけど、ワンコでやるのは初めて見た。この着想がけっこう面白い!“記憶を持ったまま”生まれ変わるため、過去の飼い主と今の飼い主を比較し、そこから人間への理解が深まっていく。汗の匂いの変化で、飼い主が誰かに恋をしたり、顔は笑っていても心で泣いているのがわかったり、居留守をしても匂いで在宅がわかったり、犬の優れた嗅覚を人間ドラマに絡めて上手い脚本を書きあげていた。続編が作られるほど評価が高いのも納得っす。
僕は高校まで団地っ子、20代は学生下宿、30代は再び団地暮らし、そして40代は賃貸マンションという、人生で一度も犬を飼える環境になかった。飼ってなくても泣けるんだから(警察犬時代とか)、ワンコを飼ってる人がこの映画を見たら、体の水分の大半、それこそ生命維持の危険水域まで滝泣きするのではないだろうか。掘り出し物だった!

 
●10月1日…建国70周年に合わせた香港の民主化要求デモ、警官が高校生の左胸に拳銃を突きつけて実弾を撃ったことに衝撃。高校生は棒を持っていたけど、あの細い棒が当たっても、治安警察はヘルメットとプロテクターで防御できる。正当防衛というには無理がある。警告で足を狙うわけでもなく、いきなり左胸というのが怖すぎ。
今回はたまたま複数のスマホ動画で一部始終が撮影されていたから、治安当局の正当防衛説は崩れたけど、もし動画がなかったら真相は闇に葬られていた。スマホのおかげで全員が特派員記者みたいなもの。今後、カメラという目の存在が、暴力の抑止力になってほしい。
●9月30日…アテネで1896年に第1回オリンピックを開催したクーベルタン男爵(1863〜1937)は「スポーツを通じて平和な世界の実現に寄与する」ことをオリンピックの目的に掲げた。それゆえ五輪には枕詞のように「平和の祭典」がセットになっている。『いだてん』第2部の主人公田畑政治は、1932年のロサンゼルス五輪でその楽しさ、会場の雰囲気の明るさを存分に味わい、「五輪ほど素晴らしいものはない」と噛みしめた。
だからこそ、田畑は東京五輪(1940)の実現に向けて、嘉納治五郎と共にこれまで必死に招致活動をしてきた。その彼が、満州事変、五・一五事件、二・二六事件、盧溝橋事件、南京占領という日本の状況を前に、初めて断腸の思いで五輪返上を言葉にしたシーンは、彼のつらさが分かるだけに胸に来た。「こんな国でオリンピックやっちゃ、オリンピックに失礼です!」。そして嘉納に向かって「今の日本はあなたが世界に見せたい日本ですか!」。
この台詞に本当に驚いた。本作のコンセプトは来年の五輪に向けてお祭り気分を盛り上げることと思ってたから、まさか主人公の口から「こんな国でオリンピックやっちゃオリンピックに失礼です!」なんて、マイナス方向の言葉が飛び出すとは思わなかった。
その後の飲み屋のシーンでもこう続いた。
「違和感なら二・二六のときから、いや、もっと前だよ、五・一五のときから大きくなる一方だ!日本はそういう国…政治とスポーツを別に考えられない。もう軍事国家だよ!お国のためのオリンピックなど俺はいらん!」
悲痛な叫び「オリンピックに失礼です!」 現代にも通じる部分はあると思う

一方、NHKの限界というか、課題も浮かび上がった。『いだてん』放送開始からずっと南京攻略がどう描かれるか注視していた。最低でも語って欲しかったことは2点。
(1)南京大虐殺の犠牲者数は未確定であっても、他国の首都を攻撃、占領したことは、弁明しようがない黒歴史。今の日本人は南京が中国の首都(開戦前は人口100万)であったことを知らない人も多い。そこを何度も空襲して打撃を与えた後に約10個師団20万の兵で攻撃、占領した。
(2)南京陥落の翌日、全国で戦勝祝賀集会が開催され、東京では市民40万人が「バンザイ!バンザイ!」と勝利を祝う祝賀提灯行列を行った。ここに侵略者・加害者という意識はまったくない。南京市民がどうなったかという想像もない。そしてこの市民の提灯行列こそが軍部の戦線拡大を後押し&ある意味、引くに引けない状況を作ってしまった。

