【 あの人の人生を知ろう〜与謝野晶子編 】

1878.12.7-1942.5.29








晶子 夫妻のツーショット! 鉄幹

本名晶(しょう)。大阪堺に生まれる。女学校時代から源氏物語や枕草子など古典を愛読する文学少女で、10代半ばから短歌を作り始める。二十歳頃に新聞で与謝野鉄幹の歌を知り深く感銘を受け、
1900年(22歳)、4月に鉄幹が『明星』を創刊すると同誌で歌を発表した。8月に初めて鉄幹と会い
恋心が爆発、翌夏には鉄幹を追って家出同然で上京し、鳳晶子の名で第一歌集『みだれ髪』(6章
399首収録)を刊行、その2ヵ月後に妻と別れた鉄幹と結婚する。時に晶子23歳、鉄幹28歳。女性が自我や性について語ることがタブーだった保守的な明治の世にあって、愛の情熱を自由奔放かつ
官能的に歌い上げた『みだれ髪』は一大センセーションを巻き起こした。

「やは肌のあつき血汐にふれも見でさびしからずや道を説く君」(熱くほてった肌に触れず人生を説くばかりで寂しいでしょう)
「みだれ髪を京の島田にかへし朝ふしていませの君ゆりおこす」(みだれ髪を綺麗に結いなおして朝寝するあなたを揺り起こす)
「春みじかし何に不滅の命ぞとちからある乳を手にさぐらせぬ」(春は短く命に限りがあるからと弾ける乳房に手を導く)
「罪おほき男こらせと肌きよく黒髪ながくつくられし我れ」(罪多き男たちを懲らしめる為に我は肌も髪も美しく作られた)

彼女は封建的な旧道徳に反抗したことで伝統歌壇から批判されたが、愛に根ざす人間性の肯定は民衆から熱狂的な支持を受け、『若菜集』の島崎藤村と共に浪漫主義文学の旗手と称された。

それから3年後の1904年(26歳)、日露戦争の最中にロシアの文豪トルストイがロマノフ王朝に向けて発表した戦争批判が日本の新聞に掲載され、敵国国民の反戦メッセージに深く感動した晶子は、半年前に召集され旅順攻囲戦に加わっていた弟に呼びかける形で『明星』9月号にこう応えた。

「君死にたまふことなかれ すめらみことは戦ひに おほみづからは出でまさね かたみに人の血を流し、獣(けもの)の道に死ねよとは…」
(弟よ死なないでおくれ。天皇自身は危険な戦場に行かず宮中に安住し、人の子を獣の道におちいらせている)

この反戦歌は発表と同時に、日露戦争に熱狂する世間から“皇国の国民として陛下に不敬ではないか”と猛烈な批判にさらされた。文芸批評家・大町桂月は「晶子は乱臣なり賊子なり、国家の刑罰を加ふべき罪人なり」と激しく非難したが、晶子はこれに反論すべく『明星』11月号に「ひらきぶみ」を発表、“この国を愛する気持ちは誰にも負けぬ”と前置きしたうえで
「女と申すもの、誰も戦争は嫌いです。当節のように死ねよ死ねよと言い、また何事も忠君愛国や教育勅語を持ち出して論じる事の流行こそ、危険思想ではないかと考えます。歌は歌です。誠の心を歌わぬ歌に、何の値打ちがあるでしょう」
と全く動じることはなかった。
晶子は非難に屈するどころか、翌年刊行された詩歌集『恋衣』に再度“君死にたまふことなかれ”を掲載する。

その後も女性問題や教育問題などで指導的活動を続け、1911年(33歳)には日本初の女性文芸誌『青鞜』発刊に参加、「山の動く日来(きた)る。(中略)すべて眠りし女(おなご)今ぞ目覚めて動くなる」と賛辞を贈ってその巻頭を飾り、43歳で文化学院の創設に加わり自由教育に尽くした。また、文学者としては短歌だけでなく、『新訳源氏物語』を始めとした古典の現代語訳にも多くの著作を残す。

1930年代に入って満州事変、五・一五事件、国際連盟脱退と軍国化が進み、日増しに言論の自由が奪われていく中で、晶子は1936年(58歳、死の6年前)に国家の思想統制についてこう書き残した。「目前の動きばかりを見る人たちは“自由は死んだ”と云うかもしれない。しかし“自由”は面を伏せて泣いているのであって、死んでしまったのではない。心の奥に誰もが“自由”の復活を祈っているのです」
※自由が泣いている、こんな表現もあるのか…!

明星派の歌人として生涯にわたって鉄幹の仕事をサポートし(鉄幹は57歳の時に先立つ)、家庭では11人の子を育て、太平洋戦争の真っ只中の1942年に63年間の人生を終えた。

・鉄幹について…「一体今の新流の歌と称しているものは誰が興して誰が育てたものであるか。この問いに己だと答えることの出来る人は与謝野君を除けば外にはない」(鴎外)
・「われ男(を)の子意気の子名の子つるぎの子詩の子恋の子あゝもだえの子」(鉄幹)
・『明星』は啄木、高村光太郎、北原白秋らを世に送った。



1991年3月 2002年8月
仲睦まじく並んでいる与謝野夫婦。墓の形もおそろいでラブラブだった。僕は目のやり場に困った(笑)。左が鉄幹、
右が晶子で、墓石には風化してかなり読み辛いが、それぞれ次の歌が彫られていた。「今日もまたすぎし昔となり
たらば並びて寝ねん西のむさし野」(晶子)「なには津に咲く木の花の道なれどむぐらしげりて君が行くまで」(鉄幹)


《あの人の人生を知ろう》
★文学者編
・宮沢賢治
・太宰治
・小林多喜二
・樋口一葉
・梶井基次郎
・清少納言
・近松門左衛門
・高村光太郎
・石川啄木
・西行法師
・与謝野晶子
・茨木のり子
●尾崎放哉
・種田山頭火
●松尾芭蕉
・ドストエフスキー

★学者編
●南方熊楠
●湯川秀樹

★思想家編
●チェ・ゲバラ
・坂本龍馬
●大塩平八郎
・一休
・釈迦
・聖徳太子
・鑑真和上
・西村公朝
・フェノロサ

★武将編
●明智光秀
●真田幸村
・源義経
・楠木正成
●石田三成
・織田信長




★芸術家編
●葛飾北斎
・尾形光琳
・上村松園
●黒澤明
・本阿弥光悦
・棟方志功
・世阿弥
・伊藤若冲
●グレン・グールド
●ビクトル・ハラ
●ベートーヴェン
●ゴッホ
・チャップリン

★その他編
●伊能忠敬
・平賀源内
・淀川長治
●千利休

●印は特にオススメ!

※番外編〜歴史ロマン/徹底検証!卑弥呼と邪馬台国の謎(宮内庁に訴える!)



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オヌシは 番目の旅人でござる