はたしてオンエアではどうなったか。なんと、南京陥落に触れた部分は、たった10秒!ナレーションでは、日本軍が南京を占領したこと、国際社会からますます孤立していったこと、それだけが伝えられておしまい。(1)も(2)もスルー!
あっけなさ過ぎる、あまりにも…。正月の放送開始からずっと日中戦争の描写がどうなるか放送を待っていたのに、この肩すかし感。東京に主人公がいるのに、登場人物が誰1人として戦勝祝賀提灯行列に参加しておらず、目撃もしていないというのはあまりに不自然。
…とはいえ、この南京陥落以外のエピソードは、このドラマは頑張っている。引き続き、見続けます。
まさかたった10秒とは…
“腫れ物に触ってます”感が凄い
登場人物が南京について語る台詞
は一切なし。歴史的事件なのに!
それにしても、投降した捕虜の処刑は保守派の学者ですら4万人以上と認定している。この研究者間で一致している最低ラインが伝えられないのはブルーになるな。
【参考リンク】
「CGで再現された南京大虐殺」(7分43秒)
「南京大虐殺の証拠」〜当時の記録映像と生存者の証言(32分40秒/視聴年齢制限あり)
●9月29日…発症から3カ月、やっと尿管結石が外に出たっぽい!前にそう感じたのは誤解だったけど、今度という今度は出ただろう!なんか下腹部が軽くなった!羽が生えたみたいに!今月に入って猛烈に痛み出したのは、2カ月前にお医者さんが「外に出る前にもう一度痛くなります」と予言していたのと同じだった。嗚呼、健康に勝るものなし。すぐに出なかったのは、この一年で5キロ太ってしまい、内臓脂肪で管が狭くなっているからと思う。この秋、マジで内臓脂肪を減らすぞー!
●9月28日…かつて1995年のラグビーW杯で日本はニュージーランドに17−145と記録的大敗を喫した。当時報道を見た僕は「145点」という数字に絶句。日本代表だって猛練習しているのに、80分という試合時間で145点もとられてしまうのか、それも国際試合で…世界とのこの差は何なのか、恐ろしすぎる…。この強烈な記憶があるため、今回のアイルランド戦がどんな結果になるのか不安だった。
なんと言ってもアイルランドは世界第2位。一桁の点差で負けることも厳しいのでは、そんな悲観的な予想をしていた。ところが!蓋を開けてみると19-12で日本が7点差の勝利!後半で逆転トライが決まった瞬間、テレビの前で立ち上がって拍手した。その後は「どうか再逆転されませんように」と祈るような気持ちで応援。よくぞ、あのアイルランドの猛攻を抑えられたと思う。トライ後のゴールキック(コンバージョンゴール)も、彼方にあるゴールバーに的確に入れていく高度な技術に息を呑んだ。守備陣のタックルも力強く、まったく、すごいのものを見させてもらった!
次回、日本VSサモアは来月5日(土)。
●9月27日…昨日の『なつぞら』を見て、じいちゃん役の草刈正雄は台詞がなくても見る人を感動させられる役者だと思った。
●9月26日…取り急ぎ。「あいちトリエンナーレ」への補助金交付中止、これは極右の萩生田文科相の判断なのか?文化庁自身の判断とは思えない。「テロ脅迫を受けるなど混乱しそうな内容を事前に国へ知らせなかった」のが理由らしいけど、責められるべきはテロ犯であって、なんでテロ犯と一緒に文化庁が主催側を攻撃してるんだ?欧米ではこんな理由の補助金カットは考えられず、「日本はテロと戦わない国です」「表現の自由は、事実上、国家が検閲します」と宣言しているようなもの。世界に対して恥をさらしている。
文化事業は独立採算が難しいケースが多く、公的組織や民間団体からの助成を見込んで運営しているのが実情。世界的に有名な美術館でも大半が補助金を受けている。「表現の不自由展・その後」の支出は約420万円にすぎず、約7800万円の補助金全額の不交付などクレイジーすぎる。百歩譲って420万の減額だろう。「展示内容の一部に問題があれば展開会まるごと制裁」って、こんな前例を作ってしまったら、この先国内のイベントはすべて国や極右・極左両過激派の顔色を見ながら企画せねばならなくなる。国は「不交付は手続き上の問題」と強弁しているが、そもそも交付金の審査項目に安全性の報告は明記されていない。同じ理由で不交付になった例が過去に存在せず、完全に狙い撃ち。僕は萩生田文科相が辞任すべき愚行と思っている。
救いは自民党内からも「このようなことはあってはならない」(山田太郎参院議員)と批判の声が出ていること。この動きが自民党内に拡大してほしい。報道には匿名で自民党文科系議員の談話も出ていた「事業自体の有用性は認められており、減額しても出すべきだ。そういう折衷案を模索しないあたりが、いまの政権らしい」。

〔個人メモ、世間の反応〕
・伊藤裕夫・元富山大教授(日本文化政策学会顧問)「一度交付を決めた補助金を、このような形で不交付にするのは聞いたことがない」
・毛利透・京都大教授(憲法学)「危険が生じるほどのたくさんの違法な脅迫が来ることを、申請段階で正確に予測するのは難しい。他の企画には求めていないことまで過大に要求するような、不当に差別的な取り扱いをしていないかという『平等』の観点が重要だ」
・あいちトリエンナーレ2013の芸術監督、五十嵐太郎・東北大教授「運営を阻害したのは電話で脅迫行為をした人たちなのに、その結果、展示は中止になり、補助金までなくなるとすれば、二重のあしき前例になった」「催し全体の一部でも目をつけられると全額が不交付になってしまうというのは、怖い。今後、文化的な企画をする際に、抑止力が生まれるだろう」
・横大道聡・慶応大教授(憲法学)「手続き上の不備という形式をとっているが、実質的には表現の内容に踏み込んだ決定」「『騒ぎになりそう』な作品があるということを事前に伝えなければ補助金が出ないということになる。仮に伝えても、その作品がある限りは『事業の継続性がない』と判断されて補助金が出ないかもしれないという圧力が働く」「物議をかもすイベントは差し控えられ、様々な表現に触れる機会が減る。結果的に、社会が享受できるはずだった『表現の自由』が損なわれるだろう」
こんな方法で表現内容に踏み込むことが通れば、萎縮効果は計り知れない。国が検閲しなくても、芸術家の方が自ら自粛する。萩生田文科相がそれを予測できないなら文科相として無能すぎるし、分かったうえで「それが真の目的です」と開き直るなら、やっぱり大臣不適格。こんな人に血税を払いたくない。昔のように加計学園で講師をやって下さい。
ほんとうもう、文化庁が文化を殺すとか終わってる。敗戦以降、日本国民は民主主義の血液である表現の自由を守り、育んできたのに、それを全部ゼロに戻して昭和の戦前にタイムスリップしたようだ。
※中国や北朝鮮では芸術も検閲されている。僕は日本をそんな国にしたくない。

//先日の東京電力の旧経営トップ3人が全員無罪というのもブッ飛んでる。原発が爆発したってこの国は誰も責任をとらないでいいらしい。無罪の理由が「津波についてあらゆる可能性を想定し、必要な措置を義務づければ、原発の運転はおよそ不可能になる」。
え…それって「対策は無理」ってことだよね?だったらもう、原発は即時廃止やん。今後、どんな原発事故が起きても「あらゆる可能性を想定し、必要な措置を義務づければ、原発の運転はおよそ不可能になる」で済んでしまう。東日本大震災の前に、スマトラ島沖地震で50mの津波が起きたから、予測の天災ではなかったし、日本原電東海第二原発は津波対策を実行していた。一方、東電トップは下からあがってきた「津波対策が緊急で必要」という報告書を握り潰した。これで納得できるわけがない。なんで国民はこうも静かなのだろう。あきらめなのか、無関心なのか、周囲から浮きたくないからか。東電経営陣は、コストカット、コストカットと安全面でケチっただけだ。「原子炉を冷やすための電源を高台に移す」、ただそれだけで良かったのに!
●9月25日…ハハハ…ハハ…、もうすぐ…もうすぐ…原稿が仕上がる…仕事がヤマを越える!そしたらオレ、故郷に戻ってサイトを更新するんだ!たっぷりな!うふふ…ふふ…ふ…(遠い目)。
●9月21日…大河『いだてん』が頑張っている。五輪の物語を描きつつ、昭和初期の戦争に突き進んでいく日本の姿も逃げずに描いている。学校の歴史の授業では、近・現代史をすっ飛ばしているため、昭和の戦争より、関ヶ原や大阪の陣に詳しい人も多い。実際、大河ドラマは戦国時代と幕末ばかりやってきた。だが、この『いだてん』は、もろに日本のアジア太平洋戦争と時代が重なる。ここまで五・一五事件、二・二六事件ときて、今はヒトラーが登場している。これから日中戦争。あの時代の空気感は、文章だけではなかなかピンと来ない。映像の力は大きいと改めて実感。
当初、五輪がメインのストーリーだから、二・二六事件などは、ナレーションだけで終わる可能性も予想していた。だが、第2部の主人公・田畑政治(まさじ)が新聞記者であることから、歴史的事件も描写できることがわかった。五・一五事件で暗殺された犬養首相、二・二六事件で暗殺された高橋是清大蔵相など、事件の前から台詞つきで登場していたため、両事件がただの年表の「記号」ではなく、人間が問答無用で殺害された事件として視聴者に伝わった(青年将校がどんな大義を掲げようと無防備の人間を処刑する時点で間違っている)。
「話せば分かる」「問答無用」
対話を拒否して銃口、五・一五事件
主人公と親交のあった高橋是清が
殺害された二・二六事件
新聞社が軍人に占拠されるシーンでは、編集長が「早くここを出ないと変なものまで刷らされる」と危惧、主人公は「ここで踏ん張らなければ言論の自由は終わりですよ」「これからずっと変なものを刷らされる」と抵抗を訴えた。
新聞社の編集長「(軍に)変なもの
まで刷らされたらかなわん」
軍に新聞社を占領され「ここで踏ん張ら
なければ言論の自由は終わりですよ」
そして前回!ホントよくこれを放送してくれたと思う。ベルリン五輪では、日本のマラソン代表が朝鮮出身の孫 基禎(ソン・ギジョン)選手と南 昇竜(ナム・スンニョン)選手だった。孫選手は当時の世界記録保持者。当時は日本統治下にあり、日本人として日の丸をつけて出場した。
『いだてん』第1部の主人公は、日本人初の五輪選手となったマラソンの金栗四三。金栗氏はときに選手、ときにコーチとなって、「なんとか日本にメダルを!」と20年以上奮闘してきた。彼はラジオの前で必死に両選手を応援、結果、マラソンは1位孫選手、3位南選手、表彰台に2人が上がった!日本マラソン、苦節20年で初のメダル。万歳、万歳と関係者。
ただ…出場した2人の選手は、メダル授与式で国旗掲揚と君が代が流れることを事前に知らされていなかった。メダルを首に掛けられたあと、君が代が流れ出して身体が固まる2人をカメラはとらえている。脚本を書いた宮藤官九郎は、ここで登場人物の1人(日本人)にこう語らせた。
「どんな気持ちだろうね…」
これです、この言葉です。僕が一番欲しかった言葉をクドカンは書いてくれた。今の歴史教育で欠けている最も大きなもの、それは相手の視点で歴史を考えるということ。日本だけの視点だと過去を美化してしまう。「学校を建ててやった」「鉄道を敷いてやった」という言い分は、いじめっ子が「確かに叩いたけど、優しく叩いたつもり。強く叩いてない」と言ってるのと同じ。叩き方の強弱ではなく、「誇り」の問題なんだ。この「どんな気持ちだろうね…」があるのとないのとでは全然違う。クドカンに脱帽。政治がギクシャクするなか、象徴的なタイミングでのオンエアになった。(再放送は21日15:35から)
金メダルは孫 基禎選手 銅メダルは南 昇竜選手
メダル授与式で日の丸が
掲揚されることを…
孫選手と南選手は
知らされていなかった
君が代の間、うつむく孫選手 同じく南選手。勝者の笑顔は見えず
「どんな気持ちだろうね…」 「2人とも朝鮮の人ですもんね」
ラジオの前の金栗選手。マラソンに
全てをかけた男が20年をかみしめる
一番良かったシーン。日本のアスリート
金栗が、朝鮮の2人に「ありがとう〜」
※ベルリン五輪直後に朝鮮の新聞「東亜日報」に、孫選手の胸にある日の丸が塗りつぶされた表彰式の写真が掲載され、朝鮮総督府は同紙記者の逮捕・発刊停止処分を下した。
●9月18日…発売中の『音楽の友10月号』に「世界音楽家巡礼記(31)」を寄稿しています。今号は近代の作曲家、リヒャルト・シュトラウス、シェーンベルク、ウェーベルン、アルバン・ベルクの墓参レポ。彼らがベートーヴェンやモーツァルトの時代の作曲家と決定的に異なるのは、全員が世界大戦を経験し、1933年のヒトラー独裁政権の誕生で人生を変えられたこと。ユダヤ人のシェーンベルクはアメリカに亡命、弟子のウェーベルンとベルクは師匠に連座して活動を禁止され、ウェーベルンは終戦の年に米兵の誤射で死亡している(夜半、煙草を吸うために点火した灯が密売人の合図と誤解された)。
リヒャルト・シュトラウス(ワルツ王ヨハン・シュトラウスとは無関係)については、いろいろ書きたいことがあるので以下に!
※「リヒャルト・シュトラウスって誰?」という人、映画やCMでよく使われるこの曲(「ツァラトゥストラはかく語りき」の冒頭1分50秒)を一度は聴いたことがあるかと!

〔リヒャルト・シュトラウスの抵抗と祖国への想い〕
1933年(69歳)、1月ヒトラー内閣が組閣され3月に全権委任法が成立。シュトラウスはナチの要請で帝国音楽院総裁に就任。背景には、シュトラウスの息子の嫁アリスがユダヤ人であり、孫がユダヤ人の血筋となることから、家族を守るためにナチスと良好な関係を維持せねばならない事情があった。
1934年(70歳)、ナチスによる迫害のためオペラで組んでいたユダヤ人作家ツヴァイクが亡命。
1935年(71歳)、オペラ『無口な女』初演。ナチは『無口な女』の初演のポスターからツヴァイクの名を外すよう要求したがシュトラウスはこれを拒否。ナチはメンデルスゾーン(ユダヤ)を音楽史から抹殺するため、シュトラウス版の『真夏の夜の夢』の作曲を命じたがこれも拒否。シュトラウスはユダヤ系の作品を葬ろうとする当局と衝突し、音楽局の総裁を辞任。怒ったナチはほとんどの作品の上演を一年間禁じた。
シュトラウスからツヴァイク宛の手紙「私はいちいち自分を“ドイツ人”と考えて行動しません。モーツァルトは作曲するときに自分が“アーリア人”と意識的に考えていたと思いますか? 私は、才能のある人と持たない人の2種類のみを認識しています」。
1936年(72歳)、ナチス政権に対する嫌悪感から反戦オペラ『平和の日』を作曲。17世紀前半にドイツを荒廃させた「三十年戦争」(ハプスブルクVSブルボン)を題材に、戦争の不毛さ、平和の大切さを描くことで好戦的なナチス政権を批判した。劇中では「ラット」「内なる敵」などユダヤ人を中傷するために使用されるナチの用語を兵士が口にしている。
1938年(74歳)、息子の妻アリスの祖母やその親族を釈放してもらうため、シュトラウスは強制収容所に向かい交渉したが、最終的に25人の親族が収容所で殺害された。「子供たちだけでも釈放してほしい」と、懇願する手紙を何度もSS(ナチス親衛隊)に書いたが無視された。
1944年(80歳)、シュトラウスの留守中に息子夫婦がゲシュタポに拉致され投獄。シュトラウスは解放に向け尽力し家に連れ戻すことができたが、息子夫婦は終戦まで自宅軟禁となった。
1945年(81歳)、大戦末期の2月にドレスデンが無差別爆撃され、多くの自作オペラを初演してきた国立歌劇場が崩壊。ベルリンの国立歌劇場も破壊され、3月にはウィーンの国立歌劇場が瓦礫となった。故郷ミュンヘンは71回も空爆された。シュトラウスは祖国の町並みや農村風景が破壊され、古い文化財や都市、建築、劇場を喪失した悲しみ、これら「取りかえしのつかない消失についてのなげき」を表すため、前年から惜別の情を込めて『メタモルフォーゼン(変容)』を書き進めており、ドイツが敗れる直前の4月12日に完成させた。
指定した楽器編成はヴァイオリン10名、ヴィオラ5名、チェロ5名、コントラバス3名の23名。楽譜は楽器のパート別ではなく、23名全員分、23段(!)のスコアに書かれており緻密を極めている。
ドイツの死を悼むレクイエムであり、最後の9小節にはシュトラウスが「In Memorium」と書き込み、一つの国家の死を描いた(たぶん音楽史で国家の死を描いた曲ってこれだけじゃないかな)。
※『メタモルフォーゼン』中盤のサビから。ここから2分くらい、シュトラウスの感情が爆発!
(頭出し済) https://www.youtube.com/watch?v=awLkK-9lTBg#t=15m53s

翌月、5月8日にドイツは無条件降伏。直前の日記「人類史上最も恐ろしい時代の終わり。ドイツ2000年の文化史で、最大の犯罪者による無知、反文化の12年間の統治が終わる」。
敗戦の4年後、シュトラウスは病没する(85歳)。死期が迫るのを感じた彼は、この世に別れを告げるような名歌『4つの最後の歌』を書いた。この4曲目の『夕映えに』が心底素晴らしい。約8分間、彼岸の世界が見え隠れする。歌の最後の部分の詞は「おお、広い静かな平和よ、こんなにも深く夕映えに包まれて、私たちは疲れ切っている。これが死というものなのだろうか?
(頭出し済) https://www.youtube.com/watch?v=qCK9srHcfok#t=14m34s

//まだ尿管結石が治ってなかったとは。夜半に腹部の激痛で目覚め、まだ石ころが出ていなかったことを知る。2週間前から違和感があって「おいおいおい」って思ってたけど、薬が必要なまで痛くなかったから、このままやり過ごせると期待してた。っていうか、救急車で運ばれたのは6月、もう3カ月やで…こんなに長期化するものなのか?ロキソニンを飲むしか対処方法がないというのはほんと歯がゆい。まさか既に外へ出た後、2個目が新たにできちゃったのか?いやいやいや、こんな短期間に2個目はできないだろう、なるべく水を飲んでたし…。はよう出てこーい!
●9月15日…南米エクアドルで「ほぼすべての国民」を含む約2千万人分の個人情報が流出し、大ごとになっている。氏名、性別、生年月日、ここまでならギリセーフかも知れなかった。今回は、個人番号、納税者番号、銀行の口座残高、携帯電話番号まで流出したのがやばい、やばすぎる。なりすまし犯罪が次々に起きる可能性が…。
ネットは便利だけど、いつかサイバー犯罪が取り返しのつかないダメージを国家に与えるのではと危惧していた。エクアドルはどうやってこの危機を乗り切るのだろう。
●9月14日…朝ドラ『なつぞら』、往年の“カルピス子ども劇場”を完全再現した“ミルコス子ども広場”が懐かしく、どストライク。『大草原の小さな家』の設定を北海道に移した架空のアニメ『大草原の少女ソラ』が、オープニング曲からエンディング曲まで含めて素晴らしい完成度、あれをガチで毎週見たいと思った!
●9月13日…質の高い理系論文の数を示す国別世界ランキングで日本は2000年の4位から2016年は11位に急落。それ以前、1986〜99年度は大学への研究費が各年度平均4.4%増、論文数は年平均5.5%増と増えていたが、小泉・竹中政権による研究予算の抑制・競争原理の導入が始まった2000年ごろから伸びが止まり、20年近く頭打ちの状態になっている。研究費が横ばいになると論文数もほぼ同時に伸びが止まった。世界では中国や米国の論文数が飛躍的に伸びている。日本の大学の研究現場はブラック職場化し、任期付きの不安定な研究職が増え、研究環境が悪化したのも原因だ。予算確保のため、すぐに成果を出す必要があり、成果に繋がるまで長い時間を要する基礎的な研究分野に取り組む人間が減っている。研究活性化策として導入した競争原理の拡大も奏功しておらず政策を見直すべき。これ、10年以上前から日本人ノーベル賞受賞がみんな警告を発していること。非常に由々しき事態。

そしてもう一つ。今月11日、英教育専門誌は今年の世界大学ランキングを発表。教育体制の充実度や研究内容、国際化の度合いなどを総合的に評価している。92カ国約1400校の最終調査対象にランク入りした日本勢は110校もあり、米国に次ぎ2番目に多かった…が、ランク上位200校に入った大学は、東大、京大のたった2校のみという結果に。首位は英国オックスフォード大で、上位12校は英米の大学が独占。アジアの上位は中国の清華大(23位)、北京大(24位)、シンガポール国立大(25位)など。東大は36位(アジアでは5位)、京大は65位にとどまっている。軍事費・天下り報酬よりこっちに予算を使ってほしい。

//停電被害の初動が遅れまくっている千葉県庁と国。県庁が市町村の被害を確認するため直接職員を派遣したのは3日〜4日が経ってから。経産省が「停電被害対策本部」を設置したのも4日経ってから。そして首相は非常災害対策本部を置く気はないらしい。呆れるほど危機管理能力が欠如している。ていうか、首相はかたくなに現地を視察しないのはなぜなん。「トップが現地に行っても出来ることはない」と言う人もいるけど、そんなの過去のほとんどの災害がそうやん…。
上がってくる情報が遅いんだから、自分の目で確かめたいとか思わないのか。「大災害があれば消費増税を延期する」と言った手前、現地に行って被害を直視するのが怖いのか。また、内閣改造のタイミングを誤ったことを認めざるを得なくなるのが嫌なのか。東京のすぐ隣りなのに。
●9月12日…千葉ではいまだ30万戸以上が停電。一方、千葉に比べて東京都内の停電が圧倒的に少なかった・これは、電線の地中化が進んでいるからとのこと。電信柱がないのは、単に景観だけの問題じゃなく、台風の被害を受けない大きなメリットもあると、今回よくわかった。

//トランプ大統領が“戦争狂”ボルトン補佐官をクビに。もちろん大歓迎。時々、トランプは正常な判断をする。

//ポケモンGOの開始時と比べると、ほとんど話題になってないけど、子どもは『ドラクエウォーク』(本日リリース)に大興奮している。僕的には音楽とか効果音が懐かしい。ただ、スライム、スライムベス、ドラキーの3種類しか出現しないので、このままだと子どももすぐに飽きると思う。
〔追記〕さっそく知人から情報が。クエストを受注すれば登場モンスターが変わるそうです。
●9月11日…千葉の台風災害、停電で上水道が止まり断水になっているけど、水は生命を繋ぐものであり、最重要のライフライン。原発が停止すれば非常電源で冷却装置が稼働するように、すべての上水道にも非常電源設置を義務付けることはできないのだろうか。24時間の発電が難しければ、半日とか最悪2時間だけでも毎日発電できれば、少なくともバケツやお風呂に貯水できる。巨大病院は自家発電で対応しているのだから、上水道設備も同様に稼働できないのかな。

//内閣改造、安倍氏の“お友だち”だらけなうえ、過去に失言問題を起こした人がごろごろいるので目眩を覚える。一方、今日の自民・谷垣前総裁の言葉が良かった。自転車事故で大けがを負い車いすを使っている谷垣氏は、重度の障害がある“れいわ新選組”の参議院議員2人についてこう触れた。
「国会で車いすに乗った人が増え、同じ悩みを持つ私としては大変ありがたい。他党の人だが、国会で実質的な仕事ができるよう協力してほしい。東京パラリンピックを前に、よいバリアフリー社会をつくってもらいたい」。

ちなみに、今回の内閣改造では谷垣グループの所属議員24名は全員が“干されて”いる。これについて谷垣氏はグループ「有隣会」の研修会でこう述べた。
「きょう発表された閣僚名簿に同志の名前がないのは誠に残念だが、このグループには、有能なメンバーがそろっている。必ず大きな役割を果たしてくれると期待している」。
大臣の椅子が欲しければ安倍氏に接近して提灯を持つのが最短距離。だが官邸から無視されても谷垣グループに留まっているところに志を感じる。今後の投票の参考になると思い、以下に24名を列記。

【谷垣グループ】有隣会
〔衆議院〕(計19名、うち他派との重複5名)
川崎二郎(12回、比例東海)
逢沢一郎(11回、岡山1区)
中谷元(10回、高知1区)
古屋圭司(10回、岐阜4区)
山本公一(10回、愛媛4区)
遠藤利明(8回、山形1区)
小里泰弘(5回、鹿児島3区)
牧原秀樹(4回、比例北関東)
秋本真利(3回、千葉9区)
大串正樹(3回、兵庫6区)
黄川田仁志(3回、埼玉3区)
星野剛士(3回、比例南関東)
田野瀬太道(3回、奈良3区)石破派
山下貴司(3回、岡山2区)石破派
務台俊介(3回、比例北陸信越)岸田派・宏地会
井林辰憲(3回、静岡2区)麻生派
小田原潔(3回、比例東京)細田派
加藤鮎子(2回、山形3区)
本田太郎(1回、京都5区)

〔参議院〕(計5名、うち他派との重複2名)
金子原二郎(2回・衆院5回、長崎県)岸田派・宏地会
二之湯智(2回、京都府)竹下派
松下新平(2回、宮崎県)
園田修光(1回・衆院1回、比例区)
吉川有美(1回、三重県)

何度も日記に書いているように、僕は自民をひとくくりにしていない。「歴史修正主義的なナショナリズムを排除した保守を目指す」ことを掲げた勉強会「過去を学び“分厚い保守政治”を目指す若手議員の会」を2015年に立ち上げた、次の共同代表世話人3議員には特に注目している。

〔いずれも衆院議員・宏地会〕
武井俊輔(3回、宮崎県)※氏のツイッターのフォロワーっす。
國場(こくば)幸之助(3回、比例九州)
石崎徹(3回、比例北陸信越)

//本日のテレ朝の番組表。「断水、停電」の表題は1回だけ、「進次郎氏入閣」は5回。昼前には1時間半かけて韓国ヘイト。それでええのん?
●9月10日…台風被害により千葉で空前の大停電が続いている。熱中症で死者まで出ているなか、永田町は組閣の話題で持ちきり、誰が新大臣になるだのならないだので舞い上がっている。やるべきことの優先順番、おかしくないですか。こんな時に内閣改造をしたら、関係者の引き継ぎで初動に影響が出るのはわかりきっている。NHKニュースもトップは千葉の災害ではなく、小泉進次郎の入閣云々。千葉のことをもっと伝えてほしい。

//先日のNHK『歴史秘話ヒストリア』、戊辰戦争で活躍した旧幕府側の庄内藩(山形)・酒井玄蕃(げんば)特集がとてもよかった。強力な維新軍を前に次々と降伏していく旧幕府側。だが、酒井玄蕃が戦場で陣頭指揮した庄内藩兵は、ただの一度も維新軍に負けず、無敗のまま最後まで踏ん張った。最終的には、幕府側の盟主会津藩が敗北したことで、庄内藩主が降伏勧告を受け入れた。
西郷はさんざん抵抗した庄内藩に対し、誰の切腹も求めなかった。背景には戊辰戦争の開戦の口実に、庄内藩を利用したことへの後ろめたさがあったと思われる(幕府の方から先に手を出させるため、西郷はテロ集団を雇って江戸市中で強盗放火を行わせ、治安維持を担当していた庄内藩を挑発、わざと“黒幕”江戸薩摩藩邸を焼き討ちさせた)。
番組では酒井玄蕃の数多くの英雄譚を紹介していたけれど、最も印象に残ったのは無敗だった“戦の鬼”酒井玄蕃が、亡くなる直前に遺した言葉。『酒井了恒先生北清視察』に書かれていた次の言葉にグッときた。
「戦ふの難(がた)きにあらず、戦(いくさ)に至るの難きなり」(戦うこと自体はたやすい。しかし戦争を起こすとなると多くの苦労や犠牲をともなう。ゆえに戦いは避けるべきである)。
あくまでも徹底抗戦を主張した、主戦派の酒井玄蕃が言うから言葉に重みがある。
●9月9日…読者の方から「日本は植民地支配で良いことをやった」「インフラを整備したから感謝すべき」とのメールを時々頂く。その度に僕は「それって中国政府が“チベットを発展させてやった”“チベットは中共に感謝すべき”と言っているのと同じですよ」と伝えているんだけど、このことを、いろんな統計データを使って説明してくてる人がいたのでリンクを貼ります。そのブログは、当日記の上にリンクを紹介している『脱「愛国カルト」のススメ』さん。記事名は『「韓国は日本に感謝しろ」と言うなら、チベットは中国共産党に感謝しないといけないの?』。“一つの民族が他の民族を一方的に支配することは、人口が増えようがインフラが整備されようが学校を作ろうが文字を普及しようが、正当化されるべきものではない”との主旨で書かれています。
管理人の桑原一馬さんに心から敬意。この方が凄いのは、コメント欄で反論をぶつけている保守右派に、ほぼ「全レス返し」をしていること!あの体力、精神力、僕にはマネできない。何より時間がめちゃくちゃかかる…。それだけに、自分に出来ないことをやっている桑原一馬さんに頭が下がります。このブログ、どのコーナーも充実しているし、「ジャンル別テーマ」→「ざっくりいうと」→「詳細解説」と3段階表示になっているので、とっても見やすい。ウチのサイトみたいに延々と書き綴っているのと全然違う。感服です。
●9月8日…本日の岩手県知事選挙の開票結果に驚いた!

達増拓也(立憲、国民、共産、社民推薦/現職)40万2803票
及川敦(自民、公明推薦/新人)15万5504票

知事選は現職が強いとはいえ、野党4党推薦候補がほぼトリプル・スコアで圧勝!埼玉に続き岩手でも野党共闘の勝利。国政と県政は異なるものと分かってはいるけど、マスコミ世論調査の政党支持率を見る度に絶望感に包まれているなか、この選挙結果には勇気づけられる。
っていうか、2週間前の埼玉県知事選は、投票率たった32%だったのに自公候補に勝利し、それも何気にすごいこと。一般的に、投票率が低いほど組織票を持っている自公が有利と言われている。埼玉が枝野氏の地盤ということを差し引いても、何か大きな地殻変動が起きつつある気がする。この予感、当たってほしい。

//琉球新報の記事から『西村京太郎氏、辺野古中止を提言 日本推理作家協会13人が政府に 現政権は「異常」』。
今月4日、日本推理作家協会に加盟する西村京太郎さんら作家13人が「辺野古基地工事中断と沖縄県との誠意ある対話を要求する提言書」を日本政府に提出した。深町秋生さん、近藤史恵さんらが賛同。今年2月に実施された県民投票で、投票者の72%が反対していることについて「投票の結果を無視し、工事を中断することなく、また対話にも応じない現政権の対応は異常」と指摘。
メディアは自国のこういう動きをもっと伝えてほしい。隣国の政治家の不正疑惑報道ばかり流すのではなく。

//サンリオ公式の質問者とハローキティのやり取り、思わずメモった。このキティの中の人、ユーモアあり含蓄ありでキレキレ。

「男性のキティ好きが気持ち悪がられるのをなんとかしてほしい」
「本当これはキティの力不足の面も大いにあって『女性のためだけのもの』っていうパブリックイメージからキティがまだ脱却できてない」
「どうしたらダニエルみたいな最高のボーイフレンドが出来ますか?」
「たしかにダニエルは最高だし、その史上最高を更新し続けてるんだけど、そういうふうに思えるのは2人の積み重ねの結果。最初から最高じゃなくて、ちょっとずつお互いにとって最高の相手になっていけたらいいよね」
●9月7日…『天気の子』、予告編が恋愛SFっぽかったのでデジャヴ感があり「もうこのパターンはいいかな」と食傷気味、「DVDで…」と思ってたところ、重い腰をあげて行った友人たちが「めちゃくちゃ良かった!『君の名は。』の100倍良い!」と讃えるため観に行った。いやはや、ラストに仰天した。ギャグ・シーンは前作の方が多いし、爽快感も及ばないけれど、新しいものを見せてもらったという興奮が、エンドロールの途中からジワジワと湧き上がってきた。
今の時代、というか日本社会は、ことさら他人の目を気にする。何を行動するにも、周囲にどう見られているかが重要になる。同調圧力もハンパない。それが長所になることもあるけど、社会の重い空気は自殺率の高さにも現れている。この映画はそういう日本の空気を突破していった。あのラストにしたのは勇気がいったろう。新海監督はやる時はやる人だとわかった。これを一本作ったことで、こんな物語も描けることを証明、次回作が楽しみな監督がまたひとり増えた。
●9月6日…朝ドラ『なつぞら』の天陽君が逝き、一連のエピソードにウルウルっす。天陽君が描いた、あのお菓子の包装紙!観ている人にしかわからないけど、とにかく感動的な包装紙なんです。放送後に『あさイチ』で博多華丸さんが語った言葉「お菓子以外のものも包み込んでくれた」に胸熱。ほんとその通りと思った。
●9月5日…本日のNHK『クローズアップ現代』は、あいちトリエンナーレで起きた『表現の不自由展・その後』の展示中止問題がテーマだった。トリエンナーレの事務局には、開幕から3日間で抗議電話やメールが2900件、一カ月で6300件が殺到した。協賛会社への営業妨害もあり、しまいには「ガソリンを持っていく」の恐ろしい脅迫まで(犯人は逮捕された)。

少女像の2人の制作者はこう語った。
「(平和の少女像は)戦時中に被害にあった若い女性たちのつらい体験と、韓国に帰った後も無視され偏見の中で暮らした歳月が込められています(キム・ソギョン)
「反日の象徴として語られていますが、私たちは平和の象徴と考えています。(戦争の)悲しみと暗い歴史を語る象徴なのです」(キム・ウンソン)
反日の象徴ではない、これは非常に重要なこと。

丸木美術館の学芸員の方の言葉も印象的だった。「初めて少女像を見た時、“隣りの席に座っていい”と言われて少し身構えたんです。自分の中にも“これは慰安婦の像だ”という先入観があったような気がします。しかし、隣りに座って彼女をすごく近い距離で見た時にそれが解きほぐされていく感じがしました。作者には作者の想いがあり、そして見る人はそれぞれ受け止め方が違う、それが当たり前なんですね。」
この言葉について会場でそれを確かめることは出来なくなった。昭和天皇の写真を焼いた展示映像も、作者ではなく、他の美術館が焼いた出来事が過去にあったことを、もっとわかりやすく説明すればいい。特攻隊員の墓の下に星条旗が敷かれていたことは、現在日本各地に米軍基地があり事実上の占領状態が続いていること、理不尽レベルに不公平な地位協定を抱えていること、それに対して無関心な日本人が多く、作者の怒りと悲しみの表れがあの作品。死んでからも特攻隊員はアメリカと戦って死んだのだ。特攻隊員は生きているときは無謀な作戦を強要され、死後は特攻を命じた支配層に戦犯逃れのため英霊として利用される。その憤怒があのまがまがしいお墓から見て取れる。

あいちトリエンナーレは10月14日まで。このまま会期が終わってしまうと、気に入らない展示内容は、一斉攻撃をすれば中止に追い込めるという前例になってしまう。過激保守派の誤解をとくよう展示物の解説を丁寧にすると共に、ラスト2週間だけでも展示の再開を強く希望。
●9月1日…関東大震災(1923)から96年。墓マイラーをしていると教科書に載っていない地元の物語と出会うことがある。横浜市鶴見区潮田町の東漸寺には、鶴見警察署長・大川常吉の墓と、在日朝鮮人の方々が建立した氏の顕彰碑が建つ。(このこと一度書いているけど、追加の新情報もあるので加筆&再掲!)

関東大震災の翌日の出来事。震災の混乱の中、鶴見警察署に自警団が4人の朝鮮人を突き出し、「こいつらが鶴見駅近くの井戸に毒を投げ込むのを見た」「叩き殺せ」と詰め寄った。当時、同地区には鶴見臨海部の埋め立て工事のため朝鮮人労働者が多く住んでいた。対応した大川常吉署長は大声で「朝鮮人が毒を入れたという井戸の水を持ってこい!私が目の前で飲む!異状があれば朝鮮人は諸君に引き渡す。異状が無ければ私に預けよ!」と一喝、そして一升ビンの井戸水を飲み干した。いったん場は収まった。
翌日、デマ拡大にともない、殺気立った1000人もの群衆に鶴見署は包囲された。同署は朝鮮人220人中国人70人の約300人を保護していた。人々が「朝鮮人に味方する警察など叩き潰せ」「朝鮮人を殺せ」と叫ぶと、大川署長は「彼らも同じ被災者だ。朝鮮人を殺す前に、まずこの大川を殺せ!」と両手を広げて訴えた。「もし(同署から)逃げ出したらどうする」と声が飛び、署長は「この大川が君らの前で腹を切っておわびする」と断言、群衆は理性を取り戻して引きあげた。

人間にとって最も恐ろしいものは「ひとくくり」と「思い込み」。「○○人というものは…」というひとくくり、「○○人ならこうするに違いない」という思い込み。これは過去の話ではありません。
  
【歴史メモ】1923年、関東大震災直後に、官憲や陸軍の一部は震災を好機として、社会主義や自由主義の指導者を殺害しようと画策。また、日韓併合に反対する朝鮮人独立運動家を、混乱を利用して摘発しようと考えた。内務大臣・水野錬太郎、警視総監・赤池濃(あつし)、警視庁官房主事・正力松太郎(後の読売新聞社長)らは、軍と警察を通して「暴徒化した朝鮮人が井戸に毒を入れ、放火して回っている」「爆弾を持っている」というデマを日本中に流した。
憲兵大尉・甘粕正彦はアナーキストの大杉栄、伊藤野枝、そして両者の子と誤解された6歳の甥っ子を殺害して憲兵隊本部の古井戸に遺棄。亀戸警察署では軍が社会主義者・川合義虎、労働運動指導者・平澤計七など13人を殺害。平澤は首を切り落とされた。
一方、市民は朝鮮人暴動の流言を信じ、震災から4日間で3689もの自警団が組織された。軍の一部から「銃剣、日本刀を貸し与えられた」自警団は血眼になって朝鮮人を探した。朝鮮人は日本語の「ジュ」の発音が苦手で「チュ」と言ってしまうことから、自警団は朝鮮人らしい人間を見つけては「15円55銭」と発音させ、うまく言えなかった者をその場で処刑、又はリンチにした。
死者数は最低でも231人(内務省調査)、当時の東大教授・法学博士の吉野作造の調査が2613人余、半島系新聞では6661人に達する。また、方言を話す地方出身の日本人や聾唖者(聴覚障害者)も、朝鮮人と誤解されて59名が殺害されており、女子・子供を含む在日中国人200余名も殺害されている。
−−当時、実際に朝鮮人の犯罪が十数件あったことから、“朝鮮人暴徒はデマではない”という人がいる。その犯罪者たちは確かに悪党だ。でも、誰も「井戸に毒」なんか入れてない。朝鮮人全体と朝鮮出身の犯罪者は絶対に分けて考えないと。

【藤岡事件】震災4日〜5日後に群馬県藤岡市で起きた虐殺事件。「朝鮮人が井戸に毒を入れた」という流言を信じた旧新町(現高崎市)の土木業者が、従業員らの朝鮮人17人を旧藤岡署に収容させた。ここには鶴見署の大川署長のような人物がおらず最悪の事態となった。
近隣住民は「警察が朝鮮人をかばっている」と暴徒化。約二千人の群衆が日本刀や猟銃を持って署内へなだれ込み、無抵抗で抱き合い、命乞いする朝鮮人を暴行。遺体にまで危害を加え、警察の現場検証で血に染まった肉塊が確認された。殺人容疑などで37人が摘発されたが、大半が執行猶予付きなど軽い刑だった。現場近くの成道(じょうどう)寺には慰霊碑が立つ。
当時の群馬の詩人・萩原朔太郎「朝鮮人あまた殺され その血百里の間に連なれり われ怒りて視る、何の惨虐ぞ」
 
【福田村事件】震災5日後、千葉県福田村(現野田市)にて香川県の薬売り行商人15名のうち妊婦・子供を含む9名が、讃岐弁を聞き慣れない自警団によって朝鮮人と判断され虐殺された。このように日本人の子どもまで殺されており、いかに集団心理が暴走すると歯止めが効かないか、歴史の悲劇が物語っている。

僕はネットが普及し始めたとき「今は昔と違ってネットがあるから、もはやデマはすぐに嘘とバレて広がらない」と希望を持っていた。でも現実は真実よりもデマの方が速く広がり、しかもデマと判明したあとの「訂正情報」があまり共有されないという、恐ろしい状況になってしまった。再び隣国の人を「ひとくくり」にして罵倒、嘲笑する言説がワイドショーや週刊誌であふれており、非常に危機感を持っています。違う部分より、同じところの方がいっぱいあるのに。

  
大川常吉署長のお墓と、在日の方々が署長に感謝を綴った顕彰碑(横浜)







【最新ランク】 DVDトップ100 本のベストセラー100 音楽CDトップ100 玩具のトップ100/(GAME)


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